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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017215
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】車両用ドアハンドル装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 85/12 20140101AFI20250129BHJP
   E05B 81/76 20140101ALI20250129BHJP
【FI】
E05B85/12 A
E05B81/76
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120189
(22)【出願日】2023-07-24
(71)【出願人】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】高岡 真之輔
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250PP13
2E250SS05
(57)【要約】
【課題】車両用ドアハンドル装置の組立性を向上する。
【解決手段】車両用のドアハンドル装置1が、車両のドア90に設けられたハンドルベース2と、非操作位置から回動方向一方側及び回動方向他方側に回動可能に、ハンドルベース2に連結された操作レバー3と、操作レバー3が非操作位置から回動方向一方側に操作されたことを検出するスイッチ部7と、を備える。スイッチ部7が、操作レバー3の背面側に装着されている。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアに設けられたハンドルベースと、
非操作位置から回動方向一方側及び回動方向他方側に回動可能に、前記ハンドルベースに連結された操作レバーと、
前記操作レバーが前記非操作位置から前記回動方向一方側に操作されたことを検出するスイッチ部と、を備え、
前記スイッチ部が、前記操作レバーの背面側に装着されている、
車両用ドアハンドル装置。
【請求項2】
前記スイッチ部が、前記操作レバーに固定される、
請求項1に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項3】
前記スイッチ部が、
前記操作レバーに固定されたスイッチベースと、
前記スイッチベースに取り付けられた検出素子と、
を有し、
前記操作レバーの前記回動方向一方側への回転変位に応じて前記検出素子が前記ハンドルベース又はこれに一体化されている部材に押圧されることで、前記操作レバーの前記操作が検出される、
請求項1又は2に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項4】
前記スイッチ部が、
前記スイッチベースに固定され、光源及び前記検出素子が実装される基板と、
前記光源からの光を外部に透過させる透過部と、
を更に有する、請求項3に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項5】
前記スイッチ部が、前記スイッチベースに変位可能に連結され、前記操作レバーが前記非操作位置から前記回動方向一方側に変位するときに前記ハンドルベースに当接して前記ハンドルベースに一体化されるカバー部材、を更に有する、
請求項3に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項6】
前記カバー部材は、前記操作レバーの回転軸と平行な揺動軸周りに回動可能に前記スイッチベースに連結される、
請求項5に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項7】
前記操作レバーが、前記操作レバーの回転軸から見て前記カバー部材よりも径方向外側へ延在する延長部を有する、
請求項5に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項8】
前記操作レバーを前記回動方向一方側へ付勢する第1付勢部材と、
前記操作レバーを前記回動方向他方側へ付勢する第2付勢部材と、
を更に備える、請求項1又は2に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項9】
前記スイッチ部は、前記ドアを開放不可能なラッチ状態から前記ドアを開放可能なラッチ解除状態にラッチ機構を切り換えるアクチュエータに接続され、
前記ラッチ機構は、前記操作レバーが前記回動方向他方側に操作されたときに前記ラッチ機構を前記ラッチ状態から前記アンラッチ状態に切り換える手動リリース機構を介し、前記操作レバーに接続されている、
請求項1又は2に記載の車両用ドアハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車内側に配置されたドアハンドルが車外側へ押込み操作されると、ドアを電動で解放してドアの開放を許容する車両用ドアハンドル装置を開示している。ドアハンドルは、ベゼルに形成された凹部に収容され、ドア及びベゼルに対して揺動可能である。押込み操作の検出のため、プッシュスイッチが、ベゼルに取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-189246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、ドアハンドルとプッシュスイッチとをベゼルに対して個別に組み付ける必要がある。車両用ドアハンドル装置には、組立性に関して改善の余地がある。
