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特開2025-17069電動弁監視システム、監視サーバ、および電動弁
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017069
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】電動弁監視システム、監視サーバ、および電動弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 37/00 20060101AFI20250129BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20250129BHJP
   F16K 31/04 20060101ALI20250129BHJP
   G01M 13/003 20190101ALI20250129BHJP
【FI】
F16K37/00 F
G05D1/02 P
F16K31/04 Z
G01M13/003
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119946
(22)【出願日】2023-07-24
(71)【出願人】
【識別番号】591136838
【氏名又は名称】株式会社カワデン
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金高 浩春
(72)【発明者】
【氏名】田中 丈二
(72)【発明者】
【氏名】松永 均
【テーマコード(参考)】
2G024
3H062
3H065
5H301
【Fターム(参考)】
2G024AA15
2G024BA12
2G024CA17
2G024CA18
2G024CA19
2G024CA30
2G024FA06
2G024FA15
3H062AA02
3H062BB04
3H062CC23
3H062EE07
3H065AA02
3H065BB03
3H065CA06
5H301AA01
5H301AA10
5H301BB05
5H301BB10
5H301BB11
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC04
5H301CC06
5H301CC07
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD15
5H301KK03
5H301QQ02
(57)【要約】
【課題】電動弁の動作状況を容易に監視できる電動弁監視システムを提供する。
【解決手段】電動弁Vは、動作状況データを収集してメモリに蓄積する動作状況データ収集ユニットと、メモリに蓄積した動作状況データをネットワークNに送出する通信ユニットを含む。電動弁監視システム100は、電動弁VからネットワークNに送出される動作状況データを取得して蓄積し、蓄積した動作状況データをクライアントCに提供する監視サーバSを含む。監視サーバSは、動作状況データに基づいて警報を発生すべき動作状況かどうかを判断し、警報を発生すべき動作状況であると判断すると、警報を通知する機能を有していてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路を開閉する弁体を電動アクチュエータで駆動する電動弁の動作状況を監視するための電動弁監視システムであって、
前記電動弁に備えられ、前記電動弁の動作状況データを収集してメモリに蓄積する動作状況データ収集ユニットと、
前記電動弁に備えられ、前記動作状況データ収集ユニットが収集して前記メモリに蓄積した動作状況データをネットワークに送出する通信ユニットと、
前記通信ユニットが前記ネットワークに送出する動作状況データを前記ネットワークを介して取得して蓄積し、蓄積した前記動作状況データをクライアントに提供する監視サーバと、を含む、電動弁監視システム。
【請求項2】
前記監視サーバは、前記動作状況データに基づいて警報を発生すべき動作状況かどうかを判断する判断ユニットと、前記判断ユニットによって警報を発生すべき動作状況であると判断されると、警報を通知する通知ユニットと、を含む、請求項1に記載の電動弁監視システム。
【請求項3】
前記監視サーバは、前記動作状況データを表示するウェブページを提供し、前記通知ユニットは、前記ウェブページに警報を表示する警報表示ユニットを含む、請求項2に記載の電動弁監視システム。
【請求項4】
前記通知ユニットは、予め登録されたアドレスにメッセージを送信するメッセージ送信ユニットを含む、請求項2に記載の電動弁監視システム。
【請求項5】
前記動作状況データは、前記電動弁への電源投入回数、前記電動弁の動作回数、前記電動アクチュエータの作動履歴、前記電動弁の環境、前記電動弁に内蔵された蓄電装置の劣化状況、およびエラー検出履歴のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の電動弁監視システム。
【請求項6】
前記通信ユニットは、無線通信によって前記ネットワークに前記動作状況データを送信する無線通信機を含む、請求項1に記載の電動弁監視システム。
【請求項7】
前記通信ユニットは、予め定める定期送信周期で前記動作状況データを前記ネットワークに送出する、請求項1に記載の電動弁監視システム。
【請求項8】
前記監視サーバは、前記動作状況データを表示するウェブページを提供し、
前記クライアントは、前記ウェブページを閲覧可能なウェブブラウザを備える、請求項1に記載の電動弁監視システム。
【請求項9】
前記クライアントは、PCおよびモバイル端末のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の電動弁監視システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の電動弁監視システムにおいて用いられる前記監視サーバ。
【請求項11】
流路を開閉する弁体と、
前記弁体を駆動する電動アクチュエータと、
動作状況データを収集してメモリに蓄積する動作状況データ収集ユニットと、
