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特開2025-17360エンパグリフロジン含有医薬組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017360
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】エンパグリフロジン含有医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/351 20060101AFI20250129BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20250129BHJP
A61K 9/30 20060101ALI20250129BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20250129BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20250129BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20250129BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20250129BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20250129BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20250129BHJP
【FI】
A61K31/351
A61P3/10
A61K9/30
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/10
A61K47/04
A61K47/12
A61K47/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2024134669
(22)【出願日】2024-07-24
(31)【優先権主張番号】P 2023130487
(32)【優先日】2023-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023143269
(32)【優先日】2023-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023196271
(32)【優先日】2023-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】306020438
【氏名又は名称】日本ジェネリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼須 浩平
(72)【発明者】
【氏名】井上 賢秀
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076DD29
4C076DD41
4C076EE06
4C076EE11
4C076EE12
4C076EE16
4C076EE25
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE33
4C076EE48
4C076FF63
4C076GG01
4C086BA07
4C086GA02
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA43
4C086NA03
4C086ZA36
4C086ZC35
(57)【要約】
【課題】 非晶質状態を維持したエンパグリフロジンを含有する医薬組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 非晶質エンパグリフロジンと非晶質維持添加剤とを含むエンパグリフロジン含有医薬組成物を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶質エンパグリフロジン、及び非晶質維持添加剤を含むエンパグリフロジン含有医薬組成物。
【請求項2】
非晶質維持添加剤が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、メタクリル酸コポリマーLD、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ポリビニルピロリドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリビニルカプロラクタム・ポリビニル酢酸・ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、及び酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体からなる群より選択される一種または二種以上の添加剤である請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
非晶質維持添加剤が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、メタクリル酸コポリマーLD、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ポリビニルピロリドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、及び酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体からなる群より選択される一種または二種以上の添加剤である請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
非晶質維持添加剤が、ポリビニルアルコール、軽質無水ケイ酸、及びステアリン酸マグネシウムからなる群より選択される一種または二種以上の添加剤である請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
非晶質維持添加剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、及び酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体からなる群より選択される一種または二種以上の添加剤である請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
非晶質維持添加剤の配合量は、1医薬組成物あたりの非晶質エンパグリフロジンの配合量を1とすると、0.05~15である請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
錠剤である、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
錠剤が、フィルムコーティング錠である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
エンパグリフロジンをエタノールと水とからなる混合溶液に溶解する工程を含む請求項1に記載の医薬組成物の製造方法。
【請求項10】
エタノールと水とからなる混合溶液が、34.4重量%~54.2重量%のエタノールを含む請求項9に記載の医薬組成物の製造方法。
【請求項11】
直接打錠する工程を含む、請求項9~10に記載の医薬組成物の製造方法。
【請求項12】
エンパグリフロジンをメタノールに溶解する工程を含む請求項9~10に記載の医薬組成物の製造方法。
【請求項13】
エンパグリフロジンをメタノールとアセトンとからなる混合溶液に溶解する工程を含む請求項9~10に記載の医薬組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非晶質エンパグリフロジンを含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に用いられるエンパグリフロジンは、化学名(1S)-1,5-アンヒドロ-1-C-{4-クロロ-3-[(4-{[(3S)-オキソラン-3-イル]オキシ}フェニル)メチル]フェニル}-D-グルシトールであり、選択的SGLT2阻害剤(2型糖尿病・慢性心不全治療剤)であることが知られており、ジャディアンス(登録商標)錠10mg/25mgとして販売されている(非特許文献1)。
【0003】
