(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017138
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】監視装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/17 20060101AFI20250129BHJP
G06T 7/62 20170101ALI20250129BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20250129BHJP
B29C 45/84 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
B29C45/17
G06T7/62
G06T7/00 610
B29C45/84
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120043
(22)【出願日】2023-07-24
(71)【出願人】
【識別番号】312003595
【氏名又は名称】タカハタプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162341
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬崎 幸典
(72)【発明者】
【氏名】高橋 咲貴子
(72)【発明者】
【氏名】松江 朋彦
【テーマコード(参考)】
4F206
5L096
【Fターム(参考)】
4F206AM22
4F206AP13
4F206AP19
4F206AQ01
4F206JA07
4F206JL02
4F206JM06
4F206JN41
4F206JP15
4F206JQ90
5L096AA02
5L096AA06
5L096BA02
5L096BA03
5L096CA04
5L096DA02
5L096DA03
5L096EA43
5L096FA59
5L096GA51
(57)【要約】
【課題】金型から取り出され収容箱に貯留されるスプールランナの監視タイミングを少なくする。
【解決手段】監視装置は、金型から取り出されるスプールランナを収容する容器と、スプールランナが収容された容器内の画像を撮像する撮像部と、撮像部によって撮像された画像に写るスプールランナの堆積状態に基づいて容器内のスプールランナの堆積量の判定を行う情報処理部と、情報処理部により堆積量が予め定められた量に達したと判定された場合、その旨を報知する報知部と、を備えている。情報処理部は、画像にスプールランナの色及び背景に応じて設定された閾値を用いた二値化処理を施して画像全体を白黒画像に変換し全体に対する黒の比率で堆積量を判定する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型から取り出されるスプールランナを収容する容器内の画像を撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された画像に写る前記スプールランナの堆積状態に基づいて前記容器内の前記スプールランナの堆積量の判定を行う情報処理部と、
前記情報処理部により前記堆積量が予め定められた量に達したと判定された場合、その旨を報知する報知部と、を備えた、
ことを特徴とする監視装置。
【請求項2】
前記情報処理部は、前記画像に前記スプールランナの色及び背景に応じて設定された閾値を用いた二値化処理を施して画像全体を白黒画像に変換し全体に対する黒の比率で前記堆積量を判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記撮像部に対して前記容器内の後方に配置され前記撮像部から見た前記スプールランナの背景を形成する背景パネルを更に備えた、
ことを特徴とする請求項1又は2項に記載の監視装置。
【請求項4】
前記背景パネルは、前記スプールランナとは色が異なっている、
ことを特徴とする請求項3に記載の監視装置。
【請求項5】
前記報知部は、前記容器内の前記スプールランナを監視する監視員の持つ携帯端末に撮像された画像とともにアラートメッセージを送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可動プラテンに固着された金型の金型分割面のパターンを検出するパターン検出手段と、該パターン検出手段からの検出パターンと設定パターンとを比較するパターン比較手段とを設け、該パターン比較手段からの一致出力により成形製品が金型から取出されたことを検出するようにした射出成形機製品落下確認装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
