(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001744
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20241226BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
B60W30/06
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101385
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】519373914
【氏名又は名称】株式会社J-QuAD DYNAMICS
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂井 俊
(72)【発明者】
【氏名】奥田 泰生
(72)【発明者】
【氏名】李 賢
(72)【発明者】
【氏名】大石 将士
(72)【発明者】
【氏名】上撫 琢也
(72)【発明者】
【氏名】松永 尚也
(72)【発明者】
【氏名】猪飼 正樹
(72)【発明者】
【氏名】石井 綾
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA21
3D241BB03
3D241CC01
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3D241CC17
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3D241DA13Z
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3D241DB02B
3D241DD13Z
5H181AA01
5H181CC04
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5H181KK01
5H181KK07
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL17
(57)【要約】
【課題】適切に走行支援を制御できる技術を提供する。
【解決手段】カメラ122を有する車両10に搭載される車両制御装置110は、カメラが車両の周辺を撮像した画像である周辺画像を用いて、車両の走行予定車道と、車両の周囲の駐車場領域と、を認識する認識部111と、車両の進行方向と走行予定車道の延伸方向とが交差する角度である交差角度を算出する算出部112と、車両のアクセルペダルの操作が予め定められた第1条件を満たし、車両が駐車場領域内に位置すると判定すると、車両の走行支援制御を行う制御部113であって、車両から走行予定車道までの距離が予め定められた第1閾値距離以下であり交差角度が予め定められた第1閾値角度以下である場合、または車両が走行予定車道に到達するまでの予測時間が予め定められた第1閾値時間以下であり交差角度が第1閾値角度以下である場合に、走行支援制御を行わない制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ(122)を有する車両(10)に搭載される車両制御装置(110)であって、
前記カメラが前記車両の周辺を撮像した画像である周辺画像を用いて、前記車両の走行予定車道と、前記車両の周囲の駐車場領域と、を認識する認識部(111)と、
前記車両の進行方向と前記走行予定車道の延伸方向とが交差する角度である交差角度を算出する算出部(112)と、
前記車両のアクセルペダルの操作が予め定められた第1条件を満たし、前記車両が前記駐車場領域内に位置すると判定すると、前記車両の走行支援制御を行う制御部(113)であって、前記車両から前記走行予定車道までの距離が予め定められた第1閾値距離以下であり前記交差角度が予め定められた第1閾値角度以下である場合、または前記車両が前記走行予定車道に到達するまでの予測時間が予め定められた第1閾値時間以下であり前記交差角度が前記第1閾値角度以下である場合に、前記走行支援制御を行わない前記制御部と、を備える、車両制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両制御装置であって、
前記制御部は、
前記車両の走行速度が予め定められた閾値速度以下であり、前記車両の進行方向の両側に前記駐車場領域があること、
前記車両の進行方向に前記駐車場領域が位置し前記車両が前記駐車場領域に到達するまでの時間が予め定められた第2閾値時間以下であること、