【0005】
本発明は、車両用ドアハンドル装置の組立性を向上することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、車両のドアに設けられたハンドルベースと、非操作位置から回動方向一方側及び回動方向他方側に回動可能に、前記ハンドルベースに連結された操作レバーと、前記操作レバーが前記非操作位置から前記回動方向一方側に操作されたことを検出するスイッチ部と、を備え、前記スイッチ部が、前記操作レバーの背面側に装着されている、車両用ドアハンドル装置を提供する。
【0007】
上記構成によれば、スイッチ部を操作レバーに組み付けた状態で、操作レバーをハンドルベースに組み付けることができる。操作レバーとスイッチ部とのサブアセンブリ化により、ドアハンドル装置の組立性を改善できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両用ドアハンドル装置の組立性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る車両用ドアハンドルの正面図。
図2】実施形態に係る車両用ドアハンドルの分解斜視図。
図3】実施形態に係る車両用ドアハンドル装置の構成を模式的に示す概念図。
図4】実施形態に係る車両用ドアハンドルの分解斜視図。
図5】実施形態に係る車両用ドアハンドルの分解斜視図。
図6】実施形態に係る車両用ドアハンドルの分解斜視図。
図7】実施形態に係る車両用ドアハンドルのスイッチ部の分解斜視図。
図8】実施形態に係る車両用ドアハンドルのスイッチ部の分解斜視図。
図9】実施形態に係る車両用ドアハンドルのスイッチ部の斜視図。
図10】実施形態に係る車両用ドアハンドルの斜視断面図。
図11】実施形態に係る車両用ドアハンドルの押し操作時の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。なお、同一の又は対応する要素には全図を通じて同一の符号を付し、詳細な説明の重複を省略する。
【0011】
図1及び図2を参照して、本実施形態に係るドアハンドル装置1は、車両用のドア90の開閉に利用される。ドア90は、インナパネル91及びアウタパネル(図示せず)を含む複数のパネル部材により構成される。
【0012】
ドアハンドル装置1は、ベゼル10、ハンドルベース2、及び操作レバー3を備える。
【0013】
ベゼル10は、両端が開口した短尺の筒状である。ベゼル10は、インナパネル91に設けられた開口に嵌め込まれ、インナパネル91の車内側の表面に支持される。ハンドルベース2は、ドア90に設けられている。より具体的には、ハンドルベース2は、ベゼル10の内側の空間に配置され、ベゼル10及びドア90に固定される。
【0014】
ハンドルベース2は、凹状の収容部2aを形成する本体部2bを有する。収容部2aは、ドア90の厚み方向の一方側へ開放されている。操作レバー3は、ハンドルベース2に回動可能に連結される。操作レバー3は、収容部2aの内部に配置され、ドア90の厚み方向の一方側へ露出する。
【0015】
以下では、ドア90の厚み方向の一方側をドアハンドル装置1の「正面側」又は「手前側」と称し、厚み方向の他方側を「背面側」又は「奥側」と称し、ドア90の厚み方向をドアハンドル装置1の「前後方向」(図中のXを参照)と称する場合がある。ドアハンドル装置1の正面側は、利用者と正対される。非操作状態における操作レバー3の長手方向又は延在方向を、ドアハンドル装置1の「幅方向」(図中のYを参照)と称する場合がある。操作レバー3の回転軸Aは、前後方向にも幅方向にも交差する方向に向けられている。回転軸Aの延在方向をドアハンドル装置1の「高さ方向」(図中のZを参照)と称する場合がある。幅方向は、回転軸Aの径方向に対応する。
【0016】
ドアハンドル装置1がサイドドアの車内側に設けられたインナハンドルに適用され、且つ当該サイドドアが閉鎖状態である場合には、ドアハンドル装置1の前後方向が、車両の車幅方向と対応し、正面側が車内側と対応し、背面側が車外側と対応する。この場合における単なる一例として、ドアハンドル装置1の幅方向は、車両の車長方向と対応してもよく、ドアハンドル装置1の高さ方向は、車両の車高方向、すなわち鉛直方向と対応してもよい。ただし、このドアハンドル装置1の方向と車両の方向との対応関係は、ドアハンドル装置1の車両に対する姿勢などに応じて適宜変更される。
【0017】
ハンドルベース2の本体部2bは、幅方向に長尺であり、高さ方向に短尺である。操作レバー3の基端部は、本体部2bの幅方向一方側(図1紙面右側)に回動可能に連結される。操作レバー3は、収容部2a内において回転軸Aに対して幅方向他方側(図1紙面左側)に片持ち梁状に延在し、その先端が自由端である。操作レバー3の先端は、収容部2aの幅方向他方側の内面から離れている。収容部2aの幅方向他方側には、利用者が指を差し入れるために十分に大きい空間として、指挿入部2cが設けられる。
【0018】
図3を参照して、車内の利用者により入力される操作力のような、外力が操作レバー3に入力されていなければ、操作レバー3が、中立の非操作位置に位置付けられる。操作レバー3は、非操作位置に対して回転軸A周りに両方向へ変位可能である。利用者は、操作レバー3の先端部を背面側(奥側)へ押す押し操作と、指挿入部2c(図2参照)に指を差し入れて操作レバー3の先端部を正面側(手前側)へ引く引き操作とを行うことができる。押し操作では、操作レバー3が、非操作位置から回転軸A周りに回動方向一方側へ変位する。引き操作では、操作レバー3が、非操作位置から回転軸A周りに回動方向他方側へ変位する。
