(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017450
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】処理装置、処理プログラム、処理方法及び処理システム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/60 20180101AFI20250130BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
G16H10/60
A61B6/03 360J
A61B6/03 360T
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120468
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】521177500
【氏名又は名称】株式会社fcuro
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100216839
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏幸
(72)【発明者】
【氏名】岡田 直己
(72)【発明者】
【氏名】井上 周祐
(72)【発明者】
【氏名】本多 峻
【テーマコード(参考)】
4C093
5L099
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA18
4C093FB08
4C093FB10
4C093FF17
4C093FF35
4C093FG13
4C093FG14
4C093FH09
5L099AA22
5L099AA23
(57)【要約】
【課題】 医用情報をより効果的に出力する。
【解決手段】 ヒトの身体の状態を測定した測定データを取得し、前記測定データに基づいて、前記身体に生じた複数の病態それぞれに関する医用情報を取得し、取得された前記医用情報を病態ごとに識別可能な態様で出力する、ための処理を実行するように構成された処理装置が提供される。
【選択図】
図8A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのプロセッサを具備する処理装置であって、
前記少なくとも一つのプロセッサは、
ヒトの身体の状態を測定した測定データを取得し、
前記測定データに基づいて、前記身体に生じた複数の病態それぞれに関する医用情報を取得し、
取得された前記医用情報を病態ごとに識別可能な態様で出力する、
ための処理を実行するように構成された処理装置。
【請求項2】
前記医用情報は、前記測定データを学習済み解析モデルに入力することで取得される、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記測定データは、CT装置、MRI装置、レントゲン装置、心電計装置、超音波診断装置、内視鏡装置、血圧計装置、アンギオグラフィー又はこれらの組み合わせにより取得される、請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記測定データは医用画像である、請求項3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記病態は、出血、骨折、感染、損傷、炎症、腫瘍、虚血、気体成分の分布異常又は液体成分異常である、請求項1に記載の処理装置。
【請求項6】
前記医用情報は、病態ごとの有無を示す情報、病態ごとの重症度を示す情報、及び病態ごとの発生位置を示す情報の少なくともいずれか一つを含む、請求項1に記載の処理装置。
【請求項7】
前記医用情報は、同一画面において病態ごとに識別可能に表示されるように出力される、請求項1に記載の処理装置。
【請求項8】
前記医用情報は、それぞれの病態に対応する画面に切り替えられることによって病態ごとに識別可能に表示されるように出力される、請求項1に記載の処理装置。
【請求項9】
前記医用情報は、前記身体の頭部と脚部を結ぶ第1方向及び当該第1方向に垂直な第2方向の少なくともいずれか一つにおける複数の病態それぞれの発生位置を識別可能な態様で出力される、請求項1に記載の処理装置。
【請求項10】
前記医用情報は、前記身体の二次元又は三次元人体モデル上における複数の病態それぞれの発生位置を識別可能な態様で出力される、請求項1に記載の処理装置。
【請求項11】
少なくとも一つのプロセッサを具備するコンピュータにおいて前記少なくとも一つのプロセッサを、
ヒトの身体の状態を測定した測定データを取得し、
前記測定データに基づいて、前記身体に生じた複数の病態それぞれに関する医用情報を取得し、
取得された前記医用情報を病態ごとに識別可能な態様で出力する、
ように機能させる処理プログラム。
【請求項12】
少なくとも一つのプロセッサを具備するコンピュータにおいて前記少なくとも一つのプロセッサにより実行される処理方法であって、
ヒトの身体の状態を測定した測定データを取得する段階と、
前記測定データに基づいて、前記身体に生じた複数の病態それぞれに関する医用情報を取得する段階と、
取得された前記医用情報を病態ごとに識別可能な態様で出力する段階と、
を含む処理方法。
【請求項13】
請求項1に記載の処理装置と、
通信ネットワークを介して前記処理装置と接続され、前記処理装置から出力される医用情報を受信するように構成されたディスプレイ装置と、
を含む処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒトの身体の測定データを処理するための処理装置、処理プログラム、処理方法及び処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ヒトの身体の測定データを処理して取得されたデータを出力することが可能な処理システムが知られていた。特許文献1は、紫外線を照射する紫外光源と、検査室における前記紫外線の照射対象物に対する前記紫外光源の位置を相対的に移動させ、前記照射対象物に対する前記紫外線の照射を制御する照射制御部と、被検体の医用画像を撮像する撮像部とを備える、医用画像診断装置であって、撮影された医用画像や、医用画像の解析結果などを表示するディスプレイを有する医用画像診断装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、上記のような技術を踏まえ、本開示では、様々な実施形態により、医用情報をより効果的に出力することが可能な処理装置、処理プログラム、処理方法及び処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、「少なくとも一つのプロセッサを具備する処理装置であって、前記少なくとも一つのプロセッサは、ヒトの身体の状態を測定した測定データを取得し、前記測定データに基づいて、前記身体に生じた複数の病態それぞれに関する医用情報を取得し、取得された前記医用情報を病態ごとに識別可能な態様で出力する、ための処理を実行するように構成された処理装置」が提供される。
【0006】
本開示の一態様によれば、「少なくとも一つのプロセッサを具備するコンピュータにおいて前記少なくとも一つのプロセッサを、ヒトの身体の状態を測定した測定データを取得し、前記測定データに基づいて、前記身体に生じた複数の病態それぞれに関する医用情報を取得し、取得された前記医用情報を病態ごとに識別可能な態様で出力する、ように機能させる処理プログラム」が提供される。
【0007】
本開示の一態様によれば、「少なくとも一つのプロセッサを具備するコンピュータにおいて前記少なくとも一つのプロセッサにより実行される処理方法であって、ヒトの身体の状態を測定した測定データを取得する段階と、前記測定データに基づいて、前記身体に生じた複数の病態それぞれに関する医用情報を取得する段階と、取得された前記医用情報を病態ごとに識別可能な態様で出力する段階と、を含む処理方法」が提供される。
【0008】
本開示の一態様によれば、「上記に記載の処理装置と、通信ネットワークを介して前記処理装置と接続され、前記処理装置から出力される医用情報を受信するように構成されたディスプレイ装置と、を含む処理システム」が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、医用情報をより効果的に出力することが可能な処理装置、処理プログラム、処理方法及び処理システムを提供することができる。
【0010】
なお、上記効果は説明の便宜のための例示的なものであるにすぎず、限定的なものではない。上記効果に加えて、又は上記効果に代えて、本開示中に記載されたいかなる効果や当業者であれば明らかな効果を奏することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る処理システム1の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施形態に係る処理装置100の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本開示の一実施形態に係る処理装置100に記憶される対象者管理テーブルを概念的に示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の一実施形態に係る処理システム1において実行される処理フローを示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の一実施形態に係るモデル生成装置300において実行される処理フローを示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施形態に係る測定データの一例を概念的に示す図である。
【
図7A】
図7Aは、本開示の一実施形態に係る測定データが処理されることによって医用情報が生成される過程の一例を概念的に示す図である。
【
図7B】
図7Bは、本開示の一実施形態に係る処理システム1において実行される処理フローを示す図である。
【
図7C】
図7Cは、本開示の一実施形態に係る処理システム1において実行される処理フローを示す図である。
【
図8A】
図8Aは、本開示の一実施形態に係る処理装置100から出力される医用情報の一例を示す図である。
【
図8B】
図8Bは、本開示の一実施形態に係る処理装置100から出力される医用情報の一例を示す図である。
【
図9A】
図9Aは、本開示の一実施形態に係る処理装置100から出力される医用情報の一例を示す図である。
【
図9B】
図9Bは、本開示の一実施形態に係る処理装置100において出力される医用情報の一例を示す図である。
【
図10A】
図10Aは、本開示の一実施形態に係る処理装置100から出力される病態ごとの医用情報の一例を示す図である。
【
図10B】