前記車両の進行方向と逆方向に前記駐車場領域が位置し、前記車両と前記駐車場領域との距離が第2閾値距離以下であり、前記車両の進行方向と前記駐車場領域における駐車枠を表す線において前記車両に最も近い駐車線の延伸方向とが交差する角度が予め定められた第2閾値角度以下であること、
の少なくとも1つ以上が満たされる場合に、前記車両が前記駐車場領域内に位置すると判定する、車両制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両制御装置であって、
前記走行支援制御は、前記車両の加速の抑制と前記車両の走行速度の上限の設定との少なくとも一つを含む、車両制御装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の車両制御装置であって、
前記算出部は、前記認識部が認識した前記走行予定車道の前記車両に最も近い区画線の延伸方向と前記車両の進行方向とが交差する角度を前記交差角度として算出する、車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されているように、駐車場内で車両の運転者がブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み込んでしまう踏み間違いによる急加速を抑制する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、車両が駐車場から車道に進入するために、運転者が意図してアクセルペダルを踏み込んだ場合であっても、車両の加速が抑制されるおそれがあった。そのため、適切に走行支援を制御できる技術が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
本開示の一形態によれば、カメラ(122)を有する車両(10)に搭載される車両制御装置(110)が提供される。この車両提供装置は、前記カメラが前記車両の周辺を撮像した画像である周辺画像を用いて、前記車両の走行予定車道と、前記車両の周囲の駐車場領域と、を認識する認識部(111)と、前記車両の進行方向と前記走行予定車道の延伸方向とが交差する角度である交差角度を算出する算出部(112)と、前記車両のアクセルペダルの操作が予め定められた第1条件を満たし、前記車両が前記駐車場領域内に位置すると判定すると、前記車両の走行支援制御を行う制御部(113)であって、前記車両から前記走行予定車道までの距離が予め定められた第1閾値距離以下であり前記交差角度が予め定められた第1閾値角度以下である場合、または前記車両が前記走行予定車道に到達するまでの予測時間が予め定められた第1閾値時間以下であり前記交差角度が前記第1閾値角度以下である場合に、前記走行支援制御を行わない前記制御部と、を備える。
【0007】
この形態の車両制御装置によれば、車両のアクセルペダルの操作が第1条件を満たし、車両が駐車場領域内に位置すると判定した場合であっても、車両から走行予定車道までの距離が第1閾値距離以下であり交差角度が第1閾値角度以下である場合、または車両が走行予定車道に到達するまでの時間が第1閾値時間以下であり交差角度が第1閾値角度以下である場合に、走行支援制御を行わない。そのため、例えば、車両が駐車場から車道に進入するために、運転者が意図してアクセルペダルを踏み込んだ場合に、走行制御されることを抑制できる。従って、適切に車両の走行支援を制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】運転制御システムの構成を示す概要図である。
【
図2】走行支援処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3】走行支援制御が行われない一例を示す説明図である。
【
図4】走行支援制御が行われない他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
図1に示すように、車両10は、運転制御システム100を備える。本実施形態において、運転制御システム100は、車両10の走行支援制御を実行する。本実施形態において、運転制御システム100は、車両制御装置110と、カメラ122と、運転制御部210と、駆動力制御ECU(Electronic Control Unit)220と、制動力制御ECU230と、操舵制御ECU240と、を備える。車両制御装置110と、駆動力制御ECU220と、制動力制御ECU230と、操舵制御ECU240とは、車載ネットワーク250を介して接続される。
【0010】
カメラ122は、車両10の周辺を撮像して画像を取得する。カメラ122が撮像した画像は、車両制御装置110に出力される。
