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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017189
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/107 20060101AFI20250129BHJP
   A42B 1/04 20210101ALI20250129BHJP
   A42C 3/06 20060101ALI20250129BHJP
   A42B 1/019 20210101ALI20250129BHJP
【FI】
A61B5/107 110
A42B1/04 Z
A42C3/06
A42B1/019 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120146
(22)【出願日】2023-07-24
(71)【出願人】
【識別番号】521407050
【氏名又は名称】株式会社Berry
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】中野 裕士
(72)【発明者】
【氏名】名越 優太郎
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB02
4C038VC20
(57)【要約】
【課題】頭部の外形形状に関する正確なデータを取得することができるキャップを提供すること。
【解決手段】対象者の頭部7の立体的な外形形状を把握するために、当該頭部7を覆って装着されるキャップ1であって、頭部7に装着した状態で互いに接合可能な第1の縁部51及び第2の縁部52を有し、1枚で構成されるシート100を備え、シート100には、頭部7に装着された状態で互いに接合された第1の縁部51と第2の縁部52とによって頭部7の一部に沿った主接合部50が形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の頭部の立体的な外形形状を把握するために、当該頭部を覆って装着されるキャップであって、
前記頭部に装着された状態で互いに接合可能な第1の縁部及び第2の縁部を有し、1枚で構成されるシートを備え、
前記シートには、前記頭部に装着された状態で互いに接合された前記第1の縁部と前記第2の縁部とによって前記頭部の一部に沿った接合部が形成されるキャップ。
【請求項2】
前記接合部は、前記第1の縁部と前記第2の縁部とが縫い合わされた部位である請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記シートは、前記頭部に装着された状態で互いに接合可能な第3の縁部及び第4の縁部を有するとともに、前頭部と、頭頂部と、側頭部と、後頭部と、を覆い、
前記シートには、前記頭部に装着された状態で前記頭頂部を挟んで前記接合部とは反対側に位置し、互いに接合された前記第3の縁部と前記第4の縁部とによって前記頭部の一部に沿った補助接合部が形成される請求項1に記載のキャップ。
【請求項4】
前記接合部は、前記シートが前記頭部に装着された状態で前記頭部の前後方向に延びるように前記シートにおける前記前頭部から前記頭頂部にかけて形成され、
前記補助接合部は、前記シートが前記頭部に装着された状態で前記後頭部側において前記頭部の上下方向に延び、かつ前記頭部の上下方向において前記対象者の耳の上端よりも下側に形成される請求項3に記載のキャップ。
【請求項5】
前記接合部は、前記シートが前記頭部に装着された状態で、前記頭部の左右方向において略中心に位置する請求項1に記載のキャップ。
【請求項6】
前記第1の縁部と前記第2の縁部とは、前記シートを平面状に展開した状態において、前記シートの厚み方向視で前記シートの外側に突出するように湾曲し、互いに連続して形成される請求項1~5のいずれか1項に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人間の頭部の外形形状を把握するために乳児や幼児等の対象者に装着させて用いるキャップが知られている。この種の技術が記載されているものとして例えば特許文献1がある。特許文献1には、頭部形状矯正用のヘルメットの作成にあたり必要となる頭部の形状に関するデータを採取するために用いるものであり、頭部を覆うように構成され、三次元スキャン動作により読み取り可能な表示が設けられている頭部形状測定用シートが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7092424号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、頭髪の影響を抑えて頭部の外形形状をスキャンできるものの、より正確な頭部の外形形状を把握するという点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、頭部の外形形状に関する正確なデータを取得することができるキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
