(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017260
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】建物
(51)【国際特許分類】
E04H 9/02 20060101AFI20250129BHJP
E04B 1/20 20060101ALI20250129BHJP
E04B 1/30 20060101ALI20250129BHJP
E04B 5/43 20060101ALI20250129BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
E04H9/02 321A
E04B1/20 A
E04B1/30 Z
E04B5/43 C
E04B1/58 600F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120304
(22)【出願日】2023-07-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋口 満
(72)【発明者】
【氏名】川合 拓
(72)【発明者】
【氏名】梅野 圭介
(72)【発明者】
【氏名】秋山 裕子
(72)【発明者】
【氏名】本山 祥伍
【テーマコード(参考)】
2E125
2E139
【Fターム(参考)】
2E125AA03
2E125AA04
2E125AA57
2E125AB11
2E125AC23
2E125AD07
2E125AE01
2E125AE02
2E125AG03
2E125AG12
2E125AG13
2E125AG14
2E125AG41
2E125AG43
2E125BB01
2E125BB22
2E125BD01
2E125BE01
2E125CA01
2E139AA01
2E139AB01
2E139AC26
2E139AC68
(57)【要約】
【課題】平面計画に制約を受け難い建物を提供する。
【解決手段】建物10は、外周面のうち少なくとも一面に配置された柱以外の耐震要素(耐震壁20)と、耐震要素に接合され支持されたフラットスラブ30と、フラットスラブ30にピン接合又は半剛接合されフラットスラブ30を支持する柱40と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面のうち少なくとも一面に配置された柱以外の耐震要素と、
前記耐震要素に接合され支持されたフラットスラブと、
前記フラットスラブにピン接合又は半剛接合され前記フラットスラブを支持する柱と、
を備えた建物。
【請求項2】
前記耐震要素は、互いに交わる2つの外周面に配置された耐震壁である、
請求項1に記載の建物。
【請求項3】
前記外周面と対向する外周面にさらに耐震要素が配置されている、
請求項1又は2に記載の建物。
【請求項4】
前記フラットスラブの下面に木質材が貼られ、
前記柱は木質材で形成されている、
請求項1又は2に記載の建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、木造柱をスラブ支持に使用した建築物が開示されている。この建築物では、木造柱を外周に配置して、中央部にRC柱、RC梁及びRC耐震壁による耐震要素を配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のように、建物の中央部に耐震要素を集約すると、建物の平面計画に制約を受ける。例えば建物の中央部から外周部に亘る広範な空間を一体的に利用することが難しい。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、平面計画に制約を受け難い建物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の建物は、外周面のうち少なくとも一面に配置された柱以外の耐震要素と、前記耐震要素に接合され支持されたフラットスラブと、前記フラットスラブにピン接合又は半剛接合され前記フラットスラブを支持する柱と、を備える。
【0007】
請求項1の建物では、耐震要素にフラットスラブが接合され支持されている。このため、耐震要素とフラットスラブとで地震力による水平力を処理できる。そして、耐震要素が建物の外周面に配置されている。このため、建物の中央部を自由に利用できる。
【0008】
また、スラブはフラットスラブであるため、梁を省略できる。このため、梁を有する構成と比較して天井高を高くできる。又は等しい天井高で階高を低くできる。
【0009】
