(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025171040
(43)【公開日】2025-11-20
(54)【発明の名称】制御回路ユニット
(51)【国際特許分類】
H05K 5/03 20060101AFI20251113BHJP
H05K 5/06 20060101ALI20251113BHJP
H05K 7/14 20060101ALI20251113BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20251113BHJP
H05K 5/00 20250101ALI20251113BHJP
H01R 12/72 20110101ALI20251113BHJP
【FI】
H05K5/03 B
H05K5/06 D
H05K7/14 E
H05K7/20 B
H05K5/00 A
H01R12/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024076005
(22)【出願日】2024-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】関口 眞一
(72)【発明者】
【氏名】北岡 竜也
(72)【発明者】
【氏名】八島 寛
【テーマコード(参考)】
4E360
5E223
5E322
5E348
【Fターム(参考)】
4E360AA02
4E360AB33
4E360AB64
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5E223AA21
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5E348AA13
5E348AA14
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5E348AA40
(57)【要約】
【課題】部品点数を減少できると共に、基板を保護する耐水機能、耐振機能及び放熱機能を確保した上で、密封樹脂を形成するための封止工程を廃止して製造コストを低減できる制御回路ユニットを提供する。
【解決手段】外部の機器類と接続される端子金具6を内蔵した端子内蔵部3aと、端子内蔵部3aに一体形成されて筒状をなして、一端に開口部を有する基板収容室3bとを備えたメスコネクタ3に接続される制御回路ユニット1であって、電子部品2bが実装されて制御回路として機能すると共に、電子部品2bと電気的に接続された端子部2cが設けられ、端子部2c側から開口部を経て基板収容室3b内に挿入・配置されて、端子部2cが端子金具6に接続される基板2と、内面を基板2に対して係合させると共に、開口部を閉鎖して、基板収容室3b内に基板2を封止するように構成された蓋体4とを備えた。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の機器類と接続される端子金具を内蔵した端子内蔵部と、前記端子内蔵部に一体形成されて筒状をなして、一端に開口部を有する基板収容室とを備えたメスコネクタに接続される制御回路ユニットであって、
電子部品が実装されて制御回路として機能すると共に、前記電子部品と電気的に接続された端子部が設けられ、前記端子部側から前記開口部を経て前記基板収容室内に挿入・配置されて、前記端子部が前記端子金具に接続される基板と、
内面を前記基板に対して係合させると共に、前記開口部を閉鎖して、前記基板収容室内に前記基板を封止するように構成された蓋体と、
を備えたことを特徴とする制御回路ユニット。
【請求項2】
前記蓋体は、前記内面に基板溝が形成され、
前記基板は、前記基板収容室内に挿入される方向と反対側の端部が前記基板溝内に嵌め込まれている
ことを特徴とする請求項1に記載の制御回路ユニット。
【請求項3】
環状をなして前記蓋体と前記開口部との間に介装されて前記基板収容室内を液密保持するように構成されたパッキンをさらに備え、
前記蓋体の内面には、前記基板溝に隣接して凹部が形成され、
前記パッキンは、前記凹部内に嵌め込まれて、前記基板の上面または下面の何れかに弾性をもって当接する押圧部が一体形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の制御回路ユニット。
【請求項4】
前記蓋体の周囲全体に形成されたパッキン溝と、
環状をなして前記パッキン溝内に嵌め込まれ、前記蓋体と前記開口部との間に介装されて前記基板収容室内を液密保持するように構成されたパッキンと、をさらに備え、
前記蓋体は、前記パッキン溝の内部と前記基板溝の内部とを連通させる連通路が形成され、
前記パッキンは、前記連通路内に嵌め込まれて、前記基板の上面または下面の何れかに弾性をもって当接する押圧部が一体形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の制御回路ユニット。