キャップは、対象者の頭部の立体的な外形形状を把握するために、当該頭部を覆って装着されるキャップであって、前記頭部に装着された状態で互いに接合可能な第1の縁部及び第2の縁部を有し、1枚で構成されるシートを備え、前記シートには、前記頭部に装着された状態で互いに接合された前記第1の縁部と前記第2の縁部とによって前記頭部の一部に沿った接合部が形成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、頭部の外形形状に関する正確なデータを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るキャップを対象者が装着している状態を示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るキャップを対象者が装着している状態を示す背面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るキャップを対象者が装着している状態を示す右側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るキャップを対象者が装着している状態を示す左側面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るキャップのシートを平面状に展開した状態を示す展開図である。
図6】本発明の一実施形態に係るキャップを装着した対象者の頭部をスキャンしている状態を示す右側面図である。
図7】3枚で構成されたシートを備えるキャップを装着した対象者の頭部をスキャンしている状態を示す右側面図である。
図8】本発明の一実施形態に係るキャップの柄を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1図4は、本実施形態のキャップ1を対象者が装着している状態を示す図である。図1及び図2において、矢印Xは対象者の頭部7に装着された状態でのキャップ1の左右方向を示し、さらにX1は右側、X2は左側を示している。図3及び図4において、矢印Yは対象者の頭部7に装着された状態でのキャップ1の前後方向を示し、さらY1は前側、Y2は後側を示している。図1図4において、矢印Zは対象者の頭部7に装着された状態でのキャップ1の上下方向を示し、さらZ1は上側、Z2は下側を示している。なお、本明細書において、左右方向、前後方向、及び上下方向とは、キャップ1を装着した対象者から見た方向を意味している。また、本明細書において、前方とはキャップ1を装着した対象者から見て前側を示しており、下方とはキャップ1を装着した対象者から見て下側を示している。
【0010】
本実施形態に係るキャップ1は、乳児や幼児等の対象者のための頭蓋形状矯正ヘルメットを作成する場合に、対象者の頭部7の立体的な外形形状を把握するために頭部7を覆って装着されるものである。
【0011】
頭蓋形状矯正ヘルメットについて説明する。頭蓋形状矯正ヘルメットは、対象者の頭部7に被せることにより、頭蓋の成長に伴って頭蓋の形状が矯正されるように変形を促すものである。対象者としては、例えば斜頭、短頭、長頭等の治療を要する頭蓋変形が生じた乳児や幼児等が挙げられる。斜頭とは、頭蓋が左右対称ではなく片側に傾斜している変形形状である。短頭とは、頭蓋の前後方向寸法が著しく短い変形形状である。長頭とは、頭蓋の前後方向寸法が著しく長い変形形状である。
【0012】
頭蓋形状矯正ヘルメットは、対象者それぞれの治療目標となる理想の頭部7の3次元モデルに基づいて設計される。理想の頭部7の3次元モデルは、個々の対象者の頭部7の外形形状に関するデータ(以下、外形形状データという)を取得し、取得した外形形状データに基づいて作成される。このため、頭蓋形状矯正ヘルメットの作成において、対象者の頭部7の立体的な外形形状を正確に把握することが重要である。なお、外形形状データとしては、例えば3次元スキャナ等を用いて取得される3次元データ等が挙げられる。
【0013】
対象者の頭部7の外形形状データは、例えば光学技術を用いた3次元スキャナ等の形状測定器で頭部7をスキャンすることで取得される。このとき、頭髪も含めた頭部7の外形形状が頭部7の表面形状として取得される。そこで、頭髪を頭皮に押さえつけて頭部7の外形形状データに対する頭髪の影響を低減するために、キャップ1が用いられる。本実施形態のキャップ1によれば、より正確な外形形状データを取得できる。なお、頭部7の外形形状データを取得するための形状測定器は、例えば頭部7の画像を撮像するカメラ等であってもよい。
【0014】
次に、キャップ1の構成について説明する。図1図4に示すように、キャップ1は、カバー部10と、第1テンション付与部20と、第2テンション付与部30と、を備える。
【0015】
カバー部10は、伸縮性を有するシート100の一部によって構成される。本実施形態では、カバー部10を構成するシート100は1枚で構成される。
【0016】
シート100の素材は、例えば再生繊維であってもよく、半合成繊維であってもよく、ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル等の合成繊維であってもよく、これら2種類以上の繊維を混ぜ合わせた繊維等であってもよい。本実施形態のシート100は、これら何れかの素材から構成された布状の部材である。シート100の詳細な構成については後述する。
【0017】
カバー部10は、前頭部71と、頭頂部72と、右側頭部73及び左側頭部74を含む側頭部と、後頭部75と、を覆う。具体的には、カバー部10は、前頭部71の少なくとも一部を覆う前頭カバー部11と、頭頂部72を覆う頭頂カバー部12と、右側頭部73の少なくとも一部を覆う右側頭カバー部13と、左側頭部74の少なくとも一部を覆う左側頭カバー部14と、後頭部75の少なくとも一部を覆う後頭カバー部15と、を有する。
【0018】
本実施形態では、前頭カバー部11は前頭部71における少なくとも頭髪が生えている部分を覆い、頭頂カバー部12は頭頂部72全体を覆う。また後頭カバー部15は後頭部75のうち対象者の耳8の周囲を除く部分を覆い、右側頭カバー部13は右側頭部73のうち右耳81の周囲を除く部分を覆い、左側頭カバー部14は左側頭部74のうち左耳82の周囲を除く部分を覆う。
【0019】
カバー部10には、主接合部(接合部)50と補助接合部60とずれ防止部40とが形成される。
