IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 合肥晶合集成電路有限公司の特許一覧

特開2025-17247半導体装置及び半導体装置の設計支援装置
<>
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の設計支援装置 図1
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の設計支援装置 図2
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の設計支援装置 図3
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の設計支援装置 図4
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の設計支援装置 図5
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の設計支援装置 図6
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の設計支援装置 図7
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の設計支援装置 図8
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の設計支援装置 図9
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の設計支援装置 図10
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の設計支援装置 図11
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の設計支援装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017247
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の設計支援装置
(51)【国際特許分類】
   H10D 1/68 20250101AFI20250129BHJP
   H10D 89/10 20250101ALI20250129BHJP
   G06F 30/398 20200101ALI20250129BHJP
   G06F 30/392 20200101ALI20250129BHJP
   G06F 111/12 20200101ALN20250129BHJP
【FI】
H01L27/04 C
H01L21/82 C
H01L21/82 W
G06F30/398
G06F30/392
G06F111:12
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120267
(22)【出願日】2023-07-24
(71)【出願人】
【識別番号】519009105
【氏名又は名称】合肥晶合集成電路股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 裕弘
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真浩
【テーマコード(参考)】
5B146
5F038
5F064
【Fターム(参考)】
5B146AA22
5B146DL02
5B146GC12
5B146GE02
5B146GE03
5B146GL01
5F038AC04
5F038AC05
5F038AC06
5F038AC07
5F038BH10
5F038BH19
5F038CA09
5F038CA16
5F038CA17
5F038CD10
5F038CD13
5F064CC23
5F064EE26
5F064EE43
5F064EE45
5F064HH06
(57)【要約】
【課題】MOM容量を備える半導体回路において、回路の小型化を図るとともに、回路設計の自由度を高めることのできる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置1は、第1電極3と第2電極4が交互に配置されて形成されたMOM(Metal oxide Metal)容量2と、第1電極と第2電極が交互に配置された第1方向に直交する第2方向において、MOM容量を挟むように両側に設けられた第1シールド部5及び第2シールド部6とを備え、第1シールド部と第2シールド部が、両側の間の領域において電気的に絶縁されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と第2電極が交互に配置されて形成されたMOM(Metal oxide Metal)容量と、
前記第1電極と前記第2電極が交互に配置された第1方向に直交する第2方向において、前記MOM容量を挟むように両側に設けられた第1シールド部及び第2シールド部と
を備え、
前記第1シールド部と前記第2シールド部が、前記両側の間の領域において電気的に絶縁されている半導体装置。
【請求項2】
前記第1シールド部及び前記第2シールド部のそれぞれは、電位が異なるグランド端子に接続されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