【0011】
車両制御装置110は、車両10の走行を制御して走行支援を実行する装置である。車両制御装置110は、中央処理装置(CPU)や、RAM、ROMにより構成されたマイクロコンピュータ等からなり、予めインストールされたプログラムをマイクロコンピュータが実行することによって、認識部111と算出部112と制御部113の機能を実現する。ただし、これらの各部の機能の一部又は全部をハードウエア回路で実現してもよい。
【0012】
認識部111は、カメラ122が車両10の周辺を撮像した周辺画像を用いて、車両10の走行予定車道と車両10の周囲の駐車場領域とを認識する。駐車場領域は、駐車場を示す領域である。また、本実施形態において、認識部111は、車両10の走行状況を用いて、車両10の進行方向を認識する。車両10の走行状況は、例えば、方向指示器の操作や、ステアリングの操作等を含む車両10の状況である。
【0013】
認識部111は、周辺画像を用いて、例えば、車両10の進行方向先と推定される車道を走行予定車道として認識する。より具体的には、認識部111は、車両10の進行方向先における車道と歩道との境界線や、路側物、区画線によって、走行予定車道を認識する。
【0014】
また、認識部111は、周辺画像を用いて、例えば、駐車線によって示される駐車枠や駐車車両によって、駐車場領域を認識する。より具体的には、認識部111は、認識した駐車枠や駐車車両を含む略矩形領域を、駐車場領域として認識する。本実施形態において、認識部111は、2以上連続して並んでいる駐車枠や駐車車両を、一つの駐車場領域として認識する。
【0015】
認識部111が認識した走行予定車道および駐車場領域を示す情報を周辺情報ともいう。周辺情報は、例えば、走行予定車道の位置や延伸方向および駐車場領域の境界線を含む情報である。
【0016】
算出部112は、車両10の進行方向と認識部111が認識した走行予定車道の延伸方向とが交差する角度である交差角度を算出する。本実施形態において、算出部112は、認識部111が認識した走行予定車道の両側の区画線のうち車両10に最も近い側の区画線の延伸方向と車両10の進行方向とが交差する角度を交差角度として算出する。
【0017】
制御部113は、車両10のアクセルペダルの操作が予め定められた第1条件を満たし、車両10が駐車場領域内に位置すると判定すると、車両10の走行支援制御を行う。本実施形態において、制御部113は、走行支援制御として、車両10の加速の抑制を行う。第1条件の詳細については後述する。また、制御部113は、第1条件が満たされ、車両10が駐車場領域内に位置する場合であっても、予め定められた例外条件が満たされる場合には、走行支援制御を行わない。例外条件の詳細については後述する。
【0018】
運転制御部210は、中央処理装置(CPU)や、RAM、ROMにより構成されたマイクロコンピュータ等からなり、予めインストールされたプログラムをマイクロコンピュータが実行することによって、走行支援機能を実現する。運転制御部210は、駆動力制御ECU220および制動力制御ECU230、操舵制御ECU240を制御することで、走行支援機能を実現する。運転制御部210は、例えば、駆動力制御ECU220および制動力制御ECU230を制御し、車両10の加速の制限を行う。
【0019】
駆動力制御ECU220は、エンジンなど車両10の駆動力を発生するアクチュエータを制御する電子制御装置である。駆動力制御ECU220は、アクセルペダルの操作量に応じてエンジンや電気モータである動力源を制御する。
【0020】
制動力制御ECU230は、車両10の制動力を発生するブレーキアクチュエータを制御する電子制御装置である。制動力制御ECU230は、ブレーキペダルの操作量に応じてブレーキアクチュエータを制御する。
【0021】
操舵制御ECU240は、車両10の操舵トルクを発生するモータを制御する電子制御装置である。操舵制御ECU240は、ステアリングハンドルの操作に応じてモータを制御して、ステアリング操作に対するアシストトルクを発生させる。これにより、運転手が少量の力でステアリングを操作でき、車両10の操舵を実現する。
【0022】
図2に示す走行支援処理は、車両制御装置110が車両10の走行支援を行う処理である。この処理は、アクセルペダルの操作が行われた場合に行われる処理である。
【0023】
ステップS100において、制御部113は、アクセルペダルの操作が第1条件を満たすか否かを判定する。アクセルペダルの操作が第1条件を満たす場合、制御部113は、ステップS110の処理に進む。一方、アクセルペダルの操作が第1条件を満たさない場合、制御部113は、走行支援処理を終了する。