2型糖尿病患者に対する用法・用量は、通常、成人にはエンパグリフロジンとして10mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら25mg1日1回に増量することができる、という薬剤である。
【0004】
慢性心不全患者に対する用法・用量は、通常、成人にはエンパグリフロジンとして10mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する、という薬剤である。
【0005】
特許文献1には、非晶質状態を維持することができる、エンパグリフロジン及び少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含有する固体分散体に関する発明が記載されている。該固体分散体については、エンパグリフロジン及び賦形剤を有機溶媒に溶かした後、溶媒を除去することで得られる。
【0006】
特許文献2には、非晶質状態を維持することができる、エンパグリフロジン及び少なくとも1種のポリマーを含有する固体分散体に関する発明が記載されている。該固体分散体については、エンパグリフロジン及びポリマーを有機溶媒に溶かした後、結晶セルロース、トウモロコシデンプン、クロスカルメロースナトリウムからなる混合物に該有機溶媒を噴霧することで得られる。
【0007】
また、特許文献3には、非晶質状態を維持することができる、非晶質エンパグリフロジンと、ポリカルボフィルまたはその塩、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、及び非多孔性コロイド状シリカからなる群から選択される少なくとも1つの賦形剤を含む医薬組成物に関する発明が記載されている。該医薬組成物については、非晶質エンパグリフロジンと賦形剤を1:1の割合で混合し、物理混合物とすることで得られる。
【0008】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2016/169534号
【特許文献2】国際公開第2021/123165号
【特許文献3】国際公開第2021/210929号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】添付文書「ジャディアンス(登録商標)錠10mg/25mg」、2022年4月改訂(第3版)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、非晶質状態のエンパグリフロジンを含有する医薬組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、非晶質エンパグリフロジンを含む医薬組成物の構成を検討した結果、特定の機能を有する添加剤を使用することで、非晶質状態を維持することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、
(1)非晶質エンパグリフロジン、及び非晶質維持添加剤を含むエンパグリフロジン含有医薬組成物、
(2)非晶質維持添加剤が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、メタクリル酸コポリマーLD、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ポリビニルピロリドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリビニルカプロラクタム・ポリビニル酢酸・ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、及び酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体からなる群より選択される一種または二種以上の添加剤である前記(1)に記載の医薬組成物、
(3)非晶質維持添加剤が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、メタクリル酸コポリマーLD、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ポリビニルピロリドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、及び酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体からなる群より選択される一種または二種以上の添加剤である前記(1)に記載の医薬組成物、
(4)非晶質維持添加剤が、ポリビニルアルコール、軽質無水ケイ酸、及びステアリン酸マグネシウムからなる群より選択される一種または二種以上の添加剤である前記(1)に記載の医薬組成物、
(5)非晶質維持添加剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、及び酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体からなる群より選択される一種または二種以上の添加剤である前記(1)に記載の医薬組成物、
(6)非晶質維持添加剤の配合量は、1医薬組成物あたりの非晶質エンパグリフロジンの配合量を1とすると、0.05~15である前記(1)~(5)のいずれかに記載の医薬組成物、
(7)錠剤である、前記(1)~(5)のいずれかに記載の医薬組成物、
(8)錠剤が、フィルムコーティング錠である、前記(7)に記載の医薬組成物、
(9)エンパグリフロジンをエタノールと水とからなる混合溶液に溶解する工程を含む前記(1)に記載の医薬組成物の製造方法、
(10)エタノールと水とからなる混合溶液が、34.4重量%~54.2重量%のエタノールを含む前記(9)に記載の医薬組成物の製造方法、
(11)直接打錠する工程を含む、前記(9)~(10)の医薬組成物の製造方法、
(12)エンパグリフロジンをメタノールに溶解する工程を含む前記(9)~(10)に記載の医薬組成物の製造方法、
(13)エンパグリフロジンをメタノールとアセトンとからなる混合溶液に溶解する工程を含む前記(9)~(10)に記載の医薬組成物の製造方法、
に関するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、非晶質エンパグリフロジンを含有する医薬組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例1の添加剤単体、物理混合品の保存開始時、25℃相対湿度75%及び40℃における、1日及び2日間保存後の粉末X線回折図である。
【
図2】実施例2の添加剤単体、物理混合品の保存開始時、25℃相対湿度75%及び40℃における、1日及び2日間保存後の粉末X線回折図である。
【
図3】実施例3の添加剤単体、物理混合品の保存開始時、25℃相対湿度75%及び40℃における、1日及び2日間保存後の粉末X線回折図である。
【
図4】実施例4の添加剤単体、物理混合品の保存開始時、25℃相対湿度75%及び40℃における、1日及び2日間保存後の粉末X線回折図である。
【
図5】実施例5の添加剤単体、物理混合品の保存開始時、25℃相対湿度75%及び40℃における、1日及び2日間保存後の粉末X線回折図である。
【
図6】実施例6の添加剤単体、物理混合品の保存開始時、25℃相対湿度75%及び40℃における、1日及び2日間保存後の粉末X線回折図である。
【
図7】実施例7の添加剤単体、物理混合品の保存開始時、25℃相対湿度75%及び40℃における、1日及び2日間保存後の粉末X線回折図である。
【
図8】実施例8の添加剤単体、物理混合品の保存開始時、25℃相対湿度75%及び40℃における、1日及び2日間保存後の粉末X線回折図である。
【
図9】実施例9の添加剤単体、物理混合品の保存開始時、25℃相対湿度75%及び40℃における、1日及び2日間保存後の粉末X線回折図である。
【
図10】実施例10の添加剤単体、物理混合品の保存開始時、25℃相対湿度75%及び40℃における、1日及び2日間保存後の粉末X線回折図である。
【
図11】実施例11の添加剤単体、物理混合品の保存開始時、25℃相対湿度75%及び40℃における、1日及び2日間保存後の粉末X線回折図である。
【
図12】実施例12の添加剤単体、物理混合品の保存開始時、25℃相対湿度75%及び40℃における、1日及び2日間保存後の粉末X線回折図である。
【
図13】実施例13の添加剤単体、物理混合品の保存開始時、25℃相対湿度75%及び40℃における、1日及び2日間保存後の粉末X線回折図である。
【
図14】実施例14の添加剤単体、物理混合品の保存開始時、25℃相対湿度75%及び40℃における、1日及び2日間保存後の粉末X線回折図である。
【
