(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001712
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】心電測定装置、心電測定システム及びアプリケーションプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/33 20210101AFI20241226BHJP
A47K 3/00 20060101ALI20241226BHJP
A61B 5/26 20210101ALI20241226BHJP
【FI】
A61B5/33
A47K3/00 Z
A61B5/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101342
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】597139170
【氏名又は名称】学校法人静岡理工科大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】曽我 浩二
(72)【発明者】
【氏名】本井 幸介
【テーマコード(参考)】
2D005
4C127
【Fターム(参考)】
2D005FA00
4C127AA02
4C127CC01
4C127CC06
4C127JJ03
(57)【要約】
【課題】入浴時の心電情報を利用するユーザの利便性の向上を実現できる心電測定装置、心電測定システム及びアプリケーションプログラムを提供する。
【解決手段】心電測定装置1は、浴槽3の内壁面3Aに脱着可能に取り付けられるケーシング9と、ケーシング9の外部に露出する露出部10E、20Eをそれぞれ有してケーシング9に保持され、各露出部10E、20Eが浴槽3内に貯留された湯水PW1に浸る状態で、湯水PW1に入浴している入浴者P1の心拍に係る心電信号を検出する複数の電極10、20と、ケーシング9に収容されて各電極10、20に接続し、心電信号に基づいて入浴者P1の心電情報を生成する心電情報生成部15Aと、ケーシング9に収容され、各電極10、20及び心電情報生成部15Aに電力を供給する電源部17と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の内壁面に脱着可能に取り付けられるケーシングと、
前記ケーシングの外部に露出する露出部をそれぞれ有して前記ケーシングに保持され、各前記露出部が前記浴槽内に貯留された湯水に浸る状態で、前記湯水に入浴している入浴者の心拍に係る心電信号を検出する複数の電極と、
前記ケーシングに収容されて各前記電極に接続し、前記心電信号に基づいて前記入浴者の心電情報を生成する心電情報生成部と、
前記ケーシングに収容され、各前記電極及び前記心電情報生成部に電力を供給する電源部と、
を備えていることを特徴とする心電測定装置。
【請求項2】
前記ケーシングは第1方向に延び、
前記ケーシングは、前記第1方向の一方に位置する第1端部を有し、
前記第1端部は、前記第1方向に略直交するように延びる第1壁と、前記第1方向において前記第1壁を貫通する少なくとも1つの第1貫通穴と、を有し、
前記第1壁は、前記第1方向の前記一方を向く面に形成されて前記第1貫通穴を囲む第1シール面を有し、
各前記電極のうちの1つである第1電極は、前記第1シール面に密着して前記第1貫通穴を閉塞し、外側面が前記露出部となって前記ケーシングに保持されている請求項1記載の心電測定装置。
【請求項3】
前記ケーシングは、前記第1方向の他方に位置する第2端部を有し、
前記第2端部は、前記第1方向に略直交するように延びる第2壁と、前記第1方向において前記第2壁を貫通する少なくとも1つの第2貫通穴と、を有し、
前記第2壁は、前記第1方向の前記他方を向く面に形成されて前記第2貫通穴を囲む第2シール面を有し、
各前記電極のうちの別の1つである第2電極は、前記第2シール面に密着して前記第2貫通穴を閉塞し、外側面が前記露出部となって前記ケーシングに保持されている請求項2記載の心電測定装置。
【請求項4】
前記第2端部は、前記第1方向において前記第2壁を貫通する第1電源ボタン開口を有し、
前記第1電源ボタン開口は、可撓性を有するガスケットによって封止され、 前記第2電極は、前記第1方向に沿って見て前記第1電源ボタン開口と重なる位置にある第2電源ボタン開口を有し、
前記電源部の作動及び停止を切り替える電源ボタンをさらに備え、
前記電源ボタンは、前記第1方向の前記一方に向けて押し込み可能に前記第2電源ボタン開口に収容されている請求項3記載の心電測定装置。
【請求項5】
前記ケーシングは第1方向に延び、
前記ケーシングは、前記第1方向の一方及び前記第1方向の他方の少なくとも一方に位置するケーシング端部を有し、
前記ケーシング端部は、前記第1方向に略直交するように延びるケーシング壁と、前記第1方向において前記ケーシング壁を貫通する少なくとも1つのケーシング貫通穴と、を有し、
前記ケーシング壁は、前記第1方向において前記ケーシングの前記外部側を向く面に形成されて前記ケーシング貫通穴を囲むケーシングシール面を有し、
前記ケーシングシール面に密着して前記ケーシング貫通穴を閉塞し、前記ケーシングに保持される蓋体をさらに備え、
各前記電極の少なくとも1つは、前記露出部が前記蓋体の外側面側において前記ケーシングの外部に露出する状態で前記蓋体に保持され、前記蓋体を介して前記ケーシングに保持されている請求項1記載の心電測定装置。
【請求項6】
前記ケーシング端部は、前記第1方向の前記一方に位置し、
各前記電極の少なくとも2つは、それぞれの前記露出部が前記蓋体の前記外側面側において前記ケーシングの外部に露出し、かつ互いに離隔する状態で前記蓋体に保持され、前記蓋体を介して前記ケーシングに保持されている請求項5記載の心電測定装置。
【請求項7】
前記ケーシングは、第1方向と、前記第1方向に直交する第2方向と、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向と、に延び、
前記ケーシングが前記内壁面に取り付けられた状態において、前記第1方向及び前記第2方向は前記内壁面に沿って延びる一方、前記第3方向は前記内壁面に直交するように延び、
前記ケーシングは、前記第3方向の長さが前記第1方向の長さの半分未満、かつ前記第2方向の長さの半分未満の扁平形状である請求項1乃至6のいずれか1項記載の心電測定装置。
【請求項8】
複数の前記電極は2つであり、
一方の前記電極と他方の前記電極との間に発生する差分電圧を前記心電信号として検出する請求項1乃至6のいずれか1項記載の心電測定装置。
【請求項9】
前記ケーシングに収容され、前記電源部から前記電力が供給されて無線通信を実行する無線通信部を備え、
前記心電情報生成部は、前記心電情報として前記心電信号の強度を示す情報である心電信号強度情報を少なくとも含むように生成し、
前記無線通信部は、前記心電測定装置から離隔する位置にあり、かつ報知装置を備える通信端末との間で前記無線通信を実行し、前記心電情報を前記通信端末に送信する請求項1乃至6のいずれか1項記載の心電測定装置。
【請求項10】
請求項9記載の心電測定装置と、
前記心電測定装置から離隔する位置にあり、かつ前記報知装置を備える前記通信端末と、
を備え、
前記通信端末は、前記無線通信部が送信する前記心電情報に含まれる前記心電信号強度情報に基づいて、前記心電測定装置の取り付け位置を最適化するためのアドバイス情報を生成するアドバイス情報生成部を有し、
前記アドバイス情報生成部は、前記アドバイス情報を前記報知装置によって報知するように構成されていることを特徴とする心電測定システム。
【請求項11】
請求項9記載の心電測定装置から離隔する位置にあり、かつ前記報知装置を備える前記通信端末において実行されるアプリケーションプログラムであって、
前記無線通信部が送信する前記心電情報を受信する第1ステップと、
受信した前記心電情報に含まれる前記心電信号強度情報に基づいて、前記心電測定装置の取り付け位置を最適化するためのアドバイス情報を生成する第2ステップと、
前記アドバイス情報を前記報知装置によって報知する第3ステップと、
を実行するように構成されていることを特徴とするアプリケーションプログラム。
【請求項12】
前記心電情報生成部は、前記心電情報として前記心電信号の強度を示す情報である心電信号強度情報を少なくとも含むように生成し、
前記ケーシングに収容された報知装置と、
前記ケーシングに収容され、前記心電情報に含まれる前記心電信号強度情報に基づいて、前記心電測定装置の取り付け位置を最適化するためのアドバイス情報を生成するアドバイス情報生成部と、を備え、
前記アドバイス情報生成部は、前記アドバイス情報を前記報知装置によって報知するように構成されている請求項1乃至6のいずれか1項記載の心電測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は心電測定装置、心電測定システム及びアプリケーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の心電測定装置の一例が開示されている。この心電測定装置は、その
図1及び
図2に示すように、複数の電極を備えている。その
図3に示すように、各電極はそれぞれ、浴槽の側壁に締結され、浴槽の内部に向かって露出する露出部を有している。各電極は、各露出部が浴槽内に貯留された湯水に浸る状態で、湯水に入浴している入浴者の心拍に係る心電信号を検出する。
【0003】
また、この心電測定装置は、その
図2に示すように、制御部を備えている。制御部は、浴槽から離隔する位置に配置され、電気配線を経由して各電極に接続している。その
図4に示すように、制御部は、作動増幅回路、フィルタ回路、A/Dコンバータ及び身体温度検出部を有している。作動増幅回路、フィルタ回路、A/Dコンバータ及び身体温度検出部は、心電信号に基づいて入浴者の心電情報を生成する。心電情報は、具体的には心電波形、心拍数、身体温度等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の心電測定装置では、各電極が浴槽の側壁に締結されている。また、別の従来の心電測定装置として、各電極が浴槽の内壁面に接着されている構成も知られている。
