(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017265
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】易開封性包装袋及びその開封方法
(51)【国際特許分類】
B65D 33/00 20060101AFI20250129BHJP
【FI】
B65D33/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120311
(22)【出願日】2023-07-24
(71)【出願人】
【識別番号】524208238
【氏名又は名称】SBパックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】友野 正樹
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AA08
3E064AD14
3E064BA21
3E064HA03
3E064HM03
3E064HN05
3E064HN06
3E064HP01
3E064HP02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、被包装物の隠蔽性に優れ、開封及び被包装物の取り出しが容易で、開封時又は取り出し時に被包装物の破損が生じにくい包装袋及びその開封方法を提供する。
【解決手段】フィルムの両側端部を互いに対向させてシールしてなる縦シール部と、筒状となったフィルムの軸方向の両端部を全長にわたってそれぞれシールしてなる2箇所の横シール部とを有し、これらのシール部により収容空間が形成されている包装袋であり、包装袋の前面及び後面を貫通する微細な細長形状の傷痕Aが多数設けられてなる易開封部が、包装袋のシールされていない側端部に設けられており、傷痕Aの長手方向は横方向に平行であり、包装袋の後面のみを貫通する微細な細長形状の傷痕Bが直線状に連続的に設けられてなる開封誘導線が、易開封部を有する側端部と縦シール部との間に、軸方向の全長にわたって設けられており、傷痕Bの長手方向は軸方向に平行である、易開封性包装袋。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムの両側端部を互いに対向させてシールしてなる縦シール部と、
前記縦シール部の形成により筒状となったフィルムの軸方向の両端部を、前記軸方向に垂直な横方向の全長にわたってそれぞれシールしてなる2箇所の横シール部と
を有し、
前記縦シール部及び前記2箇所の横シール部により被包装物を収容可能な収容空間が形成されている包装袋であり、
前記包装袋の前面及び後面を貫通する微細な傷痕Aが多数設けられてなる易開封部が、前記包装袋のシールされていない側端部に設けられており、前記傷痕Aは細長形状を有し、前記傷痕Aの長手方向は前記横方向に平行であり、
前記包装袋の後面のみを貫通する微細な傷痕Bが直線状に連続的に設けられてなる開封誘導線が、前記易開封部を有する側端部と前記縦シール部との間に、前記軸方向の全長にわたって少なくとも1本設けられており、前記傷痕Bは細長形状を有し、前記傷痕Bの長手方向は前記軸方向に平行である
ことを特徴とする、易開封性包装袋。
【請求項2】
前記開封誘導線と前記縦シール部との距離が0~5.0mmである、請求項1に記載の易開封性包装袋。
【請求項3】
前記傷痕Bの長手方向の長さが、前記傷痕Aの長手方向の長さよりも短い、請求項1又は2に記載の易開封性包装袋。
【請求項4】
前記多数の傷痕Aが千鳥状に設けられている、請求項1又は2に記載の易開封性包装袋。
【請求項5】
前記傷痕Bの前記軸方向のピッチが、前記傷痕Aの前記横方向のピッチよりも狭い、請求項4に記載の易開封性包装袋。
【請求項6】
前記請求項1又は2に記載の易開封性包装袋の開封方法であり、
前記包装袋の前面及び後面の両方を、前記易開封部から前記横方向に略平行に、前記開封誘導線に至るまで又は前記開封誘導線を超えて引き裂くステップ(1)と、
前記包装袋の後面のみを、前記開封誘導線に沿って引き裂くステップ(2)とを含む
ことを特徴とする、開封方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、易開封性包装袋及びその開封方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックフィルムを代表的な包装材料として用い、包装袋に内容物が収納されて密封された包装体は、内容物の形状と大きさに合わせて包装材料で構成された袋状物に内容物が収納され、その筒状物の両端部がシールされて構成されている。
【0003】
このような包装袋として種々の形状のものが知られているが、開封の際にはさみ、カッター等の道具を使用せずに手指で開封することが可能な、易開封性の包装袋が多く求められている。
易開封性の包装袋として、例えば、袋の端部にノッチ等を設け、それを起点として袋を引き裂いて開封するものが知られており、特許文献1には、ピロー包装パウチにおいて、合掌貼り付け根に近接してノッチ又は弱化部を設けることにより、合掌貼りに沿った開封を可能にした易開封性パウチが開示され、該易開封性パウチによれば、内容物が袋の内寸とほぼ同じ大きさであっても、しかも厚い固形物であっても、開封が内容物に阻害されることなく、且つ、内容物に損傷を与えることなく、開封および内容物の取り出しが容易にできることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されるようなノッチ付き包装袋は、ノッチが包装袋表面の絵柄や文字等の妨げとなる場合があり、また、未シール部分にノッチがある包装袋の場合には、内部に収容された被包装物がノッチから見えてしまうことがあるため、包装袋の外観(デザイン性)及び被包装物の隠蔽性の点で更なる改良の余地があった。また、包装袋全般として、特に数多くの包装袋を開封する場合でも包装袋の開封や被包装物の取り出しが容易で手間がかからないこと、さらに、特に希少性の高い被包装物や壊れやすい被包装物などの包装用途において、開封時や取り出し時に被包装物の破損が生じにくいことが強く望まれている。
【0006】
かかる従来技術の水準に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、表面の絵柄や文字等の妨げとなりにくい形状を有し、被包装物の隠蔽性に優れ、開封及び被包装物の取り出しが容易で、開封時又は取り出し時に被包装物の破損が生じにくい易開封性包装袋及びその開封方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のとおりである。
[1]
フィルムの両側端部を互いに対向させてシールしてなる縦シール部と、
前記縦シール部の形成により筒状となったフィルムの軸方向の両端部を、前記軸方向に垂直な横方向の全長にわたってそれぞれシールしてなる2箇所の横シール部と
を有し、
前記縦シール部及び前記2箇所の横シール部により被包装物を収容可能な収容空間が形成されている包装袋であり、
前記包装袋の前面及び後面を貫通する微細な傷痕Aが多数設けられてなる易開封部が、前記包装袋のシールされていない側端部に設けられており、前記傷痕Aは細長形状を有し、前記傷痕Aの長手方向は前記横方向に平行であり、
前記包装袋の後面のみを貫通する微細な傷痕Bが直線状に連続的に設けられてなる開封誘導線が、前記易開封部を有する側端部と前記縦シール部との間に、前記軸方向の全長にわたって少なくとも1本設けられており、前記傷痕Bは細長形状を有し、前記傷痕Bの長手方向は前記軸方向に平行である
