IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エコ・マイニングの特許一覧

特開2025-17378プラスチック系材料及びプラスチック系材料の製造方法
<>
  • 特開-プラスチック系材料及びプラスチック系材料の製造方法 図1
  • 特開-プラスチック系材料及びプラスチック系材料の製造方法 図2
  • 特開-プラスチック系材料及びプラスチック系材料の製造方法 図3
  • 特開-プラスチック系材料及びプラスチック系材料の製造方法 図4
  • 特開-プラスチック系材料及びプラスチック系材料の製造方法 図5
  • 特開-プラスチック系材料及びプラスチック系材料の製造方法 図6
  • 特開-プラスチック系材料及びプラスチック系材料の製造方法 図7
  • 特開-プラスチック系材料及びプラスチック系材料の製造方法 図8
  • 特開-プラスチック系材料及びプラスチック系材料の製造方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017378
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】プラスチック系材料及びプラスチック系材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/00 20060101AFI20250130BHJP
   C08J 11/12 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
B29B17/00
C08J11/12 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120344
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】519367706
【氏名又は名称】株式会社エコ・マイニング
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】相田 辰
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA09
4F401AA10
4F401AA11
4F401AA22
4F401AC20
4F401AD09
4F401BA03
4F401CA14
4F401CA70
4F401CB18
4F401DC06
4F401FA01Y
4F401FA07Z
(57)【要約】
【課題】ポリエステル繊維の古布をケミカルリサイクルするときに、低温ガス化炉での反応を高めることができる技術を提供する。
【解決手段】図6(e)に示すプラスチック系材料41は、図6(f)に示すようにポリエステル繊維の古布13と、発泡スチレン17からなり、ポリエステル繊維の古布13同士が、発泡スチレン17で局部的に接合されている。ポリエステル繊維の古布と隣のポリエステル繊維の古布との間を、ガスが通過し得る。ガスが通過することで、低温ガス化炉における反応が促進される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定長さの柱状物であり、ケミカルリサイクル用のガス化炉へ供給されるプラスチック系材料であって、
このプラスチック系材料は、主材料としてのポリエステル繊維の古布と、前記主材料を接合する接合材とからなり、
前記接合材は、前記ポリエステルより融点が低い低融点プラスチックであり、
この低融点プラスチックは、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂から選ばれた一種または二種以上であり、
前記ポリエステル繊維の古布同士が、前記低融点プラスチックで局部的に接合されていることを特徴とするプラスチック系材料。
【請求項2】
請求項1記載のプラスチック系材料であって、
前記ポリエステル繊維の古布の割合は70~90質量%で、前記低融点プラスチックの割合は10~30質量%であることを特徴とするプラスチック系材料。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のプラスチック系材料であって、
前記低融点プラスチックは、ポリスチレンであることを特徴とするプラスチック系材料。
【請求項4】
請求項3記載のプラスチック系材料であって、
前記ポリスチレンは、発泡スチレンであることを特徴とするプラスチック系材料。
【請求項5】
ケミカルリサイクル用のガス化炉へ供給されるプラスチック系材料の製造方法であって、
ポリエステル繊維の古布と、ポリエステルより融点が低い低融点プラスチックと、破砕機と、ダイプレート及びカッターを備える押出成形機とを準備する工程と、
前記破砕機で前記ポリエステル繊維の古布と前記低融点プラスチックを破砕する工程と、
前記ダイプレートの温度を、低融点プラスチックの融点近くの温度に制御する工程と、
前記押出成形機へ、破砕された前記ポリエステル繊維の古布を70~90質量%、破砕された前記低融点プラスチックを10~30質量%の割合で投入する工程と、
前記ダイプレートのダイ穴から棒状体を押出す工程と、