【0019】
ドアハンドル装置1には、ラッチ機構4、モータ5、動力伝達機構6、スイッチ部7、コントローラ8、及び手動リリース機構9が接続される。
【0020】
ラッチ機構4は、車体に設けられたストライカ(図示せず)に離脱可能に係合し、ラッチ状態とアンラッチ状態との間で切り換わる。ラッチ機構4は、フォーク4a及びクロー4bを有する。フォーク4aは、ストライカと係合するラッチ位置と、この係合が解除されるオープン位置との間で回転変位可能である。クロー4bは、フォーク4aをラッチ位置に保持する保持位置と、この保持が解除される非保持位置との間で回転変位可能である。クロー4bが保持位置に位置し且つフォーク4aがラッチ位置に位置していると、ラッチ機構4がラッチ状態となる。ラッチ状態では、ドアの開放が規制される。クロー4bが非保持位置に位置し且つフォーク4aがオープン位置に位置していると、ラッチ機構4がアンラッチ状態となる。アンラッチ状態では、ドアが解放され、ドアの開放が許容される。
【0021】
スイッチ部7は、操作レバー3が非操作位置から回動方向一方側に操作されたこと、すなわち押し操作を検出する。押し操作が検出されると、スイッチ部7は、その旨を示す検出信号をコントローラ8に出力する。
【0022】
スイッチ部7は、静止側であるハンドルベース2に取り付けられているのではなく、可動側である操作レバー3の背面側に装着されている。押し操作が行われると、操作レバー3の先端部が背面側へ変位する。スイッチ部7は、これに追従して変位し、ドアハンドル装置1の前後方向において操作レバー3とハンドルベース2とにより挟み込まれる。スイッチ部7は、その際に押し操作が行われたことを検出するように構成されている。
【0023】
コントローラ8は、検出信号の受信に応じて、モータ5を駆動する。モータ5で発生された回転駆動力は、動力伝達機構6を介してクロー4bに伝達される。ラッチ機構4がラッチ状態からアンラッチ状態に切り換わり、利用者がドアを開放することを許容される。モータ5は、ドア解放するように作動する電動アクチュエータの好適な一例である。モータ5及び動力伝達機構6は、ラッチ機構4を電動で駆動する電動リリース機構を構成する。
【0024】
手動リリース機構9は、電動リリース機構が正常に作動し得ない場合においても、引き操作の操作力に基づいて、ラッチ機構4をラッチ状態からアンラッチ状態に切り換える。手動リリース機構9は、引き操作時に操作レバー3と係合して揺動するオープンレバー9aを有する。手動リリース機構9は、シャフト、レバー、ギヤ、カム、ケーブル、又はこれらの組み合わせによって構成され、引き操作時に操作レバー3に入力された操作力をクロー4bまで伝達する動力伝達経路を形成する。
【0025】
なお、電動リリース機構の動力伝達機構6も、シャフト、レバー、ギヤ、カム、又はこれらの組み合わせによって構成される。図3は、手動リリース機構9の動力伝達経路が動力伝達機構6の動力伝達経路と独立している形態を模式的に示すが、2つの動力伝達経路は、部分的に共通化されていてもよい。
【0026】
次に、ハンドルベース2、操作レバー3、及びスイッチ部7の構造について説明する。
【0027】
図4図6を参照して、ハンドルベース2の本体部2bは、上壁部21a、下壁部21b、背壁部21c、第1側壁部21d、及び第2側壁部21eを有する。収容部2aは、これらの壁部によって画定される。本体部2bの正面は、収容部2aの正面開口を取り囲む閉ループ状であり、上壁部21a、下壁部21b、第1側壁部21d、及び第2側壁部21eによって形成される。
【0028】
上壁部21a及び下壁部21bは、幅方向及び前後方向に延在する。第1側壁部21dは、幅方向一方側(図4及び図5紙面右側、図6紙面左側)で上壁部21aと下壁部21bとを高さ方向に接続し、第2側壁部21eは、幅方向他方側(図4及び図5紙面左側、図6紙面右側)で上壁部21aと下壁部21bとを高さ方向に接続する。背壁部21cは、前後方向において収容部2aの開口とは反対側(背面側)で幅方向及び高さ方向に延在し、上壁部21a、下壁部21b、及び第2側壁部21eと連続する。背壁部21cの幅方向一方側は、切り欠かれており、背壁部21cは、第1側壁部21dとは連続しない。収容部2aは、この切り欠き22を介し、背面側にも開放されている。
【0029】
操作レバー3は、レバー主壁部31a、レバー上壁部31b、レバー下壁部31c、及びレバー側壁部31dを有する。レバー主壁部31aは、正面側に向けられ、幅方向及び高さ方向に延在する。レバー上壁部31b及びレバー下壁部31cは、レバー主壁部31aの上辺縁及び下辺縁それぞれから背面側に延在する。レバー側壁部31dは、レバー主壁部31aの幅方向一端部から背面側に延在し、レバー上壁部31bとレバー下壁部31cとを高さ方向に接続する。
【0030】
操作レバー3は、これらの壁部で画定されたスイッチ収容空間3aを形成する。スイッチ収容空間3aは、背面側に開放されている。操作レバー3の幅方向他方側では側壁部がなく、スイッチ収容空間3aは、幅方向他方側にも開放されている。レバー上壁部31bの幅方向他端部には、幅方向に延びる上透光窓32aが設けられており、レバー下壁部31cの幅方向他端部にも、幅方向に延びる下透光窓32bが設けられている。上透光窓32a及び下透光窓32bは、一例として貫通穴である。スイッチ収容空間3aは、上透光窓32aを介して上側に開放され、下透光窓32bを介して下側に開放されている。