【0006】
このため、入浴時の心電情報を利用するユーザは、既存の浴槽から心電信号検出用の複数の電極を有する浴槽に取り換える必要がある等、利便性の向上を実現することが難しい。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、入浴時の心電情報を利用するユーザの利便性の向上を実現できる心電測定装置、心電測定システム及びアプリケーションプログラムを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の心電測定装置は、浴槽の内壁面に脱着可能に取り付けられるケーシングと、
前記ケーシングの外部に露出する露出部をそれぞれ有して前記ケーシングに保持され、各前記露出部が前記浴槽内に貯留された湯水に浸る状態で、前記湯水に入浴している入浴者の心拍に係る心電信号を検出する複数の電極と、
前記ケーシングに収容されて各前記電極に接続し、前記心電信号に基づいて前記入浴者の心電情報を生成する心電情報生成部と、
前記ケーシングに収容され、各前記電極及び前記心電情報生成部に電力を供給する電源部と、
を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明の心電測定装置は、ケーシング、複数の電極、心電情報生成部及び電源部が一体化されたモジュールとして、入浴者となるユーザに提供される。これにより、ユーザは、心電測定装置のケーシングを既存の浴槽の内壁面に脱着可能に取り付けるだけで、入浴時の心電情報を利用できる。
【0010】
したがって、本発明の心電測定装置は、入浴時の心電情報を利用するユーザの利便性の向上を実現できる。
【0011】
また、本発明の心電測定装置は、上記従来の心電測定装置と比較して、各電極と心電情報生成部との距離を非常に短くできるので、耐ノイズ性の向上を実現でき、ひいては、心電情報を精度良く生成できる。
【0012】
ケーシングは第1方向に延びていることが望ましい。ケーシングは、第1方向の一方に位置する第1端部を有していることが望ましい。第1端部は、第1方向に略直交するように延びる第1壁と、第1方向において第1壁を貫通する少なくとも1つの第1貫通穴と、を有していることが望ましい。第1壁は、第1方向の一方を向く面に形成されて第1貫通穴を囲む第1シール面を有していることが望ましい。そして、各電極のうちの1つである第1電極は、第1シール面に密着して第1貫通穴を閉塞し、外側面が露出部となってケーシングに保持されていることが望ましい。
【0013】
この構成により、第1電極が第1端部の第1貫通穴を閉塞する蓋を兼ねるので、部品点数を削減できる。また、例えば、第1電極がガスケットや防水グリス等を介して硬質の第1シール面に密着したり、軟質の第1シール面に直に密着したりすることにより、第1シール面と第1電極との間で水密性を確保し易くなるので、ケーシングにおける第1電極の周辺の防水性の低下を抑制し易い。
【0014】
ケーシングは、第1方向の他方に位置する第2端部を有していることが望ましい。第2端部は、第1方向に略直交するように延びる第2壁と、第1方向において第2壁を貫通する少なくとも1つの第2貫通穴と、を有していることが望ましい。第2壁は、第1方向の他方を向く面に形成されて第2貫通穴を囲む第2シール面を有していることが望ましい。そして、各電極のうちの別の1つである第2電極は、第2シール面に密着して第2貫通穴を閉塞し、外側面が露出部となってケーシングに保持されていることが望ましい。
【0015】
この構成により、第2電極が第2端部の第2貫通穴を閉塞する蓋を兼ねるので、部品点数を一層削減できる。また、第2電極がガスケットや防水グリス等を介して硬質の第2シール面に密着したり、軟質の第2シール面に直に密着したりすることにより、第2シール面と第2電極との間で水密性を確保し易くなるので、ケーシングにおける第2電極の周辺の防水性の低下を抑制し易い。さらに、この構成により、第1電極の露出部と第2電極の露出部とが離隔する距離を大きくし易いので、心電信号強度を高くできる。
【0016】
第2端部は、第1方向において第2壁を貫通する第1電源ボタン開口を有していることが望ましい。第1電源ボタン開口は、可撓性を有するガスケットによって封止されていることが望ましい。第2電極は、第1方向に沿って見て第1電源ボタン開口と重なる位置にある第2電源ボタン開口を有していることが望ましい。本発明の心電測定装置は、電源部の作動及び停止を切り替える電源ボタンをさらに備えていることが望ましい。そして、電源ボタンは、第1方向の一方に向けて押し込み可能に第2電源ボタン開口に収容されていることが望ましい。
【0017】
この構成により、第2電極が電源ボタンを囲むベゼルを兼ねるので、仮に電源ボタンをケーシングにおける各電極とは異なる位置に設ける場合と比較して、ケーシングの形状の複雑化を抑制でき、意匠性の向上を実現できる。
【0018】
ケーシングは第1方向に延びていることが望ましい。ケーシングは、第1方向の一方及び第1方向の他方の少なくとも一方に位置するケーシング端部を有していることが望ましい。ケーシング端部は、第1方向に略直交するように延びるケーシング壁と、第1方向においてケーシング壁を貫通する少なくとも1つのケーシング貫通穴と、を有していることが望ましい。ケーシング壁は、第1方向においてケーシングの外部側を向く面に形成されてケーシング貫通穴を囲むケーシングシール面を有していることが望ましい。本発明の心電測定装置は、ケーシングシール面に密着してケーシング貫通穴を閉塞し、ケーシングに保持される蓋体をさらに備えていることが望ましい。そして、各電極の少なくとも1つは、露出部が蓋体の外側面側においてケーシングの外部に露出する状態で蓋体に保持され、蓋体を介してケーシングに保持されていることが望ましい。
【0019】
この場合、例えば、蓋体がガスケットや防水グリス等を介して硬質のケーシングシール面に密着したり、軟質のケーシングシール面に直に密着したりすることにより、ケーシングシール面と蓋体との間で水密性を確保し易くなるので、ケーシングにおける蓋体の周辺の防水性の低下を抑制し易い。また、この構成により、各電極を露出させるための開口をケーシングに設ける数を減らし易くなり、又はゼロにできるので、ケーシングの形状の複雑化を抑制できる。
【0020】
ケーシング端部は、第1方向の一方に位置していることが望ましい。そして、各電極の少なくとも2つは、それぞれの露出部が蓋体の外側面側においてケーシングの外部に露出し、かつ互いに離隔する状態で蓋体に保持され、蓋体を介してケーシングに保持されていることが望ましい。
【0021】
この場合、電極を露出させるための開口をケーシングに設ける数を一層減らし易くなり、又はゼロにできるので、ケーシングの形状の複雑化を一層抑制できる。
【0022】
ケーシングは、第1方向と、第1方向に直交する第2方向と、第1方向及び第2方向に直交する第3方向と、に延びていることが望ましい。ケーシングが内壁面に取り付けられた状態において、第1方向及び第2方向は内壁面に沿って延びる一方、第3方向は内壁面に直交するように延びることが望ましい。そして、ケーシングは、第3方向の長さが第1方向の長さの半分未満、かつ第2方向の長さの半分未満の扁平形状であることが望ましい。
【0023】
この場合、扁平形状であるケーシングは、内壁面に取り付けられた状態で内壁面から浴槽の中央に向かって突出する程度が小さくなるので、入浴者の邪魔になることを抑制できる。
【0024】
複数の電極は2つであり、一方の電極と他方の電極との間に発生する差分電圧を心電信号として検出することが望ましい。
【0025】
この構成によれば、仮に複数の電極が2つの電極と、2つの電極の間に位置する基準電極と、であって、一方の電極と基準電極との間に発生する差分電圧と、他方の電極と基準電極との間に発生する差分電圧と、を心電信号として検出する場合と比較して入力インピーダンスの低下を抑制でき、心電信号強度が低くなり難い。
【0026】
本発明の心電測定装置は、ケーシングに収容され、電源部から電力が供給されて無線通信を実行する無線通信部を備えていることが望ましい。心電情報生成部は、心電情報として心電信号の強度を示す情報である心電信号強度情報を少なくとも含むように生成することが望ましい。そして、無線通信部は、心電測定装置から離隔する位置にあり、かつ報知装置を備える通信端末との間で無線通信を実行し、心電情報を通信端末に送信することが望ましい。
【0027】
この場合、この心電測定装置専用の報知装置が不要となり、この心電測定装置を浴槽内のどこに取り付けても、ユーザが心電情報を通信端末の報知装置によって確認できる。また、この場合、通信端末は、心電信号強度情報に基づいて心電測定装置の取り付け位置を最適化するためのアドバイス情報を生成し、そのアドバイス情報を報知装置によってユーザに報知できる。
【0028】
本発明の心電測定システムは、本発明の心電測定装置と、
前記心電測定装置から離隔する位置にあり、かつ前記報知装置を備える前記通信端末と、
を備え、
前記通信端末は、前記無線通信部が送信する前記心電情報に含まれる前記心電信号強度情報に基づいて、前記心電測定装置の取り付け位置を最適化するためのアドバイス情報を生成するアドバイス情報生成部を有し、
前記アドバイス情報生成部は、前記アドバイス情報を前記報知装置によって報知するように構成されていることを特徴とする。
【0029】
本発明の心電測定システムにおいて、心電測定装置は、ケーシング、複数の電極、心電情報生成部及び電源部が一体化されたモジュールとしてユーザに提供される。そして、ユーザは、心電測定装置のケーシングを既存の浴槽の内壁面に脱着可能に取り付けるだけで、入浴時の心電情報を利用できる。この際、ユーザは、通信端末の報知装置によって報知されるアドバイス情報を参考にして、心電測定装置の取り付け位置を最適化できる。
【0030】
したがって、本発明の心電測定システムは、入浴時の心電情報を利用するユーザの利便性の向上を実現できる。
【0031】
本発明のアプリケーションプログラムは、本発明の心電測定装置から離隔する位置にあり、かつ前記報知装置を備える前記通信端末において実行されるアプリケーションプログラムであって、
前記無線通信部が送信する前記心電情報を受信する第1ステップと、
