(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017099
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】冷却庫
(51)【国際特許分類】
F25D 19/00 20060101AFI20250129BHJP
F28F 1/02 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
F25D19/00 560C
F25D19/00 532D
F28F1/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119989
(22)【出願日】2023-07-24
(71)【出願人】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】菊野 真二
(72)【発明者】
【氏名】青砥 一央
(57)【要約】
【課題】マイクロチャンネル熱交換器からなる凝縮器の通気方向上流側に塵埃捕集用のフィルターが装着されている冷却庫において、フィルターの支持構造の簡素化を図りながら、支持構造内に配されたフィルターの前後、上下、及び左右の六方向の移動を確実に規制できるようにする。
【解決手段】フィルター48の支持構造54は、ユニットベース17並びに凝縮器15の構成要素を利用して、凝縮器15よりも前方に位置して、フィルター48の下端を支持するユニットベース17の上面と、凝縮器15の上端前側に設けられて、フィルター48の上端縁を支持する上支持体55と、凝縮器15よりも前方に位置するユニットベース17に固定されて、フィルター48の下端前面を支持する下支持体56と、フィルター48の後面を支持する凝縮器15のチューブ群27と、フィルター48の左右縁を支持する凝縮器15の左右のヘッダ21・22の前端縁とで構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロチャンネル熱交換器からなる凝縮器(15)と、
凝縮器(15)の下方に配されて、当該凝縮器(15)が固定されるユニットベース(17)と、
凝縮器(15)の後方に設けられ、凝縮器(15)を前後方向に通過する冷却用の空気流を生起する冷却ファン(16)と、
通気方向上流側である凝縮器(15)の前方に配され、冷却用空気に含まれる塵埃等を捕集する矩形状のフィルター(48)と、
凝縮器(15)の前方に形成されてフィルター(48)を収容支持する支持構造(54)と、
を備え、
凝縮器(15)は、上下方向に伸びる中空筒体で形成される左右一対のヘッダ(21・22)と、これらヘッダ(21・22)どうしを繋ぐ、上下方向に並設された多数本のチューブ(23)で構成されるチューブ群(27)とを備え、左右のヘッダ(21・22)の前端縁はチューブ群(27)よりも前方に突出されており、
支持構造(54)が、凝縮器(15)よりも前方に位置して、フィルター(48)の下端を支持するユニットベース(17)の上面と、凝縮器(15)の上端前側に設けられて、フィルター(48)の上端縁を支持する上支持体(55)と、凝縮器(15)よりも前方に位置するユニットベース(17)に固定されて、フィルター(48)の下端前面を支持する下支持体(56)と、フィルター(48)の後面を支持する凝縮器(15)のチューブ群(27)と、フィルター(48)の左右縁を支持する凝縮器(15)の左右のヘッダ(21・22)の前端縁とで構成されていることを特徴とする冷却庫。
【請求項2】
凝縮器(15)の後方には、前後方向に伸びるダクト(36)を形成する導風枠(37)が形成されており、
導風枠(37)は、ユニットベース(17)から上方に延設される左右一対の側壁(38・39)と、各側壁(38・39)の上端どうしを接続する天壁(40)と、一対の側壁(38・39)と天壁(40)とユニットベース(17)とで画成されるダクト(36)の後開口を塞ぐ後壁(41)とを備えており、
後壁(41)は前後に貫通する排気口(43)を備え、該排気口(43)に臨んで軸流ファンからなる冷却ファン(16)が設けられており、
左ヘッダ(21)と左側壁(38)との間、及び右ヘッダ(22)と右側壁(39)との間に、通気隙間(45)が形成されている請求項1に記載の冷却庫。
【請求項3】
平面視における凝縮器(15)と導風枠(37)とは、凝縮器(15)の左右方向の中心軸と導風枠(37)の左右方向の中心軸とが一致する状態で前後に配設されており、
左右のヘッダ(21・22)の心々寸法を(W1)と規定し、左右のヘッダ(21・22)の内法寸法を(W2)と規定し、左右の側壁(38・39)の対向寸法を(W3)と規定したとき、
対向寸法(W3)が内法寸法(W2)と同じ、或いはそれよりも大きく形成され、かつ対向寸法(W3)が心々寸法(W1)と同じ、或いは小さく形成されている請求項2に記載の冷却庫。
