(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017332
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】乗り物の多点式シートベルトシステムの保護補強装置
(51)【国際特許分類】
B60R 22/00 20060101AFI20250129BHJP
B60R 22/18 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
B60R22/00 207
B60R22/18
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024111470
(22)【出願日】2024-07-11
(31)【優先権主張番号】112127614
(32)【優先日】2023-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】519251601
【氏名又は名称】宏霖工業股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】王 亮雄
【テーマコード(参考)】
3D018
【Fターム(参考)】
3D018BA12
3D018CA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】乗り物の多点式シートベルトシステムの保護補強装置を提供する。
【解決手段】バックルユニット20の第1ベルトバックル21及び第2ベルトバックル22はそれぞれ、動的に2つのウェビング調整バックル10のバックル接続部11の相対側の弧形案内部に接続され、保護補強装置1は、第1ベルトバックル21と第2ベルトバックル22とが互いに係合されると共に、横方向に2本のウェビング2の間に接続されることにより、補強の作用を果たし、使用者の身体に対して安全保護作用を提供する。第1ベルトバックル21と第2ベルトバックル22との係合が解除された状態で、第1ベルトバックル21及び第2ベルトバックル22はそれぞれ、ウェビング調整バックル10の弧形案内部において重力により自然に回動し下垂し、ウェビング2の前側に位置するようになるので、使用者の行動に対する干渉を減らす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物の多点式シートベルトシステムの保護補強装置であって、乗り物のシートにおける多点式シートベルトシステムに設置され、前記多点式シートベルトシステムは、2本のウェビングで前記シート上の使用者の身体の左右両側に巻き付けて固定され、前記保護補強装置は前記2本のウェビングの間に接続されると共に、2つのウェビング調整バックルと、バックルユニットとを含み、
前記2つのウェビング調整バックルはそれぞれ、前記2本のウェビングに取り付けられると共に、前記ウェビングにおける高さ位置の調整及び位置決めが可能であり、前記ウェビング調整バックルの底端毎にバックル接続部が設けられ、前記バックル接続部は前記ウェビングの前方に位置し、前記2本のウェビングに取り付けられる前記2つのウェビング調整バックルの前記バックル接続部の少なくとも相対する一側に弧形案内部が形成され、
前記バックルユニットは、着脱可能に前記2つのウェビング調整バックルの間に接続されると共に、互いに係合及び離脱可能な第1ベルトバックル及び第2ベルトバックルを含み、
前記第1ベルトバックル及び前記第2ベルトバックルはそれぞれ、動的に前記2つのウェビング調整バックルのバックル接続部の前記弧形案内部に接続されることにより、前記保護補強装置は、前記第1ベルトバックルと前記第2ベルトバックルとが互いに係合されることによって前記2本のウェビングの間に接続されると共に、使用者の身体の前側に横置きし、前記第1ベルトバックルと前記第2ベルトバックルとの係合が解除された状態で、前記第1ベルトバックル及び前記第2ベルトバックルはそれぞれ、前記2つのウェビング調整バックルの前記弧形案内部から重力により自然に回動して下垂し、前記ウェビングの前側に位置するようになることを特徴とする乗り物の多点式シートベルトシステムの保護補強装置。
【請求項2】
