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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017514
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】スープの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 23/00 20160101AFI20250130BHJP
   A23L 19/00 20160101ALI20250130BHJP
【FI】
A23L23/00
A23L19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120591
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】390010674
【氏名又は名称】理研ビタミン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 仁雄
(72)【発明者】
【氏名】三橋 康祐
(72)【発明者】
【氏名】倉本 高広
【テーマコード(参考)】
4B016
4B036
【Fターム(参考)】
4B016LC02
4B016LE04
4B016LE05
4B016LG05
4B016LG09
4B016LK01
4B016LK02
4B016LK08
4B016LK10
4B016LK11
4B016LK16
4B016LP03
4B016LP05
4B016LP13
4B036LC01
4B036LE02
4B036LF01
4B036LG04
4B036LG05
4B036LG06
4B036LH04
4B036LH05
4B036LH10
4B036LH14
4B036LH29
4B036LH32
4B036LH33
4B036LH37
4B036LH38
4B036LK01
4B036LK06
4B036LP02
4B036LP05
4B036LP06
4B036LP17
4B036LP24
(57)【要約】
【課題】本発明は、スープ原料に用いられる魚介エキス、畜肉エキス等のエキス類特有の不快臭、及びわかめ等の海藻類特有の不快臭を抑制し、かつスープ原料に用いられるネギ属野菜本来のフレッシュな風味を有するスープの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】エキス類及び/又は海藻類を含有するスープの製造方法であって、次の工程A、工程B及び工程Cを有する、スープの製造方法。
工程A:1個あたりの体積が1cm以上である、ホール状の及び/又はカットされたネギ属野菜を、その内部温度が60~80℃になるよう加熱する工程
工程B:工程Aで得られたネギ属野菜を細断及び/又はペースト化する工程
工程C:工程Bで得られたネギ属野菜細断物及び/又はネギ属野菜ペーストをスープ原料として配合する工程
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エキス類及び/又は海藻類を含有するスープの製造方法であって、次の工程A、工程B及び工程Cを有する、スープの製造方法。
工程A:1個あたりの体積が1cm以上である、ホール状の及び/又はカットされたネギ属野菜を、その内部温度が60~80℃になるよう加熱する工程
工程B:工程Aで得られたネギ属野菜を細断及び/又はペースト化する工程
工程C:工程Bで得られたネギ属野菜細断物及び/又はネギ属野菜ペーストをスープ原料として配合する工程
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スープの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭やレストランでは、スープの製造にあたっては、魚介類、畜肉類等の旨味を十分に抽出するために、これらの原料を長時間煮込む工程が取られることが一般的である。一方で、工業的なスケールでのスープの製造においては、製造時間の短縮、製造工程の簡素化等を図る目的で、旨味成分として魚介エキス、畜肉エキス等のエキス類が用いられている。しかし、このようなエキス類は、旨味成分の抽出の手間はかからないものの、エキス類特有の不快臭を有している。また、エキス類の他にも、スープ原料として用いられるわかめ等の海藻類もその特有の不快臭を有している。
これら特有の不快臭を抑制する方法として、香辛料、香料等を添加する方法を挙げることができるが、香辛料、香料等の香りが強く、スープ本来の風味が失われてしまうため好ましくない。そのため、スープ原料由来の特有の不快臭を抑えつつ、スープ原料本来の風味を生かしたスープの製造方法に関する技術が求められている。
【0003】
スープの製造方法に関する技術としては、例えば、剥皮した生オニオン又はこれを所定の体積になるようにカットしたものと、所定量の熱水とを接触させ、品温90~100℃で所定時間蒸煮したオニオンピューレを用いたスープ(特許文献1)、摩り下ろした生の玉葱と、動物エキス及び/又は酵母エキス液とを含有することを特徴とする即席コンソメスープ調味料(特許文献2)等が開示されている。
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、玉葱の風味向上に関する効果はあっても、エキス類等の特有の不快臭の抑制に関する効果はなく、特許文献2の技術では、各種スープにおけるエキス類等の特有の不快臭の抑制効果は必ずしも十分とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-81096号公報
【特許文献2】特開2006-87368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、スープ原料に用いられる魚介エキス、畜肉エキス等のエキス類特有の不快臭、及びわかめ等の海藻類特有の不快臭を抑制し、かつスープ原料に用いられるネギ属野菜本来のフレッシュな風味を有するスープの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題に対して鋭意検討を行った結果、1個あたりの体積が一定以上である、ホール状のネギ属野菜又はカットされたネギ属野菜について、その内部温度が一定の温度帯になるよう加熱の上、細断又はペースト化したものを、エキス類又は海藻類を含有するスープに、スープ原料として配合することによって、前記課題が解決されることを見出し、この知見に基づいて本発明を成すに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記の構成から成っている。
エキス類及び/又は海藻類を含有するスープの製造方法であって、次の工程A、工程B及び工程Cを有する、スープの製造方法。
工程A:1個あたりの体積が1cm以上である、ホール状の及び/又はカットされたネギ属野菜を、その内部温度が60~80℃になるよう加熱する工程
工程B:工程Aで得られたネギ属野菜を細断及び/又はペースト化する工程
工程C:工程Bで得られたネギ属野菜細断物及び/又はネギ属野菜ペーストをスープ原料として配合する工程
【発明の効果】
【0009】
本発明のスープの製造方法は、スープ原料に用いられる魚介エキス、畜肉エキス等のエキス類特有の不快臭、及びわかめ等の海藻類特有の不快臭が抑制され、かつスープ原料に用いられるネギ属野菜本来のフレッシュな風味を有するスープを製造することができる。また、ネギ属野菜に由来する特有の刺激臭も抑制されたスープを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のスープの製造方法は、1個あたりの体積が1cm以上である、ホール状の及び/又はカットされたネギ属野菜を、その内部温度が60~80℃になるよう加熱する工程(工程A)と、工程Aで得られたネギ属野菜を細断及び/又はペースト化する工程(工程B)と、工程Bで得られたネギ属野菜細断物及び/又はネギ属野菜ペーストをスープ原料として配合する工程(工程C)を有することを特徴とする。
