(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017217
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】車両用ドアハンドル装置
(51)【国際特許分類】
E05B 85/12 20140101AFI20250129BHJP
E05B 81/76 20140101ALI20250129BHJP
【FI】
E05B85/12 A
E05B81/76
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120192
(22)【出願日】2023-07-24
(71)【出願人】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】三浦 玲貴
(72)【発明者】
【氏名】高岡 真之輔
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250PP13
2E250SS05
(57)【要約】
【課題】車両用ドアハンドル装置の組立性を向上する。
【解決手段】車両用ドアハンドル装置10は、収容部12bを有するハンドルベース12と、車幅方向外側への回動と車幅方向内側への回動とが許容されるように収容部12bに収容された操作レバー22と、操作レバー22に対して車幅方向の相対回動が許容されるように軸支されたスイッチベース23と、スイッチベース23を介してハンドルベース12と操作レバー22との間に挟まれることによって、操作レバー22の車幅方向外側への操作を検出するスイッチ26とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアの厚み方向に窪む収容部を有するハンドルベースと、
前記収容部のうち前記厚み方向に対向する底壁に近づくように非操作位置から前記厚み方向の一方側への回動と、前記非操作位置から前記厚み方向の他方側への回動とが許容されるように、前記ハンドルベースの前記収容部に収容された操作レバーと、
前記操作レバーと前記収容部の前記底壁との間に配置され、前記操作レバーに対して前記厚み方向の相対回動が許容されるように、前記操作レバーに軸支されたスイッチベースと、
前記操作レバーと前記スイッチベースの間に配置され、前記スイッチベースを介して前記ハンドルベースと前記操作レバーとの間に挟まれることによって、前記操作レバーの前記一方側への操作を検出するスイッチと
を備える、車両用ドアハンドル装置。
【請求項2】
前記スイッチベースは、前記厚み方向に窪み、前記操作レバー側が開口した凹状の配置部を有し、
前記スイッチは前記配置部内に配置されている、
請求項1に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項3】
前記操作レバーは、前記スイッチベースに対する前記一方側への前記操作レバーの相対回動を許容し、前記スイッチベースへの係止によって前記スイッチベースに対する前記他方側への前記操作レバーの相対回動を規制する係止部を有する、請求項1又は2に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項4】
前記収容部の前記底壁には、前記操作レバーを前記一方側へ操作したときに前記係止部の移動を許容する空間部が形成されている、請求項3に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項5】
前記スイッチは、前記ドアを開放不可能なラッチ状態から前記ドアを開放可能なラッチ解除にラッチ機構を切り換えるアクチュエータに接続され、
前記スイッチベースは、前記操作レバーの操作による前記他方側への回動によって、前記ラッチ機構を前記ラッチ状態から前記ラッチ解除に切り換える連結レバーを操作する操作部を有する、
請求項3に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項6】
前記ハンドルベースに対して前記スイッチベースを前記一方側に付勢する第1付勢部材と、
前記スイッチベースに対して前記操作レバーを前記他方側に付勢する第2付勢部材と
を備える、請求項1又は2に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項7】
前記スイッチと光源が配置され、前記スイッチベースに取り付けられた回路基板を備え、
前記スイッチベース又は前記操作レバーには、前記光源からの光を透過させる透光部が設けられている、
