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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017561
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】通信機能付き金蓋
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/22 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
H01Q1/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120676
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】509090070
【氏名又は名称】笠井鋳工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522250253
【氏名又は名称】株式会社EASEL
(71)【出願人】
【識別番号】520307713
【氏名又は名称】関西電力送配電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠井 健司
(72)【発明者】
【氏名】笠井 涼司
(72)【発明者】
【氏名】木佐貫 靖
(72)【発明者】
【氏名】小畑 登
(72)【発明者】
【氏名】坂本 康
(72)【発明者】
【氏名】山田 章一郎
【テーマコード(参考)】
5J047
【Fターム(参考)】
5J047AA06
5J047AA10
5J047AB07
5J047EF01
(57)【要約】
【課題】通信機能に優れ、かつ、金蓋本体への取付強度が高いアンテナを備えた通信機能付き金蓋を提供する。
【解決手段】本技術に係る通信機能付き金蓋は、管渠に連通するマンホールの開口を閉塞し、マンホールの外側に面する表面とマンホールの内側に面する裏面とを含み、裏面から表面に達する貫通孔が形成された金蓋本体と、管渠内のデータを計測する計測部と、計測部が計測したデータを無線通信により送信する通信ユニットと、通信ユニットに電気的に接続された電源と、通信ユニットに接続され、貫通孔に埋設されたアンテナとを備え、金蓋本体の表面上において、貫通孔は、第1方向に延びるスリット形状を有し、第1方向からみたとき、貫通孔は、裏面側から表面側に向かって貫通孔の幅が狭くなるように傾斜したテーパ傾斜面を含む断面形状を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管渠に連通するマンホールの開口を閉塞し、前記マンホールの外側に面する表面と前記マンホールの内側に面する裏面とを含み、前記裏面から前記表面に達する貫通孔が形成された金蓋本体と、
前記管渠内のデータを計測する計測部と、
前記計測部が計測した前記データを無線通信により送信する通信ユニットと、
前記通信ユニットに電気的に接続された電源と、
前記通信ユニットに接続され、前記貫通孔に埋設されたアンテナとを備え、
前記金蓋本体の前記表面上において、前記貫通孔は、第1方向に延びるスリット形状を有し、
前記第1方向からみたとき、前記貫通孔は、前記裏面側から前記表面側に向かって前記貫通孔の幅が狭くなるように傾斜したテーパ傾斜面を含む断面形状を有する、通信機能付き金蓋。
【請求項2】
前記金蓋本体の前記裏面から前記マンホールの内側に突出し、前記裏面上の空間を複数の空間に仕切る補強リブが設けられ、
前記通信ユニットおよび前記電源は、前記複数の空間のうちの1つの空間に設置される、請求項1に記載の通信機能付き金蓋。
【請求項3】
前記通信ユニットおよび前記電源が単一の筐体に収納されている、請求項1または請求項2に記載の通信機能付き金蓋。
【請求項4】
前記金蓋本体の前記表面上に凹凸が形成され、前記貫通孔は、前記凹凸における凹部内に開口する、請求項1または請求項2に記載の通信機能付き金蓋。
【請求項5】
前記第1方向からみたとき、前記テーパ傾斜面は左右対称に形成されている、請求項1または請求項2に記載の通信機能付き金蓋。
【請求項6】
前記貫通孔は、前記第1方向において160mm以上の長さを有する、請求項1または請求項2に記載の通信機能付き金蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、通信機能付き金蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
マンホール内の状況を把握するためには、マンホールの蓋を開放して作業員が内部に入る必要がある。マンホールの内部に入るためには、事前に関係行政庁から許認可を取得し、現地で作業を実施するにあたっては、一定の人員配置や資機材の準備等が必要となる。