図10Bは、本開示の一実施形態に係る処理装置100から出力される病態ごとの医用情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.処理システム1の概要
本開示に係る処理システム1は、測定装置によって取得された医用画像を測定装置から取得し、取得した測定データから医用情報を出力するために用いられる。特に、処理システム1は、ヒトを対象者として複数の部位(例えば、全身)にわたって取得された測定データを処理するために用いられる。このような測定データは、典型的には、ヒトの身体の状態を測定したものであって、ヒトの身体の内部を撮影したCT画像(コンピュータ断層撮影画像)等の医用画像が用いられる。このようなCT画像は、処理装置100によって処理されることによって、ヒトの身体に生じる病態を解析するのに用いられる。そして、その解析した結果は、医用情報としてディスプレイ等に出力される。このように、処理システム1は、対象者の病態に関する医用情報を効果的に出力することで、病態をより効果的に把握し、且つ病態に関連する疾患の診断又はその診断の補助をすることが可能となる。
【0013】
本開示に係る処理システム1は、典型的には医療の現場(例えば、医療機関)において好ましくは利用される。その中でも、救急医療の現場において特に好ましく利用される(ただし、利用の場面を救急医療のみに限定する意図はない)。このような救急医療の現場においては、測定データに基づいて対象者の病態が解析され、その解析結果に従って診断やその後の処置を決定していく必要がある。そのため、本開示に係る処理システム1を用いることによって、とりわけ救急医療の現場において、医用情報を効果的に出力し、病態をより早く把握し、且つ疾患の診断(又は診断の補助)やその後の処置の決定をより効率的に行うことができる。
【0014】
図1は、本開示の一実施形態に係る処理システム1の構成を示すブロック図である。
図1によれば、処理システム1は、測定装置400によって取得された測定データを処理して医用情報を出力するための処理装置100と、医用情報を表示するためのディスプレイ装置200とを少なくとも含む。また、当該処理システム1は、測定データを取得するための測定装置400や、処理装置100によって医用情報を出力するときに用いられる学習済み解析モデルを生成するためのモデル生成装置300を含んでもよい。また、測定装置400は、必ずしも一つの測定装置のみに限定する必要はなく、複数の測定装置を組み合わせることも可能である。処理装置100、ディスプレイ装置200、モデル生成装置300及び測定装置400は、無線ネットワーク及び有線ネットワークの少なくともいずれかによって互いに通信可能に接続される。
【0015】
なお、本開示において、「測定装置400」は、測定データを取得するために用いられる装置であればいずれでもよく、特定のものに限定されるわけではない。このような測定装置の典型としてはCT装置が挙げられるが、ほかにはMRI装置、レントゲン装置、心電計装置、超音波診断装置、内視鏡装置、血圧計装置、アンギオグラフィー又はこれらの組み合わせなどが挙げられる。このような測定装置400は、医療機関で用いられる場合に限らず、対象者の自宅や学校、職場など、その使用場所はいずれでもよい。なお、CT装置は、救急搬送されてきた対象者に対して少なくとも複数の部位に跨がって断層画像データを取得するために用いられ、生じた病態の特定やその場所、及びその重症度の判定をするために有益な情報を提供することが可能である。そのため、医用画像を解析して医用情報を生成可能な本開示の処理システム1においては、測定装置400としてCT装置を用いる場合について説明するが、当然これのみに限定されるわけではない。
【0016】
また、本開示において、「測定データ」は、測定装置400によって測定されたデータであればいずれでもよく、特定のものに限定されるわけではない。このような測定データの典型としてはCT画像が挙げられるが、ほかにはMRI画像、三次元計測データ、レントゲン画像、心電データ、エコー検査データ、内視鏡画像、血圧測定データ、採血データ、呼吸機能データ、血管造影画像、その他の検査データ又はこれらの組み合わせなどが挙げられる。また、本開示において、これら測定データのなかでも、特にCT画像、MRI画像、レントゲン画像、内視鏡画像、血管造影画像又はこれらの組み合わせが好適に用いられる。さらに、本開示において、これら測定データの中でもとりわけCT画像が好適に用いられる。CT画像は、対象者の所定の範囲(例えば、複数の部位や全身)に跨って、対象者の複数の断層面の状態を評価するために用いられる。したがって、特定の断層面の状態だけではなく、空間的に連続する複数の断層面の状態を評価することが可能である。このようなCT画像を解析することによって、病態やその病態が生じている部位、及びその重症度の情報を得ることが可能となる。
【0017】
また、このような測定データは、典型的には、各測定装置から通信ネットワークを介して受信することが考えられるが、すでに測定された測定データが記憶されたデータベース装置やサーバ装置などから受信するようにしてもよい。すなわち、測定データはリアルタイムで測定されたもののみを意味するわけではない。このような一例としては、電子カルテやPACS(Picture Archiving and Communication Systems:画像保存通信システム)のためのデータベース装置やサーバ装置に記憶された測定データであっても同様に本開示における処理システム1に利用することができる。
【0018】
また、測定データとして用いることができるのは、上記のとおり「空間的に連続して測定された測定データ」である必要は必ずしもない。例えば、血圧測定データからは、ある時点の血圧測定データと、ある一定の期間にわたって時間的に連続して測定された血圧測定データとをそれぞれ取得することが可能である。このように、「時間的に連続して測定された測定データ」であっても、好適に本開示の測定データとして利用することが可能である。また、測定データは学習済み解析モデルに入力されるが、入力されるデータは、測定データの全てである必要はなく、そのうちの少なくとも一部であればよい。以下の例では、主にCT画像を測定データとして用いる場合について説明するが、当然これのみに限定されるわけではない。
【0019】
また、本開示において、「対象者」は、測定データの測定の対象となる者であればいずれでもよく、特定の属性を有する者のみに限定されるわけではない。したがって、このような対象者としては、患者、被検者、診断対象者、健常者など、あらゆるヒトを含む。また、本開示において、「操作者」は、少なくとも処理装置100を操作するか、処理装置100によって出力された医用情報を参照する者であればいずれでもよく、特定の属性を有する者のみに限定されるわけではない。したがって、このような操作者としては、医師、看護師、検査技師などの医療従事者に限らず、対象者自身などあらゆるヒトを含む。また、本開示において、「医療従事者」は医療に従事する者であればいずれでもよく、特定の属性を有する者のみに限定されるわけではない。したがって、このような医療従事者としては、医師、看護師、検査技師、医療事務者、医療機関の職員や管理者、救急隊員、医療機器や医療設備の担当者などあらゆるヒトを含む。
【0020】
また、本開示において、所定の疾患や症状に対して、「判定」や「診断」等の用語を用いるが、これらは医師による確定的な判定や診断を必ずしも意味するものではない。例えば、これらの用語は、本開示の処理システム1を対象者自らが使用したり、医師以外の操作者が使用したりして、処理システム1に含まれる処理装置100によって判定又は診断されることも当然に含む。また、これらの用語は、医師等が確定的な判定や診断をするためにその補助をすることも含む。
【0021】
2.処理装置100の構成
図2は、本開示の一実施形態に係る処理装置100の構成を示すブロック図である。
図2によると、処理装置100は、プロセッサ111、メモリ112、入力インターフェイス113、出力インターフェイス114及び通信インターフェイス115を含む。これらの各構成要素は、互いに、制御ライン及びデータラインを介して互いに電気的に接続される。なお、処理装置100は、
図2に示す構成要素のすべてを備える必要はなく、一部を省略して構成することも可能であるし、他の構成要素を加えることも可能である。例えば、処理装置100は、各構成要素を駆動するためのバッテリ等を含むことが可能である。
【0022】
このような処理装置100としては、ラップトップパソコン、デスクトップパソコン、スマートフォン、タブレット端末など、本開示に係る処理を実行可能な装置であればいずれでも好適に適用することが可能である。また、処理装置100は、少なくとも一部の処理をクラウド上のサーバ装置で行うことも可能である。したがって、処理装置100には、当該サーバ装置、又は操作者が操作するラップトップパソコン等の装置と当該サーバ装置との組み合わせも含む。
【0023】
処理装置100において、プロセッサ111は、メモリ112に記憶されたプログラムに基づいて処理装置100又は処理システム1の他の構成要素の制御を行う制御部として機能する。具体的には、プロセッサ111は、「ヒトの身体の状態を測定した測定データを取得する処理」、「前記測定データに基づいて、前記身体に生じた複数の病態それぞれに関する医用情報を取得する処理」、「取得された前記医用情報を病態ごとに識別可能な態様で出力する処理」等を、メモリ112に記憶されたプログラムに基づいて実行する。プロセッサ111は、主に一又は複数のCPUにより構成されるが、適宜GPUやFPGAなどを組み合わせてもよい。
【0024】
メモリ112は、RAM、ROM、不揮発性メモリ、HDD、SSD等から構成され、記憶部として機能する。メモリ112は、本実施形態に係る処理システム1の様々な制御のための指示命令をプログラムとして記憶する。具体的には、メモリ112は、「ヒトの身体の状態を測定した測定データを取得する処理」、「前記測定データに基づいて、前記身体に生じた複数の病態それぞれに関する医用情報を取得する処理」、「取得された前記医用情報を病態ごとに識別可能態様で出力する処理」等をプロセッサ111が実行するためのプログラムを記憶する。また、メモリ112は、当該プログラムのほかに、対象者管理テーブルに記憶される各種情報を記憶してもよい。
【0025】
入力インターフェイス113は、処理装置100に対する操作者の指示入力を受け付ける入力部として機能する。入力インターフェイス113の一例としては、キーボード、マウス等の各種ハードキーや、ディスプレイ装置200のディスプレイに重畳して設けられ、ディスプレイの表示座標系に対応する入力座標系を有するタッチパネルが挙げられる。タッチパネルの場合、ディスプレイに入力したいコマンドに対応したアイコンが表示され、当該タッチパネルを介して操作者が指示入力を行うことで、各アイコンに対する選択が行われる。タッチパネルによる対象者の指示入力の検出方式は、静電容量式、抵抗膜式などいかなる方式であってもよい。入力インターフェイス113は、常に処理装置100に物理的に備えられる必要はなく、有線や無線ネットワークを介して必要に応じて接続されてもよい。
