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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017480
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】コンクリート壁面筋状態探査装置
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/12 20060101AFI20250130BHJP
   G01N 22/00 20060101ALI20250130BHJP
   G01N 27/00 20060101ALI20250130BHJP
   G01N 27/04 20060101ALI20250130BHJP
   G01N 17/00 20060101ALN20250130BHJP
【FI】
G01V3/12 B
G01N22/00 S
G01N27/00 L
G01N27/04 Z
G01N17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120529
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】512273266
【氏名又は名称】KEYTEC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】岩田 和彦
【テーマコード(参考)】
2G050
2G060
2G105
【Fターム(参考)】
2G050AA01
2G050AA06
2G050BA03
2G050EB02
2G050EC01
2G060AA14
2G060AD04
2G060AE28
2G060AF07
2G105AA02
2G105BB14
2G105CC01
2G105DD02
2G105EE01
2G105GG01
2G105LL02
(57)【要約】
【課題】鉄筋コンクリート構造体の壁面の上部等の高所において、コンクリートに埋設されている鉄筋の位置や状態を手間暇かけずに安全に探査することができ、加えて、鉄筋コンクリート構造物の入隅部等の狭隘な箇所でも探索や測定を行うことができるコンクリート壁面筋状態探査装置を提供する。
【解決手段】コンクリート壁面等に対して負圧を利用して吸着するための壁面等吸着部0120と、コンクリート壁面等の内部の金属構造体を探査するための電磁波レーダ0130と、を有する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート壁面等(天井面を言う場合もあり。以下同じ。)に対して負圧を利用して吸着するための壁面等吸着部と、
コンクリート壁面等の内部の金属構造体を探査するための探査部と、
を有するコンクリート壁面筋状態探査装置。
【請求項2】
前記探査部は、レーダ探査手段又は/及び電気抵抗探査手段を有する請求項1に記載のコンクリート壁面筋状態探査装置。
【請求項3】
さらに飛行するための飛行部を有する請求項1又は請求項2に記載のコンクリート壁面筋状態探査装置。
【請求項4】
前記飛行部は、ドローン機能を有する請求項3に記載のコンクリート壁面筋状態探査装置。
【請求項5】
前記壁面吸着部は複数あり、一の壁面吸着部が一の壁面に吸着中に他の壁面吸着部が吸着中の壁面位置から他の壁面位置に移動することを許容する壁面吸着移動部をさらに有する請求項1又は請求項2に記載のコンクリート壁面筋状態探査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、後日提出する予定の国内優先権主張出願の基礎となるものである。
本発明は、鉄筋コンクリート構造体の壁面等の内部に埋設されている鉄筋の深さや配列等の鉄筋位置や鉄筋の腐食の有無等の鉄筋状態を探査するコンクリート壁面筋状態探査装置に関する。なお、本発明の鉄筋には、断面円形の丸鋼と呼ばれる鉄筋、及び、表面に凹凸を設けた異形鉄筋と呼ばれる鉄筋の双方を含むが、本明細書において、便宜上断面円形の丸鋼として扱うこととする。
【背景技術】
【0002】
近年、1955年頃から1973年頃までの日本が急速な経済成長を遂げた時期、所謂高度成長期に作られたビルや橋梁等の鉄筋コンクリート構造物の老朽化が進行しており、これらの老朽化が進んだ鉄筋コンクリート構造物の中には、近い将来の発生が予想される大地震に対する耐震性が不足しているものがある。鉄筋コンクリート構造物において、震災に耐え得る十分な耐震性を確保するためには、まず、補強工事における孔あけ等の施工に必要な埋設鉄筋の深さや配列等の位置を把握するのに加えて、鉄筋自体に腐食が生じているか否か等の状態(コンクリート壁面筋状態)を把握したうえで、補強工事を実施する必要がある。
