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  • 特開-縦軸回転扉およびその取り付け方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017393
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】縦軸回転扉およびその取り付け方法
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/02 20060101AFI20250130BHJP
   E06B 3/90 20060101ALI20250130BHJP
   E06B 3/40 20060101ALI20250130BHJP
   E05F 15/608 20150101ALI20250130BHJP
【FI】
E05D15/02
E06B3/90
E06B3/40
E05F15/608
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120373
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】594107181
【氏名又は名称】三和鋼業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143362
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 謙二
(72)【発明者】
【氏名】板垣 眞輝恵
(72)【発明者】
【氏名】若松 和憲
【テーマコード(参考)】
2E014
2E015
2E052
【Fターム(参考)】
2E014AA02
2E014EB07
2E015GA02
2E015HA00
2E052AA02
2E052CA06
2E052DA07
2E052DB07
2E052EA05
2E052EB01
2E052EC01
(57)【要約】
【課題】建物の開口部に設置される大型の縦軸回転扉およびその取り付け方法を提供する。
【解決手段】この縦軸回転扉1は、扉本体10を、開口部2の下側に固定する下部軸受17を取り付ける下部枠12と、開口部2の上側に固定する上部軸受16を取り付ける上部枠11と、下部枠12と上部枠11の左右両端同士をそれぞれ連結する左右縦枠13,14と、下部枠12の中央と上部枠11の中央を連結する中柱15とで構成するとともに、上部軸受16と上部枠11とは、取り外し可能な上部回転防止ファスナー164を介して取り付けるようになっており、扉本体10の開口部2への取り付け後に、上部回転防止ファスナー164を撤去するようになっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に取り付けられる縦軸回転扉であって、
扉本体を、前記開口部の下側に固定する下部軸受を取り付ける下部枠と、前記開口部の上側に固定する上部軸受を取り付ける上部枠と、前記下部枠と前記上部枠の左右両端同士をそれぞれ連結する縦枠とで構成するとともに、前記上部軸受と前記上部枠とは、取り外し可能な上部回転防止ファスナーを介して取り付けることを特徴とする縦軸回転扉。
【請求項2】
前記扉本体は、前記下部枠の中央と前記上部枠の中央とを連結する中柱をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の縦軸回転扉。
【請求項3】
前記下部枠と前記上部枠とは、平面視で前記中柱を中心として左右に開くV字状に形成することを特徴とする請求項2記載の縦軸回転扉。
【請求項4】
前記扉本体を縦軸回転させるアクチュエータを備えることを特徴とする請求項1または2記載の縦軸回転扉。
【請求項5】
前記扉本体の各枠内に、ガラス板を嵌め込むことを特徴とする請求項1または2記載の縦軸回転扉。
【請求項6】
建物の開口部への縦軸回転扉の取り付け方法であって、
下部軸受を前記開口部の下側に固定するとともに、該下部軸受を下部枠に取り付ける第一の行程と、
上部軸受を前記開口部の上側に固定するとともに、該上部軸受を上部回転防止ファスナー付の上部枠に取り付ける第二の工程と、
前記下部枠と前記上部枠の左右両端同士をそれぞれ縦枠で連結する第三の工程と、
前記上部軸受と前記上部枠から前記上部回転防止ファスナーを撤去する第四の工程と、
を有することを特徴とする縦軸回転扉の取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の開口部に設置される大型の縦軸回転扉およびその取り付け方法に関するものである。ここにいう縦軸回転扉とは、例えば縦軸回りに回動可能な枠体内にガラス板を嵌め込んだものである。
【背景技術】
【0002】