【請求項4】
上支持体(55)は、フィルター(48)の上方への移動を規制する水平な第1支持壁(57)と、第1支持壁(57)の前端から下向きに連設されて、フィルター(48)の前方への移動を規制する第2支持壁(58)とを備えており、
導風枠(37)の天壁(40)が凝縮器(15)の上方まで延設されて、天壁(40)の前端に第1支持壁(57)と第2支持壁(58)とが一体に形成されている請求項2に記載の冷却庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵ショーケースや業務用冷蔵庫などの冷却庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍サイクルを構成する凝縮器の通気方向の上流側に、熱交換部への塵埃等の膠着を防ぐためのフィルターを設けることは、冷却庫の分野における周知の技術である。一般的にこの種のフィルターは、前後、上下、及び左右の六方向が位置保持された状態で凝縮器に隣接して固定される。例えば特許文献1には、フィルターの前後縁と上下縁とを、凝縮器の前面上下に設けられるフィルター支持片とフィルター係止具とで保持し、フィルターの左右縁を左右一対のガード板で保持する構成が開示されている。特許文献1の凝縮器は、薄板からなるフィンの一群と、繰り返し反転屈曲されてフィン群を厚み方向へ貫く冷媒管と、この冷媒管を支持する左右一対の側板とで構成されるフィンチューブ式熱交換器で構成される。フィルターの左右縁を保持するガード板は、凝縮器を構成する側板に一体に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者等は、冷却庫の小型化を図るため、フィンチューブ式熱交換器よりもコンパクトなサイズでありながら同等の熱交換効率が得られるマイクロチャンネル熱交換器を凝縮器として採用することを考えた。しかし、このようなマイクロチャンネル熱交換器は、左右一対のヘッダと、これらヘッダどうしを繋ぐ多数本のチューブなどで構成されるため、フィルターの左右縁を保持するためのガード板を設置するための側板を具備しない。このため、特許文献1に記載されたフィルターの支持構造を、マイクロチャンネル熱交換器に適用することは不可能である。この問題を解決するため、例えば側板に代わるようなガード板を設置するための専用部材を別途設けた場合には、凝縮器まわりの支持構造が煩雑化することが避けられない。専用部材を設けた分だけ冷却庫の製造コストがアップする不利もある。一方、左右に位置する規制部材を廃した場合には、フィルターの左右方向の移動が可能となり、支持構造内でフィルターが不用意に移動するおそれ、或いは支持構造からフィルターが外れるおそれがあり、支持構造の信頼性が低下することが避けられない。
【0005】
本発明の目的は、マイクロチャンネル熱交換器を凝縮器とし、当該凝縮器の通気方向上流側に塵埃捕集用のフィルターが装着されている冷却庫において、フィルターの支持構造の簡素化を図りながら、支持構造内に配されたフィルターの前後、上下、及び左右の六方向の移動を確実に規制できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の冷却庫は、マイクロチャンネル熱交換器からなる凝縮器15と、凝縮器15の下方に配されて、当該凝縮器15が固定されるユニットベース17と、凝縮器15の後方に設けられ、凝縮器15を前後方向に通過する冷却用の空気流を生起する冷却ファン16と、通気方向上流側である凝縮器15の前方に配され、冷却用空気に含まれる塵埃等を捕集する矩形状のフィルター48と、凝縮器15の前方に形成されてフィルター48を収容支持する支持構造54とを備える。凝縮器15は、上下方向に伸びる中空筒体で形成される左右一対のヘッダ21・22と、これらヘッダ21・22どうしを繋ぐ、上下方向に並設された多数本のチューブ23で構成されるチューブ群27とを備え、左右のヘッダ21・22の前端縁はチューブ群27よりも前方に突出されている。そして、支持構造54が、凝縮器15よりも前方に位置して、フィルター48の下端を支持するユニットベース17の上面と、凝縮器15の上端前側に設けられて、フィルター48の上端縁を支持する上支持体55と、凝縮器15よりも前方に位置するユニットベース17に固定されて、フィルター48の下端前面を支持する下支持体56と、フィルター48の後面を支持する凝縮器15のチューブ群27と、フィルター48の左右縁を支持する凝縮器15の左右のヘッダ21・22の前端縁とで構成されていることを特徴とする。
【0007】