【0003】
従来において、鉄筋の深さや配列等の位置については、鉄筋が埋設されている鉄筋コンクリート構造体である、例えば、ビルの壁面上を電磁波レーダで走査して、このレーダ走査の間に鉄筋で反射して戻る反射波の情報であるハイパボーラ(hyperbola)波形を取得することによって把握し、一方、鉄筋自体の腐食の有無については、電磁波レーダの走査で把握した鉄筋の直上の壁面上に鉄筋腐食探知器の電極を置いて電流を供給して、その際の電気抵抗増加や電位の変化をパラメータとして測定することで腐食の程度を評価している。
【0004】
ところが、上記した鉄筋の深さや配列等の位置を把握する作業及び鉄筋自体の腐食の有無を測定する作業は、いずれも測定者が電磁波レーダや鉄筋腐食探知器等のセンサを手で持って行うようにしているので、壁面の上部等の高所において鉄筋の位置探査や状態測定を行う場合には、足場や高所作業車を用いて行う必要がある。つまり、足場を組んだり高所作業車を手配したりする分だけ手間暇がかかるうえ、災害発生時における緊急対応が困難であり、そして何よりも、高所においてセンサを手に持って行う鉄筋の位置探査や状態測定の作業には危険を伴うという欠点があった。
【0005】
このような従来の欠点を補い得るものとしては、例えば、特許文献1に記載された壁面検査装置がある。この壁面検査装置は、ドローンと、このドローンにおける胴体部の左右方向に沿う転動軸の両端部に回転自在に支持された転動輪を備えており、転動輪は、例えば鉄筋コンクリート構造物の壁面である被検査面にドローンに先んじて当接することで、ドローンの複数のロータが被検査面に接触するのを防ぎつつ、ドローン自体の上昇下降動作によって被検査面に沿ってドローンの胴体部とともに上下に転動するようになっている。この壁面検査装置では、左右の転動輪によってコンクリート構造物の被検査面に沿うよう飛翔制御されるドローンに搭載した打撃機構によって被検査面を打撃し、その打音の解析によって健全部分であるか不健全部分であるかを判定するようにしている。
【0006】
そして、最近では、このような壁面検査装置に、電磁波レーダや鉄筋腐食探知器等のセンサを搭載することで、鉄筋の深さや配列等の位置探索や鉄筋自体の腐食の有無の測定を手作業で行わなくても済むようにする試みがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-118622号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された壁面検査装置に、電磁波レーダや鉄筋腐食探知器等のセンサを搭載した場合には、探査精度及び測定精度を高めるために、センサを被検査面に押し付ける必要があるので、この押し付けるための押圧手段を搭載したり、この押圧手段の重量が増す分だけロータ数を増やしたり、ロータ径を大きくしたりしなくてはならず、その結果、装置が大型化してしまうという問題がある。
また、ドローン自体の上昇下降動作によって被検査面に沿ってセンサをドローンの胴体部とともに上下に移動させることで、鉄筋の深さや配列等の位置探索や鉄筋自体の腐食の有無の測定を実施することになるので、装置が大型化することとも相まって鉄筋コンクリート構造物の天井面は勿論のこと、入隅部等の狭隘な箇所の探索や測定を行うことができない、すなわち、探索や測定を行う範囲が限定されるという問題もある。
【0009】
本発明は、上記した従来の課題を解決するためになされたものであり、例えば、鉄筋コンクリート構造体の壁面の上部等の高所において、足場を組んだり高所作業車を手配したりすることなく手間暇かけずにコンクリート内部に埋設されている鉄筋の位置や状態を安全に探査することが可能であり、加えて、鉄筋コンクリート構造物の入隅部等の狭隘な箇所でも探索や測定を行うことができるコンクリート壁面筋状態探査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は以下のコンクリート壁面筋状態探査装置を提供する。
すなわち、本発明の第一の態様は、コンクリート壁面等(天井面を言う場合もあり。以下同じ。)に対して負圧を利用して吸着するための壁面等吸着部と、コンクリート壁面等の内部の金属構造体を探査するための探査部と、を有する構成としている。