【0026】
出力インターフェイス114は、処理装置100によって解析の結果得られた結果情報、医用情報等の情報を出力するための出力部として機能する。出力インターフェイス114の一例としては、液晶パネル、有機ELディスプレイ又はプラズマディスプレイ等から構成されるディスプレイ装置200等の外部装置又は外部機器と接続するためのインターフェイスが挙げられる。しかし、処理装置100そのものがディスプレイを有する場合には、当該ディスプレイが出力インターフェイスとして機能することが可能である。また、ディスプレイ装置200などに対して通信インターフェイス115を介して接続されている場合には、当該通信インターフェイス115が出力インターフェイス114として機能することも可能である。
【0027】
通信インターフェイス115は、有線又は無線で構成された通信ネットワークを介して測定装置400、ディスプレイ装置200、モデル生成装置300、管理装置500、端末装置600、他の処理装置、サーバ装置等との間で測定データや医用情報、出力情報等を送受信するための通信部として機能する。通信インターフェイス115の一例としては、USB、SCSIなどの有線通信用コネクタや、LTE、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、赤外線などの無線通信用送受信デバイスや、プリント実装基板やフレキシブル実装基板用の各種接続端子など、様々なものが挙げられる。
【0028】
なお、ディスプレイ装置200の構成については特に具体的には説明しないが、上記のとおり液晶パネル、有機ELディスプレイ又はプラズマディスプレイ等から構成されるディスプレイ、処理装置100から各種情報の入力を受け付ける入力インターフェイス及び通信インターフェイスの少なくともいずれか、上記ディスプレイに受け付けられた各種情報を表示するための処理をするプロセッサ等を含む。このようなディスプレイ装置200は、表示機能のみを有するものに限定されるわけではなく、処理装置100から出力される医用情報を表示することができればいずれでもよい。したがって、ラップトップパソコン、スマートフォン又はタブレット端末等もディスプレイ装置200に含む。
【0029】
また、学習済み解析モデルを生成するためのモデル生成装置300の構成については特に具体的には説明しない。しかし、処理装置100と同様に、プロセッサ、メモリ、入力インターフェイス、出力インターフェイス及び通信インターフェイス等を含む。このような装置としては、ラップトップパソコン、デスクトップパソコン、スマートフォン、タブレット端末、サーバ装置又はこれらの組み合わせが用いられる。
【0030】
なお、本開示では、処理装置100、ディスプレイ装置200、及びモデル生成装置300をそれぞれ別体として設けた。しかし、これに限らず、例えば処理装置100が、ディスプレイ装置200及びモデル生成装置300のうちの少なくともいずれかの装置として機能してもよい。
【0031】
3.処理装置100のメモリ112に記憶される情報
図3は、本開示の一実施形態に係る処理装置100に記憶される対象者管理テーブルを概念的に示す図である。対象者管理テーブルに記憶される情報は、処理装置100のプロセッサ111の処理の進行に応じて随時更新して記憶される。
【0032】
図3によれば、対象者管理テーブルには、対象者ID情報に対応付けて、対象者情報、測定データ、入力情報、結果情報及び医用情報等が記憶される。「対象者ID情報」は、各対象者に固有の情報で各対象者を特定するための情報である。対象者ID情報は、操作者又は対象者自身によって新たな対象者が登録されるごとに生成される。「対象者情報」は、各対象者の属性に関する情報である。このような属性情報の例としては、対象者名情報、生年月日情報、性別情報、住所情報、他の測定データ、カルテ情報、所見情報、問診情報、疾患関連情報(例えば、救急隊員からもたらされる交通事故、転倒、火災などの疾患原因、事故の発生状況、目撃情報、身体所見等)などが挙げられる。
【0033】
「測定データ」は、測定装置400において測定されたヒトの身体の状態を示す測定データそのものや、当該測定データに基づいて高精細化、画素補完、圧縮、データフォーマットやデータ形式の変更等の様々な処理が必要に応じてなされた処理済み測定データの少なくともいずれかを示す情報である。このような測定データは、測定装置400から通信インターフェイス115を介して受信される情報である。処理済み測定データにおいては、その処理は測定装置400で行われてもよいし、処理装置100で行われてもよい。測定データとしてCT画像が用いられる場合は、所定の範囲(例えば、複数の部位や全身)にまたがって撮影された複数のCT画像のそれぞれ、又は複数のCT画像の全体のことを意味する。このようなCT画像は、静止画又は動画のいずれであってもよいし、白黒画像、カラー画像などその画像形式はいずれであってもよい。このような測定データの具体例は
図6等において後述する。
【0034】
「入力情報」は、結果情報を取得するために学習済み解析モデルに入力される情報である。測定データとして複数のCT画像が用いられる場合、入力情報には、典型的には、複数のCT画像のうちの特定の1又は複数のCT画像が用いられる。このような複数のCT画像は、空間的に一定の間隔で取得されたものである。つまり、複数のCT画像に含まれる各CT画像は、その前後のCT画像と空間的に連続性又は関連性を有する。このような入力情報の具体例は
図7等において後述する。
【0035】
「結果情報」は、学習済み解析モデルに入力情報が入力されることによって取得された情報である。測定データとして複数のCT画像が用いられる場合、結果情報には、典型的には、個々のCT画像ごとに検出される病態の種類、各病態が生じている場所、及び各病態の重症度を示す情報である。このような病態の重症度しては、特定の数値だけでなく、数値に基づく分類(例えば、「レベル1」、「レベル2」、「レベル3」又は「レベル4」や、「軽度」、「中度」又は「重度」など、その分類の数はいずれでもよい)などが例として挙げられる。また、結果情報に含まれる重症度は、各病態における異常の程度であってもよいし、要求される医療的介入の優先度であってもよい。医療的介入の優先度は、病態の種類及び異常の程度の少なくともいずれかに基づいて決められてもよい。例えば、早期に処置されるべき種類の病態には、異常の程度によらず、他の病態よりも高い重症度が割り当てられてもよい。
【0036】
ここで、本実施形態において、病態とは身体に対する外的又は内的な影響により身体に生じた変化や兆候の種類を示すものであり、好適には測定装置400により取得される測定データによりその検出や有無の判断が可能なものを意味する。このような病態の一例としては、出血、骨折、感染、損傷、炎症、腫瘍、虚血、又は胸水や腹水などの液体成分異常、消化管穿孔などに伴う気体成分の分布異常が挙げられ、本実施形態においては、特定の病態のみが解析の対象になるのではなく、複数の病態が解析の対象となる。また、病態には、一般的にそれが生じた部位の情報は含まれておらず、医師による診断等によってその病態が生じた部位が特定される疾患(例えば、くも膜下出血などの特定の病気や疾病)とは相違する。
【0037】
また、結果情報としては、病態ごとに所見情報などのさらに詳細な情報を含むことも可能である。例えば、「出血」の病態の場合は「出血点」、「出血量」、「出血の速度」及び「出血の新旧」の少なくともいずれか、「骨折」の病態の場合は「骨折点」、「骨折形態」及び「骨折の新旧」の少なくともいずれかなど、取得された測定データから観察可能な所見に関する情報が、所見情報の例として挙げられる。
【0038】
「医用情報」は、結果情報に基づいて生成される情報である。当該医用情報は、出力インターフェイス114を介して、ディスプレイ装置200に出力され、ディスプレイ装置200に表示されたり、結果情報に基づいて選択された端末装置600に対して送信される。医用情報としては、典型的には、
図8A~
図10Bに示す医用情報が挙げられる。すなわち、医用情報には、
(1)測定データ
(2)測定データの解析により特定された病態の有無を示す情報、各病態の種類を示す情報、各病態が生じている場所(すなわち各病態の発生位置を示す情報)、及び各病態の重症度を示す情報
(3)測定データの解析により取得された所見情報
(4)その病態に関連する疾患に対する対処法などを示した論文やWEBサイト
(5)病態やその病態に関連する疾患に有用な医薬品に関する情報
(6)病態やその病態に関連する疾患を専門とする医療機関に関する情報
(7)病態やその病態に関連する疾患に対する処置のための装置・機器等に関する情報
などを含んでもよい。なお、医用情報には、これらの情報の全てが含まれている必要はない。また、これらの情報は医用情報の一例であって、当然に他の情報を含んでもよい。
【0039】
特に、本実施形態において、医用情報は、特定された各病態や各病態が生じている場所を識別可能に出力される。その出力の方法の一例としては、
(1)病態ごとの重症度に応じて、重症度が高い病態のみを通知する表示オブジェクトを出力
(2)一画面において特定された複数の病態を出力する場合に、病態ごとに異なる表示オブジェクトを生成し、各表示オブジェクトを病態が生じた場所に対応する位置に出力
(3)病態ごとに複数の画面に分け、操作者からの指示入力応じて選択された画面を出力
(4)上記(1)~(3)の組み合わせ
が挙げられる。なお、これらの出力の方法は一例であって、病態ごとに識別可能に出力できればいずれの方法であってもよい。
【0040】
対象者管理テーブルに記憶される情報は処理装置100のメモリ112に記憶されてもよいが、他の処理装置やデータベース装置など、他の装置に記憶されてもよい。
【0041】
4.処理装置100で実行される処理フロー
図4は、本開示の一実施形態に係る処理装置100において実行される処理フローを示す図である。具体的には、
図4は、測定装置400において医用画像が取得されてから医用情報を出力するまでに、処理装置100のプロセッサ111によって実行される処理フローを示す図である。当該処理フローは、主に処理装置100のプロセッサ111がメモリ112に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより行われる。
【0042】
まず、特に図示はしていないものの、例えば対象者が医療機関に救急搬送されてくると、医療従事者によって測定装置400(例えば、CT装置)が操作され、対象者の全身の複数枚のCT画像が撮影される。そして、測定データとして測定装置400に取得され、測定装置400の通信インターフェイスを介して、測定された対象者を特定するための対象者ID情報とともに、処理装置100に送信される。
【0043】
処理装置100のプロセッサ111は、通信インターフェイス115を介して測定装置400から複数枚のCT画像を含む測定データを受信すると、対象者ID情報に対応付けて受信した測定データを対象者管理テーブルに記憶する(S111)。