受信した前記心電情報に含まれる前記心電信号強度情報に基づいて、前記心電測定装置の取り付け位置を最適化するためのアドバイス情報を生成する第2ステップと、
前記アドバイス情報を前記報知装置によって報知する第3ステップと、
を実行するように構成されていることを特徴とする。
【0032】
本発明のアプリケーションプログラムを実行する通信端末と無線通信する心電測定装置は、ケーシング、複数の電極、心電情報生成部及び電源部が一体化されたモジュールとしてユーザに提供される。そして、ユーザは、心電測定装置のケーシングを既存の浴槽の内壁面に脱着可能に取り付けるだけで、入浴時の心電情報を利用できる。この際、ユーザは、第1~第3ステップが実行されて通信端末の報知装置によって報知されるアドバイス情報を参考にして、心電測定装置の取り付け位置を最適化できる。
【0033】
したがって、本発明のアプリケーションプログラムは、入浴時の心電情報を利用するユーザの利便性の向上を実現できる。
【0034】
本発明の心電測定装置において、心電情報生成部は、心電情報として心電信号の強度を示す情報である心電信号強度情報を少なくとも含むように生成することが望ましい。本発明の心電測定装置は、ケーシングに収容された報知装置と、ケーシングに収容され、心電情報に含まれる心電信号強度情報に基づいて、心電測定装置の取り付け位置を最適化するためのアドバイス情報を生成するアドバイス情報生成部と、を備えていることが望ましい。そして、アドバイス情報生成部は、アドバイス情報を報知装置によって報知するように構成されていることが望ましい。
【0035】
この場合、ユーザは、心電測定装置の報知装置によって報知されるアドバイス情報を参考にして、心電測定装置の取り付け位置を最適化できる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の心電測定装置、心電測定システム及びアプリケーションプログラムによれば、入浴時の心電情報を利用するユーザの利便性の向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、実施例1の心電測定装置及び心電測定システムを示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施例1の心電測定装置及び心電測定システムを示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施例1の心電測定装置及びホルダを示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施例1の心電測定装置に係り、ケーシング本体、ケーシングカバー、ケーシングガスケット、第1、第2電極及び第1、第2ガスケットを示す分解斜視図である。
【
図5】
図5は、実施例1の心電測定装置に係り、ケーシング本体、第1電極及び第1ガスケットを示す分解斜視図である。
【
図6】
図6は実施例1の心電測定装置に係り、(a)はケーシング本体の第1端部を示す側面図であり、(b)はケーシング本体の第2端部を示す側面図である。
【
図7】
図7は、第1、第2電極、基板、スイッチ基板、電源ボタン等を示す分解斜視図である。
【
図8】
図8は、実施例1の心電測定装置に係り、電源ボタンとその周辺とを示す部分断面図である。
【
図9】
図9は、実施例1のアプリケーションプログラムのフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施例1のアプリケーションプログラムに係り、浴槽の内壁面における複数の取り付け位置を説明する上面図である。
【
図11】
図11は、実施例1の心電測定装置及び心電測定システムに係り、心電情報に含まれる心電波形の一例を示すグラフである。
【
図12】
図12は、実施例2のアプリケーションプログラムのフローチャートである。
【
図13】
図13は、実施例3の心電測定装置に係り、ケーシング本体、2つの電極及び第1ガスケットを示す分解斜視図である。
【
図14】
図14は、実施例3の心電測定装置に係り、ケーシング本体、蓋体、2つの電極及び第1ガスケットを示す部分斜視図である。
【
図16】
図16は、実施例4の心電測定装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明を具体化した実施例1~4について図面を参照しつつ説明する。
【0039】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の心電測定装置1は、本発明の心電測定装置の具体的態様の一例である。実施例1の心電測定システム100は、本発明の心電測定システムの具体的態様の一例である。
【0040】
心電測定システム100は、住宅H1に適用されている。住宅H1には、浴室R1や、台所、リビング、寝室等が設けられている。また、住宅H1には、給湯装置40が設置されている。
【0041】
心電測定システム100は、心電測定装置1、浴室リモコン30及び携帯端末50を備えている。心電測定装置1は、浴室R1に設置された浴槽3の内壁面3Aに脱着可能に取り付けられる。浴室リモコン30は、浴室R1の壁面に設置され、心電測定装置1から離隔する位置にある。携帯端末50は、住宅H1に居住するユーザに携帯されて利用され、心電測定装置1から離隔する位置にある。浴室リモコン30及び携帯端末50はそれぞれ、本発明の「通信端末」の一例である。
【0042】
<給湯装置>
給湯装置40は、台所の流し台や浴室R1の混合水栓等に湯を供給する給湯運転、浴室R1の浴槽3内に湯はりを行う湯はり運転、浴槽3内の湯を加熱する追い焚き運転、浴槽3に足し湯を行う足し湯運転、浴槽3内の湯の保温を行う保温運転等の風呂運転を実行可能である。
【0043】
給湯装置40の湯はり運転や足し湯運転によって浴槽3内に湯水PW1が貯留される。入浴者P1は、浴槽3内に貯留された湯水PW1に入浴するときに、浴槽3の内壁面3Aのうちの循環金具3Mが設けられた第1面3A1に足を向け、内壁面3Aのうちの第1面3A1と対向する第2面3A2に背中を持たせかけた状態になる。
【0044】
第1面3A1と第2面3A2とが対向する方向は、浴槽3の長手方向である。浴槽3の長手方向と直交して水平に延びる方向は、浴槽3の幅方向である。浴槽3の長手方向及び幅方向に直交する方向は、浴槽3の高さ方向である。
【0045】
図1及び
図2に示すように、給湯装置40は、水位センサ43A及び湯温センサ43Bを有している。
【0046】
水位センサ43Aは、給湯装置40と浴槽3とを接続する配管内の圧力を測定する圧力センサを含む。水位センサ43Aは、湯水PW1が静かな状態で圧力センサが測定する静水圧に基づいて、湯水PW1の水位を検出する。
【0047】
湯温センサ43Bは、給湯装置40から浴槽3に送り出される湯の温度と、浴槽3から給湯装置40に戻される湯の温度と、のうちの少なくとも一方を測定し、湯水PW1の湯温を検出する。
【0048】
給湯装置40は、水位センサ43Aの検出結果に基づいて湯水PW1の水位の高低を変化させたり、湯温センサ43Bの検出結果に基づいて湯水PW1の湯温の高低を変化させたりして、湯水PW1の状態を調整可能である。
【0049】
<浴室リモコン>
浴室リモコン30は、給湯装置40を操作して上述した給湯運転や湯はり運転等を実行させるための端末装置である。なお、浴室リモコン30と同様の構成である台所リモコンが台所に設置されるが、本実施例ではその説明を省略する。
【0050】
図2に示すように、浴室リモコン30は、リモコン制御部35、リモコン表示部38B、リモコン入力部38A及びリモコン通信部39を有している。リモコン表示部38Bは、本発明の「報知装置」の一例である。
【0051】
リモコン制御部35は、図示しないCPUと、ROM及びRAM等の記憶素子によって構成された記憶部35Mと、インターフェース回路等とを含んで構成された電子回路ユニットである。リモコン制御部35は、浴室リモコン30の動作に関する制御処理を実行する。
【0052】
記憶部35Mは、給湯装置40を動作させるための各種プログラム及び設定情報等を記憶している。また、記憶部35Mは、リモコン制御部35が取得する各種情報、例えば給湯装置40の動作に係る情報等を適宜記憶する。記憶部35Mが記憶するプログラムには、
図9に示す実施例1のアプリケーションプログラムが含まれる。
【0053】
また、
図2に示すように、リモコン制御部35は、アドバイス情報生成部35Aを有している。後述するように、アドバイス情報生成部35Aは、浴室リモコン30において実施例1のアプリケーションプログラムを実行するときに機能する。
【0054】
図1及び
図2に示すように、リモコン表示部38Bは、液晶パネル等であり、文字や画像等の各種情報を表示する。リモコン入力部38Aは、複数の操作スイッチにより構成されており、給湯装置40の操作に関する入力を受ける。
【0055】
図2に示すように、リモコン通信部39は、給湯装置40と有線によって接続されており、給湯装置40との間で通信を行う。また、リモコン通信部39は、水位センサ43A及び湯温センサ43Bのそれぞれの検出結果を受信する。
【0056】
さらに、リモコン通信部39は、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等による無線通信を実行する電子回路を内蔵している。リモコン通信部39は、直接、又は、住宅H1内に設置された図示しない無線ルータ等を経由して、心電測定装置1との間で無線通信を実行したり、携帯端末50との間で無線通信を実行したりする。
【0057】
<携帯端末>
図1及び
図2に示すように、携帯端末50は、住宅H1に居住し、上述した入浴者P1に日常的になり得るユーザに携帯され、浴室R1、台所、リビング、寝室等において使用されるスマートフォン等の携帯電話や、携帯式のタブレット端末等である。
【0058】
図2に示すように、携帯端末50は、端末制御部55、タッチパネル58及び端末通信部59を有している。
【0059】
端末制御部55は、図示しないCPUと、ROM及びRAM等の記憶素子によって構成された記憶部55Mと、インターフェース回路等とを含んで構成された電子回路ユニットである。端末制御部55は、携帯端末50の動作に関する制御処理を実行する。
【0060】