図15】実施例15の添加剤単体、物理混合品の保存開始時、25℃相対湿度75%及び40℃における、1日及び2日間保存後の粉末X線回折図である。
【
図16】実施例16の添加剤単体、物理混合品の保存開始時、25℃相対湿度75%及び40℃における、1日及び2日間保存後の粉末X線回折図である。
【
図17】実施例17の添加剤単体、物理混合品の保存開始時、25℃相対湿度75%及び40℃における、1日及び2日間保存後の粉末X線回折図である。
【
図18】実施例18の添加剤単体、物理混合品の保存開始時、25℃相対湿度75%及び40℃における、1日及び2日間保存後の粉末X線回折図である。
【
図19】比較例1の添加剤単体、物理混合品の保存開始時、25℃相対湿度75%及び40℃における、1日及び2日間保存後の粉末X線回折図である。
【
図20】エタノール/水系及びメタノール/水系溶媒におけるエンパグリフロジンの溶解度測定結果である。
【
図21】結晶化したエンパグリフロジン原薬、非晶質エンパグリフロジン原薬、実施例19で調製した固体分散体SD1及び実施例20で調製した物理混合品1の粉末X線回折図である。
【
図22】結晶化したエンパグリフロジン原薬、非晶質エンパグリフロジン原薬、実施例21で調製した固体分散体SD2及び実施例22で調製した物理混合品2の粉末X線回折図である。
【
図23】結晶化したエンパグリフロジン原薬、非晶質エンパグリフロジン原薬、実施例23で調製した固体分散体SD3及び実施例24で調製した物理混合品3の粉末X線回折図である。
【
図24】結晶化したエンパグリフロジン原薬、非晶質エンパグリフロジン原薬、実施例25で調製した固体分散体SD4及び実施例26で調製した物理混合品4の粉末X線回折図である。
【
図25】結晶化したエンパグリフロジン原薬、非晶質エンパグリフロジン原薬、及び60℃で7日間保存した非晶質エンパグリフロジン原薬とSD1の粉末X線回折図である。
【
図26】結晶化したエンパグリフロジン原薬、非晶質エンパグリフロジン原薬、及び60℃で7日間保存した非晶質エンパグリフロジン原薬とSD2の粉末X線回折図である。
【
図27】結晶化したエンパグリフロジン原薬、非晶質エンパグリフロジン原薬、及び60℃で7日間保存した非晶質エンパグリフロジン原薬とSD3の粉末X線回折図である。
【
図28】結晶化したエンパグリフロジン原薬、非晶質エンパグリフロジン原薬、及び60℃で7日間保存した非晶質エンパグリフロジン原薬とSD4の粉末X線回折図である。
【
図29】結晶化したエンパグリフロジン原薬、非晶質エンパグリフロジン原薬、25℃相対湿度50%、及び25℃相対湿度75%で7日間保存した非晶質エンパグリフロジン原薬とSD1の粉末X線回折図である。
【
図30】結晶化したエンパグリフロジン原薬、非晶質エンパグリフロジン原薬、及び25℃相対湿度50%で7日間保存した非晶質エンパグリフロジン原薬とSD2の粉末X線回折図である。
【
図31】結晶化したエンパグリフロジン原薬、非晶質エンパグリフロジン原薬、25℃相対湿度50%、及び25℃相対湿度75%で7日間保存した非晶質エンパグリフロジン原薬とSD3の粉末X線回折図である。
【
図32】結晶化したエンパグリフロジン原薬、非晶質エンパグリフロジン原薬、及び25℃相対湿度50%で7日間保存した非晶質エンパグリフロジン原薬とSD4の粉末X線回折図である。
【
図33】結晶化したエンパグリフロジン原薬、非晶質エンパグリフロジン原薬、SD5、及び60℃で1箇月間保存した非晶質エンパグリフロジン原薬とSD5の粉末X線解析図である。
【
図34】結晶化したエンパグリフロジン原薬、非晶質エンパグリフロジン原薬、SD5、及び25℃相対湿度75%で1箇月間保存した非晶質エンパグリフロジン原薬とSD5の粉末X線解析図である。
【
図35】結晶化したエンパグリフロジン原薬、非晶質エンパグリフロジン原薬、SD6、及び60℃で1箇月間保存した非晶質エンパグリフロジン原薬とSD6の粉末X線解析図である。
【
図36】結晶化したエンパグリフロジン原薬、非晶質エンパグリフロジン原薬、SD10、及び60℃で1箇月間保存した非晶質エンパグリフロジン原薬とSD10の粉末X線解析図である。
【
図37】結晶化したエンパグリフロジン原薬、非晶質エンパグリフロジン原薬、SD7、及び60℃で1箇月間保存した非晶質エンパグリフロジン原薬とSD7の粉末X線解析図である。
【
図38】結晶化したエンパグリフロジン原薬、非晶質エンパグリフロジン原薬、SD8、及び60℃で1箇月間保存した非晶質エンパグリフロジン原薬とSD8の粉末X線解析図である。
【
図39】結晶化したエンパグリフロジン原薬、非晶質エンパグリフロジン原薬、SD6、及び25℃相対湿度75%で1箇月間保存した非晶質エンパグリフロジン原薬とSD6の粉末X線解析図である。
【
図40】結晶化したエンパグリフロジン原薬、非晶質エンパグリフロジン原薬、SD8、及び25℃相対湿度75%で1箇月間保存した非晶質エンパグリフロジン原薬とSD8の粉末X線解析図である。
【
図41】結晶化したエンパグリフロジン原薬、非晶質エンパグリフロジン原薬、SD9、及び25℃相対湿度75%で1箇月間保存した非晶質エンパグリフロジン原薬とSD9の粉末X線解析図である。
【
図42】結晶化したエンパグリフロジン原薬、非晶質エンパグリフロジン原薬、SD11、及び60℃で1箇月間保存した非晶質エンパグリフロジン原薬とSD11の粉末X線解析図である。
【
図43】結晶化したエンパグリフロジン原薬、非晶質エンパグリフロジン原薬、SD11、及び25℃相対湿度75%で1箇月間保存した非晶質エンパグリフロジン原薬とSD11の粉末X線解析図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書における「物理混合物」とは、非晶質エンパグリフロジンと一種以上の添加剤からなり、製造の際に、溶媒は使用せず、互いに混合状態で共存している医薬組成物を意味する。
【0017】
本明細書における「固体分散体」とは、少なくとも一部の非晶質化薬物(エンパグリフロジン)が高分子等の担体に分子レベルで一様に分散または溶解されたものを意味する。
【0018】
本明細書における「非晶質エンパグリフロジン」とは、粉末X線回折測定法等により、エンパグリフロジン結晶由来の回折ピークが実質的に認められない状態を意味する。例えば、粉末X線回折測定法により、特許第4226070号に記載されている、エンパグリフロジン結晶由来の6つ回折ピーク(2θ=14.69°±0.05°、18.84°±0.05°、19.16°±0.05°、19.50°±0.05°、20.36°±0.05°、25.21°±0.05°)のうち、1つ以上5つ以下のピークを認めるか、又は6つすべての回折ピークを認めない状態であることを意味する。
【0019】
本明細書における「非晶質状態の維持」とは、温湿度苛酷条件下、原薬が非晶質であることを意味する。評価方法としては例えば、温湿度苛酷条件下、医薬組成物を保存した後、粉末X線回折測定法により試験を行い、エンパグリフロジン結晶由来の回折ピークを確認する方法が挙げられる。例えば、25℃相対湿度75%RH、2日間保存後のエンパグリフロジン含有医薬組成物について、確認する、また、例えば、40℃、2日間保存後のエンパグリフロジン含有医薬組成物について、確認する等により評価することができる。
【0020】
以下に、本発明の非晶質エンパグリフロジンを含有する固形医薬組成物に関して説明する。
【0021】
本発明に用いられるエンパグリフロジンは、例えば、特許第4181605号に記載された方法に従って製造することができる。エンパグリフロジンの形態は結晶状態、非晶質状態のいずれでも使用することができる。
【0022】
本発明に用いられるエンパグリフロジンの態様としては、すなわち、医薬組成物に含まれる前、原料(原薬ともいう)として、結晶状態、非晶質状態のいずれであってもよいが、医薬組成物に含まれる場合にあっては、非晶質状態である。
【0023】
本発明に用いられる非晶質維持添加剤の含有方法は特に限定されず、エンパグリフロジンとともに含まれていればよい。すなわち、本発明の医薬組成物は、非晶質エンパグリフロジン及び非晶質維持添加剤を含む物理混合物、造粒物または固体分散体のいずれであってもよい。
【0024】
本発明に用いられるエンパグリフロジンの配合割合としては、1医薬組成物あたり、エンパグリフロジンとしてある態様として1~40重量%、ある態様として2~30重量%、ある態様として3~20重量%である。
【0025】