凝縮器15の後方には、前後方向に伸びるダクト36を形成する導風枠37が形成されている。導風枠37は、ユニットベース17から上方に延設される左右一対の側壁38・39と、各側壁38・39の上端どうしを接続する天壁40と、一対の側壁38・39と天壁40とユニットベース17とで画成されるダクト36の後開口を塞ぐ後壁41とを備えている。後壁41は前後に貫通する排気口43を備え、該排気口43に臨んで軸流ファンからなる冷却ファン16が設けられている。左ヘッダ21と左側壁38との間、及び右ヘッダ22と右側壁39との間に、通気隙間45が形成されている。
【0008】
平面視における凝縮器15と導風枠37とは、凝縮器15の左右方向の中心軸と導風枠37の左右方向の中心軸とが一致する状態で前後に配設されている。左右のヘッダ21・22の心々寸法をW1と規定し、左右のヘッダ21・22の内法寸法をW2と規定し、左右の側壁38・39の対向寸法をW3と規定したとき、対向寸法W3は内法寸法W2と同じ、或いはそれよりも大きく形成され、かつ対向寸法W3は心々寸法W1と同じ、或いは小さく形成されていることが好ましい。
【0009】
上支持体55は、フィルター48の上方への移動を規制する水平な第1支持壁57と、第1支持壁57の前端から下向きに連設されて、フィルター48の前方への移動を規制する第2支持壁58とを備えている。導風枠37の天壁40が凝縮器15の上方まで延設されて、天壁40の前端に第1支持壁57と第2支持壁58とが一体に形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、凝縮器15よりも前方に位置して、フィルター48の下端を支持するユニットベース17の上面と、凝縮器15の上端前側に設けられて、フィルター48の上端縁を支持する上支持体55と、凝縮器15よりも前方に位置するユニットベース17に固定されて、フィルター48の下端前面を支持する下支持体56と、フィルター48の後面を支持する凝縮器15のチューブ群27と、フィルター48の左右縁を支持する凝縮器15の左右のヘッダ21・22の前端縁とで、フィルター48を収容支持する支持構造54を構成した。これによれば、ユニットベース17、並びに凝縮器15の構成要素であるチューブ群27及び左右のヘッダ21・22などで支持構造54を構成したので、フィルター48を支持するための専用の部材を廃して支持構造54の簡素化を図ることができる。冷却庫のコスト削減にも貢献できる。なお、チューブ群27を構成するチューブ23、或いは左右のヘッダ21・22は、その内部に加圧された冷媒の流路が形成されているため、支持構造54の要素となり得るだけの十分な曲げや歪に対する耐性を備えている。
【0011】
支持構造54内にフィルター48を収容したとき、フィルター48の前方への移動は上支持体55と下支持体56とで規制され、フィルター48の後方への移動はチューブ群27で規制される。また、フィルター48の下方への移動はユニットベース17で規制され、フィルター48の上方への移動は上支持体55で規制される。さらに、フィルター48の左右方向の移動は、各ヘッダ21・22の前端縁で規制される。以上のように、本発明によれば、支持構造54の簡素化を図りながら、前後、上下、および左右の六方向にフィルター48が移動することを確実に規制することができるので、支持構造54内でフィルター48が不用意に位置ずれすることはない。したがって、本発明によれば、信頼性に優れた支持構造54を得ることができる。
【0012】
凝縮器15の後方には、前後方向に伸びるダクト36を形成する導風枠37が形成されており、導風枠37は、ユニットベース17から上方に延設される左右一対の側壁38・39と、各側壁38・39の上端どうしを接続する天壁40と、一対の側壁38・39と天壁40とユニットベース17とで画成されるダクト36の後開口を塞ぐ後壁41とを備えており、後壁41は排気口43を備え、該排気口43に臨んで軸流ファンからなる冷却ファン16が設けられていると、冷却ファン16の駆動によって生じる負圧を、ダクト36を介して凝縮器15に作用させて、凝縮器15を前後方向に通過する冷却用の空気流を適正に形成することができるので、凝縮器15による熱交換効率を向上させることができる。
【0013】
左ヘッダ21と左側壁38との間、及び右ヘッダ22と右側壁39との間に通気隙間45が形成されていると、捕集された塵埃等によりフィルター48が目詰まりして通気抵抗が増大し、十分な冷却用空気がフィルター48を通過できなくなった場合でも、左右の通気隙間45を介して凝縮器15の周囲空気をダクト36内へと取り込むことができる。凝縮器15の周囲空気が通気隙間45を通過する際には、通気隙間45を通過する空気と各ヘッダ21・22との間で熱交換が行われるため、チューブ群27を通過する冷却用空気の流量がフィルター48の目詰まりにより減少した場合でも、各ヘッダ21・22部分で熱交換を行って冷媒を凝縮することができる。通気隙間45を介して凝縮器15の周囲空気をダクト36内へと取り込むことにより、冷却ファン16から後方へ吹き出される空気の流速が低下すること抑えることができるので、冷却ファン16よりも下流側の空気流の直進性が損なわれて、冷却ファン16から吹き出された直後の空気が凝縮器15側へと回り込むショートサイクルを防ぐことができる。
