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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017469
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】医療検査用カセットオープナー
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/36 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
G01N1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120507
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】591242450
【氏名又は名称】村角工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182084
【弁理士】
【氏名又は名称】中道 佳博
(72)【発明者】
【氏名】徳山 官秀
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA33
2G052AD32
2G052AD52
2G052DA12
2G052FA03
2G052JA04
2G052JA05
(57)【要約】
【課題】 薬液処理等を終えた検体を収容する医療検査用カセットにおけるカセット本体から蓋体の開放を簡便に行うことのできる医療検査用カセットオープナーを提供すること。
【解決手段】 本発明の医療検査用カセットオープナーは、平面を有するベース部分と、
該ベース部分に設けられたカセット本体係止部と、該ベース部分の長さ方向において、該カセット本体係止部から間隔を空けて該ベース部分上に立設された蓋体係止解除部とを備える。本発明によれば、医療検査用カセットにおけるカセット本体から蓋体の開放を比較的軽い力で行うことができる。その際、カセット本体内に収容された検体が勢いよく飛散することも回避できる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面を有するベース部分と、
該ベース部分に取付けられたカセット本体係止部と、
該カセット本体係止部から間隔を空けて該ベース部分上に立設された蓋体係止解除部と
を備える、医療検査用カセットオープナー。
【請求項2】
前記カセット本体係止部と前記蓋体係止解除部との間の前記間隔が調整可能である、請求項1に記載の医療検査用カセットオープナー。
【請求項3】
前記カセット本体係止部が前記ベース部分に固定されており、該カセット本体係止部と前記蓋体係止解除部との間の前記間隔の調整が該蓋体係止解除部の底面から突出する少なくとも1つの位置決めピンと、該ベース部分の前記長さ方向に沿って設けられた複数のピン孔との嵌合により行われる、請求項2に記載の医療検査用カセットオープナー。
【請求項4】
前記ベース部分の幅方向において、医療検査用カセットの幅に対応するように第2の間隔を空けて配置された2つのカセット側面支持部をさらに備える、請求項1に記載の医療検査用カセットオープナー。
【請求項5】
前記2つのカセット側面支持部の間の前記間隔が調整可能である、請求項4に記載の医療検査用カセットオープナー。
【請求項6】
前記2つのカセット側面支持部の間の前記間隔の調整が、該2つのカセット側面支持部の底面から突出する少なくとも1つの第2の位置決めピンと前記ベース部分の前記幅方向に沿って設けられた複数の第2のピン孔との嵌合により行われる、請求項5に記載の医療検査用カセットオープナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療検査用カセットオープナーに関し、より詳細には医療検査用顕微鏡標本の作製のために使用される医療検査用カセットの本体と蓋体との分離を行うためのオープナーに関する。
【背景技術】
【0002】
医療検査の現場では、生体から採取した検体を用いて医療検査用の顕微鏡標本が作製され、種々の診断が行われている。顕微鏡標本は、生体から得られた検体を、水洗、アルコールによる水分除去、およびキシレン等の有機溶媒による薬液処理のような各種処理を経た後、パラフィン内に包埋してパラフィンブロックの形態に固化され、当該ブロックを検体とともにスライスすることにより作製される。
【0003】
上記採取した検体を用いて顕微鏡標本の作製に至るまでには、医療検査用カセットと呼ばれる容器が使用される(例えば、特許文献1)。医療検査用カセットは、検体を収容するカセット本体とカセット本体を覆う蓋体で構成されており、カセットの外部と内部との間を連通する多数の透孔が設けられている。採取した検体は当該カセットの内部に収納した状態で透孔を通じて上記薬液処理等が行われるため、臨床検査医が検体を直接触れるような機会は低減される。
【0004】