記憶部55Mは、携帯端末50を動作させるための各種プログラム及び設定情報等を記憶している。また、記憶部55Mは、端末制御部55が取得する各種情報を適宜記憶する。記憶部55Mが記憶するプログラムには、
図9に示す実施例1のアプリケーションプログラムが含まれる。
【0061】
また、
図2に示すように、端末制御部55は、アドバイス情報生成部55Aを有している。後述するように、アドバイス情報生成部55Aは、携帯端末50において実施例1のアプリケーションプログラムを実行するときに機能する。
【0062】
タッチパネル58は、端末表示部58B及び端末入力部58Aを有している。端末表示部58Bは、本発明の「報知装置」の一例である。端末表示部58Bは、液晶パネル等であり、文字や画像等の各種情報を表示する。端末入力部58Aは、端末表示部58Bに表示される各種情報をユーザが視認可能な状態で端末表示部58Bを覆っている。端末入力部58Aは、ユーザが指先で触れて行う操作により、各種の入力を受ける。
【0063】
端末通信部59は、携帯電話の周波数帯を用いて行う通話を実行可能である。また、端末通信部59は、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等による無線通信を実行する電子回路を内蔵している。端末通信部59は、直接、又は、住宅H1内に設置された図示しない無線ルータ等を経由して、心電測定装置1との間で無線通信を実行したり、浴室リモコン30のリモコン通信部39との間で無線通信を実行したりする。
【0064】
なお、端末制御部55は、端末通信部59によって無線ルータ等を経由してインターネットや外部サーバとネットワーク通信を行い、
図9に示す実施例1のアプリケーションプログラムをダウンロードして記憶部55Mに記憶させることが可能である。
【0065】
<心電測定装置>
図3に示すように、心電測定装置1は、ケーシング9を備えている。ケーシング9は、第1方向、第2方向及び第3方向に延びている。第2方向は、第1方向に直交する方向である。第3方向は、第1方向及び第2方向に直交する方向である。
【0066】
ケーシング9の第3方向の長さL3は、ケーシング9の第1方向の長さL1の半分未満、かつケーシング9の第2方向の長さL2の半分未満である。つまり、ケーシング9は、扁平形状である。
【0067】
ケーシング9をホルダ8に嵌め、ホルダ8が有する複数の吸盤8Aを浴槽3の内壁面3Aにおける任意の位置に吸着させる。これにより、ケーシング9は、既存の浴槽3の内壁面3Aにおける任意の位置に脱着可能に取り付けられる。
【0068】
図10に示すように、ケーシング9は、例えば、浴槽3の内壁面3Aにおける取り付け位置AP1~AP7に脱着可能に取り付けられる。
【0069】
ケーシング9が内壁面3Aに取り付けられた状態において、第1方向及び第2方向は内壁面3Aに沿って延びる一方、第3方向は内壁面3Aに直交するように延びる。
【0070】
例えば、ケーシング9が内壁面3Aのうちの入浴者P1の左手側に位置する第3面3A3に取り付けられた状態において、第1方向は浴槽3の長手方向であり、第2方向は浴槽3の高さ方向であり、第3方向は浴槽3の幅方向である。
【0071】
また、ケーシング9が内壁面3Aのうちの第1面3A1に取り付けられた状態において、第1方向は浴槽3の幅方向であり、第2方向は浴槽3の高さ方向であり、第3方向は浴槽3の長手方向である。
【0072】
本実施例では、ケーシング9が内壁面3Aに取り付けられた状態において、第2方向の一方は上向きの方向であり、第2方向の他方は下向きの方向であり、第3方向の一方は浴槽3の中央に接近する方向であり、第3方向の他方は浴槽3の中央から離隔する方向である。
【0073】
扁平形状であるケーシング9は、内壁面3Aに取り付けられた状態で内壁面3Aから浴槽3の中央に向かって突出する程度が小さい。
【0074】
なお、ケーシング9内には、図示しない永久磁石が収容されている。そして、後述するように、心電測定装置1の取り付け位置が最適化された場合、内壁面3Aにおけるその取り付け位置に薄い鉄板を耐水性粘着テープ等で貼り付けて保護フィルムで覆い、ケーシング9内の永久磁石をその鉄板に吸着させる。これにより、ケーシング9は、ホルダ8無しで浴槽3の内壁面3Aに脱着可能に取り付けられる。
【0075】
ケーシング9は、
図4~
図6に示すケーシング本体90と、
図4に示すケーシングカバー99と、を有している。ケーシング本体90及びケーシングカバー99はそれぞれ、熱可塑性樹脂の射出成形等によって製造される樹脂成形品である。
【0076】
図4及び
図5に示すように、ケーシング本体90は、第3方向の他方を向く面側に大きな矩形状のケーシング開口90Hが形成された箱状体であり、ケーシング9の内部空間を区画している。
【0077】
図4に示すように、ケーシングカバー99は、第3方向の他方からケーシング開口90Hの全体を覆う状態、かつ、ケーシング開口90Hを囲む環状のケーシングガスケット90Gを介してケーシング本体90に密着する状態で、超音波溶着、接着、図示しない複数のネジによる締結等によってケーシング本体90に結合されている。これにより、ケーシング本体90とケーシングカバー99との間で水密性が確保されている。
【0078】
ケーシング本体90及びケーシングカバー99は、ケーシング9の内部空間側に位置する図示しない複数のリブやボス等を有し、それらによって、
図7に示す基板14等を保持している。
【0079】
図4及び
図5に示すように、ケーシング本体90は、第1端部91を有している。第1端部91は、ケーシング本体90における第1方向の一方に位置している。第1端部91は、第1壁91Wと、3つの第1貫通穴91H1、91H2、91H3と、を有している。
【0080】
第1壁91Wは、第1方向に略直交するように延びる壁であり、ケーシング9の内部空間を第1方向の一方から区画している。各第1貫通穴91H1、91H2、91H3は、第1方向において第1壁91Wを貫通している。
【0081】
第1貫通穴91H1は、第1壁91Wにおける第2方向の一方側に位置する段付き丸穴である。第1貫通穴91H2は、第1壁91Wにおける第2方向の他方側に位置する段付き丸穴である。第1貫通穴91H3は、第1壁91Wにおける第2方向の中間部に位置する矩形穴である。
【0082】
図6(a)に網掛けした領域で示すように、第1壁91Wは、第1シール面91Sを有している。第1シール面91Sは、第1壁91Wにおける第1方向の一方を向く面に形成されている。第1シール面91Sは、各第1貫通穴91H1、91H2、91H3のそれぞれの全周を囲む平坦面である。ハウジング本体90が樹脂成形品であるため、第1シール面91Sは硬質である。
【0083】
図4及び
図5に示すように、ケーシング本体90は、第2端部92を有している。第2端部92は、ケーシング本体90における第1方向の他方に位置している。第2端部92は、第2壁92Wと、3つの第2貫通穴92H1、92H2、92H3と、第1電源ボタン開口97と、を有している。
【0084】
第2壁92Wは、第1方向に略直交するように延びる壁であり、ケーシング9の内部空間を第1方向の他方から区画している。各第2貫通穴92H1、92H2、92H3及び第1電源ボタン開口97は、第1方向において第2壁92Wを貫通している。
【0085】
第2貫通穴92H1は、第2壁92Wにおける第2方向の一方側に位置する段付き丸穴である。第2貫通穴92H2は、第2壁92Wにおける第2方向の他方側に位置する段付き丸穴である。第2貫通穴92H3は、第2壁92Wにおける第2方向の中間部に位置する矩形穴である。第1電源ボタン開口97は、第2壁92Wにおける第2貫通穴92H1よりも第2方向の一方側に位置する丸穴である。
【0086】
図6(b)に網掛けした領域で示すように、第2壁92Wは、第2シール面92Sを有している。第2シール面92Sは、第2壁92Wにおける第1方向の他方を向く面に形成されている。第2シール面92Sは、各第2貫通穴92H1、92H2、92H3及び第1電源ボタン開口97のそれぞれの全周を囲む平坦面である。ハウジング本体90が樹脂成形品であるため、第2シール面92Sは硬質である。
【0087】
図3及び
図4に示すように、心電測定装置1は、第1電極10及び第2電極20を備えている。2つの電極である第1電極10及び第2電極20は、本発明の「複数の電極」の一例である。第1電極10及び第2電極20はそれぞれ、導電性及び耐水性を有する材料からなり、本実施例ではステンレス鋼からなる。
【0088】
図5に示すように、第1電極10の外形状は、第1方向の一方から見て、ケーシング本体90の第1シール面91Sの全体を覆う形状となっている。第1電極10は、ケーシング9の外部に露出する露出部10Eを有している。露出部10Eは、第1電極10における第1方向の一方を向く外側面である。
【0089】
図4に示すように、第1電極10における第1方向の他方を向く面には、第1締結凸部10T1、10T2、10T3が形成されている。
【0090】
第1締結凸部10T1は、第1電極10における第2方向の一方側に位置して第1方向の他方に向かって突出する円柱に雌ねじが形成されてなる。第1締結凸部10T2は、第1電極10における第2方向の他方側に位置して第1方向の他方に向かって突出する円柱に雌ねじが形成されてなる。第1締結凸部10T3は、第1電極10における第2方向の中間部に位置して第1方向の他方に向かって突出する角柱に雌ねじが形成されてなる。
【0091】
第1電極10と第1シール面91Sとの間には、第1ガスケット91Gが配置される。第1ガスケット91Gは、ゴム、エラストマ等の軟質材料からなり、可撓性を有するシートである。第1ガスケット91Gには、各第1貫通穴91H1、91H2、91H3に整合する穴が形成されている。
【0092】
第1電極10は、第1ガスケット91Gを介して第1シール面91Sに密着する状態、かつ第1締結凸部10T1が第1貫通穴91H1に嵌入し、第1締結凸部10T2が第1貫通穴91H2に嵌入し、第1締結凸部10T3が第1貫通穴91H3に進入する状態で、
図7に示すネジ10B1、10B2がケーシング9内で第1貫通穴91H1、91H2に挿通され、さらに第1締結凸部10T1、10T2にねじ込まれる。これにより、第1電極10は、各第1貫通穴91H1、91H2、91H3を閉塞し、第1方向の一方を向く外側面が露出部10Eとなってケーシング本体90に保持される。こうして、第1シール面91Sと第1電極10との間で水密性が確保されている。