本発明に用いられる非晶質維持添加剤としては、非晶質エンパグリフロジンの非晶質状態を維持する機能を有する添加剤であれば特に限定されない。具体的には、例えば、非晶質エンパグリフロジン、及び当該添加剤を含む医薬組成物における、25℃、相対湿度75%における保存安定性において保存安定性試験開始から1日後に1つ以上5つ以下のエンパグリフロジン結晶由来の回折ピークを認め、かつ2日後に6つすべてのエンパグリフロジン結晶由来の回折ピークを認める添加剤以外の添加剤が含まれる。具体的には、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、製品名HPC-H、HPC-M、HPC-L、HPC-SL、HPC-SSL;日本曹達株式会社、製品名Klucel(H)、Klucel(M)、Klucel(G)、Klucel(J)、Klucel(L)、Klucel(E);アシュランドジャパン株式会社)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、製品名TC-5(登録商標)E、TC-5(登録商標)M、TC-5(登録商標)R、TC-5(登録商標)S;信越化学工業株式会社、製品名METHOCEL(登録商標)Premium E、METHOCEL(登録商標)Premium F、METHOCEL(登録商標)Premium K;日本カラコン合同会社、製品名Benecel(登録商標)K4M、Benecel(登録商標)K15M、Benecel(登録商標)K100M;アシュランドジャパン株式会社)、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(例えば、製品名Shin-Etsu AQOAT(登録商標) AS-LF、Shin-Etsu AQOAT(登録商標) AS-MF、Shin-Etsu AQOAT(登録商標) AS-HF;信越化学工業株式会社)、メタクリル酸コポリマーLD(例えば、製品名EUDRAGIT(登録商標)L100-55;EVONIK、製品名Kollicoat MAE30DP;BASFジャパン株式会社、製品名ポリキッドPA-30;三洋化成工業株式会社)、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(例えば、製品名EUDRAGIT(登録商標)EPO、EUDRAGIT(登録商標)E100;EVONIK)、ポリビニルピロリドン(例えば、製品名アイフタクト K-30PH;第一工業製薬株式会社、Kollidon(登録商標)30;BASFジャパン株式会社、製品名プラスドンK30)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、製品名LH-11、LH-21、LH-22、LH-B1、LH-31、LH-32、NBD-020、NBD-021、NBD-022;信越化学工業株式会社)、ポリビニルアルコール(例えば、製品名ゴーセノール(登録商標)EG-03P、EG-05P、EG-18P、EG-22P、EG-30P、EG-40P、EG-48P;三菱ケミカル株式会社、ポバールPE-05JPS;日本酢ビ・ポバール株式会社、PVA 4-88、PVA 5-88、PVA 8-88、PVA 18-88、PVA 26-88、PVA 40-88;メルク株式会社)、軽質無水ケイ酸(例えば、製品名アドソリダー(登録商標)101;フロイント産業株式会社、サイシリア320、サイシリア350;富士シリシア化学株式会社)、ステアリン酸マグネシウム(例えば、製品名ステアリン酸マグネシウム(植物性);太平化学産業株式会社、製品名パーテック(登録商標)LUB MST;メルク株式会社)、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(例えば、製品名POVACOAT(登録商標)TypeF、POVACOAT(登録商標)TypeFM、POVACOAT(登録商標)TypeMP;大同化成工業株式会社)、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー(例えば、製品名Kollicoat(登録商標)IR;BASFジャパン株式会社)、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール(例えば、製品名Kolliphor(登録商標)P 188 Geismar、Kolliphor(登録商標)P 188 micro Geismar;BASFジャパン株式会社)、ポリビニルカプロラクタム・ポリビニル酢酸・ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(例えば、製品名Soluplus(登録商標);BASFジャパン株式会社)、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体(例えば、製品名Kollidon(登録商標)VA64;BASFジャパン株式会社)が挙げられる。非晶質維持添加剤は一種または二種以上組み合わせて配合することができる。
【0026】
本発明に用いられる非晶質維持添加剤の配合量は、1医薬組成物あたりの非晶質エンパグリフロジンの配合量を1とすると、ある態様として0.05~15、ある態様として0.1~10、ある態様として0.2~8、ある態様として0.3~5、ある態様として0.5~3である。
本発明に用いられる製造方法は、賦形剤を造粒混合機に投入する工程、エンパグリフロジン、非晶質維持添加剤を溶媒に溶解し溶液とする工程、溶液を造粒混合機に投入し造粒する工程、造粒後乾燥する工程を含む。ある態様として、賦形剤を造粒混合機に投入する工程、エンパグリフロジン、非晶質維持添加剤をエタノール/水混液に溶解し溶液とする工程、造粒後乾燥する工程である。
本発明に用いられる製造方法は、エンパグリフロジン、非晶質維持添加剤を溶媒に溶解し溶液とする工程、溶液の溶媒を留去する工程を含む。ある態様として、エンパグリフロジン、非晶質維持添加剤をメタノールに溶解し溶液とする工程、溶液の溶媒を留去する工程である。ある態様として、エンパグリフロジン、非晶質維持添加剤をメタノール/アセトンに溶解し溶液とする工程、溶液の溶媒を留去する工程である。
【0027】
本発明の医薬組成物には、必要に応じて、医薬品添加物を配合することができる。具体的には、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、界面活性剤、流動化剤、コーティング剤、酸味料、発泡剤、甘味剤、香料、着色剤、緩衝剤、抗酸化剤等が挙げられる。
【0028】
賦形剤としては、例えば、D-マンニトール、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、トレハロース、無水リン酸水素カルシウム、D-ソルビトール、乳糖、白糖、デンプン、アルファ化デンプン、カルメロースナトリウム、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、アラビアゴム、デキストリン、プルラン等が挙げられる。
【0029】
崩壊剤としては、例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、ヒドロキシプロピルスターチ、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、アルファ化デンプン、等が挙げられる。
【0030】
界面活性剤としては、例えば、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0031】
結合剤としては、例えば、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
【0032】
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、フマル酸ステアリルナトリウム、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0033】
流動化剤としては、例えば、タルク等が挙げられる。
【0034】
コーティング剤としては、例えば、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、モノステアリン酸グリセリン、酸化チタン、タルク等が挙げられる。
【0035】
酸味料としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等が挙げられる。
【0036】
発泡剤としては、例えば、重層等が挙げられる。
【0037】
甘味剤としては、例えば、スクラロース、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン等が挙げられる。
【0038】
香料としては、例えば、レモン、レモンライム、オレンジ、メントール等が挙げられる。
