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特開2025-17043タッチ操作者識別システム及び情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017043
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】タッチ操作者識別システム及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20250129BHJP
   G06F 3/042 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
G06F3/041 560
G06F3/042 481
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119910
(22)【出願日】2023-07-24
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】伊知川 禎一
(57)【要約】
【課題】タッチパネルへのタッチの態様に関わらずにタッチしたユーザを識別する「タッチ操作者識別システム及び情報処理システム」を提供する。
【解決手段】ディスプレイ2の表示面の下に左右方向に沿って並べた複数の赤外線LEDが前方斜め上方向に出射した赤外光の反射光の強度分布より、表示面に接近した被検出体の左右方向の位置を接近位置Gxとして算定する。水平方向の座標の正方向が左から右に向かう方向として、タッチパネルのタッチ位置の水平方向の座標Txと接近位置Gxとを用いて、座標TxよりもTh1以上右側に離れた位置に接近位置Gxがあるときにタッチの操作者としてディスプレイ2の右側の運転席のユーザを設定し、座標TxよりもTh1以上左側に離れた位置に接近位置Gxがあるときにタッチの操作者としてディスプレイ2の左側の助手席のユーザを設定する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイの表示面に重ねて設けられた、タッチされた位置をタッチ位置として検出するタッチパネルを操作したユーザを判別するタッチ操作者識別システムであって、
前記ディスプレイの表示面に接近した物体を検出する接近検出装置と、
タッチパネルにタッチしたユーザを判別するユーザ判別手段とを有し、
前記接近検出装置は、
前記ディスプレイの表示面の外側に、当該表示面の左右方向に沿って並べて配置した、前記表示面の前方に向けて不可視光を出射する複数の光源と、
前記ディスプレイの表示面の外側に配置した前記光源が出射した不可視光の反射光を検知する光検出器と、
前記光検出器で検出した前記各光源が出射した不可視光の反射光の強度の分布より、接近した被検出体の前記表示面の左右方向の座標を左右方向参照位置として算定する参照位置算定手段とを有し、
前記ユーザ判別手段は、前記タッチパネルへのタッチが発生したときに、前記タッチパネルが検出したタッチ位置の前記表示面の左右方向の座標である左右方向タッチ位置と、前記参照位置算定手段が算定した前記左右方向参照位置との、前記表示面の左右方向の位置関係と、前記表示面の左右方向の距離とに基づいて、タッチパネルを操作したユーザが前記ディスプレイの左側に位置するユーザであるか右側に位置するユーザであるかを判別することを特徴とするタッチ操作者識別システム。
【請求項2】
ディスプレイの表示面に重ねて設けられた、タッチされた位置をタッチ位置として検出するタッチパネルを操作したユーザを判別するタッチ操作者識別システムであって、
前記ディスプレイの表示面に接近した物体を検出する接近検出装置と、
タッチパネルにタッチしたユーザを判別するユーザ判別手段とを有し、
前記接近検出装置は、
前記ディスプレイの表示面の外側に、当該表示面の左右方向に沿って並べて配置した、前記表示面の前方に向けて不可視光を出射する複数の光源と、
前記ディスプレイの表示面の外側に配置した前記光源が出射した不可視光の反射光を検知する光検出器と、
前記光検出器で検出した前記各光源が出射した不可視光の反射光の強度の分布を、強度の大小関係が維持されつつ、強度が大きいほど大きい割合で強度が減少するように修正した分布の前記表示面の左右方向の重心の座標を左右方向参照位置として算定する参照位置算定手段とを有し、
前記ユーザ判別手段は、前記タッチパネルへのタッチが発生したときに、前記タッチパネルが検出したタッチ位置の前記表示面の左右方向の座標である左右方向タッチ位置と、前記参照位置算定手段が算定した前記左右方向参照位置との、前記表示面の左右方向の位置関係と、前記表示面の左右方向の距離とに基づいて、タッチパネルを操作したユーザが前記ディスプレイの左側に位置するユーザであるか右側に位置するユーザであるかを判別することを特徴とするタッチ操作者識別システム。
【請求項3】
請求項1または2記載のタッチ操作者識別システムであって、
前記ユーザ判別手段は、前記左右方向タッチ位置の左側の前記左右方向タッチ位置から所定の距離以上離れた位置に前記左右方向参照位置がある場合に、タッチパネルを操作したユーザが前記ディスプレイの左側に位置するユーザであると判別し、前記左右方向タッチ位置の右側の前記左右方向タッチ位置から前記所定の距離以上離れた位置に前記左右方向参照位置がある場合に、タッチパネルを操作したユーザが前記ディスプレイの右側に位置するユーザであると判別することを特徴とするタッチ操作者識別システム。
【請求項4】
請求項1または2記載のタッチ操作者識別システムであって、
前記ユーザ判別手段は、
前記左右方向タッチ位置が、前記ディスプレイの左右方向について中央のエリアにあるときに、前記左右方向タッチ位置の左側の前記左右方向タッチ位置から第1の距離以上離れた位置に左右方向参照位置がある場合に、タッチパネルを操作したユーザが前記ディスプレイの左側に位置するユーザであると判別し、前記左右方向タッチ位置の右側の前記左右方向タッチ位置から前記第1の距離以上離れた位置に前記左右方向参照位置がある場合に、タッチパネルを操作したユーザが前記ディスプレイの右側に位置するユーザであると判別し、
