(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017316
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】火災抑制ペーパー分配システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A62C 35/10 20060101AFI20250129BHJP
B64D 11/02 20060101ALI20250129BHJP
A62C 3/08 20060101ALI20250129BHJP
A47K 10/34 20060101ALI20250129BHJP
A47K 10/26 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
A62C35/10
B64D11/02
A62C3/08
A47K10/34 Z
A47K10/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024094809
(22)【出願日】2024-06-12
(31)【優先権主張番号】18/357,351
(32)【優先日】2023-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マッキントッシュ, ダーレン カール
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189BC03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】輸送体の内部キャビンの化粧室、ギャレーなどの中の火災抑制ペーパー分配システム及び方法に関する。
【解決手段】ペーパー分配システム200及び方法が、巻かれたペーパー218のロールを保持するように構成された内部チャンバ213を画定する一又は複数のハウジング202を含む。一又は複数のハウジング202は、内面及び巻かれたペーパー218の縁部が分配可能である開口部217を含む。膨張材料230は、一又は複数のハウジング202に連結される。膨張材料230は、所定の温度に露出されたことに応答して、一又は複数のハウジング202内の開口部217を含めた開いたエリアを充填して閉鎖するために、拡張するように構成される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペーパー分配システム(120、200)であって、
巻かれたペーパー(218)のロール(216)を保持するように構成された内部チャンバ(213)を画定する一又は複数のハウジング(202)であって、前記一又は複数のハウジング(202)が、内面(228)、及び前記巻かれたペーパー(218)の縁部が分配可能である開口部(217)を備える、一又は複数のハウジング(202)と、
前記一又は複数のハウジング(202)に連結された膨張材料(230)であって、前記膨張材料(230)が、所定の温度に露出されたことに応答して、前記一又は複数のハウジング(202)内の前記開口部(217)を含めた開いたエリアを充填して閉鎖するために、拡張するように構成された、膨張材料(230)と
を含む、ペーパー分配システム(120、200)。
【請求項2】
前記膨張材料(230)が、前記内面(228)の少なくとも一部分を覆う、請求項1に記載のペーパー分配システム(120、200)。
【請求項3】
前記膨張材料(230)が、前記内面(228)の全体を覆う、請求項1に記載のペーパー分配システム(120、200)。
【請求項4】
前記ペーパー分配システム(120、200)が、輸送体の内部キャビン内に配置される、請求項1に記載のペーパー分配システム(120、200)。
【請求項5】
前記ペーパー分配システム(120、200)が、前記内部キャビンの化粧室(100)又はギャレー内にある、請求項4に記載のペーパー分配システム(120、200)。
【請求項6】
前記巻かれたペーパー(218)が、手動で分配されるように構成されている、請求項1に記載のペーパー分配システム(120、200)。
【請求項7】
前記巻かれたペーパー(218)が、自動的に分配されるように構成されている、請求項1に記載のペーパー分配システム(120、200)。
【請求項8】
前記一又は複数のハウジング(202)が、
基部(204)、
前記基部から延在する一又は複数の壁、及び
前記一又は複数の壁に移動可能に連結されたドア(210)
