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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017151
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】構造物
(51)【国際特許分類】
   B63H 9/06 20200101AFI20250129BHJP
   B63B 49/00 20060101ALI20250129BHJP
   B63B 79/10 20200101ALI20250129BHJP
   B63B 79/40 20200101ALI20250129BHJP
   B63H 9/02 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
B63H9/06
B63B49/00 Z
B63B79/10
B63B79/40
B63H9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120070
(22)【出願日】2023-07-24
(71)【出願人】
【識別番号】503218067
【氏名又は名称】住友重機械マリンエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】新井 祐司
(72)【発明者】
【氏名】青野 健
(57)【要約】
【課題】風の状況に応じて推力発生部を効率的に運用することができる構造物を提供する。
【解決手段】構造物100は、風速及び風向の少なくとも一方を検出する検出部40の検出結果に応じて、複数の推力発生部同士の位置関係を変更する位置変更部41を有する。この場合、位置変更部41が、風速及び風向に合わせて、複数の推力発生部同士の相乗効果/相互干渉を利用して、構造物100全体としての推力発生部の推力の合計を増加させることができる。以上より、風の状況に応じて推力発生部を効率的に運用することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力によって推力を発生する複数の推力発生部と、
風速及び風向の少なくとも一方を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に応じて、前記複数の推力発生部同士の位置関係を変更する位置変更部と、を備える、構造物。
【請求項2】
前記構造物は船舶であって、
前記位置変更部は、甲板上における前記推力発生部の位置を変更することで、前記複数の推力発生部同士の間の距離を変更する、請求項1に記載された構造物。
【請求項3】
前記構造物は船舶であって、
前記位置変更部は、甲板上における前記推力発生部の位置を変更することで、前記複数の推力発生部同士の間の向きを変更する、請求項1に記載された構造物。
【請求項4】
前記推力発生部はマグナスロータであって、
前記位置変更部は、前記マグナスロータの直径を変更することで、前記複数の推力発生部同士の間の距離を変更する、請求項1に記載された構造物。
【請求項5】
前記推力発生部は、風を受けることで推力を発生する帆である、請求項1に記載された構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、CO等のGHGの削減のために、風力等の再生可能エネルギーを用いて推力を発生する船舶などの構造物が知られている。例えば、特許文献1に記載された船舶は、プロペラによる推進器に加えて、船体上に、風力によって船体を推進させる硬帆などの推力発生部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-45018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、推力発生部は、船舶などの構造物に設けられ、風力によって推力を発生させることができる。ここで、推力発生部が用いられる環境下では、風向や風速が変化する。推力発生部に吹き付けられる風の状況に応じて、推力発生部を効率的に運用することが求められていた。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、風の状況に応じて推力発生部を効率的に運用することができる構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る構造物は、風力によって推力を発生する複数の推力発生部と、風速及び風向の少なくとも一方を検出する検出部と、検出部の検出結果に応じて、複数の推力発生部同士の位置関係を変更する位置変更部と、を備える。
【0007】
本発明に係る構造物は、風速及び風向の少なくとも一方を検出する検出部の検出結果に応じて、複数の推力発生部同士の位置関係を変更する位置変更部を有する。この場合、位置変更部が、風速及び風向に合わせて、複数の推力発生部同士の相乗効果/相互干渉を利用して、構造物全体としての推力発生部の推力の合計を増加させることができる。以上より、風の状況に応じて推力発生部を効率的に運用することができる。
【0008】