請求項1又は2に記載の車両用ドアハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された車両用ドアハンドル装置は、車内側に配置されたドアハンドルの車外側へのプッシュ操作を検出するスイッチを備える。車両に搭載されたコントローラは、スイッチによるドアハンドルのプッシュ操作の検出によって、ドアを開放不可能なラッチ状態からドアを開放可能なラッチ解除に、ラッチ機構を電動で切り換える。ドアハンドルはベゼルに形成された凹部内に回動可能に配置され、スイッチはベゼルのドアハンドルと対向する位置に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の車両用ドアハンドル装置では、ベゼルに対してドアハンドルとスイッチを個別に組み付ける必要がある。よって、特許文献1の車両用ドアハンドル装置には、組立性に関して改善の余地がある。
【0005】
本発明は、車両用ドアハンドル装置の組立性を向上することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、車両のドアの厚み方向に窪む収容部を有するハンドルベースと、前記収容部のうち前記厚み方向に対向する底壁に近づくように非操作位置から前記厚み方向の一方側への回動と、前記非操作位置から前記厚み方向の他方側への回動とが許容されるように、前記ハンドルベースの前記収容部に収容された操作レバーと、前記操作レバーと前記収容部の前記底壁との間に配置され、前記操作レバーに対して前記厚み方向の相対回動が許容されるように、前記操作レバーに軸支されたスイッチベースと、前記操作レバーと前記スイッチベースの間に配置され、前記スイッチベースを介して前記ハンドルベースと前記操作レバーとの間に挟まれることによって、前記操作レバーの前記一方側への操作を検出するスイッチとを備える、車両用ドアハンドル装置を提供する。
【0007】
スイッチベースは、操作レバーに対して厚み方向の相対回動が許容されるように操作レバーに軸支されている。また、操作レバーの一方側への操作を検出するスイッチは、操作レバーとスイッチベースの間に配置され、スイッチベースを介してハンドルベースと操作レバーとの間に挟まれる。この構成のスイッチは、スイッチベースと一緒に操作レバーに組み付けられたアセンブリ状態で、ハンドルベースに組み付けることができる。よって、車両用ドアハンドル装置の組立性を改善できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、車両用ドアハンドル装置の組立性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両用ドアハンドル装置の斜視図。
【
図2】車両用ドアハンドル装置を正面側から見た分解斜視図。
【
図3】車両用ドアハンドル装置を背面側から見た分解斜視図。
【
図5】レバーアセンブリと連結レバーを正面側から見た分解斜視図。
【
図6】レバーアセンブリと連結レバーを背面側から見た分解斜視図。
【
図8】操作レバーをプッシュ操作した状態の
図7と同様の断面図。
【
図9】操作レバーをプル操作した状態の
図7と同様の断面図。
【
図10】変形例のレバーアセンブリと連結レバーを背面側から見た分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。
【0011】
添付図面において、X方向は車両の車幅方向(ドア1の厚み方向)を示し、矢印が示す向きが車内側(他方側)で、矢印とは逆向きが車外側(一方側)である。Y方向は車両の車長方向を示し、矢印が示す向きが前側で、矢印とは逆向きが後側である。Z方向は車高方向を示し、矢印が示す向きが上側で、矢印とは逆向きが下側である。
【0012】
図1を参照すると、本発明の本実施形態に係る車両用ドアハンドル装置(以下「ドアハンドル装置」という。)10は、車両のドア1に取り付けられ、ラッチ機構5を作動させることによって閉状態のドア1を開放可能とする。
【0013】
ドアハンドル装置10が用いられるドア1は、車両側面に取り付けられたサイドドアであり、インナパネル(図示せず)、アウタパネル(図示せず)、及びインナパネルの羽幅方向内側に配置されたドアトリム2を含む複数のパネル部材により構成されている。ドアハンドル装置10は、車内側に位置するようにドア1のドアトリム2に取り付けられている。ドアハンドル装置10の大部分は、ドアトリム2の車幅方向内側に形成された凹部内に配置され、ドアハンドル装置10の一部は、インナパネルの開口部を介して車内側に露出している。
【0014】
但し、ドアハンドル装置10は、車外側に露出するようにアウタパネルに取り付けられてもよい。この場合、車幅方向内側が本発明における一方側になり、車幅方向外側が本発明における他方側になる。また、ドアハンドル装置10が用いられるドア1は、ハッチバックドアであってもよい。この場合、ドアハンドル装置10はアウタパネルに取り付けられ、車長方向前側が本発明における一方側になり、車長方向後側が本発明における他方側になる。
