(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001727
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】反転式印判
(51)【国際特許分類】
B41K 1/40 20060101AFI20241226BHJP
B41K 1/04 20060101ALI20241226BHJP
B41K 1/08 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
B41K1/40
B41K1/04 E
B41K1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101364
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】390017891
【氏名又は名称】シヤチハタ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三井 貴弘
(57)【要約】
【課題】
本発明は印字体を備えた反転体を第1の筒体から脱着自在である為、印字体を交換する際に反転体を指で把持して脱着ができ、ピンセット等の交換用工具を必要としない反転式印判を提供することを目的とする。
【解決するための手段】
第1の筒体と、前記第1の筒体に対し相対動可能な第2の筒体と、前記第1の筒体内において前記第2の筒体を突出方向に常時付勢する弾性部材と、前記相対動に連動して反転復帰する反転体と、前記反転体に設けた印字体とを備えており、前記第1の筒体には前記反転体を回転自在に枢支する溝が形成され、前記第2の筒体には、反転体の摺動及び反転動作をガイドするスリットが形成された反転式印判であって、前記溝及び前記スリットが、前記第1の筒体及び前記第2の筒体の捺印方向の端部まで連続して形成されていることを特徴とする反転式印判。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筒体と、前記第1の筒体に対し相対動可能な第2の筒体と、前記第1の筒体内において前記第2の筒体を突出方向に常時付勢する弾性部材と、前記相対動に連動して反転復帰する反転体と、前記反転体に設けた印字体とを備えており、前記第1の筒体には前記反転体を回転自在に枢支する溝が形成され、前記第2の筒体には、反転体の摺動及び反転動作をガイドするスリットが形成された反転式印判であって、
前記溝及び前記スリットが、前記第1の筒体及び前記第2の筒体の捺印方向の端部まで連続して形成されていることを特徴とする反転式印判。
【請求項2】
前記溝は、前記反転体に設けた回転軸が回転自在に係合する係合溝部と、前記係合溝部に連通し前記第1の筒体の捺印方向の端部まで連続して形成されており係合状態を解除した前記回転軸を移動可能とした移動溝部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の反転式印判。
【請求項3】
前記移動溝部は、前記係合溝部と水平又は斜め方向に連続して形成された横溝部を更に有しており、前記スリットは前記第2の筒体の端部近傍に前記横溝部に対応する拡張部を有することを特徴とする請求項2に記載の反転式印判。
【請求項4】
前記反転体には、前記第1の筒体に対して前記第2の筒体を押し込んだ状態で前記反転体を前記回転軸中心に回動させると前記回転軸が横溝部へ移動する移動補助部を設けたことを特徴とする請求項3に記載の反転式印判。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印字体を反転させて捺印を行なえるようにした反転式印判に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、反転機構によって旋回可能な活字ユニット(反転体に相当)にスタンプ活字(印字体に相当)を交換可能に備えた反転式印判の開示がある(引用文献1)。スタンプ活字を交換する際は、反転機構により活字ユニットを180度反転させた状態でスタンプ活字を活字ユニットから取外し、新たな活字ユニットを取り付ける。
【0003】