【0003】
このように、マンホール内の状況を把握するため、手間、時間、およびコストを要する。そこで、マンホール内部の情報を、蓋を開けることなく遠隔で把握できる通信機能付き金蓋が要請される。
【0004】
マンホールの蓋にアンテナを取り付けて通信機能を持たせる技術が、特開2015-10403号公報(特許文献1)および特開2016-213545号公報(特許文献2)に記載されている。
【0005】
マンホールの内部にセンサを設け、そのセンサにより得られたデータをマンホールの蓋に取り付けたアンテナを介して無線通信を用いて外部に送信することにより、マンホールの内の状況を把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-10403号公報
【特許文献2】特開2016-213545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
マンホール内の状況を的確に把握するために、アンテナには優れた通信機能が求められる。また、マンホールは屋外に設置され、マンホールの蓋には車両等による荷重が繰り返し加えられることから、高い取付強度で金蓋本体にアンテナを取り付けることが求められる。
【0008】
本技術の目的は、通信機能に優れ、かつ、金蓋本体への取付強度が高いアンテナを備えた通信機能付き金蓋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本技術に係る通信機能付き金蓋は、管渠に連通するマンホールの開口を閉塞し、マンホールの外側に面する表面とマンホールの内側に面する裏面とを含み、裏面から表面に達する貫通孔が形成された金蓋本体と、管渠内のデータを計測する計測部と、計測部が計測したデータを無線通信により送信する通信ユニットと、通信ユニットに電気的に接続された電源と、通信ユニットに接続され、貫通孔に埋設されたアンテナとを備える。金蓋本体の表面上において、貫通孔は、第1方向に延びるスリット形状を有する。第1方向からみたとき、貫通孔は、裏面側から表面側に向かって貫通孔の幅が狭くなるように傾斜したテーパ傾斜面を含む断面形状を有する。
【発明の効果】
【0010】
本技術によれば、通信機能を備えた金蓋を含むシステムを提供し、マンホール内の設備の確認作業を自動化することができるので、確認作業のための事前準備、人手確保などに要する手間、時間、およびコストを低減することができる。さらに、通信機能に優れ、かつ、金蓋本体への取付強度が高いアンテナを備えることにより、確認作業の信頼性を高めるとともに、上記システムの耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】通信機能付き金蓋100の構成を模式的に示す図である。
図2】金蓋本体10の表面10Aの凹凸模様13を示す図である。
図3】金蓋本体10の裏面10B上に設けられる構成を模式的に示す図である。
図4】金蓋本体10にアンテナ装置50を設けた状態を裏面10B側からみた状態を示す図である。
図5】金蓋本体10の裏面10Bに形成された空間12Aに筐体60を設けた状態を示す図である。
図6】空間12Aに筐体60を設けた後、カバー部材90を設けた状態を示す図である。
図7】アンテナ装置50の側面図である。
図8】アンテナ装置50の下面図である。
図9図7におけるIX-IX断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0013】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0014】
なお、本明細書において、「備える」および「含む」、「有する」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0015】
また、本明細書において幾何学的な文言および位置・方向関係を表す文言、たとえば「平行」、「直交」、「斜め45°」、「同軸」、「沿って」などの文言が用いられる場合、それらの文言は、製造誤差ないし若干の変動を許容する。本明細書において「上側」、「下側」などの相対的な位置関係を表す文言が用いられる場合、それらの文言は、1つの状態における相対的な位置関係を示すものとして用いられるものであり、各機構の設置方向(たとえば機構全体を上下反転させる等)により、相対的な位置関係は反転ないし任意の角度に回動し得る。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る通信機能付き金蓋100の構成を模式的に示す図である。図1(および後述する図2ないし図7)は、本技術の実施の形態を説明するための模式図であり、距離(たとえば金蓋本体10の厚み)、角度(たとえば貫通孔11の壁面の傾き)などについて、図示および説明の便宜上、一部は誇張して描かれている。