さらに、柱はフラットスラブにピン接合又は半剛接合され、フラットスラブを支持している。このため、柱がフラットスラブに剛接合されている構成と比較して柱に水平力が入力され難い。これにより、柱はフラットスラブの鉛直荷重のみを支持すればよく、例えば水平力に抵抗し難い木質柱等を採用できる。
【0010】
請求項2の建物は、請求項1に記載の建物において、前記耐震要素は、互いに交わる2つの外周面に配置された耐震壁である。
【0011】
請求項2の建物では、耐震壁が互いに交わる2つの外周面に配置されている。このため、2方向の水平力を処理できる。
【0012】
請求項3の建物は、請求項1又は2に記載の建物において、前記外周面と対向する外周面にさらに耐震要素が配置されている。
【0013】
請求項3の建物では、互いに対向する外周面のそれぞれに耐震要素が配置されている。このため、建物の偏心を抑制できる。
【0014】
請求項4の建物は、請求項1又は2に記載の建物において、前記フラットスラブの下面に木質材が貼られ、前記柱は木質材で形成されている。
【0015】
請求項4の建物では、フラットスラブの下面に木質材が貼られ、柱が木質材で形成されているため、木質材に囲まれた空間を形成できる。また、フラットスラブの下面の木質材は捨て型枠として利用できるので工期を短縮できる。
【0016】
なお、請求項4の建物は、請求項1~3の何れか1項の建物において、前記フラットスラブの下面に木質材が貼られ、前記柱は木質材で形成されているものとしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、平面計画に制約を受け難い建物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る建物を示す平面図である。
【
図3】(A)は本発明の実施形態に係る建物の柱を示す断面図であり、(B)は柱として鉄筋コンクリートを用いた例を示す断面図であり、(C)は柱として鋼管を用いた例を示す断面図であり、(D)は柱としてH形鋼を用いた例を示す断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る建物における耐震要素の配置の変形例を示す平面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る建物における耐震要素の配置の別の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る建物について、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。但し、明細書中に特段の断りが無い限り、各構成要素は一つに限定されず、複数存在してもよい。
【0020】
また、各図面において重複する構成及び符号については、説明を省略する場合がある。なお、本開示は以下の実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において構成を省略する、異なる構成と入れ替える、一実施形態及び各種の変形例を組み合わせて用いる等、適宜変更を加えて実施することができる。
【0021】
各図面において矢印X、Yで示す方向は水平面に沿う方向であり、互いに直交している。また、矢印Zで示す方向は鉛直方向(上下方向)に沿う方向である。各図において矢印X、Y、Zで示される各方向は、互いに一致するものとする。
【0022】
図1には、本発明の実施形態に係る建物10の基準階の概略平面図が示されている。建物10は、X軸方向が長手方向、Y軸方向が短手方向とされた、平面視で長方形の建物である。
【0023】
建物10は、外周面のうち少なくとも一面に配置された柱以外の耐震要素(耐震壁20)と、耐震要素に接合され支持されたフラットスラブ30と、フラットスラブを支持する柱40と、を備えている。
【0024】
(耐震壁)
耐震壁20は、建物10において互いに直交する2つの外周面に配置された鉄筋コンクリートの壁体である。耐震壁20は、建物10のX方向に沿う一外周面の略全域及びY方向に沿う一外周面の略全域に配置されている。
【0025】
このうち、X方向に沿う耐震壁20を耐震壁20X、Y方向に沿う耐震壁20を耐震壁20Yとする。耐震壁20X及び20Yは建物10の角で互いに接合されている。
【0026】
建物10のX軸方向に沿う一外周面には、鉄筋コンクリートの柱12及び梁14により柱梁架構が形成されている。耐震壁20Xは、この柱梁架構の構面に配置された構造部材である。
【0027】
一方、建物10のY軸方向に沿う外周面には柱梁架構が形成されていない。耐震壁20Yは、耐震壁20Xより厚く形成された構造部材である。
【0028】
