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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001738
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】冷却塔
(51)【国際特許分類】
   F28C 1/06 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
F28C1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101376
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000229047
【氏名又は名称】日本スピンドル製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 耀大
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、冷却塔の充填材の配置により生じる、冷却塔内のいわゆるデッドスペースを低減するためになされたものであって、デッドスペースをできる限り小さくすることで、冷却塔の小型化を維持しつつ、充填剤の大きさや形状における設計上の自由度の向上を図れる冷却塔を提供することを目的とする。
【解決手段】上記課題を解決するために、液体を冷却する冷却塔であって、前記冷却塔の充填材はカウンターフロー用充填材を上に、クロスフロー用充填材がその下に隙間なく重ねて設けられていることを特徴とする冷却塔を提供する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を冷却する冷却塔であって、
前記冷却塔の充填材はカウンターフロー用充填材を上に、クロスフロー用充填材がその下に隙間なく重ねて設けられている、
ことを特徴とする冷却塔。
【請求項2】
前記充填材はカウンターフロー用充填材を上に、クロスフロー用充填材がその下に重ねて設けられ、前記ウンターフロー用充填材と前記クロスフロー用充填材の間に、通気性部材が挟み込まれている、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷却塔。
【請求項3】
前記通気性部材が、カウンターフロー用充填剤としての構造、又は、クロスフロー用充填材としての構造を有すること、
を特徴とする請求項2に記載の冷却塔。
【請求項4】
前記クロスフロー用充填材が2つに分割され、前記塔体内の両側部に相互に対向し、かつ対向面側に空間を形成するように設けられた、
ことを特徴とする請求項1~3に記載の冷却塔。





【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水と空気を接触させて、水の気化により蒸発熱が奪われることを利用して水を冷却する、冷却塔に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却塔は、空気流中に冷却水を落下させ空気と接触した水の一部が蒸発することにより水温を下げる。冷却対象である処理水は、冷却塔内の充填材の表面を流下しながら、排気ファンにより塔内に誘引される外気と直接接触する。処理水は充填材の表面を伝い流れている時に外気と接触する。充填材により処理水は外気と効率よく接触し、処理水の一部を蒸発させ、残りの処理水の温度を下げる。
このような冷却塔には、充填材の表面を鉛直方向に流下する処理水と吸引される外気の流れ方向により、カウンターフロー型とクロスフロー型がある。
【0003】
カウンターフロー型の冷却塔は、充填剤を構成する部材の表面を処理水が上から下へ流下する間に、処理水の流下方向とは対向する方向に流れる外気により冷却される。
クロスフロー型の冷却塔では、充填剤を構成する部材の表面を処理水が上から下へ流下する点はカウンターフロー型冷却塔とは同様であるが、処理水の流下方向とは直交する方向に流れる外気により冷却される。
【0004】