パラフィンブロックの作製の際には、カセットから蓋体を取り外し、カセット本体の検体を取り出す必要がある。しかし、こうした医療検査用カセットの多くの蓋体は係止爪を介してカセット本体に堅く係止されている。このため、強引に蓋体を開くと内部の検体が飛散するリスクがあり、慎重な作業が必要とされている。それにより多くの検体を取り扱う当該検査に携わる者にとって個々の蓋体の取り外しは非常に煩雑であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-194021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、薬液処理等を終えた検体を収容する医療検査用カセットにおけるカセット本体から蓋体の開放を簡便に行うことのできる医療検査用カセットオープナーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、平面を有するベース部分と、
該ベース部分に取付けられたカセット本体係止部と、
該カセット本体係止部から間隔を空けて該ベース部分上に立設された蓋体係止解除部と
を備える、医療検査用カセットオープナーである。
【0008】
1つの実施形態では、上記カセット本体係止部と上記蓋体係止解除部との間の上記間隔は調整可能である。
【0009】
さらなる実施形態では、上記カセット本体係止部は上記ベース部分に固定されており、該カセット本体係止部と上記蓋体係止解除部との間の上記間隔の調整は該蓋体係止解除部の底面から突出する少なくとも1つの位置決めピンと、該ベース部分の上記長さ方向に沿って設けられた複数のピン孔との嵌合により行われる。
【0010】
1つの実施形態では、本発明の医療検査用カセットオープナーはまた、上記ベース部分の幅方向において、医療検査用カセットの幅に対応するように第2の間隔を空けて配置された2つのカセット側面支持部をさらに備える。
【0011】
さらなる実施形態では、上記2つのカセット側面支持部の間の上記間隔は調整可能である。
【0012】
またさらなる実施形態では、上記2つのカセット側面支持部の間の上記間隔の調整は、該2つのカセット側面支持部の底面から突出する少なくとも1つの第2の位置決めピンと上記ベース部分の上記幅方向に沿って設けられた複数の第2のピン孔との嵌合により行われる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、医療検査用カセットにおけるカセット本体から蓋体の開放を比較的軽い力で行うことができる。その際、カセット本体内に収容された検体が勢いよく飛散することも回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)は本発明の医療検査用カセットオープナーの一例を示す斜視図であり、(b)は(a)に示すカセットオープナーの断面図である。
図2図1に示すカセットオープナーにおいてベース部分から蓋体係止解除部を取り外した状態を説明する当該カセットオープナーの斜視図である。
図3】(a)本発明のカセットオープナーが使用され得る医療検査用カセットの一例を示す斜視図であり、(b)は(a)に示す医療検査用カセットの断面図である。
図4図1に示すカセットオープナーにおけるベース部分と、カセット本体係止部と、蓋体係止解除部との間の関係を説明するための当該カセットオープナーの断面図である。
図5図1に示すカセットオープナーを用いて、医療検査用カセットのカセット本体から蓋体の係合を解除した状態を説明するための模式断面図である。
図6図1に示すカセットオープナーにおいて、ベース部分上の蓋体係止解除部の配置を変更した状態を説明するための断面図である。
図7】本発明の医療検査用カセットオープナーの他の例を示す当該カセットオープナーの断面図である。
図8】本発明の医療検査用カセットオープナーの別の例を示す当該カセットオープナーの斜視図である。
図9図8に示すカセットオープナーにおいてベース部分から蓋体係止解除部およびカセット側面支持部を取り外した状態を説明する当該カセットオープナーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を添付の図面を参照して説明する。なお、以下のすべての図面に共通して同様の参照番号を付した構成は、他の図面に示したものと同様である。
【0016】
図1の(a)に示すように本発明の医療検査用カセットオープナー100は、ベース部分120、カセット本体係止部140、および蓋体係止解除部160を備える。
【0017】
ベース部分120は(例えば上方に)平面122を有し、比較的硬質な材料で構成されている。ベース部分120は、例えば平面122方向において、後述する医療検査用カセットよりも大きくなるように設計されており、平面122上には複数のピン孔126が設けられている。図1の(b)では、ピン孔126はベース部分120の長さ方向に一列に並んで配置されており、1つのピン孔126とそれに隣接するピン孔126との間隔は一定となるように設計されている。本発明において、ピン孔126はベース部分120に対して二列またはそれ以上に並んで設けられていてもよい。
【0018】
ベース部分120を構成し得る材料としては、必ずしも限定されないが、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル樹脂、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂、AS(アクリロニトリル・スチレン)樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂などの合成樹脂;ステンレススチール、鋼板、アルミニウム、チタン、銅などの金属;無垢材、集成材、積層材などの木材;ガラス;セラミックス;ならびにそれらの組み合わせ(例えば積層体)からなる材料が挙げられる。汎用されており、成形または加工が容易であるとの理由から、ポリプロピレンが好ましい。
