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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001733
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】半導体発光装置
(51)【国際特許分類】
   H10H 20/855 20250101AFI20241226BHJP
【FI】
H01L33/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101370
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】木田 泉
(72)【発明者】
【氏名】稲津 哲彦
(72)【発明者】
【氏名】柴田 直樹
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA02
5F142AA52
5F142BA02
5F142BA32
5F142CA11
5F142CA13
5F142CB03
5F142CD02
5F142CD18
5F142CD44
5F142CD47
5F142DB02
5F142DB12
5F142DB18
5F142DB24
5F142FA50
(57)【要約】
【課題】半導体発光装置の光取り出し効率および信頼性を向上させる。
【解決手段】半導体発光装置10は、パッケージ基板14と、パッケージ基板14に接合するアノード電極24およびカソード電極26と、アノード電極24およびカソード電極26上の半導体層22と、半導体層22上の透光性基板20とを備える半導体発光素子12と、透光性基板20の上面20aと接触し、上に凸となるドーム形状を有し、半導体発光素子12の発光波長において透光性を有し、透光性基板20よりも低屈折率であり、パッケージ基板14と接触しない被覆部材16と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージ基板と、
前記パッケージ基板に接合するアノード電極およびカソード電極と、前記アノード電極および前記カソード電極上の半導体層と、前記半導体層上の透光性基板とを備える半導体発光素子と、
前記透光性基板の上面と接触し、上に凸となるドーム形状を有し、前記半導体発光素子の発光波長において透光性を有し、前記透光性基板よりも低屈折率であり、前記パッケージ基板と接触しない被覆部材と、を備える半導体発光装置。
【請求項2】
前記被覆部材は、前記透光性基板の側面と接触する、請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記パッケージ基板上に接合される保護素子をさらに備え、
前記被覆部材は、前記保護素子と接触しない、請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記パッケージ基板上に接合される保護素子をさらに備え、
前記被覆部材は、前記保護素子の上面と接触する、請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記パッケージ基板上の前記半導体発光素子の周囲に設けられる枠体をさらに備え、
前記被覆部材は、前記枠体と非接触である、請求項1から4のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パッケージ基板上に接合される半導体発光素子を樹脂で封止した半導体発光装置が知られている。例えば、封止樹脂を上に向かって凸となるドーム状に形成することにより、光取り出し効率を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-17427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
封止部材をドーム状に形成する場合、半導体発光素子の上部に位置する封止部材の厚みを大きくする必要がある。封止部材を厚くするために封止部材の充填量を大きくすると、封止部材とパッケージ基板の材料の違いによって生じる歪みが大きくなり、封止部材の剥がれやクラックが発生しやすくなる。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、半導体発光装置の光取り出し効率および信頼性を向上させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の半導体発光装置は、パッケージ基板と、パッケージ基板に接合するアノード電極およびカソード電極と、アノード電極およびカソード電極上の半導体層と、半導体層上の透光性基板とを備える半導体発光素子と、透光性基板の上面と接触し、上に凸となるドーム形状を有し、半導体発光素子の発光波長において透光性を有し、透光性基板よりも低屈折率であり、パッケージ基板と接触しない被覆部材と、を備える。