前記ウェビング調整バックル毎に位置決め部が設けられ、前記位置決め部は、フレーム部及び前記フレーム部内に設けられる横ロッド部を含み、前記フレーム部内の幅及び前記横ロッド部の長さは、前記ウェビングの幅と一致しており、これにより、前記ウェビングを平坦に前記フレーム部内に通すと共に、前記横ロッド部に巻き付けられ、前記バックル接続部の頂端が前記フレーム部の底端に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の乗り物の多点式シートベルトシステムの保護補強装置。
【請求項3】
前記バックル接続部と前記位置決め部との間に段差を有し、前記バックル接続部が前記ウェビングの前方に、前記ウェビングとの間にピッチを有するように位置することを特徴とする、請求項2に記載の乗り物の多点式シートベルトシステムの保護補強装置。
【請求項4】
前記フレーム部の左右の両側面にそれぞれ滑り止め部が形成されることを特徴とする、請求項2に記載の乗り物の多点式シートベルトシステムの保護補強装置。
【請求項5】
前記第1ベルトバックルは、第1接続ベルトと、前記第1接続ベルトの一端に接続される第1バックル部材とを有し、前記第1接続ベルトの他端が前記ウェビング調整バックルの底端のバックル接続部に巻き付けられ、前記第1ベルトバックルは前記バックル接続部において回動可能であり、
前記第2ベルトバックルは、第2接続ベルトと、前記第2接続ベルトの一端に接続される第2バックル部材とを有し、前記第2接続ベルトの他端が他の前記ウェビング調整バックルの底端のバックル接続部に巻き付けられ、前記第2ベルトバックルは前記バックル接続部において回動可能であり、
前記第1ベルトバックルと前記第2ベルトバックルとは、互いに係合し得る雄バックルと雌バックルであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の乗り物の多点式シートベルトシステムの保護補強装置。
【請求項6】
前記第1接続ベルトと前記第2接続ベルトが、所定の長さを有するベルトであることを特徴とする、請求項5に記載の乗り物の多点式シートベルトシステムの保護補強装置。
【請求項7】
前記第1接続ベルトと前記第2接続ベルトが、長さ調整機能を有する位置決め調整部材が設けられた細長いベルトであることを特徴とする、請求項5に記載の乗り物の多点式シートベルトシステムの保護補強装置。
【請求項8】
前記第1接続ベルトと前記第2接続ベルトのうちの一方が、所定の長さを有するベルトであり、前記第1接続ベルトと前記第2接続ベルトのうちの他方が、長さ調整機能を有する位置決め調整部材が設けられた細長いベルトであることを特徴とする、請求項5に記載の乗り物の多点式シートベルトシステムの保護補強装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートベルトシステムに関し、特に、各種の乗り物のシートにおける4つ以上の固定点の多点式シートベルトシステムに適用され、構造の補強や安全性等を向上させる保護補強装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフロード車、レーシングカー又は戦車のような様々な乗り物のための高い安全要求に基づいて、乗り物のシートに配置されるシートベルトシステムは、4点式、5点式、6点式又は7点式を含む多点式シートベルトシステムであり得る。使用者の身体は、シートにしっかりと固定されるための分散された固定点によって同時に制限され得る。突発的な外力が乗り物に作用した場合、多点式シートベルトシステムによって使用者に対して高い安全性を提供している。
【0003】
従来からよく知られている乗り物のシートに適用される各種の多点式シートベルトシステムとしては、4点式シートベルトシステムがよく用いられており、それは、ウェビング巻取器に接続される2本のウェビングをそれぞれシートの背凭れの上端から使用者の身体の左右両側に巻き付けることにより、2本のウェビングの末端をそれぞれシートのクッションの左右両側に固定するものであり、そして、2本のウェビングにそれぞれ接続されるシートバックルとタングプレートとを互いに係合するものである。シートバックルとタングプレートとを互いに係合してなるバックルユニットは、使用者の腹部の前側に位置することにより、前記2本のウェビングの4つの位置決め点で使用者の身体に対して高い安全保護性能を発揮する。一方、5点式、6点式及び7点式シートベルトシステムは、4点式シートベルトシステムの構成を基に、バックルユニットの組立構造に接続される補助ウェビングを更に増設することにより、前記2本のウェビングと補助ウェビングとの協働で、使用者の身体に対してより多くの位置決め点による高い安全保護性能を提供するものである。