前記カッターで前記棒状体を所定の長さに切断することで、所定長さのプラスチック系材料を得る工程とからなるプラスチック系材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス化炉へ供給するプラスチック系材料及びそれの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃プラスチックの再利用は、法制化され、強く推進されてきた。
廃プラスチックの再利用方法として、マテリアルリサイクルと、ケミカルリサイクルと、サーマルリサイクルとの3つの処理法が知られている。
【0003】
マテリアルリサイクルは、例えば、ペットボトルを砕いてペレット化し、このペレットを原料としてペットボトルを成形する処理法である。
ケミカルリサイクルは、例えば、廃プラスチックをガス化炉へ投入し、熱及び化学的な処理を施すことにより、一酸化炭素と水素を主成分とする合成ガスを得る処理法である。
サーマルリサイクルは、例えば、廃プラスチックを砕いて、固めて固形燃料にする処理法である。
【0004】
プラスチックリサイクルの基礎知識(2022年、一般財団法人プラスチック循環利用協会発行)によれば、上記3つのリサイクルの処理量は、合計を86%としたときに、「マテリアルリサイクル」は21%、「ケミカルリサイクル」は3%、「サーマルリサイクル」は62%である。
【0005】
プラスチックは、石油を原料とする。石油は炭素と水素とからなる。水素と一酸化炭素が得られるケミカルリサイクルは、廃プラスチックを石油にほぼ戻すことができるため、サーマルリサイクル及びマテリアルリサイクルより好ましいと言える。
そのためケミカルリサイクルを実施するガス化設備が各種提案されてきた(例えば、特許文献1(図1)参照)。
【0006】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図9は従来のガス化設備の概略図である。
移動床101に、廃棄物102が貯留されている。
廃棄物102は、都市ごみ、固形化燃料(RDF)、スラリー化燃料、廃プラスチック、廃FRP(繊維強化プラスチック)、バイオマス廃棄物、自動車廃棄物、低品位石炭等である(特許文献1、段落0024)。
【0007】
廃棄物102は、コンベア103を介して原料ホッパ104へ投入され、この原料ホッパ104から原料ロックホッパ105へ投入され、この原料ロックホッパ105から原料切出機ホッパ106へ投入され、この原料切出機ホッパ106から原料切出機107へ投入される。
【0008】
廃棄物102は、原料切出機107から切出され、流量計108で流量が計測され、原料供給機109へ投入され、この原料供給機109で低温ガス化炉110へ投入される。 低温ガス化炉110では、流動層111と、吹き込まれる酸素bと水蒸気cとが主要素となり、廃棄物102は、500~850℃に保たれる砂に接触しつつ、酸素と水蒸気とに反応し、中間ガスdとなる。金属片などの不燃物eは、下方へ排出される。
【0009】
中間ガスdは、連絡管112を介して高温ガス炉113へ送られる。
高温ガス炉113では、中間ガスdは、1200℃以上の高温で酸素bと水蒸気cとに反応し、合成ガスgとなって、排出される。合成ガスgは、水素と一酸化炭素を主成分とする。不純物はスラリーfの形態で、排出される。
【0010】
以上によりケミカルリサイクルが実施される。しかし、特許文献1の技術には、次に述べる問題点が存在する。
廃棄物102は、種々雑多な廃棄物の混合物であるため、不燃物eやスラリーfの発生量が多い。
加えて、廃棄物102は、種々雑多の混合物であるため、合成ガスgの組成が多岐にわたる。そのため、合成ガスgの精製コストが嵩む。
【0011】
一方、廃棄物102中の廃プラスチックに注目すると、この廃プラスチックには、化学繊維が一定量含まれる。
化学繊維は、ポリエステル繊維と、アクリル繊維と、ナイロン繊維とが主なものである。世界における生産量では、ポリエステル繊維が89%、アクリル繊維が3%、ナイロン繊維が8%であることが知られている。
【0012】
衣料や寝具は、天然繊維から化学繊維に移行しつつあり、それらの大部分がポリエステル繊維からなる。
生活様式の変化に伴って、衣料や寝具の使用期間が短縮され、廃ポリエステル繊維は年々増加する。このような廃ポリエステル繊維のリサイクルが急務となる。
そこで、本発明者らは、化学繊維中、ポリエステル繊維に注目した。
【0013】
続いて、本発明者らは、廃棄されるポリエステル繊維を、特許文献1と同等のガス化設備を用いて、ケミカルリサイクルすることを検討した。
廃棄物102は、ポリエステル繊維が主体であって染料が微量であるため、不燃物eやスラリーfの量は無視できるほど少量である。
加えて、廃棄物102は、ポリエステル繊維が主体であって染料が微量であるため、合成ガスgの組成が安定し、合成ガスの精製コストを抑えることができるという利点がある。
【0014】
しかし、廃棄物102がポリエステル繊維主体であっても、次に述べる問題点が存在することが分かった。
ポリエステル繊維の古布同士が貼り付いた形態で、低温ガス化炉110へ投入される。投入物は表面から熱反応及び化学反応が進むため、中心に反応が進行するまでに時間が掛かる。時間が掛かると、ケミカルリサイクルにおける生産性に影響がでる。