【0017】
図1に示すように、通信機能付き金蓋100は、金蓋本体10と、センサ20と、通信ユニット30と、バッテリ40(電源)と、アンテナ装置50と、筐体60とを含む。
【0018】
金蓋本体10は、地中ケーブル3が設けられた管渠2に連通するマンホール1の開口を閉塞するように設けられる。ただし、本技術における管渠2は地中ケーブル3が通されるものに限定されない。
【0019】
金蓋本体10は、マンホール1の外側に面する表面10Aと、マンホール1の内側に面する裏面10Bとを含む。金蓋本体10には、裏面10Bから表面10Aに達する貫通孔11が形成されている。
【0020】
金蓋本体10の裏面10Bには、補強リブ12が設けられている。補強リブ12は、裏面10Bからマンホール1の内側に突出する。金蓋本体10の裏面10B上は、補強リブ12により複数の空間12Aに仕切られている。
【0021】
センサ20(計測部)は、マンホール1の内部に設けられ、マンホール1および管渠2内の状況を把握するための各種データを計測する。図1においては、模式的に1つのセンサ20を図示しているが、センサ20は複数設けられてもよい。
【0022】
たとえば、センサ20として水位センサを設けることにより、管渠2内に意図しない浸水が生じたことを検知することが可能となる。また、センサ20として地中ケーブル3の変位量を検知可能な移動量センサを設けることにより、管渠2内における地中ケーブル3の意図しない移動が生じたことを検知することができる。また、センサ20として、金蓋本体10の加速度を検知可能な加速度センサ、または、マンホール1内の照度を検知可能な照度センサを設けることにより、意図せずに金蓋本体10が開けられたことを検知することができる。また、センサ20として地中ケーブル3の温度を検知可能な温度センサを設けることにより、管渠2内における地中ケーブル3の意図しない温度上昇の発生を検知することが可能である。
【0023】
センサ20の設置位置は、その役割に応じて適宜変更され得る。たとえば、管渠2内に達する位置にセンサ20を設けてもよいし、管渠2の上部にあるマンホール1内にセンサ20を設けてもよいし、金蓋本体10上ないし筐体60内にセンサ20を設けてもよい。
【0024】
通信ユニット30は、センサ20が計測した上記の各種データを無線通信により送信するものである。通信ユニット30は、同軸ケーブルからなる通信ケーブル80Bを介してセンサ20と接続される。バッテリ40は、通信ユニット30に電力を供給する。通信ユニット30は、アンテナ装置50に接続される。上記の各種データは、アンテナ装置50を介してマンホール1の外部に送信される。これにより、遠隔操作によりマンホール1および管渠2内の状況を把握することが可能となる。
【0025】
通信ユニット30およびバッテリ40は、単一の筐体60に収納される。筐体60は、金蓋本体10の裏面10B上において、補強リブ12により仕切られた複数の空間12Aのうちの1つに設置される。ただし、本技術の範囲はこれに限定されず、通信ユニット30とバッテリ40とが別個の筐体に収納されていてもよいし、さらに、通信ユニット30を収納する筐体とバッテリ40を収納する筐体とを別個の空間12Aに設置してもよい。
【0026】
通信ユニット30の設置箇所は適宜変更され得る。通信ユニット30は必ずしも金蓋本体10の裏面10B上に設けられるものではなく、金蓋本体10の下部に設置される内蓋(図示せず)上に通信ユニット30を設けてもよい。
【0027】
アンテナ装置50は、アンテナ本体51と、樹脂部52とを含む。アンテナ装置50は、金蓋本体10の貫通孔11に埋設される。アンテナ装置50は、金蓋本体10の裏面10B側から貫通孔11に押し込まれる。アンテナ装置50を貫通孔11に設け、外部に露出させることにより、アンテナ装置50を介した外部との通信機能を向上させることができる。
【0028】
アンテナ本体51は、同軸ケーブルからなる通信ケーブル80Aを介して通信ユニット30と接続される。アンテナ本体51は、たとえばダイポールアンテナにより構成され得る。
【0029】
樹脂部52は、アンテナ本体51を覆うように設けられる。アンテナ本体51を樹脂部52で覆うことにより、アンテナ本体51の保護を図ることができる。樹脂部52は、たとえばポリカーボネートにより構成され得る。ポリカーボネートを用いることにより、樹脂部52の強度、耐熱性、および紫外線に対する耐候性を高めることが可能である。
【0030】
