(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001734
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】眼科診療車
(51)【国際特許分類】
A61B 3/00 20060101AFI20241226BHJP
A61G 3/02 20060101ALI20241226BHJP
A61B 3/028 20060101ALI20241226BHJP
B60P 3/00 20060101ALI20241226BHJP
A61B 3/13 20060101ALN20241226BHJP
【FI】
A61B3/00
A61G3/02
A61B3/028
B60P3/00 N
A61B3/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101371
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】523177436
【氏名又は名称】小出健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】小出 健郎
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA04
4C316AA09
4C316AA13
4C316FC01
4C316FC12
(57)【要約】
【課題】複数の眼機能検査を行うことができるとともに治療のためのスペースも確保し易くすることができる眼科診療車を提供する。
【解決手段】眼科診療車100は、車両本体101内に運転席室103を有するとともに、この運転席室103の後方に診察室110が形成されている。診察室110には、運転席室103の後方に医療従事者ゾーン123を介してメインテーブル120が設けられているとともに、このメインテーブル120上を摺動自在に移動する機械器具台車124上に医療機械器具M1が配置されている。また、診察室110には、車両側面105bに沿ってサブテーブル130が設けられているとともに、このサブテーブル130上に医療機械器具M2および非対面型医療装置HM1,HM2が配置されている。非対面型医療装置HM1,HM2は、車両側面105bを背にして接眼部Sが車両本体101の幅方向の中央部側に向く向きで配置されている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を有して箱状に形成された車両本体と、
前記車両本体内に形成されて医師または看護師などの医療従事者が眼科診療を行う診察室と、
前記眼科診療の患者が前記医療従事者に対して非対面で眼を宛がう接眼部を有して少なくとも前記眼の検査を行う非対面型医療装置とを備え、
前記非対面型医療装置は、
前記診察室内における前記車両本体の車両側面を背にして前記接眼部が前記車両本体の幅方向の中央部側に向く向きで配置されていることを特徴とする眼科診療車。
【請求項2】
請求項1に記載した眼科診療車において、
前記車両本体は、
運転席を有して前記車両本体の幅方向に形成された運転席室を有した自走式車両で構成されており、
前記診察室は、
前記車両本体内における前記運転席室の後方に形成されていることを特徴とする眼科診療車。
【請求項3】
請求項2に記載した眼科診療車において、さらに、
前記運転席室内に前記診察室内に電力を供給する診察室用電源を備えることを特徴とする眼科診療車。
【請求項4】
請求項1に記載した眼科診療車において、さらに、
前記診察室内における前記眼科診療車の前側に前記医療従事者が位置する医療従事者ゾーンと、
前記医療従事者ゾーンに対向配置されて前記患者に対して医療サービスを提供するためのメインテーブルとを備え、
前記非対面型医療装置は、
前記メインテーブルに対して前記眼科診療車の後方側に配置されていることを特徴とする眼科診療車。
【請求項5】
請求項4に記載した眼科診療車において、さらに、
前記医療従事者ゾーンに対して前記眼科診療車における左右方向における左側および右側のうちの少なくとも一方に設けられて前記医療従事者が前記診察室内に出入りするための医療従事者出入り口を備えることを特徴とする眼科診療車。
【請求項6】
請求項4に記載した眼科診療車において、さらに、
前記非対面型医療装置が載置された状態で支持するサブテーブルを備え、
前記サブテーブルは、
上面が前記メインテーブルの上面と面一で繋がって前記眼科診療車の前記車両側面に沿って設けられていることを特徴とする眼科診療車。
【請求項7】
請求項6に記載した眼科診療車において、さらに、
前記患者の眼の検査または治療を行う医療機械器具を支持して前記メインテーブル上または前記サブテーブル上を摺動する機械器具台車を備えることを特徴とする眼科診療車。
【請求項8】
請求項7に記載した眼科診療車において、さらに、
前記メインテーブルおよび前記サブテーブルのうちの少なくとも一方は、
前記機械器具台車を固定または固定解除するロック機構を備えることを特徴とする眼科診療車。
【請求項9】
請求項1に記載した眼科診療車において、さらに、
前記車両本体の最後部に前記患者が前記診察室内に出入りするための患者出入り口を備えることを特徴とする眼科診療車。
【請求項10】
請求項1に記載した眼科診療車において、さらに、
前記眼科診療車における前記車両側面に前記非対面型医療装置の背面にアクセスするためのメンテナンス開口部を備えることを特徴とする眼科診療車。
【請求項11】
請求項1に記載した眼科診療車において、さらに、
前記患者の眼を治療する治療装置が設けられていることを特徴とする眼科診療車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科における検診または治療を行うための設備を搭載して病院外で眼科の診療を行う移動診療車として機能する眼科診療車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、眼機能を検査する眼機能検査機器を搭載して病院外で眼機能を検査することができる検眼車がある。例えば、下記特許文献1には、車両における運転席および助手席の後方の車室内に眼機能検査機器を備えた検眼車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された検眼車においては、検眼車の進行方向に沿って眼機能検査機器および被検眼者用座席がそれぞれ配置されているため、被検眼者の通路を踏まえれば車両内に眼機能検査機器を1台しか設置することができず、単一の眼機能検査を行うことができないとともに検査結果に基づいた治療または処置を行うことも困難であるという問題がある。