【0004】
上述したような、乗り物のシートに適用される多点式シートベルトシステムにおいては通常、ウェビング巻取器に接続される2本のウェビングを利用して、使用者の身体の左右両側に4つの位置決め点を設けて安全保護性能を提供しているが、2本のウェビングに対して巻き取り力を提供するウェビング巻取器は通常、シートの背凭れの上方又は後方に設けられ、且つそれぞれ2本のウェビングの間に接続されるバックルユニットは使用者の腹部の前側に位置することから、2本のウェビングにおける、使用者の腹部に位置するバックルユニットの接続箇所から使用者の肩部又は背凭れまでの距離が長く、乗り物が緊急減速又は停止した場合、シート上の使用者の身体に巻き付けられているウェビング巻取器のウェビングが、使用者をシート上に拘束しているが、使用者の上半身が左右両側のウェビングから滑り抜けて2本のウェビングの間に通して慣性力の作用によって前方に押し出されてしまう。故に、このような多点式シートベルトシステムの保護性能は十分ではないので、更に改良する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0206339号
【特許文献2】米国特許出願公開第2022/0219640号
【特許文献3】米国特許出願公開第2022/0219641号
【0006】
また、上記特許文献1~3に開示された乗り物のシートアセンブリにおいては、シートの多点式シートベルトシステムにおける左右の両ウェビングの間に着脱可能な接続ベルトが更に設けられ、該接続ベルトの一端が1つのウェビングの固定箇所に接続され、他のウェビングにバックル部材が設けられ、該接続ベルトの他端は、該バックル部材に着脱可能に係合される。この構成によれば、乗り物が緊急減速又は停止した場合、シート上の使用者の身体の左右両側に巻き付けられている2本のウェビングの間に前記接続ベルトが設けられることにより、2本のウェビングの間の距離が制限されると共に、該接続ベルトは使用者の胸前に横置きしているので、慣性力の作用を受けて使用者の上半身が左右両側のウェビングから滑り抜けて2本のウェビングの間を通って前方に押し出されることを防止する。
【0007】
上述した乗り物のシートに設けられる多点式シートベルトシステムは、左右の2本のウェビングの間に接続される着脱可能な接続ベルトを利用して、多点式シートベルトシステムの使用上の安全性を向上させものであるが、この構成では、接続ベルトの一端は1つのウェビングの固定箇所に接続され、接続ベルトの他端は他のウェビングのバックル部材に着脱可能に係合することはできるが、シート上の異なる使用者の身体の大きさに応じて接続ベルトの高さ位置を調整することができなく、一方、接続ベルトの他端は、他のウェビングのバックル部材から取り外された後、接続ベルトの一端はウェビングの固定箇所に接続されるため、接続ベルトの他端が下垂することになるが、この場合、接続ベルトが多点式シートベルトシステムのウェビングの一側に突出し、シート上の使用者の行動に対して干渉しやすい問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の多点式シートベルトシステムにおける保護性能の不足や使用時の不便さ等の問題を解決するために、乗り物の多点式シートベルトシステムの保護補強装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、乗り物の多点式シートベルトシステムの保護補強装置を提案したものであり、当該乗り物の多点式シートベルトシステムの保護補強装置において、乗り物のシートにおける多点式シートベルトシステムに設置され、前記多点式シートベルトシステムは、2本のウェビングで前記シート上の使用者の身体の左右両側に巻き付けて固定され、前記保護補強装置は前記2本のウェビングの間に接続されると共に、2つのウェビング調整バックルと、バックルユニットとを含み、
前記2つのウェビング調整バックルはそれぞれ、前記2本のウェビングに取り付けられると共に、前記ウェビングにおける高さ位置の調整及び位置決めが可能であり、前記ウェビング調整バックルの底端毎にバックル接続部が設けられ、前記バックル接続部は前記ウェビングの前方に位置し、前記2本のウェビングに取り付けられる前記2つのウェビング調整バックルの前記バックル接続部の少なくとも相対する一側に弧形案内部が形成され、