被検出部が設けられた射出成形品に所定の処理を施すための処理部を備えた処理装置において、射出成形品が設置される射出成形品設置部が設けられ、射出成形品設置部に設置された射出成形品を回転方向に変位させるとともに、左右方向および前後方向に搬送する搬送装置と、処理部またはその近傍に設けられ、射出成形品における製品部を設置するための製品部設置部と、搬送装置の搬送路近傍に設けられ、搬送装置によって搬送される射出成形品の被検出部を撮影する画像処理装置と、画像処理装置が撮影した画像から製品部の標準位置に対するずれ角度を求めそのずれ角度に基づいて搬送装置を制御して射出成形品を回転させ製品部のずれ角度を補正するとともに、画像処理装置が撮影した画像から製品部の位置と製品部設置部との間の距離を求め、その距離に基づいて搬送装置を制御して射出成形品を画像撮影位置から処理部に搬送して製品部を製品部設置部に位置させる制御装置とを設けた処理装置も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62-108020号公報
【特許文献2】特開2003-181887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、金型から取り出され容器に貯留されるスプールランナの監視タイミングを少なくする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の監視装置は、
金型から取り出されるスプールランナを収容する容器内の画像を撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された画像に写る前記スプールランナの堆積状態に基づいて前記容器内の前記スプールランナの堆積量の判定を行う情報処理部と、
前記情報処理部により前記堆積量が予め定められた量に達したと判定された場合、その旨を報知する報知部と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の監視装置において、
前記情報処理部は、前記画像に前記スプールランナの色及び背景に応じて設定された閾値を用いた二値化処理を施して画像全体を白黒画像に変換し全体に対する黒の比率で前記スプールランナの堆積量を判定する、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2項に記載の監視装置型において、
前記撮像部に対して前記容器内の後方に配置され前記撮像部から見た前記スプールランナの背景を形成する背景パネルを更に備えた、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の監視装置型において、
前記背景パネルは、前記スプールランナとは色が異なっている、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の監視装置において、
前記報知部は、前記容器内の前記スプールランナを監視する監視員の持つ携帯端末に撮像された前記画像とともにアラートメッセージを送信する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、金型から取り出され容器に貯留されるスプールランナの監視タイミングを少なくすることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、スプールランナの堆積を確実に検知できる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、スプールランナの検知をより明確に行うことができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、スプールランナの検知をより明確に行うことができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、スプールランナの堆積状態を直感的に分かりやすく報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係る監視装置の実施例を示す機能ブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る監視装置が適用される射出成形システムの構成例を示す概略図である。
【
図3】(a)は成形体を成形する金型K及び金型内における成形体を示す部分断面模式図、(b)はスプールランナの分離を説明する図である。
【
図4】(a)は撮像画像の一例、(b)は二値化処理した撮像画像の一例を示す図である。
【
図5】背景パネルを設置した撮像画像の一例を示す図である。
【
図6】携帯端末に表示されるアラートメッセージの一例を示す図である。
【
図7】監視装置における容器内のスプールランナの堆積状態を推定する検知処理の流れを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に図面を参照しながら、本発明の実施形態の具体例を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
尚、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【0018】
(1)射出成形システム
先ず、本実施形態に係る監視装置1が適用される射出成形システム100およびスプールランナSRについて図面を参照しながら説明する。
図2は、射出成形システム100の構成例を示す概略図、
図3(a)は成形体Sを成形する金型K及び金型K内における成形体Sを示す部分断面模式図、
図3(b)はスプールランナSRの分離を説明する図である。