【0015】
原料切出機107から廃棄物102は細長い棒状の形態で押し出される。細長い棒では取り扱いに難がある。そこで、細長い棒は、直径の数倍の長さで切断され、原料粒とされる。
【0016】
原料切出機107の出口では、細長い棒の温度は、ポリエステルの融点に近い。そのため、細長い棒は、いわゆる「ふにゃふにゃ」の状態にあり、腰が弱くて切断が困難である。無理に切断しても、引き千切られた形態(図6(b)参照)となり、原料粒の形態が、極めて不揃いとなる。形状が不揃いであると、低温ガス化炉110での反応に影響がでる。
【0017】
本発明者らは、低温ガス化炉での反応を高めることが、ケミカルリサイクルにおける生産性の向上に直結すると考える。
ケミカルリサイクルにおける生産性の向上が求められる中、ポリエステル繊維の古布をケミカルリサイクルするときに、低温ガス化炉での反応を高めることができる技術が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2006-322004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、ポリエステル繊維の古布をケミカルリサイクルするときに、低温ガス化炉での反応を高めることができる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
請求項1に係る発明は、所定長さの柱状物であり、ケミカルリサイクル用のガス化炉へ供給されるプラスチック系材料であって、
このプラスチック系材料は、主材料としてのポリエステル繊維の古布と、前記主材料を接合する接合材とからなり、
前記接合材は、前記ポリエステルより融点が低い低融点プラスチックであり、
この低融点プラスチックは、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂から選ばれた一種または二種以上であり、
前記ポリエステル繊維の古布同士が、前記低融点プラスチックで局部的に接合されていることを特徴とする。
【0021】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のプラスチック系材料であって、
前記ポリエステル繊維の古布の割合は70~90質量%で、前記低融点プラスチックの割合は10~30質量%であることを特徴とする。
【0022】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2記載のプラスチック系材料であって、
前記低融点プラスチックは、ポリスチレンであることを特徴とする。
【0023】
請求項4に係る発明は、請求項3記載のプラスチック系材料であって、
前記ポリスチレンは、発泡スチレンであることを特徴とする。
【0024】
請求項5に係る発明は、ケミカルリサイクル用のガス化炉へ供給されるプラスチック系材料の製造方法であって、
ポリエステル繊維の古布と、ポリエステルより融点が低い低融点プラスチックと、破砕機と、ダイプレート及びカッターを備える押出成形機とを準備する工程と、
前記破砕機で前記ポリエステル繊維の古布と前記低融点プラスチックを破砕する工程と、
前記ダイプレートの温度を、低融点プラスチックの融点近くの温度に制御する工程と、
前記押出成形機へ、破砕された前記ポリエステル繊維の古布を70~90質量%、破砕された前記低融点プラスチックを10~30質量%の割合で投入する工程と、
前記ダイプレートのダイ穴から棒状体を押出す工程と、
前記カッターで前記棒状体を所定の長さに切断することで、所定長さのプラスチック系材料を得る工程とからなる。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に係る発明では、プラスチック系材料は、ポリエステル繊維の古布同士が、ポリエステルより融点が低い低融点プラスチックで局部的に接合されている。
ポリエステル繊維の古布と隣のポリエステル繊維の古布との間を、ガスが通過し得る。ガスが通過することで、低温ガス化炉における反応が促進される。
結果、本発明により、低温ガス化炉での反応を高めることができる技術が提供される。
【0026】
加えて、本発明のプラスチック系材料は、主材料がポリエステル系材料であるため、ガス化で得られる合成ガスの組成が安定し、ガスの精製コストを圧縮することができる。すなわち、ケミカルリサイクルにおける生産コストを下げることができる。
【0027】
請求項2に係る発明では、ポリエステル繊維の古布の割合を70~90質量%、低融点プラスチックの割合を10~30質量%とする。
この割合にすることで、適度な通気性を有するプラスチック系材料が提供される。
【0028】
請求項3に係る発明では、低融点プラスチックはポリスチレンである。
ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂の中で、ポリスチレンは融点が100℃と低く、ポリエステルの融点(255℃以上)との温度差が大きい。
温度差が大きい程、ポリエステル繊維の古布が溶かされ過ぎるというリスクが小さくなる。結果、プラスチック系材料の生産が容易になる。