前記左右方向タッチ位置が、前記ディスプレイの前記中央のエリアの左側のエリアにあるときに、前記左右方向タッチ位置の右側の前記左右方向タッチ位置から第2の距離離れた位置よりも左側に左右方向参照位置がある場合に、タッチパネルを操作したユーザが前記ディスプレイの左側に位置するユーザであると判別し、前記左右方向タッチ位置の右側の前記左右方向タッチ位置から前記第2の距離より大きい第3の距離以上離れた位置に前記左右方向参照位置がある場合に、タッチパネルを操作したユーザが前記ディスプレイの右側に位置するユーザであると判別し、
前記左右方向タッチ位置が、前記ディスプレイの前記中央のエリアの右側のエリアにあるときに、前記左右方向タッチ位置の左側の前記左右方向タッチ位置から前記第2の距離離れた位置よりも右側に前記左右方向参照位置がある場合に、タッチパネルを操作したユーザが前記ディスプレイの右側に位置するユーザであると判別し、前記左右方向タッチ位置の左側の前記左右方向タッチ位置から前記第3の距離以上離れた位置に前記左右方向参照位置がある場合に、タッチパネルを操作したユーザが前記ディスプレイの左側に位置するユーザであると判別することを特徴とするタッチ操作者識別システム。
【請求項5】
請求項1または2記載のタッチ操作者識別システムであって、
前記ユーザ判別手段は、
前記左右方向タッチ位置に応じて第1の基準位置と第2の基準位置を設定し、
前記左右方向参照位置が前記第1の基準位置より左側にある場合に、タッチパネルを操作したユーザが前記ディスプレイの左側に位置するユーザであると判別し、前記左右方向参照位置が前記第2の基準位置より右側にある場合に、タッチパネルを操作したユーザが前記ディスプレイの右側に位置するユーザであると判別すると共に、
当該ユーザ判別手段は、
前記左右方向タッチ位置が左端近傍の位置であるときに、前記左右方向タッチ位置に対する相対位置が前記左右方向タッチ位置の右側に第1の距離離れた第1の相対位置となり、前記左右方向タッチ位置が右端近傍の位置であるときに記左右方向タッチ位置に対する相対位置が前記左右方向タッチ位置の左側に、前記第1の距離より大きな距離である第2の距離離れた第2の相対位置となり、前記左右方向タッチ位置が左端近傍の位置と右端近傍の位置の間にあるときに、前記左右方向タッチ位置に対する相対位置が左端近傍に近づくほど前記第1の相対位置に近づき右端近傍に近づくほど前記第2の相対位置に近づくように前記第1の基準位置を設定し、
前記左右方向タッチ位置が右端近傍の位置であるときに、前記左右方向タッチ位置に対する相対位置が前記左右方向タッチ位置の左側に第1の距離離れた第3の相対位置となり、前記左右方向タッチ位置が左端近傍の位置であるときに記左右方向タッチ位置に対する相対位置が前記左右方向タッチ位置の右側に第2の距離離れた第4の相対位置となり、前記左右方向タッチ位置が左端近傍の位置と右端近傍の位置の間にあるときに、前記左右方向タッチ位置に対する相対位置が右端近傍に近づくほど前記第3の相対位置に近づき左端近傍に近づくほど前記第4の相対位置に近づくように前記第2の基準位置を設定することを特徴とするタッチ操作者識別システム。
【請求項6】
請求項1または2記載のタッチ操作者識別システムであって、
前記ディスプレイは、自動車の左右方向について運転席と助手席の間の位置に配置されており、
前記ディスプレイの左側に位置するユーザは、運転席に着座したユーザと助手席に着座したユーザのうちの一方のユーザであり、前記ディスプレイの右側に位置するユーザは、他方のユーザであることを特徴とするタッチ操作者識別システム。
【請求項7】
請求項1または2記載のタッチ操作者識別システムと、前記ディスプレイと、前記タッチパネルと、前記ディスプレイを表示出力に用い前記タッチパネルを位置入力に用いるデータ処理装置を備え、
タッチ操作者識別システムは、判別したタッチパネルを操作したユーザを前記データ処理装置に通知し、
前記データ処理装置は、前記タッチパネルが検出したタッチ位置に応じた処理を行うと共に、少なくとも当該タッチ位置に応じて行う一部の処理について、行う処理の内容を、タッチ操作者識別システムから通知されたタッチパネルを操作したユーザに応じて切り替えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項8】
請求項1記載のタッチ操作者識別システムと、前記ディスプレイと、前記タッチパネルと、前記ディスプレイを表示出力に用い前記タッチパネルを位置入力に用いるデータ処理装置を備え、
タッチ操作者識別システムは、算定した左右方向参照位置と、判別したタッチパネルを操作したユーザとを前記データ処理装置に通知し、
前記データ処理装置は、
算定した左右方向参照位置から、前記ディスプレイの表示面の前方で行われたユーザのジェスチャを識別して、識別したジェスチャに応じた処理を行うジェスチャ応答処理手段と、
前記タッチパネルが検出したタッチ位置に応じた処理を行うタッチ応答処理手段とを備え、
前記タッチ応答処理手段は、少なくとも当該タッチ位置に応じて行う一部の処理について、行う処理の内容を、タッチ操作者識別システムから通知されたタッチパネルを操作したユーザに応じて切り替えることを特徴とする情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルの左右に位置するユーザのうちから、タッチパネルの操作者を識別する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルの左右に位置するユーザのうちから、タッチパネルの操作者を識別する技術としては、図12aの分解図に示すように、表示モニタ1201の表示面上に配置されたタッチパネル1202に重ねて、開口部12031を有する額縁状の光学式位置検出装置1203を設ける技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
