(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017128
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】親綱用クランプ
(51)【国際特許分類】
A62B 35/00 20060101AFI20250129BHJP
E04G 21/32 20060101ALI20250129BHJP
E04G 5/00 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
A62B35/00 H
E04G21/32 D
E04G5/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120030
(22)【出願日】2023-07-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 試験日 令和5年5月17日 試験場所 東北自動車道 国見IC先 滝川橋
(71)【出願人】
【識別番号】511043389
【氏名又は名称】東京テックウェイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和資
【テーマコード(参考)】
2E184
【Fターム(参考)】
2E184JA05
2E184KA04
2E184KA06
2E184LA03
(57)【要約】
【課題】容易に、且つ、取付け条件に縛られることなく取付けが可能な、親綱用クランプを提供すること。
【解決手段】鋼材の一方側に嵌合する第1嵌合プレート10と、前記鋼材の他方側に嵌合する第2嵌合プレート20と、前記第1嵌合プレート及び前記第2嵌合プレートの少なくともいずれかに設けられる親綱係止フック14と、を有し、前記第1嵌合プレートは、該第1嵌合プレート上に突出する係止部13を備え、前記第2嵌合プレートは、該第2嵌合プレートに回動自在に軸支される回動レバー22と、該回動レバーに軸支されるとともに前記第1嵌合プレートの前記係止部と係合する係合部材23と、を備え、前記回動レバーの回動操作によって前記係合部材が前記係止部を引き寄せて前記第1嵌合プレート及び前記第2嵌合プレートが前記鋼材を挟持することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定された鋼材に取り付けることが可能な親綱用クランプにおいて、
前記鋼材の一方側に嵌合する第1嵌合プレートと、
前記鋼材の他方側に嵌合する第2嵌合プレートと、
前記第1嵌合プレート及び前記第2嵌合プレートの少なくともいずれかに設けられる親綱係止フックと、を有し、
前記第1嵌合プレートは、該第1嵌合プレート上に突出する係止部を備え、
前記第2嵌合プレートは、該第2嵌合プレートに回動自在に軸支される回動レバーと、該回動レバーに軸支されるとともに前記第1嵌合プレートの前記係止部と係合する係合部材と、を備え、
前記回動レバーの回動操作によって前記係合部材が前記係止部を引き寄せて前記第1嵌合プレート及び前記第2嵌合プレートが前記鋼材を挟持する
ことを特徴とする親綱用クランプ。
【請求項2】
前記係合部材は、前記係止部と係合する係止片と、該係止片を付勢する係止スプリングと、を備え、
前記回動レバーの回動操作によって前記係止片が付勢される
請求項1に記載の親綱用クランプ。
【請求項3】
前記第1嵌合プレート及び前記第2嵌合プレートの少なくともいずれかに連結部が設けられ、前記第1嵌合プレート及び前記第2嵌合プレートは互いに連結される
請求項1又は2に記載の親綱用クランプ。
【請求項4】
前記連結部は、環状に形成されるとともに前記第1嵌合プレート上に設けられ、
前記係止片は前記係止部と係合する環状部を備えるとともに、該環状部に前記連結部が貫通する
請求項3に記載の親綱用クランプ。
【請求項5】
前記鋼材は、鉛直方向に立設するH型鋼であり、前記第1嵌合プレート及び前記第2嵌合プレートは該H型鋼のフランジを嵌合する
請求項1又は2に記載の親綱用クランプ。
【請求項6】
前記鋼材は、鉛直方向に立設するH型鋼であり、前記第1嵌合プレート及び前記第2嵌合プレートは該H型鋼のフランジを嵌合する
請求項3に記載の親綱用クランプ。
【請求項7】
前記鋼材は、鉛直方向に立設するH型鋼であり、前記第1嵌合プレート及び前記第2嵌合プレートは該H型鋼のフランジを嵌合する
請求項4に記載の親綱用クランプ。
【請求項8】
前記第1嵌合プレートの第1嵌合片及び前記第2嵌合プレートの第2嵌合片は、前記H型鋼間に設置される防音パネルと該H型鋼のフランジとの間に挿入されて該フランジを嵌合することが可能である
請求項5に記載の親綱用クランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、固定された鋼材に取り付けることが可能な、親綱用クランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、作業員が高所から転落することを防止する安全資機材として、作業員の腰に着用する安全帯がある。安全帯にはフックが備えられており、これを親綱に掛けることで作業員が高所から転落することを防いでいる。
【0003】
また上記親綱は、作業員の体重を十分に支える必要があるため、固定された鋼材等にクランプを取り付け、当該クランプに親綱を張ることが一般に行われている。
【0004】
従来型のクランプとして、例えば特許文献1には、当該文献の
図1に示されるようなクランプによって、当該文献の
