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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001706
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】導電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20241226BHJP
   H01M 50/519 20210101ALI20241226BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20241226BHJP
   H01M 50/59 20210101ALI20241226BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20241226BHJP
   H01M 50/505 20210101ALI20241226BHJP
【FI】
H01M50/204 401D
H01M50/519
H01M50/588
H01M50/59
H01M50/284
H01M50/505
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101336
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】松島 知宏
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AA27
5H040AS04
5H040AS07
5H040AT06
5H040AY06
5H040DD03
5H040DD10
5H040NN03
5H043AA13
5H043AA17
5H043AA19
5H043BA11
5H043CA05
5H043FA04
5H043FA32
5H043JA02F
(57)【要約】
【課題】簡素なバスバ形状でサーミスタの測温精度を向上させること。
【解決手段】配線部品20は、電池セルBCの外壁面に接触させる電池接触面22aが設けられた分岐体22を有し、バスバ10は、分岐体の第1回路導体23に接続される回路接続体12を有し、回路接続体は、貫通孔12bと、孔周縁部12cに設け、分岐体の実装面22bの第1回路導体に接続させる回路接続部12aと、を有し、サーミスタ30は、分岐体の実装面を底面とする貫通孔の中で分岐体の第2回路導体24に接続され、かつ、貫通孔の中に充填された熱伝導率が空気よりも高い絶縁性の封止部材40で孔周縁部との絶縁距離を保つこと。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが配列された電池モジュールの1つ又は一対の前記電池セルに対して接続されるバスバと、
前記電池セルの電池状態を監視する電池監視ユニットに対して電気接続される複数の回路導体を内包し、可撓性を持たせて平たく形成された配線部品と、
前記電池セルの温度を検出するサーミスタと、
を備え、
前記配線部品は、配線主体と、複数の前記バスバ毎に前記配線主体から分岐させ、かつ、前記電池セルの外壁面に接触させ又は前記電池セルの外壁面に接触させた伝熱部品に接触させる電池接触面が設けられた分岐体と、を有し、
前記バスバは、前記電池セルの電極端子に対して物理的且つ電気的に接続されるバスバ本体と、複数の前記回路導体の内の第1回路導体に対して物理的且つ電気的に接続される回路接続体と、を有し、
前記回路接続体は、貫通孔と、前記貫通孔の孔周縁部に設け、前記分岐体における前記電池接触面とは逆側の実装面の前記第1回路導体に対して物理的且つ電気的に接続させる回路接続部と、を有し、
前記サーミスタは、前記分岐体の前記実装面を底面とする前記貫通孔の中で複数の前記回路導体の内の第2回路導体に対して物理的且つ電気的に接続され、かつ、前記貫通孔の中に充填された熱伝導率が空気よりも高い絶縁性の封止部材で前記孔周縁部との絶縁距離を保つことを特徴とした導電モジュール。
【請求項2】
前記サーミスタは、前記貫通孔の中央よりも前記孔周縁部に寄せて配置されることを特徴とした請求項1に記載の導電モジュール。
【請求項3】
前記サーミスタとは別の電子部品を前記貫通孔の中に備えることを特徴とした請求項1又は2に記載の導電モジュール。