【0093】
この状態で、基板14から延びる接続配線10Cの先端部が
図7に示すネジ10B3に巻き付けられ、その状態でネジ10B3がケーシング9内で第1締結凸部10T3にねじ込まれる。これにより、第1電極10は、接続配線10Cと、基板14の配線パターンと、を経由して、後述する心電情報生成部15Aに接続する。
【0094】
図4に示すように、第2電極20の外形状は、第1方向の他方から見て、ケーシング本体90の第2シール面92Sの全体を覆う形状となっている。第2電極20は、ケーシング9の外部に露出する露出部20Eを有している。露出部20Eは、第2電極20における第1方向の他方を向く外側面である。
【0095】
第2電極20は、第2電源ボタン開口27を有している。
図8に示すように、第2電源ボタン開口27は、第1方向に沿って見て第1電源ボタン開口97と重なる位置にあって、第1方向において第2電極20を貫通する大径の段付き丸穴である。第2電源ボタン開口27における第1方向の一方側の内径は、第2電源ボタン開口27における第1方向の他方側の内径よりも大きい。
【0096】
図7に示すように、第2電極20における第1方向の一方を向く面には、第2締結凸部20T1、20T2、20T3が形成されている。
【0097】
第2締結凸部20T1は、第2電極20における第2方向の一方側に位置して第1方向の一方に向かって突出する円柱に雌ねじが形成されてなる。第2締結凸部20T2は、第2電極20における第2方向の他方側に位置して第1方向の一方に向かって突出する円柱に雌ねじが形成されてなる。第2締結凸部20T3は、第2電極20における第2方向の中間部に位置して第1方向の一方に向かって突出する角柱に雌ねじが形成されてなる。
【0098】
第2電極20と第2シール面92Sとの間には、第2ガスケット92Gが配置される。第2ガスケット92Gは、ゴム、エラストマ等の軟質材料からなり、可撓性を有するシートである。第2ガスケット92Gには、各第2貫通穴92H1、92H2、92H3に整合する穴が形成されている。第2ガスケット92Gは、本発明の「ガスケット」の一例である。
【0099】
第2電極20は、第2ガスケット92Gを介して第2シール面92Sに密着する状態、かつ第2締結凸部20T1が第2貫通穴92H1に嵌入し、第2締結凸部20T2が第2貫通穴92H2に嵌入し、第2締結凸部20T3が第2貫通穴92H3に進入する状態で、
図7に示すネジ20B1がケーシング9内で第2貫通穴92H1に挿通され、さらに第2締結凸部20T1にねじ込まれるとともに、
図7に示すネジ20B2がケーシング9内で第2貫通穴92H2に挿通され、さらに第2締結凸部20T2にねじ込まれる。これにより、第2電極20は、各第2貫通穴92H1、92H2、92H3を閉塞し、第1方向の他方を向く外側面が露出部20Eとなってケーシング本体90に保持される。また、
図8に示すように、第1電源ボタン開口97は、第2ガスケット92Gによって封止される。こうして、第2シール面92Sと第2電極20との間で水密性が確保されている。
【0100】
この状態で、
図7に示すように、基板14から延びる接続配線20Cの先端部が1つのネジ20B3に巻き付けられ、その状態でネジ20B3がケーシング9内で第2締結凸部20T3にねじ込まれる。これにより、第2電極20は、接続配線20Cと、基板14の配線パターンと、を経由して、後述する心電情報生成部15Aに接続する。
【0101】
図8に示すように、心電測定装置1は、電源ボタン7及び電源スイッチ17Aをさらに備えている。
【0102】
電源ボタン7は、段付きの円盤形状である。電源ボタン7における第1方向の一方側の外径は、電源ボタン7における第1方向の他方側の外径よりも大きい。電源ボタン7における第1方向の一方を向く面の中央には、第1方向の一方に向けて突出する突起が形成されている。
【0103】
電源ボタン7は、第1方向の一方に向けて押し込み可能に第2電源ボタン開口27に収容されている。電源ボタン7の突起は、第2ガスケット92Gに当接している。電源ボタン7の突起は、電源ボタン7が押し込まれることにより第2ガスケット92Gを第1電源ボタン開口97の中央に向かって凹むように撓ませる。
【0104】
電源スイッチ17Aは、第1電源ボタン開口97に第1方向の一方から嵌合する状態で、第2壁92Wに保持されている。電源スイッチ17Aは、第2ガスケット92Gを挟んで電源ボタン7の突起と対向している。
【0105】
電源ボタン7は、第1方向の一方に向けて押し込まれることにより、電源スイッチ17Aを断接し、後述する電源部17の作動及び停止を切り替える。
【0106】
図2に示すように、心電測定装置1は、電源部17、制御部15及び無線通信部19を備えている。電源部17は、ケーシング9に収容され、基板14とケーシングカバー99との間に配置されている。制御部15及び無線通信部19はそれぞれ、ケーシング9に収容され、基板14に配置された電子回路によって構成されている。
【0107】
電源部17は、充電式バッテリと、ワイヤレス充電器の受電部と、を有している。心電測定装置1を浴室R1から持ち出してワイヤレス充電器の送電部に載せ、その送電部から電源部17の受電部に送電させることにより、電源部17の充電式バッテリが充電される。
【0108】
電源部17は、電源ボタン7の押し込みにより作動及び停止が切り替えられる。電源部17は、作動することにより、第1電極10及び第2電極20と、制御部15と、無線通信部19と、に電力を供給する。
【0109】
制御部15は、図示しないCPUと、ROM及びRAM等の記憶素子によって構成された記憶部15Mと、インターフェース回路等とを含んで構成された電子回路ユニットである。制御部15は、心電測定装置1の動作に関する制御処理を実行する。
【0110】
記憶部15Mは、心電測定装置1を動作させるための各種プログラム及び設定情報等を記憶している。また、記憶部15Mは、制御部15が取得する各種情報を適宜記憶する。
【0111】
また、制御部15は、心電情報生成部15Aを有している。心電情報生成部15Aは、作動増幅回路、フィルタ回路、A/Dコンバータ、演算部等を有している。心電情報生成部15Aは、第1電極10及び第2電極20に接続している。
【0112】
第1電極10及び第2電極20は、各露出部10E、20Eが浴槽3内に貯留された湯水PW1に浸る状態で、湯水PW1に入浴している入浴者P1の心拍に係る心電信号を検出する。この際、第1電極10及び第2電極20は、第1電極10と第2電極20との間に発生する差分電圧を心電信号として検出する。
【0113】
心電情報生成部15Aは、第1電極10及び第2電極20が検出した心電信号に基づいて入浴者P1の心電情報を生成する。この際、心電情報生成部15Aは、心電情報として少なくとも心電図波形及び心電信号強度情報を含むように生成する。心電信号強度情報は、心電信号の強度(以下「心電信号強度という」)を示す情報である。
【0114】
図11に示すように、心電図波形は、心臓の筋肉から発生する微弱な電気信号を拾い上げ、波形として記録したものである。心電図信号の波形には、心拍数、心電信号強度、心臓が収縮するリズムの乱れ、自律神経等に関する各種情報が含まれる。
【0115】
心電信号強度は、本実施例では、心電図波形における基準レベルとピークとの差である。心電情報生成部15Aは、心電信号強度が高い程、精度の良い心電情報を生成できる。
【0116】
無線通信部19は、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等による無線通信を実行する電子回路を内蔵している。無線通信部19は、直接、又は、住宅H1内に設置された図示しない無線ルータ等を経由して、浴室リモコン30のリモコン通信部39との間で無線通信を実行したり、携帯端末50の端末通信部59との間で無線通信を実行したりする。この際、無線通信部19は、心電情報生成部15Aが生成した心電情報を浴室リモコン30及び携帯端末50に送信する。その心電情報には、心電信号強度情報が含まれる。
【0117】
そして、入浴者P1が浴室リモコン30のリモコン入力部38Aに対して心電情報の表示を指示する入力を行うと、リモコン制御部35は、浴室リモコン30のリモコン表示部38Bを制御して、心電情報を表示させる。この際、リモコン制御部35は、心電情報と、湯水PW1の水位及び湯温とに基づいて入浴者P1の身体情報を判断し、入浴者P1が快適な入浴をするためのアドバイス、例えば、水位又は湯温の変更を推奨するアドバイス等を行うことができる。
【0118】
入浴者P1が携帯端末50を浴室R1に持ち込んだ場合、端末制御部55は、リモコン制御部35と同様の動作を行うことができる。また、入浴を終えた入浴者P1がリビングや寝室に移動して携帯端末50を使用する場合、端末制御部55は、端末表示部58Bに心電情報を表示させたり、次回に入浴者P1が快適な入浴をするためのアドバイス等を行ったりすることができる。
【0119】
<心電測定装置の取り付け位置の最適化>
図9に示すように、入浴者P1は、浴室リモコン30において実施例1のアプリケーションプログラムをリモコン制御部35に実行させることにより、以下に説明するように、心電測定装置1の取り付け位置を最適化することができる。
【0120】
なお、入浴者P1は、浴室R1に持ち込んだ携帯端末50において実施例1のアプリケーションプログラムを端末制御部55に実行させることによっても、心電測定装置1の取り付け位置を最適化することができる。その説明は、浴室リモコン30と同様であって、リモコン制御部35、アドバイス情報生成部35A、リモコン入力部38A及びリモコン表示部38Bが端末制御部55、アドバイス情報生成部55A、端末入力部58A及び端末表示部58Bに置き換わるだけであるので省略する。
【0121】
リモコン制御部35は、実施例1のアプリケーションプログラムを開始すると、ステップS101においてカウント変数n=1に設定する。
【0122】
次に、リモコン制御部35はステップS102に移行してリモコン表示部38Bを制御し、入浴者P1に対し、心電測定装置1をn番目の取り付け位置への取り付けるように指示するメッセージを報知する。