【0020】
主接合部50は、シート100の第1の縁部51と第2の縁部52とが互いに接合されて形成される部位である。本実施形態では、主接合部50は、図1図4に示すように、キャップ1が頭部7に装着された状態で頭部7の左右方向の略中心において頭部7に沿って前後方向に延びるように形成される。主接合部50は、図1に示すように、前頭カバー部11の対象者の目2側の縁部である第5の縁部41及び第6の縁部42側から頭頂カバー部12にかけて形成される。即ち、主接合部50は、前頭カバー部11の第5の縁部41及び第6の縁部42側から後頭部75の手前まで延びるように形成される。
【0021】
主接合部50は、接合部材53と、接合部材53によって互いに接合されたシート100の第1の縁部51及び第2の縁部52と、によって形成される。接合部材53は、第1の縁部51と第2の縁部52とを互いに接合可能な部材であれば特に限定されない。接合部材53は、例えば糸であってもよく、粘着テープであってもよく、面ファスナであってもよい。本実施形態では、主接合部50は、糸である接合部材53によって第1の縁部51と第2の縁部52とが縫い合わされた部位である。
【0022】
補助接合部60は、シート100の第3の縁部61と第4の縁部62とが互いに接合されて形成される部位である。本実施形態では、補助接合部60は、図2図4に示すように、キャップ1が頭部7に装着された状態で頭部7の左右方向の略中心において頭部7に沿って前後方向に延びるように後頭カバー部15に形成される。即ち、図3及び図4に示すように、補助接合部60は、頭部7に装着された状態で頭頂部72を挟んで主接合部50とは反対側に位置する。具体的には、補助接合部60は、図2に示すようにキャップ1が頭部7に装着された状態で、後頭カバー部15において頭部7に沿って上下方向に延び、かつ上下方向において耳8の上端よりも下側に形成される。
【0023】
補助接合部60は、接合部材63と、接合部材63によって互いに接合されたシート100の第3の縁部61及び第4の縁部62と、によって形成される。接合部材63は、第3の縁部61と第4の縁部62とを互いに接合可能な部材であれば特に限定されない。接合部材63は、例えば糸であってもよく、粘着テープであってもよく、面ファスナであってもよい。本実施形態では、補助接合部60は、糸である接合部材63によって第3の縁部61と第4の縁部62とが縫い合わされた部位である。
【0024】
ずれ防止部40は、カバー部10における前頭部71側の縁部である第5の縁部41及び第6の縁部42に沿って形成され、シート100の移動を規制する。ずれ防止部40は、第5の縁部41及び第6の縁部42と、この縁部のシート100に固定される帯状部材43とによって形成される。帯状部材43は、シート100よりも伸縮性が低い樹脂製の部材である。本実施形態では、ずれ防止部40は、帯状部材43を第5の縁部41及び第6の縁部42に沿って縫い付けることで形成される。ずれ防止部40は、帯状部材43の伸縮性がシート100よりも低いので、第5の縁部41及び第6の縁部42等のシート100における帯状部材43が固定された部位の伸縮性がカバー部10の他の部位に対して相対的に低くなる。このため、ずれ防止部40が形成される第5の縁部41及び第6の縁部42がカバー部10の他の部位に比べて頭部7に向かって収縮した状態となり、頭部7との相対位置の変化を抑制でき、ずれ防止部40における頭部7に対するシート100のずれを防止できる。
【0025】
第1テンション付与部20は、カバー部10から対象者の耳8の前方を通って下方に延出し、カバー部10にテンションを付与可能である。図1に示すように、第1テンション付与部20は、前後方向視で全体として略U字状に形成される。なお、耳8の前方とは、具体的には対象者の目2及び頬6と、耳8との間を意味する。即ち、第1テンション付与部20は、対象者の揉み上げもシート100で覆うことができるように形成される。
【0026】
本実施形態では、第1テンション付与部20は、右側頭カバー部13及び左側頭カバー部14のそれぞれから延出し、耳8の前方を介して顎下91に亘って形成される。第1テンション付与部20は、右側頭部73側及び左側頭部74側から下方に向かう力F1をかけることでカバー部10に対してテンションを付与する。なお、本明細書において、顎下91とは、対象者の顎のうち首3側の部位をいう。
【0027】
第1テンション付与部20は、右前側延出片21と、左前側延出片22と、第1連結部23と、を有する。
【0028】
右前側延出片21は、シート100の帯状の部分である後述する第1延出片121によって構成され、右側頭カバー部13から右耳81の前方を通り、顎下91にかけて延出する。右前側延出片21は、その一端が右側頭カバー部13の下端に位置し、他端が顎下91に位置する。右前側延出片21は、右耳81の前方から顎下91にかけて、対象者の右側頭部73のうち右耳81よりも目2側及び頬6側の部分や顔に密着するとともにカバー部10から顎下91に向かう力F1がかかった状態で延出する。
【0029】
左前側延出片22は、シート100の帯状の部分である後述する第2延出片122によって構成され、左側頭カバー部14から左耳82の前方を通り、顎下91にかけて延出する。左前側延出片22は、その一端が左側頭カバー部14の下端に位置し、他端が顎下91に位置する。左前側延出片22は、左耳82の前方から顎下91にかけて対象者の左側頭部74のうち左耳82よりも目2側及び頬6側の部分や顔に密着するとともにカバー部10から顎下91に向かう力F1がかかった状態で延出する。
【0030】