射出成形システム100は、射出成形機110と、成形体Sを金型Kから取り出す取り出し装置120と、金型Kから取り出されるスプールランナSRを貯留する容器130と、を含んで構成されている。
【0019】
射出成形機110は、型締めユニット111と、射出ユニット112と、可動側金型K1と、固定側金型K2と、制御部113と、を少なくとも備える。
型締めユニット111は、可動側金型K1を固定側金型K2に近づけるように移動させて型締めを行う。射出ユニット112は、型締めされた可動側金型K1と固定側金型K2との間に形成されたキャビティCA(
図3(a) 参照)内に、成形体Sの成形に用いられる溶融樹脂を充填する。型締めユニット111は、キャビティCA内に充填された溶融樹脂が固化した後、可動側金型K1を固定側金型K2から離すように移動させて型開きを行う。
【0020】
成形体Sは、
図3(a)に示すように、成形体本体S1とスプールランナSRとを有している。スプールランナSRは、スプールSR1とランナSR2からなる。
スプールSR1は、可動側金型K1の移動方向(
図3(a)中 矢印R1参照)に延び、ノズル側からランナSR2との交差部まで直径が漸次大きくなって、ランナSR2との交差部から下端まで同一径である。
ランナSR2は、スプールSR1を中心として径方向外側に延び、周方向に間隔をあけて複数設けられている。ランナSR2の径方向外側の先端は、成形体Sが可動側金型K1から突き出される前は成形体本体S1とつながっており、成形体Sが可動側金型K1から突き出された後は成形体本体S1と分断される。
【0021】
取り出し装置120は、スライドガイド121と、移動部122、123と、取り出し部124とを有している。スライドガイド121は、可動側金型K1の移動方向と交差する水平方向に延びて、移動部122の水平方向への移動(
図2中 矢印R2参照)をガイドする。移動部123は、移動部122に対して上下動可能である。
移動部122は、スライドガイド121のガイドにより、移動部123および取り出し部124を水平方向に移動させ、取り出し部124は、可動側金型K1の上側の取り出し位置と射出成形機110の外側であって可動側金型K1から離れ成形体本体S1およびスプールランナSRを解放する位置(開放位置)との間を水平方向に移動可能である。尚、取り出し装置120は、取り出し部124を備え、型開きした可動側金型K1から成形体本体S1及びスプールランナSRを取り出し、把持したスプールランナSRを容器130へ運搬するものであれば、特に上記構成に限定されない。
【0022】
成形体Sは、
図3(b)に示すように、可動側金型K1に移動可能に配置されたエジェクタピンEP1が固定側金型K2側に移動することにより、可動側金型K1から突き出されると同時にゲートカットされ、成形体本体S1とスプールランナSRとに分断される。ゲートカットされて分断された成形体本体S1は取り出し部124に保持され、ゲートカットされて分断されたスプールランナSRは、エジェクタピンの固定側金型K2側への移動により固定側金型K2側に移動し取り出し部124に把持される。取り出し部124が成形体本体S1を保持しスプールランナSRを把持すると射出成形機110外へ退出して容器130の上方へ移動しスプールランナSRを容器130内に落下させる。
【0023】
(2)監視装置の全体構成
図1は本実施形態に係る監視装置1の実施例を示す機能ブロック図である。
監視装置1は、金型Kから取り出されるスプールランナSRを収容する容器130内の画像を撮像する撮像部10と、撮像部10によって撮像された画像に写るスプールランナSRの堆積状態に基づいて容器130の堆積量の判定を行う情報処理部20と、情報処理部20により堆積量が予め定められた量に達したと判定された場合、その旨を報知する報知部30と、を備えて構成され、容器130内のスプールランナSRの堆積状態を監視する。堆積量が所定の量に達した場合、その旨を画像と共に報知して、スプールランナSRの監視タイミングを少なくしている。本実施形態において、容器130としては、廃プラスチック類を収容するダストボックス、廃プラスチック類を破砕する破砕機、廃プラスチック類を一時的に保管・運搬する袋状の包材であるフレコンバッグ等が挙げられる。
【0024】
監視装置1において、撮像部10、情報処理部20及び報知部30の動作制御及び処理制御は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)からなるプロセッサが所定のプログラムを実行する一般的なコンピュータで実現される。本実施形態においては、ARMプロセッサを搭載したシングルボードコンピュータであるラズベリーパイ(Raspberry Pi:登録商標)を用いて実行することができるが、特にラズベリーパイに限定されない。
【0025】
(撮像部)
撮像部10は、容器130内のスプールランナSRをその斜め上方或いは側方から撮像する。撮像部10は、例えば、容器130のフレーム等に固定設置可能であり、本実施形態では、
図2に示すように、容器130のスプールランナSRを受け入れる上部開口よりも上方に位置するように設置する。
【0026】