【0007】
本発明によれば、半導体発光装置の光取り出し効率および信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る半導体発光装置の構成を概略的に示す断面図である。
図2】第1実施形態に係る半導体発光装置の構成を概略的に示す上面図である。
図3】第2実施形態に係る半導体発光装置の構成を概略的に示す断面図である。
図4】第3実施形態に係る半導体発光装置の構成を概略的に示す断面図である。
図5】第3実施形態に係る半導体発光装置の構成を概略的に示す上面図である。
図6】第4実施形態に係る半導体発光装置の構成を概略的に示す断面図である。
図7】第5実施形態に係る半導体発光装置の構成を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、説明の理解を助けるため、各図面における各構成要素の寸法比は、必ずしも実際の発光素子の寸法比と一致しない。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体発光装置10の構成を概略的に示す断面図である。半導体発光装置10は、半導体発光素子12と、パッケージ基板14と、被覆部材16とを備える。
【0011】
半導体発光素子12は、中心波長λが約360nm以下となる紫外光を発するように構成される半導体発光素子である。このような波長の紫外光を出力するため、バンドギャップが約3.4eV以上となる窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系半導体材料が用いられる。本実施形態では、特に、中心波長λが約240nm~320nmの深紫外光を発するDUV-LED(Deep UltraViolet-Light Emitting Diode)チップについて示す。
【0012】
半導体発光素子12は、透光性基板20と、半導体層22と、アノード電極24と、カソード電極26と、保護層28とを備える。
【0013】
透光性基板20は、半導体発光素子12が発する紫外光に対して透光性を有する材料から構成される。半導体層22が発する光は、透光性基板20から半導体発光素子12の外部に出力される。透光性基板20は、例えば、サファイア(Al)から構成される。透光性基板20は、上面20aと、下面20bと、側面20cとを有する。上面20aおよび下面20bは、例えば矩形状である。上面20aおよび下面20bのサイズは特に限られないが、例えば1mm角である。透光性基板20の上面20aから下面20bまでの厚みtは、例えば100μm以上、200μm以上または300μm以上であり、例えば1000μm以下、700μm以下または500μm以下である。
【0014】
半導体層22は、透光性基板20の下に設けられ、透光性基板20の下面20bに設けられる。半導体層22は、例えば、n型半導体層と、活性層と、p型半導体層とを備える。半導体層22は、AlGaN系半導体材料から構成される。AlGaN系半導体材料は、In1-x-yAlGaN(0<x+y≦1、0<x<1、0<y<1)の組成で表すことができる。半導体層22は、保護層28によって被覆される。
【0015】
アノード電極24は、第1コンタクト電極24aと、第1パッド電極24bとを含む。第1コンタクト電極24aは、半導体層22と接触する内部電極であり、半導体層22に含まれるp型半導体層と接触する。第1コンタクト電極24aは、例えば、Rhなどの金属層から構成される。第1コンタクト電極24aは、保護層28によって被覆される。第1パッド電極24bは、保護層28の外側に露出する外部電極であり、保護層28に設けられる開口を介して第1コンタクト電極24aと電気的に接続される。第1パッド電極24bは、Ni/Auなどの金属層から構成される。
【0016】
カソード電極26は、第2コンタクト電極26aと、第2パッド電極26bとを含む。第2コンタクト電極26aは、半導体層22と接触する内部電極であり、半導体層22に含まれるn型半導体層と接触する。第2コンタクト電極26aは、例えば、Ti/Alなどの金属層から構成される。第2コンタクト電極26aは、保護層28によって被覆される。第2パッド電極26bは、保護層28の外側に露出する外部電極であり、保護層28に設けられる開口を介して第2コンタクト電極26aと電気的に接続される。第2パッド電極26bは、Ni/Auなどの金属層から構成される。