【0014】
平面視における凝縮器15と導風枠37とを、凝縮器15の左右方向の中心軸と導風枠37の左右方向の中心軸とが一致する状態で前後に配設したとき、左右の側壁38・39の対向寸法W3が、左右のヘッダ21・22の内法寸法W2と同じ、或いはそれよりも大きく形成されていると、チューブ群27の左右方向の全体に、ダクト36の前開口を臨ませることができるので、冷却ファン16の駆動により生じる負圧をチューブ群27の左右方向の全体に作用させることができる。これにより、チューブ群27の左右全体にわたって冷却用の空気流を形成して、凝縮器15の熱交換効率を向上させることができる。
【0015】
一方、左右の側壁38・39の対向寸法W3が、左右のヘッダ21・22の心々寸法W1と同じ、或いはそれよりも小さく形成されていると、ダクト36の前開口を凝縮器15の左右幅の内側に臨ませることができるので、凝縮器15の左右外側から直接ダクト36内に空気が流入することを抑制して、チューブ群27を通過する冷却用空気の流量をより増大させて、凝縮器15の熱交換効率をより向上させることができる。また、通気隙間45を介して凝縮器15の周囲空気がダクト36内へと至る際に、周囲空気を各ヘッダ21・22の後半部における外側半部と内側半部の一部を回り込んだのちダクト36内へ流入させることができるので、通気隙間45を通過する空気が、各ヘッダ21・22との間で熱交換を行うことができる領域を拡大して、各ヘッダ21・22部分における熱交換効率を向上させることができる。
【0016】
上支持体55は、フィルター48の上方への移動を規制する水平な第1支持壁57と、第1支持壁57の前端から下向きに連設されて、フィルター48の前方への移動を規制する第2支持壁58とを備えており、導風枠37の天壁40が凝縮器15の上方まで延設されて、天壁40の前端に第1支持壁57と第2支持壁58とが一体に形成されていると、凝縮器15まわりに設置される部材点数を減らすことができるので、フィルター48の支持構造54をより簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る冷却庫のフィルターの支持構造の横断平面図である。
【
図5】凝縮器と導風枠との配設状態を示す横断平面図ある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態)
図1から
図7に、本発明の冷却庫を冷蔵オープンショーケースに適用した実施形態を示す。本実施形態における前後、左右、上下とは、
図1から
図4に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
図2において冷蔵オープンショーケース(以下、単に「ショーケース」と記す。)は、前面に開口を有する断熱箱体からなるケース本体1と、ケース本体1の下面を支持する基台2とを備える。ケース本体1で囲まれる庫内は、側面視コ字状の内ケース3により陳列室4と循環通路5とに区画されている。前方へ開口する陳列室4には、陳列対象である食品や飲料などの商品を載置するための陳列棚6が上下多段状に設置されている。
【0019】
循環通路5は、陳列室4を三方から取り囲むように側面視コ字状に形成されている。循環通路5には、同通路5内に空気流を形成するための循環ファン7と、同通路5を流れる空気を冷却するための蒸発器8とが設けられている。循環通路5の上部前端には下向きの吹出口9が設けられ、同通路5の下部前端には上向きの吸込口10が設けられている。循環ファン7が駆動することにより、蒸発器8で冷却された冷気が吹出口9から吸込口10へ下向きに吹き出されて、陳列室4の前面に冷気のエアカーテンが形成される。このエアカーテンにより、陳列室4内への外気の侵入が遮断される。また、陳列室4の空気は冷却される。
【0020】
基台2内に形成された機械室13には、先の蒸発器8と共に冷凍サイクルを構成する圧縮機14及び凝縮器15と、これら両者(圧縮機14と凝縮器15)の冷却用の空気流を生起する冷却ファン16などが設置されている。これらの機器は、前側から後側に向かって凝縮器15、冷却ファン16、圧縮機14の順に、四角盤状のユニットベース17の上面に固定された状態で機械室13内に収容される。機械室13の前面には、基台2に対して着脱自在に機械室パネル18が装着されており、機械室パネル18を基台2から分離することで機械室13の前面を開放することができ、機械室パネル18を基台2に装着することで機械室13の前面を閉鎖することができる。機械室パネル18には、機械室13内に空気を取り込むための吸気孔が形成されており、機械室13の後側の隔壁には、機械室13内の空気を排出するための排気孔が形成されている。
