(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001730
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】ケーブル接続構造、スペーサ、連結電力ケーブル、およびケーブル接続構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
H02G 15/18 20060101AFI20241226BHJP
H02G 1/14 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
H02G15/18
H02G1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101367
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000213884
【氏名又は名称】住電機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100187643
【弁理士】
【氏名又は名称】白鳥 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】荒木 祐起
【テーマコード(参考)】
5G355
5G375
【Fターム(参考)】
5G355AA03
5G355BA02
5G355BA14
5G355BA18
5G375AA02
5G375CA02
5G375CA14
5G375CB07
5G375CB19
5G375CB36
5G375DB31
5G375EA17
(57)【要約】
【課題】絶縁ユニットの端部付近にスロープを容易に形成することができる。
【解決手段】ケーブル接続構造は、導体をそれぞれ有する一対の電力ケーブルと、一対の電力ケーブルの導体を接続する筒状のスリーブと、スリーブを含む領域の外周を覆うように設けられ、スリーブの周辺の絶縁性を確保する筒状の絶縁ユニットと、一対の電力ケーブルのそれぞれの外周を囲み、且つ、絶縁ユニットの軸方向の端部に接するように設けられ、絶縁ユニットの端部から導体に沿って遠ざかる方向に向けて徐々に縮径したスペーサと、を備え、スペーサは、モールド成形体により構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体をそれぞれ有する一対の電力ケーブルと、
前記一対の電力ケーブルの前記導体を接続する筒状のスリーブと、
前記スリーブを含む領域の外周を覆うように設けられ、前記スリーブの周辺の絶縁性を確保する筒状の絶縁ユニットと、
前記一対の電力ケーブルのそれぞれの外周を囲み、且つ、前記絶縁ユニットの軸方向の端部に接するように設けられ、前記絶縁ユニットの前記端部から前記導体に沿って遠ざかる方向に向けて徐々に縮径したスペーサと、
を備え、
前記スペーサは、モールド成形体により構成されている
ケーブル接続構造。
【請求項2】
前記スペーサは、熱可塑性樹脂を含む
請求項1に記載のケーブル接続構造。
【請求項3】
前記スペーサは、中空構造を有する
請求項1または請求項2に記載のケーブル接続構造。
【請求項4】
前記スペーサは、前記絶縁ユニットの軸方向に沿った中心軸を有しており、
前記スペーサは、少なくとも第1分割部と第2分割部を含み、
前記第1分割部および前記第2分割部は、前記中心軸を含む断面で分割されている
請求項1または請求項2に記載のケーブル接続構造。
【請求項5】
前記第1分割部は、前記第2分割部に対して係合するように構成されている
請求項4に記載のケーブル接続構造。
【請求項6】
前記第1分割部は、第1内周面を有し、
前記第1分割部は、前記第1内周面から前記中心軸に向かって設けられた第1リブを有し、
前記第2分割部は、第2内周面を有し、
前記第2分割部は、前記第2内周面から前記中心軸に向かって設けられた第2リブを有する
請求項4に記載のケーブル接続構造。
【請求項7】
前記第1分割部の前記第1リブは、前記第2分割部の前記第2リブに対して係合するように構成されている
請求項6に記載のケーブル接続構造。
【請求項8】
前記スペーサは、前記絶縁ユニットの軸方向に沿った中心軸を有しており、
前記スペーサは、前記絶縁ユニットの前記端部から前記導体に沿って遠ざかる方向に向けて徐々に縮径した円錐部を有し、
前記円錐部は、内周面を有し、
前記円錐部は、前記内周面から前記中心軸に向かって設けられたリブを有する
請求項1または請求項2に記載のケーブル接続構造。
【請求項9】
前記スペーサは、
前記絶縁ユニットの前記端部から前記導体に沿って遠ざかる方向に向けて徐々に縮径した円錐部と、
前記円錐部の縮径した端部に接続され、前記円錐部から遠ざかる方向に一定の直径で延在した円筒部と、
を有する
請求項1または請求項2に記載のケーブル接続構造。
【請求項10】
前記スペーサは、前記絶縁ユニットの軸方向に沿った中心軸を有しており、
前記円錐部および前記円筒部のそれぞれは、内周面を有し、
前記円錐部および前記円筒部のそれぞれは、前記内周面から前記中心軸に向かって設けられたリブを有し、
前記リブは、前記円錐部および前記円筒部にわたって延在している
請求項9に記載のケーブル接続構造。
【請求項11】
前記リブの厚みは、前記円筒部の厚みよりも小さい
請求項10に記載のケーブル接続構造。
【請求項12】
前記スペーサは、
前記絶縁ユニットの軸方向に沿った中心軸と、
前記中心軸の方向の一端に設けられた第1端と、
前記第1端と反対に設けられ、前記第1端よりも縮径した第2端と、
を有し、
前記スペーサは、前記中心軸に向かって設けられたリブを有し、
前記リブは、前記中心軸の方向に沿って前記第1端から前記第2端まで延在している
請求項1または請求項2に記載のケーブル接続構造。
【請求項13】
前記スペーサは、前記第1端において、第1の縁で囲まれた第1開口を有し、
前記リブは、前記第1の縁から前記中心軸に向かって延出している
請求項12に記載のケーブル接続構造。
【請求項14】
前記リブは、前記第1の縁から前記中心軸に直交する方向に向かって延出している
請求項13に記載のケーブル接続構造。
【請求項15】
前記リブの一部は、前記第1端において、前記第1の縁と同一平面を形成している
請求項14に記載のケーブル接続構造。
【請求項16】
前記スペーサは、前記第2端において、第2の縁で囲まれた第2開口を有し、
前記リブは、前記第2の縁から前記中心軸の方向に沿って延出している
請求項12に記載のケーブル接続構造。
【請求項17】
前記リブは、前記第2の縁から前記中心軸に平行な方向に沿って延出している
請求項16に記載のケーブル接続構造。
【請求項18】
前記リブの一部は、前記中心軸に近い位置において、前記第2の縁と同一の円筒面を形成している
請求項17に記載のケーブル接続構造。
【請求項19】
前記スペーサは、ゴムを含み、中実構造を有する
請求項1に記載のケーブル接続構造。
【請求項20】
請求項1または請求項2に記載のケーブル接続構造に用いられる
スペーサ。
【請求項21】
請求項1または請求項2に記載のケーブル接続構造を少なくとも1つ備えた
連結電力ケーブル。
【請求項22】
導体をそれぞれ有する一対の電力ケーブルを準備する工程と、
前記一対の電力ケーブルの前記導体を、筒状のスリーブにより接続する工程と、
前記スリーブの周辺の絶縁性を確保する絶縁ユニットを、前記スリーブを含む領域の外周を覆うように配置する工程と、
前記絶縁ユニットの軸方向の端部から前記導体に沿って遠ざかる方向に向けて徐々に縮径したスペーサを、前記一対の電力ケーブルの外周を囲み、且つ、前記絶縁ユニットの前記端部に接するように配置する工程と、
を備え、
前記スペーサを配置する工程では、
前記スペーサとして、モールド成形体により構成された部材を用いる
ケーブル接続構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ケーブル接続構造、スペーサ、連結電力ケーブル、およびケーブル接続構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブル接続構造において、導体を接続するスリーブを含む領域の外周を覆うように、当該スリーブの周辺の絶縁性を確保する筒状の絶縁ユニットが設けられる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、絶縁ユニットの軸方向の端部付近にスロープを容易に形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、