【0039】
着色剤としては、例えば、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、食用黄色4号、食用黄色5号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用青色3号等が挙げられる。
【0040】
緩衝剤としては、例えば、クエン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン又はその塩類、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸、ホウ酸又はその塩類等が挙げられる。
【0041】
抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル等が挙げられる。
【0042】
本発明のエンパグリフロジン含有医薬組成物には、本発明の所望の効果が達成される範囲で更なる各種医薬品添加物が適宜使用される。
【0043】
本発明のエンパグリフロジン含有医薬組成物に配合される上記更なる各種医薬品添加物は、適宜組合せることができる。
【0044】
配合量は、本発明の所望の効果の達成に影響を与えない量であれば特に制限されない。
【0045】
非晶質エンパグリフロジン含有医薬組成物または当該医薬組成物から得られる経口固形製剤には、具体的には、散剤、顆粒、錠剤が含まれる。また、錠剤には口腔内崩壊錠も含まれ、素錠、フィルムコーティング錠であってもよい。
【0046】
非晶質エンパグリフロジンを含む医薬組成物の製造方法としては、固形医薬組成物中に非晶質エンパグリフロジンを含めることができる製造方法であればいずれの製造方法でもよい。より具体的には、例えば、錠剤を製造する場合、非晶化したエンパグリフロジンに非晶質維持添加剤を加え物理混合し、賦形剤、結合剤、崩壊剤を混合し、滑沢剤を混合することで打錠用末を得る。またある態様では、エンパグリフロジン、非晶質維持添加剤を適当な溶媒に溶かし、非晶質エンパグリフロジンを含む固体分散体を製造し、該固体分散体と、賦形剤、結合剤、崩壊剤を混合し、滑沢剤を混合することで打錠用末を得る。またある態様としてエンパグリフロジンを適当な溶媒に溶かし、非晶質維持添加剤に対して噴霧し、乾燥させ固体分散体を製造し、該固体分散体と賦形剤、結合剤、崩壊剤を混合し、滑沢剤を混合することで打錠用末を得る。エンパグリフロジンを溶かす溶媒としては、エンパグリフロジンの非晶質化に影響を与えない溶媒であればいずれでもよく、ある態様として水、メタノール、エタノール、アセトン、及びテトラヒドロフランのいずれかあるいは2種以上の混合溶液である。エタノールは、エンパグリフロジンの非晶質化に影響を与えない純度であればよく、ある態様として99%以上の純度であればよく、ある態様として99.5%以上である。メタノールは、エンパグリフロジンの非晶質化に影響を与えない純度であればよく、ある態様として99%以上の純度であればよく、ある態様として99.5%以上である。アセトンは、エンパグリフロジンの非晶質化に影響を与えない純度であればよく、ある態様として99%以上の純度であればよく、ある態様として99.5%以上である。混合溶液は、ある態様としてメタノールと水とからなる混合溶液、ある態様としてエタノールと水とからなる混合溶液、ある態様としてメタノールとアセトンからなる混合溶液である。エタノールと水とからなる混合溶液は、ある態様として34.4重量%~54.2重量%、ある態様として44.1重量%~54.2重量%、ある態様として50重量%~54.2重量%のエタノールを含むことができる。メタノールとアセトンからなる混合溶液は、ある態様として34.4重量%~54.2重量%、ある態様として44.1重量%~54.2重量%、ある態様として50重量%~54.2重量%のメタノールを含むことができる。
得られた打錠用末を打錠機で製錠し、素錠を得る。製錠の際に、外部滑沢装置を用いて滑沢剤を噴霧しながら打錠してもよい。また、必要に応じて、素錠にフィルムコーティング液を噴霧し、フィルムコーティングを行う。
本発明の医薬組成物は、各種医薬品包装材が使用され、包装体とされてもよい。
【実施例0047】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例0048】
ヒドロキシプロピルセルロース1(原薬:添加剤=9:1)
非晶質エンパグリフロジン18g、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製;HPC-L)2g、をビニール袋内で混合し、目開き:500μmの篩で篩過した後、再度ビニール袋内で混合し物理混合品を得た。
【実施例0049】
ヒドロキシプロピルセルロース2(原薬:添加剤=9:1)
非晶質エンパグリフロジン18g、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製;HPC-SSL)2g、をビニール袋内で混合し、目開き:500μmの篩で篩過した後、再度ビニール袋内で混合し物理混合品を得た。
【実施例0050】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース1(原薬:添加剤=9:1)
非晶質エンパグリフロジン18g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業製;TC-5(登録商標)E)2g、をビニール袋内で混合し、目開き:500μmの篩で篩過した後、再度ビニール袋内で混合し物理混合品を得た。
【実施例0051】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース2(原薬:添加剤=9:1)
非晶質エンパグリフロジン18g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業製;TC-5(登録商標)M)2g、をビニール袋内で混合し、目開き:500μmの篩で篩過した後、再度ビニール袋内で混合し物理混合品を得た。
【実施例0052】
ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(原薬:添加剤=9:1)
非晶質エンパグリフロジン18g、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(信越化学工業製;Shin-Etsu AQOAT(登録商標) AS-LF)2g、をビニール袋内で混合し、目開き:500μmの篩で篩過した後、再度ビニール袋内で混合し物理混合品を得た。
【実施例0053】
メタクリル酸コポリマーLD(原薬:添加剤=9:1)
非晶質エンパグリフロジン18g、メタクリル酸コポリマーLD(EVONIK製;EUDRAGIT(登録商標)L100-55)2g、をビニール袋内で混合し、目開き:500μmの篩で篩過した後、再度ビニール袋内で混合し物理混合品を得た。
【実施例0054】
アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(原薬:添加剤=9:1)
非晶質エンパグリフロジン18g、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(EVONIK製;EUDRAGIT(登録商標)EPO)2g、をビニール袋内で混合し、目開き:500μmの篩で篩過した後、再度ビニール袋内で混合し物理混合品を得た。
【実施例0055】
ポリビニルピロリドン(原薬:添加剤=9:1)
非晶質エンパグリフロジン18g、ポリビニルピロリドン(BASFジャパン製;Kollidon(登録商標)30)2g、をビニール袋内で混合し、目開き:500μmの篩で篩過した後、再度ビニール袋内で混合し物理混合品を得た。
【実施例0056】
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(原薬:添加剤=9:1)
非晶質エンパグリフロジン18g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業製;LH-11)2g、をビニール袋内で混合し、目開き:500μmの篩で篩過した後、再度ビニール袋内で混合し物理混合品を得た。
【実施例0057】
ポリビニルアルコール(原薬:添加剤=9:1)
非晶質エンパグリフロジン18g、ポリビニルアルコール(三菱ケミカル製;ゴーセノール(登録商標)EG-05P)2g、をビニール袋内で混合し、目開き:500μmの篩で篩過した後、再度ビニール袋内で混合し物理混合品を得た。
【実施例0058】
軽質無水ケイ酸(原薬:添加剤=9:1)
