(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017524
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】電気電子機器収納用箱の設計支援システム及び電気電子機器収納用箱の設計支援方法
(51)【国際特許分類】
G06F 30/18 20200101AFI20250130BHJP
G06F 30/12 20200101ALI20250130BHJP
G06F 111/12 20200101ALN20250130BHJP
【FI】
G06F30/18
G06F30/12
G06F111:12
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120606
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 悟
(72)【発明者】
【氏名】高田 裕基
(72)【発明者】
【氏名】神山 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】宮田 徹哉
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA14
5B146AA21
5B146DC06
5B146DG01
5B146DG02
5B146DJ14
5B146DL02
5B146EC01
5B146EC08
5B146EC09
5B146FA00
(57)【要約】
【課題】演算により導出された電気電子機器同士の接続関係を表示手段で表示した後に、利用者が電気電子機器同士の接続関係の選択作業が行われなければ、電気電子機器収納用箱の設計が進まないようにすること。
【解決手段】筐体内に電気電子機器を収納する電気電子機器収納用箱の設計を支援することが可能な電気電子機器収納用箱の設計支援システムであって、筐体に関する仕様情報である筐体仕様情報と、電気電子機器に関する仕様情報である機器仕様情報と、を入力するために用いることが可能な入力手段と、入力された機器仕様情報に基づいて、電気電子機器同士の接続関係を演算可能な演算手段と、演算された電気電子機器同士の接続関係を表示可能な表示手段に表示された電気電子機器同士の接続関係を選択することを可能とする選択手段と、を備え、選択手段を用いて選択された電気電子機器同士の接続関係に基づいて電気電子機器収納用箱を設計可能な構成とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が入力手段を用いて入力した仕様に関する情報を基に、筐体内に電気電子機器を収納する電気電子機器収納用箱の設計を支援することが可能な電気電子機器収納用箱の設計支援システムであって、
筐体に関する仕様情報である筐体仕様情報と、電気電子機器に関する仕様情報である機器仕様情報と、を入力するために用いることが可能な入力手段と、
入力された機器仕様情報に基づいて、電気電子機器同士の接続関係を演算可能な演算手段と、
演算された電気電子機器同士の接続関係を表示可能な表示手段に表示された電気電子機器同士の接続関係を選択することを可能とする選択手段と、
を備え、
選択手段を用いて選択された電気電子機器同士の接続関係に基づいて電気電子機器収納用箱を設計可能な電気電子機器収納用箱の設計支援システム。
【請求項2】
演算手段は、電気電子機器同士の接続関係を複数導出可能であり、
選択手段は、表示手段により表示された複数の電気電子機器同士の接続関係の中から一部を選択することを可能とする請求項1に記載の電気電子機器収納用箱の設計支援システム。
【請求項3】
表示された電気電子機器同士の接続関係を変更する接続関係変更手段を備え、
演算手段は、接続関係変更手段により変更された電気電子機器同士の接続関係の構成で設計可能か否かを判定し、
設計が可能と判定された場合に、
表示手段に、接続関係変更手段により変更された電気電子機器同士の接続関係を表示可能な請求項1に記載の電気電子機器収納用箱の設計支援システム。
【請求項4】
演算手段は、演算手段により演算された電気電子機器同士の接続関係、若しくは、演算手段により演算された電気電子機器同士の接続関係と筐体情報に基づいて、電気電子機器同士の配置関係を導出するように演算可能であり、
表示手段は、演算された電気電子機器同士の配置関係を表示可能であり、
選択手段は、演算手段で導出された電気電子機器同士の配置関係の中から電気電子機器同士の配置関係を選択可能であり、
選択された電気電子機器同士の配置関係に基づいて電気電子機器収納用箱を設計可能な請求項1から3の何れかに記載の電気電子機器収納用箱の設計支援システム。
【請求項5】
電気電子機器同士の接続関係を複数のシンボルを用いて表示可能とし、
複数のシンボルのうちの一部を一つのブロックとし、電気電子機器同士の配置関係の表示を複数のブロックを用いた表示とすることを可能とした請求項1に記載の電気電子機器収納用箱の設計支援システム。
【請求項6】
表示された電気電子機器同士の配置関係を指定する配置変更手段を備え、
いったん電気電子機器同士の配置関係が表示された後に、配置変更手段を用いて電気電子機器同士の配置関係の指定がなされた場合に、
表示手段に、配置変更手段により指定された電気電子機器同士の配置関係を表示可能とする請求項1に記載の電気電子機器収納用箱の設計支援システム。
【請求項7】
利用者が入力手段を用いて入力した仕様に関する情報を基に、筐体内に電気電子機器を収納する電気電子機器収納用箱の設計を支援する電気電子機器収納用箱の設計支援方法であって、
電気電子機器の仕様に関する情報である機器仕様情報を入力するステップと、
入力された機器仕様情報に基づいて、電気電子機器同士の接続関係を演算するステップと、
演算された電気電子機器同士の接続関係を表示するステップと、