【0005】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、複数の眼機能検査を行うことができるとともに治療のためのスペースも確保し易くすることができる眼科診療車を提供することにある。
【発明の概要】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、車輪を有して箱状に形成された車両本体と、車両本体内に形成されて医師または看護師などの医療従事者が眼科診療を行う診察室と、眼科診療の患者が医療従事者に対して非対面で眼を宛がう接眼部を有して少なくとも眼の検査を行う非対面型医療装置とを備え、非対面型医療装置は、診察室内における車両本体の車両側面を背にして接眼部が車両本体の幅方向の中央部側に向く向きで配置されていることを特徴とする眼科診療車。
【0007】
このように構成した本発明の特徴によれば、眼科診療の患者が医療従事者に対して非対面で眼を宛がう接眼部を有して眼検査を行う非対面型医療装置が診察室内における車両本体の車両側面を背にして接眼部が自走式車両の幅方向の中央部側に向く向きで配置されているため、車両本体の前後方向に沿って複数の非対面型医療装置を配置することができるとともにこれらの複数の非対面型医療装置に沿って車両本体の前後方向に延びる空スペースを確保することができる。これにより、本発明に係る眼科診療車は、複数の眼機能検査を行うことができるとともに治療または処置のためのスペースも確保し易くすることができる。
【0008】
また、本発明の他の特徴は、前記眼科診療車において、車両本体は、運転席を有して車両本体の幅方向に形成された運転席室を有した自走式車両で構成されており、診察室は、車両本体内における運転席室の後方に形成されていることにある。
【0009】
これによれば、眼科診療車は、車両本体が運転席を有して車両本体の幅方向に形成された運転席室を有した自走式車両で構成されており、診察室が車両本体内における運転席室の後方に形成されて眼科診療車が自走式車両と一体的に形成されている。このため、眼科診療車は、診察室が自力で移動し易くなるとともに自走式車両が備える動力源、電源、空調機または照明器具などの設備を利用して診察室の使い勝手を向上させることができる。
【0010】
また、本発明の他の特徴は、前記眼科診療車において、さらに、運転席室内に診察室内に電力を供給する診察室用電源を備えることにある。
【0011】
これによれば、眼科診療車は、運転席空間内に診察室内に電力を供給する診察室用電源を備えているため、診察室内のスペースを使用することなく診察室内での電気の使い勝手を良好にすることができる。
【0012】
また、本発明の他の特徴は、前記眼科診療車において、さらに、診察室内における眼科診療車の前側に医療従事者が位置する医療従事者ゾーンと、医療従事者ゾーンに対向配置されて患者に対して医療サービスを提供するためのメインテーブルとを備え、非対面型医療装置は、メインテーブルに対して眼科診療車の後方側に配置されていることにある。
【0013】
これによれば、眼科診療車は、診察室内における眼科診療車の前側に医療従事者が位置する医療従事者ゾーンと、医療従事者ゾーンに対向配置されて患者に対して医療サービスを提供するためのメインテーブルとを備えて非対面型医療装置がメインテーブルに対して眼科診療車の後方側に配置されているため、患者は眼科診療車の前方側を向くことで医療従事者に対面できるとともに、車両の側方に向きを変えることで容易に非対面型医療装置によって眼の検査または治療を受けることができる。
【0014】
また、本発明の他の特徴は、前記眼科診療車において、さらに、医療従事者ゾーンに対して眼科診療車における左右方向における左側および右側のうちの少なくとも一方に設けられて医療従事者が診察室内に出入りするための医療従事者出入り口を備えることにある。
【0015】
これによれば、眼科診療車は、医療従事者ゾーンに対して左右のうちの少なくとも一方に設けられて医療従事者が診察室内に出入りするための医療従事者出入り口を備えているため、医療従事者が診察室内に容易に出入りすることができる。この場合、医療従事者出入り口は、眼科診療車の左右の両サイドにおける医療従事者ゾーンに近い側に設けるとよい。
【0016】
また、本発明の他の特徴は、前記眼科診療車において、さらに、非対面型医療装置が載置された状態で支持するサブテーブルを備え、サブテーブルは、上面がメインテーブルの上面と面一で繋がって眼科診療車の車両側面に沿って設けられていることにある。
【0017】
これによれば、眼科診療車は、非対面型医療装置が載置された状態で支持するサブテーブルを備えるとともに、このサブテーブルは上面がメインテーブルの上面と面一で繋がって眼科診療車の側面に沿って設けられているため、患者は医療従事者および非対面型医療装置に対して略同じ目線で対面することができ医療サービスが受け易くなる。また、医療従事者は、サブテーブル上の非対面型医療装置を容易にメインテーブル上に移動させて使用またはメンテナンスすることができる。
【0018】
また、本発明の他の特徴は、前記眼科診療車において、さらに、患者の眼の検査または治療を行う医療機械器具を支持してメインテーブル上またはサブテーブル上を摺動する機械器具台車を備えることにある。
【0019】
これによれば、眼科診療車は、患者の眼を検査または治療する医療機械器具が載置されてメインテーブル上またはサブテーブル上を摺動する機械器具台車を備えているため、メインテーブル上またはサブテーブル上で医療機械器具を容易に移動させることができる。この場合、眼科診療車は、機械器具台車側またはテーブル側に球状または円筒状のコロを設けておくとよい。
【0020】
また、本発明の他の特徴は、前記眼科診療車において、さらに、メインテーブルおよびサブテーブルのうちの少なくとも一方は、機械器具台車を固定または固定解除するロック機構を備えることにある。
【0021】
これによれば、眼科診療車は、メインテーブルおよびサブテーブルのうちの少なくとも一方は、機械器具台車を固定または固定解除するロック機構を備えているため、機械器具台車、すなわち、この機械器具台車上に載置されている医療機械器具をメインテーブルおよび/またはサブテーブル上で一時的に固定することができる。