導体をそれぞれ有する一対の電力ケーブルと、
前記一対の電力ケーブルの前記導体を接続する筒状のスリーブと、
前記スリーブを含む領域の外周を覆うように設けられ、前記スリーブの周辺の絶縁性を確保する筒状の絶縁ユニットと、
前記一対の電力ケーブルのそれぞれの外周を囲み、且つ、前記絶縁ユニットの軸方向の端部に接するように設けられ、前記絶縁ユニットの前記端部から前記導体に沿って遠ざかる方向に向けて徐々に縮径したスペーサと、
を備え、
前記スペーサは、モールド成形体により構成されている
ケーブル接続構造が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、絶縁ユニットの軸方向の端部付近にスロープを容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、電力ケーブルを示す概略断面図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施形態に係るケーブル接続構造を示す導体の軸方向に沿った概略断面図である。
【
図3】
図3は、本開示の一実施形態に係るケーブル接続構造の一部を拡大した概略断面図である。
【
図4】
図4は、本開示の一実施形態に係るケーブル接続構造の一部を拡大した概略断面図である。
【
図5A】
図5Aは、本開示の一実施形態に係るスペーサを示す概略斜視図である。
【
図5B】
図5Bは、本開示の一実施形態に係るスペーサを示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
<発明者の得た知見>
まず、発明者の得た知見について説明する。
【0009】
ケーブル接続構造では、絶縁ユニットの軸方向の端部に設けられた端面は、例えば、特許文献1に記載のように、絶縁ユニットの中心軸に対して垂直に設けられることがあった。これにより、電力ケーブルを通すための拡径パイプを、絶縁ユニットの中空部内に油圧により挿入する際に、絶縁ユニットの垂直な端面により当該絶縁ユニットを支持していた。
【0010】
ここで、ケーブル接続構造の絶縁ユニットの外側には、絶縁性の確保のため、自己融着テープおよび熱収縮チューブなどの少なくともいずれかを含む保護部を設ける必要があった。しかしながら、上述した絶縁ユニットの垂直な端面が、電力ケーブルの外周から径方向に急峻に立ち上がるように配置されるため、当該絶縁ユニットの垂直な端面の周りに、隙間なく保護部を設けることが困難となっていた。そこで、従来では、絶縁ユニットの軸方向の端部付近に、テープを巻き付けることにより、円錐状のスロープを形成していた。これにより、当該スロープに対して保護部を隙間なく形成していた。
【0011】
しかしながら、従来の構成では、絶縁ユニットの軸方向の端部付近における円錐状のスロープを形成するためのテープ巻き作業が困難となっていた。具体的には、作業者が手作業でテープを巻き付けていたため、複数箇所でスロープの形状を均等にすることが困難となっていた。そのため、テープ巻き作業には、作業者の高度な熟練を要していた。
【0012】
以下の本開示は、本開示者等が見出した上記知見に基づくものである。
【0013】
<本開示の実施態様>
次に、本開示の実施態様を列記して説明する。
【0014】
[1]本開示の一態様に係るケーブル接続構造は、
導体をそれぞれ有する一対の電力ケーブルと、
前記一対の電力ケーブルの前記導体を接続する筒状のスリーブと、
前記スリーブを含む領域の外周を覆うように設けられ、前記スリーブの周辺の絶縁性を確保する筒状の絶縁ユニットと、
前記一対の電力ケーブルのそれぞれの外周を囲み、且つ、前記絶縁ユニットの軸方向の端部に接するように設けられ、前記絶縁ユニットの前記端部から前記導体に沿って遠ざかる方向に向けて徐々に縮径したスペーサと、
を備え、
前記スペーサは、モールド成形体により構成されている。
この構成によれば、絶縁ユニットの軸方向の端部付近にスロープを容易に形成することができる。
【0015】
[2]上記[1]に記載のケーブル接続構造において、
前記スペーサは、熱可塑性樹脂を含む。
この構成によれば、スペーサを容易にモールド成形することができる。
【0016】
[3]上記[1]または[2]に記載のケーブル接続構造において、
前記スペーサは、中空構造を有する。
この構成によれば、スペーサをモールド成形する際に、樹脂のヒケを抑制することができる。
【0017】
[4]上記[1]から[3]のいずれか1つに記載のケーブル接続構造において、
前記スペーサは、前記絶縁ユニットの軸方向に沿った中心軸を有しており、
前記スペーサは、少なくとも第1分割部と第2分割部を含み、
前記第1分割部および前記第2分割部は、前記中心軸を含む断面で分割されている。
この構成によれば、第1分割部および第2分割部を、電力ケーブルの外周よりも外側から嵌め合わせることができる。
【0018】
[5]上記[4]に記載のケーブル接続構造において、
前記第1分割部は、前記第2分割部に対して係合するように構成されている。
この構成によれば、スペーサから手を離したとしても、電力ケーブルの外周にスペーサを保持することができる。
【0019】
[6]上記[4]または[5]に記載のケーブル接続構造において、
前記第1分割部は、第1内周面を有し、
前記第1分割部は、前記第1内周面から前記中心軸に向かって設けられた第1リブを有し、
前記第2分割部は、第2内周面を有し、
前記第2分割部は、前記第2内周面から前記中心軸に向かって設けられた第2リブを有する。
この構成によれば、電力ケーブルの外周に、分割されたスペーサを安定的に支持することができる。
【0020】
[7]上記[6]に記載のケーブル接続構造において、
前記第1分割部の前記第1リブは、前記第2分割部の前記第2リブに対して係合するように構成されている。
この構成によれば、スペーサから手を離したとしても、電力ケーブルの外周にスペーサを保持することができる。
【0021】
[8]上記[1]から[7]のいずれか1つに記載のケーブル接続構造において、
前記スペーサは、前記絶縁ユニットの軸方向に沿った中心軸を有しており、
前記スペーサは、前記絶縁ユニットの前記端部から前記導体に沿って遠ざかる方向に向けて徐々に縮径した円錐部を有し、
前記円錐部は、内周面を有し、
前記円錐部は、前記内周面から前記中心軸に向かって設けられたリブを有する。
この構成によれば、保護部の応力がスペーサに加わったとしても、リブによりスペーサの形状を維持することができる。
【0022】
[9]上記[1]から[8]のいずれか1つに記載のケーブル接続構造において、
前記スペーサは、
前記絶縁ユニットの前記端部から前記導体に沿って遠ざかる方向に向けて徐々に縮径した円錐部と、
前記円錐部の縮径した端部に接続され、前記円錐部から遠ざかる方向に一定の直径で延在した円筒部と、
を有する。
この構成によれば、スペーサの中空部内の熱の籠りを抑制することができる。
【0023】
[10]上記[9]に記載のケーブル接続構造において、
前記スペーサは、前記絶縁ユニットの軸方向に沿った中心軸を有しており、
前記円錐部および前記円筒部のそれぞれは、内周面を有し、
前記円錐部および前記円筒部のそれぞれは、前記内周面から前記中心軸に向かって設けられたリブを有し、
前記リブは、前記円錐部および前記円筒部にわたって延在している。
この構成によれば、スペーサに対して中心軸の方向の応力が加わったとしても、リブによりスペーサの形状を維持することができる。
【0024】
[11]上記[10]に記載のケーブル接続構造において、
前記リブの厚みは、前記円筒部の厚みよりも小さい。
この構成によれば、スペーサに加わる応力をリブに逃がすことができる。
【0025】
[12]上記[1]から[11]のいずれか1つに記載のケーブル接続構造において、
前記スペーサは、
前記絶縁ユニットの軸方向に沿った中心軸と、
前記中心軸の方向の一端に設けられた第1端と、
前記第1端と反対に設けられ、前記第1端よりも縮径した第2端と、
を有し、
前記スペーサは、前記中心軸に向かって設けられたリブを有し、
前記リブは、前記中心軸の方向に沿って前記第1端から前記第2端まで延在している。
この構成によれば、スペーサに対して中心軸の方向の応力が加わったとしても、リブによりスペーサの形状を維持することができる。
【0026】