【0031】
操作レバー3は、支軸11を介してハンドルベース2に組み付けられる。支軸11の挿通のため、ハンドルベース2は、上壁部21aの幅方向一端部に形成された上挿通穴23a、及び下壁部21bの幅方向一端部に形成された下係合孔23bを有する。操作レバー3は、レバー上壁部31bの幅方向一端部に設けられた上ボス部33a、及びレバー下壁部31cの幅方向一端部に設けられた下ボス部33bを有する。上挿通穴23a、上ボス部33a、下ボス部33b、及び下係合孔23bが上からこの順番で同軸状に並ぶようにして、操作レバー3が収容部2aに収容される。支軸11の基端には、支軸11のシャンクよりも大径の頭部11aが設けられ、支軸11の先端は先鋭である。
【0032】
支軸11は上挿通穴23aに上から挿入される。上挿通穴23aは段付きであり、頭部11aが上挿通穴23aの段差面に支持される。シャンクが上挿通穴23a、上ボス部33a、及び下ボス部33bを通過し、先端が下係合孔23bに係合される。操作レバー3は、支軸11の中心が成す回転軸A周りに回動可能に本体部2bに連結される。
【0033】
図1を参照して、レバー上壁部31bは、上壁部21aと高さ方向に近接し、レバー下壁部31cは、下壁部21bと高さ方向に近接する。収容部2aの正面の開口は、幅方向他方側において、幅方向一方側よりも、高さ方向に広く開放されている。本実施形態では、上壁部21aには段差24aが設けられており、幅方向他方側の内面が幅方向一方側の内面よりも上方にある。下壁部21bにも段差24bが設けられており、幅方向他方側の内面が幅方向一方側の内面よりも下方にある。そのため、段差24a,24bを基準として幅方向一方側と他方側とで、開口の高さが異なっている。
【0034】
支軸11が挿通される幅方向一方側では、上壁部21a及び下壁部21bは、レバー上壁部31b及びレバー下壁部31cとの間にごく僅かなクリアランスを形成する。そのため、操作レバー3が回転軸Aに対して傾斜しにくく、操作レバー3の回動が安定する。他方、利用者から操作力が入力され且つスイッチ収容空間3aが開放される幅方向他方側では、レバー上壁部31b及びレバー下壁部31cが、上壁部21a及び下壁部21bとの間に比較的に大きなクリアランスを形成する。後述のとおり、このクリアランスは、収容部2a内における照明領域Lの形成に寄与する。
【0035】
図4図6に戻り、ドアハンドル装置1は、操作レバー3を非操作位置に付勢する付勢手段として、捩りコイルバネ12を備える。捩りコイルバネ12のコイル部は、支軸11のシャンクの外周側に配置される。上記の操作レバー3のハンドルベース2への組付に際しては、捩りコイルバネ12が、上ボス部33a及び下ボス部33bの間に挟まれるようにして、スイッチ部7と共に操作レバー3に装着される。支軸11は、上ボス部33aと下ボス部33bと共に捩りコイルバネ12のコイル部にも挿通される。ハンドルベース2は、上壁部21aの背面側辺縁から切り欠き22内に向けて突出するバネ支持部25を有する。捩りコイルバネ12の一端部12aは、バネ支持部25の背面に形成された溝に係止され、それによりハンドルベース2に支持される。捩りコイルバネ12の他端部12bは、操作レバー3のレバー側壁部31dの背面に形成された係止溝34に係合され、それにより操作レバー3に支持される。
【0036】
なお、図4及び図5は、操作レバー3がハンドルベース2から分離している状態で、支軸11及び捩りコイルバネ12が操作レバー3に組み付けられている旨図示している。図6は、操作レバー3がハンドルベース2から分離している状態で、支軸11及び捩りコイルバネ12がハンドルベース2に組み付けられている旨図示している。これらの図示は、支軸11及び捩りコイルバネ12が、ドアハンドル装置1の組付完了状態で操作レバー3又はハンドルベース2に対してどのように配置されているのかを示す便宜のためである。これらの図示は、上記したドアハンドル装置1の組立過程における支軸11及び捩りコイルバネ12の配置を示しているわけではない。
【0037】
ハンドルベース2は、本体部2bの幅方向一方側に設けられたオープンレバー支持部2dを有する。オープンレバー支持部2dは、第1側壁部21dから幅方向一方側へ突出し、収容部2aの外側に配置される。オープンレバー支持部2dは、幅方向及び高さ方向に延びる壁状であり、上壁部21a及び下壁部21bの幅方向一端部にも連続する。オープンレバー9aは、オープンレバー支持部2dの背面側に配置され、ピン13を介してオープンレバー支持部2dに揺動軸周りに揺動可能に連結される。ピン13はオープンレバー支持部2dを前後方向に貫通し、ピン13の中心が揺動軸を形成する。
【0038】
図6を参照して、操作レバー3は、上ボス部33a及び下ボス部33bよりも幅方向一方側に設けられたカムブロック35を有する。カムブロック35はレバー側壁部31dの下部から幅方向一方側に突出する。カムブロック35の上面は、背面側に向かうほど下側に向かうようにして傾斜するカム面35aである。カム面35aは、上ボス部33a及び下ボス部33bの軸線(ハンドルベース2に組み付けられた状態で回転軸Aと実質的に一致)を中心とする円弧状である。カムブロック35は、操作レバー3がハンドルベース2に組み付けられた状態で、切り欠き22を介し、収容部2aから背面側へ進出可能である(詳細図示を省略)。一方、オープンレバー9aの一端には、前後方向においてカムブロック35と対向するカムフォロワ9bが設けられている。カムフォロワ9bの外面は、下側に向かうほど面側に向かうようにして湾曲されている。