前記動作状況データ収集ユニットが収集して前記メモリに蓄積された動作状況データをネットワークを介して監視サーバに送信する通信ユニットと、を含む、電動弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動弁監視システムおよびそのための監視サーバ、ならびに電動弁監視システムによる監視に適した電動弁に関する。
【背景技術】
【0002】
電動弁は、流路を開閉する弁体と、弁体を駆動する電動アクチュエータとを含む。特許文献1は、停電時の緊急作動を確保するためのバックアップ電源として電気二重層キャパシタを備えた電動弁を開示している。特許文献1には、電気二重層キャパシタの寿命診断が記されている。一つの具体例では、定期点検に際して診断スイッチを操作することで、放電回路が作動して電気二重層キャパシタが放電され、所定時間の放電の後の電圧が基準電圧を下回ると、LED(発光ダイオード)の継続点等によって、電気二重層キャパシタの寿命が報知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-173385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
定期点検の際の電動弁の点検項目は上記の限りではないが、電動弁の点検に際しては、点検作業者が電動弁の設置箇所に行って動作状況を確認しているのが現状である。したがって、多大な労力および時間を要する。
【0005】
そこで、この発明の一実施形態は、電動弁の動作状況を容易に監視できる電動弁監視システムを提供する。また、この発明の一実施形態は、前記電動弁監視システムのための監視サーバを提供する。さらに、この発明の一実施形態は、前記電動弁監視システムによる監視に適した電動弁を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一実施形態は、次に列記する構成を有する電動弁監視システム、監視サーバおよび電動弁を提供する。
【0007】
1.流路を開閉する弁体を電動アクチュエータで駆動する電動弁の動作状況を監視するための電動弁監視システムであって、
前記電動弁に備えられ、前記電動弁の動作状況データを収集してメモリに蓄積する動作状況データ収集ユニットと、
前記電動弁に備えられ、前記動作状況データ収集ユニットが収集して前記メモリに蓄積した動作状況データをネットワークに送出する通信ユニットと、
前記通信ユニットが前記ネットワークに送出する動作状況データを前記ネットワークを介して取得して蓄積し、蓄積した前記動作状況データをクライアントに提供する監視サーバと、を含む、電動弁監視システム。
【0008】
前記ネットワークは、インターネット、イントラネット等のワイドエリアネットワークであってもよく、ローカルエリアネットワークであってもよい。また、ネットワークは、ローカルエリアネットワークおよびワイドエリアネットワークの両方を含んでいてもよい。
【0009】
前記通信ユニットは、無線通信(典型的には無線LAN通信等の近距離無線通信)によって前記ネットワークに接続されていてもよい。前記通信ユニットは、ローカルエリアネットワークを介してワイドエリアネットワークで構成された前記ネットワークに接続されていてもよい。
【0010】
2.前記監視サーバは、前記動作状況データに基づいて警報を発生すべき動作状況かどうかを判断する判断ユニットと、前記判断ユニットによって警報を発生すべき動作状況であると判断されると、警報を通知する通知ユニットと、を含む、項1に記載の電動弁監視システム。
【0011】
3.前記監視サーバは、前記動作状況データを表示するウェブページを提供し、前記通知ユニットは、前記ウェブページに警報を表示する警報表示ユニットを含む、項2に記載の電動弁監視システム。
【0012】
4.前記通知ユニットは、予め登録されたアドレスにメッセージを送信するメッセージ送信ユニットを含む、項2または3に記載の電動弁監視システム。
【0013】
前記メッセージ送信ユニットは、電子メールアドレスに電子メールを前記メッセージとして送信する電子メール送信ユニットを含んでいてもよい。
【0014】
5.前記動作状況データは、前記電動弁への電源投入回数、前記電動弁の動作回数、前記電動アクチュエータの作動履歴、前記電動弁の環境、前記電動弁に内蔵された蓄電装置の劣化状況、およびエラー検出履歴のうちの少なくとも一つを含む、項1~4のいずれか一項に記載の電動弁監視システム。
【0015】
前記電動アクチュエータの作動履歴は、稼働累積時間、所定時間以上の動作回数(通常動作の回数)、および所定時間未満の動作回数(微動回数)のうちの少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0016】
前記電動弁の環境は、電動弁の環境温度、電動弁の環境湿度等であってもよい。電動弁の環境温度は、前記電動アクチュエータが収容されるケーシング内の温度(機構内温度)であってもよい。前記環境温度の最大値および最小値の少なくとも一つが前記動作状況データに含まれることが好ましい。
【0017】
前記蓄電装置は、電気二重層キャパシタを含むことが好ましい。前記蓄電装置は二次電池を含んでいてもよい。
【0018】
前記エラー検出履歴は、過負荷エラーの回数および動作タイムオーバーの回数のうちの少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0019】
6.前記通信ユニットは、無線通信によって前記ネットワークに前記動作状況データを送信する無線通信機を含む、項1~5のいずれか一項に記載の電動弁監視システム。
【0020】
7.前記通信ユニットは、予め定める定期送信周期で前記動作状況データを前記ネットワークに送出する、項1~6のいずれか一項に記載の電動弁監視システム。
【0021】
8.前記監視サーバは、前記動作状況データを表示するウェブページを提供し、
前記クライアントは、前記ウェブページを閲覧可能なウェブブラウザを備える、項1~7のいずれか一項に記載の電動弁監視システム。
【0022】
9.前記クライアントは、PC(パーソナルコンピュータ)およびモバイル端末のうちの少なくとも一つを含む、項1~8のいずれか一項に記載の電動弁監視システム。
【0023】
前記モバイル端末は、スマートフォン等の携帯電話であってもよく、タブレット端末であってもよく、またモバイル型のPCであってもよい。