を備え、前記ドア(210)が、閉位置と開位置との間で移動可能であり、前記膨張材料(230)が、前記基部、前記一又は複数の壁、及び前記ドア(210)に連結される、請求項1に記載のペーパー分配システム(120、200)。
【請求項9】
前記膨張材料(230)が、前記一又は複数のハウジング(202)の前記内面(228)を覆う、請求項1に記載のペーパー分配システム(120、200)。
【請求項10】
前記一又は複数のハウジング(202)が、前記膨張材料(230)と一体的に形成されている、請求項1に記載のペーパー分配システム(120、200)。
【請求項11】
前記一又は複数のハウジング(202)が、2つ以上のハウジング(202)を含む、請求項1に記載のペーパー分配システム(120、200)。
【請求項12】
キャビネットを更に備え、前記2つ以上のハウジング(202)が、前記キャビネット内に配置される、請求項11に記載のペーパー分配システム(120、200)。
【請求項13】
輸送体であって、
内部キャビンと、
前記内部キャビン内に配置されたペーパー分配システム(120、200)であって、前記ペーパー分配システム(120、200)が、
巻かれたペーパー(218)のロール(216)を保持するように構成された内部チャンバ(213)を画定する一又は複数のハウジング(202)であって、前記一又は複数のハウジング(202)が、内面(228)、及び前記巻かれたペーパー(218)の縁部が分配可能である開口部(217)を備える、一又は複数のハウジング(202)、及び
前記一又は複数のハウジング(202)に連結された膨張材料(230)であって、前記膨張材料(230)が、所定の温度に露出されたことに応答して、前記一又は複数のハウジング(202)内の前記開口部(217)を含めた開いたエリアを充填して閉鎖するために、拡張するように構成された、膨張材料(230)
を含む、ペーパー分配システム(120、200)と
を備える、輸送体。
【請求項14】
前記膨張材料(230)が、前記内面(228)の全体を覆う、請求項13に記載の輸送体。
【請求項15】
前記ペーパー分配システム(120、200)が、前記内部キャビンの化粧室(100)又はギャレー内にある、請求項13に記載の輸送体。
【請求項16】
前記巻かれたペーパー(218)が、自動的に分配されるように構成されている、請求項13に記載の輸送体。
【請求項17】
前記一又は複数のハウジング(202)が、
基部(204)、
前記基部から延在する一又は複数の壁、及び
前記一又は複数の壁に移動可能に連結されたドア(210)
を備え、前記ドア(210)が、閉位置と開位置との間で移動可能であり、前記膨張材料(230)が、前記基部、前記一又は複数の壁、及び前記ドア(210)に連結される、請求項13に記載の輸送体。
【請求項18】
前記一又は複数のハウジング(202)が、2つ以上のハウジング(202)を含む、請求項13に記載の輸送体。
【請求項19】
前記ペーパー分配システム(120、200)が、キャビネットを更に備え、前記2つ以上のハウジング(202)が、前記キャビネット内に配置される、請求項18に記載の輸送体。
【請求項20】
ペーパー分配方法であって、
巻かれたペーパー(218)のロール(216)を保持するように構成された内部チャンバ(213)を画定する一又は複数のハウジング(202)に膨張材料(230)を連結することであって、前記一又は複数のハウジング(202)が、内面(228)、及び前記巻かれたペーパー(218)の縁部が分配可能である開口部(217)を備え、前記膨張材料(230)が、所定の温度に露出されたことに応答して、前記一又は複数のハウジング(202)内の前記開口部(217)を含めた開いたエリアを充填して閉鎖するために、拡張するように構成された、膨張材料(230)を連結することを含む、ペーパー分配方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施例は、概して、輸送体の内部キャビンの化粧室、ギャレーなどの中の火災抑制ペーパー分配システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]民間航空機は、様々な場所間で乗客を搬送するために使用される。典型的な民間航空機は、内部キャビン内に、一又は複数の化粧室、一又は複数のギャレーなどを含む。
【0003】
[0003]ペーパーディスペンサが、航空機の内部キャビンの至る所に位置し得る。例えば、内部キャビン内の化粧室は、トイレットペーパーディスペンサ、及びハンドタオルディスペンサを含む。別の例では、内部キャビン内のギャレーは、ハンドタオルディスペンサを含む。
【0004】