前記バックルユニットは、着脱可能に前記2つのウェビング調整バックルの間に接続されると共に、互いに係合及び離脱可能な第1ベルトバックル及び第2ベルトバックルを含み、
前記第1ベルトバックル及び前記第2ベルトバックルはそれぞれ、動的に前記2つのウェビング調整バックルのバックル接続部の前記弧形案内部に接続されることにより、前記保護補強装置は、前記第1ベルトバックルと前記第2ベルトバックルとが互いに係合されることによって前記2本のウェビングの間に接続されると共に、使用者の身体の前側に横置きし、前記第1ベルトバックルと前記第2ベルトバックルとの係合が解除された状態で、前記第1ベルトバックル及び前記第2ベルトバックルはそれぞれ、前記2つのウェビング調整バックルの前記弧形案内部から重力により自然に回動して下垂し、前記ウェビングの前側に位置するようになることを特徴とする乗り物の多点式シートベルトシステムの保護補強装置。
【発明の効果】
【0010】
上記乗り物の多点式シートベルトシステムの保護補強装置の全体構成によれば、それを乗り物のシートにおける多点式シートベルトシステムに適用することにより、ウェビング巻取器に接続される2本のウェビングがシート上の使用者の身体の左右両側に巻き付けられて高い保護性能を提供するだけでなく、該保護補強装置は少なくとも、多点式シートベルトシステムに対して以下に示すような効果をもたらす。
1.多点式シートベルトシステムに対して補助的安全性、保護性及び補強機能の向上を図ることができる。
つまり、本発明の保護補強装置は、第1ベルトバックル及び第2ベルトバックルがそれぞれ2つのウェビング調整バックルを介して多点式シートベルトシステムの左右のウェビングに取り付けられ、第1ベルトバックル及び第2ベルトバックルが互いに係合して横方向に2本のウェビングの間に接続されることにより、2本のウェビングに対して補強の作用を提供し、更に、互いに係合した第1ベルトバックル及び第2ベルトバックルは、使用者の胸前の位置に横置していることから、乗り物が緊急減速又は停止した時、ウェビング巻取器が、シート上の使用者の身体に巻き付けられた2本のウェビングを巻き取り、シート上の使用者が慣性力の作用によって前方に押し出されても、保護補強装置が2本のウェビングに接続される距離の制限によって、且つ、使用者の胸前に横置きしていることから、使用者の上半身が左右両側のウェビングから滑り抜けて2本のウェビングの間を通って前方に押し出されることが防止される。従って、本発明の保護補強装置は確実に、多点式シートベルトシステムにおいて優れた補助的安全性、保護性及び補強機能を提供することができる。
2.高さ調整機能を有する。
上述したように、本発明の保護補強装置は、第1ベルトバックル及び第2ベルトバックルをそれぞれ、2つのウェビング調整バックルを介して多点式シートベルトシステムの左右のウェビングに取り付けることにより、2つのウェビングベルト調整バックルが2本のウェビングに移動可能に位置決めできることから、使用者が自分の体型に合わせて第1ベルトバックル及び第2ベルトバックルの2本のウェビングにおける高さ位置を調整することができるので、ユーザーの体型に合わせた適切な位置で優れた補助的安全性及び保護性を提供することができる。
3.使用者の行動に対する干渉を減らす。
本発明の保護補強装置は、第1ベルトバックルと第2ベルトバックルとの係合状態を解除すると、該第1ベルトバックル及び該第2ベルトバックルはそれぞれ、該第1ベルトバックルのバックル接続部及び第2ベルトバックルのバックル接続部から重力により自然に回動して下垂し、ウェビングの前側に位置するようになるので、使用者の行動に対する干渉を減らすことができる。
【0011】
本発明に係る、乗り物の多点式シートベルトシステムの保護補強装置は、前記2本のウェビングに取り付けられるウェビング調整バックルのバックル接続部における、少なくとも相対する一側に弧形案内部が更に形成され、第1ベルトバックル及び第2ベルトバックルは、それぞれ動的に該2つのウェビング調整バックルの弧形案内部に接続されることから、それぞれ、重力により該ウェビングの弧形案内部において自然に回動して下垂する。また、該弧形案内部の弧形状の形態により、該第1ベルトバックル及び第2ベルトバックルの回動時における干渉を減らすため、自然に回動して順調に下垂させることができる。
【0012】