図12bに示すように光学式位置検出装置1203は、垂直方向と水平方向のそれどれについて対向して配置された発光ダイオード12032の列とフォトダイオード12033の列を有する。そして、タッチパネルに対する操作が行われていないときに、各位置の発光ダイオード12032から出射された赤外光が開口部12031を通過して対向する位置のフォトダイオード12033で検知される。一方、タッチパネル1202に対するタッチが行われた際には、タッチした指の位置に対応する位置の発光ダイオード12032から出射された赤外光が指で遮蔽され、対向する位置のフォトダイオード12033で赤外光が検知されなくなり、光学式位置検出装置1203は、この赤外光が検知されなくなったフォトダイオード12033の位置から、指の位置を検出する。
【0004】
また、図12c1に示すように、一般的には、タッチパネルの右側のユーザがタッチパネルにタッチする場合、指先が左側に傾いていることより、タッチパネルで検出したタッチ位置の水平方向座標X1は、光学式位置検出装置1203で検出した指の位置の水平方向座標X2よりの右側となり、図12c2に示すように、タッチパネルの左側のユーザがタッチパネルにタッチする場合、指先が右側に傾いていることより、タッチパネルで検出したタッチ位置の水平方向座標X1は、光学式位置検出装置1203で検出した指の位置の水平方向座標X2より左側となることを利用して、この技術では、タッチパネル1202で検出したタッチ位置の水平方向座標X1と光学式位置検出装置1203で検出した指の位置の水平方向座標X2の大小関係から、タッチパネル1202にタッチしたユーザが、タッチパネル1202の左右に位置するユーザのいずれであるかを識別している。
【0005】
また、本出願に関連する技術として、ユーザの手や指などを被検出体として、ディスプレイの下側に下辺に沿って配置した、ディスプレイの前方斜め上方向に向けて赤外光を照射する複数のLEDを順次点灯すると共に、ディスプレイの下辺に沿って配置した複数のフォトダイオードで被検出体による赤外光の反射光を検出し、各LED点灯時に検出された反射光の強度の分布よりディスプレイの表示面に接近した被検出体の水平方向(左右方向)の位置を検知する検知システムが知られている(たとえば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-331692号公報
【特許文献2】特開2021-117189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ユーザが、指や手によって表示モニタの表示内容が隠れてしまうことを避けるめに、タッチパネルをタッチする指の向きをタッチパネルのタッチ面とおおよそ垂直とすることがある。
この場合、上述した光学式位置検出装置1203を用いる技術によれば、図12dに示すようにタッチパネル1202で検出したタッチ位置の水平方向座標X1と光学式位置検出装置1203で検出した指の位置の水平方向座標X2がおおよそ等しくなってしまい、タッチパネルにタッチしたユーザが、タッチパネルの左右のユーザのいずれであるか識別することができなくなってしまう。
【0008】
そこで、本発明は、タッチパネルの左右のユーザのいずれがタッチパネルにタッチしたユーザであるかをタッチの態様に関わらずに広範に識別可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題達成のために、本発明は、ディスプレイの表示面に重ねて設けられた、タッチされた位置をタッチ位置として検出するタッチパネルを操作したユーザを判別するタッチ操作者識別システムに、前記ディスプレイの表示面に接近した物体を検出する接近検出装置と、タッチパネルにタッチしたユーザを判別するユーザ判別手段とを備えたものである。前記接近検出装置は、前記ディスプレイの表示面の外側に、当該表示面の左右方向に沿って並べて配置した、前記表示面の前方に向けて不可視光を出射する複数の光源と、前記ディスプレイの表示面の外側に配置した前記光源が出射した不可視光の反射光を検知する光検出器と、前記光検出器で検出した前記各光源が出射した不可視光の反射光の強度の分布より、接近した被検出体の前記表示面の左右方向の座標を左右方向参照位置として算定する参照位置算定手段とを備えている。そして、前記ユーザ判別手段は、前記タッチパネルへのタッチが発生したときに、前記タッチパネルが検出したタッチ位置の前記表示面の左右方向の座標である左右方向タッチ位置と、前記参照位置算定手段が算定した前記左右方向参照位置との、前記表示面の左右方向の位置関係と、前記表示面の左右方向の距離とに基づいて、タッチパネルを操作したユーザが前記ディスプレイの左側に位置するユーザであるか右側に位置するユーザであるかを判別する。
【0010】
ここで、このようなタッチ操作者識別システムは、前記接近検出装置の参照位置算定手段において、接近した被検出体の前記表示面の左右方向の座標を前記左右方向参照位置として算定することに代えて、前記光検出器で検出した前記各光源が出射した不可視光の反射光の強度の分布を、強度の大小関係が維持されつつ、強度が大きいほど大きい割合で強度が減少するように修正した分布の前記表示面の左右方向の重心の座標を前記左右方向参照位置として算定するように構成してもよい。
【0011】
また、以上のタッチ操作者識別システムは、前記ユーザ判別手段において、前記左右方向タッチ位置の左側の前記左右方向タッチ位置から所定の距離以上離れた位置に前記左右方向参照位置がある場合に、タッチパネルを操作したユーザが前記ディスプレイの左側に位置するユーザであると判別し、前記左右方向タッチ位置の右側の前記左右方向タッチ位置から前記所定の距離以上離れた位置に前記左右方向参照位置がある場合に、タッチパネルを操作したユーザが前記ディスプレイの右側に位置するユーザであると判別するように構成してもよい。
【0012】