第1連結部23は、右前側延出片21と左前側延出片22とを連結する部位である。第1連結部23は、例えば右前側延出片21を構成するシート100の帯状の部分と左前側延出片22を構成するシート100の帯状の部分とを結んだ結び目であってもよい。右前側延出片21及び左前側延出片22のそれぞれを構成するシート100の帯状の部分を前頭カバー部11に対して下方に引っ張る力F1がかかるように結ぶことで、右前側延出片21及び左前側延出片22を介してカバー部10にテンションを付与できる。即ち、シート100の帯状の部分の結び目である第1連結部23は、右前側延出片21及び左前側延出片22を介してカバー部10にテンションを付与した状態で、右前側延出片21と左前側延出片22とを連結可能な部位である。
【0031】
第2テンション付与部30は、カバー部10から対象者の耳8の下方、即ち首3又は顎における耳8の近傍を通って前方に延出し、カバー部10にテンションを付与可能である。図1図3、及び図4に示すように、第2テンション付与部30は、上下方向視で全体として略U字状に形成される。
【0032】
本実施形態では、第2テンション付与部30は、後頭カバー部15の右側及び左側のそれぞれから延出し、耳8の下方を介して顎先92に亘って形成される。第2テンション付与部30は、後頭部75の右側及び左側から前方に向かう力F2をかけることでカバー部10に対してテンションを付与する。
【0033】
第2テンション付与部30は、右下側延出片31と、左下側延出片32と、第2連結部33と、を有する。
【0034】
右下側延出片31は、シート100の帯状の部分である後述する第3延出片131によって構成され、後頭カバー部15の右側から右耳81の下方を通り、顎先92にかけて延出する。右下側延出片31は、その一端が後頭カバー部15における右耳81側に位置し、他端が顎先92側に位置する。右下側延出片31は、後頭部75の右側の襟足を押さえるように、右耳81の下方から顎先92にかけて対象者の顎や首3等に密着するとともにカバー部10から顎先92に向かう力F2がかかった状態で延出する。
【0035】
左下側延出片32は、シート100の帯状の部分である後述する第4延出片132によって構成され、後頭カバー部15の左側から左耳82の下方を通り、顎先92にかけて延出する。左下側延出片32は、その一端が後頭カバー部15における左耳82側に位置し、他端が顎先92側に位置する。左下側延出片32は、後頭部75の左側の襟足を押さえるように、左耳82の下方から顎先92にかけて対象者の顎や首3等に密着するとともにカバー部10から顎先92に向かう力F2がかかった状態で延出する。
【0036】
第2連結部33は、右下側延出片31と左下側延出片32とを連結する部位である。第2連結部33は、例えば右下側延出片31を構成するシート100の帯状の部分と左下側延出片32を構成するシート100の帯状の部分とを結んだ結び目であってもよい。右下側延出片31及び左下側延出片32のそれぞれを構成するシート100の帯状の部分を後頭カバー部15に対して前方に引っ張る力がかかるように結ぶことで、右下側延出片31及び左下側延出片32を介してカバー部10にテンションを付与できる。即ち、シート100の帯状の部分の結び目である第2連結部33は、右下側延出片31及び左下側延出片32を介してカバー部10にテンションを付与した状態で、右下側延出片31と左下側延出片32とを連結可能な部位である。
【0037】
カバー部10と、第1テンション付与部20と、第2テンション付与部30とは、キャップ1を装着した対象者の耳8を露出させるように形成される。即ち、キャップ1は、カバー部10と、第1テンション付与部20と、第2テンション付与部30とによって囲まれた領域であり、対象者の耳8を露出させる露出領域4を有する。これにより、シート100に覆われずに露出した耳8をスキャンできるので、耳8の位置や外形形状を正確に把握できる。
【0038】
ここで、特許文献1に記載の頭部形状測定用シートもキャップ1と同様に、耳8がシートに覆われずに露出しているものの、揉み上げや襟足等の耳8の近傍に存在する頭髪も露出している。またシートを頭部8により密着させて頭髪等の影響を少なくするという点で改善の余地もある。
【0039】
これに対して本実施形態のキャップ1によれば、耳8を露出させた状態であっても、第1テンション付与部20及び第2テンション付与部30によって揉み上げや襟足等を含む耳8の近傍に存在する頭髪をシート100で覆うことができる。さらに、第1テンション付与部20及び第2テンション付与部30によって、カバー部10に対して力F1、F2をかけることできるので、カバー部10を頭部7に密着させることができ、頭髪等の影響が少なく、実際の頭部7の表面形状に近いより正確な外形形状データを取得できる。
【0040】
また、ずれ防止部40により前頭カバー部11の顔側の第5の縁部41及び第6の縁部42において、シート100が頭部7に向かって収縮した状態となり、頭部7との相対位置の変化を抑制できるので、第1テンション付与部20及び第2テンション付与部30によってカバー部10が引っ張られても前頭カバー部11と前頭部71との相対位置の変化を規制できる。これにより、前頭カバー部11の位置が規制された状態で、第1テンション付与部20及び第2テンション付与部30によってカバー部10が下方に向かう力F1及び前方に向かう力F2で引っ張られるので、カバー部10を頭部7により密着されることができる。
【0041】
本実施形態では、カバー部10と第1テンション付与部20と第2テンション付与部30とは、1枚のシート100によって構成される。
【0042】
次に、シート100の詳細な構成について図1図5を参照しながら説明する。図5は、キャップ1を構成するシート100を平面状に展開した状態を示す展開図である。なお、図5において第1の縁部51及び第2の縁部52に示す複数の破線は、キャップ1が頭部7に装着された状態で存在する接合部材53の位置を示している。また図5において、第3の縁部61及び第4の縁部62に示す複数の破線は、キャップ1が頭部7に装着された状態で存在する接合部材63の位置を示している。