撮像部10は、撮像デバイスとしてCCDイメージセンサを備えると共に、画角や露出等の光学的な条件を調整する撮像条件調整機能を備えたカメラで構成され、静止画又は動画を撮像する。動画撮像の場合には一定時間間隔で抽出された静止画が切り出される。
カメラとしては、情報処理部20で判定するに必要な解像度等を有し、撮像した画像をデジタルデータとして情報処理部20に送出する機能を有するものであれば、専用の撮影装置であってもよいし、例えば、USBカメラ、WEBカメラ、ネットワークカメラなどパーソナルコンピュータの周辺機器として一般的に入手可能な、汎用の撮影装置であってもよい。
【0027】
また、本実施形態では撮像部10は一つであるが、撮像部10が複数設置されていてもよい。複数の撮像部10で容器130内のスプールランナSRを分けて撮像してもよく(一部重複して撮像してもよく)、容器130内全体を複数の撮像部10のそれぞれが別の角度から撮像してもよい。複数の撮像部10で撮像した画像は、例えば、容器130内全体が1枚の画像になるように合成処理されてもよい。
【0028】
(情報処理部)
情報処理部20は、撮像部10によって撮像された撮像画像を取得する。情報処理部20は、例えば、撮像部10と無線通信することによって、撮像部10から撮像画像を取得する。無線通信方式の例としては、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)及びZigBee(登録商標)等が挙げられる。情報処理部20は、撮像部10と有線通信することによって、撮像部10から撮像画像を取得してもよい。
【0029】
情報処理部20は、例えば、ネットワークを介して撮像部10と通信することによって、撮像部10から撮像画像を取得してもよい。ネットワークは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)を含む。また、ネットワークは、移動体通信ネットワークを含んでもよい。移動体通信ネットワークは、例えば、3G(3rd Generation)通信方式、LTE(Long Term Evolution)通信方式、5G(5th Generation)通信方式、及び6G(6th Generation)通信方式以降の通信方式のいずれに準拠してもよい。
【0030】
情報処理部20は、撮像部10から取得した撮像画像に写るスプールランナSRの堆積状態に基づいて容器130の堆積量を判定する。具体的には、情報処理部20は、撮像画像にスプールランナSRの色及び背景に応じて設定された閾値Th1を用いた二値化処理を施して画像全体を白黒画像に変換し全体に対する黒の比率でスプールランナの堆積量を判定する。
【0031】
二値化処理は、撮像画像における各画素について、所定の閾値Th1を境に、画素値を0又は1に設定する。例えば、輝度値が所定の閾値Th1以上である場合、当該画素の画素値を「1」(例えば白)とし、閾値Th1未満である場合に当該画素の画素値を「0」(例えば黒)とする。
二値化処理用の閾値Th1としては、容器130の内面及び容器130に設置された収納袋BGの輝度値を用いる。容器130の内面及び収納袋BGの輝度値は、事前に測定したものを用いても良いし、撮像画像から推定したものでも良い。
【0032】
図4(a)は撮像画像の一例、
図4(b)は二値化処理した撮像画像の一例を示す図である。
本実施形態においては、検出対象がスプールランナSRで吸収体であるために、上記の二値化処理用の閾値Th1より大きい画素値を「1」に、二値化処理用の閾値Th1以下の画素値を「0」に設定する。これにより、収容箱130の内面及び収納袋BGの領域の画素値が1(例えば白)になり、スプールランナSRの領域の画素値が0(例えば黒)となる。
二値化処理用の閾値Th1としては、容器130の内面及び収納袋BGとスプールランナSRとの差分輝度値を用いてもよい。検出対象であるスプールランナSRの色が黒色ではなく、明るい色または白色に近い場合、閾値Th1を差分輝度値に基づいて設定することで、反射体に近いスプールランナSRの領域を検出することが可能となる。
【0033】
図5には、背景パネルPを設置した撮像画像の一例を示す。
容器130に背景パネルPを設置してもよい。背景パネルPは、撮像部10に対して容器130の後方に配置され、容器130に収容されるスプールランナSRの背景を形成する。具体的には、背景パネルPは、スプールランナSRとは色が異なり、背景パネルPと、検出対象であるスプールランナSRの境界となる輪郭が、より明確になり、撮像部10によって検出されやすくなる。
背景パネルPを配置した場合、二値化処理用の閾値Th1として、背景パネルPの輝度値を用いることで、スプールランナSRの領域の画素値が0(例えば黒)となり、スプールランナSRをより明確に検出することができる。
【0034】
情報処理部20は、二値化された撮像画像における画素値が0(黒)の二値化処理された撮像画像全体に対する比率を算出し、容器130内におけるスプールランナSRの堆積量を判定する。
【0035】
(報知部)
図6には携帯端末Tに表示されるアラートメッセージの一例を示す。
報知部30は、情報処理部20により容器130内におけるスプールランナSRの堆積量が予め定められた量に達したと判定された場合、射出成形システム100を監視する監視員の持つ携帯端末Tに撮像画像とともにアラートメッセージを送信する。