【0011】
工程Aで用いられるネギ属野菜は、特に制限はなく、例えば、玉ネギ、にんにく、アサツキ、エシャロット、長ネギ等を挙げることができ、これらの中でも、玉ネギ、にんにく、長ネギが好ましい。工程Aでは、ネギ属野菜を1種のみ、又は任意の2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0012】
工程Aで用いられるネギ属野菜は、ホール状の形態であっても、カットされた形態であってもよいが、それら形態の1個あたりの体積が1cm以上である必要があり、1.5cm以上が好ましく、2cm以上がより好ましく、3cm以上がさらに好ましい。
【0013】
ネギ属野菜が玉ネギの場合、前記形態の1個あたりの体積は、3cm以上が好ましく、10cm以上がより好ましく、50cm以上がさらに好ましく、100cm以上が特に好ましい。また、1~300cm、1~250cm、3~300cm、3~250cm、10~300cm、10~250cm、50~300cm、50~250cm、100~300cm、100~250cmであってもよい。
【0014】
ネギ属野菜がにんにくの場合、前記形態の1個あたりの体積は、1.5cm以上が好ましく、2cm以上がより好ましく、3cm以上がさらに好ましい。また、1~10cm、1~8cm、1~5cm、1.5~10cm、1.5~8cm、1.5~5cm、2~10cm、2~8cm、2~5cm、3~10cm、3~8cm、3~5cmであってもよい。
【0015】
ネギ属野菜が長ネギの場合、前記形態の1個あたりの体積は、1.5cm以上が好ましく、2cm以上がより好ましく、3cm以上がさらに好ましい。また、1~30cm、1~20cm、1~15cm、1.5~30cm、1.5~20cm、1.5~15cm、2~30cm、2~20cm、2~15cm、3~30cm、3~20cm、3~15cmであってもよい。
【0016】
ここで、ホール状とは、収穫されたネギ属野菜そのままの形態の他、その形態を残しつつ外皮、首部及び茎盤部の全部又は一部を取り除いた形態をいう。工程Aでは、ホール状のネギ属野菜とカットされたネギ属野菜のいずれかを用いてもよく、これらを組み合わせて用いてもよい。
【0017】
工程Aでは、ホール状の及び/又はカットされたネギ属野菜を、その内部温度が60~80℃に、好ましくは60~75℃に、より好ましくは60~70℃になるよう加熱する。ホール状の及び/又はカットされたネギ属野菜の内部温度とは、ネギ属野菜を加熱する際の熱媒体温度やネギ属野菜の表面部分の温度ではなく、ネギ属野菜の組織内部の温度をいう。ネギ属野菜の内部温度を測定する方法は、特に制限はないが、例えば、スティック型の温度計等をネギ属野菜に差し込み、測定する方法等を挙げることができる。ネギ属野菜の内部温度が60~80℃に達してからのその温度帯で保持される時間は、特に制限はないが、例えば、0~60分間が好ましく、0~15分間がより好ましい。
【0018】
ネギ属野菜を加熱する方法は、特に制限はないが、例えば、蒸気で加熱する方法、熱水で茹でて加熱する方法、焼成して加熱する方法等を挙げることができ、これらの中でも蒸気で加熱する方法が好ましい。加熱する際の温度は、例えば、60~85℃が好ましい。加熱する際の装置としては、蒸気で加熱する場合は、例えば、スチームコンベクションオーブン等を挙げることができ、熱水で茹でて加熱する場合は、例えば、ボイルタンク等を挙げることができ、焼成して加熱する場合は、例えば、オーブン等を挙げることができる。
【0019】
工程Bでは、工程Aで得られたネギ属野菜を細断及び/又はペースト化する。ここで、細断とは、ネギ属野菜をスープ原料に添加した際に、スープ全体に分散するのに適した大きさに処理することをいい、例えば、ダイス状、スライス状、みじん状にするカット処理等を挙げることができる。細断後の大きさは、特に制限はないが、例えば、一辺5mm以下であることが好ましい。また、ペースト化とは、ネギ属野菜を細断よりもさらに細かく粉砕し流動性のあるペーストに処理することをいう。細断及び/又はペースト化する際の装置は、特に制限はないが、例えば、ダイサー、スライサー、摩砕機、フードプロセッサー等を挙げることができる。工程Bでは、細断とペースト化のいずれかを用いてもよく、これらを組み合わせて用いてもよい。
【0020】
工程Cでは、工程Bで得られたネギ属野菜細断物及び/又はネギ属野菜ペーストをスープ原料として配合する。ネギ属野菜細断物及び/又はネギ属野菜ペーストの配合量は、特に制限はないが、例えば、後述するスープに含有するエキス類及び/又は海藻類1質量部に対して、0.05~10質量部が好ましく、0.1~5質量部がより好ましい。また、スープ100質量%中の配合量は、0.1~15質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。
【0021】
工程Cにおいて、工程Bで得られたネギ属野菜細断物及び/又はネギ属野菜ペーストをスープ原料として配合する方法は、特に制限はないが、例えば、その他の全てのスープ原料とともに一度に配合する方法、その他のスープ原料の一部にあらかじめ配合する方法、その他のスープ原料とは別にスープの完成直前に配合する方法等を挙げることができる。また、配合の際は、ネギ属野菜細断物及び/又はネギ属野菜ペーストがスープ全体に分散するように、その他のスープ原料とともにミキサー等で攪拌することが好ましい。
【0022】
本発明のスープの製造方法においては、本発明の効果を阻害しない範囲で、任意の工程を有してもよい。そのような任意の工程としては、例えば、工程Aと工程Bの間の工程として、工程Aで得られたネギ属野菜を冷却する工程等を挙げることができる。冷却する方法としては、特に制限はないが、例えば、細断及び/又はペースト化をしやすくする点で、冷凍する方法が好ましい。冷凍する方法としては、特に制限はないが、例えば、急速凍結器を用いて急速凍結する方法等を挙げることができる。また、工程Bを経た後の工程として、ネギ属野菜細断物及び/又はネギ属野菜ペーストを保存する工程を挙げることができる。保存する工程としては、特に制限はないが、例えば、冷凍保存、冷蔵保存等を挙げることができ、これらの中でも冷凍保存が好ましい。冷凍する方法としては、特に制限はないが、例えば、急速凍結器を用いて急速凍結する方法等を挙げることができる。また、工程Cを経た後の工程として、ネギ属野菜細断物及び/又はネギ属野菜ペーストをスープ原料として配合した後、これらを加熱する工程、殺菌する工程、濃縮する工程、乾燥する工程等を挙げることができる。
【0023】
本発明のスープの製造方法により得られるスープには、エキス類及び/又は海藻類を含有する。エキス類は、魚介、畜肉等の食品素材から水等の溶媒を用いてこれら食品素材に含まれる成分を抽出した抽出物をいい、その形態は、液状、ペースト状、粉末状であってもよい。また、エキス類には、本発明の効果を阻害しない範囲で、水等の溶媒以外にも食塩、グルタミン酸ナトリウム、糖類、澱粉等の任意の成分を含んでもよい。エキス類は、特に制限はないが、例えば、魚介エキス、畜肉エキス、海藻エキス、酵母エキス等を挙げることができ、これらの中でも魚介エキス、畜肉エキスが好ましい。魚介エキスは、特に制限はないが、例えば、かつおエキス、まぐろエキス、さばエキス、いわしエキス、鮭エキス、ほたてエキス、あさりエキス、牡蠣エキス、しじみエキス、いかエキス、えびエキス、かにエキス等を挙げることができ、これらの中でもかつおエキス、ほたてエキスが好ましい。畜肉エキスは、特に制限はないが、例えば、ポークエキス、ビーフエキス、チキンエキス等を挙げることができる。海藻エキスは、特に制限はないが、例えば、わかめエキス、昆布エキス等を挙げることができる。本発明では、エキス類を1種のみ、又は任意の2種以上を組み合わせて含有させることができる。
【0024】