【0044】
プロセッサ111は、受信した複数のCT画像のそれぞれに対して、所定の前処理を実施する(S112)。前処理は必須ではなく、所望に応じて実施すればよい。このような前処理としては、ハイパスフィルタやローパスフィルタを含むバンドパスフィルタ、平均化フィルタ、ガウシアンフィルタ、ガボールフィルタ、キャニーフィルタ、ソーベルフィルタ、ラプラシアンフィルタ、メディアンフィルタ、バイラテラルフィルタなどのフィルタ処理、ヘッセ行列等を用いた血管抽出処理、機械学習を用いた特定領域(例えば、疾患領域)のセグメンテーション処理、セグメンテーションされた領域に対するトリミング処理、曇り除去処理、超解像処理、低解像処理及びこれらの組み合わせが挙げられる。このような前処理を実施することによって、受信した複数の医用画像のそれぞれに対して、高精細化、低解像化、領域抽出、ノイズ除去、エッジ強調、画像補正、画像変換などを実施することが可能である。プロセッサ111は、特に図示はしていないものの、前処理後の各CT画像を、測定データとして、対象者管理テーブルに対象者ID情報に対応付けて記憶する。
【0045】
次に、プロセッサ111は、入力インターフェイス113を介して、対象者管理テーブルに記憶されている複数の対象者の中から医用画像の解析を行う所望の対象者ID情報を選択するために、操作者による操作入力を受け付ける。そして、プロセッサ111は、当該操作入力を受け付けると、対象者ID情報に対応付けられた測定データを対象者管理テーブルから読み出して、学習済み解析モデルに入力する入力情報として、対象者ID情報に対応付けて記憶する。プロセッサ111は、入力情報を学習済み解析モデルに入力することにより解析処理を実行する(S113)。なお、当該学習済み解析モデルの生成及び解析処理の詳細については、
図5~
図7Cにおいて後述する。
【0046】
次に、プロセッサ111は、解析処理において学習済み解析モデルから解析の結果情報を取得すると、取得した結果情報を対象者ID情報に対応付けて対象者管理テーブルに記憶する(S114)。
【0047】
次に、プロセッサ111は、結果情報が取得されると、結果情報や測定データを用いて医用情報を生成する。プロセッサ111は、生成した医用情報を対象者ID情報に対応付けて対象者管理テーブルに記憶する。また、プロセッサ111は、出力インターフェイス114を介して、記憶した医用情報をディスプレイ装置200等に出力する(S115)。このとき、プロセッサ111は、測定データに含まれる病態を特定し、特定された病態ごとに識別可能な態様で医用情報を生成する。生成される医用情報については、
図7B~
図10B等において後述する。測定データに含まれる病態の特定方法としては、プロセッサ111がS114において取得した結果情報に基づいて存在確度が高い病態を特定してもよいし、操作者により指定された病態を示す入力に応じて病態を特定してもよい。操作者により病態が指定される場合、操作者は処理装置100を操作して注目すべき病態を指定し、プロセッサ111はS112の処理の後に指定された病態を示す入力を取得する。これにより、プロセッサ111は、医用画像が取得されてから医用情報を出力するまでの処理フローを終了する。
【0048】
このように、当該処理フローにおいて、特定された病態ごとに識別可能な態様で医用情報が生成される。したがって、当該処理フローによって、例えば医療従事者にとって医用情報に基づいて優先的に処置が必要な病態を迅速に判断することが可能となる。
【0049】
なお、特に図示はしないものの、医用情報を受信したディスプレイ装置200は、そのディスプレイに受信した医用情報を表示する。また、医用情報の出力先の一例としてディスプレイ装置200を挙げたが、例えば操作者や他の医療従事者が所持する端末装置や、医療機関内にある他の処理装置や他の医療機器など、その出力先はいずれであってもよい。
【0050】
また、
図4において、結果情報は、学習済み解析モデルに入力情報を入力することによって取得される場合について説明した。しかし、学習済み解析モデルを用いるのは単なる一例であって、当然他の方法を用いてもよい。例えば、測定データとして取得されたCT画像と、病態が示された画像との一致度を比較する方法など、他の画像解析処理も用いたり、学習済み解析モデルとこれらの他の画像解析処理を併用したりすることも可能である。
【0051】
また、
図4の解析処理においては、処理装置100のプロセッサ111がメモリ112に記憶された学習済み解析モデルで医用画像を処理することによって解析結果情報を取得する場合について説明した。しかし、これに限らず、プロセッサ111が例えばサーバ装置に入力情報を送信し、当該サーバ装置のプロセッサが当該サーバ装置に記憶された学習済み解析モデルで入力情報を処理して結果情報を生成してもよい。そして、処理装置100は当該サーバ装置から結果情報を取得してもよい。
【0052】
5.モデル生成装置300で実行される処理フロー
図5は、本開示の一実施形態に係るモデル生成装置300において実行される処理フローを示す図である。具体的には、
図5は、
図4のS113の解析処理において用いられる学習済み解析モデルの生成に係る処理フローを示す図である。当該処理フローは、主にモデル生成装置300のプロセッサがメモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより行われる。本実施形態では、このような学習済み解析モデルがあらかじめ特定の対象とされる病態ごとに生成される。
【0053】
図5によると、例えば測定装置400で測定された測定データを学習用データとして取得するステップが実行され得る(S211)。例えば、測定装置400としてCT装置が用いられる場合には、学習用データとして対象者の全身を撮影した複数のCT画像が用いられる。なお、学習用データには、上記のような実際にCT装置を用いて撮影されたCT画像が用いられてもよいが、画像処理によるシミュレーションによって取得されたシミュレーション画像が用いられてもよい。以下では、学習用データとして複数のCT画像を用いる場合を説明する。
【0054】
次に、撮影された複数の学習用データのそれぞれに対して、各学習用データ中に見られる病態(例えば、出血)に関する情報(例えば、出血の有無、出血が生じている場所、及び度合い)を疾患情報としてラベル付けする処理が実行される(S212)。当該ラベル付けは、医師などの医療従事者によって、各病態とその度合い(例えば、重症度)、これらが生じる身体部位の位置情報(例えば、肝臓、すい臓、脾臓など臓器や器官を示す情報又は学習用データ中の座標など)が入力されることによって行われる。なお、上記度合いには、例えば、病態(出血)に対して「該当あり」又は「該当なし」や、「レベル1」、「レベル2」、「レベル3」又は「レベル4」や、「軽度」、「中度」又は「重度」などが例として挙げられる。また、これに代えて、又はこれに加えて、あらかじめ用意された出血が見られるCT画像を用意し、これらの画像との一致度を画像解析処理によって算出し、この一致度に基づいてラベル付けが行われてもよい。
【0055】
複数の学習用データと、それに対応付けられたラベル情報がそれぞれ得られると、プロセッサによって、それらを用いて出血パターンの機械学習を行うステップが実行される(S213)。当該機械学習は、一例として、学習用データとラベル情報の組を、ニューロンを組み合わせて構成されたニューラルネットワークに与え、ニューラルネットワークの出力がラベル情報と同じになるように、各ニューロンのパラメータを調整しながら学習を繰り返すことにより行われる。そして、学習済み解析モデル(例えば、ニューラルネットワークとパラメータ)を取得するステップが実行される(S214)。これにより、プロセッサは学習済み解析モデルの生成を終了する。そして、同様の処理・方法により、他の病態(例えば、骨折や感染など)についても、学習用データに対するラベル付与処理がなされ、学習用データとラベル情報を使用した病態パターンの機械学習が実行される。そして、各病態について、それぞれ解析するのに用いられる学習済み解析モデルも生成することが可能である。このようにして、病態ごとに学習済み解析モデルが生成され、生成された各学習済み解析モデルが取得される。
【0056】
このように、病態ごとに異なる学習済み解析モデルを生成することで、優先度の高い病態から順に、又は学習済み解析モデルごとに複数の処理装置によって並行して処理することが可能である。これにより、より迅速に医用情報を出力することが可能となる。
【0057】
なお、取得された学習済み解析モデルは、通信インターフェイスを介して処理装置100に送信され、処理装置100のメモリ112に記憶されてもよい。また、モデル生成装置300や他の処理装置、サーバ装置等のメモリに記憶されてもよい。
【0058】
また、
図5の例では、病態ごとに学習済み解析モデルを生成し、取得する場合について説明した。しかし、これに限らず、一つの学習済み解析モデルによって複数の病態を特定し、各病態の生じている場所及びその重症度を解析するようにしてもよい。このような学習済み解析モデルは、S211で得られた学習用データに対して、特定された各病態、これらが生じる身体部位の位置情報(例えば、肝臓、すい臓、脾臓など臓器や器官を示す情報又は学習用データ中の座標など)及び各病態の度合い(例えば、重症度)によってラベル付けが行われる。その後、学習用データとラベル情報とがモデル生成装置300に入力され、病態パターンの機械学習が実行されることにより、各病態を解析可能な一つの学習済み解析モデルが取得される。このように、一つの学習済み解析モデルを用いることによって、学習済み解析モデルの生成に係る処理負担を軽減することが可能となる。
【0059】
また、
図5の例では、ラベル情報として、病態に関する情報(例えば、各病態の有無、その病態が生じている場所、及び度合い)を用いて学習する場合について説明した。しかし、ラベル情報としては、これらのみに限らず、病態ごとの所見情報など、さらに詳細なラベル情報を含むことも可能である。例えば、測定データにおいて、「出血」でラベル付けされる場合は、さらに「出血点」及び「出血の新旧」の所見情報のラベル付けも行う。また、測定データにおいて、「骨折」でラベル付けされる場合は、さらに「骨折点」、「骨折形態」及び「骨折の新旧」の所見情報のラベル付けも行う。具体的には、CT画像やMRI画像等の医用画像の場合、出血領域は他の領域と比して白く現れることから(つまり、CTの場合であればより高いCT値を示すことから)、出血点の所見が当該医用画像から取得される。また、同様に、新鮮出血の場合より陳旧出血に比べてより白く現れることから(つまり、CTの場合であればより高いCT値を示すことから)、出血の新旧の所見が当該医用画像から取得される。また、レントゲン画像やCT画像、MRI画像等の医用画像の場合、骨折が起きている地点(骨折点)やその形態(例えば、横骨折、斜骨折、らせん骨折又は粉砕骨折)の所見が、当該医用画像から取得される。また、同様に、新鮮骨折の場合は骨折による液体成分の漏出もあり陳旧骨折に比べてより白く現れることから、骨折の新旧の所見が当該医用画像から取得される。このように、ラベル情報として、病態ごとの所見情報を追加してモデル生成装置300が学習させることにより、各病態の有無の特定、その病態が生じている位置、及びその重症度に加えて、さらに病態ごとの所見情報も出力可能な学習済み解析モデルが取得される。他の病態においても、同様に所見情報をラベル情報として学習させることで、同様の学習済み解析モデルが取得される。