表示された電気電子機器同士の接続関係から所望の電気電子機器同士の接続関係を選択するステップと、
を備えた電気電子機器収納用箱の設計支援方法。
【請求項8】
演算された電気電子機器同士の接続関係、若しくは、演算手段により演算された電気電子機器同士の接続関係と筐体情報入力された筐体情報に基づいて、電気電子機器同士の配置関係を演算するステップと、
演算された電気電子機器同士の配置関係を表示するステップと、
表示された電気電子機器同士の配置関係から所望の電気電子機器同士の配置関係を選択するステップと、
を備えた請求項7に記載の電気電子機器収納用箱の設計支援方法。
【請求項9】
利用者が入力手段を用いて入力した仕様に関する情報を基に、筐体内に電気電子機器を収納する電気電子機器収納用箱の設計を支援する電気電子機器収納用箱の設計支援方法であって、
筐体に関する仕様情報である筐体仕様情報を含む筐体のテンプレート若しくは、電気電子機器に関する仕様情報である機器仕様情報を含む電気電子機器のテンプレート若しくは、筐体仕様情報と機器仕様情報を含む電気電子機器収納用箱のテンプレートを表示するステップと、
表示されたテンプレートから所望のテンプレートを選択するステップと、
選択した筐体仕様情報若しくは機器仕様情報を変更するステップと、
選択若しくは変更された機器仕様情報に基づいて、電気電子機器同士の接続関係を演算するステップと、
演算された電気電子機器同士の接続関係を表示するステップと、
表示された電気電子機器同士の接続関係から所望の電気電子機器同士の接続関係を選択するステップと、
を備えた電気電子機器収納用箱の設計支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気電子機器収納用箱の設計支援システム及び電気電子機器収納用箱の設計支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、項目入力手段を介して盤内に配置される電気電子機器を指定すると、盤の製品図が自動的に作製されるシステムが知られている。このようなシステムを用いれば、ユーザの技能に関わりなく、速やかに、盤の製品図を自動作成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
ところで、盤内に配置される電気電子機器同士の関係性次第で、電気電子機器が配置される位置や、電気電子機器間の接続状態(電線やバー部材などの導電部材の接続状態)が変わる。つまり、単に電気電子機器を指定するだけでは、ユーザの求める盤の製品図が作成されないおそれがある。一方、電気電子機器を指定すると、自動的に製品図が作成される。このため、製品図の作成までに行き着くのは早いが、作成された製品図がユーザの求める盤の製品図でない場合もある。この場合、最初から電気電子機器の指定などをやり直す必要があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、演算により導出された電気電子機器同士の接続関係を表示手段で表示した後に、利用者が電気電子機器同士の接続関係の選択作業が行われなければ、電気電子機器収納用箱の設計が進まないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、利用者が入力手段を用いて入力した仕様に関する情報を基に、筐体内に電気電子機器を収納する電気電子機器収納用箱の設計を支援することが可能な電気電子機器収納用箱の設計支援システムであって、筐体に関する仕様情報である筐体仕様情報と、電気電子機器に関する仕様情報である機器仕様情報と、を入力するために用いることが可能な入力手段と、入力された機器仕様情報に基づいて、電気電子機器同士の接続関係を演算可能な演算手段と、演算された電気電子機器同士の接続関係を表示可能な表示手段に表示された電気電子機器同士の接続関係を選択することを可能とする選択手段と、を備え、選択手段を用いて選択された電気電子機器同士の接続関係に基づいて電気電子機器収納用箱を設計可能な設計支援システムとする。
【0007】
また、演算手段は、電気電子機器同士の接続関係を複数導出可能であり、選択手段は、表示手段により表示された複数の電気電子機器同士の接続関係の中から一部を選択することを可能とする構成とすることが好ましい。
【0008】
また、表示された電気電子機器同士の接続関係を変更する接続関係変更手段を備え、演算手段は、接続関係変更手段により変更された電気電子機器同士の接続関係の構成で設計可能か否かを判定し、設計が可能と判定された場合に、表示手段に、接続関係変更手段により変更された電気電子機器同士の接続関係を表示可能な構成とすることが好ましい。
【0009】
また、演算手段は、演算手段により演算された電気電子機器同士の接続関係、若しくは、演算手段により演算された電気電子機器同士の接続関係と筐体情報に基づいて、電気電子機器同士の配置関係を導出するように演算可能であり、表示手段は、演算された電気電子機器同士の配置関係を表示可能であり、選択手段は、演算手段で導出された電気電子機器同士の配置関係の中から電気電子機器同士の配置関係を選択可能であり、選択された電気電子機器同士の配置関係に基づいて電気電子機器収納用箱を設計可能な構成とすることが好ましい。
【0010】
また、電気電子機器同士の接続関係を複数のシンボルを用いて表示可能とし、複数のシンボルのうちの一部を一つのブロックとし、電気電子機器同士の配置関係の表示を複数のブロックを用いた表示とすることを可能とした構成とすることが好ましい。
【0011】
また、表示された電気電子機器同士の配置関係を指定する配置変更手段を備え、いったん電気電子機器同士の配置関係が表示された後に、配置変更手段を用いて電気電子機器同士の配置関係の指定がなされた場合に、表示手段に、配置変更手段により指定された電気電子機器同士の配置関係を表示可能とする構成とすることが好ましい。