【0022】
また、本発明の他の特徴は、前記眼科診療車において、さらに、車両本体の最後部に患者が診察室内に出入りするための患者出入り口を備えることにある。
【0023】
これによれば、眼科診療車は、車両本体の最後部に患者が診察室内に出入りするための患者出入り口を備えているため、非対面型医療装置の設置スペースを減ずることなく患者を診察室内に容易に出入りさせることができる。この場合、診察室内には、診察室内に対して車椅子または人を昇降させるスロープまたは電動リフターを備えているとよい。
【0024】
また、本発明の他の特徴は、前記眼科診療車において、さらに、眼科診療車における車両側面に非対面型医療装置の背面にアクセスするためのメンテナンス開口部を備えることにある。
【0025】
これによれば、眼科診療車は、眼科診療車における車両側面に非対面型医療装置の背面にアクセスするためのメンテナンス開口部を備えているため、非対面型医療装置を眼科診療車の車両側面を背にして配置した場合であっても非対面型医療装置の位置または向きを変化させることなく車外からメンテナンスを行うことができる。
【0026】
また、本発明の他の特徴は、前記眼科診療車において、さらに、患者の眼を治療する治療装置が設けられていることにある。
【0027】
これによれば、眼科診療車は、患者の眼を治療する治療装置を備えているため、眼の検査に加えて眼の治療まで行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明に係る眼科診療車の外観構成の概略を示す左側面図である。
【
図2】
図1に示す眼科診療車の外観構成の概略を示す平面図である。
【
図3】
図2に示す眼科診療車の室内における主として診察室の構成を機械器具台車が待機位置に位置しているとともに左右のサイドドアがそれぞれ開いている状態で示す一部破断部分拡大平面図である。
【
図4】
図2に示す眼科診療車の室内における主として診察室の構成を機械器具台車が使用位置に位置しているとともに右側のサイドドアが開いている状態で示す一部破断部分拡大平面図である。
【
図5】
図1に示す眼科診療車の室内における主として診察室の構成をサイドドアおよびバックドアをそれぞれ開けた状態で示す一部破断部分拡大側面図である。
【
図6】
図2ないし
図4に示す医療機械器具を載置する機械器具台車の外観構成の概略を示す平面図である。
【
図7】
図6に示す機械器具台車がメインテーブル上またはサブテーブル上に固定されている状態を示す側面図である。
【
図8】
図3に示す眼科診療車の室内において、患者が非対面型医療装置を使用しようとしている状態を示す一部破断部分拡大平面図である。
【
図9】本発明の変形例に係る眼科診療車の室内における主として診察室の構成をサイドドアを開けた状態で示す一部破断部分拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る眼科診療車の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る眼科診療車100の外観構成の概略を示す左側面図である。また、
図2は、
図1に示す眼科診療車100の外観構成の概略を示す平面図である。また、
図3は、
図2に示す眼科診療車100の室内における主として診察室110の構成を機械器具台車124が待機位置に位置しているとともに左右のサイドドア112a,113aがそれぞれ開いている状態で示す一部破断部分拡大平面図である。また、
図4は、
図2に示す眼科診療車100の室内における主として診察室110の構成を機械器具台車124が使用位置に位置しているとともに右側のサイドドア112aが開いている状態で示す一部破断部分拡大平面図である。
図5は、
図1に示す眼科診療車100の室内における主として診察室110の構成をサイドドア113aおよびバックドア114aをそれぞれ開けた状態で示す一部破断部分拡大側面図である。また、本実施形態においては、眼科診療車100の前進方向または後進方向が「前後方向」であり、この前後方向に直交する眼科診療車100の幅方向が「左右方向」である。
【0030】
(眼科診療車100の構成)
この眼科診療車100は、病院以外の医療設備が整っていない場所(例えば、患者Kの自宅、介護施設、事故または災害現場、駅または公民館などの公共施設または商業施設など)に出向いて眼科における検査、診断または治療の医療サービスを提供するための車両である。この眼科診療車100は、車両本体101を備えている。
【0031】
車両本体101は、人および眼科診療に必要な設備を載せて走行する箱型の車両であり、室内に運転席室103および診察室110をそれぞれ備えるとともに、車外に4つの車輪102を備えて構成されている。本実施形態においては、車両本体101は、自走するための原動機としてレシプロエンジン(図示せず)を採用した自走式の車両である。この場合、車両本体101は、それぞれタイヤで構成された4つの車輪102が原動機によってそれぞれ回転駆動する4輪駆動で構成されている。
【0032】
運転席室103は、車両本体101を運転する運転者が着席する運転席103aおよびこの運転席103aの側方に設けられて同乗者が着席する助手席103bをそれぞれ備えた車内空間であり、車両本体101の車内空間における最前部に幅方向に延びて形成されている。この場合、本実施形態においては、運転席室103は、運転席103aが車幅方向の右側に配置されているとともに、助手席103bが車幅方向の左側に配置されている。
【0033】
また、運転席103aと助手席103bとの間には、運転席室103と診察室110との間で人が往来することができる程度の隙間からなる席間空間104が形成されているとともに、この席間空間104の一部に診察室用電源107が設けられている。そして、この運転席室103は、車両本体101の左右の車両側面105a,105bにそれぞれ設けられたフロントドア106a,106bを介してそれぞれ出入りできるようになっている。
【0034】
診察室用電源107は、診察室110内で使用する医療機械器具M1,M2および非対面型医療装置HM1,HM2などの電力を必要とする機器に電力を供給するためのコンセントを備えたバッテリである。この診察室用電源107は、家庭用電源(100Vまたは200V)または車両本体101が搭載する発電機またはバッテリのほか、ソーラーパネル(図示せず)からの電力供給を受けて充電される。
【0035】