【請求項5】
前記基板の前記端部と共に前記基板溝内に配設される弾性押圧片をさらに備え、
前記弾性押圧片は、自己の弾性により前記基板溝内で拡張して前記基板の上面または下面の何れかに弾性をもって当接する押圧部が一体形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の制御回路ユニット。
【請求項6】
前記蓋体は、熱伝導性フィラーが配合された熱伝導樹脂で製作されている
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の制御回路ユニット。
【請求項7】
前記蓋体の内面に、前記基板の端部が脱着不能に固定されている
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の制御回路ユニット。
【請求項8】
前記基板の前記端子部は、カードエッジコネクタである
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の制御回路ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御回路ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の制御回路ユニットは、例えば自動二輪車に搭載されたエンジンを制御するために使用される。制御回路ユニットは、電子部品モジュールを備える。自動二輪車に搭載されたエンジンの燃料噴射弁や点火装置、或いは各種センサ類はハーネスを介してメスコネクタに接続されており、このメスコネクタに制御用の基板を備えた電子部品モジュールが脱着可能に接続される。これにより、各種センサ類からの検出情報がハーネス及びメスコネクタを介して基板に入力され、それに基づき基板から出力される駆動信号により燃料噴射弁や点火装置が駆動されてエンジンの燃料噴射や点火時期が制御される。
【0003】
例えば特許文献1に記載の技術では、ECUケース内に電子部品が実装された制御用の基板を密封樹脂で封止することにより、電子部品モジュールが構成されている。詳しくは、ECUケースの一側には基板収容室が開口形成され、他側にはメスコネクタが嵌合するコネクタ嵌合部が開口形成され、基板収容室とコネクタ嵌合部との間の隔壁にはスリットが貫通している。基板は、開口部から基板収容室内に挿入されて密封樹脂で封止されると共に、基板の先端に設けられたカードエッジコネクタが、スリットを介してコネクタ嵌合部側に突出している。このような電子部品モジュールのコネクタ嵌合部にメスコネクタが接続されると、メスコネクタの端子金具が基板のカードエッジコネクタと接続され、基板により車両のエンジンを制御可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載の制御回路ユニットは、部品点数が多く且つ製造工程が煩雑であることから、製造コストの面で改良の余地があった。
【0006】
まず、部品点数について、制御回路ユニットは、電子部品モジュールを構成するECUケース、基板、密封樹脂を備える。部品点数が多くなるほど射出成形等の材料費が高騰すると共に、個々の構成部品の組付工数が増加するため、製造コストの観点から部品点数の減少が望まれる。
【0007】
また、製造工程について、各構成部品を単に組み付けるだけでなく、基板収容室内に基板を密封樹脂で封止する封止工程を要する。例えば特許文献1の技術では、以下の手順で封止工程が実施される。
【0008】
まず、コネクタ嵌合部を上方に向けた姿勢にECUケースを保ち、その開口部からコネクタ嵌合部内に注入ノズルを挿入し、スリットの周囲に第1樹脂剤を注入する。第1樹脂剤が硬化して第1密封樹脂を形作ると、スリットと基板との間隙が塞がれる。次いで、ECUケースの姿勢を上下に反転させ、上方に向いた基板収容室の開口部から内部に基板を挿入する。その後に、開口部から基板収容室内に注入ノズルを挿入して第2樹脂剤を注入する。第2樹脂剤が硬化して基板収容室内で第2密封樹脂を形作ると、その内部に基板が封止される。
【0009】
封止工程は、このような煩雑な操作を要する上に、第1及び第2樹脂剤が硬化するまでの待機時間を要するため作業効率が悪い。このため、製造コストの観点から封止工程を廃止することが望まれる。
【0010】
しかしながら、第2密封樹脂は、封止している基板を水分等から保護する耐水機能、基板を振動から保護する耐振機能、及び基板上の電子部品の熱を外部に逃がす放熱機能を奏する重要な部品である。従って、これらの機能を確保するために封止工程を廃止することはできなかった。