なお、建物10のX軸方向に沿う一外周面には必ずしも柱梁架構を形成しなくてもよい。同様に、建物10のY軸方向に沿う外周面に柱梁架構を形成してもよい。
【0029】
耐震壁20は、
図2に示すように、上下階に亘って形成された、連層耐震壁である。換言すると、耐震壁20は、上下方向に連続する複数の階において、同じ位置に配置された構造躯体である。
【0030】
耐震壁20X及び20Yが設けられた外周面と対向する外周面には耐震要素が配置されておらず、略全面に亘ってガラスのカーテンウォール16が配置されている。
【0031】
(フラットスラブ)
フラットスラブ30は、建物10において互いに直交する2つの外周面で耐震壁20に接合され、耐震壁20に支持されている。
【0032】
なお、フラットスラブ30のY方向における一端部は、柱梁架構の梁14に接合されているが、本明細書においては、係る態様を含めて耐震壁20に接合されているものとして説明する。
【0033】
フラットスラブ30は、鉄筋コンクリートを用いて形成された床版である。フラットスラブ30は、例えばプレストレストコンクリートを用いて形成してよい。
【0034】
フラットスラブ30の底面には木製の板材32が固定されている。板材32を構成する木部材は特に限定されるものではないが、例えばCLT(Cross Laminated Timber)を用いることができる。板材32としてCLTを用い、厚さを調整することで、板材32を構造体として機能させることもできる。
【0035】
板材32は、フラットスラブ30を形成するコンクリートを打設する際に、型枠として機能する。また、板材32は、天井の仕上げ材として用いることもできる。すなわち、板材32は構造体及び仕上げ材として兼用できる。
【0036】
一方、フラットスラブ30の上面にも、仕上げ材34を敷設することができる。仕上げ材34の材質はタイル、フローリング材、カーペットなど、適宜選定できる。また、仕上げ材34は二重床としてもよい。さらに、仕上げ材34は省略してもよい。
【0037】
フラットスラブ30は、耐震壁20及び柱40に支持され、柱40間には梁が架け渡されていない。このため、フラットスラブ30の下方には梁が省略されている。
【0038】
(柱)
柱40は、フラットスラブ30にピン接合されている。より具体的には、柱40の上下端の双方が、それぞれ、上下のフラットスラブ30にピン接合されている。これにより、柱40は、フラットスラブ30の鉛直荷重を支持する一方、フラットスラブ30に作用する水平荷重は柱40には入力され難い。
【0039】
このため、柱40は、木部材を用いて形成できる。木部材を用いた柱40は、例えば
図3(A)に示すように、芯材42と、燃え止まり層44A及び燃え代層44Bを含む耐火被覆部44と、を備えた構成とすることができる。
【0040】
芯材42は、集成材又は無垢材等の木質材によって形成され、フラットスラブ30を支持する構造部材である。
【0041】
燃え止まり層44Aは、火災時における燃え代層44Bの燃焼を停止(自然鎮火)させ、芯材42の燃焼を抑制する層である。燃え止まり層44Aは、例えばモルタル、グラウト又はコンクリート等により形成されており、木質材よりも熱容量が大きい。
【0042】
燃え代層44Bは、集成材又は無垢材等の木質材によって形成されており、燃え止まり層44Aの外面に接着剤等によって接合されている。
【0043】
柱40の下端部にはプレート46が設けられている。そして、フラットスラブ30にはアンカーボルト38が捩じ込まれた長ナット36が上端を開口した状態で埋設されている。この長ナット36にボルト50を捩じ込むことで、プレート46がフラットスラブ30に固定される。
【0044】
また、プレート46の上面には、上方へ突出する接合プレート46Aが溶接されている。接合プレート46Aは、柱40に貫入されている。また、柱40及び接合プレート46Aには、連通した貫通孔52Aが形成されている。この貫通孔52Aにドリフトピン52Bを挿通することにより、柱40の下端部がフラットスラブ30にピン接合される。
【0045】
同様に、柱40の上端部にはプレート48が設けられている。そして、フラットスラブ30にはアンカーボルト38が捩じ込まれた長ナット36が下端を開口した状態で埋設されている。この長ナット36にボルト50を捩じ込むことで、プレート48がフラットスラブ30に固定される。
【0046】
また、プレート48の下面には、下方へ突出する接合プレート48Bが溶接されている。接合プレート48Bは、柱40に貫入されている。また、柱40及び接合プレート48Bには、連通した貫通孔52Aが形成されている。この貫通孔52Aにドリフトピン52Bを挿通することにより、柱40の上端部がフラットスラブ30にピン接合される。