[13]上記[12]に記載のケーブル接続構造において、
前記スペーサは、前記第1端において、第1の縁で囲まれた第1開口を有し、
前記リブは、前記第1の縁から前記中心軸に向かって延出している。
この構成によれば、絶縁ユニットに当接させたリブにより、スペーサを支持することができる。
【0027】
[14]上記[13]に記載のケーブル接続構造において、
前記リブは、前記第1の縁から前記中心軸に直交する方向に向かって延出している。
この構成によれば、絶縁ユニットに当接させたリブにより、スペーサを支持することができる。
【0028】
[15]上記[14]に記載のケーブル接続構造において、
前記リブの一部は、前記第1端において、前記第1の縁と同一平面を形成している。
この構成によれば、絶縁ユニットに当接させたリブにより、スペーサを支持することができる。
【0029】
[16]上記[12]から[15]のいずれか1つに記載のケーブル接続構造において、
前記スペーサは、前記第2端において、第2の縁で囲まれた第2開口を有し、
前記リブは、前記第2の縁から前記中心軸の方向に沿って延出している。
この構成によれば、スペーサの中心軸に近い位置において、半導電テープ層に当接させたリブにより、スペーサを支持することができる。
【0030】
[17]上記[16]に記載のケーブル接続構造において、
前記リブは、前記第2の縁から前記中心軸に平行な方向に沿って延出している。
この構成によれば、スペーサの中心軸に近い位置において、半導電テープ層に当接させたリブにより、スペーサを支持することができる。
【0031】
[18]上記[17]に記載のケーブル接続構造において、
前記リブの一部は、前記中心軸に近い位置において、前記第2の縁と同一の円筒面を形成している。
この構成によれば、スペーサの中心軸に近い位置において、半導電テープ層に当接させたリブにより、スペーサを支持することができる。
【0032】
[19]上記[1]に記載のケーブル接続構造において、
前記スペーサは、ゴムを含み、中実構造を有する。
この構成によれば、ケーブル接続構造20の屈曲性および剛性を両立することができる。
【0033】
[20]本開示の他の態様に係るスペーサは、
上記[1]から[19]のいずれか1つに記載のケーブル接続構造に用いられる。
この構成によれば、絶縁ユニットの軸方向の端部付近にスロープを容易に形成することができる。
【0034】
[21]本開示の更に他の態様に係る連結電力ケーブルは、
上記[1]から[19]のいずれか1つに記載のケーブル接続構造を少なくとも1つ備えている。
この構成によれば、絶縁ユニットの軸方向の端部付近にスロープを容易に形成することができる。
【0035】
[22]本開示の更に他の態様に係るケーブル接続構造の製造方法は、
導体をそれぞれ有する一対の電力ケーブルを準備する工程と、
前記一対の電力ケーブルの前記導体を、筒状のスリーブにより接続する工程と、
前記スリーブの周辺の絶縁性を確保する絶縁ユニットを、前記スリーブを含む領域の外周を覆うように配置する工程と、
前記絶縁ユニットの軸方向の端部から前記導体に沿って遠ざかる方向に向けて徐々に縮径したスペーサを、前記一対の電力ケーブルの外周を囲み、且つ、前記絶縁ユニットの前記端部に接するように配置する工程と、
を備え、
前記スペーサを配置する工程では、
前記スペーサとして、モールド成形体により構成された部材を用いる。
この構成によれば、絶縁ユニットの軸方向の端部付近にスロープを容易に形成することができる。
【0036】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の一実施形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0037】
<本開示の一実施形態>
(1)連結電力ケーブルおよびケーブル接続構造
本開示の一実施形態に係る連結電力ケーブル10およびケーブル接続構造(ケーブル接続部)20の概略構成について、
図1から
図5Aを参照して説明する
【0038】
図2から
図4では、ケーブル接続構造20の下側半分の構成が省略されている。
図2から
図4において、段剥ぎされた電力ケーブル100は、側面が示されている。
図2から
図4では、一部のハッチングを省略している。
【0039】
図2に示すように、本実施形態の連結電力ケーブル10は、例えば、複数の電力ケーブル100と、少なくとも1つケーブル接続構造20と、を有している。
【0040】
以下において、電力ケーブル100の「軸方向」とは、電力ケーブル100の中心軸に沿った方向のことをいい、電力ケーブル100の長手方向と言い換えることができる。電力ケーブル100の「径方向」とは、電力ケーブル100等の軸方向に垂直な方向のことをいい、場合によっては電力ケーブル100の短手方向と言い換えることができる。ケーブル接続構造20を構成するその他の筒状部材などについても、電力ケーブル100と同様の用語を用いる。
【0041】
(第1電力ケーブルおよび第2電力ケーブル)
図1に示すように、電力ケーブル100は、陸上または地中における高電圧の送電ケーブルである固体絶縁ケーブルとして構成されている。電力ケーブル100は、例えば、CVケーブル(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル、Cross-Linked Polyethylene insulated Vinylchloride sheath cable、XLPEケーブルともいう)として構成されている。
【0042】
具体的には、電力ケーブル100は、例えば、導体110、ケーブル内部半導電層120、ケーブル絶縁層130、ケーブル外部半導電層140、吸水層(不図示)、ケーブル金属遮蔽層150、およびケーブルシース160を、導体110の中心軸に近い領域から外周に向けてこの順で有している。ケーブル絶縁層130は、ポリエチレンなどのポリオレフィンを含んでいる。ポリオレフィンは架橋されていてもよい。ケーブル金属遮蔽層150は、例えば、金属被、又は、銅ワイヤ若しくは銅テープの巻付層である。
【0043】
導体110は、例えば、複数の導体素線(符号不図示)を有している。導体素線は、例えば、銅、アルミのうち少なくともいずれかを含んでいる。
【0044】
図2に示すように、電力ケーブル100は、導体110の軸方向の先端から反対に向けて段階的に剥がされている(いわゆる“段剥ぎ”されている)。すなわち、導体110、ケーブル内部半導電層120、ケーブル絶縁層130、ケーブル外部半導電層140、ケーブル金属遮蔽層150、およびケーブルシース160は、導体110の軸方向の先端から反対に向けてこの順で露出している。以下、段剥ぎされた各部を「露出部」ということがある。このような構成により、電力ケーブル100同士を中心軸に近い領域から外周に向けて順番に接続することができる。
【0045】
図2に示すように、電力ケーブル100は、複数設けられている。複数の電力ケーブル100のうち、一対の電力ケーブル100は、互いの導体110の軸を一致させて突き合わせられている。以下において、当該一対の電力ケーブル100のうちの1つの電力ケーブル100を「第1電力ケーブル100a」といい、他の電力ケーブル100を「第2電力ケーブル100b」ということがある。
【0046】
(ケーブル接続構造)
図2に示すように、ケーブル接続構造20は、例えば、3相交流における、いわゆる絶縁接続部として、一対の電力ケーブル100を接続するよう構成されている。具体的には、ケーブル接続構造20は、例えば、上述した一対の電力ケーブル100と、スリーブ(導体接続管)200と、絶縁ユニット(絶縁筒、ゴム接続筒、ゴムユニット)300と、スペーサ500と、保護部400と、を有している。
【0047】
(スリーブ)
スリーブ200は、例えば、筒状の金属管として構成され、一対の電力ケーブル100の導体110同士を接続し、一対の導体110のそれぞれの先端を囲むように設けられている。筒状のスリーブ200は、中空部の中央に隔壁(符号不図示)を有していてもよい。
【0048】
例えば、一対のケーブル絶縁層130の間の空間を埋めるように、半導電テープが巻き付けられていてもよい。これにより、後述の絶縁ユニット300の面圧不整を抑制することができる。
【0049】
(絶縁ユニット)
絶縁ユニット300は、例えば、絶縁性の筒状部材として構成され、スリーブ200を含む領域の外周を覆うように設けられている。
【0050】