【請求項4】
前記第1回路導体と前記第2回路導体は、前記分岐体にて互いに同じ方向に向けて延在させ、
前記電子部品と前記サーミスタは、各々、長手方向の一端と他端とに電気接続部を有し、
前記電子部品は、前記分岐体にて分断させた前記第1回路導体における前記電池監視ユニット側の第1接点と前記バスバ側の第2接点に対して、一端の前記電気接続部と他端の前記電気接続部をそれぞれに物理的且つ電気的に接続させ、
前記サーミスタは、前記分岐体にて分断させた前記第2回路導体における一方の第1接点と他方の第2接点に対して、一端の前記電気接続部と他端の前記電気接続部をそれぞれに物理的且つ電気的に接続させることを特徴とした請求項3に記載の導電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
導電モジュールは、複数の電池セルが配列された電池モジュールと電池セルの電池状態を監視する電池監視ユニットとの間を電気的に接続させる配線モジュールである。この導電モジュールは、その電池モジュールの1つ又は一対の電池セルに対して接続されるバスバと、電池監視ユニットに対して電気接続される複数の回路導体を内包する配線部品と、電池セルの温度を検出するサーミスタと、を備える。バスバは、電池セルの電極端子に対して物理的且つ電気的に接続されるバスバ本体と、配線部品の第1回路導体に対して物理的且つ電気的に接続される回路接続体と、サーミスタを貫通孔の中に配置して囲う集熱体と、を有する。その回路接続体と集熱体は、バスバ本体に対して突出状態で設けられている。サーミスタは、配線部品の第2回路導体に対して物理的且つ電気的に接続される。この種の導電モジュールについては、例えば、下記の特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/005999号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のバスバは、バスバ本体及び集熱体が設けられた本体部材と回路接続体を成す連結部材の2部品構成になっており、更に、本体部材にて集熱体をバスバ本体から突出させている。このため、従来の導電モジュールにおいては、バスバの形状を簡素なものへと変えてサーミスタの測温精度を上げる余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、簡素なバスバ形状でサーミスタの測温精度を向上させ得る導電モジュールを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の電池セルが配列された電池モジュールの1つ又は一対の前記電池セルに対して接続されるバスバと、前記電池セルの電池状態を監視する電池監視ユニットに対して電気接続される複数の回路導体を内包し、可撓性を持たせて平たく形成された配線部品と、前記電池セルの温度を検出するサーミスタと、を備え、前記配線部品は、配線主体と、複数の前記バスバ毎に前記配線主体から分岐させ、かつ、前記電池セルの外壁面に接触させ又は前記電池セルの外壁面との間に介在させた伝熱部品に接触させる電池接触面が設けられた分岐体と、を有し、前記バスバは、前記電池セルの電極端子に対して物理的且つ電気的に接続されるバスバ本体と、複数の前記回路導体の内の第1回路導体に対して物理的且つ電気的に接続される回路接続体と、を有し、前記回路接続体は、貫通孔と、前記貫通孔の孔周縁部に設け、前記分岐体における前記電池接触面とは逆側の実装面の前記第1回路導体に対して物理的且つ電気的に接続させる回路接続部と、を有し、前記サーミスタは、前記分岐体の前記実装面を底面とする前記貫通孔の中で複数の前記回路導体の内の第2回路導体に対して物理的且つ電気的に接続され、かつ、前記貫通孔の中に充填された熱伝導率が空気よりも高い絶縁性の封止部材で前記孔周縁部との絶縁距離を保つことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る導電モジュールは、分岐体を電池セルの外壁面に接触させ、この分岐体の第1回路導体に対して物理的且つ電気的に接続される回路接続体の貫通孔の中にサーミスタを配置し、このサーミスタを分岐体の第2回路導体に対して物理的且つ電気的に接続させる。従って、本発明に係る導電モジュールは、簡素なバスバ形状でサーミスタの測温精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の導電モジュールの一部を抜き出して示す斜視図である。