海藻類は、特に制限はないが、例えば、わかめ、昆布、もずく、ひじき、あかもく等を挙げることができ、これらの中でもわかめ、昆布が好ましい。海藻類は、生の海藻類(原藻)の他、生の海藻類をボイルしたもの、これらに冷蔵、冷凍、塩蔵、乾燥、カット等の加工処理を施したものであってもよい。海藻類の大きさは、特に制限はないが、スープ原料として適した大きさである点で、一辺5cm以下が好ましく、一辺2cm以下がより好ましい。海藻類の形状は、特に制限はなく、多角形、不定形、粉末状等であってもよい。本発明では、海藻類を1種のみ、又は任意の2種以上を組み合わせて含有させることができる。
【0025】
本発明のスープの製造方法により得られるスープに含まれるエキス類及び/又は海藻類の含有量は、スープ100質量%中に、0.1~15質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。エキス類及び/又は海藻類は、スープに含有させることができれば、その添加方法に特に制限はなく、自体公知の方法を用いることができる。また、その添加時期についても、特に制限はなく、工程Cの前であっても、工程Cの後であってもよい。
【0026】
本発明のスープの製造方法により得られるスープには、本発明の効果を阻害しない範囲で、工程Bで得られたネギ属野菜細断物、ネギ属野菜ペースト、エキス類及び海藻類以外に、任意のスープ原料を含有させることができる。そのような任意のスープ原料としては、例えば、食塩、グルタミン酸ナトリウム、醤油、食酢、酒、味噌、蛋白加水分解物等の調味料、砂糖、上白糖、グラニュー糖、黒糖等の糖類、菜種油、大豆油、ごま油、オリーブ油、牛脂、豚脂、鶏脂等の油脂類、牛乳、生クリーム、全粉乳、脱脂粉乳、バター、チーズ等の乳製品、小麦粉、米粉等の穀粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、とうもろこし澱粉等の澱粉、卵、野菜、きのこ、魚介、畜肉、クルトン、ごま等の具材、香辛料、加工澱粉、乳化剤、増粘剤、酸味料、甘味料、着色料、香料、水等の一般的にスープに用いることができる原料を挙げることができる。
【0027】
本発明のスープの製造方法により得られるスープは、特に制限はないが、例えば、中華スープ、ラーメンスープ、白湯スープ、豚骨スープ、牛骨スープ、魚介スープ、わかめスープ、コーンスープ、コンソメスープ、すまし汁、味噌汁、吸い物、豚汁、チゲ、ポタージュ、シチュー、ミネストローネ、ポトフ、ビスク、ボルシチ、クラムチャウダー、キムチスープ、トマトスープ、ヴィシソワーズ、サンラータン、トムヤムクン等を挙げることができる。本発明のスープの製造方法により得られるスープの形態は、液状の他、液状のスープを濃縮した濃縮スープ、液状のスープを粉末化した粉末スープ等であってもよい。
【0028】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【実施例0029】
[中華スープの作製1]
(1)スープ原料
1)玉ネギ
2)チキンエキス[商品名:冷凍がらスープ(チキン);理研ビタミン社製]
3)グルタミン酸ナトリウム(商品名:グルエースVF;三菱商事ライフサイエンス社製)
4)砂糖(商品名:NBCビートグラニュ糖;北海道糖業社製)
5)食塩(商品名:ナイカイ食塩;ナイカイ塩業社製)
6)水
【0030】
(2)スープの作製方法
1)実施例1
玉ネギの外皮、首部及び茎盤部を取り除き、1個あたりの体積が200cmであるホール状の玉ネギを得た。次に、スチームコンベクションオーブン(型式:SelfCookingCenter;RATIONAL社製)の庫内の雰囲気温度を65℃に設定し、ホール状の玉ネギの内部温度が60℃に達するまで加熱した。ホール状の玉ネギの内部温度は、スティック型の温度計(型式:CT-310WP;カスタム社製)をホール状の玉ネギの内部に差し込み測定した。次に、加熱したホール状の玉ネギをハンドブレンダー(型式:MR5555MCA;ブラウン社製)を用いてペースト化し、ネギ属野菜ペーストを得た。次に、チキンエキス75g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、砂糖15g、食塩10.5g、水1317g、ネギ属野菜ペースト75gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、中華スープ1を得た。
【0031】
2)実施例2
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を75℃に設定し、ホール状の玉ネギの内部温度が70℃に達するまで加熱したこと以外は、中華スープ1の作製と同様な方法で中華スープ2を得た。
【0032】
3)実施例3
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を85℃に設定し、ホール状の玉ネギの内部温度が80℃に達するまで加熱したこと以外は、中華スープ1の作製と同様な方法で中華スープ3を得た。
【0033】
4)比較例1
玉ネギの外皮、首部及び茎盤部を取り除いた後、玉ネギを包丁で、約0.5mmの大きさのダイス状にカットした。次に、スチームコンベクションオーブン(型式:SelfCookingCenter;RATIONAL社製)の庫内の雰囲気温度を65℃に設定し、ダイス状の玉ネギが60℃に達するまで加熱した。次に、加熱したダイス状の玉ネギをハンドブレンダー(型式:MR5555MCA;ブラウン社製)を用いてペースト化し、ネギ属野菜ペーストを得た。次に、チキンエキス75g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、砂糖15g、食塩10.5g、水1317g、ネギ属野菜ペースト75gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、中華スープ4を得た。
【0034】
5)比較例2
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を75℃に設定し、ダイス状の玉ネギが70℃に達するまで加熱したこと以外は、中華スープ4の作製と同様な方法で中華スープ5を得た。
【0035】
6)比較例3
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を85℃に設定し、ダイス状の玉ネギが80℃に達するまで加熱したこと以外は、中華スープ4の作製と同様な方法で中華スープ6を得た。
【0036】
7)比較例4
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を95℃に設定し、ホール状の玉ネギの内部温度が90℃に達するまで加熱したこと以外は、中華スープ1の作製と同様な方法で中華スープ7を得た。
【0037】
8)比較例5
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を95℃に設定し、ダイス状の玉ネギが90℃に達するまで加熱したこと以外は、中華スープ4の作製と同様な方法で中華スープ8を得た。
【0038】
9)比較例6
玉ネギの外皮、首部及び茎盤部を取り除いた後、玉ネギをハンドブレンダー(型式:MR5555MCA;ブラウン社製)を用いてペースト化し、ネギ属野菜ペーストを得た。次に、チキンエキス75g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、砂糖15g、食塩10.5g、水1317g、ネギ属野菜ペースト75gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、中華スープ9を得た。
【0039】
10)対照区1
チキンエキス75g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、砂糖15g、食塩10.5g、水1392gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、中華スープ(対照品)を得た。