[0004]特定のペーパータオルディスペンサは、一又は複数の比較的大きなペーパータオルロールを収容する。ロールは、火を伝搬する相当な量の燃料を潜在的に提供する。このことは、(例えば、米連邦航空局(FAA)によって発布された)飛行機認可のための厳重な火災封じ込め要件を満たすために、航空機上にかかるディスペンサを設置するときに考慮される。起こり得るシナリオでは、悪意を有する人は、分配されたペーパータオルの露出された底縁に火を付ける可能性があり、次いで、火はペーパータオルロール(一又は複数)の上方へ燃え、それにより、ペーパータオルが点火されて危険な状態を作り出す。
【発明の概要】
【0005】
[0005]ペーパーディスペンサ内での火災を効果的かつ効率的に抑制するためのシステム及び方法に対するニーズが存在する。更に、民間航空機内での様々な火災封じ込め要件を満たす火災抑制ペーパー分配システムに対するニーズが存在する。
【0006】
[0006]これらのニーズを念頭に置き、本開示の特定の実施例は、巻かれたペーパーのロールを保持するように構成された内部チャンバを画定する一又は複数のハウジングを含むペーパー分配システムを提供する。一又は複数のハウジングは、内面、及び巻かれたペーパーの縁部が分配可能である開口部を含む。一又は複数のハウジングに、膨張材料が連結される。膨張材料は、所定の温度に露出されたことに応答して、一又は複数のハウジング内の開口部を含めた開いたエリアを充填して閉鎖するために、拡張するように構成される。
【0007】
[0007]少なくとも1つの実施例では、膨張材料は、内面の少なくとも一部分を覆う。少なくとも1つの更なる実施例では、膨張材料は、内面の全体を覆う。
【0008】
[0008]ペーパー分配システムは、輸送体の内部キャビン内に配置され得る。例えば、ペーパー分配システムは、内部キャビンの化粧室又はギャレー内にあり得る。
【0009】
[0009]巻かれたペーパーは、手動で分配されるように構成され得る。任意選択的に、巻かれたペーパーは、自動的に分配されるように構成され得る。
【0010】
[0010]一又は複数のハウジングは、基部、基部から延在する一又は複数の壁、及び一又は複数の壁に移動可能に連結されたドアを含み得る。ドアは、閉位置と開位置との間で移動可能である。膨張材料は、基部、一又は複数の壁、及びドアに連結される。
【0011】
[0011]少なくとも1つの実施例では、膨張材料は、一又は複数のハウジングの内面を覆う。少なくとも1つの実施例では、一又は複数のハウジングは、膨張材料と一体的に形成される。
【0012】
[0012]一又は複数のハウジングは、2つ以上のハウジングを含み得る。ペーパー分配システムは、キャビネットも含み得る。2つ以上のハウジングは、キャビネット内に配置され得る。
【0013】
[0013]本開示の特定の実施例は、本明細書に記載のように、内部キャビン、及び内部キャビン内に配置されたペーパー分配システムを含む、輸送体を提供する。
【0014】
[0014]本開示の特定の実施例は、巻かれたペーパーのロールを保持するように構成された内部チャンバを画定する一又は複数のハウジングに膨張材料を連結することであって、一又は複数のハウジングが、内面、及び巻かれたペーパーの縁部が分配可能である開口部を備え、膨張材料が、所定の温度に露出されたことに応答して、一又は複数のハウジング内の開口部を含めた開いたエリアを充填して閉鎖するために、拡張するように構成された、膨張材料を連結することを含む、ペーパー分配方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】[0015]本開示の一実施例に係る、航空機の正面斜視図である。
【
図2】[0016]本開示の一実施例に係る、化粧室の内部斜視図である。
【
図3】[0017]本開示の一実施例に係る、ペーパー分配システムの正面等角図である。
【
図4】[0018]本開示の一実施例に係る、通常動作中のペーパー分配システムの内部側面図である。
【
図5】[0019]本開示の一実施例に係る、ペーパーが点火したときのペーパー分配システムの内部側面図である。
【
図6】[0020]本開示の一実施例に係る、膨張材料が拡張した状態の、ペーパー分配システムの内部側面図である。
【