【0024】
第1条件は、車両10のアクセルペダルの操作に関する条件である。制御部113は、例えば、以下のような条件1~4の全てが成立したときに第1条件が成立したものと判定することができる。
【0025】
<条件1>
車両10の走行速度が予め定められた第1閾値速度未満である。
<条件2>
車両10のアクセルペダルの操作量が予め定められた閾値操作量以上である。
<条件3>
車両10のアクセルペダルの操作速度が予め定められた閾値操作速度以上である。
<条件4>
車両10のブレーキ操作がなされていない。
【0026】
上記条件1における第1閾値速度は、車両10が駐車場領域内を走行する際の標準的な速度である。第1閾値速度は、予め実験的または経験的に定めることが可能である。第1閾値速度は、例えば、10~15km/hである。
【0027】
上記条件3におけるアクセルペダルの操作速度は、単位時間あたりのアクセルペダルの操作量の変化量である。
【0028】
上記条件1~4は一例であり、他の条件を加えてもよく、あるいは、上記条件1~4の一部のみを使用してもよい。ただし、少なくとも上記条件1および条件4を含む予め定めた条件が成立したときに第1条件が成立したと判定することが好ましい。
【0029】
ステップS110において、認識部111は、車両10の走行予定車道と車両10の周囲の駐車場領域とを認識する。より具体的には、周辺情報を生成する。
【0030】
ステップS120において、算出部112は、ステップS110で認識部111が生成した周辺情報を用いて交差角度を算出する。
【0031】
ステップS130において、制御部113は、車両10が駐車場領域内に位置するか否かを判定する。本実施形態において、制御部113は、ステップS110で認識部111が生成した周辺情報を用いて、第2条件が満たされるか否かを判定する。制御部113は、第2条件が成立する場合、車両10が駐車場領域内に位置すると判定する。車両10が駐車場領域内に位置する場合、すなわち、第2条件が満たされる場合、制御部113は、ステップS140の処理に進む。一方、車両10が駐車場領域内に位置しない場合、すなわち、第2条件が満たされない場合、制御部113は、走行支援処理を終了する。
【0032】
第2条件として、例えば、以下のような条件のいずれか1つ以上を採用することが可能である。
【0033】
<第2条件1>
車両10の少なくとも一部が駐車場領域内に位置すること。
<第2条件2>
車両10の走行速度が予め定められた第2閾値速度以下であり、車両10の進行方向の両側に駐車場領域があること。
<第2条件3>
車両10の進行方向に駐車場領域が位置し、車両10が駐車場領域に到達するまでの時間が予め定められた第2閾値時間以下であること。
<第2条件4>
車両10の進行方向と逆方向に駐車場領域が位置し、車両10と駐車場領域との距離が第2閾値距離以下であり、車両10の進行方向と駐車場領域における駐車枠を表す線において車両10に最も近い駐車線の延伸方向とが交差する角度が予め定められた第2閾値角度以下であること。
【0034】
上記第2条件2における第2閾値速度は、車両10が駐車場領域内を走行する際の標準的な速度である。第2閾値速度は、予め実験的または経験的に定めることが可能である。第2閾値速度は、例えば、10~15km/hである。上記第2条件2が成立している場合として、例えば、大型店舗の駐車場等、面積が広大な駐車場に車両10が位置する場合が挙げられる。面積が広大な駐車場は、車両10が駐車する領域に移動するための通路を有している。そのため、この条件を採用して、車両10が駐車場領域内に位置していると判定することで、適切な走行支援を行うことができる。
【0035】
上記第2条件3における第2閾値時間は、例えば、2秒である。上記第2条件3が成立している場合、車両10が駐車場領域に進入しようとしている可能性が高い。そのため、この条件を採用して、車両10が駐車場領域内に位置していると判定することで、適切な走行支援を行うことができる。
【0036】
上記第2条件4における第2閾値距離は、例えば、5mである。第2閾値角度は、例えば、40度である。上記第2条件4が成立している場合、車両10が駐車場領域外へ移動した直後である可能性が高い。そのため、この条件を採用して、車両10が駐車場領域内に位置していると判定することで、適切な走行支援を行うことができる。
【0037】
また、上記第2条件1~4やその他の条件を適宜組み合わせて第2条件とすることもできる。本実施形態では、制御部113は、上述した第2条件1~4を採用し、これらの第2条件1~4のいずれかが成立したときに第2条件が成立したものと判定される。