しかしながら、この交換動作を指で直接行うとインキで汚れる為、当該反転式印判には専用の交換用工具(ピンセット等)が付属されている。その為、交換時には交換用工具が必須となり、使用者にとっては煩わしくまたメーカー側にとっても製造時のコストが余分に発生することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであって、印字体を備えた反転体を脱着自在とした為、印字体を交換する際に反転体を指で把持して脱着ができ、ピンセット等の交換用工具を必要としない反転式印判を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために完成された本発明は、第1の筒体と、前記第1の筒体に対し相対動可能な第2の筒体と、前記第1の筒体内において前記第2の筒体を突出方向に常時付勢する弾性部材と、前記相対動に連動して反転復帰する反転体と、前記反転体に設けた印字体とを備えており、前記第1の筒体には前記反転体を回転自在に枢支する溝が形成され、前記第2の筒体には、反転体の摺動及び反転動作をガイドするスリットが形成された反転式印判であって、前記溝及び前記スリットが、前記第1の筒体及び前記第2の筒体の捺印方向の端部まで連続して形成されていることを特徴とする反転式印判である。
【0007】
また、前記溝は、前記反転体に設けた回転軸が回転自在に係合する係合溝部と、前記係合溝部に連通し前記第1の筒体の捺印方向の端部まで連続して形成されており係合状態を解除した前記回転軸を移動可能とした移動溝部と、を有することが好ましい。
【0008】
更に前記移動溝部は、前記係合溝部と水平又は斜め方向に連続して形成された横溝部を更に有しており、前記スリットは前記第2の筒体の端部近傍に前記横溝部に対応する拡張部を有することが好ましい。
【0009】
また前記反転体には、前記第1の筒体に対して前記第2の筒体を押し込んだ状態で前記反転体を前記回転軸中心に回動させると前記回転軸が横溝部へ移動する移動補助部を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、第1の筒体と、前記第1の筒体に対し相対動可能な第2の筒体と、前記第1の筒体内において前記第2の筒体を突出方向に常時付勢する弾性部材と、前記相対動に連動して反転復帰する反転体と、前記反転体に設けた印字体とを備えており、前記第1の筒体には前記反転体を回転自在に枢支する溝が形成され、前記第2の筒体には、反転体の摺動及び反転動作をガイドするスリットが形成された反転式印判であって、前記溝及び前記スリットが、前記第1の筒体及び前記第2の筒体の捺印方向の端部まで連続して形成されていることを特徴とする反転式印判である為、印字体を備えた反転体を第1の筒体から脱着自在である為、印字体を交換する際に反転体を指で把持して脱着ができ、ピンセット等の交換用工具を必要としない。
【0011】
また、前記溝は、前記反転体に設けた回転軸が回転自在に係合する係合溝部と、前記係合溝部に連通し前記第1の筒体の捺印方向の端部まで連続して形成されており係合状態を解除した前記回転軸を移動可能とした移動溝部と、を有する為、前記反転体が係合溝部に保持されたまま不用意に外れることが無い。
【0012】
更に前記移動溝部は、前記係合溝部と水平又は斜め方向に連続して形成された横溝部を更に有しており、前記スリットは前記第2の筒体の端部近傍に前記横溝部に対応する拡張部を有する為、不測の力が加わり、前記回転軸が係合溝部から外れたとしても第1の筒体から抜け出ることは無く、印字体による周囲の汚損を防止できる。
【0013】
また前記反転体には、前記第1の筒体に対して前記第2の筒体を押し込んだ状態で前記反転体を前記回転軸中心に回動させると前記回転軸が横溝部へ移動する移動補助部を設けている為、回転軸の係合溝部への係合解除を反転体の回動操作により行えるため脱着時の操作性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4】実施形態の第2の筒体を示す底面斜視図である。
【
図6】実施形態の反転式印判による捺印動作を説明する為の図である。
【
図7】実施形態の反転式印判の反転体を交換する際の動作を説明する為の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。
尚、本実施形態に係る反転式印判は、洗面所、台所等に設置して手を洗う前に掌に手洗いの指標・基準となる印影を施す為の据え置き型印判として説明する。