【0011】
また、本発明の第二の態様において、前記探査部は、レーダ探査手段又は/及び電気抵抗探査手段を有する構成としている。
【0012】
さらに、本発明の第三の態様は、さらに飛行するための飛行部を有する構成としている。
【0013】
さらにまた、本発明の第四の態様において、前記飛行部は、ドローン機能を有する構成としている。
【0014】
さらにまた、本発明の第五の態様において、前記壁面吸着部は複数あり、一の壁面吸着部が一の壁面に吸着中に他の壁面吸着部が吸着中の壁面位置から他の壁面位置に移動することを許容する壁面吸着移動部をさらに有する構成としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、例えば、例えば、鉄筋コンクリート構造体の壁面の上部等の高所における鉄筋状態の探査を足場や高所作業車を用いることなく手間暇かけずにそして安全に実施することが可能であり、加えて、鉄筋コンクリート構造物の入隅部等の狭隘な箇所でも探索や測定を行うことができるという非常に優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】実施形態1に係るコンクリート壁面筋状態探査装置を示す斜視図である。
図1B図1Aのコンクリート壁面筋状態探査装置の底面側からの斜視図である。
図1C図1Aのコンクリート壁面筋状態探査装置が壁面を上昇している状況を示す動作説明図である。
図2A】実施形態2に係るコンクリート壁面筋状態探査装置を示す斜視図である。
図2B図2Aのコンクリート壁面筋状態探査装置の底面側からの斜視図である。
図2C図2Aのコンクリート壁面筋状態探査装置の2個の装置本体が壁面を横に並んで上昇している状況を示す動作説明図である。
図2D】実施形態2に係るコンクリート壁面筋状態探査装置の2個の装置本体のうちの一方が他方よりも先に上方に進む状況を示す動作説明図である。
図2E図2Dに示す状態の2個の装置本体が同じ方向に進路を変更した状況を示す動作説明図である。
図3】実施形態3に係るコンクリート壁面筋状態探査装置が壁面に到達した状態を示す側面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係るコンクリート壁面筋状態探査装置の実施形態を説明する。実施形態と請求項の相互の関係は以下のとおりである。実施形態1は主に請求項1に関し、実施形態2は主に請求項2,5に関し、実施形態3は主に請求項3,4に関する。
なお、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
<実施形態1 主に請求項1に対応>
【0018】
本実施形態は、主に請求項1に関する。
<実施形態1 コンクリート壁面筋状態探査装置 概要 主に請求項1に対応>
【0019】
本実施形態に係るコンクリート壁面筋状態探査装置は、鉄筋コンクリート構造体のコンクリート壁面等に吸着しつつコンクリート壁面等の内部の金属構造体を探査し得るものとなっている。
【0020】
したがって、本実施形態に係るコンクリート壁面筋状態探査装置では、金属構造体である鉄筋の探査作業を電磁波レーダや鉄筋腐食探知器等のセンサを手で持って行う必要がないので、鉄筋コンクリート構造体における壁面の上部等の高所において探査する場合であったとしても、足場を組んだり高所作業車を手配したりすることなく手間暇かけずに安全に探査することが可能となる。
また、鉄筋コンクリート構造体のコンクリート壁面等に吸着しつつコンクリート壁面等の内部の金属構造体を探査するので、鉄筋コンクリート構造物の入隅部等の狭隘な箇所でも探索や測定を行うことができる。
なお、本発明に係るコンクリート壁面筋状態探査装置の探査対象となる鉄筋コンクリート構造体としては、建築物の壁,柱,梁,床,基礎等のほか、橋梁やトンネル等を挙げることができる。
<実施形態1 コンクリート壁面筋状態探査装置 構成 主に請求項1に対応>
【0021】
図1Aに示すように、本実施形態に係るコンクリート壁面筋状態探査装置0100は、装置本体0110と、壁面等吸着部0120と、探査部としての電磁波レーダ0130と、を有している。
<実施形態1 装置本体 構成 主に請求項1に対応>
【0022】
装置本体0110は、左右にクローラー(無限軌道)0111を配置した車両の形態を成しており、この装置本体0110の内部には、左右のクローラー0111,0111を駆動して装置本体0110を移動させるための駆動用モータと、この駆動用モータに電源を供給する電源供給ユニットと、制御ユニットを搭載している。