【0060】
6.測定データ
上記のとおり、測定データは、測定装置400において測定されたヒトの身体の状態を示すデータであり、測定装置400から通信インターフェイス115を介して受信される情報である。
図6は、本開示の一実施形態に係る測定データの一例を概念的に示す図である。
図6によれば、測定データとして測定装置400(例えば、CT装置)で撮影された複数のCT画像が用いられる場合が示されている。
【0061】
このようなCT画像は、典型的には、ヒトの身体において所定の範囲(少なくとも複数の部位(例えば、頭部、胸部、腹部、骨盤部など)や全身にわたって、空間的に一定の間隔(例えば、スライス間隔=5mm)で、身体の頭部から脚部に向かう方向に、厚さ方向の断面を撮影することによって取得される。
図6では、少なくとも測定データとしてCT画像Dm-7~CT画像Dm、及びCT画像Dn-7~CT画像Dnを少なくとも含む複数のCT画像が、空間的に一定の間隔(例えば、スライス間隔=5mm)で、部位A~部位Dの複数の部位(すなわち、全身)に跨って撮影されている。なお、
図6に示す各部位は説明の便宜のための一例であって、必ずしもヒトの身体の特定の部位を正確に示したものではない。
【0062】
このように取得された複数のCT画像は、上記のとおり一定の間隔で撮影されたものであるため、例えば、CT画像Dm-7~CT画像Dm等の連続する複数のCT画像を参照すると、各CT画像の含まれる部位に生じる病態を確認することが可能である。すなわち、個々のCT画像に着目すると、各CT画像中に含まれる各病態、その断面上において各病態が生じている場所及びその重症度を検出することができる。さらに、前後の連続する複数個のCT画像に着目すると、各病態、その断面上において各病態が生じている場所、重症度の遷移を把握することができる。本開示においては、入力情報として、複数のCT画像の中から選択された特定の1個又は複数個(好ましくは1個)のCT画像を用いて解析処理を行うことにより、これらの情報を結果情報として取得することができる。さらに、空間的に連続性又は関連性を有する複数のCT画像において同様の処理を行うことにより、CT画像に含まれる各病態の空間的な遷移情報(つまり、身体の起立状態における上下方向の遷移情報)を取得することができる。なお、「空間的に連続性又は関連性を有すること」とは、各CT画像が一定の間隔(例えば、スライス間隔=5mm)で撮影されたことのみならず、測定装置400を用いて同じ対象者に対してなされた一連の測定処理によって撮影されたことも含む。
【0063】
ここで、CT画像は、救急医療の現場で疾患の有無の判断によく用いられる。しかし、このような場合、CT画像は少なくとも複数の部位(場合によっては全身)に跨って一定の間隔で撮影されるため、かなり多量のCT画像を医療従事者が一つずつ確認して疾患の有無を判断する必要がある。本開示に係る処理システム1では、取得された測定データである複数のCT画像を入力情報として結果情報を取得し、それを医用情報として出力することが可能である。したがって、本開示に係る処理システム1は、特に救急医療における病態の有無の判断や、それに基づく診断、その後の処理において有益に用いることが可能である。ただし、当然に、救急医療における当該判断のみにその用途が限定されるわけではない。
【0064】
7.医用情報の生成に係る処理
図6で説明したとおり測定装置400で撮影された測定データ(例えば、CT画像)が処理装置100に送信され、処理装置100のプロセッサ111によって処理されることによって医用情報が生成される。
図7Aは、本開示の一実施形態に係る測定データが処理されることによって医用情報が生成される過程の一例を概念的に示す図である。
【0065】
図7Aによると、
図6で示したとおり、測定装置400で測定された撮影されたCT画像であって、身体の所定の範囲(例えば、複数の部位や全身)に跨って撮影された複数のCT画像(CT画像D1-1~CT画像D1-n)が、測定データとして処理装置100において取得されたことを示している。
【0066】
次に、これらの複数のCT画像は、プロセッサ111の処理によって個々のCT画像(CT画像E1-1、CT画像E1-2~CT画像E1-n)ごとに選択され、入力情報として病態ごとの学習済み解析モデルに入力される(解析処理)。なお、測定装置400において撮影され処理装置100において取得された全てのCT画像D1-1~CT画像D1-n(測定データ)が、入力情報である個々のCT画像(CT画像E1-1、CT画像E1-2~CT画像E1-n)として取得されてもよい。また、全てのCT画像D1-1~CT画像D1-n(測定データ)から一定の間隔(例えば、5個ごと)で選択されたCT画像が、入力情報である個々のCT画像(CT画像E1-1、CT画像E1-2~CT画像E1-n)として取得されてもよい。また、全てのCT画像D1-1~CT画像D1-n(測定データ)から操作者によって選択されたCT画像が、入力情報である個々のCT画像(CT画像E1-1、CT画像E1-2~CT画像E1-n)として取得されてもよい。
【0067】
上記のとおり、CT画像E1-1、CT画像E1-2~CT画像E1-nが入力情報として取得され、病態ごとの学習済み解析モデルに入力されることによって、病態ごとの結果情報が生成される。すなわち、CT画像E1-1が入力されることによって当該画像に含まれる各病態、各病態が生じている場所、及びその重症度が結果情報として取得される。また、CT画像E1-2が入力されることによって当該画像に含まれる各病態、各病態が生じている場所、及びその重症度が別の結果情報として取得される。また、CT画像E1-nが入力されることによって当該画像に含まれる各病態、各病態が生じている場所、及びその重症度がさらに別の結果情報として取得される。このように解析処理では、入力情報として取得された個々のCT画像ごとに各病態、各病態が生じている場所、及びその重症度が、結果情報として取得される。そして、取得された各病態、各病態が生じている場所、及びその重症度を示す情報は、対象者管理テーブルにおいて、結果情報として個々のCT画像ごとに記憶される。
【0068】
なお、上記では、入力情報として1個のCT画像ごとに学習済み解析モデルに入力される場合について説明したが、例えば3個などの数個単位で一まとまりのグループとしてCT画像を準備し、グループごとに学習済み解析モデルに入力されるようにしてもよい。この場合、個々のCT画像ごとに取得された疾患の名称、その存在する部位、及びその重症度の平均値や最大値、最小値などをグループごとに求め、これらを結果情報としてもよい。
【0069】
また、上記では、病態ごとに用意された学習済み解析モデルによって複数の病態に関する結果情報を取得する場合について説明した。しかし、これに限らず、一つの学習済み解析モデルによって複数の病態に関する結果情報を取得するようにしてもよい。このような場合、CT画像E1-1、CT画像E1-2~CT画像E1-nの各入力情報は、当該学習済み解析モデルに入力され、各病態の有無、各病態が生じている場所及び各病態の重症度が取得される。
【0070】
また、上記では、学習済み解析モデルから各病態、各病態が生じている場所、及びその重症度を示す情報を結果情報として取得する場合について説明した。しかし、これに限らず、例えば病態ごとの所見情報をラベル情報として学習した学習済み解析モデルを使用すれば、これらに加えて所見情報も取得することが可能である。このような所見情報の例としては、「出血」の病態の場合は「出血点」、「出血の新旧」及び出血が見られる部位の面積から「出血量の推定値」の少なくともいずれかや、「骨折」の病態の場合は「骨折点」、「骨折形態」及び「骨折の新旧」の少なくともいずれかなど、取得された測定データから観察可能な所見に関する情報が挙げられる。
【0071】
次に、
図7Aによると、プロセッサ111の処理によって、それぞれ取得された結果情報に基づいて、医用情報が生成される。
【0072】
このように、入力情報としてCT画像E1-1~CT画像E1-nを用いることで、各CT画像に含まれる各病態、各病態が生じている場所、及びその重症度が別の結果情報として取得される。つまり、各CT画像から生じている各病態の種類と、各病態が生じている断面方向の位置、及びその重症度の情報が得られる。また、CT画像E1-1~CT画像E1-nは身体が起立した状態における上下方向において、空間的に連続した画像である。そのため、各CT画像から各病態の遷移情報、つまりは各病態が生じている上下方向の位置の情報を得ることが可能である。
【0073】
ここで、
図7B及び
図7Cは、本開示の一実施形態に係る処理システム1において実行される処理フローを示す図である。具体的には、
図7B及び
図7Cは、
図4のS113~S115と、
図7Aの学習済み解析モデルによる解析処理及び出力処理とにおいて実行される処理フローを示す。当該処理フローは、主に処理装置100のプロセッサ111がメモリ112に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより行われる。
【0074】
図7Bによれば、プロセッサ111は、測定データを
図4に示す前処理(S112)することによって生成された入力情報を取得することにより、当該処理フローに係る処理を実行する。まず、プロセッサ111は、メモリ112に記憶された優先度テーブルを参照して、当該優先度テーブルを読み出す(S211)。当該優先度テーブルは、解析の対象となる複数の病態の中で解析処理を実行する順番を規定したテーブルである。当該優先度テーブルの一例としては、優先度の高い病態から順に、出血、骨折、感染、損傷、炎症、腫瘍、虚血、胸水や腹水などの液体成分異常、消化管穿孔などに伴う気体成分の分布異常の順で、各病態が記憶されている。一般的に、本実施形態に係る解析処理には、学習済み解析モデルごとに少なくとも数m秒~数分の時間を要する。救急医療の現場では、極めて迅速な判断が求められることから、タイムリーな情報の提示が必要不可欠である。したがって、例えば処置を急ぐ必要がある病態から順に処理することで、より迅速に医用情報を出力することができる。このような優先度テーブルはあらかじめ決められた優先度に応じて記憶されたものでもよいし、操作者等によって医療機関のワークフロー等を反映して設定された優先度に応じて設定されたものでもよい。
【0075】