診察室110は、医師または看護師などの医療従事者Dが患者Kに対して眼科の医療サービスを提供するための車内空間であり、運転席室103の後方に形成されている。この診察室110は、平坦な床面111が形成されるとともに周囲の壁部分に医療従事者出入り口112、メンテナンス開口部113および患者出入り口114がそれぞれ設けられている。この場合、床面111における医療従事者出入り口112に対向する部分には床面111から階段状に下がって床面111への昇降口となるステップ111aが形成されている。
【0036】
また、床面111におけるメンテナンス開口部113に対向する部分の床下には物品収納部111bが形成されている。さらに、診察室110内に設けられている窓には、外光を遮るとともに診察室110内のプライバシーを守るための開閉式のカーテン(図示せず)が設けられている。
【0037】
医療従事者出入り口112は、主として医療従事者Dが診察室110に出入りするための開口部であり、車両本体101の車両側面105aに形成されている。本実施形態においては、医療従事者出入り口112は、車両本体101における運転席室103のフロントドア106aと同じ車両側面105aであってこのフロントドア106aのすぐ後ろに隣接して形成されている。この医療従事者出入り口112は、サイドドア112aによって開閉自在に塞がれている。
【0038】
サイドドア112aは、車両本体101の前後方向に沿ってスライドするスライドドアによって構成されており、車両側面105aの一部を構成している。このサイドドア112aには、人手による操作によって昇降する開閉窓112bが設けられており、この開閉窓112bを介しても診察室110が外部(車外)に対して連通または遮断されるように構成されている。
【0039】
メンテナンス開口部113は、主として非対面型医療装置HM1,HM2のメンテナンスを行うための開口部であり、車両本体101の車両側面105bに形成されている。本実施形態においては、メンテナンス開口部113は、車両本体101における運転席室103のフロントドア106bと同じ車両側面105bであってこのフロントドア106bのすぐ後ろに隣接して形成されている。このメンテナンス開口部113は、サイドドア113aによって開閉自在に塞がれている。
【0040】
サイドドア113aは、車両本体101の前後方向に沿ってスライドするスライドドアによって構成されており、車両側面105bの一部を構成している。このサイドドア113aには、人手による操作によって昇降する開閉窓113bが設けられており、この開閉窓113bを介しても診察室110が外部(車外)に対して連通または遮断されるように構成されている。
【0041】
患者出入り口114は、主として患者Kが診察室110に対して出入りするための開口部であり、車両本体101の背面に形成されている。本実施形態においては、患者出入り口114は、車両本体101の背面におけるバンパーよりも上の部分のほぼ全部が開口部として形成されている。この患者出入り口114は、バックドア114aによって開閉自在に塞がれている。
【0042】
バックドア114aは、車両本体101における背面における上辺を基端として上方に跳ね上げられる跳ね上げ式のドアで構成されている。このバックドア114aは、車両本体101の背面におけるバンパーよりも上の部分を構成して実質的に車両本体101の背面を構成している。
【0043】
これらの運転席室103および診察室110は、車両本体101の前後方向に延びる共通の1つの屋根115で覆われている。すなわち、屋根115は、運転席室103および診察室110の天井を構成している。この屋根115の診察室110の表面(すなわち、天井)には照明(図示せず)が設けられている。また、屋根115には、診察室110の天井部分に可動屋根116が設けられている。
【0044】
可動屋根116は、診察室110内の天井の高さを高くするための部品であり、屋根115の後端部付近を基端として前側が上方に跳ね上げられる跳ね上げ式の板状体で構成されている。この場合、可動屋根116には、跳ね上げられた際に前側および左右両側の各開口部を塞ぐ覆いシート116aが設けられている。この覆いシート116aは、不透明であるが光透過性を有する樹脂製のシート材で構成されている。この場合、覆いシート116aの一部には、診察室110内との間で通気性を確保するために開閉自在なメッシュ部が形成されている。
【0045】
この診察室110内には、主として、メインテーブル120、サブテーブル130および電動リフター140がそれぞれ設けられている。
【0046】
メインテーブル120は、医療従事者Dと患者Kとの間に配置される机であり、サイドドア112aに隣接する位置にサイドドア113a側に向かって延びて形成されている。すなわち、メインテーブル120は、車両本体101の車幅方向に延びて設けられている。本実施形態においては、メインテーブル120は、サイドドア112aに隣接する位置から席間空間104を超えて助手席103bに少し掛かる位置まで延びて形成されている。
【0047】
また、メインテーブル120は、運転席室103に対して所定の空間を介して離隔して配置されており、メインテーブル120と運転席室103との間に前記所定の空間からなる医療従事者ゾーン123を形成している。また、メインテーブル120の上面は、滑らかな平坦面で構成されており、この平坦面上に第1台車位置決め部121a、第1台車ロック部121b、第2台車位置決め部122aおよび第2台車ロック部122bがそれぞれ形成されている。また、メインテーブル120は、医療従事者Dによる操作によって上面の高さが昇降するように構成されている。
【0048】
第1台車位置決め部121a、第1台車ロック部121b、第2台車位置決め部122aおよび第2台車ロック部122bは、メインテーブル120上において機械器具台車124の位置を固定するための部分である。これらのうち、第1台車位置決め部121aおよび第1台車ロック部121bは、メインテーブル120上において機械器具台車124を使用位置で固定する機能を有する。ここで、使用位置とは、機械器具台車124上に載置される医療機械器具M1をメインテーブル120上で使用する位置である。
【0049】