【0017】
保護層28は、半導体層22、第1コンタクト電極24aおよび第2コンタクト電極26aを被覆する。保護層28は、酸化物や窒化物などの誘電体材料から構成され、例えば、酸化シリコン(SiO)、酸化アルミウム(Al)、窒化シリコン(SiN)などから構成される。保護層28は、材料の異なる複数の保護層の積層体から構成されてもよい。
【0018】
パッケージ基板14は、平板形状を有し、接合面14aと、裏面14bとを有する。パッケージ基板14は、接合面14aに設けられる第1接合電極30および第2接合電極32を備える。パッケージ基板14は、裏面14bに設けられる第1実装電極34および第2実装電極36を備える。第1接合電極30は、パッケージ基板14の内部において第1実装電極34と電気的に接続される。第2接合電極32は、パッケージ基板14の内部において第2実装電極36と電気的に接続される。パッケージ基板14は、例えば無機材料から構成され、アルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(SiN)、炭化ケイ素(SiC)などのセラミック材料から構成される。
【0019】
半導体発光素子12は、パッケージ基板14上にフリップチップ接合される。半導体発光素子12は、第1接合電極30および第2接合電極32に接合される。半導体発光素子12は、第1接合部38および第2接合部40を介してパッケージ基板14に接合される。第1接合部38は、アノード電極24(第1パッド電極24b)と第1接合電極30の間に設けられ、アノード電極24と第1接合電極30を電気的に接続する。第2接合部40は、カソード電極26(第2パッド電極26b)と第2接合電極32の間に設けられ、カソード電極26と第2接合電極32を電気的に接続する。
【0020】
第1接合部38および第2接合部40は、例えば、スタッドバンプである。第1接合部38および第2接合部40は、例えば、Auなどの金属ワイヤの先端部を溶融させてボール状にしたものを第1接合電極30および第2接合電極32に押しつけることによりそれぞれ形成される。第1接合電極30および第2接合電極32に形成された第1接合部38および第2接合部40は、例えば超音波接合によってアノード電極24(第1パッド電極24b)およびカソード電極26(第2パッド電極26b)にそれぞれ接合される。
【0021】
半導体発光素子12がパッケージ基板14に接合された状態において、パッケージ基板14(接合面14a)から透光性基板20の下面20bまでの高さhbは、例えば透光性基板20の厚さtよりも小さく、例えば透光性基板20の厚さの半分t/2よりも小さい。パッケージ基板14から透光性基板20の下面20bまでの高さhbは、例えば200μm以下、100μm以下、50μm以下または30μm以下である。パッケージ基板14から透光性基板20の下面20bまでの高さhbは、例えば10μm以上、15μm以上、20μm以上または25μm以上である。
【0022】
半導体発光素子12がパッケージ基板14に接合された状態において、パッケージ基板14(接合面14a)から半導体発光素子12の上面12a(透光性基板20の上面20a)までの高さhaは、例えば100μm以上、200μm以上、300μm以上または400μm以上である。パッケージ基板14から半導体発光素子12の上面12aまでの高さhaは、例えば1000μm以下、700μm以下、600μm以下または500μm以下である。
【0023】
被覆部材16は、パッケージ基板14上の半導体発光素子12の上面12aを被覆する。被覆部材16は、透光性基板20の上面20aと接触する。被覆部材16は、透光性基板20の側面20cと接触しない。被覆部材16は、パッケージ基板14から離れて設けられ、パッケージ基板14と接触しない。被覆部材16は、半導体発光素子12の発光波長において透光性を有する材料から構成される。被覆部材16は、半導体発光素子12のピーク発光波長における内部透過率が50%以上であり、好ましくは70%以上、80%以上または90%以上である。被覆部材16は、透光性基板20よりも低屈折率の材料から構成される。被覆部材16は、例えば、シリコーン樹脂やフッ素樹脂から構成される。被覆部材16は、樹脂ではなく、石英などの無機材料またはガラス材料から構成されてもよい。被覆部材16は、例えば蛍光体を含まないように構成される。
【0024】