【0011】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、部品点数を減少できると共に、基板を保護する耐水機能、耐振機能及び放熱機能を確保した上で、密封樹脂を形成するための封止工程を廃止でき、これにより製造コストを低減することができる制御回路ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明の制御回路ユニットは、外部の機器類と接続される端子金具を内蔵した端子内蔵部と、端子内蔵部に一体形成されて筒状をなして、一端に開口部を有する基板収容室とを備えたメスコネクタに接続される制御回路ユニットであって、電子部品が実装されて制御回路として機能すると共に、電子部品と電気的に接続された端子部が設けられ、端子部側から開口部を経て基板収容室内に挿入・配置されて、端子部が端子金具に接続される基板と、内面を基板に対して係合させると共に、開口部を閉鎖して、基板収容室内に基板を封止するように構成された蓋体と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
その他の態様として、蓋体の内面に基板溝が形成され、基板の基板収容室内に挿入される方向と反対側の端部が基板溝内に嵌め込まれていてもよい。
【0014】
その他の態様として、環状をなして蓋体と開口部との間に介装されて基板収容室内を液密保持するように構成されたパッキンをさらに備え、蓋体の内面に、基板溝に隣接して凹部が形成され、パッキンに、凹部内に嵌め込まれて、基板の上面または下面の何れかに弾性をもって当接する押圧部が一体形成されていてもよい。
【0015】
その他の態様として、蓋体の周囲全体に形成されたパッキン溝と、環状をなしてパッキン溝内に嵌め込まれ、蓋体と開口部との間に介装されて基板収容室内を液密保持するように構成されたパッキンと、をさらに備え、蓋体に、パッキン溝の内部と基板溝の内部とを連通させる連通路が形成され、パッキンに、連通路内に嵌め込まれて、基板の上面または下面の何れかに弾性をもって当接する押圧部が一体形成されていてもよい。
【0016】
その他の態様として、基板の反挿入側の端部と共に基板溝内に配設される弾性押圧片をさらに備え、弾性押圧片に、自己の弾性により基板溝内で拡張して基板の上面または下面の何れかに弾性をもって当接する押圧部が一体形成されていてもよい。
【0017】
その他の態様として、蓋体が、熱伝導性フィラーが配合された熱伝導樹脂で製作されていてもよい。
【0018】
その他の態様として、蓋体の内面に、基板の端部が脱着不能に固定されていてもよい。
【0019】
その他の態様として、基板の端子部が、カードエッジコネクタであってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の制御回路ユニットによれば、部品点数を減少できると共に、基板を保護する耐水機能、耐振機能及び放熱機能を確保した上で、密封樹脂を形成するための封止工程を廃止でき、これにより製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態の制御回路ユニットをメスコネクタ側から見た斜視図である。
【
図3】制御回路ユニットを蓋体側から見た斜視図である。
【
図9】基板に対するパッキン及び基板保持部の関係を示す
図4の部分拡大断面図である。
【
図10】パッキン溝及び押圧溝にパッキンを嵌め込んだ状態を示す部分斜視図である。
【
図11】パッキン溝及び押圧溝からパッキンを分離した状態を示す部分斜視図である。
【
図12】パッキンの押圧部と蓋体の押圧溝及び基板保持部とを省略した別例1を示す
図7に対応する斜視図である。
【
図13】ヒートシンク部を省略した別例2を示す
図3に対応する斜視図である。
【
図14】パッキンの押圧部の形状を変更した別例3を示す
図9に対応する断面図である。
【
図15】別例3を示す
図7に対応する斜視図である。
【
図16】パッキンの押圧部に代えて弾性押圧片を用いた別例4を示す
図9に対応する断面図である。
【
図17】別例4を示す
図7に対応する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を自動二輪車用の制御回路ユニットに具体化した一実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の制御回路ユニットをメスコネクタ側から見た斜視図、
図2は、制御回路ユニットを示す分解斜視図、
図3は、制御回路ユニットを蓋体側から見た斜視図である。
【0023】
制御回路ユニット1は、制御回路として機能する基板2、及び基板2を自動二輪車に備えられたメスコネクタ3内に封止して保護する蓋体4から構成されている。本実施形態の基板2は、自動二輪車に搭載されたエンジンの制御回路(ECU)として機能する。このため、メスコネクタ3は自動二輪車に搭載された機器類、例えばエンジンの燃料噴射弁や点火装置、或いは各種センサ類等に対してハーネス5を介して接続されている。これらの機器類は、本発明の「外部の機器類」に相当する。メスコネクタ3に基板2が接続されると、各種センサ類からの検出情報がハーネス5及びメスコネクタ3を介して基板2に入力され、それに基づき基板2から出力される駆動信号により燃料噴射弁や点火装置が駆動されてエンジンの燃料噴射や点火時期が制御される。