第1電極と第2電極が交互に配置されて形成されたMOM(Metal oxide Metal)容量を挟むように両側に設けられた第1シールド部及び第2シールド部を備える半導体装置の設計支援装置であって、
前記第1電極、前記第2電極、前記第1シールド部、及び前記第2シールド部の接続状態を表す4端子接続シンボルを含み、半導体装置を構成する複数の素子の接続状態を示す複数のシンボルが格納されたシンボル記憶手段と、
前記シンボル記憶手段に格納されたシンボルを用いて、半導体装置の回路図を設計するための回路図設計支援手段と
を備える半導体装置の設計支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置及び半導体装置の設計支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の電極が対向した電極群からなるMOM(Metal oxide Metal)容量と、MOM容量を挟んで対向して設けられた1対のシールド部を備える半導体装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような半導体装置によれば、各シールド部はグランド(接地電位)に接続されており、MOM容量がシールド部に囲まれることにより、MOM容量が周辺の信号ラインから受けるノイズを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-2247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の半導体装置においては、例えば、図12に例示するように、一対のシールド部がMOM容量を囲うように、MOM容量の両端において金属接合されている。このため、回路が大型化するという問題があった。
【0005】
また、従来、MOM容量を挟んで対向して設けられた一対のシールド部は、同電位であることが技術常識であったところ、これを設計する設計ツールでは、1対のシールド部を1つの端子として表すことが一般的であった。このため、MOM容量及び1対のシールド部で構成される回路の接続シンボルは、図8に例示するように、2端子又は3端子のシンボルしか存在していなかった。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、MOM容量を備える半導体回路において、回路の小型化を図るとともに、回路設計の自由度を高めることのできる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のいくつかの態様に係る半導体装置は、第1電極と第2電極が交互に配置されて形成されたMOM(Metal oxide Metal)容量と、前記第1電極と前記第2電極が交互に配置された第1方向に直交する第2方向において、前記MOM容量を挟むように両側に設けられた第1シールド部及び第2シールド部とを備え、前記第1シールド部と前記第2シールド部が、前記両側の間の領域において電気的に絶縁されている。
【0008】
本開示のいくつかの態様に係る半導体装置の設計支援装置は、第1電極と第2電極が交互に配置されて形成されたMOM(Metal oxide Metal)容量を挟むように両側に設けられた第1シールド部及び第2シールド部を備える半導体装置の設計支援装置であって、前記第1電極、前記第2電極、前記第1シールド部、及び前記第2シールド部の接続状態を表す4端子接続シンボルを含み、半導体装置を構成する複数の素子の接続状態を示す複数のシンボルが格納されたシンボル記憶手段と、前記シンボル記憶手段に格納されたシンボルを用いて、半導体装置の回路図を設計するための回路図設計支援手段とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、MOM容量を備える半導体回路において、回路の小型化を図るとともに、回路設計の自由度を高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態に係る半導体装置を備える電子デバイス回路の概略図である。
図2】本開示の実施形態に係るMOM容量を備える4端子の半導体装置の断面図である。
図3】本開示の実施形態に係るMOM容量を備える4端子の半導体装置の平面図である。
図4】本開示の実施形態に係る半導体装置の第1シールド部及び第2シールド部と各グランド端子との接続関係を表した模式図である。
図5】本開示の実施形態に係る設計支援装置のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。
図6】本開示の実施形態に係る設計支援装置が有する機能の一例を示した機能ブロック図である。
図7】MOM容量において、第1シールド部及び第2シールド部が金属接合されてグランド端子に接続されている場合の寄生容量について示した図である。
図8】MOM容量において、第1シールド部及び第2シールド部が金属接合されてグランド端子に接続されている場合の接続シンボルの一例を示した図である。
図9】MOM容量において、第1シールド部及び第2シールド部が互いに異なるグランド端子に接続されている場合の寄生容量について示した図である。
図10】MOM容量において、第1シールド部及び第2シールド部が互いに異なるグランド端子に接続されている場合の接続シンボルの一例を示した図である。
図11】本開示の実施形態に係るLVS検証の概要を説明するフローチャート図である。