報知部30は、監視員が利用しているLINE(商標)、Twitter(商標)などのSNS(Social Networking Service)のアカウントと紐付けして撮像画像とともにアラートメッセージを送信し、例えば、
図6に示すように、LINEトークの画面にスプールランナSRの堆積量が予め定められた閾値に達した旨のメッセージと撮像画像を表示する。
【0036】
(3)監視装置の検知処理
図7は監視装置1における容器130内のスプールランナSRの堆積状態を推定する検知処理の流れを示すフローチャート図である。以下、図面を参照しながら本実施形態に係る監視装置1における容器130内のスプールランナSRの堆積状態を推定する検知処理について説明する。
【0037】
本実施形態に係る監視装置1においては、撮像部10は容器130のスプールランナSRを受け入れる上部開口よりも上方に位置するように設置され、容器130内のスプールランナSRをその斜め上方から撮像するようになっている。
【0038】
まず、ステップS101で撮像部10をオンにして、容器130内を撮像して撮像画像を取得する(S101)。撮像間隔は、予め設定可能で、射出成形機110の成形サイクルに合わせてもよい。撮像画像は静止画又は動画のいずれでもよく、動画撮像の場合には一定時間間隔で抽出されたフレーム画像として取得する。
【0039】
次に、ステップS102で取得した撮像画像に二値化処理を施す(S102)。二値化処理は、撮像画像における各画素について、所定の閾値Th1を境に、画素値を0又は1に設定する。例えば、輝度値が所定の閾値Th1以上である場合、当該画素の画素値を「1」(例えば白)とし、閾値Th1未満である場合に当該画素の画素値を「0」(例えば黒)とする。
図4(a)に撮像画像、
図4(b)に二値化処理後の撮像画像の例を示している。
【0040】
ステップS103で、二値化処理を施して黒白の2階調画像となった撮像画像全体に対する二値化された撮像画像における画素値が0(黒)の比率(黒比率BR)を算出する(S103)。
そして、ステップS104で、容器130内のスプールランナSRの堆積量が予め定められた量に達したか否か判定する(S104)。具体的には、ステップS103で算出した黒比率BRが予め定められた閾値Th2に達したか否か判定する。黒比率BRが予め定められた閾値Th2を超えた場合(S104;Yes)、報知部30は、監視員の持つ携帯端末Tに撮像画像とともにアラートメッセージを送信する(S105)。黒比率BRが予め定められた閾値Th2に達していない場合(S104;No)、ステップS101に戻って、収容箱130内を撮像して撮像画像を取得する(S101)。
【0041】
(4)監視装置の作用効果
本実施形態に係る監視装置1は、金型Kから取り出されるスプールランナSRを収容する容器130内を撮像して、撮像された画像に写るスプールランナSRの堆積状態に基づいて容器130の堆積量の判定を行う。容器130内のスプールランナSRの堆積量が予め定められた量に達したと判定された場合、監視員の持つ携帯端末Tに撮像画像とともにアラートメッセージを送信する。
【0042】
容器130に貯留されるスプールランナSRは、監視員が監視して都度処理することが行われていた。容器130に排出されるスプールランナSRは、金型Kによりその形状はまちまちで、容器130における溜まり方もまちまちとなる。本実施形態に係る監視装置1によれば、容器130内のスプールランナSRの堆積量が予め定められた量に達したと判定された場合、監視員の持つ携帯端末Tに撮像画像とともにアラートメッセージを送信することで、監視員による監視タイミングを少なくすることができる。
【0043】
・撮像部10によって撮像された画像に写るスプールランナSRの堆積状態に基づいて容器130の堆積量の判定を行う情報処理部20は、撮像画像にスプールランナSRの色及び背景に応じて設定された閾値を用いた二値化処理を施して画像全体を白黒画像に変換し全体に対する黒の比率BRでスプールランナSRの堆積量を判定する。これにより、スプールランナSRの堆積を明確に検知できる。
・撮像部10に対して容器130内の後方にスプールランナSRとは色が異なり撮像部10から見たスプールランナSRの背景を形成する背景パネルを配置することにより、スプールランナSRの検知をより明確に行うことができる。
・報知部30は、情報処理部20により容器130内におけるスプールランナSRの堆積量が予め定められた量に達したと判定された場合、容器130内のスプールランナSRを監視する監視員の持つ携帯端末Tに撮像画像とともにアラートメッセージを送信する。これにより、スプールランナSRの堆積状態を直感的に分かりやすく報知するとともに、金型Kから取り出され容器130に貯留されるスプールランナSRの監視タイミングを少なくすることができる。
【符号の説明】
【0044】
1・・・監視装置
10・・・撮像部、20・・・情報処理部、30・・・報知部
100・・・射出成形システム、110・・・射出成形機、120・・・取り出し装置、130・・・容器
K・・・金型、K1・・・可動側型、K2・・・固定側型
S・・・成形体、SR・・・スプールランナ、T・・・携帯端末