ことを特徴とする、易開封性包装袋。
[2]
前記開封誘導線と前記縦シール部との距離が0~5.0mmである、[1]に記載の易開封性包装袋。
[3]
前記傷痕Bの長手方向の長さが、前記傷痕Aの長手方向の長さよりも短い、[1]又は[2]に記載の易開封性包装袋。
[4]
前記多数の傷痕Aが千鳥状に設けられている、[1]~[3]のいずれかに記載の易開封性包装袋。
[5]
前記傷痕Bの前記軸方向のピッチが、前記傷痕Aの前記横方向のピッチよりも狭い、[4]に記載の易開封性包装袋。
[6]
[1]~[5]のいずれかに記載の易開封性包装袋の開封方法であり、
前記包装袋の前面及び後面の両方を、前記易開封部から前記横方向に略平行に、前記開封誘導線に至るまで又は前記開封誘導線を超えて引き裂くステップ(1)と、
前記包装袋の後面のみを、前記開封誘導線に沿って引き裂くステップ(2)とを含む
ことを特徴とする、開封方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、表面の絵柄や文字等の妨げとなりにくい形状を有し、被包装物の隠蔽性に優れ、開封及び被包装物の取り出しが容易で、開封時又は取り出し時に被包装物の破損が生じにくい易開封性包装袋及びその開封方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(a)及び(b)は、それぞれ本実施形態の易開封性包装袋の一例を示す概略図であり、いずれも易開封性包装袋を後面側から見た図である。
【
図2】(a)は、傷痕A群及び傷痕B群を形成した実施例1のフィルムを示す概略図である。(b)は、後面側から見た実施例1の包装体を示す概略図である。
【
図3】(a)は、実施例1の傷痕A群(易開封部)の一部の写真である。(b)は、実施例1の傷痕Aの写真である。
【
図4】(a)は、実施例1の傷痕B群(3列の開封誘導線5)の一部の写真である。(b)は、実施例1の傷痕Bの写真である。
【
図5】(a)は、傷痕A群及び傷痕B群を形成した実施例6のフィルムを示す概略図である。(b)は、後面側から見た実施例6の包装体を示す概略図である。
【
図6】(a)は、開封用ノッチのみを形成した比較例2の包装体を後面側から見た概略図である。(b)は、開封用ノッチ及び傷痕B群(3列の開封誘導線5)を形成した比較例3の包装体を後面側から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
なお、本開示で、「略」又は「約」とは、製造又は配置の際に生じる数%程度の誤差を含むことを意味する。例えば、「略平行」とは、完全に平行であることを意味するだけでなく、数度のずれを含むことを意味する。
【0011】
以下、本実施形態の易開封性包装袋及びその開封方法について、図を参照しながら説明する。
図1の(a)及び(b)は、それぞれ本実施形態の易開封性包装袋の一例を示す概略図であり、(a)はピロー型包装袋の例、(b)は三方シール型包装袋の例である。
図1の(a)及び(b)は、いずれも易開封性包装袋を後面側から見た図である。
以下、
図1に示す上下方向を、包装袋の縦方向、フィルムの縦方向、又は筒状のフィルムの軸方向として説明する。また、
図1に示す左右方向を、包装袋の横方向又はフィルムの横方向として説明する。
【0012】
[易開封性包装袋]
本実施形態の易開封性包装袋1(以下、単に「包装袋1」ともいう。)は、フィルムの両側端部(横方向の両端部)を互いに対向させてシールしてなる縦シール部2と、縦シール部2の形成により筒状となったフィルムの軸方向(包装袋1における縦方向)の両端部を、フィルムの軸方向に垂直な横方向(包装袋1における横方向)の全長にわたってそれぞれシールしてなる2箇所の横シール部とを有する。易開封性包装袋1は、縦シール部及び2箇所の横シール部により被包装物を収容可能な収容空間が形成されている。
また、本実施形態の易開封性包装袋1は、包装袋1の前面及び後面の両方を貫通する微細な傷痕Aが多数設けられてなる易開封部4が、包装袋1のシールされていない側端部に設けられている。傷痕Aは細長形状を有し、傷痕Aの長手方向はフィルムの横方向に略平行である。
また、本実施形態の易開封性包装袋1は、包装袋1の後面のみを貫通する微細な傷痕Bが直線状に連続的に設けられてなる開封誘導線5が、易開封部4を有する側端部と縦シール部2との間に、軸方向の全長にわたって少なくとも1本設けられている(
図1(a)では3本、
図1(b)では5本)。傷痕Bは細長形状を有し、傷痕Bの長手方向は筒状フィルムの軸方向(包装袋1における縦方向)に略平行である。
本実施形態の易開封性包装袋1は、包装袋表面の絵柄や文字等の妨げとなりにくい形状を有し、被包装物の隠蔽性に優れ、開封及び被包装物の取り出しが容易で、開封時又は取り出し時に被包装物の破損が生じにくいため、希少性の高い被包装物や壊れやすい被包装物の包装にも好適に用いることができる。
【0013】
易開封性包装袋1のサイズは、収容する被包装物の種類やサイズ、形状、量等に応じて適宜設定されてよい。
【0014】
[[縦シール部]]
本実施形態の易開封性包装袋1において、縦シール部は、包装袋1の縦方向の全長にわたって縦方向に略平行に設けられている。
【0015】
縦シール部2は、包装袋表面の絵柄や文字等の妨げとなりにくいという観点から、
図1(a)に示すように包装袋1の裏面側か、又は
図1(b)に示すように包装袋1の側端部に設けられることが好ましい。
縦シール部2が包装袋1の裏面側に設けられる場合、その位置は特に限定されず、例えば、
図1(a)に示すように包装袋1の裏面中央付近であってもよいし、いずれかの側端部により近い位置であってもよい。包装袋の吊り下げ陳列性を確保するという観点からは、縦シール部2は包装袋1の裏面側に設けられることが好ましい。
【0016】
縦シール部2の幅D1(
図1参照)は、特に限定されず、収容する被包装物の種類やサイズ、形状、量、包装袋全体のサイズ、要求される強度等に応じて適宜設定されてよいが、十分な強度が得られ、かつ包装袋表面の絵柄や文字等の妨げとなりにくいことから、例えば、1~30mmであってよく、3~20mmであってよく、5~10mmであってよい。
縦シール部2とフィルムの側端との距離d1(
図1参照)は、特に限定されず、設けなくてもよい(0mmであってもよい)し、収容する被包装物の種類やサイズ、形状、量、包装袋全体のサイズ、要求される強度等に応じて適宜設定されてよい。d1は、具体的には、例えば、0~10mmであってよく、1~10mmであってよく、2~7mmであってよく、3~5mmであってよい。
【0017】
[[横シール部]]
本実施形態の易開封性包装袋1において、2箇所の横シール部は、包装袋1の縦方向両端部(縦シール部2の形成により筒状となったフィルムの軸方向両端部)に位置し、包装袋1の横方向の全長にわたって横方向に略平行に設けられている。
以下、
図1に示すとおり、2箇所の横シール部のうち、上方の横シール部を上側横シール部3a、下方の横シール部を下側横シール部3bと称す。
【0018】
下側横シール部3bの幅D2(
図1参照)は、特に限定されず、収容する被包装物の種類やサイズ、形状、量、包装袋全体のサイズ、要求される強度等に応じて適宜設定されてよいが、十分な強度が得られ、かつ包装袋表面の絵柄や文字等の妨げとなりにくいことから、例えば、1~30mmであってよく、3~20mmであってよく、5~10mmであってよい。
また、下側横シール部3bとフィルムの下端との距離d2(