【0024】
10.項1~9のいずれか一項に記載の電動弁監視システムにおいて用いられる前記監視サーバ。
【0025】
11.流路を開閉する弁体と、
前記弁体を駆動する電動アクチュエータと、
動作状況データを収集してメモリに蓄積する動作状況データ収集ユニットと、
前記動作状況データ収集ユニットが収集して前記メモリに蓄積された動作状況データをネットワークを介して監視サーバに送信する通信ユニットと、を含む、電動弁。
【発明の効果】
【0026】
この発明によれば、電動弁の動作状況を容易に監視できる電動弁監視システムおよびそのための監視サーバ、ならびに前記電動弁監視システムによる監視に適した電動弁を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、この発明の一実施形態に係る電動弁監視システムの構成例を示す。
図2図2は、電動弁の構造例を示す断面図である。
図3図3は、電動弁の電気的構成を説明するためのブロック図である。
図4図4は、電動弁のメモリに蓄積される動作状況データの例を示す。
図5図5は、監視サーバの構成例を説明するためのブロック図である。
図6図6は、電動弁に備えられた通信制御回路(図3参照)が実行する定期送信処理を説明するためのフローチャートである。
図7図7は、監視サーバの動作を説明するためのフローチャートである。
図8A図8Aは、監視サーバが提供し、クライアントが備える表示画面に表示されるウェブページの例であり、ユーザログイン画面の例を示す。
図8B図8Bは、監視サーバが提供し、クライアントが備える表示画面に表示されるウェブページの例であり、電動弁一覧画面の例を示す。
図8C図8Cは、監視サーバが提供し、クライアントが備える表示画面に表示されるウェブページの例であり、動作状況データの一覧表示画面の例を示す。
図9図9は、監視サーバが提供し、クライアントが備える表示画面に表示されるウェブページの例であり、動作状況データの表示画面の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
図1は、この発明の一実施形態に係る電動弁監視システムの構成例を示す。電動弁監視システム100は、施設F1,F2,…(以下総称するときには「施設F」という。)に備えられる電動弁V11,V12,…;V21,V22,…;V31,V32,…(以下総称するときには「電動弁V」という。)の動作状況を監視するためのシステムである。電動弁Vは、施設F内の配管の流路を開閉する装置である。この例では、複数の施設Fにそれぞれ1つ以上の電動弁Vが設けられており、それらの電動弁Vの動作状況が監視される。
【0030】
電動弁監視システム100は、ネットワークNに接続された監視サーバSを備えている。ネットワークNは、典型的には、イントラネット、インターネット等のワイドエリアネットワーク(WAN)を含む。監視サーバSは、ローカルエリアネットワークを介してワイドエリアネットワークNに接続されていてもよい。
【0031】
各電動弁Vは、動作状況データを、ネットワークNを介して監視サーバSに送信する機能を備えている。典型的には、各施設F内にはローカルエリアネットワーク(LAN)LN1,LN2,…(以下総称するときには「ローカルエリアネットワークLN」という。)が構築されており、そのローカルエリアネットワークLNに各電動弁Vが通信可能に接続されている。そして、ローカルエリアネットワークLNは、ワイドエリアネットワークNに接続されており、それによって、電動弁Vと監視サーバSとの間のデータ通信が可能とされている。電動弁Vは、典型的には、近距離無線通信である無線LAN通信(より具体的にはWi-Fi(登録商標))によってローカルエリアネットワークLNに接続されている。
【0032】
監視サーバSは、電動弁Vから送られてくる動作状況データを蓄積し、かつ蓄積した動作状況データを、ネットワークNに接続されたクライアントCに提供する。クライアントCは、典型的には、PC(パーソナルコンピュータ)、モバイル端末などである。モバイル端末の典型例は、スマートフォン等の携帯電話、タブレット端末などである。クライアントCは、ローカルエリアネットワークを介してワイドエリアネットワークNに接続されていてもよい。スマートフォン等の携帯電話は、典型的には、携帯電話網MNを介してネットワークNに接続可能である。
【0033】
監視サーバSは、動作状況データを表示するウェブページを提供し、一方、クライアントCは、ウェブページを閲覧するウェブブラウザを備えている。それにより、クライアントCのユーザは、監視サーバSが提供するウェブページを閲覧することによって、動作状況データを確認することができる。すなわち、各電動弁Vの設置場所に行くことなく、個々の電動弁Vの動作状況を確認できる。
【0034】
図2は、電動弁Vの構造例を示す断面図である。電動弁Vは、工場、発電所、プラント、浄水施設、プール等の各種施設Fの配管設備に設置される。つまり、配管に取り付けられた状態で使用され、配管内の流路を開閉する。
【0035】
この実施形態では、電動弁Vは、いわゆる緊急遮断弁であり、流路に配置された弁体1と、弁体1を開閉動作させるための電動アクチュエータ2とを含む。弁体1は、流路を開閉するように構成されている。たとえば、弁体1は、弁箱内の流路内で90度の範囲で回動して流路を開閉するボールバルブまたはバタフライバルブであってもよい。電動アクチュエータ2は、電動モータ3を含む。電動モータ3は、典型的には、ギヤヘッド5と結合されてギヤードモータを構成している。
【0036】
電動弁Vは、弁体1が先端に結合された出力軸13と、電動モータ3の回転を出力軸13に伝達する伝達機構4とをさらに含む。電動モータ3の回転駆動力が伝達機構4に伝達され、出力軸13が回転することにより、弁体1が開閉駆動される。
【0037】