図12】MOM容量を備える従来の3端子の半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示に係る半導体装置及びその設計支援装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、半導体装置を備える電子デバイス回路の概略図である。電子デバイス回路8は、それぞれ異なる供給電圧V1,V2の各端子と、それぞれ異なる接地電位を有するグランド端子GND1,GND2と、半導体装置1を備える。
電子デバイス回路8は、例えば、ダイオード、トランジスタ、抵抗、コンデンサなどの単機能(ディスクリート)半導体を集めて1つのチップに載せたデバイスである。また、本実施形態において、電子デバイス回路8が備える半導体装置1は、MOM容量である。
【0013】
図2は、本実施形態に係るMOM容量を備える4端子の半導体装置の断面図である。本実施形態において、図2に示すように、A電極(第1電極)3とB電極(第2電極)4が交互に配列される方向を第1方向とする。また、図2に示すように、第1方向に直交する方向を第2方向とする。また、第1方向及び第2方向のそれぞれに直交する奥行き方向については、図2に示すような断面が所定範囲に亘って連続して形成されているものとし、その説明を省略する。
また、図3は、図2に示した半導体装置の平面図である。
【0014】
図2図3に示すように、本実施形態に係る半導体装置1は、A電極3と、A電極3と交互に配置されるB電極4と、半導体装置1の積層方向(第2方向)においてA電極3及びB電極4の上部に位置する第1シールド部5と、半導体装置1の積層方向(第2方向)においてA電極3及びB電極4の下部に位置する第2シールド部6とを備える。また、MOM容量2は、A電極3、B電極4により構成される。また、A電極3は1つ以上のメインライン31を有し、B電極4は、A電極と同様に1つ以上のメインライン41を有する。
【0015】
MOM容量2は、配線間のカップリング容量を利用した容量素子である。具体的には、MOM容量2は、A電極3と、B電極4と、A電極3が有する1つ以上のメインライン31と、B電極4が有する1つ以上のメインライン41とによって構成される。
具体的には、1つ以上のメインライン31、41は、所定の第1方向(例えば、図2の紙面横方向)に交互に配置される。1つ以上のメインライン31,41は、A電極3とB電極4間を結ぶ線分l-l’(図3の紙面の縦方向)に沿って互いに近傍に配線されている。このような構成により、メインライン31,41間には、カップリング容量(寄生容量)が発生する。
【0016】
第1シールド部5は、後述の第2シールド部6と合わせてMOM容量2を挟むように、第1方向に直交する第2方向(例えば、図2の紙面縦方向)において、MOM容量2の一方に設けられる。第1シールド部5は、MOM容量2を覆うように設けられ、MOM容量2の近傍に配線される信号ライン(不図示)とMOM容量2との間に発生するカップリング容量を抑制する。それにより、MOM容量2が信号ラインから受けるノイズが抑制される。また、第1シールド部5は、例えば、第1シールド部5よりも上方の層に配線された信号ラインとMOM容量2との間に発生するカップリング容量を抑制することができる。このように、MOM容量2が信号ラインから受けるノイズを抑制することができる。
【0017】
同様に、第2シールド部6は、MOM容量2を挟むように、第1方向に直交する第2方向において、第1シールド部5の反対側に設けられる。第2シールド部6は、MOM容量2を覆うように設けられ、MOM容量2の近傍に配線される信号ラインとMOM容量2との間に発生するカップリング容量を抑制している。それにより、MOM容量2が信号ラインから受けるノイズが抑制される。また、第2シールド部6は、例えば、第2シールド部6よりも下方の層に配線された信号ラインとMOM容量2との間に発生するカップリング容量を抑制することができる。このように、MOM容量2が信号ラインから受けるノイズを抑制することができる。
【0018】
ここで、図12は、MOM容量を備える従来の3端子の半導体装置の断面図である。図12において、半導体装置1’は、MOM容量2’の左右の配線スペースS’において、第1シールド部5’と第2シールド部6’が半導体装置1’の積層方向(第2方向)において金属接合されている。換言すると、第1シールド部5’と第2シールド部6’とは同電位とされており、電気的に1つの構成としてみなすことができる。これにより、半導体装置1’は、A電極3’と、B電極4’と、第1シールド部5’及び第2シールド部6’の3端子の半導体装置である。
【0019】
図2の説明に戻り、本実施形態における半導体装置1は、図12に示す3端子の半導体装置1’と比較して、MOM容量2の左右の配線スペースSにおいて、第1シールド部5と第2シールド部6が、第2方向において金属接合されていないため、半導体装置1における配線の接続数及び配線スペースSを削減することができる。すなわち、半導体装置1を小型化することができる。
【0020】
また、上述の通り、4端子の半導体装置1において、第1シールド部5及び第2シールド部6はそれぞれ別の端子を有することができる。図4は、本実施形態に係る半導体装置の第1シールド部及び第2シールド部と各グランド端子との接続関係を表した模式図である。図4(a),(b)の例では、第1シールド部5及び第2シールド部6のそれぞれは異なるグランド端子に接続されている。
【0021】