【0038】
ステップS140において、制御部113は、ステップS110で認識部111が生成した周辺情報を用いて、例外条件が満たされるか否かを判定する。例外条件が満たされない場合、制御部113は、ステップS150の処理に進む。一方、例外条件が満たされる場合、制御部113は、走行支援処理を終了する。なお、ステップS100~S140の処理は、ステップS120およびステップS130の処理がステップS110の処理よりも後に行われ、ステップS140の処理がステップS120の処理よりも後に行われれば、この順に限らず、任意の順序で行うことができ、並行して行ってもよい。
【0039】
例外条件として、例えば、以下のような条件のいずれか1つ以上を採用することが可能である。
【0040】
<例外条件1>
車両10から走行予定車道までの距離が予め定められた第1閾値距離以下であり、交差角度が予め定められた第1閾値角度以下であること。
<例外条件2>
車両10が走行予定車道に到達するまでの予測時間が予め定められた第1閾値時間以下であり、交差角度が第1閾値角度以下であること。
【0041】
上記例外条件1における第1閾値距離は、例えば、2mである。また、第1閾値角度は、車両10が駐車場領域内から駐車場領域外へと移動する際の標準的な角度である。第1閾値角度は、予め実験的または経験的に定めることが可能である。第1閾値角度は、例えば、45~60度である。上記例外条件1が成立している場合、車両10が駐車場領域内から走行予定車道へ進入しようとしている可能性が高い。そのため、この条件を採用して、走行支援制御を行わないようにすることで、不必要な走行支援制御を行うことを抑制できる。
【0042】
上記例外条件2における第1閾値時間は、例えば、3秒である。上記例外条件2が成立している場合、車両10が駐車場領域内から走行予定車道へ進入しようとしている可能性が高い。そのため、この条件を採用して、走行支援制御を行わないようにすることで、不必要な走行支援制御を行うことを抑制できる。
【0043】
また、上記の例外条件1および例外条件2やその他の条件を適宜組み合わせて例外条件とすることもできる。本実施形態では、制御部113は、上述した例外条件1および例外条件2を採用し、これらの例外条件1または例外条件2のいずれかが成立したときに例外条件が成立したものと判定される。
【0044】
ステップS150において、制御部113は、走行支援制御を実行する。より具体的には、制御部113は、車両10の加速を抑制するよう、運転制御部210を制御する。第1条件が満たされ、車両10が駐車場領域内に位置し、例外条件を満たさない場合、車両10のドライバがアクセルペダルを誤って踏み込む誤操作を行った可能性が高いため、制御部113は、車両10の加速を抑制する走行支援制御を実行する。
【0045】
図3に示す車両10は、駐車場から車道へ進入しようとしている。車両10のアクセルペダルの操作は、第1条件を満たす。また、車両10の走行速度は上述した第2閾値速度以下である。車両10の両側には駐車場領域P1および駐車場領域P2が存在しているため、第2条件2が満たされ、車両10は駐車場領域に位置すると判定される。また、車両10から走行予定車道Ln1までの距離D1は第1閾値距離以下であり、交差角度θ1は第1閾値角度以下であるため、例外条件が満たされる。すなわち、第1条件および第2条件が満たされるものの、例外条件も満たされる。そのため、制御部113は、走行支援制御を行わない。
【0046】
図4に示す車両10は、駐車場を出て、交差点へ進入している。車両10のアクセルペダルの操作は、第1条件を満たす。また、車両10の進行方向と逆方向に駐車場領域P3が存在している。車両10と駐車場領域P3との距離D2が第2閾値距離以下である。車両10の進行方向と、駐車場領域P3における駐車枠を表す線において車両10に最も近い駐車線PLの延伸方向と、が交差する角度θ2が第2閾値角度以下である。そのため、第2条件4が満たされ、車両10は駐車場領域に位置すると判定される。また、車両10から走行予定車道Ln2に位置しているため、走行予定車道Ln2までの距離は第1閾値距離以下であり、交差角度θ3は第1閾値角度以下であるため、例外条件が満たされる。すなわち、第1条件および第2条件が満たされるものの、例外条件も満たされる。そのため、制御部113は、走行支援制御を行わない。
【0047】