第1台車位置決め部121aは、機械器具台車124を前記使用位置で位置決めするための部分であり、機械器具台車124が突き当てられる突起で構成されている。本実施形態においては、第1台車位置決め部121aは、メインテーブル120上における患者K側の縁部であって車両本体101の幅方向の略中央部分に同幅方向に一列に並んだ3つの直方体状の樹脂片で構成されている。この場合、第1台車位置決め部121aの3つの樹脂片には、金属プレートが貼り付けられており、磁力によって機械器具台車124を仮固定することができるようになっている。
【0050】
第1台車ロック部121bは、機械器具台車124を貫通するロックボルト128がねじ嵌合する雌ねじが形成された2つの有底の穴で構成されている。
【0051】
一方、第2台車位置決め部122aおよび第2台車ロック部122bは、メインテーブル120上において機械器具台車124を待機位置で固定する機能を有する。ここで、待機位置とは、機械器具台車124上に載置される医療機械器具M1をメインテーブル120上で使用せず待機させる位置である。
【0052】
第2台車位置決め部122aは、機械器具台車124を前記待機位置で位置決めするための部分であり、機械器具台車124が突き当てられる突起で構成されている。本実施形態においては、第2台車位置決め部122aは、第1台車位置決め部121aと同様に、メインテーブル120上における患者K側の縁部であってサイドドア112a側に車両本体101の幅方向に一列に並んだ3つの直方体状の樹脂片で構成されている。この場合、第2台車位置決め部122aの3つの樹脂片には、金属プレートが貼り付けられており、磁力によって機械器具台車124を仮固定することができるようになっている。
【0053】
第2台車ロック部122bは、第1台車ロック部121bと同様に、機械器具台車124を貫通するロックボルト128がねじ嵌合する雌ねじが形成された2つの有底の穴で構成されている。
【0054】
医療従事者ゾーン123は、診察室110内において医療従事者Dが患者Kに対して医療サービスを提供するための空間であり、運転席室103とメインテーブル120との間に車両本体101の幅方向に延びて形成されている。この場合、医療従事者ゾーン123は、サイドドア112aから席間空間104まで延びて形成されている。
【0055】
機械器具台車124は、
図6および
図7にそれぞれ示すように、医療機械器具M1をメインテーブル120上で移動可能に載置する部品であり、金属材、樹脂材または木材を板状に形成して構成されている。この機械器具台車124には、ボールキャスタ125、突き当て部126、ロックボルト貫通部127がそれぞれ設けられている。
【0056】
ボールキャスタ125は、機械器具台車124をメインテーブル120上で移動し易くするための部品であり、機械器具台車124の下面に下方に突出した状態で自由に回転する金属製のボールを備えて構成されている。本実施形態においては、ボールキャスタ125は、機械器具台車124の下面に4つ配置されている。これにより、機械器具台車124は、メインテーブル120の上面に対して浮いた状態で配置されることになる。本実施形態においては、機械器具台車124は、メインテーブル120の上面との間に医療機械器具M1の配線を通すことができる程度の隙間を介してメインテーブル120の上面上に配置される。
【0057】
突き当て部126は、前記第1台車位置決め部121aおよび前記第2台車位置決め部122aに対して磁力で吸着される部分であり、磁石片によって構成されている。この突き当て部126は、3つの磁石片が第1台車位置決め部121aおよび前記第2台車位置決め部122aにそれぞれ対応する間隔で機械器具台車124の下面に設けられている。
【0058】
ロックボルト貫通部127は、ロックボルト128を貫通させるとともにこのロックボルト128によって押さえられる部分である。本実施形態においては、ロックボルト貫通部127は、透明な樹脂製の2つの板にそれぞれロックボルト128が貫通する貫通孔が形成されて構成されている。この場合、ロックボルト貫通部127を構成する樹脂製の2つの板は、第1台車ロック部121bおよび第2台車ロック部122bにそれぞれ対向するように機械器具台車124の側面に接着剤によって貼り付けられている。
【0059】
ロックボルト128は、機械器具台車124をメインテーブル120上に固定するための部品であり、金属製の棒体の外周面に雄ねじが形成されて構成されている。
【0060】
医療機械器具M1は、医療従事者Dが患者Kに対して問診、診察、検査、治療または医療的処置を行う際に用いる機械器具である。本実施形態においては、医療機械器具M1は、眼科用レーザ治療装置で構成されているが、他の機械装置、例えば、患者Kの眼を拡大して見ることができる顕微鏡のほか、各種眼機能検査機器(光覚、視力、屈折度、色覚、視野、輻湊、斜位、眼圧または眼球運動など)で構成することができる。
【0061】
つまり、医療機械器具M1は、互いに対面する医療従事者Dと患者Kとの間に配置されて使用される対面型の眼医療装置と、患者Kに対して医療従事者Dが対面しない状態で使用される非対面型の医療装置とを含むものである。また、医療機械器具M1は、対面型の眼医療装置または非対面型の眼医療装置のほかに、医療従事者Dが患者Kに対して問診、診察または医療的処置を行う際に使用する医療的または非医療的な道具または器具を含むものである。
【0062】
サブテーブル130は、診察室110内において車両側面105bに沿って配置される机である。本実施形態においては、サブテーブル130は、サイドドア113aに対向する部分から後輪のホイールハウスに対向する部分まで延びて形成されている。この場合、サブテーブル130は、上面がメインテーブル120の上面と同じ高さに形成されており、互いの上面が面一でT字状に繋がるように配置されている。これにより、サブテーブル130は、メインテーブル120の前方で前記医療従事者ゾーン123における車幅方向左側の端部を形成するとともに、メインテーブル120の後方に形成される患者ゾーン131における車幅方向左側の端部を形成する。
【0063】
患者ゾーン131は、診察室110内で医療サービスを受ける患者K(付添い者を含む)が位置する領域であり、医療従事者ゾーン123に対してメインテーブル120を介して車両本体101の後方側に形成されている。この患者ゾーン131には、前記サブテーブル130の一部が面している。このサブテーブル130の上面は、滑らかな平坦面で構成されており、この平坦面上に第3台車位置決め部132a、第3台車ロック部132bがそれぞれ形成されているとともに、非対面型医療装置HM1,HM2およびパソコンPCがそれぞれ載置されている。
【0064】