図2図2は、実施形態のバスバを示す斜視図である。
図3図3は、実施形態の配線部品の一部を抜き出して示す斜視図である。
図4図4は、実施形態のサーミスタと電子部品を配線部品と共に示す斜視図である。
図5図5は、変形例の導電モジュールの一部を抜き出して示す斜視図である。
図6図6は、変形例のバスバを示す斜視図である。
図7図7は、変形例の伝熱部品を示す斜視図である。
図8図8は、変形例の伝熱部材を示す斜視図である。
図9図9は、変形例の集熱部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る導電モジュールの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
[実施形態]
本発明に係る導電モジュールの実施形態の1つを図1から図4に基づいて説明する。
【0011】
図1の符号1は、本実施形態の導電モジュールを示す。この導電モジュール1は、複数の電池セルBCが配列された(例えば、1列に配列された)電池モジュールBMに組み付け、この電池モジュールBMを例えば電池監視ユニット(図示略)に電気接続させることによって、その電池監視ユニットに電池セルBCの電池状態を監視させる。この導電モジュール1は、電池モジュールBMと共に電池パックBPを構成する(図1)。電池パックBPとは、例えば、回転機を駆動源として備える車両(BEV:Battery Electric Vehicle、HEV:Hybrid Electric Vehicle等)に搭載されるものであり、その回転機に対する給電等に供される。
【0012】
電池セルBCは、セル本体BC1と正負それぞれの電極端子BC2とを備える(図1)。ここで示す電池セルBCは、セル本体BC1が6つの外壁面を持つ方体状に形成されており、このセル本体BC1の6つの外壁面の内の1つに正負それぞれの電極端子BC2を設けている。そして、電池モジュールBMを成す複数の電池セルBCにおいては、その配列方向で隣り合うセル本体BC1が1つの外壁面同士を向かい合わせにして配置される。よって、ここで示す電池セルBCにおいては、複数の電池セルBCの配列方向に沿う4つの外壁面の内の1つに正負それぞれの電極端子BC2が設けられている。そのセル本体BC1の1つの外壁面においては、複数の電池セルBCの配列方向に対する直交方向の一端に正極となる電極端子BC2が配置され、その直交方向の他端に負極となる電極端子BC2が配置されている。
【0013】
正負それぞれの電極端子BC2は、例えば、そのセル本体BC1の1つの外壁面に設けた板状又は方体状のものであってよく、そのセル本体BC1の1つの外壁面から突出させた柱状の極柱であってもよい。板状又は方体状の電極端子BC2の場合には、その電極端子BC2に対して、後述するバスバを溶接等で物理的且つ電気的に接続させる。また、極柱形状の電極端子BC2の場合には、その電極端子BC2に雄螺子部が設けられているので、後述するバスバの貫通孔に電極端子BC2を挿通させ、その電極端子BC2の雄螺子部に雌螺子部材(図示略)を螺合して、この電極端子BC2に後述するバスバを物理的且つ電気的に接続させる。ここでは、極柱形状の電極端子BC2を例に挙げている。
【0014】
電池モジュールBMにおいては、複数の電池セルBCにおける一方の電極端子BC2と他方の電極端子BC2とがそれぞれ複数の電池セルBCの配列方向に並べられている。この電池モジュールBMにおいては、その配列方向で隣り合う一対の一方の電極端子BC2が当該一対の一方の電極端子BC2毎に後述するバスバで電気的に接続される。また、この電池モジュールBMにおいては、その配列方向で隣り合う一対の他方の電極端子BC2が当該一対の他方の電極端子BC2毎に後述するバスバで電気的に接続される。配列方向で隣り合う一対の電極端子BC2は、その内の一方が正極で且つその内の他方が負極であってもよく、その双方が正極又は負極であってもよい。ここでは、配列方向で隣り合う一対の電極端子BC2の内、一方が正極となり且つ他方が負極となるように、複数の電池セルBCが配列されている。この電池モジュールBMにおいては、総正極となる1つの電極端子BC2に後述するバスバが物理的且つ電気的に接続され、かつ、総負極となる1つの電極端子BC2に後述するバスバが物理的且つ電気的に接続される。