電源供給ユニットは、外部電源を用いる場合にはケーブルを介して駆動用モータに外部電源を供給し、装置本体0110に搭載したバッテリーを用いる場合にはこのバッテリーから直接駆動用モータに電源を供給するものとなっている。
制御ユニットは、装置本体0110の動作をコントロールするために設けられており、ケーブルを介して或いは無線により伝えられる外部PCや携帯端末等の操作部からの指令を駆動用モータに伝達するようになっている。
<実施形態1 壁面等吸着部 構成 主に請求項1に対応>
【0023】
壁面等吸着部0120は、装置本体0110に内蔵されたブロワ0121と、図1Bに示すように、装置本体0110の底面に配置された空気吸い込み口0122と、装置本体0110の底面である吸着面0123から構成されている。壁面等吸着部0120のブロワ0121には、装置本体0110に搭載された電源供給ユニットから電源の供給がなされるようになっており、作動時において、空気吸い込み口0122から空気を吸い込むようになっている。そして、壁面等吸着部0120は、ブロワ0121を動作させて装置本体0110の底面である吸着面0123とコンクリート壁面等との間の空間を負圧空間とすることで、図1Cに示すように、装置本体0110をコンクリート壁面Wに吸着させることができるようになっており、この吸着状態において、装置本体0110は、左右のクローラー0111,0111を動作させることで、コンクリート壁面Wを上昇下降したり、天井面に沿って移動したりすることができるようになっている。
<実施形態1 探査部 構成 主に請求項1に対応>
【0024】
探査部としての電磁波レーダ0130は、本実施形態において装置本体0110に牽引されるタイプのものとしている。この電磁波レーダ0130は、装置本体0110に対して連結部0113を介して着脱自在に連結されており、連結部0113は、壁面等吸着部0120により装置本体0110がコンクリート壁面等に吸着している状態において、装置本体0110とともに電磁波レーダ0130もコンクリート壁面等に吸着させることができるように構成されている。
<実施形態1 コンクリート壁面筋状態探査装置 作用 主に請求項1に対応>
【0025】
このようなコンクリート壁面筋状態探査装置0100を用いて鉄筋コンクリート構造体、例えば、壁面の鉄筋の位置を探査する場合、図1Cに示すように、コンクリート壁面W上において壁面等吸着部0120のブロワ0121を動作させ、装置本体0110の空気吸い込み口0122から空気を吸い込むことで装置本体0110の底面である吸着面0123とコンクリート壁面Wとの間に生じる負圧を利用して、装置本体0110をコンクリート壁面Wに吸着させる。
そして、この吸着状態において、装置本体0110の左右のクローラー0111,0111を動作させることで、装置本体0110をコンクリート壁面Wに沿って上昇させると、探査部としての電磁波レーダ0130が、装置本体0110とともに図1C矢印方向に上昇しつつ走査を行い、このレーダ走査の間に鉄筋で反射して戻る反射波の情報であるハイパボーラ(hyperbola)波形を取得することによって、コンクリート壁面Wの内部に埋設配置されている複数本の鉄筋の位置データを収集することとなる。
【0026】
本実施形態において、探査部としての電磁波レーダ0130は、図外のデータ解析装置と無線ランを介してデータの通信を行うように構成されている。なお、このデータの通信は、ケーブルを介して行うように構成されていたり、USB等のメモリを介して行うように構成されていたりしてもよい。
<実施形態1 コンクリート壁面筋状態探査装置 効果 主に請求項1に対応>
【0027】
本実施形態に係るコンクリート壁面筋状態探査装置は、電磁波レーダを手で持って鉄筋位置の探査を行う必要がないので、例えば、鉄筋コンクリート構造体における壁面の上部等の高所において鉄筋の位置を探査する場合であったとしても、足場を組んだり高所作業車を手配したりすることなく手間暇かけずに安全に探査することができ、加えて、鉄筋コンクリート構造体のコンクリート壁面等に吸着しつつコンクリート壁面等の内部の鉄筋位置を探査するので、従来のようにドローン自体の上昇下降動作によってコンクリート壁面に沿って電磁波レーダ等のセンサを上下動させて探査する場合と比べて、探査装置が大型化するのを回避することができ、その結果、鉄筋コンクリート構造物の天井面は言うまでもなく、入隅部等の狭隘な箇所の探索をも行うことができるという効果を奏する。