被覆部材16は、例えば上に凸となるレンズ形状またはドーム形状を有する。半導体発光素子12の上面12aから被覆部材16の頂部42までの高さh1は、例えば50μm以上、100μm以上、200μm以上または300μm以上である。半導体発光素子12の上面12aから被覆部材16の頂部42までの高さh1は、例えば1000μm以下、800μm以下、600μm以下または500μm以下である。透光性基板20の上面20aに透光性を有する低屈折率の被覆部材16を設けることにより、被覆部材16を設けない場合に比べて、透光性基板20から外部に出力される光の取り出し効率を向上できる。
【0025】
図2は、第1実施形態に係る半導体発光装置10の構成を概略的に示す上面図である。半導体発光装置10は、保護素子50をさらに備える。保護素子50は、半導体発光素子12をサージ電流や静電気から保護するダイオードであり、例えばツェナーダイオードである。保護素子50は、パッケージ基板14の接合面14aに接合される。保護素子50は、例えば第1接合電極30および第2接合電極32に接合され、半導体発光素子12と並列接続される。
【0026】
図2の例において、半導体発光素子12の上面12aは矩形状であり、四つの辺および四つの角部を有する。半導体発光素子12の上面12aは、矩形状ではなく、三角形や六角形、八角形といった四角形とは異なる多角形状を有してもよい。保護素子50は、例えば、半導体発光素子12の一つの辺に近接して配置される。
【0027】
被覆部材16は、半導体発光素子12の上面12a(つまり、透光性基板20の上面20a)の全体にわたって設けられる。被覆部材16が設けられる範囲は、半導体発光素子12の上面12aの面積の80%以上、85%以上、90%以上または95%以上である。被覆部材16は、図2の例において、保護素子50の上面50aには設けられない。なお、追加の被覆部材が保護素子50の上面50aに設けられてもよい。保護素子50の上面50aに設けられる追加の被覆部材は、半導体発光素子12の上面12aに設けられる被覆部材16と一体的に形成されてもよいし、被覆部材16から分離して形成されてもよい。
【0028】
本実施形態によれば、半導体発光素子12の上面12aに透光性を有する低屈折率の被覆部材16を設けることにより、被覆部材16を設けない場合に比べて、半導体発光素子12から外部に出力される光の取り出し効率を向上できる。半導体発光装置10の光取り出し効率は、被覆部材16を設けない場合に比べて、例えば10%~30%程度向上させることができる。
【0029】
本実施形態によれば、半導体発光素子12の上面12aのみに被覆部材16を設けることにより、被覆部材16の使用量を少なくすることができる。また、被覆部材16がパッケージ基板14から離れて設けられるため、被覆部材16に加わる応力を小さくできる。その結果、被覆部材16の剥がれやクラックの発生を抑制でき、半導体発光装置10の信頼性を向上できる。
【0030】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態に係る半導体発光装置10Aの構成を概略的に示す断面図である。第2実施形態では、被覆部材16Aが透光性基板20の上面20aと接触する上面被覆部60と、透光性基板20の側面20cと接触する側面被覆部62とを備える点で、上述の第1実施形態と相違する。以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については説明を適宜省略する。
【0031】
半導体発光装置10Aは、半導体発光素子12と、パッケージ基板14と、被覆部材16Aとを備える。半導体発光装置10Aは、図2に示される保護素子50をさらに備えてもよい。半導体発光素子12、パッケージ基板14および保護素子50は、第1実施形態と同様に構成されることができる。
【0032】
被覆部材16Aは、上面被覆部60と、側面被覆部62とを備える。上面被覆部60は、透光性基板20の上面20aに設けられ、透光性基板20の上面20aと接触する。上面被覆部60は、透光性基板20の側面20cと接触しない。上面被覆部60は、上に凸となるドーム形状を有する。上面被覆部60は、第1実施形態に係る被覆部材16と同様に構成されることができる。
【0033】
側面被覆部62は、透光性基板20の側面20cに設けられ、透光性基板20の側面20cと接触する。側面被覆部62は、例えば、側方に凸となるドーム形状を有する。側面被覆部62は、透光性基板20の複数(例えば4つ)の側面20cの少なくとも一つに設けられる。側面被覆部62は、透光性基板20の複数(例えば4つ)の側面20cのそれぞれに設けられてもよい。側面被覆部62は、パッケージ基板14から離れて設けられ、パッケージ基板14と接触しない。側面被覆部62は、第1実施形態に係る被覆部材16と同様の材料から構成される。側面被覆部62は、上面被覆部60と同じ材料から構成されてもよいし、上面被覆部60とは異なる材料から構成されてもよい。