【0043】
図5に示すように、シート100は、本体部110と、第1延出片121と、第2延出片122と、第3延出片131と、第4延出片132と、を備える。
【0044】
本体部110は、頭部7に装着された状態でキャップ1のカバー部10を構成する部位である。本体部110は、図5に示すようにシート100を展開した状態では平面状であり、シート100が頭部7に装着された状態では頭部7を覆うことが可能な袋状となる。
【0045】
本体部110は、キャップ1を頭部7に装着した場合に、中心線Cを挟んで頭部7の右半分に覆う右側本体部101と、左半分に覆う左側本体部111と、を有する。中心線Cは、キャップ1が頭部7に装着された状態で頭部7の左右方向における中心をシート100に沿って通る仮想線である。
【0046】
右側本体部101と左側本体部111とは、図5に示すように、それぞれシート100の厚み方向視で略扇形状に形成される。右側本体部101と左側本体部111とは、シート100が頭部7に装着された状態で中心線Cを挟んで線対称である。
【0047】
中心線C上には、右側本体部101と左側本体部111との境界である境界部55が形成される。境界部55は、中心線Cに沿って切り目なく連続して形成される。即ち、右側本体部101と左側本体部111とは、境界部55を介して途切れなく連続して形成される。本実施形態では、図2に示すように境界部55は、キャップ1が頭部7に装着された状態で頭頂部72の後頭部75側から後頭部75の上下方向で耳8の上端付近に亘って形成される。
【0048】
本体部110の縁部について説明する。図5に示すように、右側本体部101には、第1の縁部51と第3の縁部61と第5の縁部41とが形成され、左側本体部111には、第2の縁部52と第4の縁部62と第6の縁部42とが形成される。
【0049】
第1の縁部51は、キャップ1が頭部7に装着された状態で、第2の縁部52とともに主接合部50を形成する。第1の縁部51は、図5に示すようにシート100を平面状に展開した状態で、右側本体部101の一側(図5では紙面上側)の縁部であり、シート100の厚み方向視で右側本体部101の外側に突出するように湾曲する。具体的には、第1の縁部51は、全体に亘って、シート100の厚み方向視で右側本体部101の中心から離れる方向に突出するように湾曲する。
【0050】
第2の縁部52は、キャップ1が頭部7に装着された状態で、第1の縁部51とともに主接合部50を形成する。第2の縁部52は、図5に示すようにシート100を平面状に展開した状態で、左側本体部111の一側(図5では紙面上側)の縁部であり、シート100の厚み方向視で左側本体部111の外側に突出するように湾曲する。具体的には、第2の縁部52は、全体に亘って、シート100の厚み方向視で左側本体部111の中心から離れる方向に突出するように湾曲する。
【0051】
第1の縁部51と第2の縁部52とは、互いに連続して形成される。図5に示すように、本体部110には、シート100を平面状に展開した状態で、第1の縁部51の境界部55側と第2の縁部52の境界部55側とによって形成される湾曲収束部54が形成される。湾曲収束部54は、第1の縁部51と第2の縁部52とが境界部55に向かって湾曲して収束する部位である。即ち、湾曲収束部54における第1の縁部51と第2の縁部52との間の間隔は、境界部55側に向かうにつれて小さくなるように形成される。
【0052】
図5に示すように、シート100を平面状に展開した状態で第1の縁部51と第2の縁部52とが湾曲した形状であるので、第1の縁部51と第2の縁部52とを互いに接合することで、略球状等の頭部7にフィットする形状のカバー部10を形成できる。
【0053】
第3の縁部61は、キャップ1が頭部7に装着された状態で、第4の縁部62とともに補助接合部60を形成する。第3の縁部61は、図5に示すようにシート100を平面状に展開した状態で、右側本体部101の他側(図5では紙面下側)の縁部であり、シート100の厚み方向視で右側本体部101の外側に突出するように湾曲する。具体的には、第3の縁部61は、全体に亘って、シート100の厚み方向視で右側本体部101の中心から離れる方向に突出するように湾曲する。
【0054】
第4の縁部62は、キャップ1が頭部7に装着された状態で、第3の縁部61とともに補助接合部60を形成する。第4の縁部62は、図5に示すようにシート100を平面状に展開した状態で、左側本体部111の他側(図5では紙面下側)の縁部であり、シート100の厚み方向視で左側本体部111の外側に突出するように湾曲する。具体的には、第4の縁部62は、全体に亘って、シート100の厚み方向視で左側本体部111の中心から離れる方向に突出するように湾曲する。
【0055】
第3の縁部61と第4の縁部62とは、互いに連続して形成される。図5に示すように、本体部110には、シート100を平面状に展開した状態で、第3の縁部61の境界部55側と第4の縁部62の境界部55側とによって形成される湾曲収束部64が形成される。湾曲収束部64は、第3の縁部61と第4の縁部62とが境界部55に向かって湾曲して収束する部位である。即ち、湾曲収束部64における第3の縁部61と第4の縁部62との間の間隔は、境界部55側に向かうにつれて小さくなるように形成される。
【0056】
図5に示すように、シート100を平面状に展開した状態で第3の縁部61と第4の縁部62とが湾曲した形状であるので、第3の縁部61と第4の縁部62とを互いに接合することで、頭部7の形状に合う立体的な形状のキャップ1を形成できる。また上述したように、第3の縁部61と第4の縁部62によって形成される補助接合部60が、キャップ1が頭部7に装着された状態で頭頂部72を挟んで主接合部50とは反対側に位置するので、より球状に近く頭部7にフィットする袋状のキャップ1を形成できる。