図1参照)は、特に限定されず、設けなくてもよい(0mmであってもよい)し、収容する被包装物の種類やサイズ、形状、量、包装袋全体のサイズ、要求される強度等に応じて適宜設定されてよい。d2は、具体的には、例えば、0~10mmであってよく、1~10mmであってよく、2~7mmであってよく、3~5mmであってよい。
【0019】
上側横シール部3aの幅D3(
図1参照)は、特に限定されず、収容する被包装物の種類やサイズ、形状、量、包装袋全体のサイズ、要求される強度等に応じて適宜設定されてよいが、十分な強度が得られ、かつ包装袋表面の絵柄や文字等の妨げとなりにくいことから、例えば、1~30mmであってよく、3~20mmであってよく、5~10mmであってよい。
上側横シール部3aとフィルムの上端との距離d3(
図1参照)は、特に限定されず、設けなくてもよい(0mmであってもよい)し、収容する被包装物の種類やサイズ、形状、量、包装袋全体のサイズ、要求される強度等に応じて適宜設定されてよい。d3は、具体的には、例えば、0~10mmであってよく、1~10mmであってよく、2~7mmであってよく、3~5mmであってよい。
【0020】
[[易開封部]]
易開封部4は、包装袋1の前面及び後面の両方を貫通する細長形状の微細な傷痕Aが多数設けられており、傷痕Aの長手方向は包装袋1の横方向に略平行である。
易開封部4は、このような傷痕Aが多数設けられている(易開封加工がなされている)ことにより、易開封部4のいずれの位置においても、はさみ、カッター等の道具を使用せずに手指の力で容易に切り裂くことができる。そのため、本実施形態の易開封性包装袋1は、後述するように、易開封部4を開封の開始点として開封されることが好ましい。
【0021】
易開封部4は、包装袋1のシールされていない側端部に位置する。すなわち、縦シール部2が
図1(b)に示すように包装袋1の側端部に位置する場合は、縦シール部2が設けられていないもう一方の側端部に設けられる。また、縦シール部2が、包装袋1の側端部ではなく、
図1(a)に示すような包装袋1の裏面側に位置する場合、易開封部4は、側端部のどちらか一方のみ(左端部又は右端部)に設けられていてもよく、両方の側端部(左端部及び右端部)に設けられていてもよい。
易開封部4は、包装袋1の側端部のみに存在し、かつ傷痕Aは微細であるため、包装袋表面の絵柄や文字等の妨げとなりにくく、包装袋1は良好な外観(デザイン性)を有するものとなる。また、内部に収容された被包装物が見えにくいため、包装袋1は優れた隠蔽性を有するものとなり、易開封加工を施していない包装袋と同様の用途に用いることができる。
【0022】
また、易開封部4は、
図1(a)に示すように包装袋1の側端部全体(縦方向の全長)にわたって設けられていてもよいし、包装袋1の側端部の一部のみ(例えば、側端部の上半分のみ等)に設けられていてもよいが、側端部のどこからでも引き裂くことができるという観点から、包装袋1の側端部全体(縦方向の全長)にわたって設けられていることが好ましい。
包装袋1の側端部の一部のみに設けられている場合の易開封部4の縦方向の長さは、包装袋1の側端部の全長(包装袋1の縦方向の全長)を100%としたときに、10%以上100%未満であることが好ましく、より好ましくは20%以上100%未満、さらに好ましくは30%以上100%未満である。この場合、易開封部4の場所を認識しやすくし、易開封部4からの開封を促すような印刷を包装袋表面に施すことが好ましい。
易開封部4において、包装袋1の側端部の未シール部分と、少なくとも一方の横シール部との堺目付近に傷痕Aが存在すると、その堺目を引き裂き開始位置となるように該未シール部分と該横シール部とを摘まんで引き裂くことにより、該横シール部が引き裂きのガイドとなって横方向により平行に(より真っ直ぐに)包装袋1を引き裂きやすくなり、また、引き裂き時に被包装物に引き裂いた袋が当たることが少なく、被包装物の折れ等の変形や切れ等の破損が生じにくくなるため、好ましい。
【0023】
易開封部4の幅(横方向の長さ)は、特に限定されず、収容する被包装物の種類やサイズ、形状、量、要求される強度等に応じて適宜設定されてよいが、包装袋表面の絵柄や文字等の妨げとなりにくいことから、例えば、1~10mmであってよく、1~7mmであってよく、1~5mmであってよい。
なお、易開封部4の幅とは、最も左端にある傷痕Aの左端から最も右端にある傷痕Aの右端までの横方向距離を指す。
【0024】
易開封部4に設けられた微細な傷痕Aは、包装袋1の前面及び後面の両方を貫通する。傷痕Aが包装袋1の前面及び後面の両方を貫通していることにより、易開封部4は、はさみ、カッター等の道具を使用せずに手指の力で容易に切り裂くことができる。
なお、傷痕Aが包装袋1の前面及び後面の両方を貫通するとは、傷痕Aの少なくとも一部が包装袋1の前面及び後面の両方を貫通している状態にあることを意味する。すなわち、後述するように、縦シール部2を形成して筒状のフィルムとする前に(平面上のフィルムに)傷痕Aを作製する場合は、包装袋1の前面となる面に設けられた微細な傷痕Aの少なくとも一部と、包装袋1の後面となる面に設けられた微細な傷痕Aの少なくとも一部とが、包装袋となった際に重なるような相対位置に傷痕Aは作製される。
【0025】
易開封部4に設けられた微細な傷痕Aは、細長形状であり、長手方向が包装袋1の横方向(横シール部の長手方向)に略平行となるように配置される。傷痕Aがこのように配置されることにより、包装袋1は易開封部4から横方向に略平行に(略真っ直ぐに)引き裂きやすくなっている。
傷痕Aの両端は、鋭角をなしていることが好ましい。傷痕Aの両端が鋭角をなしていると、易開封部4から包装袋1を傷痕Aの長手方向に略平行に(略真っ直ぐに)引き裂きやすい傾向にある。
【0026】
傷痕Aの長手方向の長さ(すなわち、包装袋1の横方向に略平行な方向の長さ)daは、0.1~3.0mmであることが好ましく、より好ましくは0.2~2.0mm、さらに好ましくは0.5~1.0mmである。傷痕Aの長さdaが0.1mm以上であると、易開封部4からの包装袋1の切り裂きがより容易となる傾向にある。傷痕Aの長さdaが3.0mm以下であると、傷痕Aが目立ちにくく、包装袋表面の絵柄や文字等の妨げとなりにくいため、包装袋1はより良好な外観(デザイン性)を有するものとなる傾向にある。また、内部に収容された被包装物が見えにくいため、包装袋1は優れた隠蔽性を有するものとなる傾向にあり、易開封加工を施していない包装袋と同様の用途に用いることができる。
【0027】
傷痕A群は、外縁線と平行な方向(縦方向)に対して千鳥形状となるように互い違いに設けられていると、易開封部4の切り裂きがより容易となるため好ましい。傷痕A群が縦方向に対して千鳥形状に設けられている場合、傷痕A群の長さやピッチ等に応じて適宜設定されてよいが、例えば、片面につき縦方向に千鳥形状に1~11列設けられていることが好ましく、1~7列設けられていることがより好ましく、1~5列設けられていることがさらに好ましい。
傷痕Aは、規則的に配置されていることが好ましく、横方向のピッチは、0.1~3.0mmであることが好ましく、より好ましくは0.2~2.0mm、さらに好ましくは0.3~1.0mmである。傷痕Aの横方向のピッチが上記範囲であると、包装袋1を横方向に略平行に(略真っ直ぐに)引き裂きやすい傾向にある。また、傷痕Aの縦方向のピッチは、0.3~5.0mmであることが好ましく、より好ましくは0.5~3.0mm、さらに好ましくは1.0~2.5mmである。傷痕Aの縦方向のピッチが0.1mm以上であると、易開封部4のどこからでも確実に安定して開封できる傾向にあり、3.0mm以下であると、傷痕Aを付与する処理が比較的容易であり、また、包装袋1の外縁が、包装袋としての形状及び強度を良好に保つことができる傾向にある。