【0019】
再び図1の(a)を参照すると、ベース部分120は独立した1つの部品の形態で記載されているが、本発明は当該形態に限定されない。例えば、ベース部分120は作業台、実験台、事務机、作業治具などの物品の一部分を構成する部材であってもよい。
【0020】
カセット本体係止部140はベース部分120に取付けられている。例えば、図1の(b)に示すようにカセット本体係止部140はベース部分120に対して、カセット本体係止部140の係止端部142がベース部分120の平面122よりも上方に位置するように取付られている。
【0021】
図1の(b)において、カセット本体係止部140は、例えばベース部分120の長手方向の端部124と図示しない固定手段によって強固に取付けられている。このような固定手段としては、特に限定されないが、例えば、接着剤およびネジ、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0022】
1つの実施形態では、本発明において、カセット本体係止部140の一方の面144(すなわち、蓋体係止解除部160と対向する内側面144)とベース部分120の平面122との間の角度θは鋭角または直角であることが好ましく、45°~110°であることがより好ましく、70°~90°であることがさらに好ましい。あるいは、1つの実施形態では、当該角度θは鋭角または直角であることが好ましい。これにより、後述する医療検査用カセットのカセット本体から蓋体の係合を解除する際、当該カセット本体の一部分が、カセット本体係止部140の当該内側面144に係止し易くなり、その結果カセット本体からの蓋体の取り外しを一層容易にすることができる。
【0023】
カセット本体係止部140もまた比較的硬質な材料で構成されている。カセット本体係止部140を構成し得る材料としては、必ずしも限定されないが、上記ベース部分120を構成し得る材料と同様である。さらに、本発明においては、カセット本体係止部140は、上記ベース部分120を構成する材料と同一の材料からなるものであってもよい。
【0024】
蓋体係止解除部160は、カセット本体係止部140から間隔を空けてベース部分120上に立設されている。
【0025】
図1の(b)に示す実施形態では、蓋体係止解除部160は台座部分162および立壁部分164から構成されるL字状の形態を有する。あるいは、蓋体係止解除部は、台座部分上でベース部分の長さ方向に沿って少なくとも一部が湾曲した(例えば、C字状または逆C字状の)形態を有していてもよい。
【0026】
台座部分162は、底面166を介してベース部分120の平面122上に配置可能であり、底面166には少なくとも1つの位置決めピン168が設けられている。位置決めピン168は、例えば円柱、四角柱、または多角柱の形態を有する。さらに、位置決めピン168はベース部分120の平面122に設けられたピン孔126と嵌合することができる。
【0027】
本発明においては、台座部分162の底面166に複数の位置決めピン168がベース部分120の長さ方向に沿って一列に並んで配置されていることが好ましい。複数の位置決めピン168がこのような配置で設けられていることにより、蓋体係止解除部160の台座部分162はベース部分120の平面122上で、ぐらつきや回転することなく、より確実に固定され得る。
【0028】
立壁部分164は台座部分162上に配置され、当該立壁部分164と台座部分162とは互いに連結または一体的に成形されている。立壁部分164はまた、医療検査用カセットにおける蓋体の係止部分(例えば、後述する係止爪)と接触可能な係止端部169を有する。図1の(b)において、立壁部分164は、台座部分162の底面166に対して略垂直な方向に真っ直ぐかつ上方に延び、かつ係止端部169もまた当該略垂直な方向に指向しているように表されているが、本発明において立壁部分164はこのような形状にのみ限定されない。例えば、図1の(b)に示す方向において、立壁部分164は台座部分162から上方に向かって円弧状(例えば、逆C字状)に湾曲して延び、かつ係止端部169がカセット本体係止部140の内側面144方向に指向するものであってもよい。
【0029】
蓋体係止解除部160もまた比較的硬質な材料で構成されている。蓋体係止解除部160を構成し得る材料としては、必ずしも限定されないが、上記ベース部分120またはカセット本体係止部140を構成し得る材料と同様である。さらに、本発明においては、蓋体係止解除部160は、上記ベース部分120またはカセット本体係止部140を構成する材料と同一の材料からなるものであってもよい。
【0030】
本発明の医療検査用カセットオープナー100では、好ましくはカセット本体係止部140と蓋体係止解除部160との間の間隔が調整可能である。
【0031】
図2は、図1に示すカセットオープナー100においてベース部分120から蓋体係止解除部140を取り外した状態を説明する当該カセットオープナーの斜視図である。
【0032】
上述のように、ベース部分120には平面122上に複数のピン孔126が互いに所定の間隔を空けてベース部分120の長さ方向に沿って一列に配置されており、かつ蓋体係止解除部140を構成する台座部分162の底面166には、所定の間隔を空けて配置された複数の位置決めピン168が設けられている。このような構成により、ベース部分120の平面122上に配置される蓋体係止解除部140の位置を自由に変更することができ、使用する医療検査用カセットの大きさに応じて、カセット本体係止部140と蓋体係止解除部160との間の間隔を調整することができる。