次に、プロセッサ111は、読み出した優先度テーブルに従って、最も優先度の高い病態(第1病態)を解析するための学習済み解析モデル(第1学習済み解析モデル)に入力情報を入力する(S212)。そして、プロセッサ111は、第1学習済み解析モデルから当該第1病態の解析結果を結果情報として取得する(S213)。取得された結果情報は対象者管理テーブルに記憶される。
【0076】
プロセッサ111は、第1病態の結果情報が取得されると、取得された第1病態の重症度が所定の閾値を超えるか否かを判断する(S214)。そして、重症度が所定の閾値を超えると判断された場合には、プロセッサ111は、そのことを通知するための表示オブジェクトを生成する。この一例としては、重症度が所定の閾値を超え「重度」である場合に、プロセッサ111は操作者や医療従事者に第1病態についてすぐに確認することを促すための表示オブジェクトを生成する。
【0077】
表示オブジェクトが生成されると、プロセッサ111は、S213で取得された結果情報に基づいて、第1病態について上記表示オブジェクトを含む医用情報を生成し、出力インターフェイス114又は通信インターフェイス115を介してディスプレイ装置200に生成した医用情報を出力する(S216)。なお、プロセッサ111は、S214で第1病態の重症度が所定の閾値を超えていない場合には、表示オブジェクトを含まない態様で医用情報を出力する。
【0078】
次に、プロセッサ111は、読み出した優先度テーブルに従って、次に優先度の高い病態(第2病態)を解析するための学習済み解析モデル(第2学習済み解析モデル)に入力情報を入力する(S221)。そして、プロセッサ111は、第2学習済み解析モデルから当該第2病態の解析結果を結果情報として取得する(S222)。取得された結果情報は対象者管理テーブルに記憶される。
【0079】
そして、
図7Cによれば、プロセッサ111は、第2病態の結果情報が取得されると、取得された第2病態の重症度が所定の閾値を超えるか否かを判断する(S223)。そして、重症度が所定の閾値を超えると判断された場合には、プロセッサ111は、そのことを通知するために、第1病態の通知オブジェクトとは異なる態様で表示オブジェクトを生成する。
【0080】
表示オブジェクトが生成されると、プロセッサ111は、S222で取得された結果情報に基づいて、第2病態について上記表示オブジェクトを含む医用情報を生成し、出力インターフェイス114又は通信インターフェイス115を介してディスプレイ装置200に生成した医用情報を出力する(S225)。なお、プロセッサ111は、S223で第2病態の重症度が所定の閾値を超えていない場合には、表示オブジェクトを含まない態様で医用情報を出力する。
【0081】
次に、プロセッサ111は、読み出した優先度テーブルに従って、同様の処理を最後の優先度(n番目)の病態まで繰り返す。具体的には、プロセッサ111は、n番目の病態を解析するための学習済み解析モデル(第n学習済み解析モデル)に入力情報を入力する(S231)。そして、プロセッサ111は、第n学習済み解析モデルから当該第n病態の解析結果を結果情報として取得する(S232)。取得された結果情報は対象者管理テーブルに記憶される。
【0082】
プロセッサ111は、第n病態の結果情報が取得されると、取得された第n病態の重症度が所定の閾値を超えるか否かを判断する(S214)。そして、重症度が所定の閾値を超えると判断された場合には、プロセッサ111は、そのことを通知するために、第1病態及び第2病態の通知オブジェクトとは異なる態様で表示オブジェクトを生成する。
【0083】
表示オブジェクトが生成されると、プロセッサ111は、S213で取得された結果情報に基づいて、第n病態について上記表示オブジェクトを含む医用情報を生成し、出力インターフェイス114又は通信インターフェイス115を介してディスプレイ装置200に生成した医用情報を出力する(S216)。なお、プロセッサ111は、S214で第n病態の重症度が所定の閾値を超えていない場合には、表示オブジェクトを含まない態様で医用情報を出力する。これにより、プロセッサ111は、各病態の解析処理を終了する。
【0084】
このように、複数の病態においてあらかじめ決められた優先度に基づいて、病態ごとに生成された学習済み解析モデルに入力情報を入力し、その解析結果を結果情報として取得することで、例えば処置の優先度が高い病態から優先的に結果情報を取得し、医用情報を出力することが可能である。これによって、医療従事者は優先度が高い病態についてより迅速に処置が可能となる。
【0085】
なお、
図7B及び
図7Cの例では、所定の閾値として第1病態、第2病態及び第n病態において、それぞれ同じ閾値を用いた。しかし、これに限らず病態ごとに異なる閾値を用いてもよい。一例としては、第1病態が出血である場合には「重度」に該当する場合のみ表示オブジェクトを生成するようにし、第2病態が骨折である場合には「重度」及び「中度」の両方の場合に表示オブジェクトを生成するようにしてもよい。このように、閾値を病態ごとに調整することで、各病態の重症度に応じてフレキシブルに医用情報の出力が可能となる。
【0086】
8.出力される医用情報
<識別可能に出力される医用情報の例1>
図8A及び
図8Bは、本開示の一実施形態に係る処理装置100から出力される医用情報の一例を示す図である。具体的には、
図8A及び
図8Bは、測定装置400で測定された測定データ(例えば、CT画像)に基づいて解析して得られた結果情報を含む医用情報がディスプレイ等に表示された例を示す。
図8Aによれば、対象者を識別するための対象者ID情報が上方に出力されている。さらに、出力したい病態とそれに対応する医用情報を選択するためのタブ23a~タブ23eが出力されている。これらタブ23a~23eに対する操作者や医療従事者等からの指示入力を入力インターフェイス113が受け付けることによって、所望の病態が選択される。このようなタブは、全ての病態に関する情報が集約して含まれた医用情報を選択するための「全体」タブ23a、出血に関する医用情報を選択するための「出血」タブ23b、骨折に関する医用情報を選択するための「骨折」タブ23c、出血及び骨折に関する情報が集約して含まれた医用情報を選択するための「出血+骨折」タブ23d、感染症に関する医用情報を選択するための「感染」タブ23eが含まれる。また、タブ23fは、表示することができない他の病態を選択するためのタブ(例えば、腫瘍、虚血及び炎症等)を一時的に表示させるためのタブである。このように、病態ごとに医用情報がタブによって分類して出力されることで、病態ごとに医用情報が識別可能に出力される。なお、
図8Aの例では、「全体」タブ23aは通常の態様で表示され、それ以外のタブはグレーで装飾して異なる態様で表示されている。これは、現在「全体」タブ23aが選択されていることを示している。各タブには、
図7B及び
図7Cにおいて、それぞれ対応する病態の医用情報が生成されるごとに、生成された医用情報が追加して出力される。なお、
図8Aから
図9Bに示す各表示画面において、対象者ID情報に代えて、又は対象者ID情報とともに、対象者情報が出力されてもよい。
【0087】
図8Aにおいて、「全体」タブ23aの出力エリア内に各種医用情報が出力されている。具体的には、領域12aには、空間的に連続した複数のCT画像の中から所望のCT画像を選択するための切り替えボタン22が含まれる。プロセッサ111は、入力インターフェイス113によって、当該切り替えボタン22に対する操作入力を受け付けることによって、特定のCT画像を選択し、当該CT画像を表示領域21に出力する。領域12bには、優先度が最も高い病態である出血(第1病態)に対応する医用情報が含まれる。当該医用情報の一例としては、横軸に身体の頭部から脚部に向かう第1方向におけるCT画像の撮像位置が、縦軸に各CT画像により得られた重症度を示す値がそれぞれ示されたグラフが示される。また、領域12bには、解析に用いられたCT画像の少なくとも一部において、
図7BのS214の閾値を超える重症度が取得されたため、そのことを通知するための表示オブジェクト25aが含まれる。領域12cには、優先度が次に高い病態である骨折(第2病態)に対する医用情報と、
図7CのS223の閾値を超える重症度が取得されたことを通知する表示オブジェクト25bが含まれる。領域12dには、優先度が5番目に高い病態である炎症(第5病態)に対する医用情報と、所定の閾値を超える重症度が取得されたことを通知する表示オブジェクト25cが含まれる。領域12b~領域12dのそれぞれには、
図7B及び
図7Cによって出力すべき医用情報が生成されるたびに更新して出力される。
【0088】
ここで、上記のとおり、領域12b~領域12dには、出血(第1病態)、骨折(第2病態)及び炎症(第5病態)に対する医用情報が出力され、炎症よりも優先度の高い感染(第3病態)及び損傷(第4病態)に対する医用情報は出力されていない。これは、感染(第3病態)及び損傷(第4病態)において、重症度が所定の閾値を下回ったことによる。このように、「全体」タブ23aにおいて、重症度が高くいち早く処置を要する病態を優先的に出力することで、医療従事者等がより効率的に情報を参照することが可能となる。
【0089】
また、
図8Aでは、「全体」タブ23aの出力エリア内に、表示オブジェクト25a~表示オブジェクト25cと共に、それらに対応する病態の医用情報が領域12b~領域12dに区分して出力されている。すなわち、表示オブジェクト25a~表示オブジェクト25c及び領域12b~領域12dによって、同一の画面内でありながら、病態ごとに医用情報が識別可能に出力されている。これによって、医療従事者は、同一画面内において、優先度の高い病態の医用情報を、一括して参照したり、各病態を比較しながら参照することが可能となる。
【0090】
また、
図8Aにおいて、タブ23a~23eの各タブには、重症度に応じた表示オブジェクト24a~表示オブジェクト24cが重畳して表示されている。各表示オブジェクト24a~表示オブジェクト24cは、表示オブジェクト25a~表示オブジェクト25cと同様に、病態ごとに異なる態様で出力されており、各表示オブジェクトを見ることによって各病態を識別可能になっている。つまり、表示オブジェクト25aを参照した医療従事者は、当該表示オブジェクト25aと同じ態様の表示オブジェクト24aを探して、表示オブジェクト24aが付された「出血」タブ23bに対する指示入力をすることで、迅速に「出血」タブ23bを選択することができる。また、同様に、表示オブジェクト25bを参照した医療従事者は、当該表示オブジェクト25bと同じ態様の表示オブジェクト24bを探して、表示オブジェクト24bが付された「骨折」タブ23cに対する指示入力をすることで、迅速に「骨折」タブ23cを選択することができる。また、同様に、表示オブジェクト25cを参照した医療従事者は、当該表示オブジェクト25cと同じ態様の表示オブジェクト24cを探して、表示オブジェクト24cが付された「その他」タブ23fに対する指示入力をすることで、迅速に「その他」タブ23fを選択することができる。このように、医療従事者が重症度の高い病態に関する詳細な情報を見たい場合など、病態ごとに識別可能に出力された各表示オブジェクトによって、より迅速に情報に到達することが可能となる。