【0028】
多数の傷痕A(以下、「傷痕A群」ともいう。)は、その少なくとも一部が、包装袋1の側端部の外縁線からその内側(横方向)へ0~2.0mmに存在することが好ましく、0~1.5mmに存在することがより好ましく、0~1.0mmに存在することがさらに好ましい。なお、傷痕Aが包装袋1の側端部の外縁線からその内側へ0mmに存在するとは、傷痕Aが外縁線状に存在する状態を意味する。傷痕A群の一部が上記範囲の位置に存在すると、それらの傷痕Aを切り裂きの起点として易開封部4の切り裂きがより容易となり、かつ包装袋表面の絵柄や文字等の妨げとなりにくくなる。
【0029】
また、傷痕Aは、包装袋1に多数設ける必要があるが、具体的には、包装袋1の側端部の外縁線からその内側(横方向)へ0~2.0mmの範囲に、易開封部4の縦方向長さのうちのどの5.0mmをとっても傷痕Aが1個以上存在するように配置するのが好ましく、より好ましくは2個以上であり、さらに好ましくは3個以上である。
易開封部4のどこからでも確実に安定して開封できるようにするためには、左右の親指と人指し指で易開封部4を摘んで捻ることにより包装袋1を引き裂く際に、左右の指の間にある易開封部4のいずれの場所にも少なくとも1個の傷痕Aが存在すればよいからである。左右の指の間隔は、その間に傷痕Aが少なくとも1個ある限りは、指の間隔が狭いほど傷痕Aに有効に力が掛かり易く、開封し易い。左右の指の間に傷痕Aが無い場合は、指に捻りの力を加えても包装袋1は引き裂けないが、その場合は指が自然と滑って左右の指の間隔が広がり、広がった指の間に傷痕Aが存在するようになると引き裂けるようになる。このような場合、経験的に5.0mmの間隔に少なくとも1個の傷痕Aがあれば、引き裂き易いと感じることが判明した。
また、傷痕Aの数は、5.0mmの間隔に30個以下であることが好ましく、より好ましく20個以下であり、さらに好ましくは15個以下である。傷痕Aの数が上記範囲であると、傷痕Aを付与する処理が比較的容易であり、また、包装袋1の外縁が、包装袋としての形状及び強度を良好に保つことができる傾向にある。
【0030】
[[開封誘導線]]
開封誘導線5は、包装袋1の後面のみを貫通する細長形状の微細な傷痕Bが直線状に連続的に設けられてなる傷痕線であり、傷痕Bの長手方向は包装袋1の縦方向に略平行である。
開封誘導線5は、このような傷痕Bが直線状に連続的に設けられてなることにより、包装袋1を開封誘導線5に沿って、はさみ、カッター等の道具を使用せずに手指の力で容易に切り裂くことができる。
また、開封誘導線5は包装袋1の後面に設けられ、かつ傷痕Bは微細であるため、包装袋表面の絵柄や文字等の妨げとなりにくく、包装袋1は良好な外観(デザイン性)を有するものとなる。また、内部に収容された被包装物が見えにくいため、包装袋1は優れた隠蔽性を有するものとなり、易開封加工を施していない包装袋と同様の用途に用いることができる。
【0031】
開封誘導線5は、包装袋後面の易開封部4を有する側端部と縦シール部2との間に位置し、縦方向の全長にわたって設けられる。
開封誘導線5が縦方向の全長にわたって設けられていることにより、易開封部4を開封の開始点とした横方向(
図1の矢印(1)参照)の引き裂きとは異なる方向(
図1の矢印(2)参照、
図1の場合は矢印(1)とは略垂直な方向)に開封誘導線5に沿って包装袋1を引き裂くことができるため、開口が大きくなり、被包装物の取り出しが容易であるとともに、開封時や取り出し時に被包装物の破損が生じにくくなっている。そのため、本実施形態の易開封性包装袋1は、後述するように、易開封部4を開封の開始点として横方向に引き裂いた後、開封誘導線5に沿って縦方向に引き裂くことにより、開封することが好ましい。
開封誘導線5は、縦方向の全長にわたって設けられていれば、縦方向とのなす角度は特限定されないが、開封誘導線5に沿った引き裂きがより容易となり、傷痕Bの付与も容易となることから、縦方向に略平行(縦方向とのなす角度が約0度)であることが好ましい。
【0032】
開封誘導線5の位置は、後面上であれば特に限定されないが、
図1(a)に示すように縦シール部2に近接して縦シール部2に略平行に設けられると、易開封部4からの開封する力が縦シール部2に到達した際に減衰し、縦シール部2が引き裂きのガイドとなって開封誘導線5に沿って縦方向により平行に(より真っ直ぐに)包装袋1を引き裂きやすくなるため、好ましい。開封誘導線5と縦シール部2との距離d4は、0~5.0mmであることが好ましく、より好ましくは0.5~3.0mm、さらに好ましくは1.0~2.0mmである。
なお、開封誘導線5と縦シール部2との距離d4とは、
図1(a)に示すように、開封誘導線5のうち最も縦シール部2に近い開封誘導線5と、縦シール部2の開封誘導線5側の付け根との横方向の距離を意味する。
開封誘導線5と縦シール部2との距離d4が上記範囲である場合、開封誘導線5の本数は、1~10本であることが好ましく、より好ましくは2~7本、さらに好ましくは3~6本である。
また、開封誘導線5の位置が、
図1(b)に示すように縦シール部2に近接していない(開封誘導線5と縦シール部2との距離d4が上記範囲にない)場合は、縦シール部2が引き裂きのガイドとなりにくいため、縦シール部2に近接している場合よりも後述する傷痕Bの長手方向の長さ(すなわち、包装袋1の縦方向に略平行な方向の長さ)d
bが長い方が、且つ/又は、開封誘導線5の本数が多い方が、開封誘導線5に沿って縦方向により平行に(より真っ直ぐに)包装袋1を引き裂きやすくなるため、好ましい。この場合の開封誘導線5の本数は、1~15本であることが好ましく、より好ましくは3~12本、さらに好ましくは5~10本である。
【0033】
開封誘導線5が複数存在する場合、最も左端にある開封誘導線5の左端から最も右端にある開封誘導線5の右端までの距離(開封誘導線5群の横方向の幅)は、特に限定されないが、包装袋表面の絵柄や文字等の妨げとなりにくいことから、例えば、0.5~10.0mmであってよく、1.0~7.0mmであってよく、1.5~5.0mmであってよい。
【0034】
開封誘導線5を構成する微細な傷痕Bは、包装袋1の後面のみを貫通する。傷痕Bは包装袋1の後面のみを貫通していることにより、包装袋前面の絵柄や文字等の妨げとならず、包装袋1は良好な外観(デザイン性)を有するものとなる。また、内部に収容された被包装物が見えにくいため、包装袋1は優れた隠蔽性を有するものとなり、易開封加工を施していない包装袋と同様の用途に用いることができる。
【0035】
微細な傷痕Bは、細長形状であり、長手方向が包装袋1の縦方向(縦シール部2の長手方向)に略平行となるように配置される。傷痕Bがこのように配置されることにより、包装袋1は開封誘導線5に沿って縦方向に略平行に(略真っ直ぐに)引き裂きやすくなっている。
傷痕Bの両端は、鋭角をなしていることが好ましい。傷痕Bの両端が鋭角をなしていると、開封誘導線5に沿って包装袋1を縦方向に略平行に(略真っ直ぐに)引き裂きやすい傾向にある。
【0036】
傷痕Bの長手方向の長さ(すなわち、包装袋1の縦方向に略平行な方向の長さ)dbは、0.02~2.0mmであることが好ましく、より好ましくは0.05~1.0mm、さらに好ましくは0.1~0.7mmである。傷痕Bの長さdbが0.02mm以上であると、開封誘導線5に沿った包装袋1の切り裂きがより容易となる傾向にある。傷痕Bの長さdbが2.0mm以下であると、傷痕Bが目立ちにくく、包装袋表面の絵柄や文字等の妨げとなりにくいため、包装袋1はより良好な外観(デザイン性)を有するものとなる傾向にある。また、内部に収容された被包装物が見えにくいため、包装袋1は優れた隠蔽性を有するものとなる傾向にあり、易開封加工を施していない包装袋1と同様の用途に用いることができる。