アンテナ装置50が埋設される貫通孔11は、裏面10B側から表面10A側に向かって貫通孔11の幅が狭くなるように傾斜したテーパ傾斜面を有する。このため、マンホール1の外部から荷重が作用したときに、金蓋本体10に埋設されたアンテナ装置50が外部に飛び出すことが防止できる。また、マンホール1内の圧力が意図せずに高まった場合にも、金蓋本体10に埋設されたアンテナ装置50が外部に飛び出すことを防止できる。
【0031】
次に、金蓋本体10の表面10A側の構成について説明する。図2は、金蓋本体10の表面10Aを示す図である。
【0032】
図2に示すように、金蓋本体10の表面10Aには、凹凸模様13が形成されている。凹凸模様13は、凸部13Aと、凹部13Bとを含む。金蓋本体10の貫通孔11は、表面10A上の凹部13B内に開口するように形成される。
【0033】
図2においては、貫通孔11の開口から露出する樹脂部52が図示されている。なお、図2においては図示されていないが、加工上の都合により、貫通孔11の開口の長さ方向の縁端は円弧状に形成され、樹脂部52との間には隙間が形成される。この隙間にはシール材が充填される。
【0034】
金蓋本体10には、外部側から車両重量などの荷重が作用し得る。金蓋本体10の貫通孔11を凹凸模様13の凹部13Bに開口するように形成することにより、アンテナ装置50に作用する外部からの荷重を低減することが可能となる。
【0035】
図2に示す凹凸模様13は例示であり、凹凸模様13の形状は適宜変更され得る。凹部13Bはスリット状に延びる部分を有している。金蓋本体10の貫通孔11は、凹部13Bと同じ方向に延びるスリット形状を有する。貫通孔11がスリット形状とすることにより、金蓋本体10に設ける貫通孔11の面積を最小限にしながら、所定の長さ(詳細は後述する。)を有するアンテナ本体51を格納することができる。所定の長さを有するアンテナ本体51を格納することにより、幅広い周波数帯(詳細は後述する。)の無線通信に対応することが可能となる。
【0036】
次に、金蓋本体10の裏面10B側の構成について説明する。図3は、金蓋本体10の裏面10B上に設けられる構成を模式的に示す図である。図4は、金蓋本体10にアンテナ装置50を設けた状態を裏面10B側からみた状態を示す図である。
【0037】
図3図4に示すように、金蓋本体10の貫通孔11に埋設されたアンテナ装置50の樹脂部52は、裏面10B側にも露出する。金蓋本体10の裏面10Bには、留め具70が設けられる。留め具70の一端は、固定具70Aにより金蓋本体10に固定される。
【0038】
留め具70の配置および形状は図3図4に示すものに限定されない。たとえば、留め具70を1つのみ設けてもよいし、3つ以上の留め具70を設けてもよい。また、留め具70を設けなくてもよい。
【0039】
図4に示すように、金蓋本体10の貫通孔11は、裏面10B上において補強リブ12を避けた位置に形成される。貫通孔11は、補強リブ12により仕切られた裏面10Bの矩形領域の中央付近に開口する。ただし、本技術において、補強リブ12の配置および補強リブ12が仕切る空間12Aの形状は、図4に示すものに限定されない。
【0040】
図5は、金蓋本体10の裏面10Bに形成された空間12Aに筐体60を設けた状態を示す図である。図5に示す例では、貫通孔11が開口する空間12Aと同じ空間12Aに筐体60を設けている。ただし、本技術において、筐体60を設ける位置は図5の例に限定されず、貫通孔11が開口する空間12Aとは別の空間12Aに筐体60を設けてもよいし、金蓋本体10から離れた位置に筐体60を設けてもよい。
【0041】
図6は、空間12Aに筐体60を設けた後、カバー部材90を設けた状態を示す図である。図6に示すように、カバー部材90は、筐体60が収納された空間12Aを覆うように金蓋本体10の補強リブ12に取り付けられる。
【0042】
カバー部材90は、孔部90Aを有する板状部材である。孔部90Aを形成することにより、カバー部材90を取り付けた状態においても、筐体60が収納された空間12Aに光を導入することができる。空間12Aに光を導入可能とすることで、筐体60に照度センサを設けることにより、意図せずに金蓋本体10が開けられたことを検知することができる。また、孔部90Aを通じて通信ケーブル80Bをカバー部材90の外側に引き出すことができる。
【0043】
次に、アンテナ装置50の詳細について説明する。図7は、アンテナ装置50の側面図であり、図8は、アンテナ装置50の下面図であり、図9は、図7におけるIX-IX断面図である。
【0044】
図7図8に示すように、アンテナ本体51は、アンテナ装置50の長さ方向(第1方向:図7および図8の左右方向)の略全体に亘って延びるように設けられている。通信ケーブル80Aは、接続部50Aを介してアンテナ本体51に接続される。