【0091】
次に、プロセッサ111が「出血」タブ23bに対する指示入力を受け付けると、
図8Bに示すように「出血」の病態に関する医用情報を出力する画面に切り替えられる。すなわち、「出血」タブ23bや「骨折」タブ23d等の特定の病態に対応したタブに対する指示入力が受け付けられた場合は、病態ごとの医用情報を出力する画面に切り替えられることで、病態ごとの医用情報を識別可能に出力する。
図8Bによれば、「出血」タブ23bの出力エリアには、領域13a及び領域13bが含まれ、それぞれ「全体」タブ23aの出力エリアに出力された医用情報より詳細な情報が出力されている。領域13aには、空間的に連続した複数のCT画像の中から所望のCT画像を選択するための切り替えボタン22が含まれる。プロセッサ111は、入力インターフェイス113によって、当該切り替えボタン22に対する操作入力を受け付けることによって、特定のCT画像を選択し、当該CT画像を出力する。また、当該CT画像には、医用情報の一つとして取得された所見情報が重畳して出力される。具体的には、出血の所見情報として取得された「出血点」及び「出血の新旧」(新鮮出血か陳旧出血かを識別する情報)が出力される。また、領域13bには、出血に対する処置を補助するための情報(例えば、病態やその病態に関連する疾患に対する処置のための装置・機器等に関する情報)が医用情報として出力される。
【0092】
このように、病態ごとの医用情報について、病態ごとに用意されたタブによって識別可能にし、また当該タブの選択によって画面を切り替えて出力させ、より詳細な情報を医療従事者に提供可能になる。
【0093】
なお、「骨折」タブ23b等の他のタブが選択された場合について詳細には説明していないが、「出血」タブ23aが選択された場合と同様に、そのタブに対応する病態に関する詳細な医用情報が画面を切り替えて出力される。また、病態ごとに出力される詳細な医用情報や画面のレイアウトは異なるように出力される。すなわち、病態ごとに最適な医用情報を最適なレイアウトで出力することが可能である。
【0094】
<識別可能に出力される医用情報の例2>
図9A及び
図9Bは、本開示の一実施形態に係る処理装置100から出力される医用情報の一例を示す図である。具体的には、
図9A及び
図9Bは、測定装置400で測定された測定データ(例えば、CT画像)に基づいて解析して得られた結果情報を含む医用情報がディスプレイ等に表示された他の例を示す。
図9Aによれば、対象者を識別するための対象者ID情報が上方に出力されている。
【0095】
図9Aによれば、
図8Aと同様に、出力したい病態とそれに対応する医用情報を選択するためのタブ23a~タブ23eが出力されている。これらタブ23a~23eに対する操作者や医療従事者等からの指示入力を入力インターフェイス113が受け付けることによって、所望の病態が選択される。
図9Aでは、「全体」タブ23aが選択され、全ての病態に関する情報が集約して含まれた医用情報が出力された場合を示す。領域14aには、
図8Aと同様に、空間的に連続した複数のCT画像の中から所望のCT画像を選択するための切り替えボタンが含まれる。プロセッサ111は、入力インターフェイス113によって、当該切り替えボタンに対する操作入力を受け付けることによって、特定のCT画像を選択し、当該CT画像を表示領域に出力する。
【0096】
また、領域14bには、二次元人体モデルオブジェクト32を含む。ここで、上記のとおり、CT画像は、典型的には、ヒトの身体において所定の範囲(少なくとも複数の部位(例えば、頭部、胸部、腹部、骨盤部など)や全身にわたって、空間的に一定の間隔で、身体の頭部と脚部を結ぶ方向(第1方向)に、厚さ方向の断面を撮影することによって取得される。すなわち、撮影された複数のCT画像について上記のとおり病態の有無等を解析し、さらに撮影された複数のCT画像を重ね合わせることによって、第1方向において各病態が生じた位置を特定することが可能である。
【0097】
したがって、
図9Aに示すように、複数のCT画像に基づいて対象者の人体モデル再現した二次元人体モデルオブジェクト32が生成される。また、このようなCT画像から再現された二次元人体モデルオブジェクト32に対して、病態ごとにそれが生じた第1方向における位置を通知するための表示オブジェクト31a~表示オブジェクト31cが重畳して出力される。具体的には、表示オブジェクト31aは出血の病態が生じた位置を示し、表示オブジェクト31bは骨折の病態が生じた位置を示し、表示オブジェクト31cは炎症の病態が生じた位置を示す。そして、各表示オブジェクト31a~表示オブジェクト31cは、それぞれ異なる態様になっており、病態ごとに識別可能に出力される。
【0098】
なお、このとき、二次元人体モデルオブジェクト32に対して、解析された全ての病態が出力されてもよいが、より重症度が高い病態に対応する表示オブジェクトのみが優先的に出力されるのが好ましい。上記のとおり、各病態については優先度テーブルに設定された順番でその解析が行われ、各病態について重症度が取得される。したがって、
図7B及び
図7CのS214、S223及びS233等において重症度が所定の閾値よりも高いと判断された病態に対応する表示オブジェクトを優先的に出力することが可能である。
図9Aによれば、重症度が閾値よりも高いと判断された出血(第1病態)、骨折(第2病態)及び炎症(第5病態)にそれぞれ対応して、表示オブジェクト31a~表示オブジェクト31cが出力されている。これにより、医療従事者は、処置の優先度が高い病態が生じている位置を優先的に把握することが可能となる。
【0099】
また、表示オブジェクト31a~表示オブジェクト31cは、病態が見られるCT画像に対応する全ての位置に出力される必要はない。上記のとおり、各病態について、その重症度が取得され、閾値との比較が行われる。したがって、各表示オブジェクト31a~表示オブジェクト31cによって閾値を超えた重症度が取得されたCT画像に対応する位置のみを示すようにしてもよい。これにより、医療従事者は、より重要な箇所を迅速に把握することが可能となる。
【0100】
図9Aにおいて、
図8Aと同様に、タブ23a~23eの各タブには、重症度に応じた表示オブジェクト24a~表示オブジェクト24cが重畳して表示されている。表示オブジェクト24a~表示オブジェクト24cの態様は、第1方向において各病態が生じている位置を示す表示オブジェクト31a~31cの態様に対応する。すなわち、出血の病態が生じた位置を示す表示オブジェクト31aに対応する態様で表示オブジェクト24aが出力され、骨折の病態が生じた位置を示す表示オブジェクト31bに対応する態様で表示オブジェクト24bが出力され、炎症の病態が生じた位置を示す表示オブジェクト31cに対応する態様で表示オブジェクト24cが出力される。これによって、優先的に確認すべき病態が生じた位置が把握されると、それに対応する病態のタブを表示オブジェクト24a~表示オブジェクト24cに基づいて探すことで、より迅速に見つけることが可能となる。
【0101】
次に、プロセッサ111が「出血」タブ23bに対する指示入力を受け付けると、
図9Bに示すように「出血」の病態に関する医用情報を出力する画面に切り替えられる。すなわち、「出血」タブ23bや「骨折」タブ23d等の特定の病態に対応したタブに対する指示入力が受け付けられた場合は、病態ごとの医用情報を出力する画面に切り替えられることで、病態ごとの医用情報を識別可能に出力する。
図9Bによれば、「出血」タブ23bの出力エリアには、領域15a~領域15cが含まれ、「全体」タブ23aの出力エリアに出力された医用情報より詳細な情報が出力されている。領域15aには、空間的に連続した複数のCT画像の中から所望のCT画像を選択するための切り替えボタン22が含まれる。プロセッサ111は、入力インターフェイス113によって、当該切り替えボタン22に対する操作入力を受け付けることによって、特定のCT画像を選択し、当該CT画像を出力する。
【0102】
また、領域15bには、
図9Aと同様に、二次元人体モデルオブジェクト32に重畳して、表示オブジェクト41aが出力されている。当該表示オブジェクト41aは、出血の病態が生じた第1方向における位置を示す。これにより、出血が生じた第1方向における位置を迅速に把握することが可能である。なお、当該表示オブジェクト41aは、出血の病態が見られるCT画像に対応する全ての位置に出力される必要はない。
図9Aと同様に、閾値を超えた重症度が取得されたCT画像に対応する位置のみを示すようにしてもよい。これにより、医療従事者は、より重要な箇所を迅速に把握することが可能となる。
【0103】
また、領域15cには、出血に対する処置を補助するための情報(例えば、病態やその病態に関連する疾患に対する処置のための装置・機器等に関する情報)が医用情報として出力される。
【0104】
このように、病態ごとの医用情報について、病態ごとに用意されたタブによって識別可能にし、また当該タブの選択によって画面を切り替えて出力させ、より詳細な情報を医療従事者に提供可能になる。
【0105】
なお、「骨折」タブ23b等の他のタブが選択された場合について詳細には説明していないが、「出血」タブ23aが選択された場合と同様に、そのタブに対応する病態に関する詳細な医用情報が画面を切り替えて出力される。また、病態ごとに出力される詳細な医用情報や画面のレイアウトは異なるように出力される。すなわち、病態ごとに最適な医用情報を最適なレイアウトで出力することが可能である。
【0106】
ここで、
図10Aは、本開示の一実施形態に係る処理装置100から出力される病態ごとの医用情報の一例を示す図である。具体的には、
図10Aは、
図9Aの領域14b及び
図9Bの領域15bに二次元人体モデルオブジェクト32に対して重畳して出力される医用情報の他の例を示す。
【0107】
図10Aによれば、
図9Aの領域14bに出力される医用情報に代えて、(a)に示す医用情報を出力することができる。ここで、上記のとおり、例えばCT画像のように全身にわたって取得される測定データを用いる場合、身体の頭部と脚部を結ぶ方向(第1方向)において病態が生じた位置を特定することが可能である。さらに、各断面において取得された各CT画像に着目すると、第1方向に対して垂直な方向(第2方向:
図10Aの例では身体を正面視した場合の横方向)において病態が生じた位置を特定することができる。したがって、第1方向及び第2方向における各位置を組み合わせることで、病変が生じた位置を、第2方向において識別可能に出力することが可能である。
【0108】
さらに、
図10A(a)によれば、特定された病態に応じて異なる態様の表示オブジェクト51a~表示オブジェクト51cを、二次元人体モデルオブジェクト32に重畳させて示している。したがって、