【0012】
また、利用者が入力手段を用いて入力した仕様に関する情報を基に、筐体内に電気電子機器を収納する電気電子機器収納用箱の設計を支援する電気電子機器収納用箱の設計支援方法であって、電気電子機器の仕様に関する情報である機器仕様情報を入力するステップと、入力された機器仕様情報に基づいて、電気電子機器同士の接続関係を演算するステップと、演算された電気電子機器同士の接続関係を表示するステップと、表示された電気電子機器同士の接続関係から所望の電気電子機器同士の接続関係を選択するステップと、を備えた電気電子機器収納用箱の設計支援方法とすることが好ましい。
【0013】
また、演算された電気電子機器同士の接続関係、若しくは、演算手段により演算された電気電子機器同士の接続関係と筐体情報入力された筐体情報に基づいて、電気電子機器同士の配置関係を演算するステップと、演算された電気電子機器同士の配置関係を表示するステップと、表示された電気電子機器同士の配置関係から所望の電気電子機器同士の配置関係を選択するステップと、を備えた構成とすることが好ましい。
【0014】
また、利用者が入力手段を用いて入力した仕様に関する情報を基に、筐体内に電気電子機器を収納する電気電子機器収納用箱の設計を支援する電気電子機器収納用箱の設計支援方法であって、筐体に関する仕様情報である筐体仕様情報を含む筐体のテンプレート若しくは、電気電子機器に関する仕様情報である機器仕様情報を含む電気電子機器のテンプレート若しくは、筐体仕様情報と機器仕様情報を含む電気電子機器収納用箱のテンプレートを表示するステップと、表示されたテンプレートから所望のテンプレートを選択するステップと、選択した筐体仕様情報若しくは機器仕様情報を変更するステップと、選択若しくは変更された機器仕様情報に基づいて、電気電子機器同士の接続関係を演算するステップと、演算された電気電子機器同士の接続関係を表示するステップと、表示された電気電子機器同士の接続関係から所望の電気電子機器同士の接続関係を選択するステップと、を備えた電気電子機器収納用箱の設計支援方法とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、演算により導出された電気電子機器同士の接続関係を表示手段で表示した後に、利用者が電気電子機器同士の接続関係の選択作業が行われなければ、電気電子機器収納用箱の設計が進まないようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】設計支援システムの利用開始段階でディスプレイに表示される内容の例を示す図である。
【
図3】筐体のオプションに関する情報を入力した例を示す図である。
【
図4】電気電子機器仕様情報を入力した例を示す図である。
【
図5】電気電子機器収納用箱の利用態様などの基本的な条件を入力した例を示す図である。
【
図6】電気電子機器同士の接続関係を表した結線イメージを示した例を示す図である。
【
図7】
図6とは異なる電気電子機器同士の接続関係を表した結線イメージを示した例を示す図である。
【
図8】表示された結線イメージを操作して他の内容に変更した例を示す図である。ただし、主幹ブレーカの二次側に位置する分岐ブレーカのぶら下がり方を変えた例である。
【
図9】表示された結線イメージを操作して他の内容に変更した例を示す図である。ただし、主幹ブレーカの二次側に位置する分岐ブレーカの一部を主幹ブレーカの一次側に移動させた例である。
【
図11】電気電子機器同士の接続関係を表示する図と、電気電子機器同士の配置関係を表示する図がディスプレイに表示されたことを示す図である。
【
図12】
図10に示す例と結線イメージは変えないが、スペースを設定するようにした場合に、ディスプレイに表示された内容を示す図である。
【
図13】
図12に示す例とブロック分けを変えた場合に、ディスプレイに表示された内容を示す図である。
【
図14】二系統のうちの一相三線の系統側の電気電子機器の仕様の例を表す図である。
【
図15】二系統のうちの三相三線の系統側の電気電子機器の仕様の例を表す図である。
【
図16】
図14及び
図15で入力した内容に対する電気電子機器同士の接続関係の表示例を示す図である。
【
図17】
図16に示す結線イメージに対して導出された電気電子機器同士の配置関係などが、ディスプレイに表示された例を示す図である。
【
図18】
図16に示す結線イメージに対して導出された
図17とは異なる電気電子機器同士の配置関係などが、ディスプレイに表示された例を示す図である。
【
図19】
図16に示す結線イメージに対して導出された
図17及び
図18とは異なる電気電子機器同士の配置関係などが、ディスプレイに表示された例を示す図である。
【
図20】ディスプレイに表示される筐体仕様情報と機器仕様情報を含む電気電子機器収納用箱のテンプレートの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に発明を実施するための形態を示す。
図1乃至
図5に示されていることから理解されるように、本実施形態の電気電子機器収納用箱の設計支援システムは、利用者が入力手段を用いて入力した仕様に関する情報を基に、筐体内に電気電子機器を収納する電気電子機器収納用箱の設計を支援することが可能である。この電気電子機器収納用箱の設計支援システムは、筐体に関する仕様情報である筐体仕様情報と、電気電子機器に関する仕様情報である機器仕様情報と、を入力するために用いることが可能な入力手段と、入力された機器仕様情報に基づいて、電気電子機器同士の接続関係を演算可能な演算手段と、演算された電気電子機器同士の接続関係を表示可能な表示手段に表示された電気電子機器同士の接続関係を選択することを可能とする選択手段と、を備えている。また、選択手段を用いて選択された電気電子機器同士の接続関係に基づいて電気電子機器収納用箱を設計可能である。このため、演算により導出された電気電子機器同士の接続関係を表示手段で表示した後に、利用者が電気電子機器同士の接続関係の選択作業が行われなければ、電気電子機器収納用箱の設計が進まないようにすることが可能となる。