【0045】
ダイポールアンテナは、無線通信に使用する周波数の波長の略半分の長さを有する。波長は周波数に反比例する。無線通信に使用する周波数が定まると、そのために必要なアンテナ本体51の長さが一義的に定まる。たとえば、周波数920MHzの無線通信を使用する場合、ダイポールアンテナからなるアンテナ本体51としては、約160mmの長さが必要とされる。
【0046】
したがって、金蓋本体10の貫通孔11は、たとえば160mm以上程度の長さを有することが好ましい。このようにすることで、所望の長さのアンテナ本体51を格納することが可能となり、幅広い周波数帯(たとえば920MHz程度、好ましくは700MHz以上4.5GHz以下程度)の無線通信に対応することが可能となる。
【0047】
図9に示すように、貫通孔11およびアンテナ装置50の長さ方向からみたとき、アンテナ装置50は、金蓋本体10の裏面10B側から表面10A側に向かって貫通孔11の幅が狭くなるように傾斜したテーパ傾斜面を含む断面形状を有している。金蓋本体10の貫通孔11についても、図9に示すアンテナ装置50の断面と同形状の断面を有する。
【0048】
図9に示すように、アンテナ装置50の断面は、左右対称に形成されている。ただし、アンテナ装置50の断面は左右非対称に形成されてもよい。
【0049】
金蓋本体10の表面10A側に露出する樹脂部52の上面の幅(B1)は、一例においては15mm程度であり、好ましくは15mm以上200mm以下程度である。金蓋本体10の裏面10B側に露出する樹脂部52の下面の幅(B2)は、一例においては19mm程度であり、好ましくは15mm以上200mm以下程度である。また、樹脂部52の下面から上面までの高さ(H)は、一例においては金蓋の厚さである12mm程度である。
【0050】
貫通孔11の側壁面に沿うように形成された樹脂部52のテーパ傾斜面53の傾斜確度(θ)は、一例においては4°以上5°以下程度であり、好ましくは3°以上10°以下程度である。このテーパ形状は、典型的には直線テーパ形状を有する。この場合、テーパ形状を形成するための加工が容易である。
【0051】
本実施の形態に係る通信機能付き金蓋100によれば、金蓋本体10に形成された貫通孔11にアンテナ装置50を格納し、アンテナ装置50を金蓋本体10の外側に露出させることにより、アンテナ装置50を介した外部との無線通信の機能を向上させることができる。
【0052】
ここで、裏面10Bから10Aに向かって幅が狭まるテーパ傾斜面を貫通孔11に形成し、裏面10B側からアンテナ装置50を押し込む構造とすることによって、マンホール1の外側および内側からの各種の荷重が作用したときにも、アンテナ装置50が金蓋本体10の貫通孔11から飛び出ることを防止できる。
【0053】
また、金蓋本体10に形成する貫通孔11を幅狭のスリット形状とすることにより、貫通孔11の開口面積を過度に大きくすることなく、所定の長さのアンテナ本体51を格納可能なアンテナ収容部を形成することができる。この結果、金蓋本体10の強度低下を抑制しながら、所望の周波数帯の無線通信を使用することができる。
【0054】
本実施の形態に係る通信機能付き金蓋100によれば、マンホール1の内部にセンサ20を設け、そのセンサ20により得られた各種データを金蓋本体10に取り付けたアンテナ装置50を介して無線通信により外部に送信することができる。したがって、マンホール1内の状況を遠隔操作により把握することができる。
【0055】
この結果、マンホール1内での設備の確認作業を削減することができ、事前の書類作成の手間や、現場での人員配置や資機材準備等にかかる時間や費用を削減することができる。また、労働力人口の減少に伴う作業員の十分な確保が困難になりつつある状況についても、改善が期待できる。さらに、通信機能に優れ、かつ、金蓋本体10への取付強度が高いアンテナ装置50を備えることにより、確認作業の信頼性を高めるとともに、システムの耐久性を向上させることができる。
【0056】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0057】
1 マンホール、2 管渠、3 地中ケーブル、10 金蓋本体、10A 表面、10B 裏面、11 貫通孔、12 補強リブ、12A 空間、13 凹凸模様、13A 凸部、13B 凹部、20 センサ、30 通信ユニット、40 バッテリ、50 アンテナ装置、50A 接続部、51 アンテナ本体、52 樹脂部、53 テーパ傾斜面、60 筐体、70 留め具、70A 固定具、80A,80B 通信ケーブル、90 カバー部材、90A 孔部、100 通信機能付き金蓋。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9