【0015】
図1及び
図4を参照すると、ラッチ機構5は、フォーク5aとクロー5bを備え、ラッチ状態とラッチ解除に切り換えられる。ラッチ状態では、ラッチ位置に回動したフォーク5aが車体のストライカ(図示せず)を保持するとともに、クロー5bがフォーク5aを係止し、ドア1を閉状態に保持する。ラッチ解除では、フォーク5aに対するクロー5bの係止が解除され、オープン位置に回動したフォーク5aがストライカを解放することによって、ドア1が開放可能となる。
【0016】
ラッチ機構5のラッチ解除からラッチ状態への切り換えは、開状態のドア1を閉じることによるフォーク5aへのストライカの進入(回動)によって行われる。ラッチ機構5のラッチ状態からラッチ解除への切り換えは、ドアハンドル装置10が備える操作レバー22の操作によって2通りの方法で行われる。
【0017】
第1のラッチ解除方法は、車両に搭載されたバッテリの容量が十分なときに行われる。この第1のラッチ解除方法では、車幅方向外側への操作レバー22のプッシュ操作を検出したコントローラ6がモータ7を作動させ、動力伝達機構8を介してクロー5bによるフォーク5aの係止を電動で解除する。コントローラ6は、例えば車両が備えるECU(Electronic Control Unit)によって構成される。モータ7は、ドア1を解放するアクチュエータの好適な一例である。動力伝達機構8は、レバーやギア等によって構成される。
【0018】
第2のラッチ解除方法は、バッテリの容量不足のとき等、電動でラッチ解除できないときに行われる。この第2のラッチ解除方法では、車幅方向内側への操作レバー22のプル操作によって、ドアハンドル装置10が備える連結レバー30を作動させ、ロッド9を介してクロー5bによるフォーク5aの係止を手動で解除する。ロッド9は、連結レバー30を操作する力をクロー5bに伝達する伝達部材の好適な一例である。
【0019】
以下、ドアハンドル装置10の構成を具体的に説明する。
【0020】
図2から
図4を参照すると、ドアハンドル装置10は、ベゼル11、ハンドルベース12、レバーアセンブリ20、及び連結レバー30を備える。
図4から
図6を参照すると、レバーアセンブリ20は、操作レバー22、スイッチベース23、回路基板25、及びカバー部材29を備える。
【0021】
図2から
図4を参照すると、ベゼル11は、車幅方向の両端が開口した短尺の筒状である。ベゼル11は、ドアトリム2に設けられた開口に嵌め込まれ、ドアトリム2の車内側の表面に配置される。ベゼル11には、ハンドルベース12に組み付けるための係止孔11aが設けられている。
【0022】
ハンドルベース12は、ドアトリム2の車内側の凹部内に、レバーアセンブリ20と連結レバー30を一体に取り付けるための筐体である。このハンドルベース12はネジ止めによってドアトリム2に組み付けられる。
【0023】
ハンドルベース12は、車長方向に長尺で車高方向に短尺な概ね矩形状の本体部12aから、車幅方向外側へ窪む凹状の収容部12bを有する。収容部12bは、車幅方向に延びる概ね四角筒状の外周壁12cによって画定されている。収容部12bの車幅方向後側は底壁12dによって覆われ、収容部12bの車幅方向内側は開口している。
【0024】
外周壁12cには、ベゼル11の係止孔11aの孔縁に係止する係止突起12eが設けられている。外周壁12cの車長方向後側には、車高方向に貫通するように軸孔12fが設けられている。この軸孔12fには、レバーアセンブリ20を回動可能に支持する軸部材21が貫通して配置されている。
【0025】
外周壁12cの車長方向後側には更に、連結レバー30を取り付ける取付部12gが設けられている。取付部12gには、車幅方向に貫通するように軸孔12hが設けられている。この軸孔12hには、連結レバー30を回動可能に支持する軸部材31が貫通して配置されている。取付部12g内と収容部12b内を連通させるために、外周壁12cと底壁12dには開口部12iが設けられている。
【0026】
収容部12bのうち、操作レバー22と車幅方向に対向する底壁12dには、後に詳述する係止部22eの移動を許容するための貫通部(空間部)12jが設けられている。貫通部12jは、底壁12dを車幅方向に貫通し、車高方向に延びる矩形状の孔である。但し、空間部は、底壁12dから車幅方向外側に窪む凹部であってもよく、車幅方向外側への係止部22eの移動を許容できる構成であればよい。
【0027】