【0018】
また、利用者が入力手段を用いて入力した仕様に関する情報を基に、筐体内に電気電子機器を収納する電気電子機器収納用箱の設計を支援する電気電子機器収納用箱の設計支援方法において、電気電子機器の仕様に関する情報である機器仕様情報を入力するステップと、入力された機器仕様情報に基づいて、電気電子機器同士の接続関係を演算するステップと、演算された電気電子機器同士の接続関係を表示するステップと、表示された電気電子機器同士の接続関係から所望の電気電子機器同士の接続関係を選択するステップと、を備えることが必要であるようにしている。このため、演算により導出された電気電子機器同士の接続関係を表示手段で表示した後に、利用者が電気電子機器同士の接続関係の選択作業が行われなければ、電気電子機器収納用箱の設計が進まないようにすることが可能となる。
【0019】
以下では、分電盤、配電盤、制御盤、高圧受電設備などの配電を目的とした電気電子機器収納用箱に基づいて説明を行うが、もちろんサーバや通信装置、演算装置などを備えたシステムラックや通信装置や照明機器、机、椅子などを備え、内部で人が作業するための作業用ボックスなどの設計支援システムに適用するようにしてもよい。
【0020】
実施形態の電気電子機器収納用箱は、筐体と、筐体に収納される電気電子機器を備えている。電気電子機器は、ブレーカ、開閉器、端子台、タイムスイッチ、避雷器、コンセント、変圧器、継電器、通信装置、計測装置、制御装置、センサ機器、空調機器など、電気や電子に関連する機器や、非常回路や自動点滅回路などの電子機器で構成された回路などを例示できるが、この例に限ることはない。
【0021】
電気電子機器収納用箱の仕様を定める場合などに利用される情報には、筐体の仕様に関する「筐体仕様情報」、電気電子機器の仕様に関する「機器仕様情報」、電気電子機器収納用箱の仕様に関する「電気電子機器収納用箱仕様情報」などがある。
【0022】
筐体の仕様に関する「筐体仕様情報」は、例えば、筐体の材質(鉄、ステンレス、樹脂など)、筐体の寸法(ヨコ、タテ、フカサ)、筐体の色などである(
図2参照)。また、筐体の性能や種別(防水性能、耐震性能、耐熱性能、壁掛けタイプ、自立タイプなど)、筐体への入線位置、筐体からの出線位置(上入線下出線、背面入線背面出線など)、筐体内の電気電子機器の設置エリア、筐体内の配線空間に関する情報(電気電子機器を設置していない状態での配線可能エリア、電気電子機器が設置されることに応じて変化する配線可能エリア)、筐体を構成する扉に関する情報(扉の枚数、開く方向など)などであってもよい。また、筐体のオプションに関する情報であってもよい(
図3参照)。例えば、筐体に対する加工(孔加工や溶接加工など)に関する情報(加工位置、数など)、筐体に取付けられるパーツ(鎖錠装置、熱対策機器、防水対策部材など)に関する情報(設置位置、数など)であってもよい。
【0023】
電気電子機器の仕様に関する「機器仕様情報」は、例えば、種類に関する情報(協約形ブレーカ、漏電ブレーカ、サーキットブレーカ、プラグイン式ブレーカ、端子台、リレー、電流計、電力計、通信機器、タイムスイッチ、SPD、制御回路など)、性能に関する情報(定格電流や定格遮断容量などの電気的性能や、強度などの物理的性能など)、系統の数に関する情報(1つの筐体内に1相3線式と3相3線式の2つの系統を形成するなど)、個数に関する情報などである(
図4参照)。また、電気電子機器のオプションに関する情報であってもよく、例えば、電気電子機器に付加されるパーツ(ハンドルロックなど)などに関する情報である。
【0024】
また、「機器仕様情報」は、機能や役割に関する情報(入線用電線としての役割(
図4では「入線」と表示)、主幹ブレーカとしての役割(
図4では「主幹」と表示)、分岐ブレーカとしての役割(
図4では「分岐」と表示)、分岐ブレーカの二次側機器としての役割(
図4では「分岐二次」と表示)、主幹ブレーカの一次側機器としての役割など)、設置位置に関する情報(側面設置、扉設置など)、電気電子機器同士の接続関係に関する情報(接続の可否、)などであってもよい。接続関係に関する情報は、機能や役割に関する情報に基づいて演算されるものであってもよい。
【0025】
また、「機器仕様情報」は、電気電子機器同士の配置関係に関する情報(例えば、10個の同一機器を1列に配置するか、2つに分けて5個ずつ2列に配置するか、)などであってもよい。なお、配置関係に関する情報は接続関係に依存する。例えば、主幹ブレーカと分岐ブレーカの配置関係において、主幹ブレーカの二次側に分岐ブレーカを接続する場合には、主幹ブレーカの下方に分岐ブレーカを配置し、主幹ブレーカの一次側に分岐ブレーカを接続する場合には、非常用の回路であり、他の分岐ブレーカと区別するため、主幹ブレーカの左右方向に分岐ブレーカを配置するといったことなどが例示できる。
【0026】
電気電子機器収納用箱の仕様に関する「電気電子機器収納用箱仕様情報」は、例えば、設置場所、設置環境(屋内、屋外、塩害地域、豪雪地域、標高の高い場所など)、設置状態(壁への取付け、支柱への取付け、自立設置など)、使用されるエリアを管轄する電力会社、使用されるエリアの周波数帯域などである(
図5参照)。
【0027】
実施形態の電気電子機器収納用箱仕様情報は、図面番号と紐づいているとともに、筐体仕様情報や機器仕様情報と紐づいている。なお、システムによる設計段階若しくは設計完了後に、図面番号を検索すれば、設計された電気電子機器収納用箱に関する情報が出力されるように構成されていることが好ましい。
【0028】