【0015】
導電モジュール1は、電池モジュールBMの1つ又は一対の電池セルBCに対して接続されるバスバを備える。このバスバは、金属製の板状の導電部品であり、例えば、金属板を母材してプレス成形される。
【0016】
バスバは、1つの電池セルBCを接続対象にする場合、総正極となる電極端子BC2又は総負極となる電極端子BC2に対して物理的且つ電気的に接続させるものとして成形される。また、バスバの接続対象となる一対の電池セルBCは、複数の電池セルBCの配列方向で隣り合うもの同士であり、その配列方向で隣り合う一対の一方の電極端子BC2と一対の他方の電極端子BC2を備える。よって、このバスバは、一対の電池セルBCを接続対象にする場合、配列方向で隣り合う一対の一方の電極端子BC2に対して物理的且つ電気的にさせ、これにより、この一対の一方の電極端子BC2を電気的にさせるものとして成形される。また、この場合のバスバは、配列方向で隣り合う一対の他方の電極端子BC2に対して物理的且つ電気的にさせ、これにより、この一対の他方の電極端子BC2を電気的にさせるものとして成形される。
【0017】
ここでは、一対の電池セルBCを接続対象にしたバスバ10を代表して例に挙げる(図1及び図2)。導電モジュール1においては、このバスバ10を一対の電極端子BC2の組み合わせ毎に設ける。
【0018】
バスバ10は、電池セルBCの電極端子BC2に対して物理的且つ電気的に接続されるバスバ本体11を有する(図1及び図2)。このバスバ本体11は、2つの電極端子BC2毎の貫通孔11aを有しており(図2)、その一対の電極端子BC2を電極端子BC2毎に貫通孔11aへと挿通させる。バスバ10は、このバスバ本体11が所定位置に設置された状態で、その電極端子BC2の雄螺子部に雌螺子部材を螺合させることによって、それぞれの電極端子BC2にバスバ本体11を物理的且つ電気的に接続させる。
【0019】
導電モジュール1は、その複数のバスバ10を電池監視ユニットに電気接続させることによって、その電池監視ユニットにそれぞれの電池セルBCの電池状態を監視させる。そこで、この導電モジュール1は、電池監視ユニットに対して電気接続される複数の回路導体を内包し、可撓性を持たせて平たく形成された配線部品20を備える(図1及び図3)。
【0020】
ここで示す配線部品20は、フレキシブルプリント回路基板であり、回路導体が導体パターンによって形成されている。この配線部品20は、可撓性を持たせて平たく形成された各種フィルムを絶縁被覆として備えており、この各種フィルムの内の少なくとも1枚に導体パターンが形成されている。その導体パターン(回路導体)は、絶縁被覆によって内包され、例えば、他部品との電気的な接点となる場所を露出させている。
【0021】
配線部品20は、配線主体21と、複数のバスバ10毎に配線主体21から分岐させた分岐体22と、を有する(図1及び図3)。
【0022】
配線主体21は、複数の電池セルBCの配列方向に並ぶ複数の電池セルBCに沿って並走させる。配線部品20においては、この配線主体21に内包させた複数の回路導体の内の第1回路導体23(図3)を電池監視ユニット側に電気接続させる。
【0023】
配線部品20においては、分岐体22に内包させた第1回路導体23をバスバ10に対して物理的且つ電気的に接続させる。分岐体22は、配線主体21から分岐させ、そのバスバ10で電気接続させた一対の電池セルBCの内の一方の外壁面に向けて配線主体21から突出させる。ここでは、その電池セルBCにて、電極端子BC2が配置されている外壁面に向けて分岐体22を突出させる。分岐体22には、その電池セルBCの外壁面に接触させる電池接触面22aが設けられている(図3)。この分岐体22においては、その電池接触面22aを電池セルBCの外壁面に対して直接的に接触させる。
【0024】