構造物は船舶であって、位置変更部は、甲板上における推力発生部の位置を変更することで、複数の推力発生部同士の間の距離を変更してよい。この場合、複数の推力発生部同士の間の距離を容易に調整することができる。
【0009】
構造物は船舶であって、位置変更部は、甲板上における推力発生部の位置を変更することで、複数の推力発生部同士の間の向きを変更してよい。この場合、複数の推力発生部同士の間の向きを容易に調整することができる。
【0010】
推力発生部はマグナスロータであって、位置変更部は、マグナスロータの直径を変更することで、複数の推力発生部同士の間の距離を変更してよい。この場合、マグナスロータの甲板上における位置を変更せずに、あるいは変更量を抑制して、複数の推力発生部同士の間の距離を調整することができる。
【0011】
推力発生部は、風を受けることで推力を発生する帆であってよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、風の状況に応じて推力発生部を効率的に運用することができる構造物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る船舶の一例を示す概略断面図である。
図2】(a)はロータ帆の原理について説明する図であり、(b)は船舶の平面図である。
図3】位置変更部の例を示す概略図である。
図4】マグナスロータの推力について説明するための概略図である。
図5】実施例と比較例における風向きと推力の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態では、マグナスロータ10(推力発生部)を備えた構造物100は、船舶1であるものとする。なお、以下の説明において、「前」「後」の語は船体の進行方向に対応するものであり、「横」の語は船体の左右(幅)方向に対応するものであり、「上」「下」の語は船体の上下方向に対応するものである。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る構造物である船舶の一例を示す概略断面図である。船舶1は、例えば原油や液体ガス等の石油系液体貨物を運搬する船舶であり、例えば、オイルタンカーである。なお、船舶は、オイルタンカー(所謂タンカー)に限定されず、例えば、鉱石や石炭を輸送するばら積み船、LNG船、自動車運搬船等様々な種類の船舶であってよい。
【0016】
船舶1は、図1に示すように、船体11と、推進器12と、複数のマグナスロータ10と、を備えている。船体11は、船首部2と、船尾部3と、機関室4と、貨物室6と、を有している。船体11の上部には(または船内には)上甲板19が設けられている。船首部2は、船体11の前方側に位置している。船尾部3は、船体11の後方側に位置している。
【0017】
船首部2は、例えば満載喫水状態における造波抵抗の低減が図られた形状を有している。推進器12は、船体11の推力を機械的に発生させるものであり、例えばスクリュープロペラが用いられている。推進器12は、推進時に船尾部3における喫水線(海Wの水面)よりも下方に設置される。また、船尾部3における喫水線よりも下方には、推進方向を調整するための舵15が設置されている。なお、船舶1は、推進器12と舵15の機能を備えたアジマス型推進器を有していてもよい。
【0018】
機関室4は、船尾部3の船首側に隣り合う位置に設けられている。機関室4は、推進器12に駆動力を付与するためのメインエンジン16を配置するための区画である。上甲板19上には、機関室4の上方に居住区22、及び排気用の煙突23が設けられる。貨物室6は、船首部2と機関室4との間に設けられている。貨物室6は、貨物を収容するための区画である。貨物室6は、外板20と内底板21の二重船殻構造を採用することによって、複数のタンク26と複数のバラストタンク27とに区画されている。タンク26は、船舶1によって運搬される貨物を積載する。バラストタンク27は、船の大きさ等に応じた量のバラスト水を収容する。
【0019】
マグナスロータ10は、風力を受ける事によって推力を発生する機構である。これにより、マグナスロータ10は、風力によって船体11を推進させる。マグナスロータ10は、船体11の上甲板19上に前後左右方向に単数または複数(ここでは四個)設けられている。図2(a)に示すように、マグナスロータ10は、上下方向に延びる円柱状のロータ帆31(本体部)と、ロータ帆31を回転させる電動機と、を備える。ロータ帆31に対して横側から風WDが吹き込むと、後側ではロータ帆31の回転方向と風WDの向きが互いに反対となり、前側ではロータ帆31の回転方向と風WDの向きが一致する。これによって、ロータ帆31の前後で圧力差が発生することで、前側へ向かう推力PFが発生する(マグナス効果)。図2(b)に示すように、船体11に対して横側から風WDが吹くことで、各マグナスロータ10の推力PFにより、船体11は前方へ進む。
【0020】
次に、図3を参照して、船舶1の特徴について説明する。なお、図3では、理解を容易とするために、船舶1が二つのマグナスロータ10を有している場合について説明する。ここでは、船首側のマグナスロータ10を「マグナスロータ10A」とし、船尾側のマグナスロータ10を「マグナスロータ10B」とする。船舶1は、検出部40と、位置変更部41と、を備える。