本発明において「下」とは、重力方向を指し、「上」とは、その反対側を指し、また「水平」とは、上下方向に垂直な方向を指している。
【0016】
実施形態に係る反転式印判1は、第1の筒体10と、前記第1の筒体10に対し相対動可能な第2の筒体20と、前記第1の筒体10内において前記第2の筒体20を突出方向に常時付勢する弾性部材40と、前記相対動に連動して反転復帰する反転体30と、前記反転体30に設けた印字体31とを備えており、前記第1の筒体10には前記反転体30を回転自在に枢支する溝が形成され、前記第2の筒体20には、反転体30の摺動及び反転動作をガイドするスリット21aが形成されている。
【0017】
第1の筒体10は、
図2に示すように、上端が開口した有底円筒体として形成された第1の外筒体12と、第1の外筒体の底面中央位置に一体的に形成され、第1の外筒体より径が小さく上端が開口した円筒体である第1の内筒体11とから構成されている。第1の外筒体12と第1の内筒体11の間の底面には、
図6に示すように、弾性部材であるコイルバネ40の一端が保持されており、その他端を後述する第2の筒体20の天面部23に当接することで第1の筒体10に対して第2の筒体20が常時突出する方向に付勢されている。また、図示しないが、第1の筒体10の底面外側には洗面所等に安定して設置する為に滑り止め部を設けても良い。
【0018】
また、
図2に示すように、第1の外筒体12の内壁面の上端部には等間隔で4カ所に抜け止め用リブ12aが形成されている。抜け止め用リブ12aはコイルバネ40により付勢された第2の筒体20の抜け止めとして機能するものである。また、第1の内筒体11の内壁面には、上下方向に細長いガイド溝11cが等間隔で4カ所に設けられている。ガイド溝11cは、第1の筒体10に対して第2の筒体20を相対動させる際のガイドとして機能するものである。
【0019】
さらに、
図2に示すように、第1の内筒体11の内壁面の対向する位置には1対の溝が形成されている。溝は、後述する回転体30の回転軸33を回動自在に枢支する係合溝部11aと、係合溝部11aに連続して形成され、第1の内筒体11の上端まで伸びている移動溝部11bとを有している。移動溝部11bは反転体30を交換する際に回転軸33を当該溝に沿って移動させ、第1の内筒体11から取り外す為に設けられる。
【0020】
係合溝部11aは、反転体30の回転軸33の外形に沿った丸型の溝の一部分を移動溝部11bと連通させたCの字型で形成されている。回転軸33は、このCの字型溝部の中に係合され回動自在に枢支されている。また、係合溝部11aは回転軸33の上下方向の抜け止めとして機能している。移動溝部11bは、係合溝部11aと連通して斜め上方向に伸び、第1の内筒体11上端まで連続して形成された横溝部として構成されている。また横溝部の幅は第1の内筒体11上端に至るまで回転軸33の軸径よりも大きく設計されている。
【0021】
尚、横溝部は水平方向の溝(水平溝)として形成しても良い。この場合、水平溝には上下方向又は斜め上方向に伸び、第1の内筒体11上端まで連続して形成される溝を別途設ける必要がある。この水平溝により、反転体30に不測の力が加わり、回転軸33が係合溝部11aから外れても水平溝で一時的に保持することができ、反転体30の脱落を防止することができる。
【0022】
また本発明において溝を上下方向に伸びる直線状に形成することもでき、その場合、溝の下端部で重力により反転体30の回転軸33を保持できる為、係合溝部11aは必須構成ではない。また溝を直線状に形成した場合、移動溝部11bは横溝部を有さない為、後述するスリット21aの拡張部21bを設ける必要もない。
【0023】
一方、本発明を、手で把持し紙面等に捺印する一般的な反転式印判について適用する場合、反転体30には常に重力下方向に力が作用する為、反転体30を枢支する溝には回転軸33を保持する為の係合溝部11aが必須構成となる。
【0024】
第2の筒体20は、
図1,
図3に示すように、両端が開口した円筒体として形成された第2の内筒体21と、第2の内筒体の上端に連なって水平方向外側に伸びる天面部23と、天面部23の縁から下方向に下端が開口した円筒体として形成された第2の外筒体22とから構成されている。第2の筒体20は、第1の筒体10に対して相対動可能に挿入され、第1の筒体10にその一端が当接されたコイルバネ40が天面部23にその他端が当接する事で常に突出方向に付勢されている。