【0024】
基板2は、略四角板状をなす基板本体2a、基板本体2a上に実装された電子部品2b、及び基板本体2aの一側に設けられた多数の接点2dからなるカードエッジコネクタ2cにより構成されている。
図2では、電子部品2bの一例として電解コンデンサが示されているが、その他にも多数の電子部品2bが実装されており、各電子部品2bは、基板2上の図示しない導体パターンを介してそれぞれカードエッジコネクタ2cの各接点2dと電気的に接続されている。カードエッジコネクタ2cは、本発明の「端子部」に相当する。
【0025】
後述する耐水機能を向上させるために、カードエッジコネクタ2cの部位を除いて基板2全体に防湿処理が施されている。例えば防湿処理には、スプレー、刷毛塗、どぶ付け等の手法が用いられ、これらの手法により基板2の表面にアクリル樹脂等からなる被膜を形成し、固化後の被膜により湿気から基板2を保護する。
【0026】
以下の説明では、
図2に示す姿勢に倣って基板本体2aの上側の面を上面、下側の面を下面と称し、基板本体2aの上下両面と直交する方向を上下方向と称する。また、メスコネクタ3に対して基板2が挿入・離脱される方向を基板挿脱方向と称し、上下方向及び基板挿脱方向とそれぞれ直交する方向を基板幅方向と称する。さらに、基板挿脱方向において、基板2が挿入される方向を挿入側、これと反対方向を反挿入側と称する。
【0027】
図4は、
図1のIV-IV線断面図、
図5は、
図4のV-V線断面図、
図6は、
図5のVI-VI線断面図である。
メスコネクタ3は上下に扁平な四角箱状をなし、その上面が電子部品2bとの干渉防止のために盛り上がった形状をなし、例えば、合成樹脂材料を射出成形して製作されている。メスコネクタ3は、多数の端子金具6を内蔵する端子内蔵部3a、及び端子内蔵部3aの反挿入側に一体形成されて、基板2の挿入方向に向けて開口した筒状をなす基板収容室3bからなる。基板収容室3bの基板幅方向の両側には、蓋体4を掛止するための掛止部7が一体形成されている。
【0028】
端子内蔵部3aの各端子金具6は、上下2段に整列配置されて基板収容室3b内に開口し、基板2のカードエッジコネクタ2cを上下の端子金具6の間に挿入可能となっている。端子内蔵部3aの内部には、自動二輪車の機器類から延設されたハーネス5の各リード線5aがシール部材8を介して挿入され、それぞれ端子金具6と電気的に接続されている。このシール部材8により各リード線5aの挿入部位が液密保持され、端子金具6やカードエッジコネクタ2cの接点2dの腐食防止が図られている。
【0029】
図5,6に示すように、基板収容室3b内の基板幅方向の両側には、それぞれガイド溝9及び段差部10が形成されている。基板2は、カードエッジコネクタ2c側から開口部を経て基板収容室3b内に挿入・配置されている。基板2の基板幅方向の両側は各ガイド溝9内に嵌め込まれ、これらのガイド溝9に案内されながら基板2が基板挿脱方向に沿って挿入されている。基板2の基板幅方向の両側には段差部11が形成され、これらの段差部11が基板収容室3b側の段差部10にそれぞれ当接して基板2を位置決めしている。この挿入状態において、基板2のカードエッジコネクタ2cは上下の端子金具6の間に挿入され、その接点2dが各端子金具6にそれぞれ接続されており、基板2の反挿入側の端部近傍を除いた大半の領域は基板収容室3b内に配設されている。
【0030】
図7は、蓋体4及びパッキンを示す斜視図、
図8は、
図7のA矢視図、
図9は、基板2に対するパッキン及び基板保持部の関係を示す
図4の部分拡大断面図である。
蓋体4はアルミ製であり、例えばアルミダイカストにより製作されている。
図5,7に示すように蓋体4は、基板収容室3bの開口部に対応する形状、換言すると、開口部を閉塞可能な蓋状をなしている。蓋体4の基板幅方向の両側には、メスコネクタ3の掛止部7に掛止される被掛止部12が一体形成されている。
【0031】
蓋体4のメスコネクタ3側の面には、基板収容室3bの開口部と対応する形状の嵌合部13が段差状をなして突設されている。以下、蓋体4及び嵌合部13のメスコネクタ3側の面を内面4a,13aと称し、蓋体4の内面4aとは反対側の面を外面4bと称する。結果としてメスコネクタ3側から見たときに、嵌合部13の内面13aの周囲を蓋体4の内面4aが段差状をなして取り囲んでいる。
【0032】
嵌合部13の内面13aには、基板幅方向に延び且つ基板2の幅に対応する長さを有する1本の基板溝14が形成されると共に、射出成形時のヒケや気泡を防止するための肉抜き穴15が形成されている。また、嵌合部13の周囲全体には1本のパッキン溝16が形成され、パッキン溝16内には環状をなすパッキン17が嵌め込まれている。