【0039】
操作レバー3が非操作位置にあってオープンレバー9aが初期位置にあるとき、カムフォロワ9bはカム面35aの背面側端部且つ下端部上に載置されている(図10を参照)。操作レバー3が引き操作されると、操作レバー3の先端部が正面側へ変位するのに対し、カムブロック35は背面側へ変位する。これにより、カムフォロワ9bがカム面35aのプロファイルに従って上方へ変位する。すなわち、オープンレバー9aが、引き操作の操作力に基づき、正面から見て時計回りに回転駆動される。このオープンレバー9aの揺動が、前述したとおりラッチ機構4(図3を参照)に伝達される。引き操作が解除されると、操作レバー3は、捩りコイルバネ12の付勢力で非操作位置に復帰し、オープンレバー9aも、不図示の付勢手段により初期位置に復帰する。
【0040】
図7及び図8を参照して、スイッチ部7は、スイッチベース40、基板50、及びカバー部材60を有する。スイッチベース40は、ベース主壁部41a、ベース上壁部41b、ベース下壁部41c、ベース側壁部41dを有する。ベース主壁部41aは、正面から見て幅方向に長尺の矩形状であり、幅方向及び高さ方向に延在する。ベース上壁部41b及びベース下壁部41cは、ベース主壁部41aの上辺縁及び下辺縁それぞれから背面側に延在する。ベース側壁部41dは、ベース主壁部41aの幅方向他端部から背面側に延在する。
【0041】
スイッチベース40は、これらの壁部で画定された基板収容空間40aを形成する。基板収容空間40aは、背面側に開放されている。スイッチベース40の幅方向一方側では側壁部が無く又は短く、そのため、基板収容空間40aは、幅方向一方側にも開放されている。ベース上壁部41bの幅方向他端部には、上スリット42aが設けられており、ベース下壁部41cの幅方向他端部にも、下スリット42bが設けられている。上スリット42a及び下スリット42bは、対応する壁部を背面側端縁から正面側に部分的に切り欠くことによって形成される。基板収容空間40aは、上スリット42aを介して上側に開放され、下スリット42bを介して下側に開放されている。ベース主壁部41aの幅方向一端部には、開口部43が形成されている。基板収容空間40aは、開口部43を介して正面側に開放されている。
【0042】
スイッチベース40は、位置決めピン44、及び複数の基板保持爪45a,45bを有する。位置決めピン44は、ベース主壁部41aの中央部から背面側に突出する。複数の基板保持爪45a,45bは、ベース主壁部41aから背面側に突出する。本実施形態では、上下一対の基板保持爪45a,45bが、幅方向他端部で高さ方向に互いに離れて設けられている。
【0043】
基板50は、矩形平板状であり、貫通穴51が基板50の中央部に形成される。位置決めピン44が貫通穴51に挿通され且つ基板50の幅方向他端部が上下一対の基板保持爪45a,45bで係止された状態で、基板50は、基板収容空間40aに収容される。基板50の表面は、背面側に向けられる。基板50の裏面は、正面側に向けられてベース主壁部41aに近接対向する。
【0044】
基板50の表面には、コントローラ8(図3を参照)に接続されるハーネス56が接合される。ハーネス56の端部は、基板50を貫通し、基板50の裏面側に露出し、スイッチベース40の開口部43内に収容される。それにより、ハーネス56によって阻害されることなく、基板50をベース主壁部41aに沿って配置できる。ハーネス56は、基板50の表面から、幅方向一方側の開口を介して、基板収容空間40aの外へと延在する。
【0045】
基板50の表面には、光源57及び検出素子58が実装される。光源57は、幅方向他端部に実装される。基板50が基板収容空間40aに収容されると、光源57の上側に上スリット42aが位置し、光源57の下側に下スリット42bが位置する。光源57は、例えば発光ダイオードである。
【0046】
検出素子58は、幅方向において貫通穴51と光源57との間に配置されている。検出素子58は、一例として、リミットスイッチである。検出素子58は、基板50に実装される固定部58aと、固定部58aに対して進退可能な可動部58bとを有する。可動部58bは、固定部58aに内蔵された付勢部(図示せず)により進出位置に付勢される。検出素子58が基板50の表面上に実装されると、可動部58bは、固定部58aから背面側に突出し、基板50の表面の法線方向(ドアハンドル装置1の前後方向)に変位可能である。可動部58bが進出位置にあると、検出素子58はオフ信号を出力する(又は検出信号を出力しない)。可動部58bが進出位置から付勢力に抗して正面側に退入すると、検出素子58は、オン信号を出力する。このオン信号が、押し操作が行われたことを示す検出信号と対応する。
【0047】
カバー部材60は、基板収容空間40aを背面側から覆い、基板収容空間40aを閉塞する。カバー部材60は、カバー主壁部61a、カバー上壁部61b、カバー下壁部61c、及びカバー側壁部61dを有する。カバー主壁部61aは、背面から見て幅方向に長尺の矩形状であり、幅方向及び高さ方向に延在する。カバー上壁部61b及びカバー下壁部61cは、カバー主壁部61aの上辺縁及び下辺縁それぞれから正面側に延在する。カバー側壁部61dは、カバー主壁部61aの幅方向他端部から正面側に延在し、カバー上壁部61bとカバー下壁部61cとを高さ方向に接続する。
【0048】