従来、大型の縦軸回転扉は工場で生産されたものがそのまま現場に搬送され、現場の建物の開口部に取り付けられていた。その場合、開口部の天井面までに十分な懐(空間)があって、その懐内まで一旦縦軸回転扉を持ち上げて、下方の軸受を開口部の床面に形成された凹部に嵌め込んだのち、縦軸回転扉を所定高さにまで降ろすことにより、上方の軸受を支持するようにしていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、建物の開口部の上方に十分な懐がない場合には、上記の工法では縦軸回転扉の扉本体を若干傾けて取り付けることになる。その場合、扉本体の取り付け中に予期せぬ回転を起こすおそれがあったため、扉本体の設置が容易ではなかった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みたものであり、その目的とするところは、建物の開口部の上方に十分な懐がない場合でも容易に設置できる縦軸回転扉およびその取り付け方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明(第一の発明)は、建物の開口部に取り付けられる縦軸回転扉であって、扉本体を、前記開口部の下側に固定する下部軸受を取り付ける下部枠と、前記開口部の上側に固定する上部軸受を取り付ける上部枠と、前記下部枠と前記上部枠の左右両端同士をそれぞれ連結する縦枠とで構成するとともに、前記上部軸受と前記上部枠とは、取り外し可能な上部回転防止ファスナーを介して取り付けることを特徴とするものである。
【0006】
第一の発明によれば、扉本体を、前記開口部の下側に固定する下部軸受を取り付ける下部枠と、前記開口部の上側に固定する上部軸受を取り付ける上部枠と、前記下部枠と前記上部枠の左右両端同士をそれぞれ連結する縦枠とで構成するとともに、前記上部軸受と前記上部枠とは、取り外し可能な上部回転防止ファスナーを介して取り付けるので、扉本体の取り付け中に予期せぬ回転を起こすことがなく取り付けが容易にできる。ここで、下部にファスナーを設けない理由は、下部の場合は楔などほかの補助材で固定する方法が考えられるからである。上部は固定するスペースや補助材自体も宙に浮いてしまうためファスナーで固定することとした。その結果、建物の開口部の上方に十分な懐がない場合でも、扉本体を容易に設置できるようになった。
【0007】
請求項2記載の発明のように、前記扉本体は、前記下部枠の中央と前記上部枠の中央とを連結する中柱をさらに備えることが好ましい。
【0008】
請求項2記載の発明によれば、前記扉本体は、前記下部枠の中央と前記上部枠の中央とを連結する中柱をさらに備えるので、扉本体の強度を確保しやすい。
【0009】
請求項3記載の発明のように、前記下部枠と前記上部枠とは、平面視で前記中柱を中心として左右に開くV字状に形成することが好ましい。
【0010】
請求項3記載の発明によれば、前記下部枠と前記上部枠とは、平面視で前記中柱を中心として左右に開くV字状に形成するので、建物の隅に開口部がある場合であっても、扉本体をその開口部の形状に沿ったものとすることができる。
【0011】
請求項4記載の発明のように、前記扉本体を前記中柱まわりに回動させるアクチュエータを備えることが好ましい。
【0012】
請求項4記載の発明によれば、前記扉本体を前記中柱まわりに回動させるアクチュエータを備えるので、扉本体の開閉を容易に行うことができる。
【0013】
請求項5記載の発明のように、前記扉本体の各枠内にガラス板を嵌め込むことが好ましい。
【0014】
請求項5記載の発明によれば、前記扉本体の各枠内にガラス板を嵌め込むので、室外の見晴らしがよくなる。
【0015】
本発明(第二の発明)は、建物の開口部への縦軸回転扉の取り付け方法であって、下部軸受を前記開口部の下側に固定するとともに、該下部軸受を下部枠に取り付ける第一の行程と、上部軸受を前記開口部の上側に固定するとともに、該上部軸受を上部回転防止ファスナー付の上部枠に取り付ける第二の工程と、前記下部枠と前記上部枠の左右両端同士をそれぞれ縦枠で連結する第三の工程と、前記上部軸受と前記上部枠から前記上部回転防止ファスナーを撤去する第四の工程と、を有することを特徴とするものである。
【0016】
第二の発明によれば、下部軸受を前記開口部の下側に固定するとともに、該下部軸受を下部枠に取り付ける第一の行程と、上部軸受を前記開口部の上側に固定するとともに、該上部軸受を上部回転防止ファスナー付の上部枠に取り付ける第二の工程と、前記下部枠と前記上部枠の左右両端同士をそれぞれ縦枠で連結する第三の工程と、前記上部軸受と前記上部枠から前記上部回転防止ファスナーを撤去する第四の工程と、を有するので、上記第一の発明と同様の作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0017】