【0123】
例えば、リモコン制御部35は、
図10に示す取り付け位置AP1~AP7にこの順番で取り付けるように指示する。
【0124】
次に、リモコン制御部35は
図9に示すステップS103に移行し、心電測定装置1のn番目の取り付け位置への取り付けが完了したか否かを判断する。入浴者P1は、電源部17を作動させた心電測定装置1をn番目の取り付け位置に取り付けた後、リモコン入力部38Aに対して取り付け完了を入力する。この際、第1電極10及び第2電極20は、各露出部10E、20Eが浴槽3内に貯留された湯水PW1に浸る状態となっており、入浴者P1は肩近くまで湯水PW1に浸る状態となっている。
【0125】
取り付け完了が入力されるまではステップS103において「No」となるので、リモコン制御部35はステップS103を繰り返す。
【0126】
取り付け完了が入力されるとステップS103において「Yes」となるので、リモコン制御部35はステップS104に移行する。そして、リモコン制御部35は、リモコン通信部39及び無線通信部19を経由して心電測定装置1の制御部15との間で無線通信を実行し、心電測定の開始を指示する。
【0127】
制御部15が心電測定を開始すると、第1電極10及び第2電極20は、入浴者P1の心電信号を検出する。心電情報生成部15Aは、第1電極10及び第2電極20が検出した心電信号に基づいて入浴者P1の心電情報を生成する。無線通信部19は、心電情報生成部15Aが生成した心電情報を浴室リモコン30に送信する。
【0128】
次に、リモコン制御部35はステップS105に移行し、心電情報を受信したか否かを判断する。ステップS105は、本発明の「第1ステップ」の一例である。リモコン制御部35が心電情報をリモコン通信部39によって受信するまではステップS105において「No」となるので、リモコン制御部35はステップS105を繰り返す。
【0129】
リモコン制御部35が心電情報を受信するとステップS105において「Yes」となるので、リモコン制御部35は、ステップS106に移行する。そして、リモコン制御部35は、受信した心電情報に含まれる心電信号強度情報を抽出し、n番目の取り付け位置における心電信号強度を記憶部35Mに記憶させる。
【0130】
次に、リモコン制御部35はステップS107に移行し、全ての取り付け位置で心電測定を完了したか否かを判断する。ステップS107において「No」の場合、リモコン制御部35はステップS108に移行してカウント変数nに1を加算した後、ステップS102に戻る。リモコン制御部35は、全ての取り付け位置で心電測定を完了するまでステップS102~S107を繰り返す。
【0131】
全ての取り付け位置で心電測定を完了するとステップS107において「Yes」となるので、リモコン制御部35はステップS109に移行する。そして、リモコン制御部35において、アドバイス情報生成部35Aは、心電情報に含まれる心電信号強度情報に基づいて、心電測定装置1の取り付け位置を最適化するためのアドバイス情報を生成する。ステップS109は、本発明の「第2ステップ」の一例である。
【0132】
具体的には、アドバイス情報生成部35Aは、記憶部35Mが記憶した各取り付け位置における心電信号強度を比較し、心電信号強度が最大である取り付け位置を判定してアドバイス情報を生成する。例えば、アドバイス情報は、「心電信号強度が最大である取り付け位置は、取り付け位置AP7です。」という情報である。
【0133】
次に、リモコン制御部35はステップS110に移行する。そして、アドバイス情報生成部35Aはリモコン表示部38Bを制御し、入浴者P1にアドバイス情報を報知する。ステップS110は、本発明の「第3ステップ」の一例である。入浴者P1は、心電測定装置1をアドバイス情報に対応する取り付け位置に取り付けることにより、心電測定装置1の取り付け位置を最適化できる。
【0134】
<作用効果>
実施例1の心電測定装置1は、
図2及び
図3に示すように、ケーシング9、第1電極10、第2電極20、心電情報生成部15A及び電源部17が一体化されたモジュールとして、入浴者P1となるユーザに提供される。これにより、ユーザは、心電測定装置1のケーシング9を既存の浴槽3の内壁面3Aに脱着可能に取り付けるだけで、入浴時の心電情報を利用できる。
【0135】
したがって、実施例1の心電測定装置1は、入浴時の心電情報を利用するユーザの利便性の向上を実現できる。また、この心電測定装置1では、制御部15等を有する基板17と、第1電極10及び第2電極20とがケーシング9の防水区域内で接続されている。この構成により、第1電極10及び第2電極20が検出する心電信号が乱れ難いので、SN比の向上を実現できる。
【0136】
また、この心電測定装置1は、上記従来の心電測定装置と比較して、第1電極10及び第2電極20と、心電情報生成部15Aと、の距離を非常に短くできるので、耐ノイズ性の向上を実現でき、ひいては、心電情報を精度良く生成できる。
【0137】
さらに、この心電測定装置1において、
図5に示すように、ケーシング本体90の第1端部91は、第1壁91W及び各第1貫通穴91H1~91H3を有している。そして、第1電極10は、第1ガスケット91Gを介して第1壁91Wの第1シール面91Sに密着して各第1貫通穴91H1~91H3を閉塞し、外側面が露出部10Eとなってケーシング本体90に保持されている。この構成により、第1電極10が第1端部91の各第1貫通穴91H1~91H3を閉塞する蓋を兼ねるので、部品点数を削減できる。また、第1電極10が第1ガスケット91Gを介して第1シール面91Sに密着することにより、第1シール面91Sと第1電極10との間で水密性を確保し易くなるので、ケーシング9における第1電極10の周辺の防水性の低下を抑制し易い。
【0138】
また、この心電測定装置1において、
図4に示すように、ケーシング本体90の第2端部92は、第2壁92W及び各第2貫通穴92H1~92H3を有している。そして、第2電極20は、第2ガスケット92Gを介して第2壁92Wの第2シール面92Sに密着して各第2貫通穴92H1~92H3を閉塞し、外側面が露出部20Eとなってケーシング本体90に保持されている。この構成により、第2電極20が第2端部92の各第2貫通穴92H1~92H3を閉塞する蓋を兼ねるので、部品点数を一層削減できる。また、第2電極20が第2ガスケット92Gを介して第2シール面92Sに密着することにより、第2シール面92Sと第2電極20との間で水密性を確保し易くなるので、ケーシング9における第2電極20の周辺の防水性の低下を抑制し易い。さらに、この構成により、第1電極10の露出部10Eと第2電極20の露出部20Eとが離隔する距離を大きくし易いので、心電信号強度を高くできる。
【0139】
さらに、この心電測定装置1において、
図8に示すように、第1電源ボタン開口97は、可撓性を有する第2ガスケット92Gによって封止されている。そして、電源ボタン7は、第1方向の一方に向けて押し込み可能に第2電源ボタン開口27に収容されている。この構成により、第2電極20が電源ボタン7を囲むベゼルを兼ねるので、仮に電源ボタン7をケーシング9における第1電極10及び第2電極20とは異なる位置に設ける場合と比較して、ケーシング9の形状の複雑化を抑制でき、意匠性の向上を実現できる。
【0140】
また、この心電測定装置1において、
図3に示すように、ケーシング9は、第3方向L3の長さが第1方向の長さL1の半分未満、かつ第2方向の長さL2の半分未満の扁平形状である。この構成により、ケーシング9は、内壁面3Aに取り付けられた状態で内壁面3Aから浴槽3の中央に向かって突出する程度が小さくなるので、入浴者P1の邪魔になることを抑制できる。
【0141】
さらに、この心電測定装置1において、2つの電極である第1電極10及び第2電極20は、第1電極1と第2電極20との間に発生する差分電圧を心電信号として検出する。この構成により、仮に複数の電極が2つの電極と、2つの電極の間に位置する基準電極と、であって、一方の電極と基準電極との間に発生する差分電圧と、他方の電極と基準電極との間に発生する差分電圧と、を心電信号として検出する場合と比較して入力インピーダンスの低下を抑制でき、心電信号強度が低くなり難い。
【0142】
また、この心電測定装置1において、
図2に示すように、心電情報生成部15Aは、心電情報として心電信号強度情報を少なくとも含むように生成する。そして、無線通信部19は、浴室リモコン30及び携帯端末50との間で無線通信を実行し、心電情報を浴室リモコン30及び携帯端末50に送信する。この構成により、心電測定装置1専用の報知装置が不要となり、心電測定装置1を浴槽3内のどこに取り付けても、ユーザが心電情報を浴室リモコン30のリモコン表示部38B及び携帯端末50の端末表示部58Bによって確認できる。また、この構成により、浴室リモコン30及び携帯端末50は、心電信号強度情報に基づいて心電測定装置1の取り付け位置を最適化するためのアドバイス情報を生成し、そのアドバイス情報をリモコン表示部38B及び端末表示部58Bによってユーザに報知できる。
【0143】
実施例1の心電測定システム100において、
図2に示すように、浴室リモコン30はアドバイス情報生成部35Aを有し、携帯端末50はアドバイス情報生成部55Aを有している。そして、アドバイス情報生成部35A、55Aは、
図9に示すステップS109においてアドバイス情報を生成し、ステップS110において、アドバイス情報をリモコン表示部38B及び端末表示部58Bによって報知する。
【0144】
実施例1の心電測定システム100において、入浴者P1となるユーザは、浴室リモコン30のリモコン表示部38B及び携帯端末50の端末表示部58Bによって報知されるアドバイス情報を参考にして、心電測定装置1の取り付け位置を最適化できる。
【0145】
したがって、実施例1の心電測定システム100は、入浴時の心電情報を利用するユーザの利便性の向上を実現できる。
【0146】
実施例1のアプリケーションプログラムにおいて、入浴者P1となるユーザは、
図9に示すステップS105、S109、S110が実行され、浴室リモコン30のリモコン表示部38B及び携帯端末50の端末表示部58Bによって報知されるアドバイス情報を参考にして、心電測定装置1の取り付け位置を最適化できる。