本発明に係る、乗り物の多点式シートベルトシステムの保護補強装置では、ウェビング調整バックル毎に位置決め部が設けられ、該位置決め部は、フレーム部及び該フレーム部内に設けられる横ロッド部を含み、ウェビングを平坦に該フレーム部内に通すと共に、該横ロッド部に巻き付け、バックル接続部の頂端を該フレーム部の底端に接続させる。これにより、使用者は、第1ベルトバックル及び第2ベルトバックルの、ウェビングにおける高さ位置を調整しやすくなると共に、ウェビングの平坦性を維持することができる。
【0013】
本発明に係る乗り物の多点式シートベルトシステムの保護補強装置では、バックル接続部と位置決め部との間に段差を更に有し、該バックル接続部は、ウェビングの前方に、ウェビング2との間にはピッチを有するように位置し、第1ベルトバックル及び第2ベルトバックルに対して適切な移動空間を提供し、該バックル接続部には更に円孔が形成され、該バックル接続部の下段の外周面に孤形面が形成される。この構成によれば、該第1ベルトバックル及び第2ベルトバックルが動的に2本のウェビングのウェビング調整バックルの底端におけるバックル接続部に接続されることから、バックル接続部の回動時のスムーズさを向上させることができるので、該ウェビング調整バックル及びウェビングの第1ベルトバックル及び第2ベルトバックルに対する回動時の干渉を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の保護補強装置の一つの実施例を乗り物のシートにおける4点式シートベルトシステムに適用した状態を示す模式図である。
【
図2】
図1に示す、本発明の保護補強装置の実施例を4点式シートベルトシステムの左右両側のウェビングの間に接続した状態を示す局部拡大図である。
【
図3】本発明の保護補強装置の他の実施例を乗り物のシートにおける4点式シートベルトシステムに適用した状態を示す模式図である。
【
図4】本発明の保護補強装置の実施例を乗り物のシートにおける5点式シートベルトシステムに適用した状態を示す模式図である。
【
図5】
図1~
図4に示す本発明の保護補強装置の実施例におけるウェビング調整バックルの斜視模式図である。
【
図6】
図1~
図4に示す本発明の保護補強装置の実施例におけるウェビング調整バックルの側面模式図である。
【
図7】本発明の保護補強装置の実施例におけるウェビング調整バックルの他の実施例の平面模式図である。
【
図8】本発明の保護補強装置の実施例におけるウェビング調整バックルの他の実施例の平面模式図である。
【
図9】
図1に示す、本発明の保護補強装置の実施例を乗り物のシートにおける4点式シートベルトシステムに適用した場合において、第1ベルトバックルと第2ベルトバックルとの係合状態が解除された状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1、
図3、
図4はそれぞれ、本発明に係る、乗り物の多点式シートベルトシステムの保護補強装置1のいくつかの実施例を示すものであり、それによると、該保護補強装置1は、乗り物の多点式シートベルトシステムに用いられ、そのうち、
図1及び
図3に示す多点式シートベルトシステムは、4点式シートベルトシステムAであり、
図4に示す多点式シートベルトシステムは、5点式シートベルトシステムA1である。尚、前記多点式シートベルトシステムは、6点式シートベルトシステム又は7点式シートベルトシステム等でもよく、4点式、5点式シートベルトシステムに限定されることはない。
【0016】
図1、
図3、
図4に示すように、前記多点式シートベルトシステムはそれぞれ、2本のウェビング2、1つ又は2つのウェビング巻取器3、シートバックル部材4又4Aを含み、該2本のウェビング2はそれぞれシートの左右両側に位置し、前記ウェビング巻取器3は、シートの背凭れの上部又は裏面、もしくは背凭れの後方等の箇所に設けられ、前記2本のウェビング2の一端はともに1つの前記ウェビング巻取器3に接続され、もしくは前記2本のウェビングの一端がそれぞれ前記2つのウェビング巻取器3に接続され、前記2本のウェビング2の他端はそれぞれシートのクッションの左右両側に設けられる接続部材5と結合される。
【0017】
図1及び