バスバ10は、第1回路導体23に対して物理的且つ電気的に接続される回路接続体12を有する(図1及び図2)。この回路接続体12は、バスバ本体11から突出させた位置に配置され、分岐体22に内包させた第1回路導体23に対して物理的且つ電気的に接続させる。この回路接続体12は、分岐体22における電池接触面22aとは逆側の実装面22b(図3)の第1回路導体23に対して物理的且つ電気的に接続させる回路接続部12aを有する(図2)。例えば、この回路接続体12においては、分岐体22の実装面22bで絶縁被覆から露出させた第1回路導体23に対して回路接続部12aを半田付けしている。
【0025】
ここで示すバスバ10においては、バスバ本体11と回路接続体12がそれぞれ平板状に形成されている。回路接続体12は、バスバ本体11に対して、互いの平面同士を平行に保ったままその平面に直交する方向へとオフセットさせ、かつ、その位置で互いの平面に沿う方向へとオフセットさせた位置に配置されている。この回路接続体12は、その位置で分岐体22を電池セルBCの外壁面との間に挟み込んで、その分岐体22の電池接触面22aを電池セルBCの外壁面に対して直接的に接触させる。
【0026】
このバスバ10は、その回路接続体12をバスバ本体11に連結させる連結体13を有している(図1及び図2)。このバスバ10においては、バスバ本体11が電池セルBCの電極端子BC2に固定されているので、その連結体13が回路接続体12を介して分岐体22の電池接触面22aを電池セルBCの外壁面に押し付けることができる。
【0027】
ここで示す連結体13は、平板状に形成されており、その平面をバスバ本体11と回路接続体12のそれぞれの平面に直交する方向に沿わせ、その直交する方向で一端と他端をバスバ本体11の周縁部と回路接続体12の周縁部に各々連結させる。このバスバ10においては、その連結体13がバスバ本体11に対して90度折り曲げられ、この連結体13に対して回路接続体12が90度折り曲げられて、回路接続体12と連結体13をバスバ本体11からクランク形状の如く突出させている。
【0028】
このバスバ10は、バスバ本体11と回路接続体12と連結体13を有する1つの部材として成形されたものであってもよく、バスバ本体11と回路接続体12及び連結体13を有する接続部材(図示略)とがそれぞれに別部材として成形され、このバスバ本体11と接続部材とを溶接等で固定して一体化させるものであってもよい。ここで示すバスバ10は、そのバスバ本体11と回路接続体12と連結体13を有する1つの部材として成形されている。
【0029】
ここで示す回路接続体12は、貫通孔12bを有しており、この貫通孔12bの孔周縁部12cに回路接続部12aを設けている(図1及び図2)。ここでは、回路接続体12に矩形の貫通孔12bと角環状の孔周縁部12cが形成されている。
【0030】
導電モジュール1は、分岐体22を介して電池セルBCの温度を検出するサーミスタ30を備える(図1及び図4)。このサーミスタ30は、例えば、チップサーミスタであり、分岐体22の実装面22bを底面とする貫通孔12bの中で複数の回路導体の内の第2回路導体24(図3)に対して物理的且つ電気的に接続される。
【0031】
ここで、配線部品20においては、第1回路導体23と同じように、配線主体21に内包させた第2回路導体24を電池監視ユニット側に電気接続させる。そして、第1回路導体23と第2回路導体24は、分岐体22にて、配線主体21側から分岐体22の実装面22bへと配索されている。例えば、この第1回路導体23と第2回路導体24は、分岐体22にて、配線主体21側から分岐体22の実装面22bへと直線的に配索されている。孔周縁部12cにおいては、回路接続部12aを実装面22bの第1回路導体23を対向配置させることで、その回路接続部12aを第1回路導体23に対して物理的且つ電気的に接続させる。一方、第2回路導体24は、分岐体22の実装面22bで絶縁被覆から露出させ、孔周縁部12cを跨いで貫通孔12bの中まで配索される。よって、孔周縁部12cには、実装面22bの第2回路導体24との接触を避けるための凹部(図示略)を設けることが望ましい。
【0032】
この導電モジュール1においては、回路接続体12が分岐体22を電池セルBCの外壁面に押し付けて、その分岐体22の電池接触面22aを電池セルBCの外壁面に接触させる。よって、この導電モジュール1においては、電池セルBCの熱を分岐体22が直接受けるので、サーミスタ30による測温精度を上げることができる。また、この導電モジュール1においては、回路接続体12の貫通孔12bの中での熱損失を孔周縁部12cからの熱で抑えることができるので、サーミスタ30による測温精度を上げることができる。