【0033】
蓋体4がメスコネクタ3に装着された状態では、蓋体4の内面4aが基板収容室3bの開口部の端面に当接すると共に、蓋体4の嵌合部13が基板収容室3b内に嵌め込まれ、これにより基板収容室3bが閉鎖されている。また、蓋体4の基板溝14内に基板2の反挿入側の端部が嵌め込まれ、パッキン17が基板収容室3bの内周面に押し当てられて基板収容室3bを液密保持している。そして、掛止部7により被掛止部12が掛止されることで、このような蓋体4の装着状態が保たれる。上記したようにメスコネクタ3側もシール部材8により耐水機能が付与されているため、結果として基板収容室3b内が外部から隔絶され、その内部に基板2が封止されている。
【0034】
なお、本発明においてパッキン17を省略して、例えば、蓋体4と基板収容室3bの開口部との間に剥離可能な粘着剤を介在させることにより、基板収容室3bを液密保持してもよい。
【0035】
一方、
図7~9に示すように、蓋体4の嵌合部13の内面13aにおいて基板溝14を挟んだ上側及び下側には、それぞれ基板幅方向に離間した2本の基板保持部18a,18bが一体形成されている。以下、上側の基板保持部を上基板保持部18aと称し、下側の基板保持部を下基板保持部18bと称する。上及び下基板保持部18a,18bは、その上下幅を次第に縮小させながら基板収容室3bの奥部へと延びるアーム状をなし、それぞれの先端は、基板挿脱方向において基板2の略中央まで達している。
【0036】
上基板保持部18aの下面は、基板2の上面に対して平行をなして当接し、下基板保持部18bの上面は、基板2の下面に対して平行をなすと共に、寸法Wだけ下方に離間している。下基板保持部18bの上面の先端には、ゴム等からなる半球状の弾性体19が接着され、この弾性体19が基板2の下面に弾性をもって当接することにより、基板2はガタツキなく且つ強固に上及び下基板保持部18a,18bの間に挟み込まれている。
【0037】
図10は、パッキン溝16及び押圧溝にパッキン17を嵌め込んだ状態を示す部分斜視図、
図11は、パッキン溝16及び押圧溝からパッキン17を分離した状態を示す部分斜視図である。
図8~11に示すように、蓋体4の嵌合部13の内面13aにおいて基板溝14に隣接した下側の領域、換言すると上下方向で寸法Wの領域には、基板溝14に対応する長さを有する1本の押圧溝20が基板幅方向に延設されている。パッキン17には基板幅方向に延びる押圧部17aが一体形成され、押圧部17aの上面には、基板幅方向に延びる突条17bが一体形成されている。この押圧部17aを介して、環状をなすパッキン17の基板幅方向の両側が互いに接続されている。
【0038】
パッキン17がパッキン溝16に嵌まり込んだ状態では、押圧部17aが押圧溝20内に嵌め込まれ、その突条17bが基板2の反挿入側の下面に対して、基板幅方向の全体に亘る領域で弾性をもって当接している。押圧溝20は、本発明の「凹部」に相当する。
【0039】
なお、本実施形態では、蓋体4の押圧溝20及びパッキン17の押圧部17aを基板2の幅に対応する長さで形成したが、これに限るものではない。例えば、基板幅方向の中央に部分的に押圧溝20及び押圧部17aを形成してもよいし、基板溝14に隣接した下側の領域に代えて、上側の領域に押圧溝20及び押圧部17aを形成してもよい。
【0040】
図3,7,9に示すように、蓋体4の外面4bには、多数の縦型フィンからなるヒートシンク部21が一体形成されている。ヒートシンク部21は蓋体4の外面4b全体に亘って形成され、これにより蓋体4の外面4bの表面積が増加している。
【0041】
次いで、以上のように構成された制御回路ユニット1の基板2の脱着手順を説明する。
自動二輪車に制御回路ユニット1を取り付ける際には、予め自動二輪車側のハーネス5にメスコネクタ3を接続すると共に、蓋体4のパッキン溝16及び押圧溝20にパッキン17を嵌め込んでおく。さらに、蓋体4の上基板保持部18aと下基板保持部18bとの間に基板2を挟み込み、蓋体4の基板溝14に基板2の反挿入側の端部を嵌め込んでおく。カードエッジコネクタ2c側から基板2をメスコネクタ3の基板収容室3b内に挿入すると、両側のガイド溝9に案内されて基板2は円滑に挿入され、段差部10,11同士の当接により位置決めされる。
【0042】
これと同時に、蓋体4及びパッキン17により基板収容室3b内が液密保持され、メスコネクタ3側のシール部材8との協調により基板収容室3b内が外部から隔絶され、その内部に基板2が封止される。また、基板2のカードエッジコネクタ2cの各接点2dがそれぞれ端子金具6と接続され、ハーネス5及びメスコネクタ3を介して基板2によりエンジン制御を実行可能となる。
【0043】