【0040】
中華スープ1~9、中華スープ(対照品)それぞれについて、スープ原料の配合量(%)、加熱時のネギ属野菜の形態、及び加熱されたネギ属野菜の温度(℃)を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
(3)スープの評価
中華スープ1~9それぞれについて、表2に記載の評価基準により、エキス類の不快臭、ネギ属野菜の風味、及びネギ属野菜の刺激臭について、官能評価を実施した。評価結果を表3に示す。なお、評価結果が「○」又は「◎」を本発明の効果を満足するものとした。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
表3のとおり、ホール状のネギ属野菜を、その内部温度を60~80℃に加熱し、ペーストにしたものをスープ原料として配合した実施例1~3の製造方法で得られた中華スープ1~3は、エキス類の不快臭を抑制する効果に優れ、かつネギ属野菜のフレッシュな風味を有することがわかった。一方、ダイス状のネギ属野菜を加熱した比較例1~3、5の製造方法で得られた中華スープ4~6、8及びネギ属野菜を加熱しない比較例6の製造方法で得られた中華スープ9は、いずれもエキス類の不快臭を抑制する効果に乏しいことがわかった。また、ホール状のネギ属野菜であっても、その内部温度が90℃以上に加熱された比較例4の製造方法で得られた中華スープ7は、ネギ属野菜のフレッシュな風味に乏しいことがわかった。
【0046】
[魚介スープの作製1]
(1)スープ原料
1)玉ネギ
2)ほたてエキス(商品名:ほたてエキスJ;理研ビタミン社製)
3)グルタミン酸ナトリウム(商品名:グルエースVF;三菱商事ライフサイエンス社製)
4)砂糖(商品名:NBCビートグラニュ糖;北海道糖業社製)
5)水
【0047】
(2)スープの作製方法
1)実施例4
玉ネギの外皮、首部及び茎盤部を取り除き、1個あたりの体積が200cmであるホール状の玉ネギを得た。次に、スチームコンベクションオーブン(型式:SelfCookingCenter;RATIONAL社製)の庫内の雰囲気温度を65℃に設定し、ホール状の玉ネギの内部温度が60℃に達するまで加熱した。ホール状の玉ネギの内部温度は、スティック型の温度計(型式:CT-310WP;カスタム社製)をホール状の玉ネギの内部に差し込み測定した。次に、加熱したホール状の玉ネギをハンドブレンダー(型式:MR5555MCA;ブラウン社製)を用いてペースト化し、ネギ属野菜ペーストを得た。次に、ほたてエキス60g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、砂糖15g、水1342.5g、ネギ属野菜ペースト75gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、魚介スープ1を得た。
【0048】
2)実施例5
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を75℃に設定し、ホール状の玉ネギの内部温度が70℃に達するまで加熱したこと以外は、魚介スープ1の作製と同様な方法で魚介スープ2を得た。
【0049】
3)実施例6
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を85℃に設定し、ホール状の玉ネギの内部温度が80℃に達するまで加熱したこと以外は、魚介スープ1の作製と同様な方法で魚介スープ3を得た。
【0050】
4)比較例7
玉ネギの外皮、首部及び茎盤部を取り除いた後、玉ネギを包丁で、約0.5mmの大きさのダイス状にカットした。次に、スチームコンベクションオーブン(型式:SelfCookingCenter;RATIONAL社製)の庫内の雰囲気温度を65℃に設定し、ダイス状の玉ネギが60℃に達するまで加熱した。次に、加熱したダイス状の玉ネギをハンドブレンダー(型式:MR5555MCA;ブラウン社製)を用いてペースト化し、ネギ属野菜ペーストを得た。次に、ほたてエキス60g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、砂糖15g、水1342.5g、ネギ属野菜ペースト75gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、魚介スープ4を得た。
【0051】
5)比較例8
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を75℃に設定し、ダイス状の玉ネギが70℃に達するまで加熱したこと以外は、魚介スープ4の作製と同様な方法で魚介スープ5を得た。
【0052】
6)比較例9
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を85℃に設定し、ダイス状の玉ネギが80℃に達するまで加熱したこと以外は、魚介スープ4の作製と同様な方法で魚介スープ6を得た。
【0053】
7)比較例10
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を95℃に設定し、ホール状の玉ネギの内部温度が90℃に達するまで加熱したこと以外は、魚介スープ1の作製と同様な方法で魚介スープ7を得た。
【0054】
8)比較例11
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を95℃に設定し、ダイス状の玉ネギが90℃に達するまで加熱したこと以外は、魚介スープ4の作製と同様な方法で魚介スープ8を得た。
【0055】
9)比較例12
玉ネギの外皮、首部及び茎盤部を取り除いた後、玉ネギをハンドブレンダー(型式:MR5555MCA;ブラウン社製)を用いてペースト化し、ネギ属野菜ペーストを得た。次に、ほたてエキス60g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、砂糖15g、水1342.5g、ネギ属野菜ペースト75gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、魚介スープ9を得た。
【0056】
10)対照区2
ほたてエキス60g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、砂糖15g、水1417.5gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、魚介スープ(対照品)を得た。
【0057】
魚介スープ1~9、魚介スープ(対照品)それぞれについて、スープ原料の配合量(%)、加熱時のネギ属野菜の形態、及び加熱されたネギ属野菜の温度(℃)を表4に示す。
【0058】
【表4】
【0059】
(3)スープの評価
魚介スープ1~9それぞれについて、表2に記載の評価基準により、エキス類の不快臭、ネギ属野菜の風味、及びネギ属野菜の刺激臭について、官能評価を実施した。評価結果を表5に示す。なお、評価結果が「○」又は「◎」を本発明の効果を満足するものとした。
【0060】
【表5】
【0061】
表5のとおり、ホール状のネギ属野菜を、その内部温度を60~80℃に加熱し、ペーストにしたものをスープ原料として配合した実施例4~6の製造方法で得られた魚介スープ1~3は、エキス類の不快臭を抑制する効果に優れ、かつネギ属野菜のフレッシュな風味を有することがわかった。一方、ダイス状のネギ属野菜を加熱した比較例7~9、11の製造方法で得られた魚介スープ4~6、8及びネギ属野菜を加熱しない比較例12の製造方法で得られた魚介スープ9は、いずれもエキス類の不快臭を抑制する効果に乏しいことがわかった。また、ホール状のネギ属野菜であっても、その内部温度が90℃以上に加熱された比較例10の製造方法で得られた魚介スープ7は、ネギ属野菜のフレッシュな風味に乏しいことがわかった。