【0047】
なお、柱40の上端部及び下端部の双方において、貫通孔52A及びドリフトピン52Bの数量は、求められる固定度に応じて、適宜変更できる。つまり、本発明においては、柱40をフラットスラブ30に半剛接合してもよい。
【0048】
図1に示すように、柱40は、平面視で矩形状のグリッドに沿う配置とされている。但し、柱40の配置は梁によって制約を受けないので、任意の位置に変更することができる。
【0049】
<作用及び効果>
本発明の実施形態に係る建物10では、耐震要素である耐震壁20にフラットスラブ30が接合され支持されている。このため、耐震壁20とフラットスラブ30とで地震力による水平力を処理できる。
【0050】
そして、耐震壁20は、建物10における互いに交わる2つの外周面(側面)に配置されている。このため、2方向の水平力を処理できる。また、建物10の中央部を自由に利用できる。
【0051】
また、スラブはフラットスラブ30であるため、
図2に示すように、梁を省略できる。このため、梁を有する構成と比較して天井高を高くできる。又は等しい天井高で階高を低くできる。
【0052】
そして、柱40には梁が接合されないので、フラットスラブ30の厚みや配筋を調整すれば、柱40の位置及び柱40のスパンを自由に設定できる。
【0053】
さらに、
図3(A)に示すように、柱40はフラットスラブ30にピン接合され、フラットスラブ30を支持している。このため、柱40のフラットスラブ30に対する固定度がピン接合より高い場合と比較して、柱40に水平力及び曲げ力が入力され難い。これにより、柱40はフラットスラブ30の鉛直荷重のみを支持すればよく、水平力に抵抗し難い木質柱を採用できる。
【0054】
また、この建物10では、
図2に示すように、フラットスラブ30の下面に木質材を用いた板材32が貼られ、柱40が木質材で形成されているため、木質材に囲まれた空間を形成できる。また、フラットスラブ30の下面の板材32は捨て型枠として利用できるので工期を短縮できる。
【0055】
<その他の実施形態>
上記実施形態では、フラットスラブ30の下方に梁を設けない場合について説明したが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば
図1、2に二点鎖線で示すように、フラットスラブ30の下方に、部分的に梁60を配置してもよい。
【0056】
この場合、一部の柱40にも梁60を架け渡してもよい。これにより、梁60又は耐震壁20で囲まれた位置30A(
図1参照)に、階段室などが配置される開口部を配置することができる。
【0057】
なお、梁60を架け渡す柱40のフラットスラブ30に対する固定は、半剛接合または剛接合としてもよい。また、梁を架け渡す柱は、例えば鉄筋コンクリートの柱として他の柱40と異なる構成としてもよい。
【0058】
このように、本発明においては、フラットスラブ30の下方に配置される柱の全てをフラットスラブ30にピン接合された柱40とする必要はない。
【0059】
また、上記実施形態においては、耐震要素として、鉄筋コンクリートの壁体である耐震壁20を用いているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば耐震要素は、CLT等を用いた木質耐震壁としてもよい。また、耐震要素は、鉄筋コンクリート製、鋼製、木製等のブレースとしてもよい。
【0060】
また、上記実施形態においては、建物10において互いに直交する2つの外周面の略全域に耐震壁20を配置しているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば耐震壁20などの耐震要素は、当該外周面に部分的に配置してもよい。
【0061】
また、上記実施形態においては、建物10において互いに直交する2つの外周面のみに耐震壁20を配置しているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば
図4に示すように、耐震壁20が設置された外周面と対向する外周面に、さらに耐震要素(一例として耐震壁70A、70B)を設けてもよい。
【0062】
耐震壁70Aは建物10のX方向に沿う外周面に設けられている。耐震壁70Bは建物10のX方向に沿う外周面及びY方向に沿う外周面に設けられ、建物10の角にL字状に形成されている。耐震壁70A及び70Bの長さや厚さは適宜決定してよい。
【0063】
また、耐震壁70A及び70Bの何れか一方を省略してもよい。さらに、建物10のY方向に沿う外周面のみに別の耐震壁を設けてもよい。これらの耐震壁は、耐震壁20と同様に鉄筋コンクリート製でも木製でもよく、ブレースに代えてもよい。