特許文献2に記載の冷却塔では、冷却塔の塔体内の両側部にカウンターフロー用充填材を配設し、その外側面に対向する塔体に空気吸込口を形成するとともに、送風ファンの下方空間にクロスフロー用充填材を設ける冷却塔が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-311690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カウンターフロー型冷却塔は、図5に示すように、塔体下部の充填材下端と吸気口ルーバーに囲まれた部分は、外気を取り入れる空間となり、いわゆるデッドスペースとなる。冷却能力向上のため、水と空気の接触時間、又は接触面積を大きくする場合は、充填材を高さ方向、または幅方向に伸ばすことになる。このため、前者の場合は冷却塔が高くなり、後者の場合は冷却塔の設置面積が大きくなるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、カウンターフロー型冷却塔におけるデッドスペースを活用することで、冷却塔の小型化を維持しつつ、充填材の大きさや形状における設計上の自由度の向上を図れる冷却塔を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用している。すなわち、本発明の一態様に係る発明は、液体を冷却する冷却塔であって、前記冷却塔の充填材はカウンターフロー用充填材を上に、クロスフロー用充填材がその下に隙間なく重ねて設けられていることを特徴とする冷却塔である。
【0009】
本態様によれば、クロスフロー型充填材下部のスペースに、カウンターフロー型充填材が隙間を設けることなく重ねて設けられている。これにより、冷却塔の塔内のデッドスペースを最小限とすることができる。
【0010】
上記態様の冷却塔においては、前記充填材はカウンターフロー用充填材を上に、クロスフロー用充填材がその下に重ねて設けられ、前記カウンターフロー用充填材と前記クロスフロー用充填材の間に、通気性部材が挟み込まれていてもよい。
これにより、カウンターフロー用充填材とクロスフロー用充填材を積層する場合において、充填材の支持構造によっては隙間が生じる場合がある。この隙間を、充填材と同様に処理水との熱交換が可能なシート状その他多孔質で通気性を有する部材で構成された通気性のある、通気性部材を挿入することで、この隙間においても処理水の冷却が期待できる。
【0011】
上記態様の冷却塔においては、前記通気性部材が、鉛直方向又は水平方向のどちらかに通気可能であってもよい。すなわち、カウンターフロー用充填材とクロスフロー用充填材を積層する場合の隙間を、処理水の冷却が期待できる通気性部材は、カウンターフローで通気させるものであっても、クロスフローで通気させるものであってもよい。
これにより、充填材の支持構造により生じる隙間において、カウンターフローによる冷却効果、又はクロスフローによる冷却効果のどちらかを選択できる。
【0012】
上記態様の冷却塔においては、前記クロスフロー用充填材が2つに分割され、前記塔体内の両側部に相互に対向し、かつ対向面側に空間を形成するように設けられた、ことを特徴とする冷却塔であってもよい。
これにより、カウンターフロー用充填材の下部で、塔体内の両側部で対向して設けられているクロスフロー用充填材の間に、圧力損失のない空間を設けることができる。この空間により、排気ファンの能力、冷却に必要な充填材の比表面積、充填材による圧力損失等の設計事項のバランスを調整することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カウンターフロー型冷却塔又はクロスフロー型冷却塔の、内部構造に起因して生じるデッドスペースを最小限とすることで、冷却塔の小型化を維持しつつ、充填材の設計及び配置の自由度を高め、冷却能力の向上を図れる冷却塔を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第一の実施態様の冷却塔の構造を示す概略説明図である。
図2】本発明の第二又は第三の実施態様の冷却塔の構造を示す概略説明図である。
図3】本発明の第四の実施態様の冷却塔の構造を示す概略説明図である。
図4】本発明の第四の実施態様の変形例の冷却塔の構造を示す概略説明図である。
図5】カウンターフロー型冷却塔の構造を示す概略説明図である。
図6】クロスフロー型冷却塔の構造を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る冷却塔及び充填材の実施態様を詳細に説明する。
なお、実施態様に記載する冷却塔については、本発明に係る冷却塔を説明するために例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。
【0016】