図7】[0021]本開示の一実施例に係る、ペーパー分配システムの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0022]上記概要、及び特定の実施形態の以下の詳細な記載は、添付の図面と併せて読むことにより、より良く理解されよう。本明細書において、単数形で、及び、「1つの(「a」又は「an」)」という語の後に記載される要素又はステップは、複数のかかる要素又はステップを必ずしも除外しないと理解すべきである。更に、「一実施形態(one embodiment)」への言及は、記載されている特徴を同様に組み込む追加の実施形態の存在を除外すると解釈されることを意図していない。更に、明示的に反対のことが述べられていない限り、特定の条件を有する一又は複数の要素を「備える(comprising)」又は「有する(having)」実施形態は、かかる条件を有しない追加の要素を含み得る。
【0017】
[0023]本開示の特定の実施例は、内部で火災を抑制するように構成されたペーパー分配システムを提供する。ペーパー分配システムは、人が、分配されたペーパーの底縁に悪意をもって火を付けようとするシナリオにおいて、火を抑制するように構成される。このシナリオでは、最初の火からの熱が、ペーパー分配システム内の耐火塗料を作動させる。耐火塗料は、焦げ、膨張し、空隙を閉め出すために拡張し、それにより、ペーパー分配システム内の酸素の欠乏により、自己消火する。
【0018】
[0024]
図1は、本開示の一実施例による、航空機10の正面斜視図を示す。航空機10は、例えば、エンジン14を含む推進システム12を含む。任意選択的に、推進システム12は、図示したものよりも多くのエンジン14を含んでもよい。エンジン14は、航空機10の翼16によって坦持される。他の実施例では、エンジン14は、胴体18及び/又は尾部20によって担持され得る。尾部20は、水平安定板22及び垂直安定板24も支持し得る。航空機10の胴体18は内部キャビン30を画定し、該キャビンは、フライトデッキ、又はコックピット、一又は複数の作業区域(例えば、ギャレー、乗務員の手荷物エリアなど)、一又は複数の乗客区域(例えば、ファーストクラス、ビジネスクラス、及びコーチ区域)、一又は複数の化粧室などを含む。
【0019】
[0025]あるいは、本開示の実施例が、航空機に代わり、自動車、バス、機関車及び列車、クルーズ船、船舶、宇宙船などの様々な他の輸送体で使用されてもよい。更に、本開示の実施例は、商業用及び住居用の建物、並びに/又は公衆トイレなどの固定構造体に対して使用され得る。
【0020】
[0026]
図2は、本開示の一実施形態による、化粧室100の内部斜視図を示す。化粧室100は、
図1に示される航空機10の内部キャビン内などの閉鎖された構成要素の例である。化粧室100は、上述のように、航空機に搭載され得る。任意選択的に、化粧室100は、他の様々な輸送体に搭載され得る。他の実施例では、化粧室100は、商業用又は住居用の建物などの固定構造体内にあってもよい。化粧室100は、トイレ102、キャビネット104、及びシンク106又は洗面器を支持する基盤床101を含む。化粧室100は、図示されたものとは異なって配置されてもよい。化粧室100は、図示したものよりも多数又は少数の構成要素を含み得る。
【0021】
[0027]化粧室100は、一又は複数のペーパー分配システム120を含む。例えば、ペーパー分配システム120は、トイレットペーパーを分配するように構成され得る。別の実施例として、ペーパー分配システム200が、手を乾燥させるために使用され得るなど、ペーパータオルを分配するように構成され得る。
【0022】
[0028]ペーパー分配システム120は、手動で動作することも自動的に動作することも可能である。例えば、ペーパー分配システム120は、人がそこからペーパーを引き、握ることができるように構成され得る。別の例として、ペーパー分配システム120は、近接した手を検出するように構成されたセンサ、及び要求モードとして知られる、センサが手を検出したことに応答して、ペーパーを自動的に分配するように構成されたアクチュエータを含み得る。あるいは、ペーパーは、タオル掛けモードとして知られる、ハンドセンサなしに所定の長さで自動的に分配され得、ペーパーは、ペーパータオルが裂けた直後に分配される。
【0023】
[0029]
図3は、本開示の一実施例による、ペーパー分配システム200の正面等角図を示す。ペーパー分配システム200は、基部204を有するハウジング202、基部204から上方に延在する側壁206、基部204から上方に延在する後壁208、並びに後壁208及び/又は側壁206の一方又は両方に移動可能に固定されたドア210を含む。少なくとも1つの実施例では、ドア210は、ヒンジ211を介して、後壁及び/又は上壁212の上縁に移動可能に連結する。ドア210は、内部チャンバ213を露出させる開位置(
図3に示される)と、内部チャンバ213が閉鎖される閉位置との間で移動するように構成される。
【0024】