【0029】
また、仮に低融点プラスチックがポリプロピレンの場合は、押出成形機のダイプレートの温度を160℃程度に保つ必要がある。対して、低融点プラスチックがポリスチレンの場合は、ダイプレートの温度は95℃程度に保つだけで済み、外から加える熱エネルギーはポリプロピレンの約半分で済む。結果、請求項3によれば、熱エネルギーの効率が極めて良くなる。
【0030】
請求項4に係る発明では、ポリスチレンは、発泡スチレンである。
白色で95%もの気泡を含む発泡スチレンは、食品トレイ、魚箱、断熱材などとして大量に消費され、大量に廃棄される。
本発明により、大量に廃棄される発泡スチレンを、ケミカルリサイクルにより、有効に再利用することができる。
【0031】
請求項5に係る発明では、ダイプレートの温度を低融点プラスチックの融点近傍の温度に制御する。この制御によれば、ポリエステル繊維の古布は未溶融のままで、ポリスチレンが溶融した後に凝固し、且つ強固したポリスチレンが点状に分散したようなプラスチック系材料が得られる。
【0032】
点状に分散するポリスチレンがポリエステル繊維の古布と隣のポリエステル繊維の古布との間に適度な隙間を形成し、この隙間をガスが通過する。ガスが接触する材料側の表面積(外表面積+内表面積)が大きくなるため、ガス化炉での反応が促される。
結果、本発明により、低温ガス化炉での反応を高めることができる技術が提供される。
【0033】
加えて、ダイプレートから押し出される棒状体は、未溶融のポリエステル繊維の古布が芯となるため、腰が強く、カッターで綺麗に切断でき、且つ切断されたプラスチック系材料は大きさが揃う。
よって、本発明により、形状が揃ったプラスチック系材料が製造可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明に係るプラスチック系材料の製造設備の基本構成図である。
図2】廃プラスチックの分別手順を説明するフロー図である。
図3】一軸破砕機の基本構成図である。
図4】押出成形機の側面図である。
図5】要部を断面した押出成形機の平面図である。
図6】(a)は比較例におけるダイの作用図、(b)は比較例におけるプラスチック系材料の斜視図、(c)は(b)のc部拡大図(概念図)、(d)は実施例におけるダイの作用図、(e)は実施例におけるプラスチック系材料の斜視図、(f)は(e)のf部拡大図(概念図)である。
図7】ガス化設備の基本構成図である。
図8】プラスチック系材料の製造設備の変更例を説明する図である。
図9】従来のガス化設備の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【実施例0036】
[プラスチック系材料の製造設備]
図1に示すように、プラスチック系材料の製造設備10は、受入コンベア12と、この受入コンベア12の下流側に配置される一軸破砕機20と、この一軸破砕機20の下流側に配置される風力選別機30と、この風力選別機30の下流側に配置される押出成形機40とを主要素とする設備である。
【0037】
[受入コンベア]
受入コンベア12は、形態及び構造は任意であるが、例えば水平コンベアであり、ポリエステル繊維の古布13と、ポリエステルより融点が十分に低い低融点プラスチック14とが交互に載せられ、これらを搬送し、一軸破砕機20へ投入する。
【0038】
[古布と低融点プラスチックの比率]
古布と低融点プラスチックの比率は、古布13と低融点プラスチック14との合計を100質量%としたときに、低融点プラスチック14の割合を10~30質量%、残りの70~90質量%を古布13とする。
大部分が古布13であるため、使い古しのポリエステル繊維が効率よくリサイクルされる。
【0039】
[ポリエステル繊維の古布]
ポリエステル繊維の古布13は、例えば着古したユニフォームである。
廃プラスチックの再利用の要求が高まる中、衣料品の販売店(いわゆる量販店)では、ポリエステル繊維製ユニフォームを大量に回収する。回収品を束ねたものが、ポリエステル繊維の古布13として、プラスチック系材料の製造設備10へ提供される。ポリエステル繊維の古布13には、ファスナー15やボタン16などが付いたままである。
【0040】
ポリエステル繊維の古布13は、着古したユニフォームの他、一般の衣料品、寝具の皮であってもよく、用途は限定されない。古布13は、綿とポリエステル繊維の混紡品であってもよく、要は、主体がポリエステル繊維であればよい。
【0041】
[ポリエステルの表示]
衣料品には、品質表示タグが縫い付けられている。品質表示タグに、ポリエステル100%のような表示や、ポリエステル75%、綿20%、ナイロン5%のような表示がある。この表示に基づいて、ポリエステル繊維の古布13が他の廃プラスチックから分別される。
【0042】
[ポリエステル繊維の融点]
ポリエステル繊維の融点は、表1に示す通りである。
【0043】
【表1】
【0044】
[低融点プラスチック]
低融点プラスチック14は、容器包装リサイクル法が定める「プラスチック製容器包装」、すなわち、容器包装リサイクル法が定める廃プラスチック製容器及び廃プラスチック製包装が好適である。容器包装リサイクル法が定める「プラスチック製容器包装」を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