絶縁ユニット300は、例えば、いわゆる常温収縮型または工場拡径型として構成されている。すなわち、絶縁ユニット300は、一体としてモールドされた弾性材料を有し、常温で弾性的に収縮して電力ケーブル100の接続部分に密着するようになっている。
【0051】
絶縁ユニット300は、例えば、スリーブ200の周囲の絶縁性を確保しつつ、スリーブ200の周囲の電界を緩和するよう構成されている。具体的には、絶縁ユニット300は、例えば、内部半導電層320と、絶縁ユニット絶縁層340と、外部半導電層380と、を有している。
【0052】
内部半導電層320は、スリーブ200の外周を覆うように筒状に構成されている。内部半導電層320は、例えば、半導電性を有するゴムを含んでいる。内部半導電層320は、スリーブ200と等電位となる。
【0053】
絶縁ユニット絶縁層340は、内部半導電層320、第1電力ケーブル100aの一部、および第2電力ケーブル100bの一部のそれぞれの外周を覆うように設けられている。絶縁ユニット絶縁層340は、例えば、絶縁性を有するゴムを含んでいる。
【0054】
外部半導電層380は、当該絶縁ユニット300の外側の領域に設けられ、絶縁ユニット絶縁層340、第1電力ケーブル100aの一部、および第2電力ケーブル100bの一部のそれぞれの外周を覆うように設けられている。外部半導電層380は、半導電性を有するゴムを含んでいる。
【0055】
外部半導電層380は、例えば、ストレスコーン部360を有している。ストレスコーン部360は、絶縁ユニット絶縁層340の軸方向の両端のそれぞれに近い位置に設けられている。ストレスコーン部360は、絶縁ユニット絶縁層340の軸方向の中央に向けて拡径したコーン形状の内周面を有している。ストレスコーン部360の内周面の一部は、段剥ぎされた電力ケーブル100のケーブル外部半導電層140の露出部に接している。
【0056】
このような絶縁ユニット300の構成により、スリーブ200の周囲を電気的に遮蔽しつつ、ケーブル外部半導電層140の先端の電界を緩和することができる。
【0057】
ここで、本実施形態では、外部半導電層380は、第1電力ケーブル100aおよび第2電力ケーブル100bの軸方向に分離された少なくとも1つの分離部SPを有している。ここでの分離部SPは、例えば、第2電力ケーブル100bに近い位置に1つ設けられている。分離部SPは、例えば、第1電力ケーブル100aに近い領域と第2電力ケーブル100bに近い領域とを分離している。これにより、第1電力ケーブル100aの遮蔽と第2電力ケーブル100bの遮蔽との間で、絶縁ユニット300を電気的に分離することができる。
【0058】
本実施形態では、絶縁ユニット300の軸方向の第1端には、当該絶縁ユニット300の中心軸に対して直交した第1端面390aが設けられている。一方、絶縁ユニット300の軸方向の第1端と反対の第2端には、当該絶縁ユニット300の中心軸に対して直交した第2端面390bが設けられている。このような絶縁ユニット300の垂直な第1端面390aおよび第2端面390bは、例えば、上述のように、電力ケーブル100を通すための拡径パイプを、絶縁ユニット300の中空部内に油圧により挿入する際の、支持面として用いられる。
【0059】
(スペーサ)
スペーサ500は、例えば、絶縁ユニット300の軸方向の第1端および第2端のそれぞれの付近に設けられ、滑らかなスロープを形成している。本実施形態のスペーサ500については、詳細を後述する。
【0060】
(保護部)
保護部400は、絶縁ユニット300の外周と、スペーサ500の外周と、一対の電力ケーブル100のそれぞれの一部外周と、を覆うように設けられ、これらの外側を保護するよう構成されている。本実施形態の保護部400については、詳細を後述する。
【0061】
(2)絶縁ユニットよりも外側の構成
次に、
図2から
図5Bを参照し、ケーブル接続構造20の絶縁ユニット300よりも外側の構成について説明する。
【0062】
(スペーサ)
図2から
図5Bに示すように、スペーサ500は、例えば、一対の電力ケーブル100のそれぞれの外周を囲み、且つ、絶縁ユニット300の軸方向の端部に接するように設けられている。スペーサ500は、例えば、絶縁ユニット300の軸方向の端部から導体110に沿って遠ざかる方向に向けて徐々に縮径している。これにより、絶縁ユニット300の外周から電力ケーブル100の外周に向けて緩やかに傾斜したスロープ(傾斜面、円錐面)を形成することができる。
【0063】
以下、第1電力ケーブル100aの外周を囲むスペーサ500を「第1スペーサ500a」といい、第2電力ケーブル100bの外周を囲むスペーサ500を「第2スペーサ500b」という。
【0064】
本実施形態では、スペーサ500は、例えば、モールド成形体により構成されている。これにより、絶縁ユニット300の軸方向の端部付近においてスロープを容易に形成することができる。
【0065】
本実施形態では、スペーサ500は、例えば、熱可塑性樹脂を含んでいる。これにより、スペーサ500を容易にモールド成形することができる。
【0066】
スペーサ500を構成する材料は、例えば、モールド成形可能な所定の融点を有している。一方で、スペーサ500を構成する材料は、例えば、保護部400を形成するときの熱に対する耐熱性を有している。スペーサ500を構成する材料は、例えば、保護部400を形成するときの保護部400の応力(収縮力、締め付け力)に耐える剛性を有している。スペーサ500を構成する材料は、例えば、ケーブル接続構造20の実使用温度(例えば60℃以上70℃以下)に対する耐熱性を有している。さらには、スペーサ500を構成する材料は、例えば、長期的な通電による熱変形に耐える剛性も有している。
【0067】
なお、スペーサ500を構成する材料は、例えば、絶縁性を有していてもよいし、或いは、半導電性または導電性を有していてもよい。
【0068】
以上の要件を満たす熱可塑性樹脂としては、例えば、ナイロン、ポリカーボネート、フェノール樹脂などが挙げられる。特に、ナイロンは、上述の要件を満たすとともに、自由な成形が容易となる。
【0069】
本実施形態では、スペーサ500は、例えば、中空構造を有している。これにより、モールド成形時の樹脂のヒケを抑制することができる。
【0070】
スペーサ500は、上述の中空構造において、中心軸CAと、第1端E1と、第2端E2と、を有している。スペーサ500の中心軸CAは、絶縁ユニット300の軸方向に沿って配置される。第1端E1は、スペーサ500の中心軸CAの方向の一端に設けられている。第2端E2は、第1端E1と反対に設けられ、第1端E1よりも縮径している。
【0071】
スペーサ500は、上述の中空構造において、内周面ISと、外周面OSと、を有している。内周面ISは、中心軸CAを向く面である。外周面OSは、内周面ISと反対の面である。
【0072】
スペーサ500は、第1端E1において、第1の縁R1で囲まれた第1開口を有している。スペーサ500は、第2端E2において、第2の縁R2で囲まれた第2開口を有している。
【0073】
本実施形態では、スペーサ500は、例えば、少なくとも第1分割部512と、第2分割部514と、を含んでいる。第1分割部512および第2分割部514は、中心軸CAを含む断面で分割されている。これにより、第1分割部512および第2分割部514を、電力ケーブル100の外周よりも外側から嵌め合わせることができる。その結果、電力ケーブル100の外側で嵌め合わされたスペーサ500により、絶縁ユニット300の軸方向の端部付近においてスロープを容易に形成することができる。
【0074】
以下、第1分割部512における内周面ISを「第1内周面IS1」ともいい、第2分割部514における内周面ISを「第2内周面IS2」ともいう。
【0075】
本実施形態では、
図2から
図5Bに示すように、スペーサ500は、例えば、円錐部520と、円筒部540と、把持部560と、を有している。
【0076】
円錐部520は、例えば、円錐状に構成され、当該スペーサ500の軸方向に徐々に縮径している。円錐部520の拡径した端部は、絶縁ユニット300の軸方向の端部に接するように配置される。
【0077】
円筒部540は、例えば、円筒状に構成され、円錐部520の縮径した端部に接続され、円錐部520から遠ざかる方向に一定の直径で延在している。
【0078】