[0030]任意選択的に、ハウジング202は、移動可能なドアを含まないこともある。代わりに、ペーパーが挿入され、除去されることを可能にするハウジング202に、通路が形成され得る。
【0025】
[0031]ハウジング202は、ペーパー218のロール216に密接にフィットする外包を提供する。ハウジング202は、基部204に形成された開口部217を更に含む。開口部217は、ペーパー218の底縁219がそこを通って供給されることを可能にする。
【0026】
[0032]任意選択的に、ハウジング202は、より多数又はより少数の壁を含み得る。更に、ハウジング202は、図示したものとは異なって形作られた壁を含み得る。例として、単一の湾曲した外壁は、基部204に接続し得る。
【0027】
[0033]ハウジング202はまた、巻かれたペーパー218のロール216に取り外し可能に連結するように構成された、一又は複数のロール係合器214を含む。ペーパー218は、ロール216の周りに巻く。ロール係合器214は、ピン、ポスト、クリップ、突起部、ロッド、円筒などであり得る。ロール係合器214は、バネ式であり得る。
【0028】
[0034]ペーパー218は、例えば、トイレットペーパーであり得る。別の例として、ペーパー218は、ペーパータオルであり得る。別の例として、ペーパー218は、ナプキンであり得る。
【0029】
[0035]ペーパー分配システム200は、手動システムであり得、人はペーパーの底縁219を握り、それを引いて、ペーパーの一部分を主な巻かれた本体220から除去する。別の例として、ペーパー分配システム200は、ペーパー218を自動的に分配するように構成され得る。かかる例では、ペーパー分配システム200は、所定の近接(例えば、6インチ以内)における対象物を検出するように構成された一又は複数のセンサ222を含み得る。アクチュエータ224(例えば、回転モータ)が、ロール係合器214に動作可能に連結され得る。動作中、センサ(一又は複数)222が所定の近接内に対象物(例えば、手)の存在を検出したとき、アクチュエータ224は、要求モードとして知られる、主な巻かれた本体220を展開して、そこから自動的にペーパーを分配するように動作する。あるいは、ペーパーは、タオル掛けモードとして知られる、ハンドセンサなしに所定の長さで自動的に分配され得、ペーパーは、ペーパータオルが裂けた直後に分配される。任意選択的に、ペーパー分配システム200は、センサ(一又は複数)222又はアクチュエータ224を含まない場合がある。
【0030】
[0036]点火されたペーパー218によって潜在的に始まり得る火災を抑制するために、ハウジング202の内面228は、膨張材料230を含む。例えば、内面228は、膨張材料230で覆われ得る。別の例として、内面228は、膨張材料230で一体的に形成され得る。例として、ハウジング202の構造的構成要素のそれぞれは、膨張材料230で一体的に形成され得る。
【0031】
[0037]少なくとも1つの実施例では、内部チャンバ213内のハウジング202の内面228の全体が、膨張材料230を含む。特に、基部204、側壁206、後壁208、ドア210などのうちのそれぞれの内面228は、膨張材料230で覆われる。膨張材料230は、所定の設定温度(例えば、50~100℃以上)に露出されたとき、拡張するように構成される。温度が所定の温度に達しない場合、膨張材料230は、不活性である。しかしながら、所定の温度に達した場合、膨張材料230は、拡張する。膨張材料230が拡張したとき、膨張部分は、ハウジング202の開いたエリア(例えば、内部空間、間隙、空間、開口部など)を充填する。酸素の欠乏により、ハウジング202内の火は自己消火する。
【0032】
[0038]少なくとも1つの実施例では、膨張材料230は、低温(例えば、50~100℃の活性化閾値未満)で不活性となる塗料であるが、増大する熱(通常、50~100℃以上の温度)に応答して、反応する。火災の間など、温度が上昇するにつれて、膨張材料230は、膨張し、内面228を覆う焦げた層を形成する。
【0033】
[0039]少なくとも1つの実施例では、ハウジング202は、一又は複数の金属から形成され、膨張材料230は、金属構造体の内面228を覆う。少なくとも1つの実施例では、膨張材料230は、ハウジング202の内面228の全体を覆う。
【0034】
[0040]
図4は、本開示の一実施例による、通常動作中のペーパー分配システム200の内部側面図を示す。図示のように、ペーパー218の底縁219は、開口部217を通じて下方及び外方に延在する。ペーパー218は、内部チャンバ213内にしまい込まれ、開口部217の外へ分配され得る。