第3台車位置決め部132a,第3台車ロック部132bは、第2台車位置決め部122aおよび第2台車ロック部122bと同様に、サブテーブル130上において機械器具台車133を待機位置で固定する機能を有する。ここで、待機位置とは、機械器具台車133上に載置される医療機械器具M2をサブテーブル130上で使用せず待機させる位置である。
【0065】
これらの第3台車位置決め部132a,第3台車ロック部132bは、第2台車位置決め部122aおよび第2台車ロック部122bと同様に構成されているため、その説明は省略する。これらの第3台車位置決め部132a,第3台車ロック部132bは、本実施形態においては、メインテーブル120が車幅方向に延びる延長線上のサブテーブル130上にそれぞれ形成されている。
【0066】
機械器具台車133は、機械器具台車124と同様に、医療機械器具M2をサブテーブル130およびメインテーブル120上で移動可能に載置する部品であり、金属材、樹脂材または木材を板状に形成して構成されている。この機械器具台車133は、機械器具台車124と同様に、ボールキャスタ134、突き当て部135、ロックボルト貫通部136をそれぞれ備えているが、その説明は省略する。また、この機械器具台車133のロックボルト貫通部136に貫通させてサブテーブル130にねじ嵌合させるロックボルト137についてもロックボルト128と同様であるため、その説明は省略する。また、
図3においては、第3台車位置決め部132a,第3台車ロック部132bを示すために、機械器具台車133の図示を省略している。
【0067】
また、医療機械器具M2についても前記医療機械器具M1と同様である。この場合、医療機械器具M2は、本実施形態においては、眼底検査装置で構成されているが、これに限定されるものでないことは当然である。
【0068】
非対面型医療装置HM1,HM2は、前記した通り、患者Kに対して医療従事者Dが対面しない状態で使用される各種眼機能検査機器(光覚、視力、屈折度、色覚、視野、輻湊、斜位、眼圧または眼球運動など)である。この場合、非対面型医療装置HM1,HM2は、患者Kが検査対象となる眼を宛がう接眼部Sを有して構成されている。本実施形態においては、非対面型医療装置HM1は視力検査装置で構成されており、非対面型医療装置HM2は角膜内皮検査装置で構成されている。
【0069】
そして、これらの非対面型医療装置HM1,HM2は、患者ゾーン131に面するようにサブテーブル130上にそれぞれ載置されている。すなわち、非対面型医療装置HM1,HM2は、診察室110内における車両本体101の車両側面105bを背にして接眼部Sが車両本体101の幅方向の中央部側に向く向きで配置されている。
【0070】
パソコンPCは、医療従事者Dが使用するコンピュータ装置であり、医療従事者ゾーン123に面するようにサブテーブル130上に載置されている。なお、このパソコンPCは、医療機械器具M1,M2として機械器具台車124,133に載置させることも可能である。
【0071】
電動リフター140は、患者Kまたは医療従事者Dが診察室110内に出入りするための機械装置であり、患者Kが車いすで乗ることができる大きさの昇降台が診察室110の床面111と車両本体101が停まっている路面との間で電動で上下動するように構成されている。この電動リフター140は、診察室110内の最後部にバックドア114aに面して設けられている。なお、電動リフター140は、昇降台に患者Kが車いすを使用することなく単独で乗って使用したり、昇降台を床面111と路面との中間の高さ位置に位置決めして階段のように使用したりすることもできる。
【0072】
(眼科診療車100の作動)
次に、このように構成した眼科診療車100の作動について説明する。まず、医療従事者Dは、眼科診療車100を運転して医療サービスを提供する場所に眼科診療車100を移動させる。この場合、医療従事者Dは、機械器具台車124をメインテーブル120上における待機位置である第2台車位置決め部122a、第2台車ロック部122bに位置決めした状態でロックボルト128を用いてメインテーブル120に予め固定しておく。
【0073】
また、医療従事者Dは、機械器具台車133をサブテーブル130上における待機位置である第3台車位置決め部132a、第3台車ロック部132bに位置決めした状態でロックボルト137を用いてサブテーブル130に予め固定しておく。なお、眼科診療車100の運転自体は必ずしも医療従事者Dである必要はなく、一般的な自動車免許証を有している者であればよい。
【0074】
次に、医療従事者Dは、医療サービスを提供する場所に眼科診療車100を完全に停車させた後、医療サービスの提供を行う。具体的には、医療従事者Dは、患者Kを電動リフター140を用いて診察室110内における患者ゾーン131に案内した後、自身は医療従事者ゾーン123内に移動して診察を開始する(
図5参照)。この場合、医療従事者Dは、患者Kに対して問診、検査または医療的処置を行う。
【0075】
ここで、医療従事者Dは、患者Kに対して問診を行う場合には、メインテーブル120を介して対面で行うことができる(
図3参照)。また、医療従事者Dは、患者Kに医療的な各種検査を行う場合には、
図8に示すように、患者Kをサブテーブル130側(車両側面105b側)に向けさせて非対面型医療装置HM1または非対面型医療装置HM2を用いて検査を行うことができる。
【0076】
また、医療従事者Dは、患者Kに対して医療的処置を行う場合には、医療機械器具M1または医療機械器具M2を用いて治療または検査を行うことができる(
図4参照)。この場合、医療従事者Dは、医療機械器具M1または医療機械器具M2をメインテーブル120上における使用位置である第1台車位置決め部121a、第1台車ロック部121bに移動させて位置決めした後、ロックボルト137を用いてメインテーブル120に固定する。
【0077】
この場合、医療従事者Dは、機械器具台車124,133の下面にボールキャスタ125,134が設けられているため、メインテーブル120上またはサブテーブル130上を容易に移動させることができる。なお、これらの場合、医療従事者Dは、必要に応じて可動屋根116を必要な高さに設定することができる。また、医療従事者Dは、必要に応じて患者ゾーン131内に移動して患者Kのケアを行うことは当然である。
【0078】