把持部560は、例えば、円筒部540を挟んで円錐部520と反対に設けられ、電力ケーブル100の外周を把持するよう構成されている。具体的には、把持部560は、例えば、円筒部540から更に縮径している。把持部560の縮径した端部(後述の第2の縁R2)は、ケーブル外部半導電層140の露出部を覆った後述の半導電テープ層480の外周に当接している。上述のような把持部560により、スペーサ500の中心軸と電力ケーブル100の中心軸とを一致させて、スペーサ500の位置を固定することができる。
【0079】
以上のように、スペーサ500が2段構造を有していることで、スペーサ500の中空部内に形成される空気層の容積を小さくすることができる。これにより、スペーサ500の中空部内の熱の籠りを抑制することができる。
【0080】
本実施形態では、円錐部520、円筒部540および把持部560のそれぞれは、例えば、リブ580を有している。
【0081】
リブ580は、例えば、板状に構成され、内周面ISから中心軸CAに向かって設けられている。これにより、後述する保護部形成工程S50において、スペーサ500の周りに、保護部400としての内側保護層430および遮水性熱収縮チューブ層450を形成するときに、内側保護層430および遮水性熱収縮チューブ層450の応力(収縮力、締め付け力)がスペーサ500に加わったとしても、リブ580によりスペーサ500の形状を維持することができる。その結果、スペーサ500の破損を抑制することができる。
【0082】
リブ580は、例えば、中心軸CAの方向に沿って第1端E1から第2端E2まで延在している。すなわち、リブ580は、例えば、円錐部520、円筒部540および把持部560にわたって延在している。これにより、後述する保護部形成工程S50において、スペーサ500に対して中心軸CAの方向の応力が加わったとしても、リブ580によりスペーサ500の形状を維持することができる。
【0083】
リブ580の厚みは、例えば、円筒部540の厚みよりも小さい。これにより、後述する保護部形成工程S50において、スペーサ500に対して応力が加わったとしても、円筒部540よりもリブ580のほうを撓みやすくすることができる。これにより、スペーサ500に加わる応力をリブ580に逃がすことができる。その結果、円筒部540の破損を抑制することができる。
【0084】
リブ580は、例えば、第1の縁R1から中心軸CAに向かって延出している。リブ580は、例えば、第1の縁R1から中心軸CAに直交する方向に向かって延出している。リブ580の一部は、例えば、第1端E1において、第1の縁R1と同一平面を形成している。当該リブ580の一部を絶縁ユニット300の軸方向の端面に安定的に当接させることができる。これにより、後述する保護部形成工程S50において、スペーサ500に対して中心軸CAの方向の応力が加わったとしても、絶縁ユニット300に当接させたリブ580により、スペーサ500を支持することができる。
【0085】
リブ580は、例えば、第2の縁R2から中心軸CAの方向に沿って延出している。リブ580は、例えば、第2の縁R2から中心軸CAに平行な方向に向かって延出している。リブ580の一部は、例えば、中心軸CAに近い位置において、第2の縁R2と同一の円筒面を形成している。当該リブ580の一部を、ケーブル外部半導電層140の露出部を覆った後述の半導電テープ層480の外周に安定的に当接させることができる。これにより、後述する保護部形成工程S50において、スペーサ500に対して中心軸CAに向かう径方向の応力が加わったとしても、半導電テープ層480に当接させたリブ580により、スペーサ500を支持することができる。
【0086】
リブ580は、例えば、複数設けられている。具体的には、リブ580は、例えば、スペーサ500の中心軸の周りに4回対称の位置に設けられている。
【0087】
第1分割部512は、例えば、3つの第1リブ582を有している。第1リブ582は、例えば、第1内周面IS1から中心軸CAに向かって設けられている。
【0088】
第2分割部514は、例えば、3つの第2リブ584を有している。第2リブ584は、例えば、第2内周面IS2から中心軸CAに向かって設けられている。
【0089】
第1分割部512における2つの第1リブ582と、第2分割部514における2つの第2リブ584とは、例えば、スペーサ500の中心軸CAを含む断面を挟んで、互いに当接している。
【0090】
このように、第1分割部512および第2分割部514がそれぞれ第1リブ582および第2リブ584を有することで、電力ケーブル100の外周に、分割されたスペーサ500を安定的に支持することができる。
【0091】
ここで、本実施形態では、第1分割部512は、例えば、第2分割部514に対して係合するように構成されている。一方で、第2分割部514も、第1分割部512に対して係合するように構成されていてもよい。
【0092】
具体的には、第1分割部512の第1リブ582は、例えば、第2分割部514の第2リブ584に対して係合するように構成されている。第1分割部512の第1リブ582は、例えば、爪部583を有している。第1リブ582の爪部583は、第2分割部514の第2リブ584に引っかかるように構成されている。
【0093】
一方で、中心軸CAを挟んで第1リブ582の爪部583と反対において、第2分割部514の第2リブ584は、例えば、第1分割部512の第1リブ582に対して係合するように構成されていてもよい。第2分割部514の第2リブ584は、例えば、爪部585を有している。第2リブ584の爪部585は、第1分割部512の第1リブ582に引っかかるように構成されている。
【0094】
このような構成により、第1分割部512の第1リブ582と、第2分割部514の第2リブ584とを係合させることで、第1分割部512と第2分割部514とを容易に結合させることができる。これにより、スペーサ500から手を離したとしても、第1分割部512と第2分割部514とを結合させた状態で、電力ケーブル100の外周にスペーサ500を保持することができる。すなわち、スペーサ500の取り付けを容易に行うことが可能となる。
【0095】
(遮蔽構造)
図2から
図4に示すように、ケーブル接続構造20は、例えば、電気的な遮蔽構造として、半導電テープ層480と、第1遮蔽層410(太点線)と、第2遮蔽層420(太点線)と、を有している
【0096】
(半導電テープ層)
半導電テープ層480は、例えば、スペーサ500と電力ケーブル100との間で、電力ケーブル100のケーブル外部半導電層140の露出部の外周を覆うように、半導電テープを巻き付けることにより構成されている。半導電テープ層480は、例えば、絶縁ユニット300のストレスコーン部360の端部に接続されている。これにより、ケーブル外部半導電層140と、半導電テープ層480と、ストレスコーン部360とを電気的に接続することができる。また、後述の銅メッシュテープからなる第1遮蔽層410または第2遮蔽層420と、ケーブル外部半導電層140との間におけるクッション層として半導電テープ層480を機能させることができる。さらには、半導電テープ層480の外径と、スペーサ500の把持部560の内径およびリブ580の内径とを一致させることで、スペーサ500の台座として半導電テープ層480を機能させることができる。
【0097】
(第1遮蔽層)
第1遮蔽層410は、例えば、第1電力ケーブル100aのケーブル金属遮蔽層150に接続され、第1電力ケーブル100aに近い領域を電気的に遮蔽するよう構成されている。第1遮蔽層410は、例えば、銅メッシュテープにより構成されている。
【0098】
図2および
図3に示すように、本実施形態では、第1遮蔽層410は、例えば、第1電力ケーブル100aのケーブル外部半導電層140の露出部の外周と、スペーサ500の外周と、絶縁ユニット300の外部半導電層380の外周と、を連続的に覆うように設けられている。第1遮蔽層410により、第1電力ケーブル100aのケーブル金属遮蔽層150と、絶縁ユニット300の外部半導電層380と、を確実に接続することができる。
【0099】
(第2遮蔽層)
第2遮蔽層420は、例えば、第2電力ケーブル100bのケーブル金属遮蔽層150に接続され、第2電力ケーブル100bに近い領域を電気的に遮蔽するよう構成されている。第2遮蔽層420は、例えば、第1遮蔽層410と同様に、銅メッシュテープにより構成されている。
【0100】
図2および