【0021】
図1及び
図4に示すように、凝縮器15は、上下方向に伸びる左右一対のヘッダ(左ヘッダ21と右ヘッダ22)と、これらヘッダ21・22どうしを繋いで水平に伸びる多数本のチューブ23と、上下に隣接するチューブ23・23の間にそれぞれ配される放熱用のフィン24とを備える、マイクロチャンネル熱交換器で構成されている。
図3に示すように、各チューブ23は、上下方向の肉厚寸法の小さな扁平状に形成されている。左右のヘッダ21・22の上端部どうしの間には上フレーム25が架設され、左右のヘッダ21・22の下端部どうしの間には下フレーム26が架設されており、これら上下のフレーム25・26により凝縮器15は補強されている。
図3において符号27は、上下のフレーム25・26間において上下方向に並列状に配設された多数本のチューブ23により構成されるチューブ群27を示す。チューブ群27の前端と上下のフレーム25・26の前端は、垂直な同一平面上に配されている。同様に、チューブ群27の後端と上下のフレーム25・26の後端とは、垂直な同一平面上に配されている。各チューブ23の内部には、表面張力の影響が現れる数ミリ径以下の多数のチャンネル28(冷媒の流路)が前後方向に並列状に形成されている(
図6参照)。
図4に示すように、各フィン24は波状に湾曲しており、上下のチューブ23・23に当接している。
【0022】
図1及び
図5に示すように、左右のヘッダ21・22は、中空円筒状に形成されている。
図4に示すように、右ヘッダ22は、その上下中央より下側に配された仕切り29により、上側の上流部と下側の下流部とに区分されている。右ヘッダ22の上流部には、圧縮機14から吐出された高圧の気体状の冷媒を受け入れる入口管30が接続されており、右ヘッダ22の下流部には、凝縮器15で凝縮された液体状の冷媒を吐出する出口管31が接続されている。入口管30から右ヘッダ22の上流部に流入した冷媒は、右ヘッダ22の上流部と左ヘッダ21とを繋ぐ各チューブ23のチャンネル28を流れて左ヘッダ21へと至り、左ヘッダ21に流入した冷媒は、左ヘッダ21と右ヘッダ22の下流部とを繋ぐ各チューブ23のチャンネル28を流れて右ヘッダ22の下流部へと至る。右ヘッダ22の上流部から右ヘッダ22の下流部へと至る間に冷媒は凝縮され、凝縮後の冷媒は出口管31から吐出される。
【0023】
図5に示すように、中空円筒状の左右のヘッダ21・22の外形寸法は、同一に形成されている。一方、チューブ23の前後方向の幅寸法は、左右のヘッダ21・22の外形寸法よりも小さく形成されている。このような寸法関係に加え、平面視においてチューブ23の前後方向の中心軸線上に左右のヘッダ21・22の中心を配することにより、左右のヘッダ21・22の前端縁は、チューブ群27よりも前方に突出され、左右のヘッダ21・22の後端縁は、チューブ群27よりも後方に突出されている。また、フィン24の前後方向の幅寸法は、チューブ23の前後方向の幅寸法よりも小さく形成されている。このように構成された凝縮器15は、下フレーム26の下面に固定された左右一対の固定片32がビス33でユニットベース17に締結されることにより、ユニットベース17上に固定されている(
図3参照)。
【0024】
図1及び
図3に示すように凝縮器15の後方には、前後方向に伸びるダクト36を形成する導風枠37が形成されている。導風枠37は、ユニットベース17から上方に延設される一対の側壁(左側壁38と右側壁39)と、各側壁38・39の上端どうしを接続する天壁40と、これら壁38・39・40とユニットベース17とで区画されるダクト36の後開口を塞ぐ後壁41と、ユニットベース17の上面に沿って各壁38・39・40の下端に張り出し形成される固定壁42とを備える。後壁41には、丸孔からなるダクト36の排気口43が前後貫通状に形成されており、この排気口43に臨んで冷却ファン16が後壁41に固定されている。左右の側壁38・39は平行に配されており、天壁40は両側壁38・39よりも前方へ延設されて、凝縮器15の上方まで伸びている。導風枠37は、平面に展開された形状に切抜き加工された金属板材に曲げ加工が施され、後述する上支持体55を含んで一体的に形成される。
【0025】
導風枠37は、各固定壁42がビス44でユニットベース17に締結され、さらに天壁40の前端が凝縮器15の上フレーム25にビス44で締結されることにより、ユニットベース17上に固定されている。ユニットベース17及び凝縮器15に固定された導風枠37は、ダクト36の前開口が凝縮器15の後面と正対している。また、