筐体仕様情報や機器仕様情報は、入力手段を用いて入力されるが、この入力は、パソコンやスマートフォンなどへ入力する際に一般的に使用される手段(キーボードやマウスを使用した入力、ディスプレイへの入力など)を用いて行えるようにすればよい。また、仕様情報が記載された書類を光学文字認識により取り込むようにして仕様情報を入力可能なようにしてもよい。また、音声を利用した入力や視線を利用した入力により仕様情報を入力できるようにしてもよい。なお、仕様情報の入力は、各種情報に付与された品名番号などを用いてなされるものであってもよい。
【0029】
入力手段を用いて筐体仕様情報、機器仕様情報の全てが入力されることが好ましいが、それらの一部のみが入力された場合であっても、演算手段による演算が行われるようにしてもよい。つまり、入力された各仕様情報と、過去に設計された電気電子機器収納用箱の仕様情報とを比べ、システム利用者が所望する筐体仕様情報や機器仕様情報を推定し、電気電子機器収納用箱を設計することができるように構成してもよい。
【0030】
また、入力手段として、標準的な筐体仕様と機器仕様で構成された電気電子機器収納用箱のテンプレートが複数用意されており、複数のテンプレートから一つを選択することで、筐体仕様情報と機器仕様情報が入力されるようにしてもよい。このとき、筐体仕様情報若しくは機器仕様情報の一方に対しては品名番号を入力し、もう一方をテンプレートから選択することで入力ようにしてもよい。
【0031】
その一方で、テンプレートより選択された電気電子機器収納用箱の筐体仕様情報若しくは機器仕様情報に対して変更するための入力を入力手段による入力としてもよく、例えば、筐体仕様情報として筐体のサイズに関する情報を変更したり、機器仕様情報として新たな電気電子機器を追加などするために変更する。
【0032】
演算手段は、電気電子機器同士の接続関係を演算する場合に利用されるが、入力された機器仕様情報などに基づいて、電気電子機器同士の接続関係を演算することができる。この演算は、データベースを使用する方法と、データベースを使用しない方法のいずれによってなされてもよい。
【0033】
電気電子機器同士の接続関係の演算にデータベースを使用する場合、データベースに格納されている機器仕様情報には、電気電子機器同士の接続関係を表す情報が含まれているようにすればよい。この情報を用いて入力された機器仕様情報に含まれる電気電子機器同士の接続関係を比べ、電気電子機器同士の接続関係を演算するようにすればよい。
【0034】
例えば、種類「SB228」の電気電子機器は、主幹ブレーカとして機能する電気電子機器であり、入線用電線や分岐ブレーカなどと接続可能であるという情報が、データベースに格納されているとする。また、種類「BB51」の電気電子機器は、分岐ブレーカとして機能する電気電子機器であり、主幹ブレーカや、電流や電圧や電力を測定する測定器や制御回路など分岐ブレーカの二次側機器に分類される機器と接続可能であるという情報がデータベースに格納されているとする。これらの情報と入力された情報を用いて、電気電子機器同士の接続関係を演算するようにすればよい。
【0035】
一方、電気電子機器同士の接続関係の演算にデータベースを使用しない場合、電気電子機器同士の接続関係を表す情報を機器仕様情報と共に入力するように構成すればよい。また、入力された電気電子機器同士の接続関係を表す情報に基づいて、演算手段が演算可能なように構成すればよい。
【0036】
また、電気電子機器同士の接続関係の演算にデータベースを使用しない場合であっても、電気電子機器同士の接続関係を表す情報を入力しなくても演算可能なように構成してもよい。例えば、過去に設計した電気電子機器収納用箱に関する情報や、教師データとして入力した電気電子機器同士の接続関係に関する情報に基づいて、人工知能により、入力した機器仕様情報に基づいた電気電子機器同士の接続関係が演算されるようにすればよい。
【0037】
演算手段による演算結果が、システムの利用者の意図しないものとならないようにするため、機器仕様情報に対して、優先度を設定できるようにしてもよい。例えば、設定した優先度が高いものについては、接続する電気電子機器や構成する電気電子機器の数を変更しないようにする。また、優先度ではなく、変更禁止を設定するようにしてもよい。この場合、変更禁止が設定された事柄に関しては、その内容を維持するため、他の事項だけが調整要素となる。
【0038】
実施形態においては、演算手段により、電気電子機器同士の接続関係が演算されると、接続関係が結線イメージとして作成され、表示手段を用いて表示される。例えば、入力された機器仕様情報のそれぞれに対して、シンボルを割り当て、シンボル同士を線で繋ぐことで、電気電子機器同士の接続関係をディスプレイなどに表示する。表示される結線イメージは、電気電子機器同士の接続関係を表すものであるため、筐体における電気電子機器の配置関係を表すものではなくてよい。
【0039】
また、各シンボルには、電気電子機器の機能や役割を表す記載を設けることが好ましい。例えば、電気電子機器ごとに定められている記載である。例えば、電気に関するデータを計測するものについて「計測」と記載したり、制御回路について「制御」と記載したりすることなどである(
図6参照)。なお、
図6において「計測」に該当するのは、
図4における「WH」である。また、
図6において「制御」に該当するのは、
図4における「TM」である。
【0040】
実施形態では、システムの利用者が、表示された結線イメージで問題ないと判断し、この結線イメージを選択した場合に、電気電子機器同士の接続関係が決定されるように構成されている。ただし、演算手段により、複数の電気電子機器同士の接続関係が演算され、複数の結線イメージが表示され、複数の結線イメージから、システムの利用者が採用を希望する結線イメージを選択するように構成してもよい。
【0041】