または、以上のタッチ操作者識別システムは、前記ユーザ判別手段において、前記左右方向タッチ位置が、前記ディスプレイの左右方向について中央のエリアにあるときに、前記左右方向タッチ位置の左側の前記左右方向タッチ位置から第1の距離以上離れた位置に左右方向参照位置がある場合に、タッチパネルを操作したユーザが前記ディスプレイの左側に位置するユーザであると判別し、前記左右方向タッチ位置の右側の前記左右方向タッチ位置から前記第1の距離以上離れた位置に前記左右方向参照位置がある場合に、タッチパネルを操作したユーザが前記ディスプレイの右側に位置するユーザであると判別し、前記左右方向タッチ位置が、前記ディスプレイの前記中央のエリアの左側のエリアにあるときに、前記左右方向タッチ位置の右側の前記左右方向タッチ位置から第2の距離離れた位置よりも左側に左右方向参照位置がある場合に、タッチパネルを操作したユーザが前記ディスプレイの左側に位置するユーザであると判別し、前記左右方向タッチ位置の右側の前記左右方向タッチ位置から前記第2の距離より大きい第3の距離以上離れた位置に前記左右方向参照位置がある場合に、タッチパネルを操作したユーザが前記ディスプレイの右側に位置するユーザであると判別し、前記左右方向タッチ位置が、前記ディスプレイの前記中央のエリアの右側のエリアにあるときに、前記左右方向タッチ位置の左側の前記左右方向タッチ位置から前記第2の距離離れた位置よりも右側に前記左右方向参照位置がある場合に、タッチパネルを操作したユーザが前記ディスプレイの右側に位置するユーザであると判別し、前記左右方向タッチ位置の左側の前記左右方向タッチ位置から前記第3の距離以上離れた位置に前記左右方向参照位置がある場合に、タッチパネルを操作したユーザが前記ディスプレイの左側に位置するユーザであると判別するように構成してもよい。
【0013】
または、以上のタッチ操作者識別システムは、前記ユーザ判別手段において、前記左右方向タッチ位置に応じて第1の基準位置と第2の基準位置を設定し、前記左右方向参照位置が前記第1の基準位置より左側にある場合に、タッチパネルを操作したユーザが前記ディスプレイの左側に位置するユーザであると判別し、前記左右方向参照位置が前記第2の基準位置より右側にある場合に、タッチパネルを操作したユーザが前記ディスプレイの右側に位置するユーザであると判別するように構成してもよい。ここで、当該ユーザ判別手段は、前記左右方向タッチ位置が左端近傍の位置であるときに、前記左右方向タッチ位置に対する相対位置が前記左右方向タッチ位置の右側に第1の距離離れた第1の相対位置となり、前記左右方向タッチ位置が右端近傍の位置であるときに記左右方向タッチ位置に対する相対位置が前記左右方向タッチ位置の左側に、前記第1の距離より大きな距離である第2の距離離れた第2の相対位置となり、前記左右方向タッチ位置が左端近傍の位置と右端近傍の位置の間にあるときに、前記左右方向タッチ位置に対する相対位置が左端近傍に近づくほど前記第1の相対位置に近づき右端近傍に近づくほど前記第2の相対位置に近づくように第1の基準位置を設定する。また、前記左右方向タッチ位置が右端近傍の位置であるときに、前記左右方向タッチ位置に対する相対位置が前記左右方向タッチ位置の左側に第1の距離離れた第3の相対位置となり、前記左右方向タッチ位置が左端近傍の位置であるときに記左右方向タッチ位置に対する相対位置が前記左右方向タッチ位置の右側に第2の距離離れた第4の相対位置となり、前記左右方向タッチ位置が左端近傍の位置と右端近傍の位置の間にあるときに、前記左右方向タッチ位置に対する相対位置が右端近傍に近づくほど前記第3の相対位置に近づき左端近傍に近づくほど前記第4の相対位置に近づくように第2の基準位置を設定する。
【0014】
また、以上のタッチ操作者識別システムにおいて、前記ディスプレイは、自動車の左右方向について運転席と助手席の間の位置に配置されたものとし、前記ディスプレイの左側に位置するユーザを、運転席に着座したユーザと助手席に着座したユーザのうちの一方のユーザとし、前記ディスプレイの右側に位置するユーザを、他方のユーザとしてよい。
【0015】
また、本発明は、併せて、以上のタッチ操作者識別システムと、前記ディスプレイと、前記タッチパネルと、前記ディスプレイを表示出力に用い前記タッチパネルを位置入力に用いるデータ処理装置を備えた情報処理システムも提供する。この情報処理システムにおいて、タッチ操作者識別システムは、判別したタッチパネルを操作したユーザを前記データ処理装置に通知し、前記データ処理装置は、前記タッチパネルが検出したタッチ位置に応じた処理を行うと共に、少なくとも当該タッチ位置に応じて行う一部の処理について、行う処理の内容を、タッチ操作者識別システムから通知されたタッチパネルを操作したユーザに応じて切り替える。
【0016】
また、本発明は、上記した接近した被検出体の前記表示面の左右方向の座標を前記左右方向参照位置として算定するタッチ操作者識別システムと、前記ディスプレイと、前記タッチパネルと、前記ディスプレイを表示出力に用い前記タッチパネルを位置入力に用いるデータ処理装置を備えた情報処理システムも提供する。この情報処理システムにおいて、タッチ操作者識別システムは、算定した左右方向参照位置と、判別したタッチパネルを操作したユーザとを前記データ処理装置に通知する。また、前記データ処理装置は、算定した左右方向参照位置から、前記ディスプレイの表示面の前方で行われたユーザのジェスチャを識別して、識別したジェスチャに応じた処理を行うジェスチャ応答処理手段と、前記タッチパネルが検出したタッチ位置に応じた処理を行うタッチ応答処理手段とを備えている。そして、前記タッチ応答処理手段は、少なくとも当該タッチ位置に応じて行う一部の処理について、行う処理の内容を、タッチ操作者識別システムから通知されたタッチパネルを操作したユーザに応じて切り替える。
【0017】
以上のようなタッチ操作者識別システムによれば、接近検出装置を用いて算定した左右方向参照位置と、タッチパネルが検出した左右方向タッチ位置との比較によりタッチパネルを操作したユーザが前記ディスプレイの左側に位置するユーザであるか右側に位置するユーザであるかを判別する。