伝達機構4は、ギヤヘッド5と、ピニオン6とを含む。電動モータ3の駆動力はギヤヘッド5を介してピニオン6から出力される。伝達機構4は、ピニオン6の回転が伝達される変速ギヤ群7を含む。変速ギヤ群7は、この例では、ドライブギヤ8、太陽ギヤ9、および遊星ギヤ10を備え、ドライブギヤ8がピニオン6に噛合している。電動モータ3が作動してピニオン6を回転させると、その回転がドライブギヤ8に伝達される。ドライブギヤ8は、太陽ギヤ9のシャフトに固定されているので、太陽ギヤ9が回転する。太陽ギヤ9は遊星ギヤ10と噛合している。遊星ギヤ10は自転しながら太陽ギヤ9の周囲を公転する。遊星ギヤ10のシャフトにはキャリアギヤ11が固定されているので、遊星ギヤ10の公転によって、キャリアギヤ11が回転する。キャリアギヤ11は、出力ギヤ12と噛合しているので、キャリアギヤ11の回転により、出力ギヤ12が回転し、出力ギヤ12に固定されている出力軸13が回転する。それにより、弁体1が回転し、流路を開閉する。
【0038】
出力軸13には、メータ軸14が固定されており、その先端に取り付けられた指針15によって弁体1の開度が表示される。また、メータ軸14には、開閉センサ16が取り付けられている。開閉センサ16は、全閉検出用フォトセンサ17と、全閉検出用遮蔽板18と、全開検出用フォトセンサ19と、全開検出用遮蔽板20とを含む。全閉検出用遮蔽板18は、弁体1が全閉位置のときに全閉検出用フォトセンサ17の光路を遮る。また、全開検出用遮蔽板20は、弁体1が全開位置のときに全開検出用フォトセンサ19の光路を遮る。したがって、全閉検出用フォトセンサ17によって全閉を検出でき、全開検出用フォトセンサ19によって全閉を検出できる。
【0039】
電動モータ3および伝達機構4は、ケーシング21に収納されている。ケーシング21は、下ケーシング22と、下ケーシング22に上から結合される上ケーシング23とを含む。ケーシング21は、典型的には防水構造を有している。ケーシング21内には、さらに、制御基板24と、無線通信基板25と、無線通信アンテナ26とが収容されている。ケーシング21内には、さらに、バックアップ電源としての電気二重層キャパシタ29が収容されている。
【0040】
図3は、電動弁Vの電気的構成を説明するためのブロック図である。電動弁Vは、電源装置40と、モータドライバ41と、電気二重層キャパシタ29と、制御基板24と、無線通信基板25と、無線通信アンテナ26とを含む。電源装置40は、商用交流電源に接続され、交流電圧(たとえばAC100V~240V)を直流電圧(たとえばDC24V)に変換し、電力線36を介してモータドライバ41に供給する。モータドライバ41は、電動モータ3を駆動するための駆動回路である。
【0041】
制御基板24上には、主制御回路30と、通電検出回路33と、温度センサ34と、主電源回路35とが設けられている。主電源回路35は、電力線36からの電力供給を受けて、電源ライン37を介して、主制御回路30、通電検出回路33および温度センサ34に適切な直流動作電圧(たとえば5V)を供給する。温度センサ34は、ケーシング21内の温度(機構内温度)を検出し、検出した温度を表す検出信号を主制御回路30に入力する。通電検出回路33は、モータドライバ41から電動モータ3に供給される電流を検出するモータ電流検出回路を含み、検出した電流を表す検出信号を主制御回路30に入力する。主制御回路30は、プロセッサ31(CPU)およびメモリ32を含み、メモリ32に格納されたプログラムに従ってプロセッサ31が動作することにより、様々な処理を実行する。メモリ32は、ROMおよびRAMのほか、書き込み可能な不揮発性メモリ(たとえばEEPROM)を含むことが好ましい。
【0042】
主制御回路30の一つの機能は、外部から入力される信号に応答してモータドライバ41を駆動して、電動モータ3を駆動することである。外部から入力される信号は、典型的には、緊急遮断信号である。緊急遮断信号は、たとえば、地震を検知する感震器の出力信号であってもよく、操作盤から入力される信号であってもよい。緊急遮断信号が入力されると、主制御回路30は、弁体1によって流路を遮断するために、電動モータ3を駆動する。主制御回路30には、さらに、開閉センサ16の出力信号が入力されており、その信号に基づいて、主制御回路30は、弁体1の全閉および全開を検出できる。
【0043】
制御基板24上には、さらに、充放電コンバータ38と、キャパシタ寿命診断回路39とが設けられている。
【0044】
充放電コンバータ38は、電力線36に接続されている。充放電コンバータ38は、電力線36に導出される直流電圧(たとえば24V)を、適切な電圧(たとえば72V)に変換して電気二重層キャパシタ29に供給し、それによって、電気二重層キャパシタ29を充電する充電回路としての機能を有する。充放電コンバータ38は、さらに、電力線36に導出される電圧を監視することにより、停電を検知する機能を有している。停電を検知すると、充放電コンバータ38は、電気二重層キャパシタ29が発生する直流電圧(たとえば72V)を適切な電圧(たとえば24V)に変換して、電力線36に供給する放電回路として機能する。これにより、停電発生時には、電気二重層キャパシタ29に蓄積された電力を利用して、電動モータ3に電力を供給でき、かつ主制御回路30等を動作させることができる。よって、停電発生時であっても、主制御回路30は、緊急遮断信号に応答して、電動モータ3を作動させて緊急遮断動作を実行できる。なお、充放電コンバータ38は、停電を検出すると、そのことを主制御回路30に通知する。
【0045】
キャパシタ寿命診断回路39は、電気二重層キャパシタ29の寿命診断を行うための回路である。キャパシタ寿命診断回路39は、たとえば放電回路と、その放電回路を所定時間作動させるタイマ回路と、電気二重層キャパシタ29の出力電圧を測定する電圧測定回路とを含む。キャパシタ寿命診断回路39は、たとえば、主制御回路30からの診断指令を受けて動作する。具体的には、診断指令を受けると、放電回路は、タイマ回路によって計時される所定時間にわたって電気二重層キャパシタ29を放電させる。その放電終了後の電気二重層キャパシタ29の電圧が電圧測定回路によって測定され、その測定結果を表す信号が主制御回路30に入力される。主制御回路30は、入力された測定結果に基づいて、電気二重層キャパシタ29の劣化レベルを判定する。主制御回路30は、電気二重層キャパシタ29がフル充電状態のときに、所定の点検周期(たとえば数日、数週間、数ヶ月など)で、診断指令をキャパシタ寿命診断回路39に与える。主制御回路30は、電圧測定回路が測定した電圧が寿命閾値電圧未満であるとき、電気二重層キャパシタ29が寿命に達したと診断してもよい。電気二重層キャパシタ29の劣化の検知には、たとえば特許文献1に記載された技術を用いることができる。