図5に示すように、凝縮器15と導風枠37とは、左ヘッダ21と左側壁38の前縁との間、及び右ヘッダ22と右側壁39の前縁との間に、それぞれ通気隙間45が形成された状態で前後に配設される。各通気隙間45は、前後幅が上下方向で均一に形成されている。
【0026】
冷却ファン16は軸流ファンからなり、冷却ファン16が駆動することにより、後向きの冷却用の空気流が生起される。この空気流は、チューブ群27を前後方向に通過して凝縮器15を冷却したのち、ダクト36の前開口からその内部へ流入する。さらに空気流は、排気口43を介して冷却ファン16から後方へと吹き出されたのち、圧縮機14へと至りこれを冷却する。
図1及び
図3に示すように、凝縮器15の前面には、冷却用空気に含まれる塵埃等を捕集するための矩形状のフィルター48が装着されており、このフィルター48で上下のチューブ23・23の間に塵埃等が膠着するのを防いでいる。フィルター48は、格子枠状のフィルター枠49と、フィルター枠49で保形される通気性を有する捕集ネット50とで構成されている。フィルター枠49の前面下部には、フィルター48の着脱時に手指で摘まむための摘み片51が前向きに突設されている。
【0027】
フィルター48は、凝縮器15の前方に形成された支持構造54で収容支持されている。具体的には、支持構造54は、凝縮器15よりも前方に位置して、フィルター48の下端を支持するユニットベース17の上面と、凝縮器15の上端前側に設けられて、フィルター48の上端縁を支持する上支持体55と、凝縮器15よりも前方に位置するユニットベース17に固定されて、フィルター48の下端前面を支持する下支持体56と、フィルター48の後面を支持する凝縮器15のチューブ群27と、フィルター48の左右縁を支持する凝縮器15の左右のヘッダ21・22の前端縁とで構成されている。
【0028】
支持構造54内にフィルター48を収容したとき、フィルター48の上下の前面は上支持体55と下支持体56とで受け止められ、フィルター48の後面はチューブ群27で受け止められる。また、フィルター48の上面は上支持体55で受け止められ、フィルター48の下面はユニットベース17で受け止められる。さらに、フィルター48の左右面は、左右のヘッダ21・22の前端縁で受け止められる。なお、チューブ群27を構成するチューブ23、或いは左右のヘッダ21・22は、その内部に加圧された冷媒の流路が形成されているため、支持構造54の要素となり得るだけの十分な曲げや歪に対する耐性を備えている。
【0029】
図6に示すように上支持体55は、導風枠37の天壁40に連続する水平な第1支持壁57と、第1支持壁57の前端から下向きに連設される第2支持壁58とを備えている。フィルター48は、フィルター枠49の上面が第1支持壁57の内面で受け止められ、フィルター枠49の上部前面が第2支持壁58の内面で受け止められて、凝縮器15に対して上方及び前方への移動が規制されている。第1と第2の支持壁57・58は天壁40(導風枠37)と一体に形成されており、天壁40に連続して上フレーム25から前方へ伸びる部分が第1支持壁57とされている。第2支持壁58は、前方に下り傾斜する傾斜壁で形成されている。
【0030】
凝縮器15の上フレーム25と第1支持壁57と第2支持壁58とで、下向きに開口する差込み溝59が形成されており、凝縮器15の前面に対するフィルター48の装着時において、差込み溝59にはフィルター枠49の上枠部分が差し込まれる。差込み溝59は、その溝底部分の前後方向の溝幅がフィルター枠49の厚み寸法に略一致しており、下側の開口部分に向かって前後方向の溝幅が漸次大きくなっている。第1支持壁57の下面とユニットベース17の上面との上下方向の高さ寸法は、フィルター枠49の上下方向の高さ寸法より僅かに大きく設定されている。なお、フィルター48及び第1支持壁57との間、並びにフィルター48及び第2支持壁58との間には、差込み溝59の形状に起因して僅かに隙間が形成される。
【0031】
図7に示すように下支持体56は、ユニットベース17の上面に突出形成されており、本実施形態の下支持体56は、ユニットベース17にねじ込まれたビスの操作頭部で構成されている。フィルター48は、フィルター枠49の下部の前面が下支持体56の後端で受け止められて、凝縮器15に対して前方向への移動が規制されている。下支持体56の後端とチューブ群27の前端部分との間隔は、フィルター枠49の厚み寸法と略一致している。
【0032】