第一の発明によれば、扉本体を、前記開口部の下側に固定する下部軸受を取り付ける下部枠と、前記開口部の上側に固定する上部軸受を取り付ける上部枠と、前記下部枠と前記上部枠の左右両端同士をそれぞれ連結する縦枠とで構成するとともに、前記上部軸受と前記上部枠とは、取り外し可能な上部回転防止ファスナーを介して取り付けるので、扉本体の取り付け中に予期せぬ回転を起こすことがなく取り付けが容易にできる。ここで、下部にファスナーを設けない理由は、下部の場合は楔などほかの補助材で固定する方法が考えられるからである。上部は固定するスペースや補助材自体も宙に浮いてしまうためファスナーで固定することとした。その結果、建物の開口部の上方に十分な懐がない場合でも、扉本体を容易に設置できるようになった。
【0018】
第二の発明によれば、下部軸受を前記開口部の下側に固定するとともに、該下部軸受を下部枠に取り付ける第一の行程と、上部軸受を前記開口部の上側に固定するとともに、該上部軸受を上部回転防止ファスナー付の上部枠に取り付ける第二の工程と、前記下部枠と前記上部枠の左右両端同士をそれぞれ縦枠で連結する第三の工程と、前記上部軸受と前記上部枠から前記上部回転防止ファスナーを撤去する第四の工程と、を有するので、上記第一の発明と同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る縦軸回転扉の全体構成を示す正面図である。
図2】本縦軸回転扉の上下部枠と上下部軸受の取り付け状態を示す正面図である。
図3】本縦軸回転扉の左右縦枠と中柱の取り付け状態を示す正面図である・
図4】本縦軸回転扉の電動シリンダの取り付け状態を示す平面図である。
図5】上部回転防止ファスナーの分解斜視図である。
図6】本縦軸回転扉の取り付け手順を示すフローチャートである。
図7】本発明の変形例に係る縦軸回転扉の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明の一実施形態に係る縦軸回転扉1の全体構成を示す正面図、図2は本縦軸回転扉1の上下部枠11,12と上下部軸受16,17の取り付け状態を示す正面図、図3は本縦軸回転扉1の左右縦枠13,14と中柱15の取り付け状態を示す正面図、図4は本縦軸回転扉1の電動シリンダ18の取り付け状態を示す平面図、図5は上部回転防止ファスナー164の分解斜視図である。
【0021】
ここで、図1図3図5中の紙面に直交する方向を前後方向、紙面に向かって上下、左右となる方向を、それぞれ上下方向、左右方向といい、図4図7(後述)中の紙面に直交する方向を上下方向、紙面に向かって上下左右となる方向を、それぞれ前後方向、左右方向という。以下、各要素は各図中の前後・上下・左右を用いて呼ぶものとし、複数の同一要素がある場合は、その1つで代表させて説明することがある。
【0022】
図1図4に示すように、本実施形態に係る縦軸回転扉1は、図示しない建物の開口部2に取り付けられる大型のものであって、前後方向の寸法が上下左右方向の寸法よりもきわめて小さく、かつ上下方向の寸法が左右方向の寸法よりも大きい、鋼製の扉本体10と、扉本体10を中柱15まわりに回動させるための電動シリンダ(アクチュエータに相当する。)18と、扉本体10の各枠内に嵌め込まれたガラス板19とからなっている。
【0023】
扉本体10は、主にI型鋼、等辺山形鋼、C型鋼などからなり、あらかじめ錆止め塗装まで施した上部枠11、下部枠12、左縦枠13、右縦枠14および中柱15を備えており、上部枠11に取り付けられた上部軸受16と、下部枠12に取り付けられた下部軸受17とを図示しない建物の開口部2の上下建築部材211,222にそれぞれ固定することにより、中柱15を中心として回動可能となっている。
【0024】
上部枠11は、平面視で左右に緩やかに開くV字状をなしており、その中央から上方に突出させた回転軸111が上部軸受16で回転自在に支持されるようになっている。上部軸受16の上軸枠161内には、図示しないベアリングユニットが内装されている。
【0025】
上軸枠161の形状は上部枠11に沿ったものであり、その上面には取り付け部材162が左右対称に設けられている。取り付け部材162が、開口部2の天井面21から垂設された建築部材211に現場ファスナー163で取り付け可能となっている。上軸枠161の下面は上部枠11から若干浮かせた状態となっている。このため、現場での取付工事中に上部枠11が勝手に回転しないように、上軸枠161が上部枠11の上面に上部回転防止ファスナー164で仮固定されるようになっている。
【0026】
上部回転防止ファスナー164は、図5に示すように、一辺側と他辺側とが直交する等辺山形鋼を上部枠11の前後方向の幅寸法(上軸枠161の前後方向の幅寸法に等しい。)の長さにカットして製作され、上部枠11の上面に穿設されたねじ穴H2に対向させて一辺側にねじ穴H1を穿設するとともに、上軸枠161の側面に穿設されたねじ穴H4に対向させて他辺側にもねじ穴H3を穿設している。そして、ねじ穴H1,H2を重ねた状態で、上部枠11の上方からボルトB1を挿通して螺合するとともに、ねじ穴H3,H4を重ねた状態で、上軸枠161の側方からボルトB2を挿通して螺合することで前述の仮固定がなされるようになっている。