後述するように、上及び下基板保持部18a,18bの主たる機能は基板2の耐振機能にあるが、加えて、上記したメスコネクタ3への基板2の取付操作にも寄与する。即ち、弾性体19の弾性を受けて、基板2は上及び下基板保持部18a,18bの間に挟み込まれて蓋体4と一体化しているため、蓋体4を把持して基板収容室3b内に基板2を挿入できる。基板2を直接的に把持した場合には、基板2上の電子部品2bのハンダ部位に無理な応力が生じて剥離することもあり得るが、このようなトラブルを未然に防止することができる。
【0044】
一方、例えば基板2が故障した場合には、交換のために基板2の脱着を要し、制御機能をバージョンアップする場合には、制御プログラムの書き換えや基板2の交換のために脱着を要する。このときには、掛止部7の掛止を解除してメスコネクタ3から蓋体4及び基板2を取り外した上で、新品の基板2或いは制御プログラムを書き換え後の基板2を、上記の手順で蓋体4と一体としてメスコネクタ3に取り付ける。基板2の取外操作についても蓋体4を把持して実施可能なため、ハンダ剥離等のトラブル防止に寄与する。
【0045】
なお、基板2を慎重に扱えば、直接的に把持しても電子部品2bに悪影響が及ばない場合もある。そこで、このような場合には上記した基板2の脱着手順を採る必要はない。例えば取付時には、まず、基板2を単体で基板収容室3b内に挿入し、その後に蓋体4をメスコネクタ3に装着してもよいし、取外時には、まず、メスコネクタ3から蓋体4を取り外し、その後に基板収容室3b内から基板2を離脱させてもよい。以下に述べるように、上及び下基板保持部18a,18bは省略することも可能であり、その場合は予め蓋体4に基板2を固定できないため、同様の手順で脱着してもよい。
【0046】
次いで、以上のように構成された制御回路ユニット1の作用を述べる。
制御回路ユニット1には、基板2を水分等から保護する耐水機能、基板2を振動から保護する耐振機能、及び基板2上の電子部品2bの熱を外部に逃がす放熱機能が要求されている。特許文献1の技術では、これらの機能が密封樹脂により果たされていたが、密封樹脂を備えない本実施形態では各機能が如何にして達成されるかについて説明する。
【0047】
まず、耐水機能について述べる。
ハーネス5の各リード線5aのメスコネクタ3に対する挿入部位はシール部材8により液密保持され、基板収容室3bの開口部は蓋体4及びパッキン17により液密保持され、結果として基板収容室3b内に基板2が封止されている。このため、例えば自動二輪車の走行中において制御回路ユニット1に雨水等が降り掛かった場合でも、基板収容室3b内は雨水等が侵入することなく低湿度の状態に保たれる。従って、水分に起因する基板2上の電子部品2bの腐食が防止されると共に、端子金具6やカードエッジコネクタ2cの接点2d等の腐食も防止される。
【0048】
特に本実施形態では、予め基板2全体に防湿処理が施されている。このため、何らかの要因で基板収容室3b内に雨水等が侵入して結露を生じたとしても、電子部品2bの腐食等を防止することができる。但し、本発明において防湿処理は省略してもよい。この場合でも、基板収容室3b内が液密保持されているため、必要な耐水機能を達成することができる。
【0049】
次いで、耐振機能について述べる。
基板収容室3b内に配設された基板2は、挿入側の端部に相当するカードエッジコネクタ2cがメスコネクタ3の端子金具6に挟み込まれて位置規制され、基板幅方向の両側がガイド溝9に嵌め込まれて位置規制され、反挿入側の端部が蓋体4の基板溝14内に嵌め込まれて位置規制されている。結果として、基板2の周囲全体がガタツキを生じることなく保持される。このため、自動二輪車の走行中の振動が制御回路ユニット1に及んだとしても、基板2上の電子部品2bのハンダ部位に無理な応力が発生する事態が防止され、応力に起因するハンダ剥離等のトラブルを未然に防止することができる。
【0050】
また、製造誤差に起因して、ガイド溝9内及び基板溝14内で基板2にガタツキが生じることもあり得るが、基板溝14内のガタツキは、パッキン17の押圧部17aにより解消される。即ち、
図9に示すように、押圧部17aの突条17bが基板2の反挿入側の下面に弾性をもって当接しているため、基板溝14内のガタツキが解消される。一方で、基板2の挿入側の端部は端子金具6に挟み込まれているため、基板2の挿入側及び反挿入側がそれぞれガタツキなく保持されることになり、これにより、走行中の振動が制御回路ユニット1に及んだときのハンダ剥離等のトラブルを一層確実に防止することができる。
【0051】
加えて、このような基板2に対する耐振機能は、蓋体4に設けられた上及び下基板保持部18a,18bによりさらに高められている。上基板保持部18aの下面は基板2の上面に当接し、下基板保持部18bの上面に接着された弾性体19は基板2の下面に弾性をもって当接している。弾性体19は、基板挿脱方向において基板2の略中央に位置し、基板幅方向には離間して配置されているため、特に基板2中央の上下方向の位置変位が規制される。従って、基板2の周囲全体の位置規制と相俟って、ハンダ剥離等のトラブルを一層確実に防止することができる。