【0035】
[0041]
図5は、本開示の一実施例による、ペーパー218が点火したときのペーパー分配システム200の内部側面図を示す。底縁219は、悪意を有する人によって点火され得る。続いて起こる炎260は、内部チャンバ213内に移動し、次いで、巻かれたペーパー218を点火し得、それにより、温度を上昇させ得る。
【0036】
[0042]
図6は、本開示の一実施例による、膨張材料230が拡張した状態270の、ペーパー分配システム200の内部側面図を示す。内部チャンバ213内の温度が所定の温度に上昇するにつれて、膨張材料230は拡張し、それにより、ハウジング202内の全ての空間、孔などを充填する。例えば、膨張材料230は、開口部217の中へ、及びそこを通って拡張し、それにより、ハウジング202内に気密内部バリア272を提供する。機密内部バリア272は、空気が内部チャンバ213へ入ることを防止し、それにより、火から酸素を奪い、内部チャンバ213内の炎を消す。
【0037】
[0043]
図1~6を参照すると、ペーパー分配システム200は、ハウジング202を含み、ハウジング202は、巻かれたペーパー218のロール(又は、任意選択的に、巻かれたペーパー218の複数のロール)を保持するように構成された火災封じ込め塗料を提供する。ハウジング202は、一又は複数の金属から全体的に又は部分的に形成され得る。膨張材料230は、ハウジング202の内面228を覆う。ドア210が閉位置にあるとき、ハウジング202は、新しいペーパータオルロール(一又は複数)の制限範囲にぴったりとフィットし、ペーパータオルロールの周りの空隙を最小化し、それと共に、ペーパータオルロール(一又は複数)が繰り出されて自由に分配されるのに十分なクリアランスを可能にする。
【0038】
[0044]膨張材料230は、ハウジング202の内面228の全体を覆い得る。任意選択的に、膨張材料230は、内面228の全体未満を覆い得る。
【0039】
[0045]ドア210は、ペーパー218の交換を可能にするために、閉位置と、開位置との間で(例えば、一又は複数のヒンジを介して)移動するように構成される。基部204及び壁206、208のように、ドア210の内面228(つまり、ドア210が閉鎖されたとき、内部チャンバ213に向く表面)は、膨張材料230で覆われる。ハウジング202はまた、閉位置にあるドア210を確実に閉鎖するように構成されたラッチを含み得る。
【0040】
[0046]ペーパー分配システム200は、航空機の内部キャビンの様々なエリア(例えば、化粧室、ギャレー、バーエリア、乗務員休憩エリア、フライトデッキ内)で使用され得る。任意選択的に、ペーパー分配システム200は、他の様々な種類の輸送体、住居用又は商業用の建物、公衆トイレなどのエリアで使用され得る。
【0041】
[0047]本明細書に記載のように、ペーパー分配システム200は、一又は複数のハウジング(例えば、巻かれたペーパー218のロール216を保持するように構成された内部チャンバ213を画定するハウジング202)を含む。ハウジングは、内面228、及び巻かれたペーパー218の縁部(例えば、底縁219)が分配される開口部217を含む。膨張材料230が、ハウジング202に連結される。膨張材料230は、所定の温度に露出されたことに応答して、ハウジング202内の空間(例えば、開口部217)を充填するために拡張するように構成される。少なくとも1つの実施例では、膨張材料230は、内面228の少なくとも一部分を覆う。少なくとも1つの更なる実施例では、膨張材料230は、内面228の全体を覆う。
【0042】
[0048]
図7は、本開示の一実施例による、ペーパー分配システム200の正面図を示す。この実施例では、ペーパー分配システム200は、主な本体301を有するキャビネット300、(例えば、一又は複数のヒンジ304を介して)主な本体301に移動可能に連結されたドア302を含む。ドア302は、垂直軸306の周りを開位置と閉位置との間で枢動するように構成される。
【0043】
[0049]ハウジング202は、キャビネット300内に配置される。ハウジング202は、上述のように、ペーパー218を保持するように構成される。ハウジング202は、垂直軸308の周りを開いて枢動するように構成されたドア210を含み得、それは、垂直軸306に対して平行であり得る。ハウジング202の内面は、上述のように、膨張材料230を含む。ペーパー分配システム200は、図示したものより多数又は少数のハウジング202を含み得る。
【0044】
[0050]更に、本開示は以下の条項に係る例を含む。
【0045】
[0051]条項1.