【0033】
本発明のカセットオープナーは、使用する医療検査用カセットのサイズに応じて任意のサイズに設計されている。
【0034】
ここで、まず本発明のカセットオープナーを使用することができる一般的な医療検査用カセットの構成について説明する。
【0035】
医療検査用カセット200は、カセット本体210と蓋体240とから構成されている(図3の(a)および(b))。
【0036】
カセット本体210は内部に検体260を収容し得る開口部212を有し、検体260に薬液処理を施す際に外部から薬液を効率良く取り込むための多数の透孔214が底部215から開口部212に連通するように設けられている。さらにカセット本体210の側面には、検体260を採取した患者のID番号や、病院または検査施設名、管理番号等の個別情報、および/またはそれに対応するバーコードまたは二次元バーコードを印刷するための情報表示面216が設けられている。なお、図3の(a)および(b)において、情報表示面216はカセット本体210の一部から突出して斜面を形成するように設けられているが、この形態に特に限定されない。また、カセット本体210には、開口部212の近傍に蓋体240の一部から延びる係止片242を収容するための係止片収容孔218と、当該蓋体240の他の一部から延びる係止爪244と係止可能な突起220が設けられている。さらにカセット本体210において、係止片収容孔218と突起220とは開口部212を挟んで対向するように配置されている。
【0037】
蓋体240は、カセット本体210の開口部212を覆うことができるサイズを有し、その外表面222と内表面224との間の薬液の通過を可能にする複数の透孔226を有する。蓋体240はまた、肉薄かつ内表面224側に傾斜して延びる係止片242と、当該係止片242と対向するように設けられておりかつ内表面224が内側に折れ曲がった形状を有する係合爪244とを備える。ここで、蓋体240の係止片242が上記カセット本体210の係止片収容孔218に挿入され、かつ蓋体240の係止爪244が上記カセット本体210の突起220と係止することにより、カセット本体210の開口部212を蓋体240で覆うことができる。
【0038】
こうした、カセット本体210および蓋体240はそれぞれが独立して比較的硬質な材料(例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリアセタールなどの樹脂)で構成されている。
【0039】
本発明のカセットオープナーは、このような医療検査用カセット200に対して、例えば以下を満たすサイズに設計されている。
【0040】
まず、本発明のカセットオープナー100は、図4に示す当該オープナー100の断面において、ベース部分120の平面122とカセット本体係止部140とが接触する部分Pから、蓋体係止解除部160の係止端部169までの最短距離Lが、図3の(b)に示す医療検査用カセット200の全長(すなわち、図3の(b)におけるカセット本体210の情報表示面216の端部Sから蓋体240の係止爪244の端部Sまでの水平方向の長さに相当する長さである)Lと略同じであるか僅かに小さくなる(L≦L)ように設計されている。その結果、医療検査用カセット200の蓋体240を上方に向けた状態で当該カセット100の上記端部Sを、ベース部分120の平面122とカセット本体係止部140とが接触する部分Pに合わせ、当該カセット100における蓋体240の係止爪244を蓋体係止解除部160の係止端部169に接触させてその後カセット100を軽く押し込むことにより、カセット本体210から蓋体240を容易に取り外すことができる(図5)。
【0041】
次に、再び図4を参照すると、ベース部分120の平面122上に設けられたピン孔126の個々の間隔Tは互いに同一となるように設計されている。これにより、サイズの異なる(例えば全長が図3に示すLよりも短い)医療検査用カセットを用いる場合は、図4に示す状態から、カセットオープナー100の蓋体係止解除部160を一旦ベース部分120から取り外し、その後図6に示すように当該蓋体係止解除部160の位置決めピン168を別のピン孔126(例えば、カセット本体係止部140に一層近づいた場所に位置するピン孔126)に嵌合させることにより、上記部分Pから蓋体係止解除部160の係合端部169までの最短距離を(図4に示すLから)Lに変更することができる。
【0042】
このようにして図1に示す本発明の医療検査用カセットオープナー100は、種々のサイズを有する医療検査用カセットについてカセット本体から蓋体を容易に取り外すことができる。
【0043】
図7は、本発明の医療検査用カセットオープナーの他の例を示す当該カセットオープナーの断面図である。
【0044】
図7に示す医療検査用カセットオープナー300では、ベース部分320の平面322上に複数のピン孔326が個々の間隔T’が互いに同一となるように配置されている。
【0045】
このようなベース部分320に対して、係止端部369を有する蓋体係止解除部360が図示しない固定手段で取り付けられており、その一方で、当該蓋体係止解除部360から間隔を空けてベース部分320上にカセット本体係止部340が立設されている。
【0046】