図5を参照して、カバー部材60は、突起62、及びバネ受部63を有する。突起62及びバネ受部63は、カバー主壁部61aの内面(正面側の表面)から正面側に突出する。突起62の正面視形状は特に限定されず、図示される十字状は単なる一例である。バネ受部63は、中央の円柱突起と、円柱突起と同心に配置されて円柱突起を外囲する円筒突起との組み合わせによって構成され、円柱突起の外周面と円筒突起の内周面とで画定される円環溝を形成する。
【0049】
図7図9を参照して、カバー部材60は、スイッチベース40に回動可能に連結される。スイッチベース40は、幅方向一端部に一対のピン部46a,46bを有する。上側のピン部46aは、ベース上壁部41bの幅方向一端部且つ背面側辺縁部から上方に突出する。下側のピン部46bは、ベース下壁部41cから下方に突出し、上側のピン部46aと同軸状である。ピン部46a,46bは概略的には円柱状であるが、その上面は、背面側に向かうに従って下側に向かうようにして傾斜している。
【0050】
一方、カバー部材60は、カバー上壁部61b及びカバー下壁部61cそれぞれの幅方向一端部に形成された一対のピン挿入穴64a,64bを有する。カバー上壁部61b及びカバー下壁部61cの幅方向一端部は、カバー主壁部61aに対して幅方向一方側へ突出しており、一対のピン挿入穴64a,64bも、カバー主壁部61aに対して幅方向一方側に配置され、互いに同軸状である。
【0051】
上側のピン部46aが上側のピン挿入穴64aに下から挿入され、下側のピン部46bが下側のピン挿入穴64bに上から挿入される。それにより、カバー部材60が、回転軸Aと平行な揺動軸B周りにスイッチベース40に対して相対変位可能に連結される。カバー部材60をスイッチベース40に対して正面側に相対的にスライドさせると、カバー上壁部61b及びカバー下壁部61cをピン部46a,46bの上面の傾斜に沿って撓ませることができるため、カバー部材60のスイッチベース40に対する組み付けを簡便に行える。
【0052】
カバー部材60をスイッチベース40に組み付けた状態において、カバー部材60のカバー上壁部61b、カバー下壁部61c、及びカバー側壁部61dは、スイッチベース40のベース上壁部41b、ベース下壁部41c、及びベース側壁部41dをそれぞれ外側から覆う。カバー主壁部61aは、基板収容空間40aを背面側から覆う。
【0053】
スイッチ部7は、カバー部材60のスイッチベース40に対する相対回転範囲を規制する回転規制部14と、相対回転範囲内においてカバー部材60の幅方向他端部がスイッチベース40から最も離れた初期位置へとカバー部材60又はスイッチベース40を付勢するコイルバネ15とを有する。
【0054】
図5図8、及び図9を参照して、回転規制部14は、スイッチベース40に設けられた一対のストッパ47a,47b、及びカバー部材60に設けられた一対の係止穴65a,65bを有する。上側のストッパ47aは、ベース上壁部41bから上方に突出する。上側の係止穴65aは、カバー上壁部61bの正面側辺縁部に設けられた貫通穴である。下側のストッパ47b及び下側の係止穴65bも、これと同様にして、ベース下壁部41c及びカバー下壁部61cそれぞれに設けられている。スイッチベース40は、ストッパ47a,47bが係止穴65a,65bの正面側端縁に当接する初期位置と、ストッパ47a,47bが係止穴65a,65bの背面側端縁に当接する接近位置との間で、カバー部材60に対して相対回転する。
【0055】
図10を参照して、コイルバネ15の背面側端部は、バネ受部63の円環溝に受容される。位置決めピン44は、基板50の表面から背面側に部分的に突出する。コイルバネ15は、この位置決めピン44の突出部分の外周側に設けられ、コイルバネ15の正面側端部は、基板50の表面に支持される。スイッチベース40が初期位置から接近位置に向けてカバー部材60に対して相対回転すると、コイルバネ15は圧縮され、スイッチベース40を初期位置に向けて付勢する付勢力を蓄える。
【0056】
このような構成を有するドアハンドル装置1の組み立てにおいては、まず、スイッチ部7が構成される。位置決めピン44及び基板保持爪45a,45bを利用して、基板50がスイッチベース40に装着される。ハーネス56は、基板収容空間40aから幅方向一方側に引き出される。コイルバネ15が位置決めピン44に外嵌され、カバー部材60がスイッチベース40に装着される。このとき、コイルバネ15がバネ受部63に受容され、ピン部46a,46bがピン挿入穴64a,64bに挿入され、ストッパ47a,47bが係止穴65a,65bに嵌め込まれる。検出素子58の可動部58bが、突起62と接触し、又は突起62と前後方向に近接対向する。スイッチベース40は、コイルバネ15の付勢力で初期位置に位置付けられる。
【0057】
次に、スイッチ部7が操作レバー3に組み付けられる。スイッチ部7がスイッチ収容空間3aに収容される。スイッチベース40のベース主壁部41aの正面が、レバー主壁部31aの背面に面接触する状態で、スイッチベース40が操作レバー3に接合される。接合手段は特に限定されない。このようにして、スイッチ部7は、操作レバー3の背面側に装着される。また、スイッチ部7は、操作レバー3に固定される。より詳しくは、操作レバー3が、スイッチベース40及び基板50と剛に固定されている一方、カバー部材60は、これらスイッチベース40、基板50、及び操作レバー3に対して揺動軸B周りに相対回転可能である。スイッチ部7の幅方向他端部は、操作レバー3のレバー主壁部31aの幅方向他端部よりも幅方向一方側に位置する。換言すれば、操作レバー3のレバー主壁部31aの幅方向他端部は、スイッチ部7に対して幅方向他方側へ延長された延長部31eを形成している。