ペーパー分配システムであって、
巻かれたペーパーのロールを保持するように構成された内部チャンバを画定する一又は複数のハウジングであって、前記一又は複数のハウジングが、内面、及び前記巻かれたペーパーの縁部が分配可能である開口部を備える、一又は複数のハウジングと、
前記一又は複数のハウジングに連結された膨張材料であって、前記膨張材料が、所定の温度に露出されたことに応答して、前記一又は複数のハウジング内の前記開口部を含めた開いたエリアを充填して閉鎖するために、拡張するように構成された、膨張材料と
を含む、ペーパー分配システム。
【0046】
[0052]条項2.
前記膨張材料が、前記内面の少なくとも一部分を覆う、条項1に記載のペーパー分配システム。
【0047】
[0053]条項3.
前記膨張材料が、前記内面の全体を覆う、条項1又は2に記載のペーパー分配システム。
【0048】
[0054]条項4.
前記ペーパー分配システムが、輸送体の内部キャビン内に配置される、条項1から3のいずれか一項に記載のペーパー分配システム。
【0049】
[0055]条項5.
前記ペーパー分配システムが、前記内部キャビンの化粧室又はギャレー内にある、条項4に記載のペーパー分配システム。
【0050】
[0056]条項6.
前記巻かれたペーパーが、手動で分配されるように構成されている、条項1から5のいずれか一項に記載のペーパー分配システム。
【0051】
[0057]条項7.
前記巻かれたペーパーが、自動的に分配されるように構成されている、条項1から6のいずれか一項に記載のペーパー分配システム。
【0052】
[0058]条項8.
前記一又は複数のハウジングが、
基部、
前記基部から延在する一又は複数の壁、及び
前記一又は複数の壁に移動可能に連結されたドア
を備え、前記ドアが、閉位置と開位置との間で移動可能であり、前記膨張材料が、前記基部、前記一又は複数の壁、及び前記ドアに連結される、条項1から7のいずれか一項に記載のペーパー分配システム。
【0053】
[0059]条項9.
前記膨張材料が、前記一又は複数のハウジングの前記内面を覆う、条項1から8のいずれか一項に記載のペーパー分配システム。
【0054】
[0060]条項10.
前記一又は複数のハウジングが、前記膨張材料と一体的に形成されている、条項1から9のいずれか一項に記載のペーパー分配システム。
【0055】
[0061]条項11.
前記一又は複数のハウジングが、2つ以上のハウジングを含む、条項1から10のいずれか一項に記載のペーパー分配システム。
【0056】
[0062]条項12.
キャビネットを更に備え、前記2つ以上のハウジングが、前記キャビネット内に配置される、条項11に記載のペーパー分配システム。
【0057】
[0063]条項13.
輸送体であって、
内部キャビンと、
前記内部キャビン内に配置されたペーパー分配システムであって、前記ペーパー分配システムが、
巻かれたペーパーのロールを保持するように構成された内部チャンバを画定する一又は複数のハウジングであって、前記一又は複数のハウジングが、内面、及び前記巻かれたペーパーの縁部が分配可能である開口部を備える、一又は複数のハウジング、及び
前記一又は複数のハウジングに連結された膨張材料であって、前記膨張材料が、所定の温度に露出されたことに応答して、前記一又は複数のハウジング内の前記開口部を含めた開いたエリアを充填して閉鎖するために、拡張するように構成された、膨張材料
を含む、ペーパー分配システムと
を備える、輸送体。
【0058】
[0064]条項14.
前記膨張材料が、前記内面の全体を覆う、条項13に記載の輸送体。
【0059】
[0065]条項15.
前記ペーパー分配システムが、前記内部キャビンの化粧室又はギャレー内にある、条項13又は14に記載の輸送体。
【0060】
[0066]条項16.
前記巻かれたペーパーが、自動的に分配されるように構成されている、条項13から15のいずれか一項に記載の輸送体。
【0061】
[0067]条項17.
前記一又は複数のハウジングが、
基部、
前記基部から延在する一又は複数の壁、及び
前記一又は複数の壁に移動可能に連結されたドア
を備え、前記ドアが、閉位置と開位置との間で移動可能であり、前記膨張材料が、前記基部、前記一又は複数の壁、及び前記ドアに連結される、条項13から16のいずれか一項に記載の輸送体。
【0062】
[0068]条項18.