冷却ファン16が駆動されたとき、ダクト36の前開口は凝縮器15の後面と正対しているので、冷却ファン16によって生じた負圧は、ダクト36を介して凝縮器15つまりチューブ群27に対して作用する。このとき、捕集ネット50に捕集された塵埃が少なく、フィルター48の通気抵抗が比較的小さい時には、冷却ファン16により生起された冷却用の空気流は、フィルター48及びチューブ群27を通過してダクト36に流入し、凝縮器15の周囲空気が通気隙間45からダクト36へ流入する量は比較的少量である。但し、捕集ネット50で塵埃が捕集され、フィルター48の通気抵抗が大きくなるにつれて、凝縮器15の周囲空気が通気隙間45からダクト36へ流入する割合は多くなる。このとき、通気隙間45を通過する凝縮器15の周囲空気は各ヘッダ21・22に沿ってダクト36へ流入するので、通気隙間45を通過する空気と各ヘッダ21・22との間では熱交換が行われる。
【0033】
凝縮器15と導風枠37とは、平面視において凝縮器15の左右方向の中心軸と導風枠37の左右方向の中心軸とが一致する状態で前後に配設されている。
図5において左右のヘッダ21・22の心々寸法をW1と規定し、左右のヘッダ21・22の内法寸法をW2と規定し、左右の側壁38・39の対向寸法をW3と規定したとき、対向寸法W3は、内法寸法W2と同じ、或いはそれよりも大きく形成されていることが好ましい。また、対向寸法W3は、心々寸法W1と同じ、或いはそれよりも小さく形成されていることが好ましい。
【0034】
本実施形態では、左右の側壁38・39の対向寸法W3を、左右のヘッダ21・22の内法寸法W2よりも大きく形成することによって、チューブ群27の左右方向の全体にダクト36の前開口を臨ませている。これによれば、冷却ファン16の駆動により生じる負圧をチューブ群27の左右方向の全体に作用させることができる。また、左右の側壁38・39の対向寸法W3を、左右のヘッダ21・22の心々寸法W1よりも小さく形成することによって、平面視において左ヘッダ21の中心に対して左側壁38を右側に配設し、右ヘッダ22の中心に対して右側壁39を左側に配設している(
図5参照)。これによれば、通気隙間45を介してダクト36内へと至る凝縮器15の周囲空気を、各ヘッダ21・22の後半部における外側半部と内側半部の一部を回り込んだのちダクト36内へ流入させることができる。
【0035】
支持構造54へフィルター48を収容する際には、まず、摘み片51を手指で摘まみ、凝縮器15の前方側からフィルター枠49の上枠部分(フィルター48の上縁)を差込み溝59の溝奥まで差し込む。次いで、差込み溝59に差込まれたフィルター枠49の上枠部分を支点に、フィルター48の下端を後方へと揺動させ、フィルター枠49をチューブ群27に密着させる。最後に、フィルター48全体を下方に移動させて、フィルター枠49の下枠部分(フィルター48の下縁)をチューブ群27と下支持体56との間に係止させる(
図6及び
図7の想像線参照)。これにより、支持構造54でフィルター48を収容支持することができる。
【0036】
支持構造54で収容支持されているフィルター48を取り外す時には、まず、摘み片51を手指で摘まみ、フィルター48の全体を上方に持ち上げて、下支持体56による係止を解除する。次いで、差込み溝59に差込まれたフィルター枠49の上枠部分を支点に、フィルター48の下端を前方へと揺動させる。最後に、フィルター枠49の上枠部分を差込み溝59から抜き出すことにより、支持構造54からフィルター48を取り外すことができる。
【0037】
以上のように、本実施形態においては、フィルター48を収容支持する支持構造54を、凝縮器15よりも前方に位置して、フィルター48の下端を支持するユニットベース17の上面と、凝縮器15の上端前側に設けられて、フィルター48の上端縁を支持する上支持体55と、凝縮器15よりも前方に位置するユニットベース17に固定されて、フィルター48の下端前面を支持する下支持体56と、フィルター48の後面を支持する凝縮器15のチューブ群27と、フィルター48の左右縁を支持する凝縮器15の左右のヘッダ21・22の前端縁とで構成した。これによれば、ユニットベース17、並びに凝縮器15の構成要素であるチューブ群27及び左右のヘッダ21・22などで支持構造54を構成したので、フィルター48を支持するための専用の部材を廃して支持構造54の簡素化を図ることができる。ショーケースのコスト削減にも貢献できる。
【0038】
上記のような構造によれば、支持構造54内にフィルター48を収容したとき、フィルター48の前方への移動は上支持体55と下支持体56とで規制され、フィルター48の後方への移動はチューブ群27で規制される。また、フィルター48の下方への移動はユニットベース17で規制され、フィルター48の上方への移動は上支持体55で規制される。さらに、フィルター48の左右方向の移動は、各ヘッダ21・22の前端縁で規制される。以上のように、本実施形態によれば、支持構造54の簡素化を図りながら、前後、上下、および左右の六方向にフィルター48が移動することを確実に規制することができるので、支持構造54内でフィルター48が不用意に位置ずれすることはない。したがって、本実施形態によれば、信頼性に優れたフィルター48の支持構造54を得ることができる。