【0147】
したがって、実施例1のアプリケーションプログラムは、入浴時の心電情報を利用するユーザの利便性の向上を実現できる。
【0148】
(実施例2)
図12に示すように、実施例2のアプリケーションプログラムは、実施例1の心電測定システム100において、実施例1のアプリケーションプログラムの代わりに実行される。実施例2のアプリケーションプログラムは、浴室リモコン30においてリモコン制御部35に実行されたり、入浴者P1が浴室R1に持ち込んだ携帯端末50において端末制御部55に実行されたりする。心電測定装置1及び心電測定システム100の構成については、実施例1から変更されていない。
【0149】
浴室リモコン30において実施例2のアプリケーションプログラムをリモコン制御部35が実行する場合について、以下に説明する。携帯端末50において実施例2のアプリケーションプログラムを端末制御部55が実行する場合、その説明は、浴室リモコン30と同様であって、リモコン制御部35、アドバイス情報生成部35A、リモコン入力部38A及びリモコン表示部38Bが端末制御部55、アドバイス情報生成部55A、端末入力部58A及び端末表示部58Bに置き換わるだけであるので省略する。
【0150】
入浴者P1が心電測定装置1を浴槽3の内壁面3Aにおける任意の位置に脱着可能に取り付けた後、浴室リモコン30のリモコン入力部38Aに対して実施例2のアプリケーションプログラムの実行を指示する入力を行うと、リモコン制御部35は、実施例2のアプリケーションプログラムを開始する。
【0151】
リモコン制御部35はステップS201において、リモコン通信部39及び無線通信部19を経由して心電測定装置1の制御部15との間で無線通信を実行し、心電測定の開始を指示する。
【0152】
制御部15が心電測定を開始すると、第1電極10及び第2電極20は、入浴者P1の心電信号を検出する。心電情報生成部15Aは、第1電極10及び第2電極20が検出した心電信号に基づいて入浴者P1の心電情報を生成する。無線通信部19は、心電情報生成部15Aが生成した心電情報を浴室リモコン30に送信する。
【0153】
次に、リモコン制御部35はステップS202に移行し、心電情報を受信したか否かを判断する。ステップS202は、本発明の「第1ステップ」の一例である。リモコン制御部35が心電情報をリモコン通信部39によって受信するまではステップS202において「No」となるので、リモコン制御部35はステップS202を繰り返す。
【0154】
リモコン制御部35が心電情報を受信するとステップS202において「Yes」となるので、リモコン制御部35はステップS203に移行する。そして、リモコン制御部35は、受信した心電情報に含まれる心電信号強度情報を抽出し、心電信号強度が所定強度以上であるか否かを判断する。所定強度は、心電測定を良好に実施可能な下限値として予め設定されている。
【0155】
ステップS203において「Yes」の場合、リモコン制御部35はステップS204に移行する。そして、リモコン制御部35は心電測定装置1の取り付け位置が良好であると判定し、心電信号強度を複数段階(例えば、1≦レベルA≦B)で評価してアドバイス情報を生成した後、ステップS206に移行する。この場合のアドバイス情報は、例えば「心電測定装置1の取り付け位置が良好であって、心電信号強度がレベルAです。」という情報である。
【0156】
その一方、ステップS203において「No」の場合、リモコン制御部35はステップS205に移行する。そして、リモコン制御部35は心電測定装置1の取り付け位置が良好ではないと判定し、取り付け位置の変更を推奨するアドバイス情報を生成した後、ステップS206に移行する。
【0157】
ステップS203~S205は、本発明の「第2ステップ」の一例である。
【0158】
ステップS204又はステップS205からステップS206に移行すると、リモコン制御部35は、リモコン表示部38Bを制御して、アドバイス情報を報知する。ステップS206は、本発明の「第3ステップ」の一例である。
【0159】
次に、リモコン制御部35はステップS207に移行し、リモコン入力部38Aに対して取り付け位置の変更希望の入力が行われたか否かを判断する。
【0160】
入浴者P1は、心電測定装置1の取り付け位置が良好ではなく、取り付け位置の変更を推奨するアドバイス情報が報知された場合、心電測定装置1による心電測定を断念しない限り、取り付け位置の変更希望の入力を行う。
【0161】
また、入浴者P1は、心電測定装置1の取り付け位置が良好であるが、心電信号強度のレベルが低いというアドバイス情報が報知された場合、取り付け位置の変更希望の入力を行う可能性がある。
【0162】
ステップS207において「Yes」の場合、リモコン制御部35はステップS208に移行し、心電測定装置1の取り付け位置の変更が完了したか否かを判断する。入浴者P1は、心電測定装置1の取り付け位置を変更した後、リモコン入力部38Aに対して取り付け位置の変更完了を入力する。
【0163】
取り付け位置の変更完了が入力されるまではステップS208において「No」となるので、リモコン制御部35はステップS208を繰り返す。
【0164】
取り付け位置の変更完了が入力されるとステップS208において「Yes」となるので、リモコン制御部35はステップS201に戻る。そして、リモコン制御部35は、入浴者P1が取り付け位置の変更を希望しなくなるまでステップS201~S208を繰り返す。
【0165】
その一方、ステップS207において「No」の場合、リモコン制御部35はこのアプリケーションプログラムを終了する。
【0166】
<作用効果>
実施例2のアプリケーションプログラムにおいて、入浴者P1となるユーザは、
図12に示すステップS202~S206が実行され、浴室リモコン30のリモコン表示部38B及び携帯端末50の端末表示部58Bによって報知されるアドバイス情報を参考にして、心電測定装置1の取り付け位置を最適化できる。
【0167】
したがって、実施例2のアプリケーションプログラムも、入浴時の心電情報を利用するユーザの利便性の向上を実現できる。
【0168】
(実施例3)
図13~
図15に示すように、実施例3の心電測定装置は、実施例1の心電測定装置1に係る第1電極10及び第2電極の代わりに2つの電極210、220を備え、蓋体260をさらに備えている。
【0169】
また、実施例3の心電測定装置は、
図13に示すように、実施例1の心電測定装置1に係る第1端部91の第1壁91Wについて、第1貫通穴91H3を無くし、その代わりに2つの小さい第1貫通穴291H3を形成するように変更している。それに伴って、第1ガスケット91Gには、各第1貫通穴291H3に整合する穴が形成されている。
【0170】
さらに、実施例3の心電測定装置は、実施例1の心電測定装置1に係る第2端部92の第2壁92Wについて、各貫通穴92H1~92H3及び第1電源ボタン開口97を無くすとともに、図示は省略するが、第2壁92Wにおける第1方向の他方を向く面を平坦な意匠面とするように変更している。
【0171】
実施例3に係る第1端部91は、本発明の「ケーシング端部」の一例である。実施例3に係る第1壁91Wは、本発明の「ケーシング壁」の一例である。実施例3に係る各第1貫通穴91H1、91H2、291H3は、本発明の「ケーシング貫通穴」の一例である。実施例3に係る第1シール面91Sは、本発明の「ケーシングシール面」の一例である。第1壁91Wは、第1方向においてケーシング9の外部側を向く面に形成された第1シール面91Sを有している。
【0172】
なお、電源部17の作動及び停止の切り替えは、電源ボタン7及び電源スイッチ17Aの代わりに、例えば、ケーシング9に収容されたリードスイッチをケーシング9の外部に位置する永久磁石によって断接する構成等を採用することにより行われる。
【0173】
実施例3のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0174】
実施例3において、蓋体260は、熱可塑性樹脂の射出成形等によって製造される樹脂成形品である。蓋体260の外形状は、第1方向の一方から見て、ケーシング本体90の第1シール面91Sの全体を覆う形状となっている。
【0175】
図14に示すように、蓋体260における第1方向の他方を向く面には、締結凸部260T1、260T2が形成されている。
【0176】
締結凸部260T1は、蓋体260における第2方向の一方側に位置して第1方向の他方に向かって突出する円柱に雌ねじが形成されてなる。締結凸部260T2は、蓋体260における第2方向の他方側に位置して第1方向の他方に向かって突出する円柱に雌ねじが形成されてなる。
【0177】
蓋体260における第2方向の中間部には、2つの電極保持穴260Hが形成されている。各電極保持穴260Hは、第2方向において互いに離隔している。
【0178】
図15に示すように、各電極保持穴260Hは、第1方向において蓋体260を貫通する大径の段付き丸穴である。各電極保持穴260Hにおける第1方向の一方側の内径は、各電極保持穴260Hにおける第1方向の他方側の内径よりも小さい。
【0179】
各電極210、220はそれぞれ、導電性及び耐水性を有する材料からなり、本実施例ではステンレス鋼からなる段付き円柱である。各電極210、220における第1方向の一方側の外径は、各電極210、220における第1方向の他方側の外径よりも小さい。
【0180】
各電極210、220における第1方向の一方側には、Oリング201を収容するOリング溝201Aが凹設されている。
【0181】
各電極210、220は、それぞれの露出部210E、220Eが蓋体260の外側面側においてケーシング9の外部に露出し、かつ互いに離隔する状態で蓋体260に保持されている。Oリング201により、各電極保持穴260Hと各電極210、220との間で水密性が確保されている。
【0182】
各電極210、220における第1方向の他方を向く面には、接続配線202が接続されている。
【0183】