非晶質エンパグリフロジン18g、軽質無水ケイ酸(フロイント産業製;アドソリダー(登録商標)101)2g、をビニール袋内で混合し、目開き:500μmの篩で篩過した後、再度ビニール袋内で混合し物理混合品を得た。
【実施例0059】
ステアリン酸マグネシウム(原薬:添加剤=9:1)
非晶質エンパグリフロジン18g、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業製;ステアリン酸マグネシウム(植物性))2g、をビニール袋内で混合し、目開き:500μmの篩で篩過した後、再度ビニール袋内で混合し物理混合品を得た。
【実施例0060】
ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体1(原薬:添加剤=9:1)
非晶質エンパグリフロジン18g、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(大同化成工業製;POVACOAT(登録商標)TypeF)2g、をビニール袋内で混合し、目開き:500μmの篩で篩過した後、再度ビニール袋内で混合し物理混合品を得た。
【実施例0061】
ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体2(原薬:添加剤=9:1)
非晶質エンパグリフロジン18g、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(大同化成工業製;POVACOAT(登録商標)TypeFM)2g、をビニール袋内で混合し、目開き:500μmの篩で篩過した後、再度ビニール袋内で混合し物理混合品を得た。
【実施例0062】
ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体3(原薬:添加剤=9:1)
非晶質エンパグリフロジン18g、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(大同化成工業製;POVACOAT(登録商標)TypeMP)2g、をビニール袋内で混合し、目開き:500μmの篩で篩過した後、再度ビニール袋内で混合し物理混合品を得た。
【実施例0063】
ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー(原薬:添加剤=9:1)
非晶質エンパグリフロジン18g、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー(BASFジャパン製;Kollicoat(登録商標) IR)2g、をビニール袋内で混合し、目開き:500μmの篩で篩過した後、再度ビニール袋内で混合し物理混合品を得た。
【実施例0064】
ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール(原薬:添加剤=9:1)
非晶質エンパグリフロジン18g、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール(BASFジャパン製;Kolliphor(登録商標)P 188 Geismar)2g、をビニール袋内で混合し、目開き:500μmの篩で篩過した後、再度ビニール袋内で混合し物理混合品を得た。
【実施例0065】
ポリビニルカプロラクタム・ポリビニル酢酸・ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(原薬:添加剤=9:1)
非晶質エンパグリフロジン18g、ポリビニルカプロラクタム・ポリビニル酢酸・ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(BASFジャパン製;Soluplus(登録商標))2g、をビニール袋内で混合し、目開き:500μmの篩で篩過した後、再度ビニール袋内で混合し物理混合品を得た。
【0066】
≪比較例1≫非晶質エンパグリフロジン原薬
比較例1として、非晶質エンパグリフロジンのみを用いた。
【0067】
<試験例1>
(25℃相対湿度75%における保存安定性)
得られた物理混合品及び非晶質エンパグリフロジン原薬を、25℃相対湿度75%で2日間保存し、粉末X線回折測定法にて、非晶質状態であることを確認した。測定には、粉末X線回折装置Smart Lab 3kWを用い、測定方法:反射法、フィルター:Cu K-beta、X線出力:40kV、30mA、測定範囲:2θ=3~40deg、スキャンスピード:8deg/min、ステップ幅:0.02degの条件により測定した。結晶状態の評価基準及び評価結果を下記に示す。
【0068】
【0069】
【0070】
実施例1~5、実施例7~18のエンパグリフロジン含有医薬組成物の結果から、物理混合品として単に共存させるだけでも、2日間保存後のエンパグリフロジン含有医薬組成物において、エンパグリフロジンの非晶質状態が維持された。
【0071】
<試験例2>
(40℃における保存安定性)
得られた物理混合品及び非晶質エンパグリフロジン原薬を密栓した後、40℃で2日間保存し、粉末X線回折測定法にて、非晶質状態であることを確認した。測定には、粉末X線回折装置Smart Lab 3kWを用い、測定方法:反射法、フィルター:Cu K-beta、X線出力:40kV、30mA、測定範囲:2θ=3~40deg、スキャンスピード:8deg/min、ステップ幅:0.02degの条件により測定した。結晶状態の評価結果を下記に示す。
なお、結晶状態の確認は表1の評価基準に従った。
【0072】
【0073】
実施例2~6、実施例8~12のエンパグリフロジン含有医薬組成物の結果から、物理混合品として単に共存させるだけでも、2日間保存後のエンパグリフロジン含有医薬組成物において、非晶質維持添加剤を含有する事により、エンパグリフロジンの非晶質状態を維持することが示された。
【0074】
<試験例3>
(エンパグリフロジンの各種溶媒における溶解度の確認)
ガラス容器に各種溶媒を加え、非晶質エンパグリフロジンを飽和溶液になるまで添加し、溶液を1時間振とうする。振とうした溶液を孔径0.45μm以下のメンブランフィルターでろ過し、ろ液について液体クロマトグラフィーにより、溶解度を算出した。エンパグリフロジンの紫外吸光度は230nmにて測定した。
その結果を表4に示す。
【0075】
【0076】
各種溶媒に対するエンパグリフロジンの溶解度については、メタノール、テトラヒドロフランについては高い溶解度を示したが、水、エタノール(99.5)、アセトン中のエンパグリフロジンの溶解度は低かった。
【0077】
<試験例4>
(エンパグリフロジンのエタノール/水、メタノール/水系における溶解度の確認)
使用した溶媒は、エタノール/水混液、メタノール/水混液であり、液組成を任意に変えて、試験例3と同様の手順でエンパグリフロジンの溶解度を算出した。
その結果を表5、及び表6に示す。
【0078】
【0079】
エタノール/水系において、水単独、もしくはエタノール単独における溶解度よりも、ある特定の組成の混液(例えば、水:エタノール=60:40~40:60)において、単独溶媒以上の特異的な溶解度の向上が確認された。
【0080】
【0081】
メタノール/水系において、エタノール/水系に認められた、特定の組成における特異的な溶解度の向上は認められず。良溶媒であるメタノールの比率が多くなるにつれて溶解度が単調的に増加する傾向が確認された。
【実施例0082】
固体分散体の製造(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、(原薬:添加剤=1:1))
結晶セルロース(旭化成製;セオラス(登録商標)PH‐102)20gを流動層造粒機(パウレック製;MP-01)に投入し、非晶質エンパグリフロジン15g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業製;TC-5(登録商標)E)15gを50wt%エタノール/水混液470gに溶解した溶液で造粒後乾燥し、固体分散体(SD1)を得た。
【実施例0083】
物理混合品の製造(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、(原薬:添加剤=1:1))
非晶質エンパグリフロジン150mg、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業製;TC-5(登録商標)E)150mg、結晶セルロース(旭化成製;セオラス(登録商標)PH‐102)200mgを乳鉢で混合し物理混合品1を得た。
【実施例0084】
固体分散体の製造(ヒドロキシプロピルセルロース、(原薬:添加剤=1:1))