例えば、図4(a)では、第1シールド部5は所定の電位を有するグランド端子GND1と接続され、第2シールド部6はグランド端子GND1と異なる電位を有するグランド端子GND2と接続される。また、図4(b)では、第1シールド部5とグランド端子GND2が接続され、第2シールド部6とグランド端子GND1が接続される。このように、本実施形態における4端子の半導体装置1は、第1シールド部5及び第2シールド部6が、半導体装置1の積層方向(第2方向)において互いに金属接合されていない。これにより、回路の配線を考慮してそれぞれ異なるグランド端子と接続することができ、半導体装置1の配線に関する設計の自由度を向上することができる。
【0022】
図5は、本開示の実施形態に係る設計支援装置のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。設計支援装置10(半導体装置の設計支援装置)は、図5に示すように、コンピュータ(計算機システム)を有し、例えば、CPU11、CPU11が実行するプログラム及びこのプログラムにより参照されるデータ等を記憶するための補助記憶装置12、各プログラム実行時のワーク領域として機能する主記憶装置13、ネットワークに接続するための通信インターフェース14、キーボードやマウス等からなる入力部15、及びデータを表示する液晶表示装置等からなる表示部16等を備えている。これら各部は、例えば、バス18を介して接続されている。補助記憶装置12は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が一例として挙げられる。
【0023】
後述する各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラム(例えば、設計支援プログラム)の形式で補助記憶装置12に記憶されており、このプログラムをCPU11が主記憶装置13に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、補助記憶装置12に予めインストールされている形態や、他のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0024】
図6は、本開示の実施形態に係る設計支援装置が有する機能の一例を示した機能ブロック図である。図6に示すように、設計支援装置10は、記憶部(シンボル記憶手段)101、回路図設計支援部102a、レイアウト図設計支援部102b、及び検証部103を備えている。
【0025】
記憶部101には、半導体装置1の設計図面、例えば、回路図を作成する際に使用する素子のシンボルデータsym及び物性値が格納されている。格納されている素子のシンボルは、例えば、抵抗素子、容量素子、及びトランジスタ等の半導体素子に対応するシンボルである。また、記憶部101に格納されている素子は、例えば、電源素子、制御用IC等のように、本開示に係る半導体装置1に使用されない各種素子のシンボルを含んでいてもよい。また、記憶部101には、本実施形態の半導体装置1に対応する、A電極、B電極、第1シールド部、及び第2シールド部の接続状態を表す4端子接続シンボルを含み、電子デバイス回路を設計するために必要とされる複数の素子の接続状態を示す複数のシンボルが格納されている。
【0026】
例えば、図7は、MOM容量において、第1シールド部及び第2シールド部が金属接合されてグランド端子に接続されている場合の寄生容量について示した図である。また、図8は、MOM容量において、第1シールド部及び第2シールド部が金属接合されてグランド端子に接続されている場合の接続シンボルの一例を示した図である。このように、第1シールド部及び第2シールド部が同電位である場合、その接続シンボルは、図8に示すように、A電極の端子と、B電極の端子と、1つのグランド端子とからなる3端子の接続シンボル(以下「3端子接続シンボル」という。)として表現される。
【0027】
また、例えば、図9は、MOM容量において、第1シールド部及び第2シールド部が互いに異なるグランド端子に接続されている場合の寄生容量について示した図である。また、図10は、MOM容量において、第1シールド部及び第2シールド部が互いに異なるグランド端子に接続されている場合の接続シンボルの一例を示した図である。このように、第1シールド部及び第2シールド部が、それぞれ異なる電位である場合、その接続シンボルは、図10に示すように、A電極の端子と、B電極の端子と、2つのグランド端子GND1,GND2からなる4端子の接続シンボル(以下「4端子接続シンボル」という。)として表現される。
なお、4端子接続シンボルにおいて、2つのグランド端子GND1、GND2が共有のグランド端子である旨を表記することにより、3端子接続シンボルとして使用することもできる。
【0028】
そして、図6に示した記憶部101には、シンボルデータsymとして、上述した3端子接続シンボル、4端子接続シンボルがMOM容量及びその両側に設けられた第1シールド部及び第2シールド部の接続状態を示すシンボルとして格納されている。
【0029】
また、記憶部101には、後述の設計者の操作により作成される回路図及びレイアウト図における各素子間の配線の接続情報が格納される。例えば、記憶部101には、回路図における各素子間の接続情報(ネットリスト)を含む回路図データSDと、レイアウト図における各素子間の接続情報(ネットリスト)を含むレイアウトデータLDが格納される。
【0030】