収容部12bの底壁12dには、スイッチベース23を支持する支持部12kが設けられている。この支持部12kは、開口部12iと貫通部12jの間に設けられ、底壁12dから車幅方向内側へ突出している。本実施形態の支持部12kは、車幅方向内側から見て矩形状である。支持部12kの上端は、操作レバー22の上端は勿論、スイッチベース23の上端よりも低い。支持部12kの下端は、操作レバー22の下端は勿論、スイッチベース23の下端よりも高い。これにより、支持部12kは、操作レバー22に干渉することなく、スイッチベース23のみを支持可能となっている。
【0028】
ハンドルベース12には、バッテリ及びコントローラ6と回路基板25とを接続する電線28を配索するために、配索溝12m、配索突起12n、及び挿通孔12pが設けられている。配索溝12mは、底壁12dの車長方向前側に設けられており、車幅方向の外側から内側へ窪み、車高方向に延びている。配索突起12nは、外周壁12c上に設けられ、外周壁12cとの間に電線28を保持する。挿通孔12pは、外周壁12cを貫通して設けられた円弧状の溝によって構成され、レバーアセンブリ20の回動に伴う電線28の移動を許容する。
【0029】
図4から
図6を参照すると、レバーアセンブリ20は、操作レバー22、スイッチベース23、回路基板25、及びカバー部材29を備え、ハンドルベース12に回動可能に支持されている。そのうち、操作レバー22とスイッチベース23は、互いに相対移動が許容されるように1つの軸部材21にそれぞれ軸支されている。
【0030】
図1を参照すると、操作レバー22は、収容部12b内に配置され、ベゼル11の開口を介して車内側へ露出している。
図4から
図6を参照すると、操作レバー22は、車長方向に長尺で車高方向に短尺な板状のレバー本体22aを備える。レバー本体22aの車長方向の長さは、ハンドルベース12の収容部12bの車長方向の長さよりも短い。操作レバー22の先端であるレバー本体22aの車長方向の前端は、スイッチベース23よりも前側へ突出している。レバー本体22aの前端と収容部12bのうち車幅方向に対向する底壁12dとの間には、乗員が指を差し入れるための空間が確保されている。
【0031】
レバー本体22aの上下縁には、車幅方向外側へ突出する板状の枠壁22bがそれぞれ設けられている。操作レバー22の基端である一対の枠壁22bの車長方向後側には、軸部材21を貫通させる軸孔22cがそれぞれ設けられている。この操作レバー22は、ハンドルベース12に対し、軸部材21まわりを車幅方向に回動可能である。
【0032】
具体的には、操作レバー22は、
図7及び
図4に実線で示す非操作位置から
図8及び
図4に破線で示すプッシュ操作位置へ、収容部12bの底壁12dに近づくように車幅方向外側(一方側)に回動可能である。また、操作レバー22は、
図7及び
図4に実線で示す非操作位置から
図9及び
図4に一点鎖線で示すプル操作位置へ、収容部12bの底壁12dから離れるように車幅方向内側(他方側)に回動可能である。この操作レバー22は、後に詳述する捩りコイルバネ(第1付勢部材)24によって車幅方向外側に付勢され、スイッチ26が備える弾性を有するカバー(第2付勢部材)26aによって車幅方向内側に付勢されている。これにより、
図7及び
図4に実線で示す非操作位置に保持されている。
【0033】
図5から
図8を参照すると、レバー本体22aには、回路基板25が備えるスイッチ26に対応するように、車幅方向外側に突出する突片状の操作部22dが設けられている。操作部22dは、車幅方向外側への操作レバー22のプッシュ操作によって、スイッチ26を操作可能である。
【0034】
操作レバー22には、スイッチベース23の車幅方向外側の面に係止可能な帯状の係止部22eが設けられている。この係止部22eは、一対の枠壁22bの車幅方向外側の縁にそれぞれに連なり、車高方向に延びている。車長方向において係止部22eは、ハンドルベース12の貫通部12jと対応する位置に設けられ、スイッチベース23の前端部に係止可能である。但し、係止部22eの形状は、以下に説明するように、スイッチベース23に対して、非操作位置から車幅方向内側への操作レバー22の相対回動を許容し、非操作位置から車幅方向外側への操作レバー22の相対回動を規制できる構成であれば、必要に応じて変更が可能である。
【0035】
係止部22eは、
図7に示す非操作位置から
図8に示すプッシュ操作位置への操作レバー22のプッシュ操作によって、スイッチベース23から離反して貫通部12j内に入り込む。これにより、ハンドルベース12の支持部12kによって車幅方向外側が支持されたスイッチベース23に対し、車幅方向外側への操作レバー22の相対回動を許容する。一方で、係止部22eは、
図7に示す非操作位置から
図9に示すプル操作位置への操作レバー22のプル操作によって、スイッチベース23に係止する。これにより、操作レバー22とスイッチベース23の相対回動を規制し、スイッチベース23を一体に車幅方向内側へ回動させる。