【0033】
ここで、サーミスタ30は、貫通孔12bの中央よりも孔周縁部12cに寄せて配置されることが望ましい。これにより、この導電モジュール1においては、その貫通孔12bの中に設置されているサーミスタ30が孔周縁部12cから多くの熱を受けることができる。よって、この導電モジュール1においては、孔周縁部12cからサーミスタ30までの熱抵抗を低下させることができるので、サーミスタ30による測温精度を上げることができる。
【0034】
サーミスタ30は、一端と他端とに電気接続部31,32を有する(図4)。このサーミスタ30は、分岐体22にて分断させた第2回路導体24における一方の第1接点と他方の第2接点に対して、一端の電気接続部31と他端の電気接続部32をそれぞれに物理的且つ電気的に接続させる。このサーミスタ30においては、第2回路導体24の第1接点に一端の電気接続部31を半田付けし、第2回路導体24の第2接点に他端の電気接続部31を半田付けしている。
【0035】
このサーミスタ30は、貫通孔12bの中に充填された絶縁性の封止部材40で孔周縁部12cとの絶縁距離を保っている(図1)。その封止部材40には、熱伝導率が空気よりも高いものを用いる。よって、この導電モジュール1においては、回路接続体12の貫通孔12bの中での熱損失を封止部材40によっても抑えることができるので、サーミスタ30による測温精度を上げることができる。
【0036】
この導電モジュール1は、更に、サーミスタ30とは別の電子部品50を回路接続体12の貫通孔12bの中に備える(図1及び図4)。その電子部品50とは、例えば、第1回路導体23に流れた過電流を遮断するヒューズ等の回路保護部品、コンデンサやインダクタ等のノイズ対策用の電子部品などである。この電子部品50は、一端と他端とに電気接続部51,52を有する(図4)。この電子部品50は、例えば、分岐体22にて分断させた第1回路導体23における電池監視ユニット側の第1接点とバスバ10側の第2接点に対して、一端の電気接続部51と他端の電気接続部52をそれぞれに物理的且つ電気的に接続させる。この導電モジュール1においては、サーミスタ30と電子部品50を配置した貫通孔12bの中に封止部材40が充填され、硬化した封止部材40によってサーミスタ30と電子部品50が封止される。
【0037】
このように、この導電モジュール1においては、回路接続体12の貫通孔12bの中にサーミスタ30とサーミスタ30とは別の電子部品50が配置されているので、その貫通孔12bの中で実装面22bを底面とする分岐体22に第1回路導体23と第2回路導体24が混在することになる。ここで、配線部品20においては、その第1回路導体23と第2回路導体24が銅等の絶縁被覆よりも熱伝導率の高い金属材料で形成されているので、分岐体22の実装面22b(貫通孔12bの底面)にて第1回路導体23と第2回路導体24が密集することになる。つまり、この導電モジュール1においては、回路接続体12の貫通孔12bの中にサーミスタ30と別の電子部品50を配置することによって、その貫通孔12bの底面に第1回路導体23と第2回路導体24を密集させ、この第1回路導体23と第2回路導体24が電池セルBCから受けた熱をサーミスタ30に伝えることができる。従って、この導電モジュール1においては、回路導体からサーミスタ30への熱抵抗を低下させることができるので、サーミスタ30による測温精度を上げることができる。
【0038】
また、この導電モジュール1においては、回路接続体12の貫通孔12bの中にサーミスタ30と別の電子部品50が配置されているので、体格の小型化が可能であり、かつ、部品点数を削減し得る可能性もある。
【0039】
例えば、第1回路導体23と第2回路導体24は、分岐体22にて互いに同じ方向に向けて延在させる。そして、サーミスタ30は、長手方向の一端と他端とに電気接続部31,32を有する。また、電子部品50は、長手方向の一端と他端とに電気接続部51,52を有する。従って、電子部品50とサーミスタ30は、貫通孔12bの中で互いの長手方向が同じ方向を向くように配置される。
【0040】