[プラスチックの表示]
プラスチック製品には、容器包装リサイクル法の定めにより、プラスチック製容器表示マークが付されている。このプラスチック製容器表示マークは、「プラ」の2文字と、この2文字を囲う矢印(コ字+矢印)からなる。
更に、プラスチック製容器表示マークの右横又は下に「PS」や「PE」などの略号が付されている。
【0047】
[低融点プラスチックのさらなる分別]
この略号に基づいて、「プラスチック製容器包装」を、さらに廃ポリスチレン(PS)や廃ポリエチレン(PE)などに分別することができる。この分別作業の一例を、図2に基づいて説明する。
【0048】
[分別作業]
図2に示すように、ST(ステップ番号。以下同じ)01で、廃プラスチックを受け入れる。
ST02で、受け入れた廃プラスチックが、表2に示すプラスチック製容器包装であることを確認する。
【0049】
確認できたらST03で、受け入れたプラスチック製容器包装から、PS(ポリスチレン)を分別する。
【0050】
廃プラスチックに、「プラ」とPSが表示されている、又はPSだけが表示されているときには、この表示に基づいて分別する。
これらの表示はないが、外観上若しくは経験上PSと認識できるときは、YESへ進む。例えば、発泡スチロール製の食品トレイ(発泡トレイ)は、軽くて白いため、表示なしでも分別は可能である。
何れにも該当せず、分別が困難であるときは、NOへ進む。
以上に述べた分別のルールは、以下に述べるPE、PP、ABSにも適用する。
【0051】
ST03で、YESであれば、ST04でPSを集積し、NOであれば、ST05へ進む。
PSが除かれたプラスチック製容器包装から、PE(ポリエステル)を分別する(ST05)。
【0052】
ST05で、YESであれば、ST06でPEを集積し、NOであれば、ST07へ進む。
本発明者らは、ポリエステル繊維の古布同士を接合するときの接合材は、PS(ポリスチレン)が最適であり、PE(ポリエチレン)がこれに次ぐことを、知見している。この知見から、この段階で分別作業を終えることも一考である。
そこで、ST07で、分別をさらに続けるか否かを判断する。費用対効果の観点をも加味して、分別を続けないのであればNOへ進む。
【0053】
さらに続けるのであれば、ST08でPP(ポリプロピレン)を分別し、PPを集積する(ST09)。
【0054】
「プラスチック製容器包装」中、ABSが最も少量である。
よって、ST10で、分別をさらに続けるか否かを判断する。費用対効果の観点をも加味して、分別を続けないのであればNOへ進む。
【0055】
さらに続けるのであれば、ST11でABS(ABS樹脂)を分別し、ABSを集積する(ST12)。
ST11でNOと判断されたプラスチック製容器包装は、その他のプラスチックとして集積する(ST13)。
ST02、ST07、ST10でNOと判断された廃プラスチックも、その他のプラスチックとして集積する(ST13)。その他のプラスチックは、サーマルリサイクルに回され、RPF(紙とプラスチックを混ぜてなる固形燃料)として有効利用される。
【0056】
経験上、ST04で集積したPSには、白色で軽量の食品トレイや魚箱や断熱材に代表される発泡PSが多量に含まれる。なお、発泡PSは、発泡スチロールとも呼ばれる。
そこで、ST14で、PS集積から発泡PSを分別し、集積する(ST15)。
【0057】
また、経験上、ST06で集積したPEには、いわゆるコンビニ袋と呼ばれるポリ袋(ポリエチレン袋)が大量に含まれる。
そこで、ST16で、PE集積からポリ袋(ポリエチレン袋)を分別し、集積する(ST17)。
【0058】
以上に説明したPS集積(ST04)と、PE集積(ST06)と、PP集積(ST09)と、ABS集積(ST12)と、発泡PS集積(ST15)と、ポリ袋集積(ST17)の一種または二種以上を、図1に示す低融点プラスチック14に充当する。
【0059】
図1において、受入コンベア12からポリエステル繊維の古布13と低融点プラスチック14とが交互に一軸破砕機20へ投入される。ポリエステル繊維の古布13と低融点プラスチック14とを交互に落下させることで、上述した古布と低融点プラスチックの比率を、簡単に管理することができる。
一軸破砕機20の構造及び作用の詳細は、後述するが、一軸破砕機20から第1破砕片21が排出される。
【0060】
第1破砕片21は、風力選別機30へ投入される。風力選別機30では、ジグザグ通路31に下から風が送られる。軽い破片はジグザグ通路31を上昇する。金属製のファスナー15やボタン16は重いため落下する。第1破砕片21からファスナー15やボタン16などが除かれたものが、第2破砕片32となる。
【0061】
この第2破砕片32が、押出成形機40へ投入される。押出成形機40の詳細は、後述するが、押出成形機40からプラスチック系材料41が排出され、バケット42に溜められる。
【0062】
[一軸破砕機]
図3に示すように、一軸破砕機20は、図面表裏方向に伸びる1軸の回転刃22と、この回転刃22の概ね下半分を囲うスクリーン23と、回転刃22に対向配置される固定刃24と、プッシャ25とを主要部とする装置である。