図9に示すように、前記多点式シートベルトシステムが4点式シートベルトシステムAである場合、該シートバックル部材4は、シートバックル41及びタングプレート42を含み、該シートバックル41及び該タングプレート42はそれぞれ、移動可能に該2本のウェビング2に設けられ、更に、該タングプレート42は、該シートバックル41内に挿入するように着脱可能に係合される。つまり、使用者が乗り物のシート上に着座した後、前記2本のウェビング2をそれぞれ、使用者の身体の前側の左右両側に巻き付けると共に、前記2本のウェビング2のシートバックル41とタングプレート42との係合により、係合されたシートバックル部材4は、使用者の腹部の前側に位置し、前記2本のウェビング2が使用者の身体に巻き付けられて4つの位置決め点に位置する。
【0018】
また、
図4は、5点式シートベルトシステムA1又は6点式、7点式シートベルトシステムにおいて、4点式シートベルトシステムAの構成(
図1及び
図3に示す)を基に、シートバックル部材4Aに接続される少なくとも1本の補助ウェビング2Aを更に増設したものを示しているが、該シートバックル部材4Aの構成は従来のものである。つまり、該シートバックル部材4Aは、1つのシートバックル及び2つのタングプレートを含み、該シートバックルは補助ウェビング2Aに設けられ、該2つのタングプレートはそれぞれ移動可能に前記2本のウェビング2に設けられると共に、該シートバックル内に着脱可能に係合される。これにより、使用者が乗り物のシート上に着座した際、前記2本のウェビング2がそれぞれ、使用者の身体の前側の左右両側に巻き付けられると共に、前記2本のウェビング2の2つのタングプレートとシートバックルとの係合により、係合されたシートバックル部材4Aは使用者の腹部の前側に位置し、該2本のウェビング2が前記補助ウェビング2Aに結合されて、使用者の身体上に巻き付けられてより多くの位置決め点を増加することにより、安全保護機能を向上させる。
【0019】
図1~
図4に示すように、本発明の保護補強装置1は、前記多点式シートベルトシステムA、A1における前記2本のウェビング2の間に接続されると共に、2つのウェビング調整バックル10及び1つのバックルユニット20を含む。以下、その具体的な構成を詳細に説明する。
【0020】
図1~
図5に示すように、該2つのウェビング調整バックル10はそれぞれ、前記2本のウェビング2に設けられると共に、高さ位置調整及び位置決めをすることができ、前記ウェビング調整バックル10の底端毎にバックル接続部11が設けられ、前記バックル接続部11は、前記ウェビング2の前方に、ウェビング2との間にはピッチを有するように位置する。また、
図2及び
図5に示すように、前記2つのウェビング調整バックル10の前記バックル接続部11における、少なくとも相対する一側に弧形案内部111が形成される。
【0021】
図1~
図5に示すように、本実施例においては、前記ウェビング調整バックル10毎に位置決め部12を含み、前記位置決め部12は、フレーム部121及び該フレーム部121内に設けられる横ロッド部122を含み、前記フレーム部121内の幅及び前記横ロッド部122の長さは、前記ウェビング2の幅と一致しており、これにより、前記ウェビング調整バックル10が前記位置決め部12を介してウェビング2に設けられると共に、前記ウェビング2が平坦に前記フレーム部121内を通って前記横ロッド部122に巻き付けられ、ウェビング2が位置決め部12との摩擦力によって位置決めされる。この構成によると、前記位置決め部12からウェビング2を解放させれば、ウェビング調整バックル10がウェビング2の長さ方向(上下方向)に沿って移動して高さ位置を自由に調整することができる。また、好ましくは、前記フレーム部121の左右の両側面にそれぞれ凸凹状の滑り止め部123が形成されることにより、使用者が位置決め部12のフレーム部121を握持して、ウェビング調整バックル10のウェビング2における高さ位置を調整することができる。
【0022】
図5~
図6に示すように、前記バックル接続部11の頂端が前記フレーム部121の底端に接続され、前記バックル接続部11と前記位置決め部12との間に段差が設けられるので、前記バックル接続部11がウェビング2の前方に位置すると共に、前記バックル接続部11と前記ウェビング2との間にピッチを有する。
【0023】
図5、
図7及び
図8に示す実施例においては、前記バックル接続部11は下段が半円形又は楕円形であるリング体であり、前記バックル接続部11に1つの円形孔が形成され、もしくはその下半部が半円形で上半部が矩形の複合形の孔であり、前記バックル接続部11の下半部に弧形案内部111が形成される。以上の実施例は、単に前記バックル接続部11のいくつかの実施形態を示しただけのものであり、これらに限定されるものではない。