この導電モジュール1においては、分岐体22の実装面22b(貫通孔12bの底面)に回路導体を密集させるべく、部品間を導通させない擬似的な回路導体(以下、「疑似回路導体」という。)を分岐体22に設けてもよい(図示略)。分岐体22には、この疑似回路導体と第2回路導体24を設けてもよく、この疑似回路導体と第1回路導体23と第2回路導体24を設けてもよい。
【0041】
以上示したように、本実施形態の導電モジュール1は、分岐体22を電池セルBCの外壁面に接触させ、この分岐体22の第1回路導体23に対して物理的且つ電気的に接続される回路接続体12の貫通孔12bの中にサーミスタ30を配置し、このサーミスタ30を分岐体22の第2回路導体24に対して物理的且つ電気的に接続させる。従って、本実施形態の導電モジュール1は、簡素なバスバ形状でサーミスタ30の測温精度を向上させることができる。例えば、この導電モジュール1は、電池セルBCの測温結果の精度を上げることができるので、その測温結果に基づいた電池セルBCの制御や管理によって、電費を向上させることができる。
【0042】
[変形例]
本変形例の導電モジュール2は、前述した実施形態の導電モジュール1において、バスバ10を下記のバスバ110に置き換え、かつ、分岐体22と電池セルBCとの間に伝熱部品160を介在させたものである(図5)。
【0043】
本変形例のバスバ110は、実施形態のバスバ10と同じように、電池セルBCの電極端子BC2に対して物理的且つ電気的に接続されるバスバ本体111と、第1回路導体23に対して物理的且つ電気的に接続される回路接続体112と、を有する(図5及び図6)。そして、その回路接続体112は、実施形態の回路接続体12と同じように、分岐体22の実装面22bの第1回路導体23に対して物理的且つ電気的に接続させる回路接続部112aと、貫通孔112bと、を有しており、その貫通孔112bの孔周縁部112cに回路接続部112aを設けている(図5及び図6)。
【0044】
但し、本変形例のバスバ110は、実施形態のバスバ10と同じようにバスバ本体111と回路接続体112が平板状に形成されているが、このバスバ本体111と回路接続体112が同一平面上に配置されている。つまり、本変形例のバスバ110は、回路接続体112をバスバ本体111から同一平面上で突出させた1つの部材として成形されている。尚、本変形例のバスバ110は、バスバ本体111と回路接続体112が同一平面上に配置されなくなることもあるが、そのバスバ本体111と回路接続体112とがそれぞれに別部材として成形され、このバスバ本体111と回路接続体112とを溶接等で固定して一体化させるものであってもよい。
【0045】
伝熱部品160は、分岐体22と電池セルBCとの間に介在させ、その分岐体22の電池接触面22aと電池セルBCの外壁面とにそれぞれ接触させる。
【0046】
この伝熱部品160は、熱伝導率が空気よりも高く、かつ、分岐体22の電池接触面22aと電池セルBCの外壁面との間に配置して電池セルBCの外壁面の熱を分岐体22に伝える伝熱部材161を備える(図5図7及び図8)。
【0047】
この伝熱部材161は、分岐体22の電池接触面22aに接触させることによって、分岐体22の電池接触面22aへの伝熱効率を高める。また、この伝熱部材161は、電池セルBCの外壁面に接触させることによって又は電池セルBCの外壁面に接触させた介在部材(後述する集熱部材162)に接触させることによって、電池セルBCの外壁面からの伝熱効率を高める。そして、この伝熱部材161は、分岐体22の電池接触面22aとの密着性を上げ、かつ、電池セルBCの外壁面又は介在部材との密着性を上げるために、弾性を持たせた部材として成形される。この伝熱部材161は、回路接続体112と電池セルBCの間又は回路接続体112と介在部材の間で弾発力を発生させ、その弾発力を回路接続体112に対して分岐体22を介して間接的に受けさせると共に、その弾発力を電池セルBCの外壁面又は介在部材に対して直接的に受けさせる。
【0048】
ここで示す伝熱部材161は、合成ゴムや合成樹脂等の高分子材料によって、空気よりも熱伝導率の高い弾性を持たせた方体形状に成形されている。この伝熱部材161は、6つの外壁面の内の1つ(第1外壁面161a)を分岐体22の電池接触面22aに密着させ、その内の別の1つ(第2外壁面161b)を介在部材(後述する集熱部材162)に密着させる(図8)。
【0049】