【0034】
被覆部材16Aは、透光性基板20の上面20aと側面20cとの間の角部20dを実質的に被覆しないように形成される。言い換えれば、角部20dにおける被覆部材16Aの被覆厚さは、他の部分(上面20aや側面20c)における被覆部材16Aの被覆厚さよりも小さい。例えば、被覆部材16Aは、上面被覆部60と側面被覆部62の間に隙間があるように形成され、上面被覆部60と側面被覆部62の間が離れるように形成される。なお、上面被覆部60と側面被覆部62とが互いに接触し、角部20dにおける被覆部材16Aの被覆厚さが非常に小さくなるように形成されてもよい。
【0035】
本実施形態によれば、透光性基板20の上面20aおよび側面20cに透光性を有する低屈折率の被覆部材16Aが設けられるため、半導体発光素子12から外部に出力される光の取り出し効率をさらに向上できる。本実施形態においても、被覆部材16Aがパッケージ基板14から離れて設けられることにより、被覆部材16Aに加わる応力を小さくできる。その結果、被覆部材16Aの剥がれやクラックの発生を抑制することができ、半導体発光装置10Aの信頼性を向上できる。
【0036】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態に係る半導体発光装置10Bの構成を概略的に示す断面図である。第3実施形態では、被覆部材16Bが透光性基板20の上面20aおよび側面20cの双方と接触する点で、上述の実施形態と相違する。以下、第3実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については説明を適宜省略する。
【0037】
半導体発光装置10Bは、半導体発光素子12と、パッケージ基板14と、被覆部材16Bとを備える。半導体発光装置10Bは、図2に示される保護素子50をさらに備えてもよい。半導体発光素子12、パッケージ基板14および保護素子50は、第1実施形態と同様に構成されることができる。
【0038】
被覆部材16Bは、透光性基板20の上面20aおよび側面20cの双方と接触するように設けられる。被覆部材16Bは、上に凸となるドーム形状を有する。被覆部材16Bは、透光性基板20の上面20aと側面20cとの間の角部20dを被覆する。角部20dにおける被覆部材16Bの被覆厚さは、側面20cにおける被覆部材16Bの被覆厚さ以上であってもよい。被覆部材16Bは、被覆部材16Bの側面44がドーム状ではなく、平坦となるように形成される。言い換えれば、被覆部材16Bの側面44は、透光性基板20の側面20cと実質的に平行であり、側面20cにおける被覆部材16Bの被覆厚さが実質的に一定である。被覆部材16Bは、第1実施形態と同様の材料で構成されることができる。
【0039】
半導体発光素子12の上面12aから被覆部材16の頂部42までの高さh1は、例えば100μm以上、200μm以上または300μm以上である。半導体発光素子12の上面12aから被覆部材16の頂部42までの高さh1は、例えば1000μm以下、800μm以下または500μm以下である。
【0040】
図5は、第3実施形態に係る半導体発光装置10Bの構成を概略的に示す上面図である。図5の例においても、半導体発光素子12の上面12aは矩形状であり、四つの辺および四つの角部を有する。半導体発光素子12の上面12aは、矩形状ではなく、三角形や六角形、八角形といった四角形とは異なる多角形状を有してもよい。保護素子50は、例えば、半導体発光素子12の一つの辺に近接して配置される。
【0041】
被覆部材16Bは、図5の例において、保護素子50の上面50aにも設けられ、被覆部材16Bは、保護素子50の上面50aと接触する。被覆部材16Bは、保護素子50の側面と接触してもよいし、保護素子50の側面と接触しなくてもよい。図5の例において、被覆部材16Bは、半導体発光素子12の上面12aおよび保護素子50の上面50aにわたって一体的に形成される。これにより、被覆部材16Bが設けられる範囲を広くすることができ、被覆部材16Bの頂部42の高さh1を大きくすることが容易となる。なお、変形例において、被覆部材16Bは、保護素子50の上面50aから離れて設けられてもよく、保護素子50の上面50aと接触しなくてもよい。
【0042】