本明細書において、処理水とは冷却塔において冷却対象となる水であり、冷却塔外から受け入れた水を、冷却塔内で冷却した後、再び冷却塔外へ冷却水として循環させる水をいう。また、排気ファンとは、塔内の空気を誘引することにより、塔体に設けられた吸気口から外気を取り入れつつ塔内の空気を塔外へ排気するという空気の流れをつくり出す送風機である。
【0017】
冷却塔の主な用途は、液体を冷却するための装置であれば、特に制限されないが、例えば、空調用の冷却水の冷却や、生産プロセス用の潤滑油や炉体の冷却水の冷却などが挙げられる。
【0018】
〔第一の実施態様〕
以下に、第一の実施態様に係る冷却塔10Aについて、図1を参照しながら説明する。
図1は本発明の第一の実施態様の冷却塔の構造を示す概略説明図である。冷却塔は、処理水を空気と接触させることにより、処理水の一部が蒸発し、その気化熱により処理水自体を冷却するための装置である。第一の実施態様の冷却塔10Aで、処理水はカウンターフロー用充填材21を経てクロスフロー用充填材22へと流下し、水槽14まで到達する。冷却塔の側面に設けられた給気口16a、16bから流入した外気は、クロスフロー用充填材22を横切るように塔内へ吸引される。その後外気は排気ファン15の方向へと流れの方向を変え、カウンターフロー用充填材21を通過して、排気口12から排気される。
【0019】
図1に示すように、冷却塔10Aは、塔体11と、排気口12と、水槽14と、を備える。塔体11の内部には、排気ファン15と、給水管31と、カウンターフロー用充填材21と、クロスフロー用充填材22とを備える。カウンターフロー用充填材21と、クロスフロー用充填材22との間には隙間を設けない。塔体11の側面には、外気を取り入れるための吸気口16a、16bが設けられている。
給水管31は、外部から供給される処理水を塔内に導入するための配管である。給水管31の塔内部分には散水装置13が複数、所定の間隔で設けられている。散水装置13から処理水が塔内へと落下する。
【0020】
塔体11は冷却塔のケーシングである。ケーシングとしての形状は、矩形、丸形、又は多角形等である。排気口12は、塔内に取り込まれた外気を冷却塔外へ排出する開口部である。排気口12の下方には排気ファン15を備える。排気ファン15の下方に、処理水を10Aに供給する給水管31が配置される。給水管31の下方に、カウンターフロー用充填材が設けられている。カウンターフロー用の充填材21の下方には、隙間を置かずにクロスフロー用の充填材22が設けられている。クロスフロー用の充填材22の下部には、処理水を受ける水槽14が設けられている。
【0021】
冷却塔10Aの塔内において、カウンターフロー用充填材21とクロスフロー用充填材が、隙間を設けることなく積層支持されている。
クロスフロー用充填材21及びカウンターフロー用充填材22は、それぞれの下部から型鋼で形成された構造材で支持されていてもよいし、上部から型鋼や丸鋼のロッドのような構造材により吊り下げられて支持される構造であってもよい。
【0022】
処理水は給水管31を通じて、冷却塔10A内に導入され、複数個の散水装置13から塔内へ散水される。塔内へ散水された処理水は、カウンターフロー型充填材21の上に落下する。カウンターフロー型充填材21を通過した処理水は、カウンターフロー型充填材21の下方に設けられたクロスフロー用の充填材22を通過し、水槽14へと到達する。水槽14には冷却後の処理水を、冷却水を必要とする箇所へと配水する出口となる排水管32が設けられている。排出された処理水は、ビルの空調や冷暖房設備等の冷却水として循環利用される。
【0023】
冷却塔10Aの塔体の、対向する2つの側面に外気を導入するための給気口16a、16bが設けられている。排気口12の下方に設けられた排気ファン15を用いて冷却塔10Aの内部の空気を、排気口12から排気することにより、給気口16a、16bから冷却塔10Aの内部に外気が導入される。導入された外気は、クロスフロー用充填材22を経てカウンターフロー用の充填材21を通過しながら、クロスフロー用充填材22、カウンターフロー用の充填材21を構成する複数枚のシート状の部材の表面を流れる処理水と熱交換を行い、処理水を冷却する。
【0024】
なお、給気口16a、16bには、ルーバー17a、17bが設置されている。ルーバー17a、17bは、導入される外気の流れ方向を整え、クロスフロー用充填材22、の表面に均等に外気を通過させることができる。また、ルーバー17a、17bにより、外部からの異物の侵入を防止することができる。
【0025】