次に、医療従事者Dは、患者Kに対して診察が終了した場合には、患者Kを電動リフター140を用いて診察室110の外に退出させる。そして、医療従事者Dは、新たな患者Kが存在する場合には、前記と同様にして新たな患者Kを診察室110内に案内する。また、医療従事者Dは、新たな患者Kが存在しない場合には、電動リフター140を診察室110内に格納するとともに機械器具台車124,133をそれぞれ待機位置に固定して眼科診療車100を運転して撤収することで医療サービスの提供を終了することができる。
【0079】
次に、医療従事者Dは、サブテーブル130上に載置した医療機械器具M2および非対面型医療装置HM1,HM2に対してメンテナンスをすることができる。具体的には、医療従事者Dは、医療従事者ゾーン123または患者ゾーン131に位置して医療機械器具M2および非対面型医療装置HM1,HM2に対してメンテナンスをすることができる。また、医療従事者Dは、医療従事者ゾーン123または患者ゾーン131に位置して医療機械器具M2および非対面型医療装置HM1,HM2に対してメンテナンスをすることができる。また、医療従事者Dは、サイドドア113aまたは開閉窓113bを開くことで車両本体101の外側から医療機械器具M2および非対面型医療装置HM1,HM2に対してメンテナンスをすることができる(
図3または
図5参照)。
【0080】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、眼科診療の患者Kが医療従事者Dに対して非対面で眼を宛がう接眼部Sを有して眼検査を行う非対面型医療装置HM1,HM2が診察室110内における車両本体101の車両側面105bを背にして接眼部Sが車両本体101の幅方向の中央部側に向く向きで配置されているため、車両本体101の前後方向に沿って複数の非対面型医療装置HM1,HM2を配置することができるとともにこれらの複数の非対面型医療装置HM1,HM2に沿って車両本体101の前後方向に延びる空スペースを患者ゾーン131として確保することができる。これにより、本発明に係る眼科診療車100は、複数の眼機能検査を行うことができるとともに治療または処置のためのスペースも確保し易くすることができる。
【0081】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、各変形例の説明においては、上記実施形態と同様の部分については同じ符号を付して重複する説明は省略する。
【0082】
例えば、上記実施形態においては、眼科診療車100は、原動機としてレシプロエンジンを搭載した自走式車両で構成した。しかし、眼科診療車100は、電動モータなどのレシプロエンジン以外の原動機で自走する自走式車両で構成することができる。また、
図9に示すように、眼科診療車200は、自走することなく他の自走式車両、人または動物によって曳かれるトレーラで構成することもできる。
【0083】
具体的には、眼科診療車200は、人および眼科診療に必要な設備を載せて走行する箱型の車両本体201を備えている。この車両本体201は、2つの車輪202を備えているが自力で走行することはできず、自動車などの自走式車両に曳かれて走行する。このため、車両本体201には、進行方向前側に自走式車両で構成された牽引車Tに着脱自在に連結する連結具203を備えているとともに、進行方向後ろ側にタイヤで構成された2つの車輪202が設けられている。そして、車両本体201の内部には、上記診察室110と同様に構成された診察室210が形成されている。
【0084】
このように構成された眼科診療車200においては、牽引車Tによって自由に移動できるほか、牽引車Tを切り離すことで眼科診療車200のみを設置場所に残して牽引車Tを撤収しても眼科診療を続行することができる。このため、既存の自動車を用いて1つまたは複数の眼科診療車200を運用できる。また、このように構成された眼科診療車200においては、眼科診療車自体を安価に製作することができる。
【0085】
また、上記実施形態においては、眼科診療車100は、4つの車輪102が駆動する4輪駆動車で構成した。しかし、眼科診療車100は、前輪駆動または後輪駆動などの2輪駆動であってもよいことは当然である。また、車両本体101が備える車輪102は、4輪以上または3輪以下であってもよいし、タイヤに代えてクローラ(無限軌道)を採用することもできる。
【0086】
また、上記実施形態においては、非対面型医療装置HM1,HM2は、患者Kの眼機能検査を行う装置で構成した。しかし、非対面型医療装置HM1,HM2は、患者Kの眼機能検査を行う機能を有していればよく、眼機能検査を行う以外に眼の治療を行う装置であってもよい。また、非対面型医療装置HM1,HM2は、患者Kの眼機能検査を行う少なくとも1つの眼機能検査装置を含んでいればよく、非対面型医療装置HM1および非対面型医療装置HM2のうちの一方が眼の治療のみを行う装置であってもよいし、非対面型医療装置HM1,HM2にさらに別の眼機能検査装置または治療装置を含んでいてもよい。
【0087】
また、上記実施形態においては、眼科診療車100は、メインテーブル120および医療機械器具M1,M2をそれぞれ備えて構成した。しかし、眼科診療車100は、メインテーブル120および医療機械器具M1,M2のうちの少なくとも一方を省略して構成することもできる。すなわち、眼科診療車100は、メインテーブル120および医療機械器具M1,M2を省略して構成することもできる。
【0088】
また、上記実施形態においては、眼科診療車100は、車両側面105aにおけるフロントドア106aの後方に医療従事者ゾーン123に面して医療従事者出入り口112を設けた。すなわち、医療従事者出入り口112は、運転席室103のフロントドア106aのすぐ後方に設けた。しかし、医療従事者出入り口112は、車両側面105aにおけるフロントドア106aの後方以外の場所、例えば、フロントドア106bの後方またはサイドドア112a,113aよりも後方の車両側面105a,105bに設けることができる。また、医療従事者出入り口112は、フロントドア106a,106bまたはバックドア114aによって開閉される開口部で兼用することもできる。
【0089】
また、上記実施形態においては、眼科診療車100は、車両側面105bにおけるフロントドア106bの後方にメンテナンス開口部113を設けた。しかし、眼科診療車100は、メンテナンス開口部113を省略して構成することもできる。また、メンテナンス開口部113は、車両側面105bに代えてまたは加えて車両側面105aに設けることもできる。