被覆部材16Bは、半導体発光素子12の上面12a(つまり、透光性基板20の上面20a)よりも広い範囲にわたって設けられる。被覆部材16Bが設けられる範囲は、例えば、透光性基板20の上面20aの面積の105%以上、110%以上、115%以上または120%以上である。被覆部材16Bが設けられる範囲は、例えば、透光性基板20の上面20aの面積の200%以下、150%以下、140%以下または130%以下である。
【0043】
本実施形態によれば、透光性基板20の上面20aよりも広い範囲にわたって被覆部材16Bが設けられるため、被覆部材16Bの高さh1をより大きくして被覆部材16Bの表面の曲率を大きくすることが容易となる。これにより、半導体発光装置10Bの光取り出し効率をさらに向上できる。本実施形態においても、被覆部材16Bがパッケージ基板14から離れて設けられることにより、被覆部材16Bに加わる応力を小さくできる。その結果、被覆部材16Bの剥がれやクラックの発生を抑制することができ、半導体発光装置10Bの信頼性を向上できる。
【0044】
(第4実施形態)
図6は、第4実施形態に係る半導体発光装置10Cの構成を概略的に示す上面図である。第4実施形態では、被覆部材16Cが球状に形成される点で、上述の実施の形態と相違する。以下、第4実施形態について、第3実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については説明を適宜省略する。
【0045】
半導体発光装置10Cは、半導体発光素子12と、パッケージ基板14と、被覆部材16Cとを備える。半導体発光装置10Cは、図2または図5に示される保護素子50をさらに備えてもよい。半導体発光素子12、パッケージ基板14および保護素子50は、第1実施形態と同様に構成されることができる。
【0046】
被覆部材16Cは、透光性基板20の上面20aおよび側面20cの双方と接触するように設けられる。被覆部材16Cは、上方に凸となるドーム形状および側方に凸となるドーム形状を有する。被覆部材16Cは、全体として球形状またはボール形状を有する。被覆部材16Cは、透光性基板20の角部20dを被覆するように形成される。被覆部材16Cは、被覆部材16Cの幅(高さ方向に直交する大きさ)が最大となる箇所46が透光性基板20の上面20aと下面20bの間に位置するように形成される。被覆部材16Cは、第1実施形態と同様の材料で構成されることができる。
【0047】
本実施形態によれば、図3に示される第2実施形態に比べて、被覆部材16Cの表面の曲率をさらに大きくすることができ、半導体発光装置10Cの光取り出し効率をさらに向上させることができる。
【0048】
(第5実施形態)
図7は、第4実施形態に係る半導体発光装置10Dの構成を概略的に示す上面図である。半導体発光装置10Dは、パッケージ基板14上の半導体発光素子12の周囲に設けられる枠体18をさらに備える点で、上述の実施形態と相違する。以下、第5実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については説明を適宜省略する。
【0049】
半導体発光装置10Dは、半導体発光素子12と、パッケージ基板14と、被覆部材16と、枠体18とを備える。半導体発光装置10Dは、図2に示される保護素子50をさらに備えてもよい。半導体発光素子12、パッケージ基板14、被覆部材16および保護素子50は、第1実施形態と同様に構成されることができる。
【0050】
枠体18は、パッケージ基板14上の半導体発光素子12の周囲に設けられる。枠体18は、例えばパッケージ基板14の外周に沿って、パッケージ基板14の全周にわたって設けられる。枠体18は、パッケージ基板14の外周から離れて設けられてもよく、パッケージ基板14の外周よりも内側にずれた位置に設けられてもよい。枠体18は、例えばパッケージ基板14と同じ材料で形成され、パッケージ基板14と一体的に成型される。枠体18は、パッケージ基板14とは異なる材料で形成されてもよい。枠体18は、パッケージ基板14とは別体として成型されてもよく、任意の接合材料によってパッケージ基板14の接合面14aに接合されてもよい。
【0051】
枠体18は、上面18aを有する。枠体18の上面18aは、例えば平坦面である。枠体18の上面18aの高さh2は、例えば200μm以上、300μm以上、400μm以上または500μm以上である。枠体18の上面18aの高さh2は、例えば1500μm以下、1200μm以下、1000μm以下または800μm以下である。
【0052】