排気口12は、処理水と接触することで蒸発した処理水の一部を蒸気として含む外気を冷却塔外へ排出する開口部である。カウンターフロー用充填材21と排気口12の間には、空気中に含まれる水滴を除去することが可能なエリミネータを設置してもよい。エリミネータを設置することにより、クロスフロー用充填材22、カウンターフロー用の充填材21を通過した空気に含まれる処理水の一部を回収し、排気口12から排気流に随伴する処理水が流出することを防止することができる。
【0026】
(充填材)
カウンターフロー用充填材21、クロスフロー用充填材22は、図示されていない複数枚のシート状部材により構成されている。シート状部材は、ハニカム板や波形プラスティックなどのように、表面に凹凸がある構造を有し、充填材の体積に対するシート状部材の表面積の比である比表面積を大きくしている。シート状部材の表面にこのような凹凸を有することにより、処理水と空気の接触面積を大きくすることで冷却効率を高めることができるので、この比表面積の値は冷却塔の冷却能力の指標ともなる。
【0027】
カウンターフロー用充填材21、クロスフロー用充填材22の形状は、処理水と外気の接触の効率を向上するという観点から、通常はシート状であるが、角柱状などでもよい。カウンターフロー用充填材21、クロスフロー用充填材22の材質は、一般的に硬質ポリ塩化ビニルに代表される合成樹脂や、金属を原料として種々の形状に成形される。
カウンターフロー用充填材21及びクロスフロー用充填材22は、全体として一体的に形成されていてもよいし、複数個の単位充填材を、水平方向又は縦方向に配置して形成されていてもよい。
【0028】
(排気ファン)
排気ファン15は、冷却塔10Aの内部に空気の流れを形成するための構成である。排気ファン15を駆動すると、排気口12ら冷却塔10Aの内部の空気が排気され、それにより、給気口16a、16bから外気が流入する。流入した外気は、クロスフロー用充填材22を経てカウンターフロー用充填材21を通過して排気口12へと流れる。
【0029】
排気ファン15を駆動するための駆動部は、例えば、モーターなどが挙げられる。駆動部は、排気ファン15を駆動するものであれば特に制限されないが、例えば、インバーターなどにより排気量を一定に保つための出力制御を行うことが好ましい。排気量を定量制御することにより、処理水を安定的に冷却することができる。
【0030】
〔第二の実施態様〕
以下に、第二の実施態様に係る冷却塔10Bについて図2を参照しながら説明する。図2は、本発明の第二又は第三の実施態様の冷却塔の構造を示す概略説明図である。
第二の実施態様の冷却塔10Bの充填材は、カウンターフロー用充填材21とクロスフロー用充填材22の間に通気性部材23を挿入して設けている。
その他の構成は、第一の実施態様の冷却塔10Aと同様であるため、説明は省略する。
【0031】
冷却塔10Bの塔内11にカウンターフロー用充填材21、クロスフロー用充填材22を積層して配置するとき、カウンターフロー用充填材21、及び、クロスフロー用充填材22の支持構造、塔体11内部のスペース、高さ方向の寸法と、充填材のサイズとの関係等設計上の事情から、隙間が生じる場合がある。この隙間にも通気性があり、処理水と外気が接触でき、熱交換が可能な通気性部材23を挿入して設ける構造である。
【0032】
このような隙間が生じる場合でも、充填材と同様に処理水との熱交換が可能なシート状その他多孔質で通気性を有する部材で構成された通気性部材を挿入することにより、この通気性部材23を処理水が通過する際においても、一定程度の処理水の冷が期待できる。
据え付け面積や高さの制限、周囲の空間の状況による吸気口の配置や寸法等、冷却塔が配置される場所により、冷却塔の外形や内部の構造に設計上の制約が生じる場合がある。このような場合にも通気性部材23の寸法を調整することにより、カウンターフロー用充填材21、及び、クロスフロー用充填材22の配置の自由度を高めつつ、デッドスペースを最小限とする効果がある。
【0033】
〔第三の実施態様〕
第三の実施態様に係る冷却塔の形状は、図2に示された冷却塔10Bと同様である。
第三の実施態様の冷却塔10Bの通気性部材23は、カウンターフロー用充填材としての構造であってもよいし、クロスフロー用充填材としての構造であってもよい。
その他の構成は、第二の実施態様の冷却塔10Bと同様である。
通気性部材23は、設計上の観点から、カウンターフローによる冷却効果を付与するか、クロスフローによる冷却効果を付与するかを、選択できる。