図9Aと同様に、当該表示オブジェクト51a~表示オブジェクト51cによって特定された病態を識別可能となっている。また、当該表示オブジェクト51a~表示オブジェクト51cの態様は、それぞれ
図9Aの表示オブジェクト24a~表示オブジェクト24cに対応する態様となっている。したがって、医療従事者は、表示オブジェクト51a~表示オブジェクト51cに基づいて着目したい病態がある場合に、対応する態様の表示オブジェクト24a~表示オブジェクト24cを探すことにより、より迅速にタブの選択が可能となる。
【0109】
次に、
図9Bの領域15bに出力される医用情報に代えて、
図10A(b)に示す医用情報を出力することができる。すなわち、
図10A(b)の医用情報は、
図9Aの画面において「出血」タブ23bに対する指示入力が受け付けられ、出血の詳細情報として出力される医用情報の例である。(b)によれば、選択されたタブに対応して、出血の位置を示す表示オブジェクト51aのみが重畳して出力されている。
【0110】
なお、
図9A及び
図9Bと同様に、各表示オブジェクト51a~表示オブジェクト51cは、各病態が生じた位置全てについて出力される必要はなく、閾値を超える重症度が見られる位置のみについて出力してもよい。
【0111】
また、各表示オブジェクト51a~表示オブジェクト51cは、
図10Aの例ではたまたまそれぞれが隣接して出力されているが、同じ位置で病変が生じている場合には互いに重なって出力されていてもよい。
【0112】
図10Bは、本開示の一実施形態に係る処理装置100から出力される病態ごとの医用情報の一例を示す図である。具体的には、
図10Bは、
図9Aの領域14b及び
図9Bの領域15bに二次元人体モデルオブジェクト32に対して重畳して出力される医用情報のさらに他の例を示す。
【0113】
図10Bによれば、
図9Aの領域14bに出力される医用情報に代えて、(a)に示す医用情報を出力することができる。ここで、学習済み解析モデルから取得される結果情報である各病態が生じた位置情報としては、
図9A、
図9B及び
図10Aで示したような座標情報に代えて、肝臓、すい臓、脾臓など臓器や器官の情報も利用することが可能である。そこで、
図10B(a)においては、CT画像から再現された二次元人体モデルオブジェクトではなく、各器官や各器官を細分化した区域(例えば、クイノー(Couinaud)の肝臓区域分類)ごとに区分けした二次元人体モデルオブジェクト62が出力される。すなわち、当該二次元人体モデルオブジェクト62は、解剖学的正位、つまりは手のひらを正面に向けてまっすぐに立った姿勢であらわした二次元人体モデルオブジェクトであり、その内部に各器官や各器官を細分化した区域がそれぞれ示されている。
【0114】
図10Bの(a)によれば、特定された病態に応じて異なる態様の表示オブジェクト61a~表示オブジェクト61cを、二次元人体モデルオブジェクト62の各器官又はそれらを細分化した区域に沿うように重畳させて示している。したがって、当該表示オブジェクト61a~表示オブジェクト61cによって、特定された病態が生じている器官又は区域を識別可能となっている。また、各表示オブジェクト61a~表示オブジェクト61cは、それぞれ病態ごとに異なる態様で出力されている。したがって、表示オブジェクトの態様を確認することにより、医療従事者は病態を識別することができる。さらに、当該表示オブジェクト61a~表示オブジェクト61cの態様は、それぞれ
図9Aの表示オブジェクト24a~表示オブジェクト24cに対応する態様となっている。したがって、医療従事者は、表示オブジェクト61a~表示オブジェクト61cに基づいて着目したい病態がある場合に、対応する態様の表示オブジェクト24a~表示オブジェクト24cを探すことにより、より迅速にタブの選択が可能となる。
【0115】
次に、
図9Bの領域15bに出力される医用情報に代えて、
図10B(b)に示す医用情報を出力することができる。すなわち、
図10B(b)の医用情報は、
図9Aの画面において「出血」タブ23bに対する指示入力が受け付けられ、出血の詳細情報として出力される医用情報の例である。(b)によれば、選択されたタブに対応して、出血が生じた器官又は区域を示す表示オブジェクト61aのみが重畳して出力されている。
【0116】
なお、
図9A及び
図9Bと同様に、各表示オブジェクト61a~表示オブジェクト61cは、各病態が生じた器官又は区域全てにおいて出力される必要はなく、閾値を超える重症度が見られる器官又は区域のみに重畳して出力してもよい。
【0117】
このように、
図10Bに示すような二次元人体モデルオブジェクトを利用することにより、各病態が生じている器官又は区域をより直接的に把握することができる。
【0118】
以上、本実施形態においては、医用情報をより効果的に出力することが可能な処理装置、処理プログラム、処理方法及び処理システムを提供することができる。
【0119】
9.その他
上記実施形態においては、測定データ領域及び病態情報領域に出力される各情報についてその具体例を挙げて説明した。しかし、本開示においては、特定された病態ごとに適切な出力態様を選択できればよく、当然に各出力態様において出力される情報はこれら具体例のみに限らない。
【0120】
上記実施形態においては、測定装置400としてCT装置を含む数種類の装置を用いる場合について説明した。しかし、これらに限らず、MRI装置、レントゲン装置、心電計装置、超音波診断装置、内視鏡装置、血圧計装置、アンギオグラフィー又はこれらの組み合わせを測定装置400として用い、MRI画像、三次元計測データ、レントゲン画像データ、心電データ、エコー検査データ、内視鏡画像データ、血圧測定データ、採血データ、呼吸機能データ、アンギオグラフィー画像その他の検査データ又はこれらの組み合わせを入力情報として用いてもよい。例えば、血圧測定データを用いる場合、ある時点の局所的な血圧測定データや所定の期間において経時的に変化する血圧測定データを入力情報として用いることが可能である。
【0121】
上記実施形態においては、測定装置400で測定された測定データに基づいて結果情報(病態の有無、それが生じている場所及びその重症度)を取得するようにした。しかし、測定装置400で測定された測定データに加えて、問診情報、所見情報、他の測定データ(MRI画像、三次元計測データ、レントゲン画像データ、心電データ、エコー検査データ、内視鏡画像データ、血圧測定データ、採血データ、呼吸機能データ、その他の検査データ又はこれらの組み合わせ)などを組み合わせて結果情報を取得するようにしてもよい。
【0122】
上記実施形態で説明した学習済み解析モデルは、ニューラルネットワークや畳み込みニューラルネットワークを用いて生成した。しかし、これらに限らず、ニアレストネイバー法、決定木、回帰木、ランダムフォレスト等の機械学習を用いて生成することも可能である。
【0123】
上記実施形態では、二次元人体モデルオブジェクト32又は二次元人体モデルオブジェクト62を用いる場合について説明した。しかし、CT画像等の測定データでは、第1方向及び第2方向に加えて、さらに奥行き方向(第3方向:
図10Aの例では身体を正面視した場合の奥行き方向)の位置の情報を取得することも可能である。そのため、二次元人体モデルオブジェクト32又は二次元人体モデルオブジェクト62に代えて三次元人体モデルを利用し、当該三次元人体モデルに重畳して、三次元的に各表示オブジェクトを出力することも可能である。また、
図9Aの例では第1方向における位置を示すように各表示オブジェクトを出力したが、これに限らず第2方向又は第3方向における位置を示すように二次元人体モデルオブジェクト及び各表示オブジェクトを出力するようにしてもよい。さらに、第1方向~第3方向のいずれかの方向において病変が生じている位置が示せればよく、二次元又は三次元人体モデルに代えて、又は加えて、例えば横軸に位置が、縦軸に重症度を有するグラフ等によって医用情報を出力してもよい。また、身体を撮像した連続する複数のCT画像の撮像データを用いて画像の再構築を行うことで、任意平面での身体の断面の画像を生成することが可能である。そのため、処理装置100は、上記の第1方向~第3方向とは異なる方向(例えば体軸の第1方向に対して平行でも垂直でもない第4方向)における各病態の発生位置を特定して、識別可能に出力してもよい。
【0124】
上記実施形態では、医用情報の一つとして、各種表示オブジェクトによって病態、その位置、及びその重症度を識別可能に出力した。しかし、各図において具体的に描かれた図形に限らず、他の図形、テキスト、音声、振動など、他の方法によってそれらを識別可能に出力してもよい。
【0125】
上記実施形態では、
図8A~
図9B等において病態ごとのタブを利用して識別可能に医用情報を出力する場合について説明した。しかし、これに限らず、ウィンドウの切り替え、メニュー項目の選択など、他の方法によって出力する医用情報を切り替えるようにしてもよい。
【0126】
上記実施形態では、優先度テーブルを用いて、優先度の高い病態から順に、出血、骨折、感染、損傷、炎症、腫瘍、虚血、胸水や腹水などの液体成分異常、消化管穿孔などに伴う気体成分の分布異常の順に優先度を設定する場合について説明した。しかし、このような優先度の順序は一例であって、医療機関のワークフローや操作者の選択等に基づいて適宜変更してもよい。また、対象となる病態も、上記に限らず他の病態の組み合わせを用いてもよい。
【0127】
本明細書で説明される処理及び手順は、実施形態において明示的に説明されたものによってのみならず、ソフトウェア、ハードウェア又はこれらの組み合わせによっても実現可能である。具体的には、本明細書で説明された処理及び手順は、集積回路、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、磁気ディスク、光ストレージ等の媒体に、当該処理に相当するロジックを実装することによって実現される。また、本明細書で説明される処理及び手順は、それらの処理・手順をコンピュータプログラムとして実装し、処理装置やサーバ装置を含む各種のコンピュータに実行させることが可能である。
【0128】
本明細書中で説明される処理及び手順が単一の装置、ソフトウェア、コンポーネント、モジュールによって実行される旨が説明されたとしても、そのような処理又は手順は、複数の装置、複数のソフトウェア、複数のコンポーネント、及び/又は、複数のモジュールによって実行されるものとすることができる。また、本明細書中で説明される各種情報が単一のメモリや記憶部に格納される旨が説明されたとしても、そのような情報は、単一の装置に備えられた複数のメモリ又は複数の装置に分散して配置された複数のメモリに分散して格納されるものとすることができる。さらに、本明細書において説明されるソフトウェア及びハードウェアの要素は、それらをより少ない構成要素に統合して、又は、より多い構成要素に分解することによって実現されるものとすることができる。
【符号の説明】
【0129】
1 処理システム
100 処理装置
200 ディスプレイ装置
300 モデル生成装置
400 測定装置