回路図設計支援部(回路図設計支援手段)102aは、半導体装置の回路設計を支援する。回路図設計支援部102aは、入力部を介して設計者の入力操作を受付けるとともに、記憶部101と双方向通信可能に接続されている。設計者は、回路図設計支援部102aを用いることにより、記憶部101に格納されるシンボルデータsymを用いて設計対象である電子デバイス回路の回路図を作成する。また、回路図設計支援部102aを用いて作成された回路図データSDは記憶部101に格納される。なお、上述したように、4端子接続シンボルを有する点は新規であるが、その他の半導体装置の回路設計支援技術は公知の技術であり、本実施形態に係る回路図設計支援部102aにおいては、それら公知の技術を適宜採用すればよい。
【0031】
レイアウト図設計支援部102bは、半導体装置のレイアウト図の設計を支援する。レイアウト図設計支援部102bは、入力部を介して設計者の入力操作を受付けるとともに、記憶部101と双方向通信可能に接続されている。設計者は、レイアウト図設計支援部102bを用いることにより、記憶部101に格納されるシンボルデータsymを用いて設計対象である電子デバイス回路のレイアウト図を作成する。また、レイアウト図設計支援部102bを用いて作成されたレイアウトデータLDは記憶部101に格納される。なお、半導体装置のレイアウト図の設計支援技術は公知の技術であり、それら公知の技術を適宜採用すればよい。
【0032】
検証部103は、半導体装置のレイアウト図及び回路図に表された素子間の接続情報が整合していることを検証する。具体的には、検証部103は、記憶部101に格納されている回路図データSD及びレイアウトデータLDに基づいて、回路図データSDの各素子間の接続情報(ネットリスト)とレイアウトデータLDの各素子間の接続情報(ネットリスト)を比較し、各接続情報が整合しているかを検証する。また、検証部103は、例えば、後述のLVS検証を行うために、ネットリスト抽出部103a及び比較部103bを備える。
【0033】
ネットリスト抽出部103aは、記憶部101に記憶される電子デバイス回路の回路図データSD、及び、電子デバイス回路のレイアウトデータLDを入力として、それぞれネットリストを抽出する。
【0034】
比較部103bは、電子デバイス回路について、回路図データSDから抽出されたネットリストと、レイアウトデータLDから抽出されたネットリストとを比較し、等価であるか否かを判定する。
【0035】
検証部103は、比較部103bの比較結果を表示部に表示することにより、回路図及びレイアウト図の接続情報に関して整合がとれているか、すなわち等価であるか否かを評価し、その評価結果を設計者に通知する。
【0036】
図11は、本開示の実施形態に係るLVS検証の概要を説明するフローチャート図である。LVS検証では、論理・回路設計段階で作られた素子や素子間の接続情報が、レイアウト設計で適切に実現されているかを検証する。図11の例において、具体的に、LVS検証では、回路図データSDから抽出されたネットリストと、電子デバイス回路8のレイアウトデータ(レイアウト図面)LDから抽出されたネットリストとを比較し、等価であるか否かを検証する。
【0037】
まず、検証部103が備えるネットリスト抽出部103aは、回路図データSDから得られた素子間の接続情報が含まれるネットリストを抽出する(工程S11)。また、検証部103が備えるネットリスト抽出部103aは、レイアウトデータLDから、レイアウトデータLDにおける素子間の接続情報を復元することによって、ネットリストを抽出する(工程S12)。
【0038】
続いて、検証部103は、LVS検証を行う。具体的には、検証部103が備える比較部103bは、回路図データSDから抽出したネットリストと、レイアウトデータLDから抽出したネットリストとを比較する(工程S13)。この結果、回路図データSDから抽出したネットリストと、レイアウトデータLDから抽出したネットリストとが整合する場合(工程S14の「YES」)、正常判定を行う(工程S15)。一方、回路図データSDから抽出したネットリストと、レイアウトデータLDから抽出したネットリストとが整合しない場合(工程S14の「NO」)、検証部103はエラー判定を行う(工程S16)。
【0039】
以上説明してきたように、本実施形態に係る半導体装置及び半導体装置の設計支援装置によれば、以下の作用効果を奏する。
例えば、本実施形態に係る半導体装置の設計支援装置によれば、MOM容量を備える半導体装置において、第1シールド部と第2シールド部とが異なるグランド端子に接続されることを表す4端子接続シンボルを有している。これにより、第1シールド部と第2シールド部とが異なるグランド端子に接続されている半導体装置の設計を行うことが可能となる。すなわち、従来のMOM容量の設計においては、第1シールド部と第2シールド部とが直接的に接続されることが前提とされており、第1シールド部と第2シールド部とを異なるグランド端子に接続するという発想は全く存在していなかった。また、仮に、第1シールド部と第2シールドと部を異なるグランド端子に接続したいと設計者が考えたとしても、そのような回路を表現する接続シンボルが存在しなかったため、設計を行うことができなかった。また、第1シールド部と第2シールド部とを異なるグランド端子に接続する接続態様として、従来から存在する3端子接続シンボルを代用することも考えられるが、その場合には、回路図データSDから抽出したネットリストと、レイアウトデータLDから抽出したネットリストとが一致しなくなってしまい、LVS検証においてエラー判定がされてしまう。
【0040】
このような理由から、従来は、第1シールド部と第2シールド部とを異なるグランド端子に接続した半導体装置を設計することができず、このためそのような半導体装置も存在していなかった。