ここで、接近検出装置は、ディスプレイの表示面の前方に向けて出射した不可視光の反射光ので接近した物体を検出するので、反射光の強度分布より算定される左右方向参照位置は、タッチ操作するユーザが位置する側から表示面の前方に伸ばされた腕における反射の影響による、左右方向タッチ位置からの、タッチ操作するユーザ方向へのずれが含まれたものとなる。
よって、ユーザのタッチパネルをタッチする指の向きなどのタッチの態様に関わらずに、タッチ操作したユーザを良好に判別することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、タッチパネルの左右のユーザのいずれがタッチパネルにタッチしたユーザであるかをタッチの態様に関わらずに広範に識別可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るディスプレイの配置を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る接近検出センサの配置を示す図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る接近検出センサの動作シーケンスを示す図である。
図5】本発明の第1実施形態に係るタッチ応答処理を示すフローチャートである。
図6】本発明の第1実施形態に係る操作者判別の機序を示す図である。
図7】本発明の第1実施形態に係るタッチ応答処理の処理例を示す図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る操作者判別の機序を示す図である。
図9】本発明の第3実施形態に係るタッチ応答処理を示すフローチャートである。
図10】本発明の第3実施形態に係る操作者判別の機序を示す図である。
図11】本発明の第3実施形態に係るタッチ応答処理の処理例を示す図である。
図12】先行技術文献に係る技術を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、運転席が右側にあり助手席が左側にある、右ハンドルの自動車への適用を例にとり説明する。ただし、本実施形態は、運転席が左側にあり助手席が右側にある、左ハンドルの自動車である場合にも、以下の説明中の左と右を入れ替えて適用することができる。
【0021】
まず、第1の実施形態について説明する。
図1に、第1本実施形態に係る情報処理システムの構成を示す。
情報処理システムは自動車に搭載されるシステムであり、カーナビゲーションアプリケーションやメディアプレイヤアプリケーション等を実行するデータ処理装置1、データ処理装置1が映像表示と座標入力に用いるタッチパネル付のディスプレイ2、接近検出装置3、データ処理装置1が利用する、その他の周辺装置4を備えている。
【0022】
ここで、図2に示すように、ディスプレイ2は接近検出装置3と一体化されたディスプレイユニット10の形態で、自動車のダッシュボードの運転席と助手席の間の位置に表示面を後方に向けて配置される。
図1に戻り、接近検出装置3は、ユーザの手や指などを被検出体として、ディスプレイ2の表示面への接近した被検出体の水平方向の座標を検出し、接近位置としてデータ処理装置1に提供し、データ処理装置1は、提供された接近位置に応じた処理を行う。
【0023】
接近検出装置3は、接近検出センサ31と接近検出コントローラ32を備えている。
接近検出センサ31は、LED1、LED2、LED3、LED4の4つの赤外線LEDと、PD1とPD2の、赤外光を検出する2つのフォトダイードを備えている。
また、接近検出コントローラ32は、LED1、LED2、LED3、LED4を駆動して発光させる駆動部321、PD1とPD2が出力する電流信号をPD1とPD2に入射した赤外光の強度を表す強度信号に変換し出力する検出部322、駆動部321と検出部322の動作を制御すると共に検出部322が変換した強度信号が表す赤外光の強度より、ディスプレイ2の表示面に接近した被検出体の水平方向の座標を算定し、接近位置としてデータ処理装置1に通知する検出制御部323とを備えている。
【0024】
次に、図3a、b、cに示すように、LED1、LED2、LED3、LED4は、当該順序で左から右に向かって、ディスプレイ2の下辺の少し下の位置におおよそ等間隔で配置されている。
また、PD1は、LED1とLED2の中間の位置に配置され、入射する赤外光の反射光を電流信号に変換し、PD2は、LED3とLED4の中間の位置に配置され、それぞれ入射する赤外光の反射光を電流信号に変換し出力する。
図3a、b中の矢印は、LED1、LED2、LED3、LED4の指向角の中心軸を表しており、LED1、LED2、LED3、LED4は、ディスプレイ2の前方上方に向けて斜めに赤外光を照射する。
次に、接近検出コントローラ32の検出制御部323は、図4に示すサイクルが繰り返し行われるように、駆動部321と検出部322の動作を制御する。
ここで、各サイクルは、駆動部321がLED1のみを発光し、検出部322がPD1に入射した赤外光の強度を表す強度信号L1を出力するピリオドと、駆動部321がLED2のみを発光し、検出部322がPD1に入射した赤外光の強度を表す強度信号L2を出力するピリオドと、駆動部321がLED3のみを発光し、検出部322がPD2に入射した赤外光の強度を表す強度信号L3を出力するピリオドと、駆動部321がLED4のみを発光させ、検出部322がPD2に入射した赤外光の強度を表す強度信号L4を出力するピリオドとを含む。
【0025】
そして、検出制御部323は、強度信号L1、L2、L3、L4の最大値が所定のしきい値を超えた時などに、被検出体の接近を検出し、データ処理装置1に通知する。
また、検出制御部323は、x1をLED1の水平方向の座標、x2をLED2の水平方向の座標、x3をLED3の水平方向の座標、x4をLED4の水平方向の座標として、検出部322で検出した強度信号L1、L2、L3、L4の強度分布の重心として求まる水平方向の座標を接近位置Gxとして式1により算出する。
【0026】