傷痕Bの横方向のピッチ(すなわち、開封誘導線5間の距離)は、0.1~3.0mmであることが好ましく、より好ましくは0.2~2.0mm、さらに好ましくは0.3~1.0mmである。傷痕Bの横方向のピッチが上記範囲であると、開封誘導線5に沿って包装袋1を縦方向に略平行に(略真っ直ぐに)引き裂きやすい傾向にある。また、傷痕Bの縦方向のピッチは、0.05~3.0mmであることが好ましく、より好ましくは0.1~2.0mm、さらに好ましくは0.2~1.0mmである。傷痕Bの縦方向のピッチが上記範囲であると、開封誘導線5に沿って包装袋1を縦方向に略平行に(略真っ直ぐに)引き裂きやすい傾向にある。
【0037】
傷痕Bの長手方向の長さdbは、傷痕Aの長手方向の長さdaよりも短い方が好ましい。傷痕Bの長手方向の長さdbが傷痕Aの長手方向の長さdaよりも短いと、包装袋1を易開封部4を開封の開始点として横方向に引き裂いた後、開封誘導線5に沿って縦方向に容易に引き裂くことができる傾向にある。
傷痕Bの長手方向の長さdbと傷痕Aの長手方向の長さdaとの差db-daは、-2.98~-0.08mmであることが好ましく、より好ましくは-2.0~-0.1mm、さらに好ましくは-1.0~-0.3mmである。
【0038】
また、傷痕Bの縦方向のピッチPbvは、傷痕Aの横方向のピッチPahよりも狭い方が好ましい。傷痕Bの縦方向のピッチPbvが傷痕Aの横方向のピッチPahよりも狭いと、包装袋1を易開封部4を開封の開始点として横方向に引き裂いた後、開封誘導線5に沿って縦方向に容易に引き裂くことができる傾向にある。
傷痕Bの縦方向のピッチPbvと傷痕Aの長手方向の長さPahとの差Pbv-Pahは、-4.95~-0.25mmであることが好ましく、より好ましくは-3.0~-0.5mm、さらに好ましくは-2.0~-1.0mmである。
【0039】
[[フィルム]]
本実施形態の易開封性包装袋1を構成するフィルムは、単層フィルムであっても、積層フィルムであってもよいが、基材フィルム層と、一方の最外層としてヒートシール性樹脂フィルム層とを含む積層フィルムであることが好ましい。
【0040】
ヒートシール性樹脂フィルム層に用いられるフィルムとしては、特に限定されないが、例えば、チーグラーナッタ触媒又はメタロセン触媒等の触媒を用いて重合された、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、アタクチックポリプロピレン、イソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、プロピレン-エチレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)、エチレン系不飽和カルボン酸又はその無水物でグラフト変性されたオレフィン樹脂等のポリオレフィン系又は変性ポリオレフィン系樹脂;比較的低融点又は低軟化点のポリアミド系樹脂;比較的低融点又は低軟化点のポリエステル系樹脂等のフィルムが挙げられる。
上記フィルムは、1種単独の樹脂からなるものであっても、2種類以上の樹脂からなるものであってもよい。
ヒートシール性樹脂フィルムの厚みは、特に限定されず、収容する被包装物の種類やサイズ、形状、量等に応じて要求される接着強度によって適宜設定されてよいが、十分な接着強度を得やすいことから、5μm以上であることが好ましく、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上である。また、ヒートシール性樹脂フィルムの厚みは、開封時に粘りが生じにくいことから、100μm以下であることが好ましく、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。
【0041】
基材フィルム層に用いられるフィルムとしては、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;エチレンビニルアルコール共重合体フィルム等のビニルアルコール系樹脂等のフィルムが挙げられる。
上記フィルムは、1種単独の樹脂からなるものであっても、2種類以上の樹脂からなるものであってもよい。
これらのフィルムは、無延伸フィルムであっても、一軸延伸又は二軸延伸フィルムであってもよいが、二軸延伸フィルムであると、易開封部4を開封の開始点とした横方向(
図1の矢印(1)参照)の引き裂きと、開封誘導線5に沿った縦方向(
図1の矢印(2)参照)の引き裂きという異なる方向の引き裂きを行いやすいため好適である。
基材フィルムの厚みは、特に限定されず、収容する被包装物の種類やサイズ、形状、量等に応じて要求される強度等によって適宜設定されてよい。基材フィルムの厚みは、例えば、5~50μmであることが好ましく、より好ましくは10~30μm、さらに好ましくは12~25μmである。
【0042】
包装袋1に収容した被包装物を保存する上で、包装袋1に水蒸気、酸素等に対するガスバリア性、アロマバリア性等が要求される場合は、ガスバリア性、アロマバリア性を付与するための金属箔、ガスバリア性樹脂、蒸着フィルム等のガスバリア性層を含む積層フィルムを用いることが好ましい。
ガスバリア性層に用いられるフィルムは、1種単独であっても、2種類以上の組み合わせであってもよい。
【0043】
金属箔としては、例えば、各種表面処理鋼箔やアルミニウム等の軽金属箔が挙げられる。表面処理鋼箔としては、冷圧延鋼箔に、亜鉛メッキ、錫メッキ、ニッケルメッキ、電解クロム酸処理、クロム酸処理等の表面処理の1種叉は2種以上行なったものや、最終圧延に先立って上記メッキ処理を行い、次いで冷間圧延処理を行って得られる表面処理鋼箔等が挙げられる。軽金属箔としては、純アルミニウム箔、アルミニウム合金箔等が挙げられる。
金属箔の厚みは、2~20μmであることが好ましく、より好ましくは5~15μm、さらに好ましくは6~12μmである。
【0044】
金属箔の一方の表面には、ラミネート以外の方法による保護被覆が設けられていてもよい。保護被覆は、例えば、保護塗料を塗布することにより形成することができる。
保護塗料としては、例えば、フェノール-エポキシ塗料、アミノ-エポキシ塗料等の変性エポキシ塗料:塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体部分ケン化物、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体、エポキシ変性-ビニル塗料、エポキシアミノ変性-ビニル塗料、エポキシフェノール変性-ビニル塗料等のビニル又は変性ビニル塗料:アクリル樹脂系塗料:スチレン-ブタジエン系共重合体等の合成ゴム系塗料等が挙げられる。
保護塗料は、1種単独であっても、2種類以上の組み合わせであってもよい。
保護塗料は、例えば、エナメル若しくはラッカー等の有機溶媒溶液の形で、又は水性分散液若しくは水溶液の形で、ローラ塗装、スプレー塗装、浸漬塗装、静電塗装、電気泳動塗装等により金属箔に塗布される。保護塗料が熱硬化性樹脂を含む場合には、必要により塗料を焼付ける。
保護被覆の厚みは、耐腐食性及び加工性の観点から、乾燥状態で、0.01~10μmであることが好ましく、より好ましくは0.02~5μm、さらに好ましくは0.05~2μmである。