カセット本体係止部340は、台座部分342および立壁部分344で構成されており、当該台座部分342と立壁部分344とは互いに連結または一体的に成形されている。台座部分342の底面346には、下方に向かって突出する複数の位置決めピン348が設けられており、上記ベース部分320の平面322に設けられた複数のピン孔326と嵌合可能である。
【0047】
図7に示す医療検査用カセットオープナー300もまた、ベース部分320の平面322に設けられた複数のピン孔326に対して、カセット本体係止部340の複数の位置決めピン348の嵌合位置を変動させることにより、カセット本体係止部340と蓋体形成解除部360との間の間隔が調整可能である。
【0048】
医療検査用カセットオープナー300では、医療検査用カセットの蓋体を上方に向けた状態で当該カセットの上記端部、すなわち係止爪が設けられていない側の端部を、ベース部分320の平面322とカセット本体係止部340とが接触する部分Pに合わせ、当該カセットにおける蓋体の係止爪を蓋体係止解除部360の係止端部369に接触させてその後カセットを軽く押し込むことにより、カセット本体から蓋体を容易に取り外すことができる。
【0049】
図8は、本発明の医療検査用カセットオープナーの別の例を示す当該カセットオープナーの斜視図である。
【0050】
図8に示す医療検査用カセットオープナー400は、図1の(a)に示すカセットオープナー100と同様に、平面422を有するベース部分420、カセット本体係止部440、および立設された蓋体係止解除部160を備える。
【0051】
図8に示すベース部分420は、図1の(a)に示すベース部分120よりも幅広に設計されている。カセット本体係止部440の幅もまた、ベース部分420の幅に合わせて幅広に設計されている。
【0052】
図8に示すカセットオープナー400では、ベース部分420の幅方向において、医療検査用カセットの幅に対応するように所定の間隔(第2の間隔ともいう)を空けて2つのカセット側面支持部482,484が配置されている。第2の間隔は、後述のようにカセット側面支持部482,484の配置を変更することにより、好ましくはベース部分420上で調整可能である。
【0053】
図8において、カセット側面支持部482,484はいずれも第2の台座部分492,493および第2の立壁部分494,495から構成されるL字状の形態を有する。
【0054】
第2の台座部分492,493は、底面496,497を介してベース部分420の平面422上に配置可能であり、底面496,497のそれぞれには少なくとも1つの第2の位置決めピン498が設けられている。第2の位置決めピン498は、例えば円柱、四角柱、または多角柱の形態を有する。さらに、第2の位置決めピン498はベース部分420の平面422に設けられた第2のピン孔499と嵌合することができる。
【0055】
カセットオープナー400においては、例えば図9に示すように、第2の台座部分492,493の底面496,497に複数の第2の位置決めピン498がベース部分420の幅方向に沿って一列に並んで配置されていることが好ましい。複数の第2の位置決めピン498がこのような配置で設けられていることにより、カセット側面支持部482,484の第2の台座部分492,493はベース部分420の平面422上で、それぞれぐらつきや回転することなくより確実に固定され得る。
【0056】
一方、図9に示すように第2の立壁部分494,495はそれぞれ第2の台座部分492,493上に配置され、当該第2の立壁部分494,495と第2の台座部分492,493とは互いに連結または一体的に成形されている。第2の立壁部分494,495はまた、医療検査用カセットの側面と接触可能な壁面502,504を有する。壁面502,504は医療検査用カセットを側面から挟持し、カセット本体から蓋体の係止を解除する際にカセット本体がベース部分420の幅方向に横ずれすることを防止できる。
【0057】
このような構成により、ベース部分420の平面422上に配置されるカセット側面支持部482,484の位置を自由に変更することができ、使用する医療検査用カセットの大きさに応じて、カセット側面支持部482,484の間の間隔を調整することができる。
【0058】
本発明の医療検査用カセットオープナーは、様々なサイズの医療検査用カセットのカセット本体への蓋体の係止を簡便に解除することができる。この解除は少ない力で行うことができ、カセット本体内の検体が誤って飛び出すことも回避され得る。
【符号の説明】
【0059】
100,300,400 医療検査用カセットオープナー
120,320,420 ベース部分
122,322,422 平面
126,326 ピン孔
140,340,440 カセット本体係止部
142 係止端部
144 内側面
160,360 蓋体係止解除部
162,342 台座部分
164,344 立壁部分
166,346 底面
168,348 位置決めピン
169,369 係止端部
200 医療検査用カセット
210 カセット本体
212 開口部
214,226 透孔
215 底部
216 情報表示面
218 係止片収容孔
220 突起
222 外表面
224 内表面
240 蓋体
242 係止片
244 係止爪
260 検体
482,484 カセット側面支持部
492,493 第2の台座部分
494,495 第2の立壁部分
498 第2の位置決めピン
499 第2のピン孔
502,504 壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9