以上で説明した本実施形態の車両制御装置110によれば、制御部113は、車両10のアクセルペダルの操作が第1条件を満たし、車両10が駐車場領域内に位置すると判定した場合であっても、車両10から走行予定車道までの距離が第1閾値距離以下であり交差角度が第1閾値角度以下である場合、または車両10が走行予定車道に到達するまでの時間が第1閾値時間以下であり交差角度が第1閾値角度以下である場合に、走行支援制御を行わない。そのため、例えば、車両10が駐車場から車道に進入するために運転者が意図してアクセルペダルを踏み込んだ場合に、走行支援を抑制できる。従って、適切に車両10の走行支援を制御できる。
【0048】
また、車両10が駐車場領域内に位置することを示す第2条件は、車両10の走行速度が予め定められた閾値速度以下であり、車両10の進行方向の両側に駐車場領域があること、車両10の進行方向に駐車場領域が位置し車両10が駐車場領域に到達するまでの時間が予め定められた第2閾値時間以下であること、車両10の進行方向と逆方向に駐車場領域が位置し、車両10と駐車場領域との距離が第2閾値距離以下であり、車両10の進行方向と駐車場領域における駐車枠を表す線において車両10に最も近い駐車線の延伸方向とが交差する角度が予め定められた第2閾値角度以下であること、の少なくとも1つ以上が満たされることを含んでいる。そのため、実際に車両10が駐車場領域内に位置しない場合であっても、車両10が駐車場領域に進入しようとしている可能性が高い場合や、駐車場領域外に移動した直後である可能性からが高い場合を、車両10が駐車場領域内に位置していると判定できる。従って、適切な走行支援を行うことができる。
【0049】
また、算出部112は、認識部111が認識した走行予定車道の車両10に最も近い区画線の延伸方向と車両10の進行方向とが交差する角度を交差角度として算出する。算出部112が走行予定車道の車両10に最も近い区画線と車両の進行方向とが交差する角度を交差角度として算出する場合、車両10と走行予定車道との距離が短く、カメラ122の画角において車両10の進行方向における走行予定車道の車両10に最も近い区画線が検出できない場合に、交差角度を算出できないおそれがある。そのため、算出部112が、確実に交差角度を算出できる。
【0050】
B.他の実施形態:
(B1)上述した実施形態において、認識部111は、カメラ122が撮像した周辺画像を用いて周辺情報を認識している。これに加えて、認識部111は、更に、レーザーレーダ、ミリ波レーダ、Lidar(Light Detection and Ranging)、超音波センサ等を用いて取得した車両10の周辺の物体までの距離を用いて、周辺情報を認識してもよい。
【0051】
(B2)上述した実施形態において、算出部112は、走行予定車道の車両10に最も近い区画線の延伸方向と車両10の進行方向とが交差する角度を交差角度として算出している。これに限らず、算出部112は、走行予定車道の両側の区画線から推測される走行予定車道の中央の軌跡と車両10の進行方向とが交差する角度や、走行予定車道の路側物と車両10の進行方向とが交差する角度を交差角度として算出してもよい。
【0052】
(B3)上述した実施形態において、制御部113は、走行支援制御として、車両10の加速の抑制を行っている。これに限らず、制御部113は、走行支援制御として、車両10の加速の抑制と車両10の走行速度の上限の設定との少なくとも一つを含む車両10の制御を行ってもよい。
【0053】
(B4)上述した実施形態において、制御部113は、車両10のアクセルペダルの操作が第1条件を満たし、第2条件が満たされ車両10が駐車場領域内に位置すると判定した場合であっても、例外条件が満たされる場合に、走行支援制御を行わない。これに限らず、制御部113は、第2条件が満たされる場合であっても、例外条件が満たされる場合に、車両10が駐車場領域に位置しないと判定してもよい。
【0054】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述した課題を解決するために、あるいは上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することが可能である。
【0055】
本開示に記載の制御部113及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部113及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制限部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10…車両、100…運転制御システム、110…車両制御装置、111…認識部、112…算出部、113…制御部、122…カメラ、210…運転制御部、220…駆動力制御ECU、230…制動力制御ECU、240…操舵制御ECU、250…車載ネットワーク