式1:Gx=(X1×L1+X2×L2+X3×L3+X4×L4)/(L1+L2+L3+L4)
そして、データ処理装置1は、接近検出コントローラ32から被検出体の接近の発生を通知されたならば、接近検出コントローラ32が算出した接近位置Gxを取得し、接近位置Gxに応じた所定の処理、たとえば、デュスプレイの接近位置Gxに対応する位置に表示しているアイコンの拡大表示処理や、接近位置Gxの時間変化からの手の空間中でのジェスチャの認識と認識したジェスチャに応じた表示画面やアプリケーションの切替等の処理を行う。
【0027】
図1に戻り、ディスプレイ2のタッチパネルは、タッチ面へのタッチが発生すると、タッチされた位置の座標であるタッチ位置(Tx、Ty)を検出すると共に、タッチの発生をデータ処理装置1に通知する。ここで、タッチ位置(Tx、Ty)のTxが水平方向の座標、Tyが垂直方向の座標である。
【0028】
そして、タッチの発生を通知されたデータ処理装置1は、タッチパネルのタッチに応じた処理を実行するためにタッチ応答処理を行う。
図5に、このタッチ応答処理の手順を示す。
ここで、以下では、タッチパネルがタッチ位置の座標Txを検出する水平方向の座標系と、接近検出コントローラ32が接近位置Gxを算出する水平方向の座標系は、同じ座標系であり、当該座標系の正方向は左から右に向かう方向であるものとする。
図示するように、タッチ応答処理では、まず、タッチパネルからタッチ位置(Tx、Ty)を取得する(ステップ502)。
また、接近検出コントローラ32が算出している接近位置Gxを取得する(ステップ504)。
そして、Gx>Tx+Th1が満たされているか判定する(ステップ506)。ただし、Th1は予め定めた基準値であり、Th1>0である。
そして、Gx>Tx+Th1が満たされていれば(ステップ506)、タッチの操作者として運転席のユーザを設定する(ステップ514)。
一方、Gx>Tx+Th1が満たされてなければ(ステップ506)、Gx<Tx-Th1が満たされているか判定する(ステップ508)。
そして、Gx<Tx-Th1が満たされていれば(ステップ508)、タッチの操作者として助手席のユーザを設定する(ステップ512)。
一方、Gx<Tx-Th1も満たされていなければ(ステップ508)、タッチの操作者として不明ユーザを設定する(ステップ510)。
そして、タッチ位置(Tx、Ty)と、ステップ510、512、514のいずれかで設定したタッチの操作者に応じた処理を実行する(ステップ516)。そして、ステップ502からの処理に戻る。
ここで、ステップ516では、たとえば、タッチ位置(Tx、Ty)がディスプレイ2に表示した、所定のアクションの実行指示を受け付けるための、自動車の走行中の運転席のユーザの操作が禁止されているアイコンである場合には、現在自動車が走行中でなければ、当該アクションを実行し、現在自動車が走行中であれば、設定した操作者が助手席のユーザである場合のみ当該アクションを実行し、設定した操作者が不明ユーザや運転席のユーザである場合には、当該アクションを実行しない処理等を行う。
【0029】
ここで、図6aに示すように、ディスプレイ2の右側にいる運転席のユーザがタッチパネルにタッチする場合、右側より運転席のユーザの腕がタッチ位置に向かう方向に延びてくるため、この腕による反射光の影響により、接近検出コントローラ32で算出される接近位置Gxは、タッチパネルで検出されるタッチ位置の水平方向の座標Txよりも大きな右側の位置となる。
【0030】
また、図6bに示すように、ディスプレイ2の左側にいる助手席のユーザがタッチパネルにタッチする場合、左側より助手席のユーザの腕がタッチ位置に向かう方向に延びてくるため、この腕による反射光の影響により、接近検出コントローラ32で算出される接近位置Gxは、タッチパネルで検出されるタッチ位置の水平方向の座標Txよりも小さな左側の位置となる。
【0031】
ここで、図7a、b、cは、以上のタッチ応答処理において、タッチ位置の水平方向の座標Txに対して、タッチの操作者として運転席のユーザが設定される接近位置Gxの範囲と、タッチの操作者として助手席のユーザが設定される接近位置Gxの範囲を示したものである。なお、図中のXminはタッチ位置の水平方向の座標Txの最小値を、Xmaxはタッチ位置の水平方向の座標Txの最大値を示す。ここで、本実施形態では、Xmin=0とする。
【0032】
図示するように、タッチ位置の水平方向の座標TxよりもTh1以上右側に離れた位置に接近位置Gxがあるときにタッチの操作者として運転席のユーザが設定され、タッチ位置の水平方向の座標TxよりもTh1以上左側に離れた位置に接近位置Gxがあるときにタッチの操作者として助手席のユーザが設定される。
【0033】
よって、以上に示したタッチ応答処理によって、タッチ位置にタッチした真の操作者を正しく設定することができる。
以上、本発明の第1実施形態について説明した。
このように、本第1実施形態では、接近検出装置3を用いて算定した接近位置Gxと、タッチパネルが検出したタッチ位置の座標Txとの比較によりタッチパネルを操作したユーザが前記ディスプレイ2の左側に位置するユーザであるか右側に位置するユーザであるかを判別する。
また、接近検出装置4において、ディスプレイ2の表示面の前方に向けて出射した不可視光の反射光の強度分布から算定される接近位置Gxは、タッチ操作するユーザが位置する側から表示面の前方に伸ばされた腕における反射の影響によるタッチ位置の座標Txからの、タッチ操作するユーザ方向へのずれが含まれたものとなる。
よって、本第1実施形態によれば、ユーザのタッチパネルをタッチする指の向きなどのタッチの態様に関わらずに、タッチ操作したユーザを良好に判別することができる。
【0034】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本第2実施形態は、タッチの操作者の設定に関わる動作のみが第1実施形態と異なる。