【0025】
第2の内筒体21には下端から上端に至るまで長いスリット21aが形成されている。このスリット21aには、第1の内筒体11の係合溝部11bに回転自在に枢支される反転体30の回転軸33が挿通する。すなわち、
図6に示すように、第2の内筒体21内では、スリット21aを貫通する回転軸33周りの反転体30の回転が許容されている。またスリット21aの、第2の内筒体21上端部の近傍には第1の内筒体11の移動溝部11bに対応する拡張部21bが設けられている。この拡張部21bは、第1の筒体10に対して第2の筒体20を押し込んだ状態で、反転体30の回転軸33が移動溝部11bへ移動するスペースを確保する為に設けられるものである。
【0026】
第2の内筒体21の内壁部には、スリット21aに沿って、印字体31を設けた反転体30を反転動作させる反転ガイドが形成されている。本実施形態の反転ガイドは、円柱状の2つの小突起21cが上下方向に形成され、その間に略半円形の中溝21dを有して形成されている。ただし、反転体30の摺動に伴い、当該反転体30を反転させるように噛み合うギア体またはカム機構であれば、反転ガイドはここで説明される態様に限定されるものではない。
【0027】
また、
図4に示すように、第2の内筒体21の外壁部には、第1の内筒体11のガイド溝11cに対応する4カ所にガイド突起21eが形成されている。第1の筒体10に対する第2の筒体20の相対動はガイド溝11cにガイド突起21eが挿篏された状態で行われる為、ガタつきを防止し捺印動作が安定する。
【0028】
また、第2の外筒体22の外壁面の下端部には全周に亘って外側に張り出した係止リブ22aが形成されている。係止リブ22aは第1の外筒体12の抜け止め用リブ12aと係止することで、コイルバネ40により付勢された第2の筒体20の抜け止めとして機能する。
【0029】
反転体30は、
図5に示すように、本体部32と、その表面に印字体31を保持している。印字体31は、無数の連続気孔を有するスポンジゴム等の印材の一端に印面を形成してなる。この印字体31にはインキ吸蔵体が積層されており、印字体31に含浸されるインキの量が捺印の繰り返しにより減少するのに伴って、インキ吸蔵体から印字体31にインキが供給される構造となっている。また、本体32の側面には、第1の内筒体11の係合溝部11bと回転自在に枢支され、第2の内筒体21のスリット21aを摺接する回転軸33を有する。回転軸33には反転ガイドと噛み合って反転体30を反転動作させるための反転カムを設ける。反転カムは、回転軸33と隣接する2つの半円溝34と、印字体31の反対方向に突出し、回転軸33の軸線方向に伸びる半円突起35により構成されている。
【0030】
印字体31に含浸するインキは手洗いの指標・基準となるよう、掌に捺印した印影を、市販される洗浄剤を用いて30秒程度洗うと消失するものを使用する。具体的には、染料と、水と、多価アルコールと、リンタンパク質と、から少なくともなる皮膚用水性インキが挙げられる。
【0031】
当該皮膚用水性インキに用いられる多価アルコールは、蒸発性、染料溶解性、にじみ防止性等を考慮して、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチルグリコール、ヘキシルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の多価アルコールを使用することができ、これらのうちのいずれかを混合して用いることもできる。
また、リンタンパク質としては、脱脂粉乳、カゼイン、カゼインナトリウム、カゼインカルシウム、カゼインカリウム、カゼインマグネシウムから選ばれる1種又は2種以上を添加することができる。リンタンパク質を添加することにより、ヒトの皮膚に付着した場合であっても、容易に洗い落とすことができる。
尚、手洗いの指標・基準にできるものであれば上記インキに限定されず、例えば、所定時間の手洗い後に色が変わるインキでも問題なく使用できる。
【0032】
上述した構成の反転式印判1による捺印動作を、
図6を参照して説明する。