【0036】
図5から
図7を参照すると、レバー本体22aには、車長方向の概ね中央に、車幅方向外側に窪んで車高方向に延びる凹部22fが設けられている。この凹部22fの車長方向後側に位置する部分には、後に詳述するLED27からの光を透過する第1透光部22gが設けられている。この第1透光部22gは、車幅方向に貫通して車高方向に延びるスリットによって構成されている。
【0037】
レバー本体22aの車幅方向外側の面には、第1透光部22gの車長方向前側に位置するように、光を反射可能なカット部22hが設けられている。下側の枠壁22bには、カット部22hの下方に位置するように第2透光部22iが設けられている。この第2透光部22iは、下側の枠壁22bを車高方向に貫通して車長方向に延びる長円状のスリットによって構成されている。
【0038】
図3及び
図4を参照すると、スイッチベース23は、操作レバー22と収容部12bの底壁12dとの間に、スイッチ26とLED27を実装した回路基板25を配置するために設けられている。このスイッチベース23は、操作レバー22の一対の枠壁22b間に配置され、操作レバー22と同じ軸部材21に回動可能に支持されている。
【0039】
図5から
図7を参照すると、スイッチベース23には、車幅方向外側へ窪む凹状の基板配置部23aが形成されている。この基板配置部23aは、車高方向に対向する一対の横壁23bと、車長方向に対向する一対の縦壁23cとによって画定されている。基板配置部23aの車幅方向外側は底壁23dによって覆われ、操作レバー22と対向する基板配置部23aの車幅方向内側は開口している。収容部12bの底壁12dに対して車幅方向に対向する底壁23dには、電線28を通すための開口23eが設けられている。
【0040】
スイッチベース23の高さ、つまり上側の横壁23bの上面と下側の横壁23bの下面との間の寸法は、操作レバー22の一対の枠壁22b間の隙間、つまり上側の枠壁22bの下面と下側の枠壁22bの上面との間の寸法よりも小さい。スイッチベース23の横壁23bと操作レバー22の枠壁22bとの間には、互いの相対移動が許容される範囲で可能な限り小さい隙間が確保されている。
【0041】
一対の横壁23bは、車長方向後側の縦壁23cよりも後側に突出している。スイッチベース23の基端である一対の横壁23bの車長方向後側には、軸部材21を貫通させる軸孔23fがそれぞれ設けられている。スイッチベース23は、操作レバー22のレバー本体22aと収容部12bの底壁12dとの間に位置するように、収容部12b内に配置され、操作レバー22と同じ軸部材21に回動可能に支持されている。これにより、スイッチベース23は、操作レバー22に対して軸部材21まわりを車幅方向へ相対的に回動可能となっている。
【0042】
スイッチベース23のうち軸孔23fの車長方向前側には、一対の横壁23bに連なる補強壁23gが設けられている。スイッチベース23の車長方向後端である一対の横壁23bの後端には、それぞれに連なるように端壁23hが設けられている。一対の横壁23bの車幅方向内側の縁のうち、補強壁23gと端壁23hの間は内壁23iによって塞がれている。
【0043】
スイッチベース23には更に、連結レバー30を操作するための操作部23jが設けられている。この操作部23jは、端壁23hから車長方向後側に突出して設けられている。操作部23jは、車幅方向の内側から外側へ向かうに従って下側へ傾斜した操作面23kを備える。操作面23kの下側には、後に詳述する捩りコイルバネ24の一端を係止する係止溝23mが設けられている。
【0044】
スイッチベース23の車長方向の前端である前側の縦壁23cには、LED27の光を透過する第3透光部23nが設けられている。この第3透光部23nは、車長方向に貫通し、車幅方向の内側から外側へ延びる矩形状の切り欠きによって構成されている。この第3透光部23nは、スイッチベース23を製造するとき、型抜き用の孔として用いることができる。
【0045】
図3及び
図7を参照すると、スイッチベース23は、操作レバー22の枠壁22b間に配置された状態でハンドルベース12に組み付けられる。このとき、スイッチベース23の補強壁23gと端壁23hの間には捩りコイルバネ24が配置される。この状態で、ハンドルベース12の軸孔12f、操作レバー22の軸孔22c、スイッチベース23の軸孔23f、及び捩りコイルバネ24を貫通するように、軸部材21が差し込まれる。これにより、スイッチベース23と操作レバー22が、ハンドルベース12に対して回動可能に支持される。
【0046】