【0024】
図1~
図4及び
図9に示すように、バックルユニット20は、着脱可能に係合される第1ベルトバックル21及び第2ベルトバックル22を含み、該第1ベルトバックル21及び該第2ベルトバックル22はそれぞれ、該2つのウェビング調整バックル10の底端におけるバックル接続部11に動的に接続され、本発明の保護補強装置1は、前記バックルユニット20の第1ベルトバックル21と第2ベルトバックル22との係合によって前記2本のウェビング2の間に接続される。また、
図9に示すように、第1ベルトバックル21と第2ベルトバックル22との係合状態を解除すると、第1ベルトバックル21と第2ベルトバックル22はそれぞれ、ウェビング調整バックル10の底端におけるバックル接続部11から重力により自然に回動して下垂し、ウェビングの前側に位置するようになる。
【0025】
図1~
図4及び
図9に示すように、該第1ベルトバックル21及び該第2ベルトバックル22はそれぞれ、該2つのウェビング調整バックル10における弧形案内部111に接続され、重力により2つのウェビング調整バックル10における弧形案内部111から自然に回動して下垂すると共に、前記弧形案内部111の弧形状の形態により、該第1ベルトバックル21及び該第2ベルトバックル22の回動時の干渉を減らすため、該第1ベルトバックル21と該第2ベルトバックル22の、重力により自然に回動して下垂する時のスムーズさを向上させる。
【0026】
図1、
図2、
図4及び
図9に示すように、該第1ベルトバックル21は、第1接続ベルト211と、該第1接続ベルト211の一端に接続される第1バックル部材212を有し、第1接続ベルト211の他端は前記ウェビング調整バックル10の底端におけるバックル接続部11に巻き付けられ、これにより、該第1ベルトバックル21はバックル接続部11において回動することができる。前記第2ベルトバックル22は、第2接続ベルト221と、該第2接続ベルト221の一端に接続される第2バックル部材222を有し、該第2接続ベルト221の他端は、他の前記ウェビング調整バックル10の底端におけるバックル接続部11に巻き付けられ、これにより、該第2ベルトバックル22は前記バックル接続部11において回動することができる。尚、該第1バックル部材212と該第2バックル部材222は、互いに係合可能な雄バックルと雌バックルとを使用できるが、これら雄バックル及び雌バックルは従来のものであるので、その具体的な構成の説明は省略する。
【0027】
図1、
図2及び
図4に示すように、該第1ベルトバックル21及び該第2ベルトバックル22において、前記第1接続ベルト211及び前記第2接続ベルト221は、所定の長さを有するベルトでもよく、もしくは、位置決め調整部材が設けられている、長さ調整可能なベルトでもよい。
図3に示すように、前記第1接続ベルト211及び第2接続ベルト221のうちの一方は、位置決め調整部材213が設けられて長さ調整可能なベルトを構成し、他方は所定の長さを有するベルトである。また、前記第1接続ベルト211及び前記第2接続ベルト221のうちの一つ又は2つを、長さ調整機能を有するベルトとすることにより、異なる使用者の体型に合わせてベルトの長さを調整できるようにしてもよい。
【0028】
図1、
図2、
図4及び
図9に示すように、本発明の保護補強装置1を、乗り物のシートにおける多点式シートベルトシステムに適用する場合について、4点式シートベルトシステムA、5点式シートベルトシステムA1を例とすると、使用者がシート上に着座した後、ウェビング巻取器3に接続される2本のウェビングを使用者の身体の左右両側に巻き付けると共に、シートバックル部材4、4Aにおける2本のウェビングに接続されるシートバックル41とタングプレート42との係合により、シートバックル41とタングプレート42とが係合されたシートバックル部材4、4Aは、使用者の腹部の前側に位置し、そして、保護補強装置1の第1ベルトバックル21と第2ベルトバックル22とを互いに係合させて、2本のウェビングの間に横方向に接続させると、2本のウェビングの間に補強作用をもたらす。
【0029】