これに対し、本実施形態に係る半導体装置の設計支援装置によれば、4端子接続シンボル(図10参照)を接続シンボルの一つとして有しているので、回路設計時において、この4端子接続シンボルを用いることにより、半導体装置の設計の自由度を高めることが可能となる。また、本実施形態の半導体装置の設計支援装置を使用することにより、第1シールド部と第2シールド部とを異なるグランド端子に接続することが許容されるので、例えば、図12に示した従来のMOM容量のように、MOM容量を囲うようにシールドメタル間を両端で接続する必要がなくなる。これにより、第1シールド部及び第2シールド部の接続に関して、配線の取り回しに自由度を持たせることが可能となり、回路設計の自由度が増し、半導体装置の小型化を実現することが可能となる。
更に、設計図面の作成時において実際の回路に対応したシンボルを用いることにより、LVS検証における接続情報に関するエラー出力を低減し、設計作業を効率化することができる。
【0041】
以上、本開示について実施形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。本開示の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
例えば、上述した実施形態では、設計支援装置10が、レイアウト図設計支援部102b、検証部103を備える場合を例示して説明したが、レイアウト図設計支援部102b、検証部103は必ずしも設計支援装置10に設けられている必要はない。例えば、レイアウト図設計支援部102bについては他のコンピュータシステムを用いて行うこととしてもよい。また、検証部103が行うLVS検証についても、他のコンピュータシステムにおいて、当該設計支援装置10によって設計された回路図データ及び他のコンピュータシステムによって設計されたレイアウトデータとを通信媒体を介して取得し、これらのデータとを用いてLVS検証を実行することとしてもよい。
【0042】
<付記>
上述した実施形態に記載の半導体装置及び設計支援装置は、例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係る半導体装置1は、第1電極3と第2電極4が交互に配置されて形成されたMOM(Metal oxide Metal)容量2と、前記第1電極と前記第2電極が交互に配置された第1方向に直交する第2方向において、前記MOM容量を挟むように両側に設けられた第1シールド部5及び第2シールド部6とを備え、前記第1シールド部と前記第2シールド部が、前記両側の間の領域において電気的に絶縁されている。
【0043】
本開示の半導体装置によれば、MOM容量を構成する各電極が交互に配置される方向に直交する方向において、第1シールド部と第2シールド部が金属接続されていたスペースを削減することができ、小型化することができるという効果を奏する。
【0044】
本開示の第2態様に係る半導体装置は、前記第1態様において、前記第1シールド部及び前記第2シールド部のそれぞれは、電位が異なるグランド端子GND1,GND2に接続されている。
【0045】
本開示の半導体装置によれば、第1シールド部及び第2シールド部のそれぞれは互いに独立した端子を有し、それぞれ電位が異なるグランド端子に接続される。すなわち、第1シールド部の端子と第2シールド部の端子は互いに異なる電位とすることができる。これにより、半導体装置の各端子の配線について自由度を向上することができる。
【0046】
本開示の第3態様に係る半導体装置の設計支援装置10は、第1電極3と第2電極4が交互に配置されて形成されたMOM(Metal oxide Metal)容量2を挟むように両側に設けられた第1シールド部5及び第2シールド部6を備える半導体装置1の設計支援装置であって、前記第1電極、前記第2電極、前記第1シールド部、及び前記第2シールド部の接続状態を表す4端子接続シンボルを含み、半導体装置を構成する複数の素子の接続状態を示す複数のシンボルが格納されたシンボル記憶手段101と、前記シンボル記憶手段に格納されたシンボルを用いて、半導体装置の回路図を設計するための回路図設計支援手段102aとを備える。
【0047】
本開示のいくつかの態様に係る半導体装置の設計支援装置によれば、設計者は、回路図を作成する際に、4端子の半導体装置に対応した4端子接続シンボルを用いることができる。このように、4端子の半導体装置に対応した4端子接続シンボルを用いて作成された回路図であれば、回路図と対応するレイアウト図を用いてLVS(layout versus schematic)検証を行う場合、LVS検証のエラーを抑制することができ、設計作業の効率化を図ることができるという効果を奏する。
【符号の説明】
【0048】
1,1’ 半導体装置
2,2’ MOM容量
3,3’ A電極
4,4’ B電極
5,5’ 第1シールド部
6,6’ 第2シールド部
8 電子デバイス回路
10 設計支援装置
11 CPU
12 補助記憶装置
13 主記憶装置
14 通信インターフェース
15 入力部
16 表示部
18 バス
31,41 メインライン
101 記憶部
102a 回路図設計支援部
102b レイアウト図設計支援部
103 検証部
103a ネットリスト抽出部
103b 比較部
GND1,GND2 グランド端子
LD レイアウトデータ
S,S’ 配線スペース
SD 回路図データ
sym シンボルデータ
V1,V2 供給電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12