【0052】
但し、本発明において、
図12に示す別例1のように、パッキン17の押圧部17aと蓋体4の押圧溝20及び基板保持部18a,18bとを省略してもよい。この場合でも、端子金具6、ガイド溝9及び基板溝14の位置規制により、基板2の周囲全体をガタツキなく保持できるため、必要な耐振機能を達成することができる。
【0053】
加えて、本実施形態では、基板2の端子部をカードエッジコネクタ2cとして構成している。周知のように、カードエッジコネクタ2cはコスト面等に関する利点を有するが、一般的な端子金具に比して剛性が高いため、本実施形態では基板2の耐振機能の向上にも寄与する。即ち、基板2の挿入側の端部は、メスコネクタ3の端子金具6に挟み込まれて位置規制されるが、仮に基板2にカードエッジコネクタ2cに代えて一般的な端子金具が備えられている場合には、端子金具に撓みが生じて十分な位置規制が望めない可能性がある。本実施形態によれば、剛性が高いカードエッジコネクタ2cが端子金具6に挟み込まれることにより、基板2の挿入側の端部を確実に位置規制でき、これにより基板2の耐振機能を一層向上することができる。
【0054】
但し、このような利点を有するものの、本発明の端子部は、カードエッジコネクタ2cに限る趣旨ではなく、これに代えて基板2に一般的な端子金具を設けてもよい。
【0055】
次いで、放熱機能について述べる。
基板2の反挿入側の端部は、蓋体4の嵌合部13の内面13aに形成された基板溝14内に嵌め込まれている。このため、基板収容室3b内において基板2上の電子部品2bが発生した熱は、基板2及び基板溝14を介して蓋体4に伝達され、さらに、熱伝導率が高いアルミ製の蓋体4の内部を経て、その外面4bから外部へと効率的に放熱される。従って、電子部品2bに熱が溜まる事態、ひいては温度上昇により電子部品2bが機能不良に陥る事態を未然に防止でき、これにより制御回路ユニット1の信頼性を向上することができる。
【0056】
加えて、この放熱機能には、パッキン17の押圧部17aも寄与している。即ち、押圧部17aの押圧により基板溝14内での基板2のガタツキが防止された結果、基板2の上面が基板溝14内の上壁に密着する。結果として、基板2の熱がより広い面積を介して蓋体4側へと効率的に伝達され、これにより放熱機能を向上することができる。
【0057】
なお、蓋体4はアルミ製に限るものではないが、放熱の機能のためには熱伝導率が高い材質が望ましい。そこで、例えば銅等の他の金属材料、或いは熱伝導率が高い熱伝導樹脂で蓋体4を製作してもよい。
【0058】
周知のように熱伝導樹脂は、既存の樹脂であるポリカーボネート(PC)、ポリアセタール(POM)、ナイロン(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等をベース材料とし、黒鉛等の熱伝導性フィラーを配合して製造される。熱伝導性フィラーの配合により、樹脂内部に熱伝導性フィラーからなる熱伝導パスが形成され、内部で発生した熱がこの熱伝導性パスを通って外部に放出されることで熱伝導率が高められている。例えば、一般的なPBTの熱伝導率は0.3W/mK、基板を封止する密封樹脂に用いられるエポキシ(EP)の熱伝導率は0.4W/mKであるのに対し、熱伝導樹脂の熱伝導率は1~50W/mKに達し、熱伝導率が237W/mK程度のアルミほどではないが、既存の樹脂よりも遥かに高い熱伝導率を実現している。従って、蓋体4を熱伝導樹脂で製作したした場合でも、上記のような放熱機能を十分に達成することができる。
【0059】
また、このような基板2に対する放熱機能は、蓋体4に設けられた上基板保持部18aによりさらに高められている。即ち、上基板保持部18aの下面全体が基板2の上面に当接しているため、基板2の熱は基板溝14を介して蓋体4に伝達されるだけでなく、上基板保持部18aを介して蓋体4に伝達される。従って、より多量の熱を蓋体4の外面4bに伝達して放熱させることが可能となり、温度上昇による電子部品2bの機能不良をより確実に防止することができる。
【0060】
加えて本実施形態では、蓋体4の外面4bにヒートシンク部21が一体形成されることで表面積が増加している。このため、より多量の熱を外面4bから放熱することが可能となり、温度上昇による電子部品2bの機能不良をより確実に防止することができる。
【0061】
但し、
図12に示す別例1のように、本発明において基板保持部18a,18bを省略してもよいし、
図13に示す別例2のように、ヒートシンク部21を省略してもよい。これらの場合でも、電子部品2bの熱は基板2から基板溝14を介して蓋体4に伝達され、さらに蓋体4の外面4bから放熱されるため、必要な放熱機能を達成することができる。
【0062】