【0062】
[吸い物の作製1]
(1)スープ原料
1)玉ネギ
2)かつおエキス(商品名:カツオエキスF;理研ビタミン社製)
3)グルタミン酸ナトリウム(商品名:グルエースVF;三菱商事ライフサイエンス社製)
4)砂糖(商品名:NBCビートグラニュ糖;北海道糖業社製)
5)食塩(商品名:ナイカイ食塩;ナイカイ塩業社製)
6)水
【0063】
(2)スープの作製方法
1)実施例7
玉ネギの外皮、首部及び茎盤部を取り除き、1個あたりの体積が200cmであるホール状の玉ネギを得た。次に、スチームコンベクションオーブン(型式:SelfCookingCenter;RATIONAL社製)の庫内の雰囲気温度を65℃に設定し、ホール状の玉ネギの内部温度が60℃に達するまで加熱した。ホール状の玉ネギの内部温度は、スティック型の温度計(型式:CT-310WP;カスタム社製)をホール状の玉ネギの内部に差し込み測定した。次に、加熱したホール状の玉ネギをハンドブレンダー(型式:MR5555MCA;ブラウン社製)を用いてペースト化し、ネギ属野菜ペーストを得た。次に、かつおエキス30g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、砂糖15g、食塩6g、水1366.5g、ネギ属野菜ペースト75gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、吸い物1を得た。
【0064】
2)実施例8
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を75℃に設定し、ホール状の玉ネギの内部温度が70℃に達するまで加熱したこと以外は、吸い物1の作製と同様な方法で吸い物2を得た。
【0065】
3)実施例9
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を85℃に設定し、ホール状の玉ネギの内部温度が80℃に達するまで加熱したこと以外は、吸い物1の作製と同様な方法で吸い物3を得た。
【0066】
4)比較例13
玉ネギの外皮、首部及び茎盤部を取り除いた後、玉ネギを包丁で、約0.5mmの大きさのダイス状にカットした。次に、スチームコンベクションオーブン(型式:SelfCookingCenter;RATIONAL社製)の庫内の雰囲気温度を65℃に設定し、ダイス状の玉ネギが60℃に達するまで加熱した。次に、加熱したダイス状の玉ネギをハンドブレンダー(型式:MR5555MCA;ブラウン社製)を用いてペースト化し、ネギ属野菜ペーストを得た。次に、かつおエキス30g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、砂糖15g、食塩6g、水1366.5g、ネギ属野菜ペースト75gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、吸い物4を得た。
【0067】
5)比較例14
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を75℃に設定し、ダイス状の玉ネギが70℃に達するまで加熱したこと以外は、吸い物4の作製と同様な方法で吸い物5を得た。
【0068】
6)比較例15
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を85℃に設定し、ダイス状の玉ネギが80℃に達するまで加熱したこと以外は、吸い物4の作製と同様な方法で吸い物6を得た。
【0069】
7)比較例16
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を95℃に設定し、ホール状の玉ネギの内部温度が90℃に達するまで加熱したこと以外は、吸い物1の作製と同様な方法で吸い物7を得た。
【0070】
8)比較例17
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を95℃に設定し、ダイス状の玉ネギが90℃に達するまで加熱したこと以外は、吸い物4の作製と同様な方法で吸い物8を得た。
【0071】
9)比較例18
玉ネギの外皮、首部及び茎盤部を取り除いた後、玉ネギをハンドブレンダー(型式:MR5555MCA;ブラウン社製)を用いてペースト化し、ネギ属野菜ペーストを得た。次に、かつおエキス30g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、砂糖15g、食塩6g、水1366.5g、ネギ属野菜ペースト75gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、吸い物9を得た。
【0072】
10)対照区3
かつおエキス30g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、砂糖15g、食塩6g、水1441.5gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、吸い物(対照品)を得た。
【0073】
吸い物1~9、吸い物(対照品)それぞれについて、スープ原料の配合量(%)、加熱時のネギ属野菜の形態、及び加熱されたネギ属野菜の温度(℃)を表6に示す。
【0074】
【表6】
【0075】
(3)スープの評価
吸い物1~9それぞれについて、表2に記載の評価基準により、エキス類の不快臭、ネギ属野菜の風味、及びネギ属野菜の刺激臭について、官能評価を実施した。評価結果を表7に示す。なお、評価結果が「○」又は「◎」を本発明の効果を満足するものとした。
【0076】
【表7】
【0077】
表7のとおり、ホール状のネギ属野菜を、その内部温度を60~80℃に加熱し、ペーストにしたものをスープ原料として配合した実施例7~9の製造方法で得られた吸い物1~3は、エキス類の不快臭を抑制する効果に優れ、かつネギ属野菜のフレッシュな風味を有することがわかった。一方、ダイス状のネギ属野菜を加熱した比較例13~15、17の製造方法で得られた吸い物4~6、8及びネギ属野菜を加熱しない比較例18の製造方法で得られた吸い物9は、いずれもエキス類の不快臭を抑制する効果に乏しいことがわかった。また、ホール状のネギ属野菜であっても、その内部温度が90℃以上に加熱された比較例16の製造方法で得られた吸い物7は、ネギ属野菜のフレッシュな風味に乏しいことがわかった。
【0078】
[わかめスープの作製1]
(1)スープ原料
1)玉ネギ
2)カットわかめ(商品名:シャキッとカットわかめ;ジャパンスパイス社製)
3)グルタミン酸ナトリウム(商品名:グルエースVF;三菱商事ライフサイエンス社製)
4)5’-イノシン酸ナトリウム(商品名:INアイエヌ;味の素社製)
5)食塩(商品名:ナイカイ食塩;ナイカイ塩業社製)
6)水
【0079】
(2)スープの作製方法
1)実施例10
玉ネギの外皮、首部及び茎盤部を取り除き、1個あたりの体積が200cmであるホール状の玉ネギを得た。次に、スチームコンベクションオーブン(型式:SelfCookingCenter;RATIONAL社製)の庫内の雰囲気温度を65℃に設定し、ホール状の玉ネギの内部温度が60℃に達するまで加熱した。ホール状の玉ネギの内部温度は、スティック型の温度計(型式:CT-310WP;カスタム社製)をホール状の玉ネギの内部に差し込み測定した。次に、加熱したホール状の玉ネギをハンドブレンダー(型式:MR5555MCA;ブラウン社製)を用いてペースト化し、ネギ属野菜ペーストを得た。次に、カットわかめ7.5g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、5’-イノシン酸ナトリウム0.75g、食塩15g、水1394.25g、ネギ属野菜ペースト75gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、わかめスープ1を得た。
【0080】
2)実施例11