【0045】
ガスバリア性樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニリデン樹脂;エチレン-ビニルアルコール共重合体;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66共重合体、メタキシリレンアジパミド、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン13、ヘキサメチレンテレフタラミド/イソフタラミド共重合体等のポリアミド系樹脂等を挙げることができる。
ガスバリア性樹脂、1種単独の樹脂であっても、2種類以上の樹脂であってもよい。
ガスバリア性樹脂層の厚みは、被包装物の保護性の観点から、乾燥状態で、0.05~50μmであることが好ましく、より好ましくは0.1~25μm、さらに好ましくは0.2~15μmである。
【0046】
蒸着フィルムとしては、例えば、アルミニウム等の金属、金属酸化物、珪素等を基材フィルムに蒸着したフィルムが挙げられる。
【0047】
積層フィルムとしては、例えば、二軸延伸ポリプロピレン層/ポリオレフィン系樹脂ヒートシール層フィルム、二軸延伸ポリプロピレン層/アルミニウム箔/ポリオレフィン系樹脂ヒートシール層フィルム、二軸延伸ポリプロピレン層/アルミニウム蒸着ポリオレフィン系樹脂ヒートシール層フィルム、二軸延伸ポリプロピレン層/エチレンビニルアルコール共重合体層/ポリオレフィン系樹脂ヒートシール層フィルム、二軸延伸ポリプロピレン層/非晶質芳香族ポリアミド層/ポリオレフィン系樹脂ヒートシール層フィルム、二軸延伸ナイロン層/ポリオレフィン系樹脂ヒートシール層フィルム、二軸延伸ナイロン層/アルミニウム蒸着ポリオレフィン系樹脂ヒートシール層フィルム、二軸延伸ナイロン層/アルミニウム箔/ポリオレフィン系樹脂ヒートシール層フィルム、二軸延伸ナイロン層/エチレンビニルアルコール共重合体層/ポリオレフィン系樹脂ヒートシール層フィルム、二軸延伸ナイロン層/非晶質芳香族ポリアミド層/ポリオレフィン系樹脂ヒートシール層フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート層/ポリオレフィン系樹脂ヒートシール層フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート層/アルミニウム箔/ポリオレフィン系樹脂ヒートシール層フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート層/アルミニウム蒸着ポリオレフィン系樹脂ヒートシール層フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート層/エチレンビニルアルコール共重合体層/ポリオレフィン系樹脂ヒートシール層フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート層/非晶質芳香族ポリアミド層/ポリオレフィン系樹脂ヒートシール層フィルム、二軸延伸ポリエステル層/ポリオレフィン系樹脂ヒートシール層フィルム、二軸延伸ポリエステル層/アルミニウム箔/ポリオレフィン系樹脂ヒートシール層フィルム、二軸延伸ポリエステル層/アルミニウム蒸着ポリオレフィン系樹脂ヒートシール層フィルム、二軸延伸ポリエステル層/エチレンビニルアルコール共重合体層/ポリオレフィン系樹脂ヒートシール層フィルム、二軸延伸ポリエステル層/非晶質芳香族ポリアミド層/ポリオレフィン系樹脂ヒートシール層フィルム等が挙げられる。
【0048】
積層フィルムの製造方法は、特に限定されず、任意の従来公知の方法を用いることができ、例えば、ドライラミネーション、サンドイッチラミネーション、押出コート、共押出等が挙げられる。各層の間に十分な接着性が得られない場合には、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、酸変性オレフィン系樹脂接着剤等の接着剤樹脂を用いることができる。
【0049】
また、サンドイッチラミネーションは、任意の樹脂をフィルム間或いはフィルムと金属箔との間に押出することにより行われ、また、押出コートは、任意の樹脂をフィルム或いは金属箔の上に押出することにより行われる。押出する樹脂としては、例えば、上述のヒートシール性樹脂フィルムを構成する樹脂の1種又は2種以上、これらの樹脂と公知の充填剤とのブレンド樹脂等が挙げられ、単層押出又は共押出されて使用される。押出樹脂層を施す表面には、ウレタン系、チタネート系等のアンカー剤を施しておいてもよい。
【0050】
フィルム全体の厚みは、特に限定されず、収容する被包装物の種類やサイズ、形状、量等に応じて要求される強度、特性等によって適宜設定されてよいが、例えば、15~200μmであることが好ましく、より好ましくは20~100μm、さらに好ましくは30~75μmである。
【0051】
[易開封性包装体]
本実施形態の易開封性包装体は、上述の本実施形態の易開封性包装袋1と、該易開封性包装袋1の縦シール部2と2箇所の横シール部とにより形成された収容空間に収容された被包装物とを含む。
易開封性包装袋1に収容される被包装物は、特に限定されず、例えば、各種カード類(トレーディングカード等)、電子機器類、電子基板、ICタグ等が挙げられる。
被包装物の形状、サイズ、硬さ及び量等は、特に限定されず、被包装物の種類や用途等に応じて適宜設定されてよい。例えば、包装体の内寸とほぼ同じサイズの被包装物であってもよい。
【0052】
[易開封性包装袋の製造方法]
本実施形態の易開封性包装袋1の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下のステップを含む方法が挙げられる。
ステップ(a):フィルムに傷痕Aを形成するステップ、
ステップ(b):フィルムに傷痕Bを形成するステップ、
ステップ(c):フィルムの両側端を、シール面(ヒートシール性樹脂フィルム層)同士を対向させてシールすることにより、縦シール部2を形成するステップ、
ステップ(d):縦シール部2の形成により筒状となったフィルムの軸方向の下端部を、横方向の全長にわたってシールすることにより、下側横シール部3bを形成するステップ、及び
ステップ(e):フィルムの軸方向の上端部を、横方向の全長にわたってシールすることにより、上側横シール部3aを形成するステップ。
上記ステップは、ステップ(a)、(b)、(c)、(d)、(e)の順に行ってもよいし、例えば、ステップ(a)の傷痕Aの形成を、ステップ(b)~(e)のいずれかの後に行ってもよい。また、ステップ(d)及び(e)の横シール部の形成は、どちらを先に行ってもよいし、同時に行ってもよい。
【0053】
ステップ(a)及び(b)においてフィルムに傷痕A及び傷痕Bを作製する方法は、特に限定されず、例えば、特開平6-8966号公報に開示されるような高さ0.2~1.0mm、幅0.2~1.0mm程度で上縁端が鋭いエッジ状の微細な刃物が機械的に円盤又は円筒の円周面上に複数列千鳥状に配列加工された回転する治具と回転する受けロールとの間にフィルムを挟み、押圧する方法、50~100μm程度の粒径で鋭い角を有する硬い粒子(例えば、合成ダイヤモンド等)を円盤又は円筒の円周面上に電着した回転する治具と回転する受けロールとの間にフィルムを挟み、押圧する方法、又はサンドペーパーを円盤又は円筒の円周面上に貼り付けた回転する治具と回転する受けロールとの間にフィルムを挟み、押圧する方法等が挙げられる。