【0021】
検出部40は、風速及び風向の少なくとも一方を検出する。本実施形態では、検出部40は、風速及び風向を検出するセンサによって構成される。なお、図3では、検出部40は船首側に設けられているが、船舶1における検出部40の位置は特に限定されない。なお、図3(a)に示すマグナスロータ10の位置関係を基準位置とする。マグナスロータ10Aの中心とマグナスロータ10Bの中心との間の前後方向の距離を「距離L1」とする。マグナスロータ10Aの外周部とマグナスロータ10Bの外周部との間の前後方向の距離を「距離L2」とする。
【0022】
位置変更部41は、検出部40の検出結果に応じて、複数のマグナスロータ10A,10B同士の位置関係を変更する。マグナスロータ10A,10B同士の位置関係には、マグナスロータ10A,10B同士の前後方向の距離L1,L2と、マグナスロータ10A,10B同士の左右方向のずれが含まれる。
【0023】
図3(b)に示すように、位置変更部41は、上甲板19上におけるマグナスロータ10A,10Bの位置を変更することで、複数のマグナスロータ10A,10B同士の間の距離L2を変更する。位置変更部41は、上甲板19上におけるマグナスロータ10A,10Bの前後方向の位置を変更する位置変更機構42を有する。位置変更機構42は、例えば、上甲板19上に前後方向に延びるように設けられたレール部と、マグナスロータ10A,10Bに設けられたスライダ部と、を備える。また、位置変更機構42は、モータ等の駆動部を有することで、検出部40の検出結果に応じて、マグナスロータ10A,10Bを自動的に移動させてよい。あるいは、位置変更機構42は、検出部40の検出結果に応じた位置を作業者に示し、作業者が手動でマグナスロータ10A,10Bの位置を変更してもよい。
【0024】
位置変更機構42は、マグナスロータ10Aの中心とマグナスロータ10Bの中心との前後方向における位置を相対的に変更する。これにより、図3(b)に示す距離L1及び距離L2は、図3(a)に示す基準位置に係る距離L1及び距離L2よりも短くなる。なお、位置変更後の距離L1及び距離L2が、図3(a)に示す基準位置に係る距離L1及び距離L2よりも長くなってもよい。図3(b)に示す例では、位置変更機構42は、船首側のマグナスロータ10Aを基準として位置固定し、船尾側のマグナスロータ10Bの位置を変更している。図1に示すように船舶1が四つのマグナスロータ10を有する場合、居住区22の位置を考慮した上で四つのうち一つのマグナスロータ10を固定し、他の三つのマグナスロータ10を移動させる。例えば、船首側のマグナスロータ10Aを居住区22側に寄せて、全体的にマグナスロータ10を居住区22側へ寄せた場合、追い風などの場合に居住区へ風の影響が及ぼされてしまう場合があるためである。
【0025】
図3(c)に示すように、位置変更部41は、上甲板19上におけるマグナスロータ10A,10Bの位置を変更することで、複数のマグナスロータ10A,10B同士の間の向きを変更する。位置変更部41は、上甲板19上におけるマグナスロータ10A,10Bの左右方向の位置を変更し、複数のマグナスロータ10A,10B同士を互いに左右方向にずらすことで、マグナスロータ10A,10B同士の向きを変更する。位置変更部41は、上甲板19上におけるマグナスロータ10A,10Bの前後方向の位置を変更する位置変更機構43を有する。位置変更機構43は、例えば、上甲板19上に左右方向に延びるように設けられたレール部と、マグナスロータ10A,10Bに設けられたスライダ部と、を備える。また、位置変更機構43は、モータ等の駆動部を有することで、検出部40の検出結果に応じて、マグナスロータ10A,10Bを自動的に移動させてよい。あるいは、位置変更機構43は、検出部40の検出結果に応じた位置を作業者に示し、作業者が手動でマグナスロータ10A,10Bの位置を変更してもよい。
【0026】
位置変更機構43は、マグナスロータ10Aとマグナスロータ10Bとの左右方向における位置を相対的に変更する。図3(c)に示す例では、位置変更機構43は、船首側のマグナスロータ10Aを基準として位置固定し、船尾側のマグナスロータ10Bの位置を変更している。図1に示すように船舶1が四つのマグナスロータ10を有する場合、居住区22の位置を考慮した上で四つのうち一つのマグナスロータ10を固定し、他の三つのマグナスロータ10を移動させる。
【0027】
図3(d)に示すように、位置変更部41は、マグナスロータ10A,10Bの直径を変更することで、複数のマグナスロータ10A,10B同士の間の距離L2を変更する。位置変更部41は、マグナスロータ10A,10Bの中心の位置は変更させない状態で、マグナスロータ10A,10Bの直径のみを変更する。これにより、図3(d)に示す距離L2は、図3(a)に示す基準位置に係る距離L2よりも短くなる。その一方、図3(d)に示す距離L1は、図3(a)に示す基準位置に係る距離L1と同じである。
【0028】