【0046】
主制御回路30は、主にプロセッサ31の働きによって、電動弁Vの動作状況データを収集してメモリ32の記憶領域(たとえばEEPROMで構成された不揮発性記憶領域)に蓄積する動作状況データ収集ユニットとしての機能を有している。動作状況データは、電気二重層キャパシタ29の劣化レベルのデータを含む。プロセッサ31は、電気二重層キャパシタ29の劣化レベルを判定するたびに、判定された劣化レベルを表すデータをメモリ32に蓄積してもよい。また、動作状況データは、通電検出回路33によって検出される電動モータ3の動作に関するデータを含む。プロセッサ31は、通電検出回路33が電動モータ3への通電を検出するたびに、電動モータ3の動作に関するデータをメモリ32に蓄積してもよい。また、動作状況データは、温度センサ34によって検出される温度データ(環境データの一例)を含む。プロセッサ31は、たとえば、所定の周期で温度センサ34の検出温度を取得してメモリ32に蓄積してもよい。
【0047】
無線通信基板25上には、通信制御回路50と、補助電源回路53と、無線通信機54とが設けられており、これらは通信ユニット55を構成している。通信制御回路50は、制御基板24上の主電源回路35から電源ライン37に導出される動作電圧を受けて動作する。無線通信機54の一例は、いわゆるWi-Fi(登録商標)モジュールである。補助電源回路53は、制御基板24上の主電源回路35から電力の供給を受け、適切な電圧(たとえば3.3V)に変換して無線通信機54に供給する。通信制御回路50は、プロセッサ51(CPU)およびメモリ52を含み、プロセッサ51がメモリ52に格納されたプログラムに従って動作する。通信制御回路50は、主制御回路30に接続されている。
【0048】
通信制御回路50のプロセッサ51は、主制御回路30に対して動作状況データの提供を要求する。主制御回路30のプロセッサ31は、その要求に応じて、メモリ32に蓄積されている動作状況データを通信制御回路50に提供する。通信制御回路50のプロセッサ51は、主制御回路30から提供された動作状況データをメモリ52に格納し、さらに、無線通信機54を制御して、その動作状況データを無線通信アンテナ26からネットワークN上の監視サーバSに向けて送出させる。通信制御回路50は、このような動作を定期的に実行し、それによって、動作状況データを定期送信周期で繰り返し送信する定期送信動作を行う。
【0049】
図4は、メモリ32に蓄積される動作状況データの例を示す。蓄積される動作状況データは、電動弁Vの稼働状況を表す稼働状況データと、電動弁Vの動作環境を表す環境データと、電気二重層キャパシタ29の寿命に関連するキャパシタ寿命データと、異常動作の回数を表す異常回数データとを含む。
【0050】
稼働状況データは、電源投入回数、停電遮断回数、信号遮断回数、モータ稼働累積時間、第1のモータ動作回数、第2のモータ動作回数を含む。電源投入回数は、電力線36に電力が供給され、主電源回路35が起動した回数を表す。主制御回路30は、主電源回路35の起動を検出して電源投入回数をメモリ32に蓄積する。停電遮断回数は、停電発生に応答して電動弁Vを作動(遮断)させた回数(停電動作回数)を表す。主制御回路30は、停電発生を検出して電動弁Vを作動させたときには、メモリ32内の第1のモータ動作回数を更新する。停電発生は、たとえば、充放電コンバータ38において検出され、その通知を主制御回路30が受けるようになっていてもよい。信号遮断回数は、停電中に外部からの信号入力に応答して電動弁Vを遮断させた回数(信号動作回数)を表す。主制御回路30は、停電時に信号入力に応答して電動弁Vを作動させたときには、メモリ32内の第2のモータ動作回数を更新する。モータ稼働累積時間は、電動モータ3への通電累積時間を表す。第1のモータ動作回数は、所定時間(たとえば1秒)以上の電動モータ3への通電回数、すなわち、通常動作の回数を表す。第2のモータ動作回数は、当該所定時間未満の電動モータ3への通電回数、すなわち、微動の回数を表す。所定時間は、たとえば、電動弁Vの通常動作時の通電時間(弁体1が流路を遮断するまでの時間)よりも短く、設計上想定していない短い通電時間(弁体1が流路を遮断するに至らない時間)を検出できる適切な値に設定される。主制御回路30は、通電検出回路33からの信号に基づいて電動モータ3への通電時間を検出し、その検出した通電時間が所定時間以上であれば第1のモータ動作回数を更新し、検出した通電時間が所定時間未満であれば第2のモータ動作回数を更新する。
【0051】
環境データは、温度センサ34によって検出される機構内温度を含む。この例では、機構内最大温度(最高温度)と機構内最小温度(最低温度)とを含む。たとえば、主制御回路30は、温度センサ34が25℃以上の温度を検出すると、これを機構内最大温度としてメモリ32に蓄積し、その後は、メモリ32に蓄積した温度よりも高い温度を検出するとメモリ32内の機構内最大温度データを更新する。また、主制御回路30は、たとえば、温度センサ34が25℃以下の温度を検出すると、これを機構内最小温度としてメモリ32に蓄積し、その後は、メモリ32に蓄積した温度よりも低い温度を検出するとメモリ32内の機構内最小温度データを更新する。
【0052】
キャパシタ寿命データは、キャパシタ劣化自己診断レベルと、第1のキャパシタ寿命診断回数と、第2のキャパシタ寿命診断回数と、第3のキャパシタ寿命診断回数とを含む。キャパシタ劣化自己診断レベルは、主制御回路30がキャパシタ寿命診断回路39からの信号に基づいて生成する数値であり、電気二重層キャパシタ29の劣化レベルを表す。劣化レベルは、たとえば0~10の整数で段階的に表される。たとえば、劣化レベル=10は、劣化がないことを表す。主制御回路30は、キャパシタ寿命診断回路39からの信号に基づいて生成した劣化レベルの値をキャパシタ劣化自己診断レベルとしてメモリ32に蓄積する。第1のキャパシタ寿命診断回数は、予め定める仕様温度範囲内(たとえば-10℃以上60℃未満)の温度を温度センサ34が検出しているときに、主制御回路30が電気二重層キャパシタ29が寿命に達したと判断した回数を表す。第2のキャパシタ寿命診断回数は、仕様温度上限(たとえば60℃)以上の温度を温度センサ34が検出しているときに、主制御回路30が電気二重層キャパシタ29が寿命に達したと判断した回数を表す。第3のキャパシタ寿命診断回数、仕様温度下限(たとえば-10℃)未満の温度を温度センサ34が検出しているときに、主制御回路30が電気二重層キャパシタ29が寿命に達したと判断した回数を表す。主制御回路30は、キャパシタ寿命診断の結果、電気二重層キャパシタ29が寿命に達したと判断すると、そのときの機構内温度を温度センサ34から取得し、その取得した機構内温度に応じて、第1、第2または第3のキャパシタ寿命診断回数をカウントアップする。