【0027】
そして、扉本体10の取り付け工事完了後に、ボルトB1,B2を取り外して、上部回転防止ファスナー164を撤去することにより、前述の仮固定が解除されるようになっている。
【0028】
下部枠12は、上部枠11と同様に、平面視で左右に緩やかに開くV字状をなしており、その中央から下方に突出させた回転軸121が下部軸受17で回転自在に支持されるようになっている。下部軸受17の下軸枠171には、図示しないベアリングユニットが内装されている。
【0029】
下軸枠171の下面は、開口部2の床面22に形成された凹部221に埋め込まれている建築部材222に取り付け可能となっている。建築部材222の埋め込み部分は省略している。そして、下軸枠171の上面が下部枠12の下面に取り付けられるが、その際に下部枠12が勝手に回転しないように、図示しない楔などの補助材で開口部2の床面22などに仮固定されている。この補助材も、扉本体10の取り付け工事完了後に取り外されるものである。
【0030】
図6は本縦軸回転扉1の現場での取り付け工事の手順を示すフローチャートである。以下、図1図6を参照して説明する。各図中での各種作業車や各種作業用小物などについては、説明の便宜上、特にことわらない場合であっても、図示を省略しているものがある。工場で製作された本縦軸回転扉1の扉本体10、電動シリンダ18,ガラス板19、その他のパーツなどは、現場に搬送されているものとする。
【0031】
本縦軸回転扉1の現場での取り付け工事手順としては、図6のステップS1では、下部軸受17の図示しないベースを、建物の開口部2の下面の凹部221に埋め込まれた建築部材222に溶接して固定するとともに、下部軸受17の回転軸121を下部枠12の中央下側にボルトで取り付ける(第一の行程に相当する)。このときに、図示しない楔などの補助材で下部枠12が勝手に回転しないように仮固定しておく。
【0032】
ステップS2では、図示しないチェーンブロックなどを用いて、上部軸受16を取り付けた上部枠11を開口部2の天井面21付近まで持ち上げる。このときに、上部回転防止ファスナー164で上部枠11が勝手に回転しないように仮固定しておく。上部枠11が下部枠12の真上でかつその下部枠12と平行に配置されており、上部軸受16の回転軸111と下部軸受17の回転軸121とが同軸となっていることを確認し、必要があれば位置修正をする。しかる後に、上部枠11を天井面21から垂設された建築部材211に溶接して固定する(第二の工程に相当する)。
【0033】
ステップS3~S5では、下部枠12の左端と上部枠11の左端とに左縦枠13を取り付けてから、下部枠12の右端と上部枠11の右端とに右縦枠14を取り付ける(第三の工程に相当する)。ついで、下部枠12の中央と上部枠11の中央とに中柱15を取り付ける。このとき、中柱15の上端が上部軸受16の回転軸111の軸心と一致し、中柱15の下端が下部軸受17の回転軸121の軸心と一致することを確認し、必要があれば位置修正をする。しかる後に、上部軸受16と上部枠11とから上部回転防止ファスナー164を撤去する(第四の工程に相当する)。
【0034】
ステップS6では、上部枠11の上方であって、例えば天井面21から垂設された別の建築部材に、電動シリンダ(アクチュエータに相当する。)18を取り付ける。電動シリンダ18のロッド181の先端と、上部軸受16の回転軸111の上端付近に取り付けられたレバー182の先端とをピンで回転自在に連結する。そうすることで、電動シリンダ18の伸縮動作により扉本体10がスムーズに縦軸回りに回動するように調整する。
【0035】
そして、所要の電気工事を行った後、図示しない扉開ボタンを押すことにより、電動シリンダ18のロッド181が徐々に伸長する。ロッド181の先端が、回転軸111に基部を嵌め込まれたレバー182の先端を押して回転軸111を回転させる。この回転軸111の回転により扉本体10を図4中のA方向に回動させる。扉全開位置に取り付けられた図示しないリミットスイッチが働き、電動シリンダ18の伸長を停止するまで扉本体10が開く。
【0036】
ついで、図示しない扉閉ボタンを押すことにより、電動シリンダ18のロッド181が徐々に縮小する。ロッド181の先端が、回転軸111に基部を嵌め込まれたレバー182の先端を引き戻し、回転軸111を上記と逆方向に回転させる。この回転軸111の回転による扉本体10を図4中のA方向と逆方向に回動させる。扉全閉位置に取り付けられた図示しないリミットスイッチが働き、電動シリンダ18の縮小を停止するまで扉本体10が閉じる。
【0037】
このように、本扉本体10を中柱15まわりに回動させる電動シリンダ18を備えることにより、扉本体10の開閉が容易にとなり、室内の換気を適宜行うことができるようになる。ここで、電気シリンダ18を採用したのは、油圧シリンダなどと比べて動作音が極めて小さいからであるが、場合によっては油圧シリンダなどを採用してもよい。