<実施形態2 主に請求項2,5に対応>
【0028】
本実施形態は、主に請求項2,5に関する。
<実施形態2 コンクリート壁面筋状態探査装置 概要 主に請求項2,5に対応>
【0029】
本実施形態は実施形態1を基本としており、本実施形態に係るコンクリート壁面筋状態探査装置において、探査部が、レーダ探査手段としての電磁波レーダ及び電気抵抗探査手段としての鉄筋腐食探知器を有する構成としている。
また、探査部が電磁波レーダ及び鉄筋腐食探知器を有しているのに伴って、壁面吸着部を二つ有し、一の壁面吸着部が一の壁面位置に吸着中に他の壁面吸着部が吸着中の壁面位置から他の壁面位置に移動することを許容する壁面吸着移動部をさらに有する構成としている。
【0030】
このような本実施形態に係るコンクリート壁面筋状態探査装置では、鉄筋コンクリート構造体、例えば、壁面において、埋設鉄筋の深さ等の位置の把握、及び、鉄筋自体に腐食が生じているか否か等の状態(コンクリート壁面筋状態)の把握の双方を行い得るので、作業効率が上昇し、その分だけ工期短縮及び費用軽減が実現する。
加えて、探査部である電磁波レーダ及び鉄筋腐食探知器を人の手を借りることなく、壁面内においてセットで動作させることができるので、作業効率がより一層上昇することとなる。
<実施形態2 コンクリート壁面筋状態探査装置 構成 主に請求項2,5に対応>
【0031】
図2A,2Bに示すように、本実施形態のコンクリート壁面筋状態探査装置0200において、先の実施形態と比較して特徴とするところが2点あり、他の構成は先の実施形態と同じである。
本実施形態の特徴とする2点のうちの一つは、車両の形態を成し且つ壁面吸着部0220を有する装置本体0210を2個備えていて、一方の装置本体0210に連結部0213を介して探査部のレーダ探査手段としての電磁波レーダ0230を着脱自在に連結していると共に、他方の装置本体0210に連結部0213を介して電気抵抗探査手段としての鉄筋腐食探知器0231を着脱自在に連結している点にある。
そして、本実施形態の特徴とする2点のうちの他の一つは、装置本体0210,0210がそれぞれ有する壁面吸着部0220が相対的に移動することを許容しつつ連結するための壁面吸着移動部0240をさらに有している点にある。
<実施形態2 壁面吸着移動部 構成 主に請求項2,5に対応>
【0032】
壁面吸着移動部0240は、壁面吸着部0220が相対的に移動する、すなわち、装置本体0210が相対的に移動することを許容しつつ連結する機能するものであり、2個の装置本体0210,0210に跨って配置されている。
【0033】
この場合、壁面吸着移動部0240は、湾曲したロッド0241の両端部0241a, 0241aを2個の装置本体0210,0210の各上面に対して自在継手0242を介してそれぞれ連結した構成を成している。つまり、ロッド0241の端部0241aは、装置本体0210の上面に対して垂直軸L1周りで且つ水平軸L2周りに回動自在に連結されている(垂直軸L1及び水平軸L2は図2Aにのみ示す。)。
<実施形態2 コンクリート壁面筋状態探査装置 作用 主に請求項2,5に対応>
【0034】
本実施形態のコンクリート壁面筋状態探査装置0200により、例えば、コンクリート壁面Wの上部領域の探索を行う場合には、図2Cに示すように、壁面吸着移動部0240で連結された2個の装置本体0210,0210を各々の壁面等吸着部0220の作動によりコンクリート壁面Wの下部領域側に吸着させつつ、各々のクローラー0211の作動により上方に並進させて、探索を行う面であるコンクリート壁面Wの上部領域に移動させる。
【0035】
壁面吸着移動部0240で連結された2個の装置本体0210,0210がコンクリート壁面Wの上部領域に近づいた状態において、図2Dに簡略的に示すように、図示左側に位置する腐食探知器付き装置本体0210L(鉄筋腐食探知器0231を牽引する装置本体0210)に対して、図示右側に位置するレーダ付き装置本体0210R(電磁波レーダ0230を牽引する装置本体0210)の移動速度を速めて先行させる。この際、レーダ付き装置本体0210R及び腐食探知器付き装置本体0210L間の壁面吸着移動部0240におけるロッド0241の端部0241aは、自在継手0242を介して装置本体0210の上面に連結されているので、上記一連の動作に支障を来すことはない。
【0036】