反転式印判1の第2の筒体20が押圧されていない不使用時には、第2の筒体20と第1の筒体10とがコイルバネ40の反発力により最も離れた伸長した状態にある(
図6(a))。この状態で第2の筒体20の天面部23に被捺印部(本実施例の場合は掌)を載置して捺印が行われる。天面部23をコイルバネ40の反発力に抗して押し下げると、第1の筒体10の中に第2の筒体20が入り込むように全体が縮退する。第1の筒体10に対する第2の筒体20の相対動は第1の内筒体11のガイド溝11cに第2の内筒体21のガイド突起21eが挿篏された状態で行われる為、ガタつきを防止し捺印動作が安定する。
【0033】
第2の筒体20の押圧操作に連動して反転体30の半円溝34が第2の内筒体21の下側の小突起21cに接触する。この状態で更に第2の筒体20を下動させると反転体30が回転軸33を中心に回転が開始する(
図6(b))。反転体30の回転角が90°になると、中央の半円突起35が中溝21dに入り込むようにして反転ガイドに係合する(
図6(c))。更に反転体40の回転が進むと、今度は上側の小突起21cが半円突起40bを押し下げる。これにより、最終的に第2の筒体の上端位置で反転体が180°反転し、印字体41が上を向く。印字体31と掌とが接触した状態で更に第2の筒体に上から押圧力を加えれば、印字体31のインキが掌に転写し捺印が行われる(
図6(d))。
【0034】
捺印が完了した後、第2の筒体20の押圧を開放すると、圧縮されたコイルバネ40の反発力により、第2の筒体20が初期の位置に戻る。それに連動して反転体30は反転ガイドとの係合動作とは逆の動作で印字体31が下向きに反転する。
【0035】
次に反転体30を交換する際の動作について
図7を参照し説明する。
図7(a)は第1の筒体10に対して第2の筒体20を最も縮退させた状態を示す。この状態では、第2の内筒体21の拡張部21bが、第1の内筒体11の移動溝部11bに位置している。この状態から反転体30を手動で移動溝部11bが形成されている側へ回転軸33を中心に回動させる。このとき反転体30の半円突起35は第2の内筒体21のスリット21aにより上下方向以外の移動が規制される為、半円突起35を軸中心として回転軸33には移動溝部11bの方向へ回動する力が作用する。この結果、係合溝部11aに係合していた回転軸33が解除され、移動溝部11bに移動する(
図7(b))。即ち、本実施形態においては、反転体30の半円突起35が回転軸33の移動溝部11bへの移動を補助する移動補助部となる。この状態から更に反転体30を回動させると回転軸33が移動溝部11bの斜め方向の斜面に沿って移動し、反転体30が上昇する。回転角が90°になったとき、回転軸33は溝の上端部に位置しており、この状態で反転体30の本体部32を指で把持し、上方向に引き抜けば反転体30の取外しが完了する。
【0036】
新しい印字体31を備えた反転体30を装着する際は、反転体を90°回転させた状態で回転軸33を溝の上端部から挿入する。その後、反転体30を係合溝部11aが形成されている側へ回転軸33を中心に回動させると取外し動作とは逆の動作で回転軸33が係合溝部11aに係合され、反転体30の装着が完了する。
【0037】
以上説明してきたようには本実施形態による反転式印判1は反転体30自体を脱着自在とした為、印字体31を交換する際に反転体30の本体部32を指で把持して脱着ができる為、ピンセット等の交換用工具を必要としない。
【0038】
また、本発明の技術的思想は、ここで説明された実施形態に限定して解釈されるべきではない。当業者は、本発明の要旨又は技術思想から逸脱しない範囲で、この実施形態を適宜、変更又は改良を加えることができる。そのような変更又は改良を伴う反転式印判及び関連する周辺技術は、本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【符号の説明】
【0039】
1 反転式印判
10 第1の筒体
11 第1の内筒体
11a 係合溝部
11b 移動溝部
11c ガイド溝
12 第1の外筒体
12a 抜け止め用リブ
20 第2の筒体
21 第2の内筒体
21a スリット
21b 拡張部
21c 小突起
21d 中溝
21e ガイド突起
22 第2の外筒体
22a 係止リブ
23 天面部
30 反転体
31 印字体
32 本体部
33 回転軸
34 半円溝
35 半円突起
40 コイルバネ