【0057】
第5の縁部41は、キャップ1が頭部7に装着された状態で、前頭カバー部11の目2側に位置する縁部であり、第6の縁部42とともにずれ防止部40を形成する。第5の縁部41は、図5に示すようにシート100を平面状に展開した状態で、右側本体部101の境界部55側とは反対側(図5では左側)に位置する縁部である。第5の縁部41は、第1の縁部51に連続して形成される。なお、右側本体部101における第3の縁部61と第5の縁部41との間の縁部からは、第1延出片121と第3延出片131とが延出する。
【0058】
第6の縁部42は、キャップ1が頭部7に装着された状態で、前頭カバー部11の目2側に位置する縁部であり、第5の縁部41とともにずれ防止部40を形成する。第6の縁部42は、図5に示すようにシート100を平面状に展開した状態で、左側本体部111の境界部55側とは反対側(図5では右側)に位置する縁部である。第6の縁部42は、第2の縁部52に連続して形成される。なお、左側本体部111における第4の縁部62と第6の縁部42との間の縁部からは、第2延出片122と第4延出片132とが延出する。
【0059】
第1延出片121は、キャップ1が頭部7に装着された状態でキャップ1の第1テンション付与部20の右前側延出片21を構成する部位である。第1延出片121は、図5に示すようにシート100を展開した状態で、右側本体部101から延出する帯状の部材である。第1延出片121は、第5の縁部41に隣接する位置に連続して形成され、第1の縁部51から離れる方向に延出する。
【0060】
第2延出片122は、キャップ1が頭部7に装着された状態でキャップ1の第1テンション付与部20の左前側延出片22を構成する部位である。第2延出片122は、図5に示すようにシート100を展開した状態で、左側本体部111から延出する帯状の部材である。第2延出片122は、第6の縁部42に隣接する位置に連続して形成され、第2の縁部52から離れる方向に延出する。
【0061】
第3延出片131は、キャップ1が頭部7に装着された状態でキャップ1の第2テンション付与部30の右下側延出片31を構成する部位である。第3延出片131は、図5に示すようにシート100を展開した状態で、右側本体部101から延出する帯状の部材である。第3延出片131は、第1延出片121と第3の縁部61との間に位置し、第3の縁部61に連続して形成され、境界部55から離れる方向に延出する。
【0062】
第4延出片132は、キャップ1が頭部7に装着された状態でキャップ1の第2テンション付与部30の左下側延出片32を構成する部位である。第4延出片132は、図5に示すようにシート100を展開した状態で、左側本体部111から延出する帯状の部材である。第4延出片132は、第2延出片122と第4の縁部62との間に位置し、第4の縁部62に連続して形成され、境界部55から離れる方向に延出する。
【0063】
図5に示すように、シート100は、右側本体部101と第1延出片121と第3延出片131とを合わせた部位と、左側本体部111と第2延出片122と第4延出片132とを合わせた部位とが中心線Cを挟んで線対称である。
【0064】
ここで、本実施形態のキャップ1を装着した場合に取得される頭部7の外形形状データの精度を図6及び図7を参照しながら説明する。図6は、本実施形態に係るキャップ1を装着した対象者の頭部7をスキャンしている状態を示す右側面図である。図7は、3枚で構成されたシートを備えるキャップ1aを装着した対象者の頭部7をスキャンしている状態を示す右側面図である。なお、図6及び図7において、二点鎖線は、頭部7の外形形状の診断が行われる横断面Lの位置を示している。
【0065】
図7に示すキャップ1aについて説明する。キャップ1aは、主に頭部7の右側を覆うシートと、主に頭部7の左側を覆うシートと、主に頭部7の左右方向における真ん中側を覆うシートとの3枚のシートによって形成される。図7に示す接合部50aは、頭部7の左右方向の真ん中側を覆うシートの縁部と頭部7の左側を覆うシートの縁部とが縫い合わされた接合部である。なお、頭部7の左右方向の真ん中側を覆うシートと頭部7の右側を覆うシートとも互いに縫い合わされて接合されている。
【0066】
図6及び図7に示すように、対象者の頭部7の外形形状データは、例えば3次元スキャナで頭部7の3Dデータを取得し、3Dデータ上から横断面画像を取得し、取得した横断面画像から頭部7の外形形状データを取得する。
【0067】
キャップ1及びキャップ1aを用いた場合の外形形状データの精度を、頭部7の診断が行われる横断面Lの形状を例に比較する。頭部7の診断が行われる横断面Lは、対象者の鼻根と左右両方の耳8の耳珠点との3点を結んで形成される基準平面に平行な面で頭部7の3Dデータを切断したときの断面である。
【0068】
主接合部50は、接合部材53を介してシート100の2つの縁部を重ね合わせる等して形成されるので、シート100の他の部分に比べて厚みや凹凸がある形状である。このため、主接合部50が形成される箇所では少なからず頭部7の測定精度が低下する。
【0069】
図7に示すキャップ1aが装着された頭部7の3Dデータを取得する場合、その3Dデータから取得した横断面Lは接合部50aとの2つの交点P及び頭部7の左右方向の真ん中側を覆うシートの縁部と頭部7の右側を覆うシートの縁部との接合部との2つの交点の4箇所で交わる。
【0070】