前記一又は複数のハウジングが、2つ以上のハウジングを含む、条項13から17のいずれか一項に記載の輸送体。
【0063】
[0069]条項19.
前記ペーパー分配システムが、キャビネットを更に備え、前記2つ以上のハウジングが、前記キャビネット内に配置される、条項18に記載の輸送体。
【0064】
[0070]条項20.
ペーパー分配方法であって、
巻かれたペーパーのロールを保持するように構成された内部チャンバを画定する一又は複数のハウジングに膨張材料を連結することであって、前記一又は複数のハウジングが、内面、及び前記巻かれたペーパーの縁部が分配可能である開口部を備え、前記膨張材料が、所定の温度に露出されたことに応答して、前記一又は複数のハウジング内の前記開口部を含めた開いたエリアを充填して閉鎖するために、拡張するように構成された、膨張材料を連結することを含む、ペーパー分配方法。
【0065】
[0071]本明細書に記載のように、本開示の実施例は、ペーパーディスペンサ内での火災を効果的かつ効率的に抑制するためのシステム及び方法を提供する。更に、本開示の実施例は、民間航空機内での様々な火災封じ込め要件を満たす、火災抑制ペーパー分配システム及び方法を提供する。
【0066】
[0072]本開示の実施例の記載のために、上部、底部、下方、中央、横方向、水平、垂直、前方向などの空間及び方向に関する様々な用語が使用される場合があるが、かかる用語は図面中で示す向きに関するものとして使用されているにすぎないことを理解されたい。これらの向きは、上部が下部に、又はその逆になることや、水平が垂直になることなどのように、反転し、回転し、あるいはその他の方法で変更され得る。
【0067】
[0073]本明細書において、タスク又は動作を実行する「よう構成/設定され(configured to)」ている構造体、制約、又は要素は、タスク又は動作に対応する様態で、特に構造的に、形成され、構築され、又は適合されている。明確にするため、かつ誤解を避けるために、タスク又は動作を実行するために改変されることが可能であるだけの対象物は、本明細書における、タスク又は動作を実行する「よう構成/設定」されているものではない。
【0068】
[0074]上記の記載は、限定ではなく例示を意図するものであると理解すべきである。例えば、上述した実施形態(及び/又はそれらの態様)は、互いに組み合わされて使用され得る。加えて、本開示の様々な実施形態の教示には、それらの範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料に適合させるために多数の改変が行われ得る。本明細書に記載の材料の寸法及び種類は、本開示の様々な実施形態のパラメータを規定することを意図しているが、これらの実施形態は決して限定的なものではなく、例示的な実施形態である。上述の記載を精査することにより、当業者には他の多くの実施形態が明らかであろう。したがって、本開示の様々な実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲とともに、かかる特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲を参照して決定されるべきである。添付の特許請求の範囲及び本明細書の発明を実施するための形態において、「含む(including)」及び「これにおいて(in which)」という用語はそれぞれ、「備える(comprising)」及び「ここで(wherein)」という用語の明白な同義語として使用される。更に、「第1(first)」「第2(second)」及び「第3(third)」等の用語は、単に符号として使用されており、それらの対象物に数的要件を課すことを意図するものではない。更に、以下の特許請求の範囲の限定は、ミーンズプラスファンクション形式で記述されておらず、かかる特許請求の範囲の限定が、更なる構造を欠く機能の記述が後続する、「~のための手段(means for)」という言い回しを明示的に使用しない限り、米国特許法第112条(f)に基づいて解釈されることを意図するものではない。
【0069】
[0075]本明細書では、実施例を用いて、ベストモードを含む本開示の様々な実施形態を開示するとともに、任意の装置又はシステムの作成及び使用、並びに任意の統合された方法の実行を含め、本開示の様々な実施形態を当業者が実施することを可能にしている。本開示の様々な実施形態の特許性の範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に想起される他の例を含み得る。かかるその他の例は、これらの例が、特許請求の範囲の文言と相違しない構造的要素を有する場合、又は特許請求の範囲の文言とのごくわずかな相違しか有しない同等の構造的要素を含む場合には、特許請求の範囲に含まれることが、意図されている。
【外国語明細書】