図5に示されるように親綱を張ることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の
図1に示されるようなクランプは、回転操作用のハンドルを取り付け、当該ハンドルを回転操作してH鋼材のフランジに締付固定する手間が必要となる。
【0007】
さらに、上記
図1からわかるように、クランプ本体が締め付け方向に略長方形状で形成され、フランジを厚み方向で挟持している。したがって、当該文献の
図5のようにH鋼材のフランジに取り付ける場合、フランジとウェブの周囲にはクランプ本体の取付けに支障となるような他の部材が存在していないことが、クランプ取付けの条件となってしまう。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、容易に、且つ、取付け条件に縛られることなく取付けが可能な、親綱用クランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)に係る発明は、固定された鋼材に取り付けることが可能な親綱用クランプにおいて、前記鋼材の一方側に嵌合する第1嵌合プレートと、前記鋼材の他方側に嵌合する第2嵌合プレートと、前記第1嵌合プレート及び前記第2嵌合プレートの少なくともいずれかに設けられる親綱係止フックと、を有し、前記第1嵌合プレートは、該第1嵌合プレート上に突出する係止部を備え、前記第2嵌合プレートは、該第2嵌合プレートに回動自在に軸支される回動レバーと、該回動レバーに軸支されるとともに前記第1嵌合プレートの前記係止部と係合する係合部材と、を備え、前記回動レバーの回動操作によって前記係合部材が前記係止部を引き寄せて前記第1嵌合プレート及び前記第2嵌合プレートが前記鋼材を挟持することを特徴とする親綱用クランプである。
【0010】
(2)に係る発明は、前記係合部材は、前記係止部と係合する係止片と、該係止片を付勢する係止スプリングと、を備え、前記回動レバーの回動操作によって前記係止片が付勢される上記(1)に記載の親綱用クランプである。
【0011】
(3)に係る発明は、前記第1嵌合プレート及び前記第2嵌合プレートの少なくともいずれかに連結部が設けられ、前記第1嵌合プレート及び前記第2嵌合プレートは互いに連結される上記(1)又は(2)に記載の親綱用クランプである。
【0012】
(4)に係る発明は、前記連結部は、環状に形成されるとともに前記第1嵌合プレート上に設けられ、前記係止片は前記係止部と係合する環状部を備えるとともに、該環状部に前記連結部が貫通する上記(3)に記載の親綱用クランプである。
【0013】
(5)~(7)に係る発明は、前記鋼材は、鉛直方向に立設するH型鋼であり、前記第1嵌合プレート及び前記第2嵌合プレートは該H型鋼のフランジを嵌合する上記(1)~(4)に記載の親綱用クランプである。
【0014】
(8)に係る発明は、前記第1嵌合プレートの第1嵌合片及び前記第2嵌合プレートの第2嵌合片は、前記H型鋼間に設置される防音パネルと該H型鋼のフランジとの間に挿入されて該フランジを嵌合することが可能である上記(5)に記載の親綱用クランプである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、例えば
図6(a)等に示されるように、回動レバーを一方向で往復動作するだけで、親綱用クランプを容易に鋼材に対して着脱することが可能となる。さらに、防音パネルのような支障物が鋼材周辺に存在していても制限を受けることなく親綱用クランプの取付けが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態において、親綱用クランプをH型鋼のフランジに固定した際の側面図が示されている。
【
図2】本発明の一実施形態において、親綱用クランプの上面図が示されている。
【
図3】本発明の一実施形態において、親綱用クランプの取付け態様を説明する側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態において、親綱用クランプの取付け態様を説明する側面図である。
【
図5】本発明の一実施形態において、親綱用クランプの取付け態様を説明する側面図である。
【
図6】本発明の一実施形態において、(a)は防音壁のH鋼支柱への親綱用クランプの取付け態様を示す写真であり、(b)は親綱用クランプへの親綱の設置態様を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、下記実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0018】
図1には、本発明の一実施形態において、親綱用クランプ100をH型鋼のフランジに固定した際の側面図が示されている。図示されるように、本実施形態の親綱用クランプ100は、鋼材(図示H型鋼)の一方側に嵌合する第1嵌合プレート10と、前記鋼材の他方側に嵌合する第2嵌合プレート20と、前記第1嵌合プレート10及び前記第2嵌合プレート20の少なくともいずれかに設けられる親綱係止フック14と、を有し、前記第1嵌合プレート10は、該第1嵌合プレート10上に突出する係止部13を備え、前記第2嵌合プレート20は、該第2嵌合プレート20に回動自在に軸支される回動レバー22と、該回動レバー22に軸支されるとともに前記第1嵌合プレート10の前記係止部13と係合する係合部材23と、を備え、前記回動レバー22の回動操作によって前記係合部材23が前記係止部13を引き寄せて前記第1嵌合プレート10及び前記第2嵌合プレート20が前記鋼材を挟持することを特徴とするものである。