例えば、微細な刃物が円盤又は円筒の円周面上に配列加工された治具を用いる場合、傷痕Aの長手方向と傷痕Bの長手方向とが略垂直となるように各傷痕を付与するには、傷痕A用と傷痕B用とで、刃物の配列(向き)が約90度異なる治具をそれぞれ使用すればよい。
微細な傷痕A及び傷痕Bを一定位置に付与するために、包装袋1を上記の受けロールの一定位置に固定する方法としては、例えば、受けロール表面に粘着性を有する樹脂層を設ける方法、又は、受けロールを中空状とし、かつ受けロール面上には内部に貫通した微細な孔を多数設けて、受けロール内部を減圧することにより包装袋1を一時的に受けロール表面に固定する方法等が挙げられる。
【0054】
ステップ(c)、(d)及び(e)において、それぞれ縦シール部2、上側横シール部3a及び下側横シール部3bを形成する方法、すなわち、フィルムをシールする方法は、特に限定されず、ヒートシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール、溶断シール等の熱を利用してフィルムのシール面を溶融して接着する方法を用いることができる。
【0055】
[易開封性包装体の製造方法]
本実施形態の易開封性包装体の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下のステップを含む方法が挙げられる。
ステップ(a):フィルムに傷痕Aを形成するステップ、
ステップ(b):フィルムに傷痕Bを形成するステップ、
ステップ(c):フィルムの両側端を、シール面(ヒートシール性樹脂フィルム層)同士を対向させてシールすることにより、縦シール部2を形成するステップ、
ステップ(d):縦シール部2の形成により筒状となったフィルムの軸方向の下端部を、横方向の全長にわたってシールすることにより、下側横シール部3bを形成するステップ、
ステップ(x):下側横シール部3bが形成されたフィルムの、シールされていない軸方向上端部から、被包装物を充填するステップ、及び
ステップ(e):フィルムの軸方向の上端部を、横方向の全長にわたってシールすることにより、上側横シール部3aを形成するステップ。
上記ステップは、ステップ(a)、(b)、(c)、(d)、(x)、(e)の順に行ってもよいし、例えば、ステップ(a)をステップ(b)~(d)のいずれかの後に行ってもよい。また、ステップ(d)及び(e)の横シール部の形成は、どちらを先に行ってもよいし、ステップ(x)で被包装物を充填した後に同時に行ってもよい。
【0056】
ステップ(a)及び(b)においてフィルムに傷痕A及び傷痕Bを形成する方法は、特に限定されず、上述の[易開封性包装袋の製造方法]に記載の方法と同様としてよい。
また、ステップ(c)、(d)及び(e)において、それぞれ縦シール部2、上側横シール部3a及び下側横シール部3bを形成する方法、すなわち、フィルムをシールする方法は、特に限定されず、上述の[易開封性包装袋の製造方法]に記載の方法と同様としてよい。
ステップ(x)において、被包装物を充填する方法は、特に限定されず、被包装物の種類やサイズ、形状、量等に応じて適宜選択されてよい。
【0057】
[易開封性包装袋の開封方法]
本実施形態の易開封性包装袋1の開封方法は、包装袋1の前面及び後面の両方を、易開封部4から横方向に略平行(
図1の矢印(1)参照)に、開封誘導線5に至るまで又は開封誘導線5を超えて引き裂くステップ(1)と、包装袋1の後面のみを、開封誘導線5に沿ってステップ(1)とは異なる方向(
図1の矢印(2)参照、
図1の場合は矢印(1)とは略垂直な方向)に引き裂くステップ(2)とを含む。
本実施形態の易開封性包装袋1は、上記開封方法により開口を大きくすることができるため、被包装物の取り出しが容易であるとともに、開封時や取り出し時に被包装物の破損が生じにくくなっている。
【0058】
ステップ(1)において、包装袋1の側端部の未シール部分と、少なくとも一方の横シール部との堺目付近に傷痕Aが存在する場合、その堺目を引き裂き開始位置となるように該未シール部分と該横シール部とを摘まんで引き裂くと、該横シール部が引き裂きのガイドとなって横方向により平行に(より真っ直ぐに)包装袋1を引き裂きやすくなり、また、引き裂き時に被包装物に引き裂いた袋が当たることが少なく、被包装物の折れ等の変形や切れ等の破損が生じにくくなるため、好ましい。
ステップ(2)において、開封誘導線5が縦シール部2に近接して縦シール部2に略平行に設けられている場合、開封誘導線5を挟むようにして縦シール部2と引き裂かれた裏面とを摘まんで引き裂くと、縦シール部2が引き裂きのガイドとなって開封誘導線5に沿って縦方向により平行に(より真っ直ぐに)包装袋1を引き裂きやすくなるため、好ましい。
【実施例0059】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0060】
実施例及び比較例で用いた評価方法は以下のとおりである。
【0061】
[被包装物の隠蔽性]
得られた包装体について、目視にて被包装物を確認し、以下の評価基準により被包装物の隠蔽性を評価した。
[評価基準]
A(優れる):被包装物が全く見えない。
B(良好):被包装物の一部が見えるが、被包装物表面の絵柄や文字は判別できない。
C(劣る):被包装物の一部又は全体が見え、被包装物表面の絵柄や文字が判別できる。
【0062】
[易開封性]
得られた包装体について、包装袋を開封し、以下の評価基準により易開封性を評価した。
[評価基準]
A(優れる):道具(はさみ、カッター等)を使用せずに、被包装物を取り出せる程度まで手指の力のみで包装袋を開封することができ、包装袋から被包装物を取り出すことが可能な間口を確保できる。
B(良好):道具(はさみ、カッター等)を使用せずに、被包装物を取り出せる程度まで手指の力のみで包装袋を開封することはできるが、包装袋から被包装物を取り出すことが可能な間口を確保できない。
C(劣る):道具(はさみ、カッター等)を使用しないと、被包装物を取り出せる程度まで包装袋を開封することができない。
【0063】
[被包装物の破損・変形]
得られた包装体について、包装袋を開封して被包装物を取り出し、以下の評価基準により被包装物の破損を評価した。
[評価基準]
A(優れる):被包装物の変形及び破損のいずれも生じなかった。
B(良好):被包装物の破損は生じなかったが、微小な変形が生じた。
C(劣る):被包装物の破損、もしくは大きな変形が生じた。
【0064】
実施例及び比較例で用いた材料及び機器は以下のとおりである。
【0065】
[フィルム]
・OPP/vmCPPラミネートフィルム(縦135mm×横155mm):包装袋としたときに外表面となる面全体に絵柄及び文字を印刷した二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(フタムラ化学社製「FOR」)と、VMCPP(アルミニウム蒸着無延伸ポリプロピレン)フィルム(東レフィルム加工社製「2703」)とを、ウレタン系接着剤を用いてドライラミネーション法により貼り合せることにより作製した。
【0066】
[被包装物]
・カード(縦88mm×横63mm×厚み0.28mm、絵柄及び文字が両面に全体に印刷された紙製カード)
【0067】
[刃付き回転ロール]
・ロールA1:直径80mmで厚み5.5mmの金属製円盤の外周面上に、刃元幅が0.5mmで0.45mmの高さを有する先端が鋭利な微細な突起刃を、刃の長さ方向が円盤の円周方向と垂直になるようにして、円盤の厚み方向のピッチが0.5mm、円盤の円周方向のピッチが2.0mmとなるように千鳥状に7列配列した(微細突起刃が加工された目立て幅は3.5mm)、回転する円盤状ロール。