【0058】
次に、スイッチ部7付き操作レバー3がハンドルベース2に組み付けられる。捩りコイルバネ12が上ボス部33aと下ボス部33bとの間に配置され、捩りコイルバネ12の他端部12bが係止溝34に係止される。操作レバー3がスイッチ部7と共に収容部2aに収容され、支軸11が上挿通穴23aから挿し通され、捩りコイルバネ12の一端部12aがバネ支持部25に支持される。切り欠き22を介して指を収容部2aに背面側から入れることができるため、捩りコイルバネ12をハンドルベース2に容易に組み付けることができる。
【0059】
コイルバネ15の付勢力は、基板50を介し、これと剛に固定されたスイッチベース40及び操作レバー3にも作用する。コイルバネ15は、操作レバー3を回転軸A周りに回動方向他方側へ付勢する。捩りコイルバネ12の付勢力は、操作レバー3に作用し、操作レバー3を回転軸A周りに回動方向一方側へ付勢する。操作力のような外力が操作レバー3に作用していなければ、操作レバー3は、これら2つの付勢部材の付勢力が均衡する非操作位置に安定的に位置し、スイッチベース40は初期位置に位置する。
【0060】
本実施形態では、操作レバー3が非操作位置に位置するときに、カバー部材60のカバー主壁部61aの外面(背面側の表面)が、ハンドルベース2に接触する。具体的には、ハンドルベース2は、背壁部21cから正面側へ、すなわち収容部2a内へ突出する突き当て部26を有する。突き当て部26の端面は、平坦であり、幅方向及び高さ方向に延在する。カバー主壁部61aは、突き当て部26の端面に面接触する。そのため、カバー部材60は、ハンドルベース2に安定的に支持され、ハンドルベース2と一体化された静止側の部材としての役割を果たす。
【0061】
図11を参照して、操作レバー3が押し操作されると、操作レバー3の先端部が、スイッチ部7と共に、ハンドルベース2に対して背面側へ変位しようとする。一方、カバー部材60は、ハンドルベース2に突き当てられてハンドルベース2と一体化されるため、ハンドルベース2に対して背面側へ変位できない。操作レバー3、スイッチベース40、基板50、及びこれに実装されている電子部品(特に、検出素子58)は、操作レバー3に入力されている操作力に基づいて、コイルバネ15の付勢力に抗して、カバー部材60及びハンドルベース2に対して、背面側へ変位する。すなわち、スイッチベース40が、初期位置から接近位置に向けて変位する。この点、カバー部材60はスイッチベース40に対して揺動軸B周りに揺動可能に連結されている。揺動軸Bは、回転軸Aと平行であり、回転軸Aと直交する面内において点で表され、操作レバーの回転に伴って回転軸A周りに周方向に変位する。スイッチベース40は回転軸A周りに操作レバー3と共に変位し、且つ揺動軸B周りにカバー部材60に対する姿勢を変えることができる。
【0062】
このようなスイッチベース40の変位により、検出素子58の可動部58bが突起62で押され、固定部58aに退入していく。スイッチベース40のベース側壁部41dがカバー部材60のカバー主壁部61aに突き当たると、及び/又は、回転規制部14においてストッパ47a,47bが係止穴65a,65bの背面側端縁に突き当たると、操作レバー3、スイッチベース40、及び基板50の変位が規制される。変位が規制されると、又はそれに至る前に、検出素子58は、押し操作が行われた旨を示す検出信号、すなわちオン信号をコントローラ8に出力する。これに応じて、モータ5が作動し、ラッチ機構4が電動で駆動される。
【0063】
操作レバー3の押し操作を解除すると、コイルバネ15の付勢力(及び検出素子58の可動部58bに作用している付勢力)により、スイッチベース40が初期位置に復帰する。同時に、操作レバー3が非操作位置に復帰する。
【0064】
このように、本実施形態に係る車両用のドアハンドル装置1は、車両のドア90に設けられたハンドルベース2と、非操作位置から回動方向一方側及び回動方向他方側に回動可能にハンドルベース2に連結された操作レバー3と、操作レバー3が非操作位置から回動方向一方側に操作されたことを検出するスイッチ部7と、スイッチ部7によって操作レバー3の操作が検出されると、ドア90を解放するように作動するモータ5(電動アクチュエータ)と、を備える。スイッチ部7が、操作レバー3の背面側に装着されている。
【0065】
これにより、スイッチ部7を操作レバー3に組み付けた状態で、操作レバー3をハンドルベース2に組み付けることができる。操作レバー3とスイッチ部7とのサブアセンブリ化により、ドアハンドル装置1の組立性が向上する。
【0066】
スイッチ部7は、操作レバー3に固定される。これにより、スイッチ部7が操作レバー3の変位に追従する。操作レバー3の操作をスイッチ部7で検出しやすい。
【0067】
スイッチ部7が、操作レバー3に固定されたスイッチベース40と、スイッチベース40に取り付けられた検出素子58と、を有する。操作レバー3の回動方向一方側への回転変位に応じて検出素子58が、ハンドルベース2又はこれに一体化されている部材に押圧されることで、操作レバー3の操作が検出される。本実施形態では、カバー部材60がハンドルベース2に一体化され、検出素子58はカバー部材60の突起62で押される。これにより、操作レバー3の変位に追従するスイッチ部7で、操作レバー3の操作を検出することを実現できる。
【0068】