【0039】
後壁41は導風枠37で形成される前後方向に伸びるダクト36の排気口43を備え、該排気口43に臨んで軸流ファンからなる冷却ファン16を設けたので、冷却ファン16の駆動によって生じる負圧を、ダクト36を介して凝縮器15に作用させて、凝縮器15を前後方向に通過する冷却用の空気流を適正に形成して、凝縮器15による熱交換効率を向上させることができる。
【0040】
左ヘッダ21と左側壁38との間、及び右ヘッダ22と右側壁39との間に通気隙間45を形成したので、捕集された塵埃等によりフィルター48が目詰まりして通気抵抗が増大し、十分な冷却用空気がフィルター48を通過できなくなった場合でも、左右の通気隙間45を介して凝縮器15の周囲空気をダクト36内へと取り込むことができる。凝縮器15の周囲空気が通気隙間45を通過する際には、通気隙間45を通過する空気と各ヘッダ21・22との間で熱交換が行われるため、チューブ群27を通過する冷却用空気の流量がフィルター48の目詰まりにより減少した場合でも、各ヘッダ21・22部分で熱交換を行って冷媒を凝縮することができる。通気隙間45を介して凝縮器15の周囲空気をダクト36内へと取り込むことにより、冷却ファン16から後方へ吹き出される空気の流速が低下すること抑えることができるので、冷却ファン16よりも下流側の空気流の直進性が損なわれて、冷却ファン16から吹き出された直後の空気が凝縮器15側へと回り込むショートサイクルを防ぐことができる。
【0041】
平面視における凝縮器15と導風枠37とを、凝縮器15の左右方向の中心軸と導風枠37の左右方向の中心軸とが一致する状態で前後に配設したうえで、左右の側壁38・39の対向寸法W3を、左右のヘッダ21・22の内法寸法W2よりも大きく形成したので、チューブ群27の左右方向の全体に、ダクト36の前開口を臨ませて、冷却ファン16の駆動により生じる負圧をチューブ群27の左右方向の全体に作用させることができる。これにより、チューブ群27の左右全体にわたって冷却用の空気流を形成して、凝縮器15の熱交換効率を向上させることができる。
【0042】
一方、左右の側壁38・39の対向寸法W3を、左右のヘッダ21・22の心々寸法W1よりも小さく形成したので、ダクト36の前開口を凝縮器15の左右幅の内側に臨ませることができる。これによれば、凝縮器15の左右外側から直接ダクト36内に空気が流入することを抑制して、チューブ群27を通過する冷却用空気の流量をより増大させて、凝縮器15の熱交換効率をより向上させることができる。また、通気隙間45を介して凝縮器15の周囲空気がダクト36内へと至る際に、周囲空気を各ヘッダ21・22の後半部における外側半部と内側半部の一部を回り込んだのちダクト36内へ流入させることができるので、通気隙間45を通過する空気が、各ヘッダ21・22との間で熱交換を行うことができる領域を拡大して、各ヘッダ21・22部分における熱交換効率を向上させることができる。
【0043】
上支持体55は、フィルター48の上方への移動を規制する水平な第1支持壁57と、第1支持壁57の前端から下向きに連設されて、フィルター48の前方への移動を規制する第2支持壁58とを備え、導風枠37の天壁40が凝縮器15の上方まで延設されて、天壁40の前端に第1支持壁57と第2支持壁58とを一体に形成したので、凝縮器15まわりに設置される部材点数を減らして、フィルター48の支持構造54をより簡素化することができる。
【0044】
凝縮器15と第1支持壁57と第2支持壁58とで、下向きに開口する差込み溝59を形成し、第2支持壁58を、前方に下り傾斜する傾斜壁で形成したので、フィルター48の差込み始端となる差込み溝59の開口部分の前後方向の溝幅を溝底部分に比べて大きく形成して、差込み溝59に対するフィルター48の抜き差し操作を容易化することができる。
【0045】
凝縮器15の構成は、上記実施形態に示したものに限られない。上記実施形態では、各ヘッダ21・22を断面円形の筒体で構成したが、各ヘッダ21・22の断面形状は楕円形或いは多角形であってもよい。本発明は、リーチイン型ショーケース、縦型或いは横型の業務用冷蔵庫などにも適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
15 凝縮器
16 冷却ファン
17 ユニットベース
21 左ヘッダ
22 右ヘッダ
23 チューブ
27 チューブ群
36 ダクト
37 導風枠
38 左側壁
39 右側壁
40 天壁
41 後壁
43 排気口
45 通気隙間
48 フィルター
54 支持構造
55 上支持体
56 下支持体
57 第1支持壁
58 第2支持壁
W1 左右のヘッダの心々寸法
W2 左右のヘッダの内法寸法
W3 左右の側壁の対向寸法