【0053】
異常回数データは、過負荷エラー回数および動作タイムオーバー回数を含む。電動モータ3への通電電流が過負荷レベル(トルクリミッタ設定値)を超えるエラーが過負荷エラーであり、その発生回数が過負荷エラー回数である。また、電動モータ3への連続通電時間が動作タイムであり、その動作タイムが予め定める閾値(たとえば90秒)を超えても、弁体1の全閉が検出できない(開閉末端までの動作が検出されない)エラーが動作タイムオーバーであり、その発生回数が動作タイムオーバー回数である。主制御回路30は、電動モータ3への通電と弁体1の動作を監視することによって、過負荷エラーおよびタイムオーバーを監視し、それらの検出回数をメモリ32に蓄積する。弁体1の動作(全開および全閉)は、開閉センサ16の出力信号に基づいて監視できる。
【0054】
図5は、監視サーバSの構成例を説明するためのブロック図である。監視サーバSは、サーバコンピュータであり、プロセッサ61(CPU)、メモリ62、ストレージ63、通信インタフェース64等を含む。プロセッサ61は、メモリ62の記憶領域を利用しながら、ストレージ63のプログラム領域に格納されたプログラムを実行する。通信インタフェース64は、ネットワークNとの通信を仲介するハードウェアである。プロセッサ61は、通信インタフェース64を介してネットワークNとの間でデータを送受信することができる。それにより、プロセッサ61は、電動弁Vから提供される動作状況データを取得して、ストレージ63のデータ領域に所定のデータ構造で蓄積することができる。また、プロセッサ61は、クライアントCからの要求に応答して、ストレージ63に蓄積した動作状況データを表示するためのウェブページを提供することができる。
【0055】
図5には、監視サーバSのストレージ63のデータ領域におけるデータ構造の一例を併せて示す。ストレージ63に蓄積されるデータは、ユーザ管理データ、電動弁管理データおよび動作状況データを含む。
【0056】
ユーザ管理データは、監視サーバSに蓄積されるデータへのアクセスを管理するためのデータであり、典型的には、アクセスが許容されるユーザごとに、ユーザIDおよびパスワードなどのレコードを含む。また、各ユーザの所属を表す所属データが含まれていることが好ましい。所属は、たとえば、施設F(図1参照)や施設F内のグループなどを表す。所属データは、複数の施設名やグループ名を含んでいてもよい。
【0057】
電動弁管理データは、監視サーバSに動作状況データが蓄積される電動弁Vを管理するためのデータであり、電動弁Vごとに、所属、機械番号、機種名、定期送信周期、ステータスなどのレコードを含む。所属は、電動弁Vが設けられている施設Fや施設F内のグループを表す。機械番号は、電動弁Vに与えられた番号であり、電動弁Vの個体識別番号である。機種名は、電動弁Vの機種を表す。定期送信周期は、電動弁Vから監視サーバSに動作状況データが定期的にアップロードされる周期(たとえば1秒~24時間)を表す。ステータスは、電動弁Vに電源が投入されている(オンライン)か、当該電動弁Vの電源が遮断されている(オフライン)かを表す。典型的には、通信が確立されている電動弁Vのステータスはオンラインとされ、通信が確立されていない電動弁Vのステータスはオフラインとされる。
【0058】
動作状況データは、個々の電動弁Vから定期送信周期ごとにアップロードされる動作状況データである。したがって、電動弁Vごとに、前述のような動作状況データのレコード群を含む(図4参照)。
【0059】
図6は、電動弁Vに備えられた通信制御回路50(図3参照)が実行する定期送信処理を説明するためのフローチャートである。定期送信周期が到来すると(ステップS1:YES)、通信制御回路50は、主制御回路30に対して、動作状況データを要求し(ステップS2)、主制御回路30は、その要求に応答してメモリ32から動作状況データを読み出して通信制御回路50に提供し、通信制御回路50はこれを受信する(ステップS3)。通信制御回路50は、その提供された動作状況データを無線通信機54から送信させる(ステップS4)。送信されたデータは、ローカルエリアネットワークLNおよびワイドエリアネットワークNを介して、監視サーバSへとアップロードされる。アップロードされるデータは、管理用データと、動作状況データとを含む。管理用データは、電動弁Vの所属、機械番号、機種名、定期送信周期を表すデータを含んでいてもよい。
【0060】
図7は、監視サーバSの動作を説明するためのフローチャートである。監視サーバSは、電動弁Vから動作状況データが送信されてくると(ステップS11:YES)、それを受信し、管理用データに従って電動弁Vを特定し、ストレージ63のデータ領域に動作状況データを蓄積する(ステップS12)。また、クライアントCからのアクセスがあると(ステップS13:YES)、ユーザログイン処理を行い(ステップS14)、ログイン成功すると(ステップS15:YES)、クライアントCからの要求に応じてウェブページを提供する(ステップS16)。ユーザログイン処理は、ユーザが入力するユーザIDおよびパスワードをユーザ管理データと照合する処理を含む。
【0061】
また、監視サーバSは、各電動弁Vの動作状況データに基づいて、警報を発生すべきかどうかを判断する警報判断処理(ステップS17)を実行する。たとえば、1秒以上のモータ動作回数が電動弁Vの耐久動作回数に近くなると、電動弁Vの寿命を予告する警報を発生すべきであると判断してもよい。また、機構内最大温度が仕様温度範囲の上限を超えているときには、環境温度が高すぎることを通知する警報を発生すべきであると判断してもよい。また、キャパシタ劣化自己診断レベルが所定値以下となったり、キャパシタの寿命診断回数が所定回数以上となったりしたときには、電気二重層キャパシタ29の寿命を予告する警報を発生すべきであると判断してもよい。さらに、過負荷エラーまたは動作タイムオーバーの回数が所定値(たとえば1)以上であるときには、異常発生を通知する警報を発生すべきであると判断してもよい。