図8aに示すように、ユーザがディスプレイ2の表示面に対して垂直となる方向に近い方向から腕を伸ばしてタッチパネルにタッチする場合、ディスプレイ2の表示面に近い位置にある手や指から接近検出センサ31に到来する反射光の強度に対する、腕から接近検出センサ31に到来する反射光の強度の比が小さくなるために、図8bに示すようにユーザがディスプレイ2の表示面に対して斜めに腕を伸ばしてタッチパネルにタッチする場合に比べ、接近位置Gxとしてタッチ位置の水平方向の座標Txに近い位置が算出されることになる。
【0035】
したがって、ユーザがディスプレイ2の表示面に対して垂直な方向に近い方向から腕を伸ばしてタッチパネルにタッチした場合には、第1実施形態で示したタッチ応答処理では、タッチの操作者として運転席のユーザや助手席のユーザを設定できずに、不明ユーザとして設定されてしまう恐れがある。
【0036】
そこで、本第2実施形態では、ディスプレイ2の表示面に近い位置にある手や指の反射光の影響が、腕の反射光の影響に比して小さくなるように求めた評価値、すなわち、ユーザがディスプレイ2の表示面に対して垂直な方向に近い方向から腕を伸ばしてタッチパネルにタッチした場合にも、タッチ位置の水平方向の座標Txと比較的大きな差がでる評価値を用いてタッチの操作者の設定を行う。
【0037】
ここで、ディスプレイ2の表示面に近い位置にある手や指の反射光は、より大きな強度の反射光として接近検出センサ31で検出されるので、このような評価値としては、強度の大小関係が維持される範囲内において、より強度の大きな反射光の影響がより小さくなるように評価値を求めればよい。
【0038】
より具体的には、このような評価値としては、接近検出センサ31で検出した強度信号L1、L2、L3、L4を、大小関係が維持される範囲内において、より大きな値であるほど大きな割合で減少させた強度信号L1'、L2'、L3'、L4'の式2で求まる重心G2xを用いることができる。
式2:G2x=(X1×L1'+X2×L2'+X3×L3'+X4×L4')/(L1'+L2'+L3'+L4')
また、強度信号L1'、L2'、L3'、L4'としては、たとえば、
L1'=L11/2、L2'=L21/2、L3'=L31/2、L4'=L41/2
や、
L1'=log(L1)、L2'=log(L2)、L3'=log(L3)、L4'=log(L4)、
を用いることができる。
【0039】
ただし、強度信号L1'、L2'、L3'、L4'は、Li>Ljとして、Li'>Lj'かつLi'/Li<Lj'/Ljが満たさせるものであれば、他の計算法によって求めてもよい。
さて、本第2実施形態では、検出制御部323は、評価値G2xを算出し、データ処理装置1に提供する。
また、データ処理装置1は、図5に示したタッチ応答処理のステップ504において、接近位置Gxに代えて、評価値G2xを接近検出コントローラ32から取得する。
また、ステップ506において、G2x>Tx+Th1が満たされているか判定し、G2x>Tx+Th1が満たされていれば、ステップ514においてタッチの操作者として運転席のユーザを設定する。また、ステップ508において、G2x<Tx-Th1が満たされているか判定し、G2x<Tx-Th1が満たされていれば、ステップ512においてタッチの操作者として助手席のユーザを設定する。また、G2x>Tx+Th1もG2x<Tx-Th1も満たされていなければ、ステップ510において、タッチの操作者として不明ユーザを設定する。
【0040】
このようにすることにより、ユーザがディスプレイ2の表示面に対して垂直な方向に近い方向から腕を伸ばしてタッチパネルにタッチした場合を含め、タッチの操作者として正しいユーザを設定することができる。
以上、本発明の第2実施形態について説明した。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
第3実施形態は、タッチ応答処理の内容のみが第1実施形態と異なる。
図9に、本第3実施形態で行うタッチ応答処理の手順を示す。
図示するように、このタッチ応答処理では、まず、タッチパネルからタッチ位置(Tx、Ty)を取得する(ステップ902)。
また、接近検出コントローラ32が算出している接近位置Gxを取得する(ステップ904)。
そして、タッチ位置の水平座標Txに応じて、ThDとThPを設定する(ステップ906)。ThDとThPの設定の詳細については後述する。
そして、Gx>Tx+ThDが満たされているか判定する(ステップ908)。
そして、Gx>Tx+ThDが満たされていれば(ステップ908)、タッチの操作者として運転席のユーザを設定する(ステップ916)。
一方、Gx>Tx+ThDが満たされてなければ(ステップ908)、Gx<Tx+ThPが満たされているか判定する(ステップ910)。
そして、Gx<Tx+ThPが満たされていれば(ステップ910)、タッチの操作者として助手席のユーザを設定する(ステップ914)。
一方、Gx<Tx+ThPも満たされていなければ(ステップ910)、タッチの操作者として不明ユーザを設定する(ステップ912)。
そして、タッチ位置(Tx、Ty)と、ステップ912、914、916のいずれかで設定したタッチの操作者に応じた処理を実行する(ステップ918)。そして、ステップ902からの処理に戻る。
ここで、ステップ906において、タッチ位置の水平座標Txに応じて設定するThDとThPについて説明する。
ThDとThPの設定には、タッチ位置の水平方向の座標Txの最小値Xmin=0と最大値Xmaxの間に以下の関係を満たすように予め定めたXLB、XRBを用いる。
Xmin<XLB<Xmid<XRB<Xmax
但し、XmidはXmid=(Xmax+Xmin)/2=Xmax/2で表されるXminとXmaxの中間点(タッチパネルの左右方向中央の座標)とする。
そして、タッチ位置の水平方向の座標Txに応じて、Th1>0、Th2>0、Th3>0、Th2<Th1、Th2<Th3、Th3>Th1として、ThDとThPを以下のように定める。
Xmin≦Tx≦XLBのとき、ThD=Th3、ThP=Th2
XLB<Tx<XRBのとき、ThD=Th1、ThP=-Th1