捩りコイルバネ24の一端は、スイッチベース23の係止溝23mに係止され、捩りコイルバネ24の他端は、ハンドルベース12の開口部12iの縁に係止される。これにより、スイッチベース23は、捩りコイルバネ24によって車幅方向外側へ付勢され、ハンドルベース12の支持部12kに当接した状態になる。また、スイッチベース23の底壁23dに係止部22eが係止した操作レバー22は、ハンドルベース12に対し、スイッチベース23を介して車幅方向外側へ付勢される。
【0047】
図3及び
図4を参照すると、連結レバー30は、操作レバー22の操作によって、ラッチ機構5をラッチ状態からラッチ解除に手動で切り換えるために設けられている。この連結レバー30は、ハンドルベース12の取付部12gに取り付けられ、軸部材31によって回動可能に支持されている。連結レバー30は、スイッチベース23の操作部23jに隣接しており、操作面23kによって摺接される操作受部30aを備える。また、連結レバー30は、ラッチ機構5のクロー5bに機械的に接続されたロッド9に接続される接続部30bを備える。
【0048】
操作レバー22の先端側が車幅方向内側へプル操作されると、係止部22eの係止によってスイッチベース23が一体に車幅方向内側へ回動する。このとき、操作部23jは、車長方向において軸部材21に対して操作する先端側とは反対の基端側に位置するため、車幅方向外側へ回動する。これにより、操作面23kが操作受部30aを押し上げることによって、連結レバー30が
図3において反時計回りに回動する。その結果、接続部30bに接続されたロッド9が引っ張られ、クロー5bによるフォーク5aの係止が解除される(ラッチ解除)。
【0049】
回路基板25には、車幅方向内側の面にスイッチ26とLED(光源)27が実装されている。この回路基板25は、スイッチ26及びLED27と一緒にスイッチベース23の基板配置部23a内に配置される。
【0050】
図7を参照すると、スイッチ26は、ハンドルベース12の支持部12kに支持されたスイッチベース23の底壁23dと、操作レバー22の操作部22dとの間に配置され、
図4に示すコントローラ6に接続されている。このスイッチ26は、操作レバー22の操作部22dによって押される受部を備え、この受部が弾性を有するカバー26aによって覆われている。
【0051】
カバー26aは、弾性的な復元力によって操作レバー22を車幅方向外側に付勢する第2付勢部材として機能する。つまり、操作レバー22は、捩りコイルバネ(第1付勢部材)24によってスイッチベース23を介して車幅方向外側に付勢され、カバー26aによって車幅方向内側に付勢されている。操作レバー22の車幅方向内側への回動は、スイッチベース23への係止部22eの係止によって止まる。これにより、操作レバー22は、
図7に示す非操作位置に保持される。但し、第2付勢部材は、回路基板25と操作レバー22のレバー本体22aとの間に配置したコイルバネであってもよく、操作レバー22を車幅方向内側に付勢できる構成であればよい。
【0052】
スイッチ26は、
図8に示すオン状態で信号を出力し、
図7及び
図9に示すオフ状態で信号の出力を遮断するプッシュスイッチである。車幅方向外側への操作レバー22のプッシュ操作によって、スイッチ26は、スイッチベース23を介してハンドルベース12と操作レバー22との間に挟まれ、カバー26aが押されて弾性的に変形して
図8に示すオン状態になる。乗員が操作レバー22から手を離すと、カバー26aが弾性的に復元することによって、操作レバー22が押されてスイッチベース23に対して車幅方向外側に回動し、スイッチ26は
図7に示すオフ状態になる。
図4に示すコントローラ6は、スイッチ26からの信号入力によって、操作レバー22がプッシュ操作されたと判断し、モータ7を作動させてラッチ機構5をラッチ解除する。言い換えれば、コントローラ6は、スイッチ26から信号が入力されない限り、モータ7を作動させない。
【0053】
LED27は、スイッチ26の車長方向後側に間隔をあけて配置されている。LED27が発した光は、操作レバー22のレバー本体22aを照明する。そして、操作レバー22の第1透光部22gを間接照明するとともに、操作レバー22の第2透光部22iとスイッチベース23の第3透光部23nを透してハンドルベース12の収容部12b内を間接照明する。これらの間接照明は、停車中又は夜間などに適時行われる。
【0054】
図5から
図7を参照すると、カバー部材29は、スイッチベース23の基板配置部23aに嵌込可能な形状であり、底壁23dとの間に回路基板25を挟み込むために設けられている。カバー部材29は、光を反射可能な白色の樹脂によって形成されている。カバー部材29には、スイッチ26とLED27を露出させるための開口部29aがそれぞれ設けられている。また、操作レバー22の第1透光部22gの車長方向後側に位置するように、LED27の光を第1透光部22gに向けて反射させる反射部29bが設けられている。また、カバー部材29には、スイッチベース23の第3透光部23nに対応する第4透光部29cが設けられている。この第4透光部29cは、車長方向に貫通し、車幅方向の内側から外側へ延びる矩形状の切り欠きによって構成されている。