伝熱部品160は、この伝熱部材161を収容して分岐体22と電池セルBCとの間での伝熱部材161の位置ずれを抑制し、かつ、熱伝導率が空気よりも高く、かつ、電池セルBCの外壁面の熱を受けつつ自身の周囲の熱を集める集熱部材162を備える(図5図7及び図9)。この集熱部材162は、例えば、金属板を母材してプレス成形される。
【0050】
ここで示す集熱部材162は、伝熱部材161と電池セルBCの外壁面との間で伝熱部材161に対して直接的に接触させ且つ電池セルBCの外壁面に対して直接的に接触させる底部162aと、この底部162aから分岐体22側へと立ち上げ、分岐体22と底部162aとの間で伝熱部材161を周囲から囲う側壁部162bと、を有する(図7及び図9)。この集熱部材162においては、底部162aが矩形の平板状に形成され、この底部162aの4つの辺部から矩形の平板状の側壁部162bを各々垂設させている。
【0051】
更に、ここで示す集熱部材162は、回路接続体112を係止し、底部162aと回路接続体112との間で伝熱部材161に弾発力を発生させる係止部162cを複数有する(図7及び図9)。この集熱部材162においては、回路接続体112における分岐体22側とは逆側を複数の係止部162cで係止する。ここで示す係止部162cは、伝熱部材161を間に置いて対向配置された2つの側壁部162bからそれぞれに2つずつ突出させる。そして、ここで示す係止部162cは、V字形状に折り曲げられた片持ちの片部として形成され、その自由端で回路接続体112の孔周縁部112cを係止する。
【0052】
この集熱部材162においては、その複数の係止部162cと底部162aの間で伝熱部材161を弾性変形させ、その伝熱部材161に弾発力を発生させることによって、その弾発力を回路接続体112と底部162aに作用させる。この伝熱部材161の弾発力は、分岐体22を介して回路接続体112が受けると共に、集熱部材162の底部162aが受ける。よって、この集熱部材162は、底部162aを電池セルBCの外壁面に接触させ、かつ、回路接続体112及び分岐体22と底部162aとの間で伝熱部材161に弾発力を発生させた状態で、係止部162cをV字形状に折り曲げて回路接続体112に加締め圧着させることによって、この係止部162cに回路接続体112を係止させる。
【0053】
この伝熱部品160においては、電池セルBCの熱が外壁面から集熱部材162の底部162aに伝わり、その熱を底部162aから伝熱部材161を介して分岐体22に伝えることができる。更に、その集熱部材162においては、底部162aが電池セルBCの外壁面から受けた熱が側壁部162bに伝わる一方、その側壁部162bが周りの熱を集熱して、伝熱部材161の温度低下を抑えることができる。従って、この導電モジュール2においては、その伝熱部品160における電池セルBCから分岐体22までの熱抵抗を低下させることができるので、サーミスタ30による測温精度を上げることができる。
【0054】
以上示したように、本変形例の導電モジュール2は、回路接続体112及び分岐体22と電池セルBCとの間に、分岐体22の電池接触面22aに接触させた熱伝導率が空気よりも高い伝熱部材161と、電池セルBCの外壁面と伝熱部材161に接触させた熱伝導率が空気よりも高い集熱部材162と、を介在させている。本変形例の導電モジュール1は、その伝熱部材161と集熱部材162を介して電池セルBCの外壁面の熱を分岐体22に伝えるので、その分岐体22に接続したサーミスタ30の測温精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0055】
1,2 導電モジュール
10,110 バスバ
11,111 バスバ本体
12,112 回路接続体
12a,112a 回路接続部
12b,112b 貫通孔
12c,112c 孔周縁部
20 配線部品
21 配線主体
22 分岐体
22a 電池接触面
22b 実装面
23 第1回路導体
24 第2回路導体
30 サーミスタ
31 一端の電気接続部
32 他端の電気接続部
40 封止部材
50 電子部品
51 一端の電気接続部
52 他端の電気接続部
160 伝熱部品
BC 電池セル
BC2 電極端子
BM 電池モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9