XRB≦Tx≦Xmaxのとき、ThD=-Th2、ThP=-Th3
ここで、このようにThDとThPを座標Txに応じて定めるのは以下の理由によるものである。
【0041】
図10aに示すように、助手席のユーザがタッチパネルのディスプレイ2の左端に近い位置をタッチする場合、接近検出センサ31に到来する助手席のユーザの腕による反射光が少なくなり、接近検出センサ31に到来する反射光が手や指による反射光の検出が支配的となるため、タッチ位置の水平方向の座標Tx周辺の位置が接近位置Gxとして算出されるようになる。
【0042】
一方、図10bに示すように、運転席のユーザがタッチパネルのディスプレイ2の左端に近い位置をタッチする場合、運転席のユーザの腕による反射光が広い範囲で発生し、接近検出センサ31に到来する腕による反射光が多くなるため、接近位置Gxとして、タッチ位置の水平方向の座標Txより大きく右にずれた位置が算出されるようになる。
【0043】
タッチパネルのディスプレイ2の右端に近い位置にタッチが発生した場合も同様であり、運転席のユーザのタッチである場合には、接近検出センサ31に到来する運転席のユーザの腕による反射光が少なくなり、接近検出センサ31に到来する反射光が手や指による反射光の検出が支配的となるため、タッチ位置の水平方向の座標Tx周辺の位置が接近位置Gxとして算出されるようになり、助手席のユーザのタッチである場合には、助手席のユーザの腕による反射光が広い範囲で発生し、接近検出センサ31に到来する腕による反射光が多くなるため、接近位置Gxとして、タッチ位置の水平方向の座標Txより大きく左にずれた位置が算出されるようになる。
【0044】
このため、第1実施形態で示したタッチ応答処理では、ディスプレイ2の左端に近い位置や右端に近い位置がタッチされた場合、タッチの操作者として真のユーザを設定できなくなる恐れがある。
一方、本第3実施形態において、上述のようにThDとThPを座標Txに応じて定め、Gx>Tx+ThDが満たされているときに、タッチの操作者として運転席のユーザを設定し、Gx<Tx+ThPが満たされているときにタッチの操作者として助手席のユーザを設定することにより、図11a、b、cに例示するように、タッチ位置の水平方向の座標Txに対して、タッチの操作者として運転席のユーザが設定される接近位置Gxの範囲と、タッチの操作者として助手席のユーザが設定される接近位置Gxの範囲が設定される。
【0045】
図11bに示すように、タッチ位置の水平方向の座標Txがディスプレイ2の左端に近い位置である場合(XLB以下の座標範囲内の位置である場合)には、座標Tx周辺の位置とその左側の範囲内の位置が接近位置Gxとして算出されたときに、タッチの操作者として助手席のユーザが設定され、座標Txから右側に比較的に離れた位置が接近位置Gxとして算出されたときに、タッチの操作者として運転席のユーザが設定される。
【0046】
また、図11cに示すように、タッチ位置の水平方向の座標Txがディスプレイ2の右端に近い位置である場合(XRB以上の座標範囲内の位置である場合)には、座標Tx周辺の位置とその右側の範囲内の位置が接近位置Gxとして算出されたときに、タッチの操作者として運転席のユーザが設定され、座標Txから左側に比較的に離れた位置が接近位置Gxとして算出されたときに、タッチの操作者として助手席のユーザが設定される。
【0047】
また、タッチ位置の水平方向の座標Txがディスプレイ2の左端に近い位置でも右端に近い位置でもない場合には、図11aに示すように、第1実施形態と同様にタッチの操作者が設定される。
よって、本第3実施形態によれば、タッチパネルのディスプレイ2の左端に近い位置や右端に近い位置にタッチが発生した場合を含め、タッチの操作者として正しいユーザを設定することができる。
以上、本発明の第3実施形態について説明した。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
第4実施形態は、ThDとThPの設定法のみが第3実施形態と異なる。
本第4実施形態では、タッチ位置の水平方向の座標Txが、Xmin=0からXmaxに変化するにつれて、ThDがTh3、Th1、-Th2と漸次的に変化し、ThPがTh2、-Th1、-Th3と漸次的に変化するように、ThDとThPを設定する。
このような設定は、たとえば、座標TxがXminとXmidの間にあるときに、
ThD=Th3+(Th1-Th3)Tx/Xmid、
ThP=Th2+(-Th1-Th2)Tx/Xmidとし、
座標TxがXmidとXmaxとの間にあるときに、
ThD=Th1+(-Th2-Th1)(Tx-Xmid)/Xmid、
ThP=-Th1+(-Th3+Th1)(Tx-Xmid)/Xmidとすること等より実現できる。
【0048】
または、タッチ位置の水平方向の座標Txが、Xmin=0からXmaxに変化するにつれて、ThDがTh3から-Th2と漸次的に変化し、ThPがTh2から-Th3と漸次的に変化するように、ThDとThPを設定するようにする。
このような設定は、たとえば、
ThD=Th3+(-Th2-Th3)Tx/Xmax、
ThP=Th2+(-Th3-Th2)Tx/Xmaxと
とすること等より実現できる。
【0049】
これらのように、ThDとThPを設定しても、第3実施形態と同様に、タッチパネルのディスプレイ2の左端に近い位置や右端に近い位置にタッチが発生した場合を含め、タッチの操作者として正しいユーザを設定することができる。
以上、本発明の実施形態について説明した。
なお、以上の第3実施形態、第4実施形態は、タッチ応答処理において、接近位置Gxに代えて第2実施形態で示した評価値G2xを用いるようにしてよい。
【符号の説明】
【0050】
1…データ処理装置、2…ディスプレイ、3…接近検出装置、4…周辺装置、10…ディスプレイユニット、31…接近検出センサ、32…接近検出コントローラ、321…駆動部、322…検出部、323…検出制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12