図4に示すように、本実施形態では、第2遮蔽層420は、例えば、スペーサ500と第2電力ケーブル100bとの間で第2電力ケーブル100bのケーブル外部半導電層140の露出部の外周を覆うように設けられ、絶縁ユニット300のストレスコーン部360に接続されている。第2遮蔽層420は、例えば、半導電テープ層480の外周上に設けられている。第2遮蔽層420により、第2電力ケーブル100bのケーブル金属遮蔽層150と、絶縁ユニット300のストレスコーン部360と、を確実に接続することができる。
【0101】
上述の遮蔽構造において、第1遮蔽層410と第2遮蔽層420とは、例えば、絶縁ユニット300の分離部SPにより電気的に分離されている。これにより、第1遮蔽層410および第2遮蔽層420により、それぞれ、第1電力ケーブル100aの外周および第2電力ケーブル100bの外周を遮蔽しつつ、第1電力ケーブル100aの遮蔽と、第2電力ケーブル100bの遮蔽とを電気的に分離することができる。
【0102】
(接地構造)
上述の遮蔽構造が設けられた状態で、絶縁ユニット300の軸方向の外側では、第1電力ケーブル100aのケーブル金属遮蔽層150、および、第2電力ケーブル100bのケーブル金属遮蔽層150が、それぞれ、接地線(不図示)により接地系統に接続される。ケーブル金属遮蔽層150と接地線との接続部分を「遮蔽処理部」ともいう。クロスボンド接地の場合には、第1電力ケーブル100aの遮蔽および第2電力ケーブル100bの遮蔽のそれぞれは、隣接区間における他の相の遮蔽に接続される。
【0103】
(保護部)
本実施形態では、保護部400は、例えば、複数層により構成されている。具体的には、保護部400は、例えば、内側保護層430と、遮水性熱収縮チューブ層450と、を有している。
【0104】
内側保護層430は、例えば、常温収縮チューブおよび自己融着テープのうち少なくともいずれかにより構成されている。内側保護層430は、例えば、第1電力ケーブル100aのケーブル金属遮蔽層150における遮蔽処理部、第1スペーサ500a、絶縁ユニット300、第2スペーサ500b、および、第2電力ケーブル100bのケーブル金属遮蔽層150における遮蔽処理部を含む領域の外周を覆うように設けられている。内側保護層430は、複数層設けられていてもよい。このような内側保護層430により、ケーブル接続構造20の外側部分における絶縁性を確保することができる。
【0105】
遮水性熱収縮チューブ層450は、例えば、金属遮水層と樹脂層とを有する熱収縮チューブにより構成されている。遮水性熱収縮チューブ層450は、例えば、シートの長辺をファスナーにより結合することによりチューブ状に構成されていてもよい。遮水性熱収縮チューブ層450は、例えば、第1電力ケーブル100aのケーブル金属遮蔽層150に接続された接地線、第1スペーサ500a、絶縁ユニット300、第2スペーサ500b、第2電力ケーブル100bのケーブル金属遮蔽層150に接続された接地線を含む全体領域を連続的に覆うように設けられている。このように遮水性熱収縮チューブ層450がケーブル接続構造20の全体を覆うことで、ケーブル接続構造20の外傷を抑制し、ケーブル接続構造20の形状安定性および遮水性を確保することができる。
【0106】
(3)ケーブル接続構造の製造方法(連結電力ケーブルの製造方法、ケーブル接続方法)
次に、
図1から
図5Aを参照し、本実施形態に係るケーブル接続構造20の製造方法について説明する。
【0107】
本実施形態のケーブル接続構造20の製造方法は、例えば、準備工程S10と、導体接続工程S20と、絶縁ユニット配置工程S30と、絶縁ユニット外部形成工程S40と、保護部形成工程S50と、を有している。
【0108】
(S10:準備工程)
まず、ケーブル接続構造20を構成する一対の電力ケーブル100、スリーブ200、絶縁ユニット300、スペーサ500、および保護部400の各層の部材を準備する。
【0109】
例えば、あらかじめ工場において、絶縁ユニット300の垂直な第1端面390aまたは第2端面390bのいずれかにより当該絶縁ユニット300を支持した状態で、絶縁ユニット300の中空部内に拡径パイプを油圧により挿入する。これにより、絶縁ユニット300を拡径しておく。
【0110】
次に、例えば、電力ケーブル100の布設現場において、一対の電力ケーブル100のそれぞれの一端から軸方向に段階的に剥がす。これにより、導体110、ケーブル絶縁層130、ケーブル外部半導電層140およびケーブルシース160を、電力ケーブル100の先端からこの順で露出させる。
【0111】
ケーブル接続構造20を構成する各部材を準備したら、絶縁ユニット300、保護部400の常温収縮チューブおよび遮水性熱収縮チューブのそれぞれに電力ケーブル100を通し、絶縁ユニット300、保護部400の常温収縮チューブを、電力ケーブル100の所定位置に逃がしておく。
【0112】
(S20:導体接続工程)
準備工程S10が完了したら、一対の電力ケーブル100を、スリーブ200内で互いの導体110の軸を一致させて突き合わせる。一対の電力ケーブル100を突き合わせたら、一対の電力ケーブル100の導体110同士をスリーブ200により圧縮接続する。
【0113】
なお、一対のケーブル絶縁層130の間の空間を埋めるように、半導電テープを巻き付けてもよい。
【0114】
(S30:絶縁ユニット配置工程)
導体接続工程S20が完了したら、スリーブ200の周辺の絶縁性を確保する絶縁ユニット300を、スリーブ200を含む領域の外周を覆うように設ける。具体的には、拡径パイプにより拡径された絶縁ユニット300を、スリーブ200と重なる位置に移動させる。絶縁ユニット300を所定位置に配置したら、絶縁ユニット300から拡径パイプを徐々に引き抜き、絶縁ユニット300を軸方向に徐々に縮径させていく。このようにして、スリーブ200の外周および一対の電力ケーブル100のそれぞれの一部外周を覆うように、絶縁ユニット300を配置する。
【0115】
(S40:絶縁ユニット外部形成工程)
絶縁ユニット300を配置したら、絶縁ユニット300よりも外側の部分を形成する。
【0116】
絶縁ユニット300の軸方向の外側において、電力ケーブル100のケーブル外部半導電層140の露出部の外周を覆うように、半導電テープを巻き付けることにより、半導電テープ層480を形成する。
【0117】
半導電テープ層480を形成したら、第2電力ケーブル100bのケーブル外部半導電層140の露出部の外周と、第2電力ケーブル100b上に設けられた半導電テープ層480の外周と、を覆うように、第2遮蔽層420を形成する。当該第2遮蔽層420を絶縁ユニット300のストレスコーン部360に接続する。
【0118】
第2遮蔽層420を形成したら、絶縁ユニットの軸方向の端部から導体110に沿って遠ざかる方向に向けて徐々に縮径したスペーサ500を、一対の電力ケーブル100のそれぞれの外周を囲み、且つ、絶縁ユニット300の軸方向の端部に接するように配置する。
【0119】
このとき、本実施形態では、スペーサ500として、モールド成形体により構成された部材を用いる。
【0120】
このとき、本実施形態では、半割されたスペーサ500を、電力ケーブル100の外周よりも外側から嵌め合わせることで、絶縁ユニット300の軸方向の端部付近においてスロープを形成する。
【0121】
スペーサ500を配置したら、第1電力ケーブル100aのケーブル外部半導電層140の露出部の外周と、スペーサ500の外周と、絶縁ユニット300の外部半導電層380の外周と、を連続的に覆うように、第1遮蔽層410を形成する。
【0122】
第1遮蔽層410を形成したら、第1電力ケーブル100aのケーブル金属遮蔽層150、および、第2電力ケーブル100bのケーブル金属遮蔽層150を、それぞれ、接地線により接地系統に接続する。
【0123】
(S50:保護部形成工程)
絶縁ユニット外部形成工程S40が完了したら、保護部400を形成する。
【0124】
具体的には、常温収縮チューブを絶縁ユニット300と重なる位置に移動させる。常温収縮チューブを所定位置に移動させたら、常温収縮チューブを収縮させる。或いは、絶縁ユニット300を含む所定領域の外周に自己融着テープを巻き付ける。これにより、第1電力ケーブル100aのケーブル金属遮蔽層150における遮蔽処理部、第1スペーサ500a、絶縁ユニット300、第2スペーサ500b、および、第2電力ケーブル100bのケーブル金属遮蔽層150における遮蔽処理部を含む領域の外周を覆うように、内側保護層430を形成する。
【0125】