このようなことを可能にするためにも、演算手段は、電気電子機器同士の接続関係を複数導出可能であり、選択手段は、表示手段により表示された複数の電気電子機器同士の接続関係の中から一部を選択することを可能とするように構成するのが好ましい。なお、複数の結線イメージがディスプレイなどに同時に表示されるようにしてもよいし、一つずつ、若しくは数個ずつ表示して、その表示を切り替えることができるように構成してもよい。
【0042】
機能や役割、種類が同じ電気電子機器が複数入力された場合には、それらを1つのユニットとして接続関係が演算されてもよいし、それらを1つのシンボルとして表示するようにしてもよい。また、それらを複数のユニットに分けて接続関係が演算されてもよい。この場合、それらを複数のシンボルとして表示するようにしてもよい。
【0043】
また、各電気電子機器には、複数の電気電子機器が接続可能な場合があるし、電気電子機器同士の相対的な関係が異なるように接続することが可能な場合がある。例えば、主幹ブレーカに対して分岐ブレーカは、二次側に接続可能であるし、一次側にも接続可能である。また、計測装置は、1つの回路を計測する場合には、分岐ブレーカの2次側に接続することが可能であり、回路全体を計測する場合には、主幹ブレーカの1次側に接続することが可能である。このため、電気電子機器の接続先により、結線イメージは異なるものとなる。
【0044】
なお、結線イメージの表示において、複数の電気電子機器を1つのユニットとしたシンボルを用いる場合、シンボルの数が同じであっても、シンボルに含まれる電気電子機器の数が異なる場合がある。このため、ユニットを構成する電気電子機器の数を表示する方が好ましい(
図6参照)。
【0045】
電気電子機器収納用箱の実際のユニットは、ベース部材の上に複数の電気電子機器を搭載することで形成されるものであるが、結線イメージで利用されるユニットは必ずしも、そのようなまとまりのものでなくてもよい。ただし、所定の数の電気電子機器毎にまとめた製品群が構成される場合、演算手段により演算される場合には、この製品群を利用した電気電子機器同士の接続関係を優先的に表示するように構成するのが好ましい。このような構成とすることで、電気電子機器収納用箱の製造効率を向上することができる。
【0046】
ところで、ディスプレイなどに表示された結線イメージに対して、システムの利用者が修正を行うことを可能とする接続関係変更手段をシステムに備えるようにしてもよい。例えば、シンボルに含まれる電気電子機器の数の変更や、シンボルの接続位置の変更などを可能とする接続関係変更手段とするのが好ましい。なお、ディスプレイなどに修正された内容の表示がなされるように構成することが好ましい。
【0047】
また結線イメージが修正された場合、その修正された結線イメージの電気電子機器同士の接続関係に基づいて、演算手段により別の結線イメージが演算され、ディスプレイなどに表示されるようにしてもよい。
【0048】
修正された内容は、電気電子機器収納用箱の構成に適していない場合もあり得るため、修正された内容に対して、電気電子機器同士の接続が可能か否かなどを判定できるように構成することが好ましい。例えば、不可の場合には警告表示するように構成することが好ましい。
【0049】
このようなことを可能とするためにも、設計支援システムは、表示された電気電子機器同士の接続関係を変更する接続関係変更手段を備え、演算手段は、接続関係変更手段により変更された電気電子機器同士の接続関係の構成で設計可能か否かを判定し、設計が可能と判定された場合に、表示手段に、接続関係変更手段により変更された電気電子機器同士の接続関係を表示可能な構成とするのが好ましい。
【0050】
ここで、実施形態のシステムの利用例について説明をする。例えば、
図4に示すように、「入線 cv」、「主幹 SB228 1個」、「分岐 BB51 14個」など、機器仕様情報を入力する。その作業が完了したら、結線イメージ作成ボタンを押す。すると、入力した機器仕様情報に基づいて、電気電子機器同士の接続関係が演算され、結線イメージが表示される(
図6参照)。
【0051】
表示された結線イメージで問題ない場合には、決定ボタンを押すことで電気電子機器同士の接続関係が決定される。表示された結線イメージに問題がある場合には、戻るボタンを押し、機器仕様情報の入力をやり直すことも可能であるが、電気電子機器同士の接続関係の候補が複数存在する場合は、その候補を確認できるように操作可能な構成としてもよい。
図6に示す例では、次へボタン若しくは前へボタンを押すことで、他の結線イメージが表示される(
図7参照)。
【0052】
実施形態においては表示された結線イメージの修正を行うことも可能である。
図8に示す修正例では、28個の分岐ブレーカが2つのシンボルに均等に分けられて構成されているものを、2個の分岐ブレーカと、26個の分岐ブレーカに変更する修正がなされている。
図9に示す修正例では、2個の分岐ブレーカの接続先が主幹ブレーカの二次側から一次側に変更する修正がなされている。
【0053】
修正した内容で問題なければ、選択作業をすればよい。この例では決定ボタンを押すことで、電気電子機器同士の接続関係が選択される。電気電子機器同士の接続関係が選択されると、入力画面上に結線番号が表示される。(
図10においては、修正していない初期の結線イメージで表される電気電子機器同士の接続関係で決定されたものを示している。)
【0054】
電気電子機器同士の接続関係が選択されると、機器仕様情報や選択された電気電子機器同士の接続関係や筐体仕様情報などに基づいて、筐体における電気電子機器同士の配置関係について演算手段で演算される。例えば、演算手段により演算された電気電子機器同士の接続関係、若しくは、演算手段により演算された電気電子機器同士の接続関係と筐体情報に基づいて、電気電子機器同士の配置関係を導出するように演算手段で演算される。
【0055】