【0062】
監視サーバSは、警報を発生すべきであると判断すると(ステップS18:YES)、クライアントCに提供するウェブページに警報の表示を加える(ステップS19)。また、監視サーバSは、警報を発生すべきであると判断すると(ステップS18:YES)、予め登録されている電子メールアドレスに警報を伝える電子メール(典型的にはテキストメッセージ)を自動送信する処理を行う(ステップS20)。
【0063】
図8A図8Bおよび図8Cは、監視サーバSが提供し、クライアントCが備える表示画面に表示されるウェブページの例を示す。
【0064】
図8Aは、ユーザログイン画面の例である。ユーザは、クライアントCから監視サーバSのユーザログイン画面のURLにアクセスすることによって、クライアントCの表示装置にユーザログイン画面を表示させることができる。ローザログイン画面は、ユーザID入力フィールド71と、パスワード入力フィールド72と、サインインボタン73を含む。クライアントCのユーザは、ユーザID入力フィールド71にユーザIDを入力し、パスワード入力フィールド72にパスワードを入力して、サインインボタン73を操作する。すると、監視サーバSにおいてユーザログイン処理が実行される。
【0065】
図8Bは、ユーザログイン処理に成功することによって監視サーバSが提供してクライアントCに表示される電動弁一覧画面の例を示す。監視サーバSは、ログインしたユーザのユーザ管理データを参照し、その所属データに従って、該当する所属(施設またはそのなかのグループ)の電動弁Vを一覧表示する。電動弁Vごとに、所属、機械番号、機種名、定期送信周期、ステータス、警報の有無が表示される。また、この例では、電動弁Vごとに、削除ボタン81が設けられている。ユーザは、削除ボタン81を操作(クリック)して、各電動弁Vの表示を削除して、監視対象から除外することができる。また、新たな電動弁Vの動作状況データを閲覧対象に含めたいときには、ユーザは、登録ボタン82を操作(クリック)して、新たな電動弁Vの追加登録操作を始めることができる。さらに、更新ボタン83を操作(クリック)することにより、表示を最新の内容に更新できる。
【0066】
図8Cは、動作状況データの一覧表示画面の例を示す。図8Bの画面において、いずれかの電動弁Vの表示(たとえは機械番号の表示)を操作(クリック)することにより、動作状況データの一覧を表示させることができる。すなわち、定期送信周期で送信された動作状況データの一覧が表示される。ここでは、各回の定期送信に関して、取得日時91、表示ボタン92、CSVボタン93、および削除チェックボックス94が設けられている。
【0067】
取得日時91は、電動弁Vの通信制御回路50がデータ取得した日時であってもよいし、監視サーバSがデータ取得した日時であってもよい。表示ボタン92は、動作状況データをウェブページに表示させるためのボタンである。CSVボタン93は、動作状況データをCSV(Comma Separated Value)形式にしてクライアントCにダウンロードするためのボタンである。削除チェックボックス94は、当該動作状況データを監視サーバSから削除するための選択欄であり、削除すべき動作状況データの削除チェックボックス94を選択状態として、削除ボタン95を操作(クリック)することにより、該当する動作状況データが監視サーバSから削除される。
【0068】
図9は、図8Cの一覧表示において、表示ボタンを操作(クリック)して動作状況データを表示させたときの表示画面の例を示す。ここでは、データ取得日時、ユーザID、電動弁Vの機械番号、機種名および定期送信周期が表示され、さらに、前述した動作状況データ(図4参照)が一覧表示される。さらに、この例では、警報欄98が表示されている。通知すべき警報があるときには、警報欄98に通知内容が表示される。この例では、過負荷エラーが1回生じており、それに応じて過負荷エラーが発生したことが警報欄98において通知されている。
【0069】
図8Cの一覧表示においてCSVボタン93を操作(クリック)したときには、同様の内容のレコードを含むCSV形式のデータが監視サーバSからクライアントCに送信され、クライアントCが備える記憶装置に格納される。クライアントCのユーザは、クライアントCが備えるアプリケーションを操作することによって、記憶装置に格納されたCSV形式のデータを閲覧することができる。
【0070】
以上のように、この実施形態の電動弁監視システム100は、電動弁Vに備えられ、電動弁Vの動作状況データを収集してメモリ32に蓄積する動作状況データ収集ユニットとして機能する主制御回路30を含む。また、電動弁監視システム100は、電動弁Vに備えられ、主制御回路30(動作状況データ収集ユニット)が収集してメモリ32に蓄積した動作状況データをネットワークNに送出する通信ユニット55を含む。さらに、電動弁監視システム100は、通信ユニット55がネットワークNに送出する動作状況データをネットワークNを介して取得して蓄積し、蓄積した動作状況データをクライアントCに提供する監視サーバSを含む。
【0071】
この構成により、様々な施設Fに備えられた個々の電動弁Vを、クライアントCから遠隔監視することができる。すなわち、電動弁Vの設置場所に赴くことなく、電動弁Vの動作状況を監視することができる。それにより、電動弁Vの監視が容易になり、電動弁Vの点検等に要する時間および労力を大幅に削減できる。クライアントCをネットワークNに接続できるならば、時間および場所を選ばずに電動弁Vの動作状況データの閲覧が可能であるので、ユーザは、いつでも、どこででも、必要な動作状況データを取得することができる。
【0072】
これにより、施設Fの管理者は、定期点検を待つことなく、個々の電動弁Vの使用状況を容易に把握できるので、各電動弁Vの確実で簡単な管理が可能である。また、たとえば、電動弁Vの製造者または販売者は、複数の施設Fの電動弁Vの動作状況データを収集して、故障傾向の分析を行ったり、装置寿命の予告を行ったり、必要な保全措置を行ったりすることができる。