通気性部材23をカウンターフロー用充填材とする場合は上部に配置されたカウンターフロー用充填材21を高さ方向に追加した状態となるため、水と空気の接触時間が延長され、クロスフロー用充填材とする場合よりも効果的に冷却能力を向上できる。また、クロスフロー用充填材とする場合は上部に配置されたカウンターフロー用充填材21へ流入する空気の均一性を向上させることができる。
【0034】
〔第四の実施態様〕
以下に、第四の実施態様に係る冷却塔10Cについて図3を参照しながら説明する。図3は、本発明の第四の実施態様の冷却塔の構造を示す概略説明図である。
第四の実施態様の冷却塔10Cでは、カウンターフロー用充填材21の下方に、クロスフロー用充填材22a、22bが、塔体11の両側壁に設けられている。クロスフロー用充填材22a、22bの間にはスペースが形成されている。
その他の構成は、第一の実施態様の冷却塔10Aと同様であるため、説明は省略する。
【0035】
カウンターフロー型冷却塔においては、カウンターフロー用充填材の端部ほど空気の流入量が多く、中央部ほど空気の流入量が少なくなる。カウンターフロー用充填材の下部にクロスフロー用充填材を配置することにより、中央部ほど空気の流入量が少なくなる偏流現象はより顕著になる。クロスフロー用充填材の中央部に、圧力損失のない空間を設けることにより、空気の偏流を緩和することにより、カウンターフロー用充填材へ流入する空気を均一化する効果がある。
【0036】
〔その他の実施態様〕
以下に、第四の実施態様の変形例に係る冷却塔10Dについて図4を参照しながら説明する。図4は、本発明の第四の実施態様の変形例の冷却塔の構造を示す概略説明図である。
第四の実施態様の冷却塔10Dでは、カウンターフロー用充填材21の下方に、クロスフロー用充填材22a、22bが、塔体11の両側壁に設けられている。クロスフロー用充填材22a、22bの間にはスペースが形成されており、このスペースは略二等辺三角形状である。
その他の構成は、第一の実施態様の冷却塔10Aと同様であるため、説明は省略する。
【0037】
外気が吸気口16a、16bを通って塔内へ水平に流入し、クロスフロー用充填材22a、22bを通過しながら次第に上方向へと流れる空気の流線を考える。例えば、吸気口16aの上部から流入した空気は、クロスフロー用充填材22aの上部を通過した後、上部のカウンターフロー用充填材21へと流入する。一方、吸気口16aの下部から流入した空気は、クロスフロー用充填材22aの下部を通過しながら上方へと流れ方向を変えるが、上部のカウンターフロー用充填材21へと流入する前に、吸気口16aの上部から流入した空気に比べ、クロスフロー用充填材22aを長い距離で通過するため、圧力損失が大きくなる。
外気流が塔内を流れる際の圧力損失が小さくなる部分であるスペースが、略二等辺三角形状であることにより、吸気口16aの上部から流入した空気と、吸気口16aの下部から流入した空気の圧力損失の偏りを緩和する効果がある。
また、このことにより、カウンターフロー用充填材へ流入する空気を均一化する効果がある。
さらに、当該略二等辺三角形の部分は、充填材による熱交換を期待できない部分でもあることから、当該略二等辺三角形の部分に充填材を設置しないことによる、充填材の量を削減できる効果もある。
外気が給気口16a、16bを通って塔内へ水平に流入し、クロスフロー用充填材22a、22bを通過しながら次第に上方向へと流れる空気の流線を考える。例えば、吸気口16aの上部から流入した空気は、クロスフロー用充填材22aの上部を通過した後、上部のカウンターフロー用充填材21へと流入する。一方、吸気口16aの下部から流入した空気は、クロスフロー用充填材22aの下部を通過しながら上方へと流れ方向が変化する。このため、前記略二等辺三角形状のスペースには空気が流れにくく、充填材があっても気液接触による熱交換を期待できない。したがって、当該略二等辺三角形の部分に充填材を設置しないことで、冷却能力に寄与しない充填材の量を削減できる。
一方で、当該略二等辺三角形状のスペースがあることで冷却塔全体での圧力損失を低減できる。したがって、空気の流入量が増加し、カウンターフロー用充填材に流入する空気を均一化できる効果もある。
【符号の説明】
【0038】
10A、10B、10C、10D、10E…冷却塔、11…塔体、12…排気口、13…散水装置、14…水槽、15…排気ファン、16a、16b…給気口、17a、17b…ルーバー、21…カウンターフロー用充填材、22、22a、22b…クロスフロー用充填材、23…通気性部材、31…給水管、32…排水管

図1
図2
図3
図4
図5
図6