・ロールB1:直径80mmで厚み3.0mmの金属製円盤の外周面上に、刃元幅が0.3mmで0.25mm以上の高さを有する先端が鋭利な微細な突起刃を、刃の長さの方向が円盤の円周方向と平行になるようにして、円盤の厚み方向のピッチが1.0mm、円盤の円周方向のピッチが0.45mmとなるように千鳥状に3列配列した(微細突起刃が加工された目立て幅は0.3mm)、回転する円盤状ロール。
【0068】
[実施例1]
以下の手順により、包装袋(ピロー型包装袋)にカードを収容した包装体を作製した。
図2(a)に傷痕A及び傷痕Bを形成したOPP/vmCPPラミネートフィルムの概略図を、
図2(b)に後面側から見た包装体の概略図を示す。
OPP/vmCPPラミネートフィルム(以下、単に「フィルム」ともいう。)に対し、ロールA1を用いて、フィルムを貫通する多数の傷痕A(傷痕A群)を形成した。具体的には、ロールA1と、ロールA1と共に回転するゴムを被覆した受けロールとの間に、フィルムを挟み込み、ロールA1と受けロールとでフィルムを押圧することで、フィルムの縦方向全長にわたって3.5mm幅の帯状の傷痕A群を形成した。フィルムの横方向一端(以下、「左端」という。)から帯状の傷痕A群の中央までの距離は44.5mmとした。傷痕Aの長さは0.5mm、横方向のピッチは0.5mm、縦方向のピッチは2.0mmであった。
図3(a)は傷痕A群の一部の写真であり、
図3(b)は傷痕Aの写真である。
次に、ロールB1を用いて、フィルムを貫通する多数の傷痕B(傷痕B群)を形成した。具体的には、ロールB1と、ロールB1と共に回転するゴムを被覆した受けロールとの間に、傷痕A群を形成したフィルムを挟み込み、ロールB1と受けロールとでフィルムを押圧することで、フィルムの縦方向全長にわたって傷痕B群からなる3列の開封誘導線を形成した。フィルムの左端から中央の開封誘導線までの距離は17mmとした。傷痕Bの長さは0.3mm、横方向のピッチは1.0mm、縦方向のピッチは0.45mmであった。
図4(a)は傷痕B群(開封誘導線)の一部の写真であり、
図4(b)は傷痕Bの写真である。
次に、傷痕A群及び傷痕B群(開封誘導線)を形成したフィルムをvmCPP層側が内側となるように筒状に湾曲させ、重なり合うフィルムの側端部のシール面(vmCPP層側の面)同士をヒートシールすることにより、縦シール部(幅5mm)を形成した。縦シール部と開封誘導線との距離は4.5mmとした。
縦シール部が包装袋の後面中央となるように、フィルムを折り曲げた後(
図2(a)の折り目を参照)、フィルムの縦方向下端部をヒートシールすることにより、下側横シール部(幅5mm)を形成した。
開口している縦方向上端部からカード5枚を挿入した後、該上端部をヒートシールすることにより、上側横シール部(幅5mm)を形成し、包装体を得た。
各評価結果を表1に示す。なお、易開封部(傷痕A群)及び開封誘導線(傷痕B群)は包装袋表面の絵柄及び文字の妨げとならず、包装袋は良好な外観(デザイン性)を有していた。
【0069】
[実施例2]
傷痕Aの長さを1.0mmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、包装体を作製した。
各評価結果を表1に示す。なお、易開封部(傷痕A群)及び開封誘導線(傷痕B群)は包装袋表面の絵柄及び文字の妨げとならず、包装袋は良好な外観(デザイン性)を有していた。
【0070】
[実施例3]
傷痕Aの横方向ピッチを1.0mmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、包装体を作製した。
各評価結果を表1に示す。なお、易開封部(傷痕A群)及び開封誘導線(傷痕B群)は包装袋表面の絵柄及び文字の妨げとならず、包装袋は良好な外観(デザイン性)を有していた。
【0071】
[実施例4]
傷痕Bの長さを0.5mmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、包装体を作製した。
各評価結果を表1に示す。なお、易開封部(傷痕A群)及び開封誘導線(傷痕B群)は包装袋表面の絵柄及び文字の妨げとならず、包装袋は良好な外観(デザイン性)を有していた。
【0072】
[実施例5]
傷痕Bの横方向ピッチを2.0mmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、包装体を作製した。
各評価結果を表1に示す。なお、易開封部(傷痕A群)及び開封誘導線(傷痕B群)は包装袋表面の絵柄及び文字の妨げとならず、包装袋は良好な外観(デザイン性)を有していた。
【0073】
[実施例6]
縦シール部と開封誘導線との距離を6.0mmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、包装体を作製した。
各評価結果を表1に示す。なお、易開封部(傷痕A群)及び開封誘導線(傷痕B群)は包装袋表面の絵柄及び文字の妨げとならず、包装袋は良好な外観(デザイン性)を有していた。
【0074】
[実施例7]
縦シール部の位置を包装袋の側端部となるように変更(包装袋の形状を三方シール型包装袋に変更)し、開封誘導線を6列に変更したこと以外は実施例1と同様にして、包装体を作製した。
図5(a)にフィルムの概略図を、
図5(b)に後面側から見た包装体の概略図を示す。
各評価結果を表1に示す。なお、易開封部(傷痕A群)及び開封誘導線(傷痕B群)は包装袋表面の絵柄及び文字の妨げとならず、包装袋は良好な外観(デザイン性)を有していた。
【0075】
[実施例8]
傷痕Bの長さを0.5mmに、開封誘導線の列数を3列に変更したこと以外は実施例7と同様にして、包装体を作製した。
各評価結果を表1に示す。なお、易開封部(傷痕A群)及び開封誘導線(傷痕B群)は包装体表面の絵柄及び文字の妨げとならず、包装袋は良好な外観(デザイン性)を有していた。
【0076】
[比較例1]
開封誘導線(傷痕B)を設けなかったこと以外は実施例1と同様にして、包装体を作製した。
各評価結果を表1に示す。なお、易開封部(傷痕A)は包装袋表面の絵柄及び文字の妨げとならず、包装袋は良好な外観(デザイン性)を有していた。
【0077】
[比較例2]
易開封部(傷痕A)及び開封誘導線(傷痕B)を設けず、上側横シール部の下端から6.0mmの位置に刻切により開封用Vノッチ(切り込み)を設けたこと以外は実施例1と同様にして、包装体を作製した。
図6(a)に後面側から見た包装体の概略図を示す。
各評価結果を表1に示す。なお、開封用ノッチにより包装袋表面の絵柄及び文字の一部が切れて見え、包装袋の外観(デザイン性)が損なわれた。
【0078】
[比較例3]
易開封部(傷痕A)を設けず、上側横シール部の下端から6.0mmの位置に刻切により開封用Vノッチ(切り込み)を設けたこと以外は実施例1と同様にして、包装体を作製した。
図6(b)に後面側から見た包装体の概略図を示す。
各評価結果を表1に示す。なお、開封誘導線(傷痕B)は包装袋表面の絵柄及び文字の妨げとならなかったが、開封用ノッチにより包装袋表面の絵柄及び文字の一部が切れて見え、包装袋の外観(デザイン性)が損なわれた。
【0079】
本実施形態の易開封性包装袋は、表面の絵柄や文字等の妨げとなりにくい形状を有し、被包装物の隠蔽性に優れ、開封及び被包装物の取り出しが容易で、開封時又は取り出し時に被包装物の破損が生じにくいため、各種カード類(トレーディングカード等)、電子機器類、電子基板、ICタグ等の包装袋として好適に用いることができる。