【0055】
次に、ドアハンドル装置10の組み付け方法の一例を説明する。但し、ドアハンドル装置10の組み付けは以下の手順に限られない。
【0056】
まず、スイッチベース23の基板配置部23a内に、回路基板25を配置した後、カバー部材29を嵌め込む。これにより、基板配置部23aの底壁23dとカバー部材29の間に回路基板25が位置決めされる。続いて、操作レバー22のレバー本体22aと係止部22eの間に位置するように、一対の枠壁22b間にスイッチベース23を差し込む。これにより、捩りコイルバネ24を除くレバーアセンブリ20の組み付けが完了する。
【0057】
次に、捩りコイルバネ24を除くレバーアセンブリ20を、ハンドルベース12の収容部12b内に差し込む。続いて、スイッチベース23の一対の軸孔23f間に位置するように、横壁23b間に捩りコイルバネ24を配置する。この状態で、ハンドルベース12の軸孔12f、操作レバー22の軸孔22c、スイッチベース23の軸孔23f、及び捩りコイルバネ24を貫通するように、軸部材21を差し込む。続いて、ハンドルベース12の取付部12gに連結レバー30を配置し、軸部材31を差し込んで加締める。これにより、ハンドルベース12へのレバーアセンブリ20の組み付けが完了する。
【0058】
次に、レバーアセンブリ20を組み付けたハンドルベース12を、
図1に示すドアトリム2の車幅方向内側の凹部内に配置し、ネジ止めによって固定する。最後に、
図1に示すドアトリム2に対して車幅方向内側からベゼル11を嵌め込み、ハンドルベース12に組み付ける。これにより、
図1に示すドアハンドル装置10の組み立て及び組み付けが完了する。
【0059】
図4、
図7、及び
図8に示すように、非操作位置の操作レバー22を車幅方向外側へプッシュ操作すると、スイッチベース23に対して操作レバー22が相対回動し、操作部22dがスイッチ26を操作する。これにより、スイッチ26からの信号入力によってコントローラ6は、モータ7を作動させ、動力伝達機構8を介してクロー5bを作動させる。その結果、クロー5bによるフォーク5aの係止が解除され、ラッチ機構5がラッチ状態からラッチ解除に切り換わる。
【0060】
図4、
図7、及び
図9に示すように、非操作位置の操作レバー22を車幅方向内側へプル操作すると、係止部22eの係止によってスイッチベース23が操作レバー22と一緒に車幅方向内側へ回動する。これにより、スイッチベース23の操作部23jが連結レバー30を回動させることによって、ロッド9を介してクロー5bを作動される。その結果、クロー5bによるフォーク5aの係止が解除され、ラッチ機構5がラッチ状態からラッチ解除に切り換わる。
【0061】
このように構成されたドアハンドル装置10は、以下の特徴を有する。
【0062】
スイッチベース23は、操作レバー22に対して車幅方向の相対回動が許容されるように記操作レバー22に軸支されている。また、操作レバー22の車幅方向外側への操作を検出するスイッチ26は、操作レバー22とスイッチベース23の間に配置され、スイッチベース23を介してハンドルベース12と操作レバー22との間に挟まれる。この構成のスイッチ26は、スイッチベース23と一緒に操作レバー22に組み付けられたアセンブリ状態で、ハンドルベース12に組み付けることができる。よって、車両用ドアハンドル装置10の組立性を改善できる。
【0063】
スイッチ26は、操作レバー22側が開口したスイッチベース23の配置部23a内に配置されている。このように構成された配置部23aの開口は、操作レバー22によって塞がれる。よって、埃などからスイッチ26を保護できるため、操作の検出に関する信頼性を向上できる。また、配置部23aの開口を塞ぐ専用部品が不要になるため、車両用ドアハンドル装置10の製造コストを低減できる。
【0064】
操作レバー22は、スイッチベース23に対する車幅方向外側への相対回動を許容し、スイッチベース23に対する車幅方向内側への相対回動を規制する係止部22eを有する。これにより、操作レバー22を車幅方向内側に回動させると、スイッチベース23が操作レバー22と一体に回動する。よって、操作レバー22を車幅方向内側に回動させたとき、収容部12b内に位置するスイッチベース23が車内からは見え難くなるため、車両用ドアハンドル装置10のデザイン性を向上できる。
【0065】