結晶セルロース(旭化成製;セオラス(登録商標)PH‐102)20gを流動層造粒機(パウレック製;MP-01)に投入し、非晶質エンパグリフロジン15g、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製;HPC-SSL)15gを50wt%エタノール/水混液470gに溶解した溶液で造粒後乾燥し、固体分散体(SD2)を得た。
【実施例0085】
物理混合品の製造(ヒドロキシプロピルセルロース、(原薬:添加剤=1:1))
非晶質エンパグリフロジン150mg、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製;HPC-SSL)150mg、結晶セルロース(旭化成製;セオラス(登録商標)PH‐102)200mgを乳鉢で混合し物理混合品2を得た。
【実施例0086】
固体分散体の製造(ポリビニルピロリドン、(原薬:添加剤=1:1))
結晶セルロース(旭化成製;セオラス(登録商標)PH‐102)20gを流動層造粒機(パウレック製;MP-01)に投入し、非晶質エンパグリフロジン15g、ポリビニルピロリドン(BASFジャパン製;Kollidon(登録商標)30)15gを50wt%エタノール/水混液470gに溶解した溶液で造粒後乾燥し、固体分散体(SD3)を得た。
【実施例0087】
物理混合品の製造(ポリビニルピロリドン、(原薬:添加剤=1:1))
非晶質エンパグリフロジン150mg、ポリビニルピロリドン(BASFジャパン製;Kollidon(登録商標)30)150mg、結晶セルロース(旭化成製;セオラス(登録商標)PH‐102)200mgを乳鉢で混合し物理混合品3を得た。
【実施例0088】
固体分散体の製造(ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、(原薬:添加剤=1:1))
結晶セルロース(旭化成製;セオラス(登録商標)PH‐102)20gを流動層造粒機(パウレック製;MP-01)に投入し、非晶質エンパグリフロジン15g、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(大同化成工業製;POVACOAT(登録商標)TypeFM)15gを50wt%エタノール/水混液470gに溶解した溶液で造粒後乾燥し、固体分散体(SD4)を得た。
【実施例0089】
物理混合品の製造(ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、(原薬:添加剤=1:1))
非晶質エンパグリフロジン150mg、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(大同化成工業製;POVACOAT(登録商標)TypeFM)150mg、結晶セルロース(旭化成製;セオラス(登録商標)PH‐102)200mgを乳鉢で混合し物理混合品4を得た。
【0090】
SD1~4の固体分散体の処方を表7に示す。
【0091】
【0092】
<試験例5>
(調製後の固体分散体の結晶形の確認)
実施例19、21、23、25で調製した固体分散体SD1~SD4及び実施例20、22、24、26で調製した物理混合品1~4について、粉末X線回折測定法にて、エンパグリフロジンが非晶質状態であることを確認した。測定には、粉末X線回折装置Smart Lab 3kWを用い、測定方法:反射法、フィルター:Cu K-beta、X線出力:40kV、30mA、測定範囲:2θ=3~40deg、スキャンスピード:8deg/min、ステップ幅:0.02degの条件により測定した。結晶状態の評価結果を表8に示す。
なお、結晶状態の確認は表1の評価基準に従った。
【0093】
【表8】
HPMC:ヒドロキシプロピルメチルセルロース
HPC:ヒドロキシプロピルセルロース
PVP:ポリビニルピロリドン
PVAコポリマー:ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体
【0094】
実施例19~26で調製した固体分散体SD1~SD4及び物理混合品1~4の結晶状態は、いずれも非晶質であった。
【0095】
<試験例6>
(60℃における保存安定性)
60℃で7日間保存したSD1~SD4について、粉末X線回折測定法にてエンパグリフロジンの非晶質状態を確認した。測定には、粉末X線回折装置Smart Lab 3kWを用い、測定方法:反射法、フィルター:Cu K-beta、X線出力:40kV、30mA、測定範囲:2θ=3~40deg、スキャンスピード:8deg/min、ステップ幅:0.02degの条件により測定した。結晶状態の評価結果を表9に示す。
なお、結晶状態の確認は表1の評価基準に従った。
【0096】
【0097】
SD1~SD4のエンパグリフロジン含有固体分散体の結果から、7日間保存後のエンパグリフロジン含有医薬組成物において、非晶質維持添加剤を含有する事により、エンパグリフロジンの非晶質状態を維持することが示された。
【0098】
<試験例7>
(25℃相対湿度50%における保存安定性)
25℃相対湿度50%で7日間保存したSD1~SD4について、粉末X線回折測定法にて非晶質状態を確認した。測定には、粉末X線回折装置Smart Lab 3kWを用い、測定方法:反射法、フィルター:Cu K-beta、X線出力:40kV、30mA、測定範囲:2θ=3~40deg、スキャンスピード:8deg/min、ステップ幅:0.02degの条件により測定した。結晶状態の評価結果を表10に示す。
なお、結晶状態の確認は表1の評価基準に従った。
【0099】
【0100】
SD1~SD4のエンパグリフロジン含有固体分散体の結果から、7日間保存後のエンパグリフロジン含有医薬組成物において、非晶質維持添加剤を含有する事により、エンパグリフロジンの非晶質状態を維持することが示された。
【0101】
<試験例8>
(25℃相対湿度75%における保存安定性)
25℃相対湿度75%で7日間保存したSD1、3について、粉末X線回折測定法にてエンパグリフロジンの非晶質状態を確認した。測定には、粉末X線回折装置Smart Lab 3kWを用い、測定方法:反射法、フィルター:Cu K-beta、X線出力:40kV、30mA、測定範囲:2θ=3~40deg、スキャンスピード:8deg/min、ステップ幅:0.02degの条件により測定した。結晶状態の評価結果を表11に示す。
なお、結晶状態の確認は表1の評価基準に従った。
【0102】
【0103】
SD1、3のエンパグリフロジン含有固体分散体の結果から、7日間保存後のエンパグリフロジン含有医薬組成物において、非晶質維持添加剤を含有する事により、エンパグリフロジンの非晶質状態を維持することが示された。
【実施例0104】
固体分散体の製造(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、(原薬:添加剤=1:0.5))
結晶セルロース(旭化成製;セオラス(登録商標)PH-102)20gを流動層造粒機(パウレック製;MP-01)に投入し、非晶質エンパグリフロジン15g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業製;TC-5(登録商標)E)7.5gを50wt%エタノール/水混液470gに溶解した溶液で造粒後乾燥し、固体分散体(SD5)を得た。
【0105】
【0106】
<試験例9>
(60℃における保存安定性)
60℃で1箇月間保存したSD5について、粉末X線回析測定法にてエンパグリフロジンの非晶質状態を確認した。測定には、粉末X線解析装置Smart Lab 3kWを用い、測定方法:反射法、フィルター:Cu K-beta、X線出力:40kV、30mA、測定範囲:2θ=3~40deg、スキャンスピード:8deg/min、ステップ幅:0.02degの条件により測定した。結晶状態の評価結果を表13に示す。
なお、結晶状態の確認は表1の評価基準に従った。
【0107】
【0108】
SD5のエンパグリフロジン含有固体分散体の結果から、60℃で1箇月保存後のエンパグリフロジン含有医薬組成物において、非晶質維持添加剤を含有することにより、エンパグリフロジンの非晶質状態を維持することが示された。
【0109】
<試験例10>
(25℃相対湿度75%における保存安定性)
25℃相対湿度75%で1箇月間保存したSD5について、粉末X線回析測定法にてエンパグリフロジンの非晶質状態を確認した。測定には、粉末X線解析装置Smart Lab 3kWを用い、測定方法:反射法、フィルター:Cu K-beta、X線出力:40kV、30mA、測定範囲:2θ=3~40deg、スキャンスピード:8deg/min、ステップ幅:0.02degの条件により測定した。結晶状態の評価結果を表14に示す。