【0073】
この実施形態では、監視サーバSは、動作状況データに基づいて警報を発生すべき動作状況かどうかを判断する判断ユニットとしての機能(図7のステップS17,S18)と、警報を発生すべき動作状況であると判断されると、警報を通知する通知ユニットとしての機能(図7のステップS19,S20)と、を有している。通知ユニットとしての機能の一例は、動作状況データを表示するウェブページに警報を表示する警報表示ユニットとしての機能(図7のステップS19)である。また、通知ユニットとしての機能の他の例は、予め登録されたアドレス(たとえば電子メールアドレス)にメッセージ(たとえば電子メール)を送信するメッセージ送信ユニット(電子メール送信ユニット)としての機能(図7のステップS20)である。
【0074】
この構成により、監視サーバSにおいて動作状況データが自動的に分析され、必要に応じて警報が通知される。それにより、電動弁Vの管理者に対して、適時に適切な情報提供が自動的になされるので、電動弁Vのメンテナンスが容易になる。たとえば、電動弁Vの部品が近い将来に寿命に達することを予告する警報を通知すれば、適時に部品交換を行うことができる。それにより、費用対効果の高いメンテナンスにより、電動弁Vの正常動作を確保することができる。
【0075】
個々の電動弁Vの設置場所に作業員が赴いて実行する従来型の定期点検では、定期点検の際に電動弁Vの部品寿命が判断され、必要に応じて部品寿命を電動弁Vの管理者に予告することになる。したがって、予告の適時性が定期点検の周期に依存する。むろん、人的作業による定期点検の周期の短縮には自ずと制限があるので、必ずしも部品寿命を適時に予告できるとは限らない。この実施形態は、この課題を解決できる。
【0076】
また、この実施形態では、動作状況データは、電動弁Vへの電源投入回数、電動弁Vの動作回数(停電遮断回数、信号遮断回数)、電動アクチュエータ2(電動モータ3)の作動履歴(モータ稼働累積時間、モータ動作回数)、電動弁Vの環境(機構内温度)、電動弁Vに内蔵された蓄電装置の劣化状況(電気二重層キャパシタ29の劣化レベル、寿命診断回数)、およびエラー検出履歴(過負荷エラー回数、動作タイムオーバー回数)を含む。これらの動作状況データをクライアントCから遠隔監視できることにより、電動弁Vの詳細な動作状況を把握でき、必要に応じて適切なメンテナンスを行うことができる。
【0077】
この実施形態では、通信ユニット55は、無線通信によってネットワークNに動作状況データを送信する無線通信機54を含む。具体的には、施設F内のローカルエリアネットワークLNが無線LANを用いて構築されている。それにより、ケーブル接続を行うことなく、電動弁VをネットワークNに接続することができるので、電動弁監視システム100に電動弁Vを容易に組み込むことができる。むろん、通信ユニット55は、有線接続型の通信機を備え、ローカルエリアネットワークLNに有線接続するように構成されていてもよい。
【0078】
また、この実施形態では、通信ユニット55は、予め定める定期送信周期で動作状況データをネットワークNに送出する。これにより、各電動弁Vの動作状況データが周期的に監視サーバSに蓄積されていく。電動弁Vの用途、機種、使用環境等に応じて定期送信周期を適切に定めておくことにより、電動弁Vの動作状況を適切に監視することができる。
【0079】
この実施形態では、監視サーバSは、動作状況データを表示するウェブページを提供し、クライアントCは、ウェブページを閲覧可能なウェブブラウザを備えている。したがって、ウェブブラウザを備えるクライアントCを用いることで、電動弁Vの動作状況データを閲覧できる。
【0080】
以上、この発明の一実施形態について説明してきたが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。
【0081】
たとえば、前述の実施形態では、ネットワークNがワイドエリアネットワークである例を示したが、ネットワークNはローカルエリアネットワークであってもよい。たとえば、電動弁Vが接続されるローカルエリアネットワークLNに監視サーバSが接続されていてもよい。また、前述の実施形態の構成において、ワイドエリアネットワークN、ローカルエリアネットワークLNおよび携帯電話網MNの全体が、この発明の一実施形態におけるネットワークを構成していると理解してもよい。
【0082】
また、前述の実施形態では、環境データとして、温度が検出されているが、湿度等の他の環境指数が検出されてもよい。
【0083】
また、前述の実施形態では、電動弁Vが無線LAN通信によってネットワークNに接続される例を説明したが、ブルートゥース(登録商標)等の他の近距離無線通信技術や、移動体通信技術などの他の無線通信技術か用いられてもよい。さらに、無線通信に限らず、有線通信によって電動弁VをネットワークNに接続してもよい。
【0084】
さらに、前述の実施形態では、バックアップ電源としての電気二重層キャパシタ29を備える電動弁Vを例示したが、バックアップ電源は二次電池で構成されていてもよい。また、バックアップ電源を備えない電動弁Vに前述の実施形態が応用されてもよい。
【0085】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 :弁体
2 :電動アクチュエータ
3 :電動モータ
24 :制御基板
25 :無線通信基板
26 :無線通信アンテナ
29 :電気二重層キャパシタ
30 :主制御回路
31 :プロセッサ
32 :メモリ
33 :通電検出回路
34 :温度センサ
38 :充放電コンバータ
39 :キャパシタ寿命診断回路
50 :通信制御回路
54 :無線通信機
55 :通信ユニット
98 :警報欄
100 :電動弁監視システム
C :クライアント
F(F1,F2,…) :施設
LN(LN1,LN2,…) :ローカルエリアネットワーク
MN :携帯電話網
N :ネットワーク(ワイドエリアネットワーク)
S :監視サーバ
V(V11,V12,…;V21,V22,…;V31,V32,…) :電動弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9