内側保護層430を形成したら、絶縁ユニット300を含む所定領域の外周に遮水性熱収縮チューブとなるシートを巻き付け、当該シートの長辺をファスナーにより結合させる。上述のように遮水性熱収縮チューブを所定位置に配置させたら、遮水性熱収縮チューブを熱収縮させる。これにより、第1電力ケーブル100aのケーブル金属遮蔽層150に接続された接地線、第1スペーサ500a、絶縁ユニット300、第2スペーサ500b、第2電力ケーブル100bのケーブル金属遮蔽層150に接続された接地線を含む全体領域を覆うように、遮水性熱収縮チューブ層450を形成する。
【0126】
以上により、本実施形態のケーブル接続構造20および連結電力ケーブル10が製造される。
【0127】
(4)本実施形態のまとめ
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
【0128】
(a)本実施形態では、スペーサ500は、一対の電力ケーブル100のそれぞれの外周を囲み、且つ、絶縁ユニット300の軸方向の端部に接するように設けられている。スペーサ500は、絶縁ユニット300の軸方向の端部から導体110に沿って遠ざかる方向に向けて徐々に縮径している。
【0129】
本実施形態では、スペーサ500は、モールド成形体により構成されている。これにより、モールド成形体として、あらかじめ外形が定められた状態のスペーサ500を電力ケーブル100の外周に被せるだけで、絶縁ユニット300の外周から電力ケーブル100の外周に向けて緩やかに傾斜したスロープを容易に形成することができる。
【0130】
モールド成形体としてのスペーサ500を使用することで、従来のスロープを形成するためのテープ巻き作業を不要とすることができる。
【0131】
スペーサ500をモールド成形することで、同じ形状を有する複数のスペーサ500を容易に形成することができる。これにより、複数箇所において、絶縁ユニット300の軸方向の端部付近のスロープの形状を均等にすることができる。
【0132】
上述のようなスペーサ500を使用することで、スロープ形成作業における高度な熟練を不要とすることができる。
【0133】
このように、絶縁ユニット300の軸方向の端部付近にスロープを容易に形成することで、絶縁ユニット300およびスペーサ500を含む領域の外周に追従するように、保護部400を安定的に形成することができる。すなわち、絶縁ユニット300およびスペーサ500と、保護部400との間における隙間の発生を抑制することができる。その結果、ケーブル接続構造20を容易かつ安定的に製造することが可能となる。
【0134】
(b)本実施形態では、スペーサ500は、熱可塑性樹脂を含んでいる。これにより、スペーサ500を容易にモールド成形することができる。すなわち、同じ形状を有する複数のスペーサ500を容易に形成することができる。その結果、絶縁ユニット300の軸方向の端部付近におけるスロープの形状安定性および再現性を向上させることができる。
【0135】
(c)本実施形態では、スペーサ500は、中空構造を有している。これにより、スペーサ500を構成する樹脂を少なくしつつ、電力ケーブル100の外周よりも外側におけるスロープを容易に嵩上げすることができる。
【0136】
スペーサ500をモールド成形する際に、中空構造によりスペーサ500を形成することで、樹脂のヒケを抑制することができる。
【0137】
さらには、スペーサ500を構成する樹脂を少なくすることで、ケーブル接続構造20を軽量化することができる。また、スペーサ500の材料コストを削減することができる。
【0138】
(d)本実施形態では、スペーサ500は、円錐部520と、円筒部540と、を有している。円錐部520は、当該スペーサ500の軸方向に徐々に縮径している。円筒部540は、円錐部520の縮径した端部に接続され、円錐部520から遠ざかる方向に一定の直径で延在している。このように、スペーサ500が2段構造を有していることで、スペーサ500の中空部内に形成される空気層の容積を小さくすることができる。これにより、スペーサ500の中空部内の熱の籠りを抑制することができる。その結果、熱籠りに起因した絶縁性能の低下を抑制することが可能となる。
【0139】
スペーサ500において、一定の直径で延在した円筒部540を設けることで、保護部400としての収縮チューブまたはテープなどにより円筒部540を安定的に締め付けさせ、保護部400としての収縮チューブまたはテープなどのずれを抑制することができる。
【0140】
スペーサ500において円筒部540を設けることで、保護部400としての収縮チューブまたはテープなどを、スペーサ500の円筒部540に安定的に当接させることができる。これにより、保護部400としての収縮チューブまたはテープなどと、スペーサ500との間における隙間の発生を抑制することができる。その結果、絶縁ユニット300の外側において絶縁性能を安定的に確保することが可能となる。
【0141】
さらに、スペーサ500が2段構造を有していることで、スペーサ500の外側を凹ませることができる。これにより、絶縁ユニット300の軸方向の外側において、電力ケーブル100のケーブル金属遮蔽層150に接地線を接続する遮蔽処理における作業スペースを容易に確保することができる。
【0142】
<本開示の他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について具体的に説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0143】
上述の実施形態では、連結電力ケーブル10が有する1つのケーブル接続構造20について説明した。しかしながら、連結電力ケーブル10は複数のケーブル接続構造20を有していてもよい。
【0144】
上述の実施形態では、ケーブル接続構造20が3相交流に適用される場合について説明した。しかしながら、ケーブル接続構造20は、直流に適用されていてもよい。
【0145】
上述の実施形態では、スペーサ500が熱可塑性樹脂を含み中空構造を有している場合について説明したが、本開示はこの場合に限られない。スペーサ500は、例えば、ゴムを含み、中実構造を有していてもよい。これにより、ケーブル接続構造20の屈曲性および剛性を両立することができる。さらに、スペーサ500が中空構造を有しないことで、中空部に起因した熱籠りを抑制することができる。
【0146】
上述の実施形態では、スペーサ500が円錐部520と円筒部540とを有する場合について説明したが、本開示はこの場合に限られない。スペーサ500がモールド成形体により構成されていれば、スペーサ500は、例えば、円錐部520のみを有していてもよい。ただし、上述したように、スペーサ500が円錐部520と円筒部540とを有していたほうが、熱籠り抑制などの効果を得ることができる。
【0147】
上述の実施形態では、第1分割部512の第1リブ582が第2分割部514と係合する爪部583を有し、第2分割部514の第2リブ584が第1分割部512と係合する爪部585を有している場合について説明したが、本開示はこの場合に限られない。第1分割部512の第1リブ582および第2分割部514の第2リブ584は、例えば、クリップにより互いに係合するように構成されていてもよい。
【0148】
上述の実施形態では、ケーブル接続構造20が絶縁接続部に適用される場合について説明したが、ケーブル接続構造20は、絶縁ユニット300が分離部SPを有しない普通接続部に適用されてもよい。この場合、上述の実施形態と異なる遮蔽構造が設けられていてもよい。具体的には、第1電力ケーブル100aの一部外周と、第1スペーサ500aの外周と、絶縁ユニット300の外部半導電層380の外周と、を連続的に覆うように、外側遮蔽層が設けられていてもよい。さらに、各スペーサ500と各電力ケーブル100との間で各電力ケーブル100の一部外周を覆い、絶縁ユニット300の各ストレスコーン部360に接続するように、内側遮蔽層が設けられていてもよい。
【0149】
上述の一実施形態では、保護部400が2層構造を有する場合について説明したが、本開示はこの場合に限られない。保護部400は、例えば、3つ以上の層を有していてもよい。或いは、保護部400は、構成する1層が他の層の役割を兼ねることにより、2つ以下の層により構成されていてもよい。
【0150】
上述の一実施形態では、保護部400の最外層が遮水性熱収縮チューブ層450である場合について説明したが、本開示はこの場合に限られない。保護部400の最外層は、例えば、銅管であってもよい。