なお、入力された機器仕様情報を用いて、各電気電子機器のサイズを把握できるように構成することができる。また、決定された電気電子機器同士の接続関係により、各電気電子機器のユニットのサイズ(電気電子機器を連接したサイズ若しくはベース部材のうち、大きい方など)や、配線距離や配線作業のしやすさなどに基づいて、筐体における電気電子機器同士の配置関係について演算手段で演算されるようにしてもよい。
【0056】
例えば、電気電子機器同士が電線により接続される場合、互いに近くに配置される方が、配線に使用する電線を少なくすることもできるし、配線作業も容易に行うことができる。このため、電線により接続される電気電子機器同士を、近くに配置されるべき電気電子機器として取り扱うような演算を行うように構成するのが好ましい。
【0057】
筐体仕様情報として、筐体のサイズに関する情報が入力された場合には、入力されたサイズ以下の筐体となるように、電気電子機器同士の配置関係が演算されるようにすることが好ましい。演算された配置関係で配置された電気電子機器全体のサイズが、筐体内に収まらない場合には、その旨の表示とともに、機器仕様情報や筐体仕様情報の修正を促すように構成してもよい。
【0058】
演算された配置関係で配置された電気電子機器全体のサイズが、指定された筐体のサイズよりも小さい場合には、筐体サイズを小さくできる旨の表示をするように構成してもよい。
【0059】
筐体仕様情報として、筐体のサイズに関する情報の入力がない場合(ヨコ、タテ、フカサの一部しか入力されない場合も含むようにしてもよい)には、演算された電気電子機器同士の配置関係で配置された電気電子機器全体のサイズが収まるような筐体が演算されるようにすればよい。
【0060】
演算により電気電子機器同士の配置関係が求められたら、その結果を表示手段を用いて表示する。表示された内容で問題ないことを確認し、選択がなされたら、選択内容に沿って電気電子機器収納用箱が設計される用ようにすればよい。
【0061】
このようなことを可能にするためにも、演算手段は、演算手段により演算された電気電子機器同士の接続関係、若しくは、演算手段により演算された電気電子機器同士の接続関係と筐体情報に基づいて、電気電子機器同士の配置関係を導出するように演算可能であるようにするのが好ましい。また、表示手段は、演算された電気電子機器同士の配置関係を表示可能とするのが好ましい。また、選択手段は、演算手段で導出された電気電子機器同士の配置関係の中から電気電子機器同士の配置関係を選択可能であり、設計支援システムは、選択された電気電子機器同士の配置関係に基づいて電気電子機器収納用箱を設計可能な構成とするのが好ましい。
【0062】
また、電気電子機器収納用箱の設計支援方法においては、演算された電気電子機器同士の接続関係、若しくは、演算手段により演算された電気電子機器同士の接続関係と筐体情報入力された筐体情報に基づいて、電気電子機器同士の配置関係を演算するステップと、演算された電気電子機器同士の配置関係を表示するステップと、表示された電気電子機器同士の配置関係から所望の電気電子機器同士の配置関係を選択するステップと、を備えた構成とするのが好ましい。
【0063】
決定された結線イメージの表示において、複数のシンボルを複数のブロックに分けることができるようにしてもよい。例えば、一つのブロックを一つの囲いで表し、一つの囲いの中に納まるシンボル若しくはシンボル群が一つのブロックに属したものであることが理解できるように表示するようにしてもよい(
図11参照)。
【0064】
ブロック分けができるようにすれば、利便性を向上させることが可能となる。例えば、同一のベース部材上に配置する電気電子機器を一つのブロックとして扱うようにしたり、回路を区別できるようにブロック分けするようにしたりすれば、利便性を高めることができる。
【0065】
これらブロック毎に筐体内に配置された場合の配置イメージも表示されるように構成することが好ましい。例えば、筐体の上から順番にブロックが配置されるのか、一部のブロックが左右方向に並んで配置されるのかなどが理解しやすくなる。
【0066】
このため、設計支援システムは、電気電子機器同士の接続関係を複数のシンボルを用いて表示可能とし、複数のシンボルのうちの一部を一つのブロックとし、電気電子機器同士の配置関係の表示を複数のブロックを用いた表示とすることを可能とするのが好ましい。
【0067】
実施形態においては、各ブロック間の距離は、電気事故を防止するために設けられるべき距離を最低限確保するように構成している。ただし、配線のための空間を確保するためや、新たな電気電子機器を設置するための空間を確保するために、別途スペースを追加した配置イメージを演算するようにしてもよい。また、システムの利用者がスペースを追加できるように構成してもよい(
図11及び
図12参照)。なお、配置イメージについても、結線イメージと同様、複数のイメージが演算により導かれ、それらを表示可能なように構成されるようにしてもよい。また、システムの利用者がグループ構成を設定しなおして配置イメージを修正できるように構成してもよい(
図11及び
図13参照)。
【0068】
このようなことを可能にするためにも、設計支援システムは、表示された電気電子機器同士の配置関係を指定する配置変更手段を備え、いったん電気電子機器同士の配置関係が表示された後に、配置変更手段を用いて電気電子機器同士の配置関係の指定がなされた場合に、表示手段に、配置変更手段により指定された電気電子機器同士の配置関係を表示可能とする構成とするのが好ましい。
【0069】
ここで、実施形態のシステムの利用例について説明をする。
図10に示す例では、電気電子機器同士の接続関係が決定された後、次へボタンを押すことで、結線イメージと配置イメージが表示される(
図11参照)。配置イメージは筐体の上からブロックA、ブロックB、ブロックCの順に配置されることを基本とするが、この限りではない。