蓋体260は、第1ガスケット91Gを介して第1シール面91Sに密着する状態、かつ締結凸部260T1が第1貫通穴91H1に嵌入し、締結凸部260T2が第1貫通穴91H2に嵌入し、各接続配線202が第1貫通穴291H3を通過する状態で、図示しないネジがケーシング9内で第1貫通穴91H1、91H2に挿通され、さらに締結凸部260T1、260T2にねじ込まれる。これにより、蓋体260は、各第1貫通穴91H1、91H2、291H3を閉塞し、ケーシング本体90に保持される。こうして、第1シール面91Sと蓋体260との間で水密性が確保されている。
【0184】
各電極210、220は、蓋体260を介してケーシング本体90に保持される。各電極210、220は、各接続配線202と、基板14の配線パターンと、を経由して、心電情報生成部15Aに接続する。
【0185】
<作用効果>
実施例3の心電測定装置は、実施例1の心電測定装置1と同様に、ケーシング9、電極210、220、心電情報生成部15A及び電源部17が一体化されたモジュールとして、入浴者P1となるユーザに提供される。これにより、ユーザは、この心電測定装置のケーシング9を既存の浴槽3の内壁面3Aに脱着可能に取り付けるだけで、入浴時の心電情報を利用できる。
【0186】
したがって、実施例3の心電測定装置も、入浴時の心電情報を利用するユーザの利便性の向上を実現できる。
【0187】
また、この心電測定装置において、蓋体260が第1ガスケット91Gを介して第1シール面91Sに密着することにより、第1シール面91Sと蓋体260との間で水密性を確保し易くなるので、ケーシング9における蓋体260の周辺の防水性の低下を抑制し易い。また、各電極210、220が蓋体260に保持されることにより、各電極210、220を露出させるための開口をケーシング9に設ける数を減らし易くなり、又はゼロにできるので、ケーシング9の形状の複雑化を抑制できる。
【0188】
(実施例4)
図16に示すように、実施例4の心電測定装置は、実施例1の心電測定装置1から無線通信部19を無くし、その代わりに、入力部18A及び表示部18を備えるように変更している。表示部18は、本発明の「報知装置」の一例である。
【0189】
入力部18A及び表示部18は、ケーシング9に収容されている。図示は省略するが、入力部18Aは、可撓性を有する防水カバーに覆われており、この心電測定装置の操作に関する入力を受ける。表示部18は、光透過性を有する防水カバーに覆われており、文字や画像等の各種情報を表示する。
【0190】
また、この心電測定装置において、制御部15は、アドバイス情報生成部15Bを有している。入浴者P1は、この心電測定装置において、
図9又は
図12に示すアプリケーションプログラムを制御部15に実行させる。これにより、アドバイス情報生成部15Bは、心電情報生成部15Aが生成した心電情報に含まれる心電信号強度情報に基づいて、この心電測定装置の取り付け位置を最適化するためのアドバイス情報を生成し、アドバイス情報を報知装置によって報知する。
【0191】
制御部15が
図9又は
図12に示すアプリケーションプログラムを実行するときの説明は、浴室リモコン30と同様であって、リモコン制御部35、アドバイス情報生成部35A、リモコン入力部38A及びリモコン表示部38Bが制御部15、アドバイス情報生成部15B、入力部18A及び表示部18Bに置き換わるだけであるので省略する。
【0192】
<作用効果>
実施例4の心電測定装置は、ケーシング9、電極210、220、心電情報生成部15A及び電源部17が一体化され、さらにアドバイス情報生成部15B、入力部18A及び表示部18Bが一体化されたモジュールとして、入浴者P1となるユーザに提供される。これにより、ユーザは、この心電測定装置のケーシング9を既存の浴槽3の内壁面3Aに脱着可能に取り付けるだけで、入浴時の心電情報を利用できる。
【0193】
また、この心電測定装置において、入浴者P1となるユーザは、アドバイス情報生成部15Bによって生成され、表示部18Bによって報知されるアドバイス情報を参考にして、この心電測定装置の取り付け位置を最適化できる。
【0194】
したがって、実施例4の心電測定装置も、入浴時の心電情報を利用するユーザの利便性の向上を実現できる。
【0195】
以上において、本発明を実施例1~4に即して説明したが、本発明は上記実施例1~4に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0196】
(変形例)
実施例1について、以下のように変更した構成も本発明に含まれる。浴室リモコン30及び携帯端末50が住宅H1内に設置された図示しない無線ルータ等を経由して、住宅H1の外部に設けられたサーバとネットワーク通信可能とする。そして、心電測定装置1の心電情報生成部15Aは解析負荷の小さい心電情報(例えば、心電図波形、心電信号強度情報等)を生成し、その心電情報を浴室リモコン30又は携帯端末50を経由してサーバに伝達する。サーバは、その心電情報について高度な解析(例えば、入浴者P1の体調、リラックスの程度等)を行う。その解析結果は、浴室リモコン30又は携帯端末50に伝達され、浴室リモコン30のリモコン表示部38B又は携帯端末50の端末表示部58Bによって入浴者P1に報知される。また、サーバは、解析結果を蓄積して解析精度を向上させたり、日々の入浴における体調変化等を可視化してユーザに提供したりする。なお、心電測定装置1が浴室リモコン30及び携帯端末50を経由せずにサーバとネットワーク通信してもよい。このような構成により、高度な解析による有益性の高い心電情報を入浴者に報知できる。
【0197】
実施例1では、心電測定装置1が2つの電極、すなわち第1電極10及び第2電極20を備えている。実施例3では、心電測定装置が2つの電極210、220を備えている。しかしながら、本発明はこの構成には限定されず、複数の電極が3つ以上であってもよい。
【0198】
実施例1では、第1端部91が3つの第1貫通穴91H1、91H2、91H3を有しているが、本発明はこの構成には限定されず、第1端部が少なくとも1つの第1貫通穴を有していればよい。第2端部92についても同様である。
【0199】
実施例1では、第1電極10が第1ガスケット91Gを介して硬質の第1シール面91Sに密着しているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、第1電極が防水グリス等を介して硬質の第1シール面に密着する構成や、第1端部に軟質樹脂、エラストマ、ゴム等からなる軟質層を形成してその表面を第1シール面とし、第1電極が軟質の第1シール面に直に密着する構成も本発明に含まれる。第2電極20及び蓋体260についても同様である。
【0200】
実施例1の心電測定システム100は、心電測定装置1、浴室リモコン30及び携帯端末50を備えているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、実施例1の心電測定システム100から浴室リモコン30及び携帯端末50の一方を無くした構成も、本発明に含まれる。
【0201】
実施例1の心電測定装置1について、電源ボタン7を第2端部92に設ける代わりに、第1端部91に設けるように変更した構成も本発明に含まれる。この場合、第1端部91は本発明の「第2端部」に置き換わり、第2端部92は本発明の「第1端部」に置き換わる。
【0202】
実施例1の心電測定装置1について、電源ボタン7を第1端部91及び第2端部92に設けないように変更した構成も本発明に含まれる。
【0203】
実施例3の心電測定装置について、蓋体260に電源ボタン7と同様の構成である電源ボタンを設けるように変更した構成も本発明に含まれる。
【0204】
実施例3の心電測定装置について、第2端部92にも、第1端部91の蓋体260及び電極210、220と同様の構成を採用するように変更した構成も本発明に含まれる。この場合において、第1端部91及び第2端部92のそれぞれに保持される蓋体260が少なくとも1つの電極を保持するように変更した構成も本発明に含まれる。
【0205】
実施例1、3では、ケーシング9がケーシング本体90及びケーシングカバー99を有しているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、ケーシングが第1方向に筒状に延びる一部材であり、その第1方向の一方及び他方に位置する開放端を電極で閉塞した構成も本発明に含まれる。また、ケーシングが第1方向に筒状に延びてその第1方向の一方が閉塞された一部材であり、その第1方向の他方に位置する開放端を蓋体で閉塞し、その蓋体が複数の電極を保持する構成も本発明に含まれる。
【0206】
ケーシング9における浴槽3の中央を向く壁面に電極の露出部が位置する構成も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0207】
本発明は例えば、浴室が設置された住宅や施設等に利用可能である。
【符号の説明】
【0208】
1…心電測定装置
3…浴槽
3A…浴槽の内壁面
9…ケーシング
PW1…浴槽内に貯留された湯水
P1…入浴者
10、20、210、220…複数の電極(10…第1電極、20…第2電極)
10E、20E、210E、220E…電極の露出部(10E…第1電極の露出部、20E…第2電極の露出部)
15A…心電情報生成部
17…電源部
91…第1端部
91W…第1壁
91H1、91H2、91H3…第1貫通穴
91S…第1シール面
92…第2端部
92W…第2壁
92H1、92H2、92H3…第2貫通穴
92S…第2シール面
97…第1電源ボタン開口
27…第2電源ボタン開口
7…電源ボタン
92G…ガスケット(第2ガスケット)
260…蓋体
L1…ケーシングの第1方向の長さ
L2…ケーシングの第2方向の長さ
L3…ケーシングの第3方向の長さ
19…無線通信部
30、50…通信端末(30…浴室リモコン、50…携帯端末)
18B、38B、58B…報知装置(18B…表示部、38B…リモコン表示部、58B…端末表示部)
100…心電測定システム
15B、35A、55A…アドバイス情報生成部
S105、S202…第1ステップ
S109、S203~S205…第2ステップ
S110、S206…第3ステップ
91…ケーシング端部(第1端部)
91W…ケーシング壁(第1壁)
91H1、91H2、291H3…ケーシング貫通穴(第1貫通穴)
91S…ケーシングシール面(第1シール面)