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を75℃に設定し、ホール状の玉ネギの内部温度が70℃に達するまで加熱したこと以外は、わかめスープ1の作製と同様な方法でわかめスープ2を得た。
【0081】
3)実施例12
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を85℃に設定し、ホール状の玉ネギの内部温度が80℃に達するまで加熱したこと以外は、わかめスープ1の作製と同様な方法でわかめスープ3を得た。
【0082】
4)比較例19
玉ネギの外皮、首部及び茎盤部を取り除いた後、玉ネギを包丁で、約0.5mmの大きさのダイス状にカットした。次に、スチームコンベクションオーブン(型式:SelfCookingCenter;RATIONAL社製)の庫内の雰囲気温度を65℃に設定し、ダイス状の玉ネギが60℃に達するまで加熱した。次に、加熱したダイス状の玉ネギをハンドブレンダー(型式:MR5555MCA;ブラウン社製)を用いてペースト化し、ネギ属野菜ペーストを得た。次に、カットわかめ7.5g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、5’-イノシン酸ナトリウム0.75g、食塩15g、水1394.25g、ネギ属野菜ペースト75gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、わかめスープ4を得た。
【0083】
5)比較例20
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を75℃に設定し、ダイス状の玉ネギが70℃に達するまで加熱したこと以外は、わかめスープ4の作製と同様な方法でわかめスープ5を得た。
【0084】
6)比較例21
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を85℃に設定し、ダイス状の玉ネギが80℃に達するまで加熱したこと以外は、わかめスープ4の作製と同様な方法でわかめスープ6を得た。
【0085】
7)比較例22
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を95℃に設定し、ホール状の玉ネギの内部温度が90℃に達するまで加熱したこと以外は、わかめスープ1の作製と同様な方法でわかめスープ7を得た。
【0086】
8)比較例23
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を95℃に設定し、ダイス状の玉ネギが90℃に達するまで加熱したこと以外は、わかめスープ4の作製と同様な方法でわかめスープ8を得た。
【0087】
9)比較例24
玉ネギの外皮、首部及び茎盤部を取り除いた後、玉ネギをハンドブレンダー(型式:MR5555MCA;ブラウン社製)を用いてペースト化し、ネギ属野菜ペーストを得た。次に、カットわかめ7.5g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、5’-イノシン酸ナトリウム0.75g、食塩15g、水1394.25g、ネギ属野菜ペースト75gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、わかめスープ9を得た。
【0088】
10)対照区4
カットわかめ7.5g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、5’-イノシン酸ナトリウム0.75g、食塩15g、水1469.25gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、わかめスープ(対照品)を得た。
【0089】
わかめスープ1~9、わかめスープ(対照品)それぞれについて、スープ原料の配合量(%)、加熱時のネギ属野菜の形態、及び加熱されたネギ属野菜の温度(℃)を表8に示す。
【0090】
【表8】
【0091】
(3)スープの評価
わかめスープ1~9それぞれについて、表9に記載の評価基準により、海藻類の不快臭、ネギ属野菜の風味、及びネギ属野菜の刺激臭について、官能評価を実施した。評価結果を表10に示す。なお、評価結果が「○」又は「◎」を本発明の効果を満足するものとした。
【0092】
【表9】
【0093】
【表10】
【0094】
表10のとおり、ホール状のネギ属野菜を、その内部温度を60~80℃に加熱し、ペーストにしたものをスープ原料として配合した実施例10~12の製造方法で得られたわかめスープ1~3は、海藻類の不快臭を抑制する効果に優れ、かつネギ属野菜のフレッシュな風味を有することがわかった。一方、ダイス状のネギ属野菜を加熱した比較例19~21、23の製造方法で得られたわかめスープ4~6、8及びネギ属野菜を加熱しない比較例24の製造方法で得られたわかめスープ9は、いずれも海藻類の不快臭を抑制する効果に乏しいことがわかった。また、ホール状のネギ属野菜であっても、その内部温度が90℃以上に加熱された比較例22の製造方法で得られたわかめスープ7は、ネギ属野菜のフレッシュな風味に乏しいことがわかった。
【0095】
[中華スープの作製2]
(1)スープ原料
1)にんにく
2)チキンエキス[商品名:冷凍がらスープ(チキン);理研ビタミン社製]
3)グルタミン酸ナトリウム(商品名:グルエースVF;三菱商事ライフサイエンス社製)
4)砂糖(商品名:NBCビートグラニュ糖;北海道糖業社製)
5)食塩(商品名:ナイカイ食塩;ナイカイ塩業社製)
6)水
【0096】
(2)スープの作製方法
1)実施例13
にんにくの外皮、首部及び茎盤部を取り除き、1個あたりの体積が3cmであるホール状のにんにくを得た。次に、スチームコンベクションオーブン(型式:SelfCookingCenter;RATIONAL社製)の庫内の雰囲気温度を65℃に設定し、ホール状のにんにくの内部温度が60℃に達するまで加熱した。ホール状のにんにくの内部温度は、スティック型の温度計(型式:CT-310WP;カスタム社製)をホール状のにんにくの内部に差し込み測定した。次に、加熱したホール状のにんにくをハンドブレンダー(型式:MR5555MCA;ブラウン社製)を用いてペースト化し、ネギ属野菜ペーストを得た。次に、チキンエキス75g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、砂糖15g、食塩10.5g、水1377g、ネギ属野菜ペースト15gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、中華スープ10を得た。
【0097】
2)実施例14
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を75℃に設定し、ホール状のにんにくの内部温度が70℃に達するまで加熱したこと以外は、中華スープ10の作製と同様な方法で中華スープ11を得た。
【0098】
3)実施例15
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を85℃に設定し、ホール状のにんにくの内部温度が80℃に達するまで加熱したこと以外は、中華スープ10の作製と同様な方法で中華スープ12を得た。
【0099】
4)比較例25
にんにくの外皮、首部及び茎盤部を取り除いた後、にんにくを包丁で、約0.5mmの大きさのダイス状にカットした。次に、スチームコンベクションオーブン(型式:SelfCookingCenter;RATIONAL社製)の庫内の雰囲気温度を65℃に設定し、ダイス状のにんにくが60℃に達するまで加熱した。次に、加熱したダイス状のにんにくをハンドブレンダー(型式:MR5555MCA;ブラウン社製)を用いてペースト化し、ネギ属野菜ペーストを得た。次に、チキンエキス75g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、砂糖15g、食塩10.5g、水1377g、ネギ属野菜ペースト15gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、中華スープ13を得た。