なお、結晶状態の確認は表1の評価基準に従った。
【0110】
【0111】
SD5のエンパグリフロジン含有固体分散体の結果から、25℃相対湿度75%で1箇月保存後のエンパグリフロジン含有医薬組成物において、非晶質維持添加剤を含有することにより、エンパグリフロジンの非晶質状態を維持することが示された。
【実施例0112】
固体分散体の製造(メタクリル酸コポリマーLD(原薬:添加剤=1:0.2))
非晶質エンパグリフロジン2g、メタクリル酸コポリマーLD(EVONIK製;EUDRAGIT(登録商標)L100-55)0.4gをメタノール100gに溶解した溶液をナスフラスコに投入し、エバポレーター(東京理化器械社製;N-1000)で、溶媒を留去し固体分散体(SD6)を得た。
【実施例0113】
固体分散体の製造(アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(原薬:添加剤=1:0.2))
非晶質エンパグリフロジン2g、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(EVONIK製;EUDRAGIT(登録商標)EPO)0.4gをメタノール100gに溶解した溶液をナスフラスコに投入し、エバポレーター(東京理化器械社製;N-1000)で、溶媒を留去し固体分散体(SD7)を得た。
【実施例0114】
固体分散体の製造(ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル((原薬:添加剤=1:0.2))
非晶質エンパグリフロジン2g、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(信越化学工業製;Shin-Etsu AQOAT(登録商標) AS-LF)0.4gを50wt%メタノール/アセトン混液100gに溶解した溶液をナスフラスコに投入し、エバポレーター(東京理化器械社製;N-1000)で、溶媒を留去し固体分散体(SD8)を得た。
【実施例0115】
固体分散体の製造(アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(原薬:添加剤=1:1))
非晶質エンパグリフロジン1g、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(EVONIK製;EUDRAGIT(登録商標)EPO)1gをメタノール100gに溶解した溶液をナスフラスコに投入し、エバポレーター(東京理化器械社製;N-1000)で、溶媒を留去し固体分散体(SD9)を得た。
【実施例0116】
固体分散体の製造(ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル((原薬:添加剤=1:1))
非晶質エンパグリフロジン1g、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(信越化学工業製;Shin-Etsu AQOAT(登録商標) AS-LF)1gを50wt%メタノール/アセトン混液100gに溶解した溶液をナスフラスコに投入し、エバポレーター(東京理化器械社製;N-1000)で、溶媒を留去し固体分散体(SD10)を得た。
【0117】
【0118】
<試験例11>
(60℃における保存安定性)
60℃で1箇月間保存したSD6~SD8について、粉末X線回析測定法にてエンパグリフロジンの非晶質状態を確認した。測定には、粉末X線解析装置Smart Lab 3kWを用い、測定方法:反射法、フィルター:Cu K-beta、X線出力:40kV、30mA、測定範囲:2θ=3~40deg、スキャンスピード:8deg/min、ステップ幅:0.02degの条件により測定した。結晶状態の評価結果を表16に示す。
なお、結晶状態の確認は表1の評価基準に従った。
【0119】
【0120】
SD6~SD8のエンパグリフロジン含有固体分散体の結果から、60℃で1箇月保存後のエンパグリフロジン含有医薬組成物において、非晶質維持添加剤を含有することにより、エンパグリフロジンの非晶質状態を維持することが示された。
【0121】
<試験例12>
(25℃相対湿度75%における保存安定性)
25℃相対湿度75%で1箇月間保存したSD6及びSD10について、粉末X線回析測定法にてエンパグリフロジンの非晶質状態を確認した。測定には、粉末X線解析装置Smart Lab 3kWを用い、測定方法:反射法、フィルター:Cu K-beta、X線出力:40kV、30mA、測定範囲:2θ=3~40deg、スキャンスピード:8deg/min、ステップ幅:0.02degの条件により測定した。結晶状態の評価結果を表16に示す。
なお、結晶状態の確認は表1の評価基準に従った。
【0122】
【0123】
SD6及びSD10のエンパグリフロジン含有固体分散体の結果から、25℃相対湿度75%で1箇月保存後のエンパグリフロジン含有医薬組成物において、非晶質維持添加剤を含有することにより、エンパグリフロジンの非晶質状態を維持することが示された。
【0124】
<試験例13>
(25℃相対湿度75%における保存安定性)
25℃相対湿度75%で1週間保存したSD8及びSD9について、粉末X線回析測定法にてエンパグリフロジンの非晶質状態を確認した。測定には、粉末X線解析装置Smart Lab 3kWを用い、測定方法:反射法、フィルター:Cu K-beta、X線出力:40kV、30mA、測定範囲:2θ=3~40deg、スキャンスピード:8deg/min、ステップ幅:0.02degの条件により測定した。結晶状態の評価結果を表18に示す。
なお、結晶状態の確認は表1の評価基準に従った。
【0125】
【0126】
SD8及びSD9のエンパグリフロジン含有固体分散体の結果から、25℃相対湿度75%で1箇月保存後のエンパグリフロジン含有医薬組成物において、非晶質維持添加剤を含有することにより、エンパグリフロジンの非晶質状態を維持することが示された。
【実施例0127】
固体分散体の製造(酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体、(原薬:添加剤=1:1))
結晶セルロース(旭化成製;セオラス(登録商標)PH-102)20gを流動層造粒機(パウレック製;MP-01)に投入し、非晶質エンパグリフロジン15g、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体(BASF社製;Kollidon(登録商標)VA64)15gを50wt%エタノール/水混液470gに溶解した溶液で造粒後乾燥し、固体分散体(SD11)を得た。
【0128】
【0129】
<試験例14>
(60℃における保存安定性)
60℃で1箇月間保存したSD11について、粉末X線回析測定法にてエンパグリフロジンの非晶質状態を確認した。測定には、粉末X線解析装置Smart Lab 3kWを用い、測定方法:反射法、フィルター:Cu K-beta、X線出力:40kV、30mA、測定範囲:2θ=3~40deg、スキャンスピード:8deg/min、ステップ幅:0.02degの条件により測定した。結晶状態の評価結果を表20に示す。
なお、結晶状態の確認は表1の評価基準に従った。
【0130】
【0131】
SD11のエンパグリフロジン含有固体分散体の結果から、60℃で1箇月保存後のエンパグリフロジン含有医薬組成物において、非晶質維持添加剤を含有することにより、エンパグリフロジンの非晶質状態を維持することが示された。
【0132】
<試験例15>
(25℃相対湿度75%における保存安定性)
25℃相対湿度75%で1箇月間保存したSD11について、粉末X線回析測定法にてエンパグリフロジンの非晶質状態を確認した。測定には、粉末X線解析装置Smart Lab 3kWを用い、測定方法:反射法、フィルター:Cu K-beta、X線出力:40kV、30mA、測定範囲:2θ=3~40deg、スキャンスピード:8deg/min、ステップ幅:0.02degの条件により測定した。結晶状態の評価結果を表21に示す。
なお、結晶状態の確認は表1の評価基準に従った。
【0133】
【0134】
SD11のエンパグリフロジン含有固体分散体の結果から、25℃相対湿度75%で1箇月保存後のエンパグリフロジン含有医薬組成物において、非晶質維持添加剤を含有することにより、エンパグリフロジンの非晶質状態を維持することが示された。
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