これに対して、1枚のシート100で構成されるキャップ1が装着された頭部7の3Dデータを取得する場合、その3Dデータから取得した横断面Lでは、図6に示す1つの交点Pで主接合部50と交わる。このため、キャップ1を用いた場合、図7に示すキャップを用いた場合に比べて測定精度が低下する箇所を減らし、頭部7のより精度の高い外形形状データを取得できる。また本実施形態では、上下方向において耳8よりも下方に補助接合部60が形成されているので、補助接合部60を設けた場合であっても、主接合部50及び補助接合部60と横断面Lとの交点Pを1つ以下とすることができる。
【0071】
次に、図8を参照しながら柄5について説明する。図8は、本実施形態に係るキャップ1の柄を示す右側面図である。なお、図8では第1連結部23及び第2連結部33の図示を省略している。
【0072】
キャップ1は、少なくともカバー部10を構成するシート100の表面に形成され、3次元スキャナやカメラ等の形状測定器で識別可能な複数の柄5を有する。複数の柄5のそれぞれは、第1の方向と当該第1の方向に直交する第2の方向に二次的に配列される矩形状の単位領域内に形成される。少なくとも隣接する単位領域の柄5は、その模様が互いに異なる。これにより、形状測定器による外形形状データの取得が容易になる。なお、1つの単位領域内には、1つの柄5が配置される。
【0073】
また本実施形態では、図8に示すように、キャップ1は、カバー部10、第1テンション付与部20、及び第2テンション付与部30を構成するシート100の表面全体に複数の柄5が形成され、かつ複数の柄5がそれぞれ互いに異なる模様である。即ち、カバー部10、第1テンション付与部20、及び第2テンション付与部30を構成するシート100には、模様の同じ柄5が2以上含まれていない。これにより、キャップ1の表面全体において形状測定器で識別可能な全ての柄5がそれぞれ異なるので、形状測定器によって取得された外形形状データが頭部7のうちどの部位における外形形状データであるかより正確に判別することができる。例えば前頭部71と後頭部75、右側頭部73と左側頭部74等の形状が近い頭部7の部位のデータを正確に判別しやすくなり、正確な外形形状データを容易に取得できる。
【0074】
以上説明した実施形態に係るキャップ1によれば以下のような効果が奏される。
【0075】
(1)キャップ1は、対象者の頭部7の立体的な外形形状を把握するために、頭部7を覆って装着されるキャップ1であって、シート100によって構成され、頭部7を覆うカバー部10と、カバー部10から対象者の耳8の前方を通って下方に延出し、カバー部10にテンションを付与する第1テンション付与部20と、カバー部10から耳8の下方を通って前方に延出し、カバー部10にテンションを付与する第2テンション付与部30と、を備え、カバー部10と、第1テンション付与部20と、第2テンション付与部30と、が耳8を露出させるように配置される。
【0076】
これにより、耳8を露出させつつ、耳8を囲む第1テンション付与部20及び第2テンション付与部30からカバー部10にテンションを掛けるので、耳8の正確な形状及び位置を把握することができるとともに、カバー部10のシート100を頭部7により密着させることができる。よって、耳8と頭部7との正確な位置関係を把握できるとともに、頭部7の外形形状に対する頭髪の影響をより低減でき、より正確な外形形状データを取得できる。
【0077】
(2)(1)に記載のキャップ1において、第1テンション付与部20は、カバー部10のうち頭部7の右側頭部73を覆う右側頭カバー部13から延出する帯状の右前側延出片21と、カバー部10のうち頭部7の左側頭部74を覆う左側頭カバー部14から延出する帯状の左前側延出片22と、右前側延出片21及び左前側延出片22を介してカバー部10にテンションを付与した状態で右前側延出片21と左前側延出片22とを連結可能な第1連結部23と、を有し、第2テンション付与部30は、カバー部10のうち頭部7の後頭部75を覆う後頭カバー部15の右側から延出する帯状の右下側延出片31と、カバー部10のうち頭部7の後頭部75を覆う後頭カバー部15の左側から延出する帯状の左下側延出片32と、右下側延出片31及び左下側延出片32を介してカバー部10にテンションを付与した状態で右下側延出片31と左下側延出片32とを連結可能な第2連結部33と、を有する。
【0078】
これにより、カバー部10における側頭部の左右両側と、後頭部75における左右両側からカバー部10に対してテンションを付与できるので、カバー部10のシート100を頭部7により密着させることができる。また、第1テンション付与部20及び第2テンション付与部30がカバー部10の左右から延びる帯状の部材とそれらを連結する第1連結部23及び第2連結部33で構成されるので、キャップ1の頭部7への装着が容易になる。
【0079】
(3)(1)又は(2)に記載のキャップ1は、カバー部10における頭部7の前頭部71側の縁部に沿って形成され、シート100の移動を規制するずれ防止部40を更に備える。
【0080】
これにより、ずれ防止部40において頭部7に対するシート100のずれを防止し、頭部7とシート100との相対位置の変化を規制できるので、第1テンション付与部20及び第2テンション付与部30からカバー部10に付与するテンションをカバー部10全体に確実に伝えることができる。
【0081】
(4)(3)に記載のキャップ1において、ずれ防止部40は、カバー部10における前頭部71側の縁部と、該縁部のシート100に固定されたシート100よりも伸縮性が低い帯状部材43とによって形成される。
【0082】
これにより、ずれ防止部40をより簡易的に形成できる。
【0083】
(5)キャップ1は、頭部7に装着された状態で互いに接合可能な第1の縁部51及び第2の縁部52を有し、1枚で構成されるシート100を備え、シート100には、頭部7に装着された状態で互いに接合された第1の縁部51と第2の縁部52とによって頭部7の一部に沿った主接合部50が形成される。