位置変更部41が、マグナスロータ10A,10Bの直径を変更するための機構は特に限定されない。例えば、弾性変形する板状の部材を丸めることによってマグナスロータ10A,10Bの周壁を構成し、内周側から押圧部材で丸めた部材を押し広げることによって、マグナスロータ10A,10Bの直径を変更可能である。あるいは、マグナスロータ10A,10Bの周壁内へ流体を供給することなどによって周壁の部材を押し広げてもよい。また、周壁の部材を内側からロープなどで引っ張って直径を変更してもよい。回転に伴う錘の遠心力によって周壁の部材の直径を変更してもよい。
【0029】
船舶1は、複数のマグナスロータ10A,10Bを配置した際に生じる、マグナスロータ10A,10B同士の相乗効果/相互干渉を利用することで、マグナスロータ10A,10Bから得られる推力を増加させることができる。また、風速及び風向に応じて、位置変更部41でマグナスロータ10A,10B同士の位置関係を変更することによって、相乗効果/相互干渉を起こしやすくすることができる。
【0030】
ここで、図4を参照して、風速、風向と、複数のマグナスロータ10A,10Bによって発生する推力の関係について説明する。何らかの風向、風速を持つ風WDに対し、マグナスロータ10A,10Bは風向と直交する方向に揚力LFを、風向と同じ方向に抗力RFを生じる。これらの揚力LF、及び抗力RFを船舶1の前後方向、及び左右方向の力として成分分けすることで、船舶1にとっての推力PFa,PFb、及び横力SFa,SFbを得る事ができる。位置変更部41が、風速及び風向に応じて、マグナスロータ10A,10Bの設置間隔を変更することで、各々のマグナスロータ10A,10Bが生じる揚力LF及び抗力RFが変わり、その結果、マグナスロータ10A,10Bの推力PFa,PFbの合計が、一本のマグナスロータ10が単独で発生する推力PFを二本分足し合わせた合計より、増加させることができる。
【0031】
例えば、図5に示すように、船舶1に対して船首方向からの風を0°とする角度の取り方で-120°の風向の風が吹いたとする。位置変更部41を有さない比較例に係る船舶の推力は、破線で示される。一方、位置変更部41を有する実施例に係る船舶の推力は、実線で示される。マグナスロータ10A, 10B間に相乗効果/相互干渉が生じないよう、距離L1に十分な値を取り、かつ位置変更部41を有さない船舶を比較例とした。実施例に係る船舶では、位置変更部41によって、マグナスロータ10Aとマグナスロータ10Bとの間の距離L1がマグナスロータ直径の9倍になるように、調整した。その結果、実施例の船舶のマグナスロータ10A,10Bの合計の推力が、比較例よりも8%向上した。
【0032】
本実施形態に係る構造物100の作用・効果について説明する。
【0033】
本実施形態に係る構造物100は、風速及び風向の少なくとも一方を検出する検出部40の検出結果に応じて、複数の推力発生部同士の位置関係を変更する位置変更部41を有する。この場合、位置変更部41が、風速及び風向に合わせて、複数の推力発生部同士の相乗効果/相互干渉を利用して、構造物100全体としての推力発生部の推力の合計を増加させることができる。以上より、風の状況に応じて推力発生部を効率的に運用することができる。
【0034】
構造物100は船舶1であって、位置変更部41は、上甲板19上における推力発生部の位置を変更することで、複数の推力発生部同士の間の距離を変更してよい。この場合、複数の推力発生部同士の間の距離を容易に調整することができる。
【0035】
構造物100は船舶であって、位置変更部41は、上甲板19上における推力発生部の位置を変更することで、複数の推力発生部同士の間の向きを変更してよい。この場合、複数の推力発生部同士の間の向きを容易に調整することができる。
【0036】
推力発生部はマグナスロータ10であって、位置変更部41は、マグナスロータ10の直径を変更することで、複数の推力発生部同士の間の距離を変更してよい。この場合、マグナスロータ10の上甲板19上における位置を変更せずに、あるいは変更量を抑制して、複数の推力発生部同士の間の距離を調整することができる。
【0037】
本発明は、上述の実施形態に限定されない。
【0038】
上述の実施形態では、推力発生部としてマグナスロータを採用した。しかし、推力発生部は、風を受けることで推力を発生する帆であってよい。例えば、軟帆、硬帆、サクション帆などであってもよい。また、マグナスロータと他の帆を両方用いてもよい。この場合、相乗効果/相互干渉を出すために、帆の高さをマグナスロータの高さと揃えることが好ましい。
【0039】
上述の実施形態では、構造物100として、船舶1を例示した。しかしながら、構造物100として、船舶以外の浮体構造物などの水上物が採用されてよい。浮体構造物として水上の風力発電所、メガフロート、巨大いけす等が適応可能である。その他、水上に限らず、陸上に設けられたマグナス効果を用いた風力発電等にも適応可能である。また、水陸両用、すなわち水中に設置しても良いし、陸上に設置しても良い風力発電機に適用可能である。もしくは飛行機の翼(ローター飛行機)に対し、離陸時に不足する傾向のある揚力をマグナスロータで補うときの機構に本発明を採用してもよい。
【0040】
船体11の構造も図1に示すものに限定されず、用途等に応じて適宜変更してよい。
【符号の説明】
【0041】
1…船舶、10…マグナスロータ、40…検出部、41…位置変更部、100…構造物。
図1
図2
図3
図4
図5