【0070】
ここでは、
図11に示すように表示された配置イメージに対して、スペース(SP)を追加する修正を行うことで配置イメージを変更することがなされた(
図12参照)。この例では、筐体サイズを変更することなくスペースを追加する演算が行われたため、筐体の上方と下方にスペースを確保しつつ、ブロックBとブロックCが並列関係で配置されている。もちろん、スペースの追加に応じて筐体サイズを変更した配置イメージが演算されてもよい。
【0071】
配置イメージが複数導出される場合には、操作をすることで、現在表示されている配置イメージとは異なる配置イメージについて表示されるようにしてもよい。例えば、次へボタン若しくは前へボタンを押すことで、結線イメージにおけるシンボルのブロック分けが変更された配置イメージが表示されるようにしてもよい(
図12及び
図13参照)。
【0072】
表示された配線イメージで問題がない場合には、決定ボタンを押すことで、電気電子機器収納用箱の設計が完了する。つまり、入力された機器仕様情報と筐体仕様情報に基づいて、電気電子機器同士の接続関係と、筐体における電気電子機器同士の配置関係が選択されることで、取り扱い対象となる電気電子機器収納用箱が決定される。
【0073】
ここまでは、電気電子機器収納用箱に存在する系統数が一つの場合について説明をしたが、系統数は複数にすることも可能である。ここでは、系統数が二つの場合の例について説明をする。例えば、1つ目の系統が1相3線式(
図14参照)、2つ目の系統が3相3線式(
図15参照)として、機器仕様情報を入力したとする。また、筐体仕様情報については入力されていないものとする。
【0074】
例えば、
図16に示すような結線イメージが候補として挙げられたとする。この結線イメージで良い場合は、この結線イメージの選択を行う。
図16に示す例では、決定ボタンを操作すれば、表示されている結線イメージの選択を行うことができる。
【0075】
選択された結線イメージに基づいて配線イメージが表示される。複数の配線イメージの候補が演算により導かれた場合は、それらを表示できるようにすればよい。例えば、選択された結線イメージに応じて、表示される配線イメージの1つ目の系統をブロックA、2つ目の系統をブロックBとして表示する(
図17参照)。
【0076】
ここでは、配線イメージとして以下に記す三つの候補が演算により導かれた。一つ目の配線イメージの候補は、ブロックAとブロックBが水平方向に並列配置されている(
図17参照)。この例では、筐体が横長なものである。
【0077】
二つ目の配線イメージの候補は、ブロックAとブロックBが上下配置されている(
図18参照)。この例では、筐体が縦長なものである。三つ目の配線イメージの候補は、ブロックAとブロックBがそれぞれ別の筐体に配置されている(
図19参照)。この例では、筐体が縦長ではあるが、二つ目の例よりも縦の長さは短く設定されている。
【0078】
これらの記載から理解されるように、筐体仕様情報が入力されない(例えば、筐体サイズに関する情報が入力されない)場合、配線イメージとして、筐体サイズが異なる例や、筐体の個数が異なる例が候補として導出されるように構成するのが好ましい。
【0079】
ここで、テンプレートを用いて電気電子機器収納用箱を設計可能とする例について説明をする。
図20は、ディスプレイに表示される筐体仕様情報と機器仕様情報を含む電気電子機器収納用箱のテンプレートの例を示す図である。利用者は、基本情報を入力した後、ディスプレイに表示されたテンプレートから所望のテンプレートを選択する。テンプレートの選択により、
図2や
図4に示すように筐体仕様情報や機器仕様情報が自動的に入力される。筐体オプション情報(
図3参照)については、テンプレートに含まれる範囲で、自動的に入力されてもよい。このとき、筐体仕様情報については手入力し、機器仕様情報については、機器のテンプレートを選択することで自動入力するなど、筐体仕様情報と機器仕様情報のうち一方を手入力し、もう一方をテンプレートによる自動入力するようにしてもよい。
【0080】
テンプレートは、標準的な電気電子機器収納用箱や、標準的な筐体や標準的な電気電子機器を表すものであり、データベースに登録されている。ディスプレイ上へのテンプレートの表示順は、データベースへの登録順や利用者が選択した回数の多い順、利用者から選択された時期が近い順など、如何なるようにしてもよい。
【0081】
また、電気電子機器のテンプレートの場合、一つの電気電子機器毎にテンプレートが登録されていてもよいが、複数の電気電子機器をまとめたユニット単位のテンプレートを登録しておけば、利用者の選択作業や入力作業を省略することが可能となる。
【0082】
これらの記載から理解されるように、利用者が入力手段を用いて入力した仕様に関する情報を基に、筐体内に電気電子機器を収納する電気電子機器収納用箱の設計を支援する電気電子機器収納用箱の設計支援方法であって、筐体に関する仕様情報である筐体仕様情報を含む筐体のテンプレート若しくは、電気電子機器に関する仕様情報である機器仕様情報を含む電気電子機器のテンプレート若しくは、筐体仕様情報と機器仕様情報を含む電気電子機器収納用箱のテンプレートを表示するステップと、表示されたテンプレートから所望のテンプレートを選択するステップと、選択した筐体仕様情報若しくは機器仕様情報を変更するステップと、選択若しくは変更された機器仕様情報に基づいて、電気電子機器同士の接続関係を演算するステップと、演算された電気電子機器同士の接続関係を表示するステップと、表示された電気電子機器同士の接続関係から所望の電気電子機器同士の接続関係を選択するステップと、を備えた電気電子機器収納用箱の設計支援方法とするのが好ましい。
【0083】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。