枠体18の上面18aの高さh2は、例えば、半導体発光素子12の上面12aの高さhaよりも大きい。枠体18の上面18aの高さh2は、例えば、透光性基板20の下面20bの高さhbよりも大きく、透光性基板20の上面20aの高さhaよりも大きい。枠体18の上面18aの高さh2は、例えば、被覆部材16の頂部42の高さh3(h1+ha)以下である。枠体18の上面18aの高さh2は、被覆部材16の頂部42の高さh3より大きくてもよい。枠体18の上面18aの高さh2は、半導体発光素子12の上面12aの高さhaより小さくてもよい。枠体18の上面18aの高さh2は、透光性基板20の下面20bの高さhbより小さくてもよい。
【0053】
被覆部材16は、枠体18から離れて設けられ、枠体18と接触しない。
【0054】
本実施形態によれば、パッケージ基板14の上に枠体18が設けられる場合であっても、被覆部材16が枠体18から離れて設けられるため、被覆部材16と枠体18が接触する場合に比べて、被覆部材16に加わる応力を小さくできる。その結果、被覆部材16の剥がれやクラックの発生を抑制でき、半導体発光装置10の信頼性を向上できる。
【0055】
第5実施形態に係る枠体18は、第1実施形態のみならず、第2実施形態、第3実施形態または第4実施形態に適用されてもよい。
【0056】
以上、本発明を実施形態にもとづいて説明した。本発明は上述の実施形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
【0057】
以下、本発明のいくつかの態様について説明する。
【0058】
本発明の第1の態様は、パッケージ基板と、前記パッケージ基板に接合するアノード電極およびカソード電極と、前記アノード電極および前記カソード電極上の半導体層と、前記半導体層上の透光性基板とを備える半導体発光素子と、前記透光性基板の上面と接触し、上に凸となるドーム形状を有し、前記半導体発光素子の発光波長において透光性を有し、前記透光性基板よりも低屈折率であり、前記パッケージ基板と接触しない被覆部材と、を備える半導体発光装置である。第1の態様によれば、透光性基板の上面に透光性を有する低屈折率の被覆部材を設けることにより、半導体発光装置の光取り出し効率を向上させることができる。被覆部材がパッケージ基板から離れて設けられるため、被覆部材が他の部材と接触することによって被覆部材に加わる応力を小さくすることができ、被覆部材の剥がれやクラックの発生を抑制できる。これにより、半導体発光装置の信頼性を向上できる。
【0059】
本発明の第2の態様は、前記被覆部材は、前記透光性基板の側面と接触する、第1の態様に記載の半導体発光装置である。第2の態様によれば、低屈折率の被覆部材を透光性基板の側面にも接触させることにより、透光性基板の側面からの光の取り出し効率を向上させることができる。
【0060】
本発明の第3の態様は、前記パッケージ基板上に接合される保護素子をさらに備え、前記被覆部材は、前記保護素子と接触しない、第1または第2の態様に記載の半導体発光装置である。第3の態様によれば、被覆部材が保護素子と接触することによって被覆部材に加わる応力の影響を排除することができ、被覆部材の剥がれやクラックの発生を抑制できる。これにより、半導体発光装置の信頼性を向上できる。
【0061】
本発明の第4の態様は、前記パッケージ基板上に接合される保護素子をさらに備え、前記被覆部材は、前記保護素子の上面と接触する、第1または第2の態様に記載の半導体発光装置である。第4の態様によれば、被覆部材を保護素子と接触させることによって被覆部材の形成範囲を広くすることができる。これにより、半導体発光装置の光取り出し効率を向上させることができる。
【0062】
本発明の第5の態様は、前記パッケージ基板上の前記半導体発光素子の周囲に設けられる枠体をさらに備え、前記被覆部材は、前記枠体と非接触である、第1から第4のいずれか一つの態様に記載の半導体発光装置である。第5の態様によれば、パッケージ基板に枠体が設けられる場合に、被覆部材が枠体と接触することによって被覆部材に加わる応力の影響を排除することができ、被覆部材の剥がれやクラックの発生を抑制できる。これにより、半導体発光装置の信頼性を向上できる。
【0063】
10…半導体発光装置、12…半導体発光素子、12a…上面、14…パッケージ基板、16…被覆部材、18…枠体、20…透光性基板、20a…上面、20b…下面、22…半導体層、24…アノード電極、26…カソード電極、28…保護層、42…頂部、50…保護素子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7