スイッチ部7が、スイッチベース40に固定され、光源57及び検出素子58が実装される基板50と、光源57からの光を外部に透過させる透過部と、を更に有する。本実施形態において、透過部には、スイッチベース40の上スリット42a及び下スリット42b及び操作レバー3の上透光窓32a及び下透光窓32bが含まれる。スイッチ部7が操作レバー3に組み付けられると、上透光窓32aが上スリット42aの上側に重ねられ、下透光窓32bが下スリット42bの下側に重ねられる。
【0069】
図1を参照して、光源57で発せられた光は、上スリット42a及び上透光窓32aを通過し、収容部2aの上部に到達する。また、下スリット42b及び下透光窓32bを通過し、収容部2aの下部に到達する。収容部2aは、幅方向他方側において正面開口の高さが相対的に大きくなっている。収容部2aに到達した光は、収容部2aを画定する壁部の内面と操作レバー3の外表面とに照らされる。収容部2aの上部及び下部には、操作レバー3の輪郭に沿った照明領域Lが形成される。照明領域L内において、光源57からの光に基づく間接照明が行われる。間接照明は、停車中あるいは夜間など、適時に行われる。利用者は夜間でも操作レバー3の位置を容易に認識でき、ドアの解放に必要な押し操作を適切に行える。光源57は、検出素子58と同一の基板50に実装されており、ドアハンドル装置1の部品点数削減に資する。
【0070】
スイッチ部7が、スイッチベース40に変位可能に連結され、操作レバー3が非操作位置から回動方向一方側に変位するときにハンドルベース2に当接してハンドルベース2に一体化されるカバー部材60を更に有する。これにより、検出素子58を保護できる。
【0071】
カバー部材60は、操作レバー3の回転軸Aと平行な揺動軸B周りに回動可能にスイッチベース40に連結される。これにより、操作レバー3の変位に追従してスイッチベース40が変位しやすくなる。
【0072】
操作レバー3が、操作レバー3の回転軸Aから見てカバー部材60よりも径方向外側へ延在する延長部31eを有する。これにより、操作性が向上し、また、延長部31eでスイッチ部7が隠され、ドアハンドル装置1の美観が向上する。
【0073】
ドアハンドル装置1が、操作レバー3を回動方向一方側へ付勢する捩りコイルバネ12(第1付勢部材)と、操作レバー3を回動方向他方側へ付勢するコイルバネ15(第2付勢部材)と、を更に備える。これにより、外力が操作レバー3に作用していないときに、2つの付勢部材の作用で操作レバー3を非操作位置に安定的に位置づけることができる。
【0074】
これまで実施形態について説明したが、上記構成は、本発明の趣旨の範囲内で適宜追加、削除、又は変更可能である。
【0075】
例えば、透光部(上透光窓32a、下透光窓32b、上スリット42a、又は下スリット42b)は、貫通穴のみに限定されない。透光部は、可視光透過性を有していればよく、貫通穴及びこれを覆う樹脂材により構成されていてもよい。
【0076】
操作レバー3が非操作位置に位置し且つスイッチベース40が初期位置に位置するときに、カバー部材60は、ハンドルベース2に当接していなくてもよい。操作レバー3の変位の過程でカバー部材60がハンドルベース2に当接し、その後の操作レバー3の変位において検出素子58がカバー部材60で押されてもよい。
【0077】
カバー部材60は省略されてもよい。この場合、検出素子58は、押し操作時にハンドルベース2によって直接的に押されてもよい。
【0078】
ドアハンドル装置1は、車外側のアウタハンドルに適用されてもよい。ドアハンドル装置1は、サイドドアに限定されず、リアゲートを開閉するバックドアに適用されてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 ドアハンドル装置
2 ハンドルベース
2a 収容部
2b 本体部
2c 指挿入部
2d オープンレバー支持部
3 操作レバー
3a スイッチ収容空間
4 ラッチ機構
4a フォーク
4b クロー
5 モータ
6 動力伝達機構
7 スイッチ部
8 コントローラ
9 手動リリース機構
9a オープンレバー
9b カムフォロワ
10 ベゼル
11 支軸
11a 頭部
12 捩りコイルバネ
12a 一端部
12b 他端部
13 ピン
14 回転規制部
15 コイルバネ
21a 上壁部
21b 下壁部
21c 背壁部
21d 第1側壁部
21e 第2側壁部
22 切り欠き
23a 上挿通穴
23b 下係合孔
24a,24b 段差
25 バネ支持部
26 突き当て部
31a レバー主壁部
31b レバー上壁部
31c レバー下壁部
31d レバー側壁部
31e 延長部
32a 上透光窓
32b 下透光窓
33a 上ボス部
33b 下ボス部
34 係止溝
35 カムブロック
35a カム面
40 スイッチベース
40a 基板収容空間
41a ベース主壁部
41b ベース上壁部
41c ベース下壁部
41d ベース側壁部
42a 上スリット
42b 下スリット
43 開口部
44 位置決めピン
45a,45b 基板保持爪
46a,46b ピン部
47a,47b ストッパ
50 基板
51 貫通穴
56 ハーネス
57 光源
58 検出素子
58a 固定部
58b 可動部
60 カバー部材
61a カバー主壁部
61b カバー上壁部
61c カバー下壁部
61d カバー側壁部
62 突起
63 バネ受部
64a,64b ピン挿入穴
65a,65b 係止穴
90 ドア
91 インナパネル
A 回転軸
B 揺動軸
L 照明領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11