【0063】
図1で説明したように、ポリエステル繊維の古布13と低融点プラスチック14とが投入される。これらの混合物26は、図3に示すプッシャ25で回転刃22へ押付けられる。混合物26は、回転刃22と固定刃24とで、切断(破砕)される。
破砕物のうち、スクリーン23を通過しない大きな破砕片は、スクリーン23と回転刃22との間を周回しつつ、回転刃22と固定刃24とで、繰り返し切断され、徐々に小さくなる。
【0064】
スクリーン23を通過し得る程度に小さくなった破砕片は、スクリーン23を通って落下する。落下した破砕片が、第1破砕片21となる。この第1破砕片21は、コンベア27で排出される。
第1破砕片21の大きさは、8~80mmに制御することができる。すなわち、目の大きさが異なるスクリーン23に変更することで、第1破砕片21の大きさが制御可能となる。
【0065】
[押出成形機]
図4に示すように、押出成形機40は、ベース43と、このベース43に載せられるギヤーケース44と、このギヤーケース44の入力軸に接続される押出モータ45と、この押出モータ45から離れるようにしてギヤーケース44から水平に延びるスクリュー46、47と、これらのスクリュー46、47を囲うバレル48と、このバレル48の基部(ギヤーケース44側)に付設されるホッパ49と、バレル48の先端に配置されるダイプレート51と、このダイプレート51の外側(ギヤーケース44から遠い方の側)に配置されるカッターカバー52と、ダイプレート51の温度を計測する温度センサ53と、ダイプレート51を加熱するヒータ54と、ダイプレート51を冷却する水路55と、温度制御部56とを備える。
【0066】
ギヤーケース44は、スクリュー46、47を片持ち支持する役割と、減速機の役割と、押出モータ45の出力を分配する役割と、スクリュー46、47の回転方向を決める役割を果たす。なお、押出モータ45とギヤーケース44との間に減速機を介在させて、ギヤーケース44から減速機構(機能)を省くことは差し支えない。
【0067】
温度制御部56は、温度設定器57で人為的に設定された設定温度にダイプレート51の温度を保つ役割を果たす。すなわち、温度制御部56は、温度センサ53で得た温度情報と設定温度とを比較し、ダイプレート51の温度が設定温度より低いときには、ヒータコントローラ58へヒータ出力増加を指示する。ヒータコントローラ58はヒータ54へ供給する電力を増す。温度制御部56は、温度センサ53で得た温度情報が設定温度に近くなると、ヒータ54へ供給する電力を絞るように制御する。結果、ダイプレート51は設定温度に保たれる。
【0068】
温度制御部56は、ダイプレート51の温度が設定温度より高いときには、給水管61に設けた制御弁62を開ける。水路55に水が流れることで、ダイプレート51は冷却される。温度制御部56は、温度センサ53で得た温度情報が設定温度に近くなると、制御弁62を絞る。結果、ダイプレート51は設定温度に保たれる。
【0069】
図5に示すように、ギヤーケース44でスクリュー46、47が回される。スクリュー46に対して、スクリュー47を同速度で逆方向に回すことを原則とするが、スクリュー47を同方向に回してもよい。
【0070】
ホッパ(図4、符号49)を介して投入された第2破砕片(図1、符号32)は、スクリュー46、47により混練される。この混練により、ポリエステル繊維の古布(図1、符号13)と低融点プラスチック(図1、符号14)とが更に混合され、更に破断される。並行して、混練により、摩擦熱が発生し、混合物の温度が上昇する。
【0071】
混合物はスクリュー46、47によりダイプレート51に強く押付けられ、ダイプレート51のダイ穴63から押し出される。ダイ穴63の穴径は、例えば35mmである。
【0072】
カッターカバー52内には、一対のカッター64が配置され、これらのカッター64はカッターモータ65で回される。カッター64は、いわゆる竹トンポ形のカッターブレードが望ましい。竹トンポ形のカッターブレードは、構造が単純で安価である。
【0073】
なお、ギヤー又はチェーン・スプロケットを介することにより、1個のカッターモータ65で複数個(実施例では2個)のカッター64を回すことは差し支えない。
【0074】
ダイ穴63から押し出された棒状体は、カッター64で切断される。切断により、所定長さの柱状物が得られる。この柱状物がプラスチック系材料(図1、符号41)となり、重力作用で落下し、バケット(図1、符号42)に溜められる。
【0075】
[プラスチック系材料の製造方法]
以上に述べたプラスチック系材料の製造方法は、図1を参照しつつ、以下のように纏めることができる。
すなわち、本発明のプラスチック系材料の製造方法は、ポリエステル繊維の古布13と、ポリエステルより融点が低い低融点プラスチック14と、破砕機20と、ダイプレート51(図4参照)及びカッター64(図5参照)を備える押出成形機40とを準備する工程と、
破砕機20でポリエステル繊維の古布13と低融点プラスチック14を破砕する工程と、
ダイプレート51(図4参照)の温度を、低融点プラスチック14の融点近くの温度に制御する工程と、
押出成形機40へ、破砕されたポリエステル繊維の古布13を70~90質量%、破砕された低融点プラスチック14を10~30質量%の割合で投入する工程と、