【0151】
<付記>
以下、本開示の態様を付記する。
【0152】
(付記1)
導体をそれぞれ有する一対の電力ケーブルと、
前記一対の電力ケーブルの前記導体を接続する筒状のスリーブと、
前記スリーブを含む領域の外周を覆うように設けられ、前記スリーブの周辺の絶縁性を確保する筒状の絶縁ユニットと、
前記一対の電力ケーブルのそれぞれの外周を囲み、且つ、前記絶縁ユニットの軸方向の端部に接するように設けられ、前記絶縁ユニットの前記端部から前記導体に沿って遠ざかる方向に向けて徐々に縮径したスペーサと、
を備え、
前記スペーサは、モールド成形体により構成されている
ケーブル接続構造。
【0153】
(付記2)
前記スペーサは、熱可塑性樹脂を含む
付記1に記載のケーブル接続構造。
【0154】
(付記3)
前記スペーサは、ナイロンを含む
付記2に記載のケーブル接続構造。
【0155】
(付記4)
前記スペーサは、中空構造を有する
付記1から付記3のいずれか1つに記載のケーブル接続構造。
【0156】
(付記5)
前記スペーサは、前記絶縁ユニットの軸方向に沿った中心軸を有しており、
前記スペーサは、少なくとも第1分割部と第2分割部を含み、
前記第1分割部および前記第2分割部は、前記中心軸を含む断面で分割されている
付記1から付記4のいずれか1つに記載のケーブル接続構造。
【0157】
(付記6)
前記第1分割部は、前記第2分割部に対して係合するように構成されている
付記5に記載のケーブル接続構造。
【0158】
(付記7)
前記第1分割部は、第1内周面を有し、
前記第1分割部は、前記第1内周面から前記中心軸に向かって設けられた第1リブを有し、
前記第2分割部は、第2内周面を有し、
前記第2分割部は、前記第2内周面から前記中心軸に向かって設けられた第2リブを有する
付記5または付記6に記載のケーブル接続構造。
【0159】
(付記8)
前記第1分割部の前記第1リブは、前記第2分割部の前記第2リブに対して係合するように構成されている
付記7に記載のケーブル接続構造。
【0160】
(付記9)
前記スペーサは、前記絶縁ユニットの軸方向に沿った中心軸を有しており、
前記スペーサは、前記絶縁ユニットの前記端部から前記導体に沿って遠ざかる方向に向けて徐々に縮径した円錐部を有し、
前記円錐部は、内周面を有し、
前記円錐部は、前記内周面から前記中心軸に向かって設けられたリブを有する
付記1から付記8のいずれか1つに記載のケーブル接続構造。
【0161】
(付記10)
前記スペーサは、
前記絶縁ユニットの前記端部から前記導体に沿って遠ざかる方向に向けて徐々に縮径した円錐部と、
前記円錐部の縮径した端部に接続され、前記円錐部から遠ざかる方向に一定の直径で延在した円筒部と、
を有する
付記1から付記9のいずれか1つに記載のケーブル接続構造。
【0162】
(付記11)
前記スペーサは、前記絶縁ユニットの軸方向に沿った中心軸を有しており、
前記円錐部および前記円筒部のそれぞれは、内周面を有し、
前記円錐部および前記円筒部のそれぞれは、前記内周面から前記中心軸に向かって設けられたリブを有し、
前記リブは、前記円錐部および前記円筒部にわたって延在している
付記10に記載のケーブル接続構造。
【0163】
(付記12)
前記リブの厚みは、前記円筒部の厚みよりも小さい
付記11に記載のケーブル接続構造。
【0164】
(付記13)
前記スペーサは、
前記絶縁ユニットの軸方向に沿った中心軸と、
前記中心軸の方向の一端に設けられた第1端と、
前記第1端と反対に設けられ、前記第1端よりも縮径した第2端と、
を有し、
前記スペーサは、前記中心軸に向かって設けられたリブを有し、
前記リブは、前記中心軸の方向に沿って前記第1端から前記第2端まで延在している
付記1から付記12のいずれか1つに記載のケーブル接続構造。
【0165】
(付記14)
前記スペーサは、前記第1端において、第1の縁で囲まれた第1開口を有し、
前記リブは、前記第1の縁から前記中心軸に向かって延出している
付記13に記載のケーブル接続構造。
【0166】
(付記15)
前記リブは、前記第1の縁から前記中心軸に直交する方向に向かって延出している
付記14に記載のケーブル接続構造。
【0167】
(付記16)
前記リブの一部は、前記第1端において、前記第1の縁と同一平面を形成している
付記15に記載のケーブル接続構造。
【0168】
(付記17)
前記スペーサは、前記第2端において、第2の縁で囲まれた第2開口を有し、
前記リブは、前記第2の縁から前記中心軸の方向に沿って延出している
付記13から付記16のいずれか1つに記載のケーブル接続構造。
【0169】
(付記18)
前記リブは、前記第2の縁から前記中心軸に平行な方向に沿って延出している
付記17に記載のケーブル接続構造。
【0170】
(付記19)
前記リブの一部は、前記中心軸に近い位置において、前記第2の縁と同一の円筒面を形成している
付記18に記載のケーブル接続構造。
【0171】
(付記20)
前記一対の電力ケーブルのうちの第1電力ケーブルのケーブル金属遮蔽層に接続され、前記第1電力ケーブルに近い領域を電気的に遮蔽する第1遮蔽層と、
前記一対の電力ケーブルのうちの第2電力ケーブルのケーブル金属遮蔽層に接続され、前記第2電力ケーブルに近い領域を電気的に遮蔽する第2遮蔽層と、
を有し、
前記絶縁ユニットは、当該絶縁ユニットの外側の領域に設けられ、半導電性を有する外部半導電層を有し、
前記外部半導電層は、
前記絶縁ユニットの軸方向の両端のそれぞれに近い位置に設けられ、前記絶縁ユニットの軸方向の中央に向けて拡径したコーン形状の内周面をするストレスコーン部と、
前記第2電力ケーブルに近い位置に設けられ、前記第1電力ケーブルおよび前記第2電力ケーブルの軸方向に分離された少なくとも1つの分離部と、
を有し、
前記第1遮蔽層は、前記第1電力ケーブルの一部外周と、前記スペーサの外周と、前記絶縁ユニットの前記外部半導電層の外周と、を連続的に覆うように設けられ、
前記第2遮蔽層は、前記スペーサと前記第2電力ケーブルとの間で前記第2電力ケーブルの一部外周を覆うように設けられ、前記ストレスコーン部に接続されている
付記1から付記19のいずれか1つに記載のケーブル接続構造。
【0172】
(付記21)
前記スペーサは、ゴムを含み、中実構造を有する
付記1に記載のケーブル接続構造。
【0173】
(付記22)
付記1から付記21のいずれか1つに記載のケーブル接続構造に用いられる
スペーサ。
【0174】
(付記23)
付記1から付記21のいずれか1つに記載のケーブル接続構造を少なくとも1つ備えた
連結電力ケーブル。
【0175】
(付記24)
導体をそれぞれ有する一対の電力ケーブルを準備する工程と、
前記一対の電力ケーブルの前記導体を、筒状のスリーブにより接続する工程と、
前記スリーブの周辺の絶縁性を確保する絶縁ユニットを、前記スリーブを含む領域の外周を覆うように配置する工程と、
前記絶縁ユニットの軸方向の端部から前記導体に沿って遠ざかる方向に向けて徐々に縮径したスペーサを、前記一対の電力ケーブルの外周を囲み、且つ、前記絶縁ユニットの前記端部に接するように配置する工程と、
を備え、
前記スペーサを配置する工程では、
前記スペーサとして、モールド成形体により構成された部材を用いる
ケーブル接続構造の製造方法。
【符号の説明】
【0176】
10 連結電力ケーブル
20 ケーブル接続構造
100 電力ケーブル
100a 第1電力ケーブル
100b 第2電力ケーブル
110 導体
120 ケーブル内部半導電層
130 ケーブル絶縁層
140 ケーブル外部半導電層
150 ケーブル金属遮蔽層
160 ケーブルシース
200 スリーブ
300 絶縁ユニット
320 内部半導電層
340 絶縁ユニット絶縁層
360 ストレスコーン部
380 外部半導電層
390a 第1端面
390b 第2端面
400 保護部
410 第1遮蔽層
420 第2遮蔽層
430 内側保護層
450 遮水性熱収縮チューブ層
480 半導電テープ層
500 スペーサ
500a 第1スペーサ
500b 第2スペーサ
512 第1分割部
514 第2分割部
520 円錐部
540 円筒部
560 把持部
580 リブ
582 第1リブ
583 爪部
584 第2リブ
585 爪部
CA 中心軸
E1 第1端
E2 第2端
IS 内周面
IS1 第1内周面
IS2 第2内周面
OS 外周面
R1 第1の縁
R2 第2の縁
SP 分離部