次いで、先行させたレーダ付き装置本体0210Rにおける左右のクローラー0211,0211の回転速度に差を持たせると共に、後方の腐食探知器付き装置本体0210Lにおける左右のクローラー0211,0211の回転速度に差を持たせることで、図2Eに簡略的に示すように、レーダ付き装置本体0210R及び腐食探知器付き装置本体0210Lが同じ方向(例えば図示右上方向)に向かうように移動させる。
そして、このようにしてレーダ付き装置本体0210R及び腐食探知器付き装置本体0210Lをその方向を変えたり維持したりしつつ、コンクリート壁面Wの上部領域で移動させることで、コンクリート壁面Wの上部領域における鉄筋の探索及び鉄筋状態の測定を連続して行い得ることとなる。
一方、探索及び測定の終了後には、レーダ付き装置本体0210R及び腐食探知器付き装置本体0210Lを各々の向きがいずれも下向きになるようにして、コンクリート壁面Wの下部側に向かわせる。すなわち、コンクリート壁面筋状態探査装置0200の回収も容易なものとなる。
<実施形態2 コンクリート壁面筋状態探査装置 効果 主に請求項2,5に対応>
【0037】
本実施形態に係るコンクリート壁面筋状態探査装置では、鉄筋コンクリート構造体、例えば、壁面において、埋設鉄筋の深さ等の位置の把握、及び、鉄筋自体に腐食が生じているか否か等の状態(コンクリート壁面筋状態)の把握の双方をセットにして行い得るので、作業効率が上昇し、その分だけ工期短縮及び費用軽減が実現するのに加えて、探査部である電磁波レーダ及び鉄筋腐食探知器を人の手を借りることなく、壁面下側から壁面上側へ、或いは、壁面上側から壁面下側へ移動させることができるので、作業効率をより一層上昇させることができるという効果を奏する。
<実施形態3 主に請求項3,4に対応>
【0038】
本実施形態は、主に請求項3,4に関する。
<実施形態3 コンクリート壁面筋状態探査装置 概要 主に請求項3,4に対応>
【0039】
本実施形態は実施形態2を基本としており、本実施形態に係るコンクリート壁面筋状態探査装置において、飛行するためのドローン機能を具備した飛行部をさらに有する構成としている。
【0040】
このような本実施形態に係るコンクリート壁面筋状態探査装置では、鉄筋コンクリート構造体において、埋設されている鉄筋の探査を行おうとする箇所が遠方にある場合や、探索箇所に至るまでの途中に乗り越えられない障害が存在する場合であったとしても、埋設鉄筋の深さや配列等の鉄筋位置、及び、鉄筋自体に腐食が生じているか否か等の状態(コンクリート壁面筋状態)の測定の双方を行い得るという効果を奏する。
<実施形態3 コンクリート壁面筋状態探査装置 構成 主に請求項3,4に対応>
【0041】
図3に示すように、本実施形態のコンクリート壁面筋状態探査装置0300において、先の実施形態と比較して特徴とするところは、飛行するための飛行部0350をさらに有していて、この飛行部がドローン機能を具備している点にあり、他の構成は先の実施形態と同じである。
<実施形態3 飛行部 構成 主に請求項3,4に対応>
【0042】
ドローン機能を具備した飛行部0350は、飛行部胴体0351と、この飛行部胴体0351に支持される複数のロータ0352と、飛行部胴体0351の中央部から下方に延びる連結ロッド0353を備えている。この際、連結ロッド0353の先端部には、壁面吸着移動部0340の湾曲したロッド0341を把持開放可能なクランプ0354が設けられており、飛行部0350は、クランプ0354で壁面吸着移動部0340の湾曲したロッド0341を把持することで、壁面吸着移動部0340で連結された2個の装置本体0310、すなわち、探査部である電磁波レーダ0330及び鉄筋腐食探知器(図示省略)を鉄筋探索箇所まで搬送することができるようになっている。
<実施形態3 コンクリート壁面筋状態探査装置 効果 主に請求項3,4に対応>
【0043】
本実施形態に係るコンクリート壁面筋状態探査装置では、鉄筋コンクリート構造体において、埋設されている鉄筋の探査を行おうとする箇所が遠方にある場合や、探索箇所に至るまでの途中に乗り越えられない障害が存在する場合であったとしても、埋設鉄筋の深さや配列等の鉄筋位置、及び、鉄筋自体に腐食が生じているか否か等の状態(コンクリート壁面筋状態)の測定の双方を行うことが可能であるという効果を奏する。
【符号の説明】
【0044】
0100 コンクリート壁面筋状態探査装置
0120 壁面等吸着部
0121 ブロワ
0122 空気吸い込み口
0123 吸着面
0130 電磁波レーダ(探査部)
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3