ダイプレート51のダイ穴63(図5参照)から棒状体18(図6(d)参照)を押出す工程と、
カッター64(図6(d)参照)で棒状体18(図6(d)参照)を所定の長さに切断することで、所定長さのプラスチック系材料41を得る工程とからなる。
【0076】
[比較実験]
本発明者らは、本発明の有益性を確かめるために、比較実験を行った。
【0077】
[比較例]
比較例では、図1において、受入コンベア12に、ポリエステル繊維の古布13だけを載せた。結果、第2破砕片32は、100%のポリエステル繊維で構成される。
【0078】
図6(a)に示すように、ダイプレート51の設定温度をTset1とする。Tset1はポリエステルの融点を考慮して、250℃に設定した。
本発明では、カッター64は、ダイプレート51から所定距離離して配置した。離すことにより、カッター64はダイプレート51に接触しない。カッター64の寿命を延ばすことができる。
【0079】
ダイ穴63から、棒状体115が押し出される。この棒状体115は、直前まで溶融体(又は半溶融体)であり、ダイ穴63の直後では冷却が不十分であるため、軟らかく、腰が弱い。この状態でカッター64を打ち下ろしても、綺麗に切断がなされない。
結果、図6(b)に示すように、得られたプラスチック系材料116は、両端が引き千切られた形態となる。
【0080】
破断面の一部を拡大した概念図を図6(c)に示す。図6(c)に示すように、溶融したポリエステル繊維の古布13が、隣のポリエステル繊維の古布13に密に繋がっている。図6(c)では便宜的に横線(波線)を描いたが、この横波線は消失又はほぼ消失している。
【0081】
[実施例]
実施例では、図1において、受入コンベア12に、ポリエステル繊維の古布13と、食品トレイに代表される発泡スチレン17とを、交互に並べた。ポリエステル繊維の古布13と発泡スチレン17の比率は、ポリエステル繊維の古布13が80質量%で、発泡スチレン17が20質量%とした。
【0082】
切断面の一部を拡大した概念図である図6(f)に示すように、実施例では、未溶融のポリエステル繊維の古布13と古布13の間に、溶融した後に凝固した発泡スチレン17が点状(又は島状)に介在していた。
【0083】
図6(d)に示すように、ダイプレート51の設定温度をTset2とする。Tset2は発泡スチレン17の融点を考慮して、95℃に設定した。
ダイ穴63から押し出される棒状体18は、未溶融のポリエステル繊維の古布13が芯の役割を果たし、溶融した発泡スチレン17が接着剤の役割を果たすため、硬く、腰が強い。
カッター64を打ち下ろすと、棒状体18の先端が、折り曲げられつつ、破断し分離される。
【0084】
ところで、先に述べた表2により、発泡スチレン17は、ポリプロピレンに変更することができる。
しかし、ポリプロピレンの場合は、押出成形機のダイプレートの温度を160℃程度に保つ必要がある。
対して、低融点プラスチックがポリスチレンの場合は、ダイプレートの温度は95℃程度に保つだけで済み、外から加える熱エネルギーはポリプロピレンの約半分で済む。
すなわち、この実施例の発泡スチレン17であれば、熱エネルギーの効率が極めて良くなる。
【0085】
図6(e)に示すように、得られたプラスチック系材料41は、破断面が綺麗で長さが揃った好ましい形態を呈する。プラスチック系材料41の大きさは、例えば、直径が35mmで長さが50~60mmである。
【0086】
[プラスチック系材料]
以上に述べたように、本発明に係るプラスチック系材料41は、主材料としてのポリエステル繊維の古布13と、主材料を接合する接合材とからなり、この接合材は、ポリエステルより融点が低い低融点プラスチック、例えば発泡スチレン17であり、ポリエステル繊維の古布13同士が、低融点プラスチックとしての発泡スチレン17で局部的に接合されていることを構造的な特徴とする。
【0087】
なお、低融点プラスチックは、表2に示されるポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂から選ばれた一種または二種以上であればよい。
二種のときは、融点が近いポリスチレンとABS樹脂の混合物を接合材とすることや、ポリスチレンとポリエチレンの混合物を接合材とすることが推奨される。
三種のときは、融点が近いポリスチレンとポリエチレンとABS樹脂の混合物を接合材とすることが推奨される。
【0088】
[ガス化設備]
図7に示すように、ガス化設備70は、低温ガス化炉71と、高温ガス化炉72と、これらを結ぶ連絡管73とからなる。
【0089】
プラスチック系材料41は、低温ガス化炉71へ投入される。低温ガス化炉71の内部では、600~800℃に加熱された砂が循環している。また、低温ガス化炉71へ酸素と水蒸気が吹き込まれる。
【0090】
投入されたプラスチック系材料41は、砂で加熱されつつ、酸素と水蒸気に反応して分解する。分解後の中間ガスは、連絡管73を通って、高温ガス化炉72へ送られる。
高温ガス化炉72は、1300~1500℃に保たれ、中間ガスは旋回して下降する間に加熱され、酸素と水蒸気に反応して合成ガスとなる。合成ガスは一酸化炭素と水素が主成分となる。合成ガスは、水素、メタノール、アンモニア、酢酸などの原料となる。