【0090】
また、上記実施形態においては、患者出入り口114は、車両本体101の最後部に設けた。しかし、患者出入り口114は、車両本体101の最後部以外の場所、例えば、車両側面105a,105bに設けることができる。また、患者出入り口114は、医療従事者出入り口112と兼用することもできる。
【0091】
また、上記実施形態においては、眼科診療車100は、サブテーブル130を備えて構成した。しかし、眼科診療車100は、サブテーブル130を省略して構成することもできる。この場合、非対面型医療装置HM1,HM2は、床面111上に直接配置することができる。また、サブテーブル130は、必ずしもメインテーブル120と同じ高さに形成する必要はなく、メインテーブル120の上面に対して異なる高さに上面を形成することもできる。
【0092】
また、上記実施形態においては、メインテーブル120およびサブテーブル130は、床面111に設置した。しかし、メインテーブル120およびサブテーブル130は、医療機械器具M1,M2および非対面型医療装置HM1,HM2を支持するように構成されていればよい。したがって、メインテーブル120およびサブテーブル130は、例えば、医療機械器具M1,M2および非対面型医療装置HM1,HM2がそれぞれ載置される天板が診察室110の天井からつり下げられた吊り棚状に形成されていてもよいし、車両側面105a,105bに固定された棚状に形成されていてもよい。
【0093】
また、上記実施形態においては、医療機械器具M1,M2は、機械器具台車124,133上に配置してメインテーブル120および/またはサブテーブル130上を摺動自在に構成した。しかし、医療機械器具M1,M2は、メインテーブル120および/またはサブテーブル130上に直接載置することもできる。すなわち、眼科診療車100は、機械器具台車124,133をそれぞれ省略して構成することもできる。
【0094】
また、機械器具台車124,133は、突き当て部126,135、ロックボルト貫通部127,136をそれぞれ備えて構成した。しかし、機械器具台車124,133は、突き当て部126,135、ロックボルト貫通部127,136をそれぞれ省略して構成することもできる。これらの場合、この場合、第1台車位置決め部121a、第1台車ロック部121b、第2台車位置決め部122a、第2台車ロック部122b、第3台車位置決め部132a、第3台車ロック部132bおよびロックボルト128,137は不要となることは当然である。すなわち、メインテーブル120、サブテーブル130機械器具台車124,133は、機械器具台車124,133をメインテーブル120および/またはサブテーブル130上に一時的に固定するロック機構を省略して構成することもできる。
【0095】
また、上記実施形態においては、非対面型医療装置HM1,HM2は、サブテーブル130上に直接配置した。しかし、非対面型医療装置HM1,HM2は、機械器具台車124,133と同様に構成された機械器具台車上に配置してメインテーブル120および/またはサブテーブル130上を摺動自在に構成することもできる。
【0096】
また、上記実施形態においては、機械器具台車124,133は、球状のボールキャスタ125,134を備えて構成した。しかし、機械器具台車124,133は、ボールキャスタ125,134に代えてまたは加えて円筒状または円柱状のローラを備えてメインテーブル120および/またはサブテーブル130上を摺動するように構成することもできる。また、機械器具台車124,133は、ボールキャスタ125,134を省略してメインテーブル120および/またはサブテーブル130上を直接摺動するように構成することもできる。
【0097】
また、上記実施形態においては、眼科診療車100は、第1台車位置決め部121a、第1台車ロック部121b、第2台車位置決め部122a、第2台車ロック部122b、第3台車位置決め部132a、第3台車ロック部132bおよびロックボルト128,137をそれぞれ備えて構成した。しかし、眼科診療車100は、第1台車位置決め部121a、第1台車ロック部121b、第2台車位置決め部122a、第2台車ロック部122b、第3台車位置決め部132a、第3台車ロック部132bおよびロックボルト128,137をそれぞれ省略して構成することもできる。
【0098】
また、上記実施形態においては、診察室用電源107は、運転席室103内に配置した。しかし、診察室用電源107は、運転席室103内に代えてまたは加えて診察室110内に配置することもできる。また、眼科診療車100は、診察室用電源107を省略して車両本体101のバッテリまたは眼科診療車100の移動先における外部電源から電力の供給を受けるように構成することもできる。
【0099】
また、上記実施形態においては、眼科診療車100は、可動屋根116および電動リフター140をそれぞれ備えて構成した。しかし、眼科診療車100は、可動屋根116および電動リフター140をそれぞれ省略して構成することもできる。
【符号の説明】
【0100】
D…医療従事者、K…患者、M1,M2…医療機械器具、HM1,HM2…非対面型医療装置、S…接眼部、PC…パソコン、
100…眼科診療車、101…車両本体、102…車輪、103…運転席室、103a…運転席、103b…助手席、104…席間空間、105a,105b…車両側面、106a,106b…フロントドア、107…診察室用電源、
110…診察室、111…床面、111a…ステップ、111b…物品収納部、112…医療従事者出入り口、112a…サイドドア、112b…開閉窓、113…メンテナンス開口部、113a…サイドドア、113b…開閉窓、114…患者出入り口、114a…バックドア、115…屋根、116…可動屋根、116a…覆いシート、
120…メインテーブル、121a…第1台車位置決め部、121b…第1台車ロック部、122a…第2台車位置決め部、122b…第2台車ロック部、123…医療従事者ゾーン、124…機械器具台車、125…ボールキャスタ、126…突き当て部、127…ロックボルト貫通部、128…ロックボルト、
130…サブテーブル、131…患者ゾーン、132a…第3台車位置決め部、132b…第3台車ロック部、133…機械器具台車、134…ボールキャスタ、135…突き当て部、136…ロックボルト貫通部、137…ロックボルト、
140…電動リフター
200…眼科診療車、201…車両本体、202…車輪、203…連結具。