収容部12bの底壁12dには、操作レバー22を車幅方向外側へ操作したときに係止部22eの移動を許容する貫通部12jが形成されている。これにより、操作レバー22を車幅方向外側に操作すると、係止部22eが貫通部12j内に入り込む。その結果、スイッチベース23を介してハンドルベース12と操作レバー22との間にスイッチ26が挟み込まれるため、操作レバー22の操作を確実に検出できる。
【0066】
操作レバー22は乗員によって目視される意匠部材であるため、成形材料が制限されて強度不足になり得る。これに対し、本実施形態では、成形材料に制限がないスイッチベース23に、ラッチ機構5をラッチ状態からラッチ解除に切り換える連結レバー30の操作部23jが設けられている。これにより、操作部23jの強度を確保できるため、バッテリの容量不足等によってラッチ機構5を電動でラッチ解除できないとき、車幅方向内側への操作レバー22の操作によってラッチ機構5を手動で確実にラッチ解除できる。
【0067】
ハンドルベース12に対してスイッチベース23を車幅方向外側に付勢する捩りコイルバネ24と、スイッチベース23に対して操作レバー22を車幅方向内側に付勢するカバー26aとを備える。これにより、操作レバー22の非操作状態で、操作レバー22をガタつきなく、確実に非操作位置に保持できる。
【0068】
スイッチベース23に取り付けられた回路基板25にスイッチ26とLED27が配置され、スイッチベース23又は操作レバー22にLED27からの光を外部に透過する透光部22g,22i,23nが設けられている。これにより、スイッチ26とLED27で回路基板25を共用できるため、部品点数を削減でき、車両用ドアハンドル装置10の組立性を向上できる。
【0069】
なお、本発明は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0070】
例えば、連結レバー30を操作可能な強度を確保できるのであれば、
図10に示すように、操作レバー22に操作部22kが設けられてもよい。つまり、一対の枠壁22bの車長方向後側の端部を覆う端壁22jを設け、この端壁22jから突出するように、操作面22mを含む操作部22kが設けられてもよい。また、操作面22mの下側に位置するように、捩りコイルバネ24の一端を係止する係止溝22nを設け、操作レバー22を車幅方向外側へ直接付勢してもよい。
【0071】
スイッチベース23は、操作レバー22を支持する軸部材21とは異なる専用の軸部材によって、操作レバー22に対して相対回動可能に軸支されてもよい。
【0072】
ドアハンドル装置10の方向と車両の方向との対応関係は、ドアハンドル装置10の車両に対する姿勢などに応じて必要に応じて変更可能である。
【0073】
透光部22g,22i,23nは、貫通したスリット及び切り欠きに限られず、透光性を有する樹脂によって構成されてもよく、光を透過可能な構成であればよい。
【0074】
操作レバー22が非操作位置にあるとき、スイッチベース23はハンドルベース12に当接していなくてもよい。つまり、車幅方向外側への操作レバー22の変位の過程で、スイッチベース23がハンドルベース12に当接し、その後の操作レバー22の変位においてスイッチ26が挟み込まれてオン状態となってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 ドア
2 インナパネル
5 ラッチ機構
5a フォーク
5b クロー
6 コントローラ
7 モータ(アクチュエータ)
8 動力伝達機構
9 ロッド
10 ドアハンドル装置
11 ベゼル
11a 係止孔
12 ハンドルベース
12a 本体部
12b 収容部
12c 外周壁
12d 底壁
12e 係止突起
12f 軸孔
12g 取付部
12h 軸孔
12i 開口部
12j 貫通部(空間部)
12k 支持部
12m 配索溝
12n 配索突起
12p 挿通孔
20 レバーアセンブリ
21 軸部材
22 操作レバー
22a レバー本体
22b 枠壁
22c 軸孔
22d 操作部
22e 係止部
22f 凹部
22g 第1透光部
22h カット部
22i 第2透光部
22j 端壁
22k 操作部
22m 操作面
22n 係止溝
23 スイッチベース
23a 基板配置部
23b 横壁
23c 縦壁
23d 底壁
23e 開口
23f 軸孔
23g 補強壁
23h 端壁
23i 内壁
23j 操作部
23k 操作面
23m 係止溝
23n 第3透光部
24 捩りコイルバネ(第1付勢部材)
25 回路基板
26 スイッチ
26a カバー(第2付勢部材)
27 LED
28 電線
29 カバー部材
29a 開口部
29b 反射部
29c 第4透光部
30 連結レバー
30a 操作受部
30b 接続部
31 軸部材