本発明では、保護補強装置1の第1ベルトバックル21及び第2ベルトバックル22がそれぞれ、2つのウェビング調整バックル10を介して2本のウェビングに設けられ、使用者が自分の体型に合わせて2つのウェビング調整バックル10の2本のウェビング2における高さ位置の調整及び位置決めをすることにより、前記第1ベルトバックル21と前記第2ベルトバックル22とが互いに係合して、横方向に2本のウェビングの間に接続され、且つ、使用者の胸前の位置に横置きしているので、使用者に対して補助的な安全保護作用を提供することができ、これにより、乗り物が緊急減速又は停止した時、ウェビング巻取器3が、シート上の使用者の身体に巻き付けられた2本のウェビング2を巻き取り、シート上の使用者が慣性力の作用によって前方に押し出されても、本発明の保護補強装置1が2本のウェビング2に接続される距離の制限によって、且つ、使用者の胸前に横置きしていることから、使用者の上半身が左右両側のウェビング2から滑り抜けて2本のウェビング2の間を通って前方に押し出されることが防止される。従って、本発明の保護補強装置1は確実に、4点式シートベルトシステムA、5点式シートベルトシステムA1等の各種の多点式シートベルトシステムにおいて優れた補助的安全性、保護性及び補強機能を提供することができる。
【0030】
図1、
図2及び
図9に示すように、シート上の使用者が本発明の保護補強装置1の第1ベルトバックル21と第2ベルトバックル22との係合状態を解除すると、第1ベルトバックル21及び第2ベルトバックル22はそれぞれ、動的に2本のウェビング2のウェビング調整バックル10の底端におけるバックル接続部11に接続されていることから、バックル接続部11から重力により自然に回動して下垂して、ウェビング2の前側に位置するようになるので、使用者の行動に対する干渉を減らすことができる。
【0031】
また、本発明の保護補強装置1では、2本のウェビング2に設けられる2つのウェビング調整バックル10のバックル接続部11における、少なくとも相対する一側に弧形案内部111が形成されることにより、第1ベルトバックル21及び第2ベルトバックル22はそれぞれ、動的に2つのウェビング調整バックル10の弧形案内部111に接続されて、弧形案内部111から重力により自然に回動して下垂すると共に、前記弧形案内部111の弧形状の形態により、該第1ベルトバックル21及び該第2ベルトバックル22の回動時の干渉を減らすため、第1ベルトバックル21及び第2ベルトバックル22の、重力により自然に回動して下垂する時のスムーズさを向上させる。
【0032】
また、本発明の保護補強装置1は、前記バックル接続部11と前記位置決め部12との間に段差を有するので、前記バックル接続部11がウェビング2の前方に、前記ウェビング2との間にはピッチを有するように位置すると共に、第1ベルトバックル21及び第2ベルトバックル22に対して適切な移動空間を提供する。この構成によれば、第1ベルトバックル21及び第2ベルトバックル22が動的に2本のウェビング2のウェビング調整バックル10の底端におけるバックル接続部11に接続されることから、バックル接続部11の回動時のスムーズさを向上させることができると共に、ウェビング調整バックル10及びウェビング2の第1ベルトバックル21及び第2ベルトバックル22に対する回動時の干渉を減らすことができる。
【0033】
以上の説明は、本発明の実施例に過ぎず、本発明に対して何ら限定を行うものではない。本発明について、比較的好適な実施例をもって説明したが、これは本発明を限定するものではなく、すべての当業者が、本発明の技術方案を逸脱しない範囲において、本発明の技術の本質に基づいて上記の実施例に対して行ういかなる簡単な修正、同等な変更及び修飾も、すべて本発明の技術方案の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0034】
1 保護補強装置
10 ウェビング調整バックル
11 バックル接続部
111 弧形案内部
12 位置決め部
121 フレーム部
122 横ロッド部
123 滑り止め部
20 バックルユニット
21 第1ベルトバックル
211 第1接続ベルト
212 第1バックル部材
213 位置決め調整部材
22 第2ベルトバックル
221 第2接続ベルト
222 第2バックル部材
A 4点式シートベルトシステム
A1 5点式シートベルトシステム
2 ウェビング
2A 補助ウェビング
3 ウェビング巻取器
4 シートバックル部材
4A シートバックル部材
41 シートバックル
42 タングプレート
5 接続部材