【0100】
5)比較例26
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を75℃に設定し、ダイス状のにんにくが70℃に達するまで加熱したこと以外は、中華スープ13の作製と同様な方法で中華スープ14を得た。
【0101】
6)比較例27
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を85℃に設定し、ダイス状のにんにくが80℃に達するまで加熱したこと以外は、中華スープ13の作製と同様な方法で中華スープ15を得た。
【0102】
7)比較例28
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を95℃に設定し、ホール状のにんにくの内部温度が90℃に達するまで加熱したこと以外は、中華スープ10の作製と同様な方法で中華スープ16を得た。
【0103】
8)比較例29
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を95℃に設定し、ダイス状のにんにくが90℃に達するまで加熱したこと以外は、中華スープ13の作製と同様な方法で中華スープ17を得た。
【0104】
9)比較例30
にんにくの外皮、首部及び茎盤部を取り除いた後、にんにくをハンドブレンダー(型式:MR5555MCA;ブラウン社製)を用いてペースト化し、ネギ属野菜ペーストを得た。次に、チキンエキス75g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、砂糖15g、食塩10.5g、水1377g、ネギ属野菜ペースト15gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、中華スープ18を得た。
【0105】
10)対照区5
チキンエキス75g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、砂糖15g、食塩10.5g、水1392gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、中華スープ(対照品)を得た。
【0106】
中華スープ10~18、中華スープ(対照品)それぞれについて、スープ原料の配合量(%)、加熱時のネギ属野菜の形態、及び加熱されたネギ属野菜の温度(℃)を表11に示す。
【0107】
【表11】
【0108】
(3)スープの評価
中華スープ10~18それぞれについて、表2に記載の評価基準により、エキス類の不快臭、ネギ属野菜の風味、及びネギ属野菜の刺激臭について、官能評価を実施した。評価結果を表12に示す。なお、評価結果が「○」又は「◎」を本発明の効果を満足するものとした。
【0109】
【表12】
【0110】
表12のとおり、ホール状のネギ属野菜を、その内部温度を60~80℃に加熱し、ペーストにしたものをスープ原料として配合した実施例13~15の製造方法で得られた中華スープ10~13は、エキス類の不快臭を抑制する効果に優れ、かつネギ属野菜のフレッシュな風味を有することがわかった。一方、ダイス状のネギ属野菜を加熱した比較例25~27、29の製造方法で得られた中華スープ13~15、17及びネギ属野菜を加熱しない比較例30の製造方法で得られた中華スープ18は、いずれもエキス類の不快臭を抑制する効果に乏しいことがわかった。また、ホール状のネギ属野菜であっても、その内部温度が90℃以上に加熱された比較例28の製造方法で得られた中華スープ16は、ネギ属野菜のフレッシュな風味に乏しいことがわかった。
【0111】
[わかめスープの作製2]
(1)スープ原料
1)にんにく
2)カットわかめ(商品名:シャキッとカットわかめ;ジャパンスパイス社製)
3)グルタミン酸ナトリウム(商品名:グルエースVF;三菱商事ライフサイエンス社製)
4)5’-イノシン酸ナトリウム(商品名:INアイエヌ;味の素社製)
5)食塩(商品名:ナイカイ食塩;ナイカイ塩業社製)
6)水
【0112】
(2)スープの作製方法
1)実施例16
にんにくの外皮、首部及び茎盤部を取り除き、1個あたりの体積が3cmであるホール状のにんにくを得た。次に、スチームコンベクションオーブン(型式:SelfCookingCenter;RATIONAL社製)の庫内の雰囲気温度を65℃に設定し、ホール状のにんにくの内部温度が60℃に達するまで加熱した。ホール状のにんにくの内部温度は、スティック型の温度計(型式:CT-310WP;カスタム社製)をホール状のにんにくの内部に差し込み測定した。次に、加熱したホール状のにんにくをハンドブレンダー(型式:MR5555MCA;ブラウン社製)を用いてペースト化し、ネギ属野菜ペーストを得た。次に、カットわかめ7.5g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、5’-イノシン酸ナトリウム0.75g、食塩15g、水1454.25g、ネギ属野菜ペースト15gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、わかめスープ10を得た。
【0113】
2)実施例17
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を75℃に設定し、ホール状のにんにくの内部温度が70℃に達するまで加熱したこと以外は、わかめスープ10の作製と同様な方法でわかめスープ11を得た。
【0114】
3)実施例18
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を85℃に設定し、ホール状のにんにくの内部温度が80℃に達するまで加熱したこと以外は、わかめスープ10の作製と同様な方法でわかめスープ12を得た。
【0115】
4)比較例31
にんにくの外皮、首部及び茎盤部を取り除いた後、にんにくを包丁で、約0.5mmの大きさのダイス状にカットした。次に、スチームコンベクションオーブン(型式:SelfCookingCenter;RATIONAL社製)の庫内の雰囲気温度を65℃に設定し、ダイス状のにんにくが60℃に達するまで加熱した。次に、加熱したダイス状のにんにくをハンドブレンダー(型式:MR5555MCA;ブラウン社製)を用いてペースト化し、ネギ属野菜ペーストを得た。次に、カットわかめ7.5g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、5’-イノシン酸ナトリウム0.75g、食塩15g、水1454.25g、ネギ属野菜ペースト15gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、わかめスープ13を得た。
【0116】
5)比較例32
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を75℃に設定し、ダイス状のにんにくが70℃に達するまで加熱したこと以外は、わかめスープ13の作製と同様な方法でわかめスープ14を得た。
【0117】
6)比較例33
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を85℃に設定し、ダイス状のにんにくが80℃に達するまで加熱したこと以外は、わかめスープ13の作製と同様な方法でわかめスープ15を得た。
【0118】
7)比較例34
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を95℃に設定し、ホール状のにんにくの内部温度が90℃に達するまで加熱したこと以外は、わかめスープ10の作製と同様な方法でわかめスープ16を得た。
【0119】
8)比較例35