【0038】
ステップS7では、扉本体10の各枠内にガラス板19を嵌め込む。このとき、上部枠11の左端と下部枠12の左端とから、左縦枠13だけを一旦取り外す。そして、ガラス板19を二分割した半面を上部枠11の下側と下部枠12の上側と中柱15の左側とで区画される空間内に嵌め込んでから、左縦枠13を上部枠11の左端と下部枠12の左端に取り付けて復旧する。ついで、上部枠11の右端と下部枠12の右端とから、右縦枠14だけを一旦取り外す。そして、ガラス板19の残り半面を上部枠11の下側と下部枠12の上側と中柱15の右側とで区画される空間内に嵌め込んでから、右縦枠14を上部枠11の右端と下部枠12の右端に取り付けて復旧する。
【0039】
このようにして、本縦軸回転扉1は完成するが、扉本体10の各枠内に透明なガラス板19を嵌め込むことにより、室外の見晴らしがよくなる。万一のガラス板19の破損時の取り換えに際しては、左右縦枠13,14のいずれかを取り外して、新しいガラス板19を嵌め込んで復旧させればよい。なお、扉本体10の仕上げ塗装、ガラス板19の種類やシーリング施工方法などは説明を省略した。本縦軸回転扉1の仕様によっては、上記ステップS1~S7のうちの一部を省略し、あるいは、順序を入れ替えてもよい。
【0040】
以上説明したように、本縦軸回転扉1では、本扉本体10の下部枠12と上部枠11とは、平面視で中柱15を中心として左右に開くV字状に形成するので、建物の隅に開口部がある場合であっても、扉本体をその開口部の形状に沿ったものとすることができる。
【0041】
また、本縦軸回転扉1の取り付け作業中には、扉本体10の上部枠11と上部軸受16の上軸枠161との間に上部回転防止ファスナー164があるので、その取り付け中に予期せぬ回転を起こすことがなく扉本体10の取り付けが容易にできる。ここで、下部にファスナーを設けない理由は、下部の場合は楔などほかの補助材で固定する方法が考えられるからである。上部は固定するスペースや補助材自体も宙に浮いてしまうためファスナー固定することとした。その結果、建物の出入口の開口部2の上方に十分な懐がない場合でも扉本体10を容易に設置できるようになった。
【0042】
なお、上記実施形態では、縦軸回転扉1は平面視で開き角が大きいV字状をなしているが、直線状のシンプルな形状であってもよい。図7はそのような変形例に係る縦軸回転扉1の平面図である。また、扉本体10の左右幅の大きさにもよるが、図1図3図5図6において、中柱15を省略すれば、本変形例に係る縦軸回転扉1の説明図になる。その場合には、図7に示すように、直線状の上部枠11’と、上部枠11‘と同形状の下部枠12’(不図示)と、直方体状の上軸枠161’とするだけで、他の要素は上記実施形態のものと共用できる。
【0043】
さらに、扉本体10の左右幅が小さい場合には、ガラス板19を中央で二分割する中柱15を省略することもできる。図7では、そのような場合を想定しているが、扉本体10の左右幅が大きい場合には、扉本体10とガラス板19の強度確保のために、中柱15を残すことが好ましい。
【0044】
また、上記実施形態では、縦軸回転扉1が1基だけ設けられているが、複数基並べて設けることとしてもよい。その場合には、予備の部品を共用できて便利である。
【0045】
また、上記実施形態では、縦軸回転扉1は建物の開口部2として、例えば1階の出入口に取り付けられているが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、例えば2階以上のフロアや窓にも適用することもできる。
【0046】
また、上記実施形態では、上部回転防止ファスナー164は、等辺山形鋼を所定長さにカットして製作し、それを上部枠11の上面と上軸枠161の側面とにそれぞれボルトB1,B2で締結するように構成しているが、特に強度上の問題などがない限り、ボルトB1,B2の本数、サイズ、取り付け位置は任意である。さらに、上部回転防止ファスナー164は、他の鋼材や取り付け具などで構成してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 縦軸回転扉
10 扉本体
11、11’ 上部枠
111 回転軸(縦軸に相当する。)
12、12’ 下部枠
121 回転軸(縦軸に相当する。)
13 左縦枠
14 右縦枠
15 中柱(縦軸に相当する。)
16 上軸受
161、161’ 上軸枠
164 上部回転防止ファスナー
17 下軸受
171 下軸枠
18 電動シリンダ(アクチュエータに相当する。)
19 ガラス板
2 建物の開口部
21 天井面
22 床面
221 凹部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】
【特許文献1】特開平9-170379号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7