【0019】
より詳細に説明すると、図示される例では、親綱を掛ける親綱係止フック14が第1嵌合プレート10上に設けられているが、これを第2嵌合プレート20上に設けることも可能である。
【0020】
また、上記係合部材23は、上記第1嵌合プレート10の係止部13と係合する係止片231と、当該係止片231を付勢する係止スプリング232とを備えており、上記回動レバー22の回動操作によって係止片231が付勢されるように構成されている。加えて、
図2の上面図からわかるように、係止片231には第1嵌合プレート10の係止部13と係合する環状部2311が形成されている。
【0021】
さらに
図1及び
図2に示されるように、回動レバー22は第2嵌合プレート20に設けた回動レバー支持部24に、第1回動軸221を介して接続され、さらに、回動レバー22と係合部材23は、第2回動軸222を介して接続されている。
【0022】
また、第1嵌合プレート10には、当該第1嵌合プレート10と第2嵌合プレート20とを連結するための環状に形成された連結部12が設けられている。そして、
図2の上面図に示されるように、係止片231に形成された環状部2311に上記連結部12が貫通している。これにより、第1嵌合プレート10と第2嵌合プレート20とが対となって、一方の嵌合プレートを紛失してしまう事態を防いでいる。また、運搬・保管・取付けの際にも、第1嵌合プレート10と第2嵌合プレート20が常に対となるので非常に便利である。
【0023】
なお、第1嵌合プレート10と第2嵌合プレート20との連結方法は、必ずしも上記のような方法に限定されるものではない。例えば、連結部12を第1嵌合プレート10及び第2嵌合プレート20の少なくともいずれかに設け、チェーンやワイヤなどで連結して対にすることも可能である。
【0024】
図1の側面図に示されているように、第1嵌合プレート10及び第2嵌合プレート20には、コ字状に形成された第1嵌合片11及び第2嵌合片21がそれぞれ設けられており、本実施形態ではH型鋼のフランジ側端部と嵌合して挟持するように構成されている。
【0025】
そして、回動レバー22を含む各機構や親綱を掛ける親綱係止フック14が、上記第1嵌合片11及び第2嵌合片21の反対面に設けられることで、例えば、フランジやウェブ周辺に何かしらの支障物が存在したとしても、容易に親綱用クランプ100をフランジに固定すること可能となっている。
【0026】
具体的な例としては、
図6(a)に示されるように、鉛直方向に立設するH鋼支柱間に防音パネルが設置されているような場合であっても、H鋼支柱のフランジと防音パネルとの間の隙間に、第1嵌合片11及び第2嵌合片21を挿入して容易に親綱用クランプ100をフランジに固定すること可能となる。
【0027】
したがって、安全帯を装着した作業員は、
図6(b)に示されるように設置された親綱に安全帯のフックを掛けることができ、安全に高所作業を行うことが可能となる。
【0028】
続いて、本実施形態の親綱用クランプ100について、その動作態様について説明する。
【0029】
図3の側面図に示されるように、まず第2嵌合プレート20の第2嵌合片21でフランジを嵌合させる。このとき、回動レバー22は図示上方へ上げられており、第1嵌合プレート10はフリー状態となる。
【0030】
次に、
図4に示されるように、第1嵌合プレート10をフランジ面に沿わせ、第1嵌合プレート10の第1嵌合片11でフランジを嵌合させる。それに合わせて、回動レバー22を操作しつつ、係合部材23の係止片231に形成された環状部2311に、第1嵌合プレート10に設けられた係止部13を係合させる。
【0031】
次に、
図5に示されるように、回動レバー22を図示下方へ回動させる。これにより、係止スプリング232の付勢力が係止片231に作用し、第1嵌合プレート10の係止部13が強力に引き寄せられることで、親綱用クランプ100がH型鋼のフランジに緊結される。
【0032】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明したが、必ずしも前述した実施形態に限定されるものではない。
【0033】
例えば、前述の実施形態では、H型鋼のフランジに親綱用クランプ100を取り付ける例を示したが、必ずしもこれに限定されるものではない。すなわち、取付け対象となる鋼材に応じて、第1嵌合プレート10の第1嵌合片11や、第2嵌合プレート20の第2嵌合片21の形状を変更することで、種々の鋼材に本発明の親綱用クランプを取り付けることが可能である。
【0034】
また、回動レバー22に不図示のロック機構を設けてもよく、これにより、不用意に回動レバー22が回動してしまい、親綱用クランプ100が鋼材から脱落してしまうことを防ぐことが可能となる。
【0035】
以上、本発明の一実施形態、及び、その他の実施形態について説明したが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、又は、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲及び明細書に記載された各構成要素の組み合わせ、又は、省略が可能である。
【符号の説明】
【0036】
10 第1嵌合プレート
11 第1嵌合片
12 連結部
13 係止部
14 親綱係止フック
20 第2嵌合プレート
21 第2嵌合片
22 回動レバー
221 第1回動軸
222 第2回動軸
23 係合部材
231 係止片
2311 環状部
232 係止スプリング
24 回動レバー支持部
100 親綱用クランプ