【0084】
これにより、頭部7を覆う部分が1枚のシート100で構成しつつ、1枚のシート100の縁部同士を接合するので、取得される頭部7の外形形状に影響を与える縫い目等の形状が不均一となる箇所を最小限に抑えつつ、シート100を頭部7にフィットした立体的な形状とすることができる。よって、より正確な頭部7の外形形状データを取得できる。
【0085】
(6)(5)に記載のキャップ1において、主接合部50は、第1の縁部51と第2の縁部52とが縫い合わされた部位である。
【0086】
これにより、シート100を容易に立体的な形状とすることができる。
【0087】
(7)(5)又は(6)に記載のキャップ1において、シート100は、頭部7に装着された状態で互いに接合可能な第3の縁部61及び第4の縁部62を有するとともに、前頭部71と、頭頂部72と、右側頭部73及び左側頭部74と、後頭部75と、を覆い、シート100には、頭部7に装着された状態で頭頂部72を挟んで主接合部50とは反対側に位置し、互いに接合された第3の縁部61と第4の縁部62とによって頭部7の一部に沿った補助接合部60が形成される。
【0088】
これにより、主接合部50と補助接合部60とが互いに頭頂部72を挟んで反対側に位置するので、より立体的で頭部7にフィットした形状となる。
【0089】
(8)(7)に記載のキャップ1において、主接合部50は、シート100が頭部7に装着された状態で頭部7の前後方向に延びるようにシート100における前頭部71から頭頂部72にかけて形成され、補助接合部60は、シート100を頭部7に装着された状態で後頭部75側において頭部7の上下方向に延び、かつ頭部7の上下方向において対象者の耳8の上端よりも下側に形成される。
【0090】
これにより、主接合部50を前頭部71から頭頂部72にかけて形成し、補助接合部60を上下方向において耳8の上端よりも下側に形成させたので、3次元スキャナでスキャンされる縫い目等の外形形状に影響を与える箇所を最小限に抑えつつ、より立体的で頭部7にフィットした形状となる。よって、より正確な頭部7の外形形状データを取得できる。
【0091】
(9)(5)~(8)のいずれか1つに記載のキャップ1において、主接合部50は、シート100が頭部7に装着された状態で、頭部7の左右方向において略中心に位置する。
【0092】
これにより、頭部7の外形形状データに影響を与える主接合部50が頭部7の左右方向の略中心に位置するので、頭部7の左右方向における外形形状データの精度が等しくなる。
【0093】
(10)(5)~(9)のいずれか1つに記載のキャップ1において、第1の縁部51と第2の縁部52とは、シート100を平面状に展開した状態において、シート100の厚み方向視でシート100の外側に突出するように湾曲し、互いに連続して形成される。
【0094】
これにより、1枚のシート100でより頭部7の外形形状に適した球状又は袋状のキャップ1とすることができる。
【0095】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に制限されるものではなく適宜変更が可能である。
【0096】
上記実施形態では、第1連結部23は右前側延出片21及び左前側延出片22の結び目であり、第2連結部33は右下側延出片31及び左下側延出片32の結び目であったが、第1連結部23及び第2連結部33の構成は特に限定されない。例えば、第1連結部23は右前側延出片21の他端側と左前側延出片22の他端側に配置される互いに着脱可能な一対の面ファスナであってもよく、粘着テープであってもよく、コードロック、言い換えればコードストッパであってもよい。同様に第2連結部33は右下側延出片31の他端側と左下側延出片32の他端側に配置される互いに着脱可能な一対の面ファスナであってもよく、粘着テープであってもよく、コードロック、言い換えればコードストッパであってもよい。
【0097】
また本実施形態では、シート100を頭部7に装着された状態で主接合部50が前頭部71から頭頂部72にかけて形成され、補助接合部60が後頭部75に形成されていたが、主接合部50及び補助接合部60の位置は特に限定されない。例えば主接合部50及び補助接合部60は右側頭部73に形成されてもよく、左側頭部74に形成されてもよく、前頭部71に形成されてもよく、頭頂部72に形成されてもよく、後頭部75に形成されてもよい。
【0098】
また例えばキャップ1は補助接合部60を備えなくてもよい。
【0099】
また例えば、キャップ1はずれ防止部40を備えなくてもよい。
【0100】
また例えばキャップ1は、カバー部10、第1テンション付与部20、第2テンション付与部30の表面全体に、図8に示すような互いに異なる複数の柄5が施されていなくてもよい。
【0101】
また上記実施形態では、カバー部10と第1テンション付与部20と第2テンション付与部30とは、1枚のシート100によって構成されていたが、カバー部10と第1テンション付与部20と第2テンション付与部30とをそれぞれ異なるシートで構成してもよい。また第1テンション付与部20と第2テンション付与部30とをシートとは異なる部材で構成してもよい。
【0102】
また例えば、キャップ1は第1テンション付与部20及び第2テンション付与部30の少なくとも何れかを備えていなくてもよい。
【0103】
また例えば、キャップ1は、対象者の耳8を露出される露出領域4を有していない構成であってもよい。
【符号の説明】
【0104】
1 キャップ
7 頭部
8 耳
50 接合部
51 第1の縁部
52 第2の縁部
100 シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8