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を95℃に設定し、ダイス状のにんにくが90℃に達するまで加熱したこと以外は、わかめスープ13の作製と同様な方法でわかめスープ17を得た。
【0120】
9)比較例36
にんにくの外皮、首部及び茎盤部を取り除いた後、にんにくをハンドブレンダー(型式:MR5555MCA;ブラウン社製)を用いてペースト化し、ネギ属野菜ペーストを得た。次に、カットわかめ7.5g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、5’-イノシン酸ナトリウム0.75g、食塩15g、水1454.25g、ネギ属野菜ペースト15gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、わかめスープ18を得た。
【0121】
10)対照区6
カットわかめ7.5g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、5’-イノシン酸ナトリウム0.75g、食塩15g、水1469.25gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、わかめスープ(対照品)を得た。
【0122】
わかめスープ10~18、わかめスープ(対照品)それぞれについて、スープ原料の配合量(%)、加熱時のネギ属野菜の形態、及び加熱されたネギ属野菜の温度(℃)を表13に示す。
【0123】
【表13】
【0124】
(3)スープの評価
わかめスープ10~18それぞれについて、表9に記載の評価基準により、海藻類の不快臭、ネギ属野菜の風味、及びネギ属野菜の刺激臭について、官能評価を実施した。評価結果を表14に示す。なお、評価結果が「○」又は「◎」を本発明の効果を満足するものとした。
【0125】
【表14】
【0126】
表14のとおり、ホール状のネギ属野菜を、その内部温度を60~80℃に加熱し、ペーストにしたものをスープ原料として配合した実施例16~18の製造方法で得られたわかめスープ10~12は、海藻類の不快臭を抑制する効果に優れ、かつネギ属野菜のフレッシュな風味を有することがわかった。一方、ダイス状のネギ属野菜を加熱した比較例31~33、35の製造方法で得られたわかめスープ13~15、17及びネギ属野菜を加熱しない比較例36の製造方法で得られたわかめスープ18は、いずれも海藻類の不快臭を抑制する効果に乏しいことがわかった。また、ホール状のネギ属野菜であっても、その内部温度が90℃以上に加熱された比較例34の製造方法で得られたわかめスープ16は、ネギ属野菜のフレッシュな風味に乏しいことがわかった。
【0127】
[中華スープの作製3]
(1)スープ原料
1)長ネギ
2)チキンエキス[商品名:冷凍がらスープ(チキン);理研ビタミン社製]
3)グルタミン酸ナトリウム(商品名:グルエースVF;三菱商事ライフサイエンス社製)
4)砂糖(商品名:NBCビートグラニュ糖;北海道糖業社製)
5)食塩(商品名:ナイカイ食塩;ナイカイ塩業社製)
6)水
【0128】
(2)スープの作製方法
1)実施例19
長ネギの葉部及び茎盤部を取り除き、長ネギを包丁で長さ約3cmにカットし、1個あたりの体積が6cmであるカットされた長ネギを得た。次に、パウチにカットされた長ネギと、カットされた長ネギと等質量の水を投入し、封をした上で、65℃に設定した恒温槽(型式:OSB-2200;東京理化器械社製)で湯せんし、カットされた長ネギの内部温度が60℃に達するまで加熱した。カットされた長ネギの内部温度は、スティック型の温度計(型式:CT-310WP;カスタム社製)をカットされた長ネギの内部に差し込み測定した。次に、加熱したカットされた長ネギをパウチから取り出し、ハンドブレンダー(型式:MR5555MCA;ブラウン社製)を用いてペースト化し、ネギ属野菜ペーストを得た。次に、チキンエキス75g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、砂糖15g、食塩10.5g、水1317g、ネギ属野菜ペースト75gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、中華スープ19を得た。
【0129】
2)実施例20
恒温槽の温度を85℃に設定し、カットされた長ネギの内部温度が80℃に達するまで加熱したこと以外は、中華スープ19の作製と同様な方法で中華スープ20を得た。
【0130】
3)比較例37
長ネギの葉部及び茎盤部を取り除き、長ネギを包丁で、約0.5mmの大きさのみじん状にカットした。次に、スチームコンベクションオーブン(型式:SelfCookingCenter;RATIONAL社製)の庫内の雰囲気温度を65℃に設定し、みじん状の長ネギが60℃に達するまで加熱した。次に、加熱したみじん状の長ネギをハンドブレンダー(型式:MR5555MCA;ブラウン社製)を用いてペースト化し、ネギ属野菜ペーストを得た。次に、チキンエキス75g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、砂糖15g、食塩10.5g、水1317g、ネギ属野菜ペースト75gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、中華スープ21を得た。
【0131】
4)比較例38
スチームコンベクションオーブンの庫内の雰囲気温度を85℃に設定し、みじん状の長ネギが80℃に達するまで加熱したこと以外は、中華スープ21の作製と同様な方法で中華スープ22を得た。
【0132】
5)比較例39
恒温槽の温度を95℃に設定し、カットされた長ネギの内部温度が90℃に達するまで加熱したこと以外は、中華スープ19の作製と同様な方法で中華スープ23を得た。
【0133】
6)比較例40
長ネギの葉部及び茎盤部を取り除いた後、長ネギをハンドブレンダー(型式:MR5555MCA;ブラウン社製)を用いてペースト化し、ネギ属野菜ペーストを得た。次に、チキンエキス75g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、砂糖15g、食塩10.5g、水1317g、ネギ属野菜ペースト75gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、中華スープ24を得た。
【0134】
7)対照区7
チキンエキス75g、グルタミン酸ナトリウム7.5g、砂糖15g、食塩10.5g、水1392gをミキサーに投入し、加熱しながら攪拌し、中華スープ(対照品)を得た。
【0135】
中華スープ19~24、中華スープ(対照品)それぞれについて、スープ原料の配合量(%)、加熱時のネギ属野菜の形態、及び加熱されたネギ属野菜の温度(℃)を表15に示す。
【0136】
【表15】
【0137】
(3)スープの評価
中華スープ19~24それぞれについて、表2に記載の評価基準により、エキス類の不快臭、ネギ属野菜の風味、及びネギ属野菜の刺激臭について、官能評価を実施した。評価結果を表16に示す。なお、評価結果が「○」又は「◎」を本発明の効果を満足するものとした。
【0138】
【表16】
【0139】
表16のとおり、カットされたネギ属野菜を、その内部温度を60~80℃に加熱し、ペーストにしたものをスープ原料として配合した実施例19~20の製造方法で得られた中華スープ19~20は、エキス類の不快臭を抑制する効果に優れ、かつネギ属野菜のフレッシュな風味を有することがわかった。一方、みじん状のネギ属野菜を加熱した比較例37~38の製造方法で得られた中華スープ21~22及びネギ属野菜を加熱しない比較例40の製造方法で得られた中華スープ24は、いずれもエキス類の不快臭を抑制する効果に乏しいことがわかった。また、カットされたネギ属野菜であっても、その内部温度が90℃以上に加熱された比較例39の製造方法で得られた中華スープ23は、ネギ属野菜のフレッシュな風味に乏しいことがわかった。