【0091】
[比較例におけるガス化の検討]
低温ガス化炉71へ、図6(b)に示すプラスチック系材料116を投入した。図6(c)に示すように、プラスチック系材料116は、構造が密である。
そのため、周囲のガスは、プラスチック系材料116の内部には進入せずに、プラスチック系材料116の表面を包むだけである。
結果、酸素や水蒸気との化学反応が遅れて、生産時間が延びる。
【0092】
また、プラスチック系材料116は、表面から温度が上がり、中心の温度は最後に上がる。このことからも、生産時間が延びて、生産性に影響がでる。
また、プラスチック系材料116は、形状が不揃いで、大きさもばらつく。大きなプラスチック系材料116は、小さなプラスチック系材料116よりも反応時間が延びる。
以上の通りに、比較例では、ガス化に伴う生産性に問題が残る。
【0093】
[実施例におけるガス化の検討]
次に、低温ガス化炉71へ、図6(e)に示すプラスチック系材料41を投入した。
図6(f)に示すように、プラスチック系材料41は、構造が粗である。点状の発泡スチレン17により、ポリエステル繊維の古布13と、隣のポリエステル繊維の古布13と間に、十分な大きさの隙間aがある。加えて、点状の発泡スチレン17と、隣の点状の発泡スチレン17との間に、十分に大きな未接着領域bが存在する。
【0094】
低温ガス炉(図7、符号71)において、プラスチック系材料41へ周囲のガスが進入し通過するため、プラスチック系材料41は短時間で高温になる。加えて、プラスチック系材料41がガスに接触する表面積(外表面積+内表面積)が格別に大きいため、ポリエステル繊維の古布13の化学反応が促進される。
以上により、実施例では、ガス化に伴う生産性が良好となる。
【0095】
次に、本発明に係る変更例を、図8に基づいて説明する。
図8に示すように、プラスチック系材料の製造設備10は、設備としては図1に示すプラスチック系材料の製造設備10と同じ構成であるため、図1の符号を流用し、設備の詳細な説明は省略する。
【0096】
図8に示すプラスチック系材料の製造設備10では、受入コンベア12へポリエステル繊維の古布13を投入する。そして、低融点プラスチック14は、押出成形機40に直接投入する。
【0097】
低融点プラスチック14が、ホッパ49の下部開口の寸法より小さければ、この変更例が採用できる。
または、低融点プラスチック14が発泡スチレン17であれば、95%が気泡であり、簡単に砕けるため、事前に破砕せずに、直接押出成形機40へ投入することができる。
よって、低融点プラスチック14は、受入コンベア12に載せることを原則とするが、押出成形機40へ直接投入することは差し支えない。
【0098】
[ポリエステル繊維の古布と低融点プラスチックとの比率の検討]
図6(f)において、低融点プラスチックとしての発泡スチレン17の比率が30質量%を超えると、未接着領域bが小さくなり、ガスの通過が妨げられる。
また、発泡スチレン17の比率が10質量%未満となると、隙間aの確保が難しくなると共に接着力が不足する。
ポリエステル繊維の古布と低融点プラスチックの比率は、ポリエステル繊維の古布の割合を70~90質量%とし、低融点プラスチックの割合を10~30質量%とすることが好ましい。
【0099】
さらには、ポリエステル繊維の古布と低融点プラスチックの比率は、ポリエステル繊維の古布の割合を75~85質量%とし、低融点プラスチックの割合を15~25質量%とすることがより好ましい。
さらには、ポリエステル繊維の古布と低融点プラスチックの比率は、ポリエステル繊維の古布の割合を80質量%とし、低融点プラスチックの割合を20質量%とすることがなお好ましい。
【0100】
尚、図1で説明した受入コンベア12は、水平コンベアの他、傾斜コンベアやスクリューコンベアでもよい。一軸破砕機20は、二軸破砕機でもよいが、破砕片の大きさがスクリューの交換で好みの大きさの破砕片が得られる点で一軸破砕機が好適である。
風力選別機30は、軽い廃プラスチック片と重い金属が分離できればよく、重力選別機や遠心式選別機であってもよい。
要は、図6(e)、(f)に示す本発明のプラスチック系材料41が得られればよく、プラスチック系材料の製造設備10の構成及び構成機器の形式は、適宜変更することは差し支えない。
【0101】
また、本発明のプラスチック系材料は、ガス化炉へ投入する他、サーマルリサイクル用固形燃料に転用することもでき、用途をケミカルリサイクル外へ拡大することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、ケミカルリサイクル用のガス化炉へ供給されるプラスチック系材料に好適である。
【符号の説明】
【0103】
10…プラスチック系材料の製造設備、13…ポリエステル繊維の古布、14…低融点プラスチック、18…棒状体、20…破砕機(一軸破砕機)、40…押出成形機、41…プラスチック系材料、51…ダイプレート、63…ダイ穴、64…カッター、71…ガス化炉(低温ガス化炉)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9