【0064】
このように、互いに対向する外周面のそれぞれに耐震要素を配置することで、建物10の偏心を抑制できる。
【0065】
また、上記実施形態においては、互いに直交する2つの外周面にそれぞれ耐震壁20X及び20Yを配置しているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば
図5に示すように、耐震壁20Yに代えて耐震壁20Tを用いてもよい。
【0066】
耐震壁20Tは、Y方向に沿う耐震壁であり、建物10のX方向における中央部に設けられている。但し、例えば建物10の平面形状に応じて、耐震壁20Tは、建物10のX方向における中央部以外の場所に設けてもよいし、複数設けてもよい。また、長さも自由に設定できる。例えば建物10のX方向の長さがY方向の長さと比べて長くなれば、耐震壁20Tの数量を増やすことができる。
【0067】
このように、本発明においては、外周面のうち少なくとも一面に、柱以外の耐震要素が配置されたものであればよい。
【0068】
また、上記実施形態の建物10の外周面は互いに直交し、建物10は平面視で長方形状の建物とされているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば建物10の外周面は90度以外の角度で交差していてもよい。この場合、それぞれの外周面に配置された耐震壁20同士も、当該角度で交差して配置することができる。
【0069】
また、上記実施形態においては、耐震壁20を、上下階に亘って形成された連層耐震壁としているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば耐震壁20の上下階においては、耐震壁20を異なる位置に設けてもよい。または、耐震壁20に代えて、異なる構造の耐震壁やブレースを配置してもよい。
【0070】
また、上記実施形態においては、フラットスラブ30を支持する柱として、構造部材を木質材とした柱40を用いているが、本発明の実施形態はこれに限らない。フラットスラブ30を支持する柱としては、例えば
図3(B)に示すように、構造部材としてコンクリートを使用した柱80を用いてもよい。
【0071】
柱80は、コンクリート柱82を木質材84等の仕上げ材で被覆して形成されている。この仕上げ材は省略してもよい。コンクリート柱82の内部には主筋86が埋設されており、この主筋86の上下端がフラットスラブ30に埋設されている。主筋86の下端は、シース管86Aを介してフラットスラブ30に埋設されている。フラットスラブ30には、柱80を受ける補強板88を配置してもよい。
【0072】
また、フラットスラブ30を支持する柱としては、例えば
図3(C)に示すように、構造部材として鋼管92を使用した柱90を用いてもよい。鋼管92は角型鋼管でもよいし、丸鋼管でもよい。鋼管92の上下端にはそれぞれプレート94及び96を溶接し、このプレート94及び96を、フラットスラブ30に固定する。
【0073】
フラットスラブ30にはアンカーボルト38が捩じ込まれた長ナット36が上端を開口した状態で埋設されている。この長ナット36にボルト50を捩じ込むことで、プレート94がフラットスラブ30に固定される。また、プレート96の上面には上方へ突出するスタッドボルト96Aが溶接されている。このスタッドボルト96Aによって、プレート96がフラットスラブ30に固定される。
【0074】
また、フラットスラブ30を支持する柱としては、例えば
図3(D)に示すように、構造部材としてH形鋼102を使用した柱100を用いてもよい。H形鋼102の上下端にはそれぞれプレート104及び106を溶接し、このプレート104及び106を、フラットスラブ30に固定する。
【0075】
フラットスラブ30にはアンカーボルト108が埋設されている。アンカーボルト108の上端はフラットスラブ30から突出している。このアンカーボルト108にナットを捩じ込むことで、プレート104がフラットスラブ30に固定される。また、プレート106の上面には上方へ突出するスタッドボルト106Aが溶接されている。このスタッドボルト106Aによって、プレート106がフラットスラブ30に固定される。
【0076】
このように、フラットスラブ30を支持する柱は、フラットスラブ30にピン接合又は半剛接合されたものであればよく、各種の材料を用いて、かつ、各種の接合方法でフラットスラブ30に固定することができる。
【符号の説明】
【0077】
10 建物
20 耐震壁(耐震要素)
20T 耐震壁(耐震要素)
20X 耐震壁(耐震要素)
20Y 耐震壁(耐震要素)
30 フラットスラブ
40 柱
80 柱
90 柱
100 柱