以上のように本実施形態の制御回路ユニット1は密封樹脂を備えていないが、この密封樹脂を備えた特許文献1の技術に比して遜色のない耐水機能、耐振機能及び放熱機能を達成でき、これにより基板2を保護できる。そして、密封樹脂を用いないため、制御回路ユニット1の製造工程では、密封樹脂で基板2を封止する封止工程を廃止できる。既述したように、封止工程は煩雑な操作を要する上に作業効率が悪いが、この工程を廃止することにより制御回路ユニット1の製造コストを低減することができる。
【0063】
また、特許文献1の制御回路ユニットは、ECUケース、基板、密封樹脂を主な構成要素として備え、ECUケース内に基板を密封樹脂で封止し、これにより構成した電子部品モジュールをメスコネクタに接続している。これに対して本実施形態の制御回路ユニット1は、蓋体4、基板2を主な構成要素として備え、車両側のメスコネクタ3の基板収容室3b内に単体の基板2を挿入・配置した上で、蓋体4により基板収容室3b内に基板2を封止している。
【0064】
従って、蓋体4は、特許文献1の技術の基板を封止する密封樹脂の機能を奏する。また、メスコネクタ3の端子内蔵部3aは、特許文献1の技術のメスコネクタの機能を奏し、端子内蔵部3aに一体形成された基板収容室3bは、特許文献1の技術のECUケースの機能を奏する。即ち、本実施形態のメスコネクタ3は、特許文献1のメスコネクタとECUケースとの機能を併せ持っており、結果として部品点数を減少させることができる。そして、部品点数の減少は、射出成形等に要する材料費を削減できると共に、個々の構成部品の組付工数を減少できるため、上記の封止工程の廃止による効果と相俟って、制御回路ユニット1の製造コストを一層低減することができる。
【0065】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、自動二輪車のエンジンの制御回路として機能する基板2を備えた制御回路ユニット1として具体化したが、本発明はこれに限るものではなく、種々の制御対象に利用することができる。
【0066】
また上記実施形態では、蓋体4に形成した押圧溝20内にパッキン17の押圧部17aを嵌め込み、その突条17bを基板2の下面に弾性をもって当接させて基板溝14内での基板2のガタツキを防止したが、これに限るものではない。例えば
図14,15に示す別例3のように構成してもよい。この別例3では、蓋体4に、パッキン溝16の下側の領域の内部と基板溝14の内部とを連通させる押圧連通路31が形成され、パッキン17の下側の領域には、上方に向けて突出した形状をなす押圧部32が一体形成されている。押圧部32は押圧連通路31内に嵌め込まれ、その上端が押圧連通路31から突出して基板2の下面に弾性をもって当接している。押圧連通路31は、本発明の「連通路」に相当する。従って、重複する説明はしないが、上記実施形態と同様の作用効果を達成できる。
【0067】
また、パッキン17に押圧部17a,32を一体形成する代わりに、例えば
図16,17に示す別例4のように、独立した部品として弾性押圧片41を用いてもよい。この別例4では、基板溝14が下側に拡張されて左右一対の押圧室42が形成され、各押圧室42内に弾性押圧片41がそれぞれ配設されている。弾性押圧片41はバネ鋼等を折曲形成して製作され、基板幅方向から見て、押圧室42の上壁42a(基板溝14の上壁でもある)、側壁42b及び下壁42cに沿った形状をなしている。弾性押圧片41の下壁42cに沿った面には返し爪41bが形成されて押圧室42内から脱落防止されると共に、この下壁42cに沿った面が折り返されて押圧部41aが形成されている。
【0068】
これらの押圧部41aを下方に撓ませながら基板溝14内に基板2が挿入され、各押圧部41aは自己の弾性で上下方向に拡張することにより基板2の下面に弾性をもって当接している。従って、重複する説明はしないが、上記実施形態と同様の作用効果を達成できる。
【0069】
また上記実施形態では、蓋体4の内面13aに対して基板2を脱着可能としたが、これに限るものではない。例えば、予め蓋体4の内面13aに基板2を接着剤等で脱着不能に固定してもよい。この場合でも、例えば基板2の故障時や制御機能のバージョンアップ時には、蓋体4と一体で基板2を交換したり、蓋体4と一体のまま基板2の制御プログラムを書き換えたりして問題なく対応できる。そして、このように蓋体4に基板2を固定した場合には、基板溝14に嵌め込んだ場合に比して、基板2の位置変位がより強固に規制されるため、耐振機能を一層向上できると共に、基板2からの熱がより効率的に蓋体4に伝達されるため放熱機能を一層向上することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 制御回路ユニット
2 基板
2b 電子部品
2c カードエッジコネクタ(端子部)
3 メスコネクタ
3a 端子内蔵部
3b 基板収容室
4 蓋体
6 端子金具
13a 内面
14 基板溝
16 パッキン溝
17 パッキン
17a,32,41a 押圧部
20 押圧溝(凹部)
31 押圧連通路(連通路)
41 弾性押圧片