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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017574
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】バッテリアダプタ
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/267 20210101AFI20250130BHJP
   H01R 31/06 20060101ALI20250130BHJP
   H01M 50/247 20210101ALI20250130BHJP
   H01M 50/583 20210101ALI20250130BHJP
【FI】
H01M50/267
H01R31/06 A
H01M50/247
H01M50/583
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120693
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】500270572
【氏名又は名称】株式会社麻場
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 温
(72)【発明者】
【氏名】中山 登
(72)【発明者】
【氏名】中澤 優
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智
(72)【発明者】
【氏名】荒井 裕紀
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA40
5H040AS19
5H040AS22
5H040AY05
5H040AY08
5H040GG02
5H043AA04
5H043GA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電動機器の専用バッテリではない他バッテリを装着した場合であっても、電動機器や他バッテリの破損を防止することができるバッテリアダプタを提供すること。
【解決手段】電動噴霧器のバッテリ装着部に直接装着不可能な形状の他バッテリをバッテリ装着部に装着させるためのバッテリアダプタ300であって、本体部310と、他バッテリに配設されたバッテリ電極に電気的に接続するバッテリターミナル320と、電動噴霧器に配設された機器側電極に電気的に接続する対面電極と、バッテリターミナル320と対面電極とを電気的に接続する電極間配線部340と、本体部310に着脱可能であって、電極間配線部340において対面電極の位置よりもバッテリターミナル320側の位置に配設されたヒューズ360と、を具備する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機器に配設されたバッテリ装着部に直接装着不可能な形状の他バッテリに装着され、前記他バッテリを前記バッテリ装着部に装着させるためのバッテリアダプタであって、
本体部と、
前記本体部に配設され、前記他バッテリに配設されたバッテリ電極に電気的に接続する第1電極と、
前記本体部に配設され、前記電動機器に配設された機器側電極に電気的に接続する第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極とを電気的に接続する電極間配線部と、
前記本体部に着脱可能であって、前記電極間配線部において前記第2電極の位置よりも前記第1電極の側の位置に配設されたヒューズと、を具備することを特徴とするバッテリアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリアダプタに関し、より詳細には電動機器用のバッテリアダプタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動機器において専用バッテリではない他のバッテリに装着することで電動機器を使用可能にするためのバッテリアダプタが知られている。このようなバッテリアダプタとしては、特許文献1(登録実用新案第3028501号公報)のような構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3028501号公報(請求項1,請求項2,図1図2等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているバッテリアダプタは、電動機器において専用バッテリではない他バッテリを使用可能にするための構成が開示されているのみである。このため、他バッテリから電動機器に過大な通電がなされた場合、電動機器や他バッテリが破損するおそれがあるといった課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は上記課題を解決するためのものであり、その目的とするところは次のとおりである。すなわち、電動機器の専用バッテリではない他バッテリを装着した場合であっても、電動機器や他バッテリの破損を防ぐことが可能なバッテリアダプタの提供を目的としている。
【0006】
上記課題を解決するため発明者が鋭意研究した結果、以下の構成に想到した。すなわち、本発明は、電動機器に配設されたバッテリ装着部に直接装着不可能な形状の他バッテリに装着され、前記他バッテリを前記バッテリ装着部に装着させるためのバッテリアダプタであって、本体部と、前記本体部に配設され、前記他バッテリに配設されたバッテリ電極に電気的に接続する第1電極と、前記本体部に配設され、前記電動機器に配設された機器側電極に電気的に接続する第2電極と、前記第1電極と前記第2電極とを電気的に接続する電極間配線部と、前記本体部に着脱可能であって、前記電極間配線部において前記第2電極の位置よりも前記第1電極の側の位置に配設されたヒューズと、を具備することを特徴とするバッテリアダプタである。
【0007】
これにより、電動機器の専用バッテリではない他バッテリを装着し、電動機器に過大な通電がなされてしまった場合であっても、電動機器や他バッテリの破損を防止することができる。また、ヒューズが飛んだ場合には、ヒューズ交換を容易に行うことができ、メンテナンス性が大幅に向上する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の構成によれば、電動機器の専用バッテリではない他バッテリを装着し電動機器に過大な通電がなされてしまった場合であっても、電動機器や他バッテリの破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態における電動噴霧器と他バッテリおよびバッテリアダプタの斜視図である。
図2】バッテリアダプタを装着した他バッテリと電動噴霧器のバッテリ格納部の要部構造を示す斜視図である。
図3】他バッテリにバッテリアダプタを装着した状態における後方斜視図である。
図4】バッテリアダプタの分解斜視図である。
図5】バッテリ~バッテリアダプタ~バッテリ格納部間の配線状態を示す構成図である。
図6】バッテリ格納部へのバッテリアダプタを装着した他バッテリの装着状態を示す斜視図である。
図7】バッテリ格納部にバッテリアダプタを装着した他バッテリが収容されている状態における要部断面図である。
図8】バッテリ格納部にバッテリアダプタを装着した他バッテリを格納した状態を示す一部透視平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態では、図1に示す電動機器としての電動噴霧器100に直接装着不可能な形状の他バッテリ200に装着することで、電動噴霧器100に他バッテリ200を装着可能にするバッテリアダプタ300について説明が行われる。なお、本発明にかかるバッテリアダプタ300は、電動噴霧器100を駆動させるための他バッテリ200に装着されるものに限定されるものではない。
【0011】
本実施形態における電動噴霧器100は、薬液を収容する薬液タンク110と、薬液タンク110の下側に取り付けられたケース部120を有している。ケース部120には薬液タンク110の薬液を噴霧するためのポンプやポンプの動作制御基板等(いずれも図示はせず)が格納されている。また、図示はしないがポンプには噴霧ノズルが接続されている。ケース部120の側面には開閉扉130が取り付けられている。開閉扉130の内側にはバッテリ装着部140が設けられている。
【0012】
図1図2に示すように、バッテリ装着部140にはバッテリ保持体150が配設されている。本実施形態におけるバッテリ保持体150は、バッテリ装着部140の開口部側から奥側に延びる突条体152と、バッテリ装着部140の開口部において上下動可能に配設されたバッテリ保持レバー154を有している。突条体152は、バッテリ装着部140における左右の起立壁から幅方向内側に向かい合わせるようにして立設されている。バッテリ保持レバー154は、保持レバー取付部155に固定されたスプリング保持部材156に保持されたスプリング157により下向きの付勢力が付与された状態で保持レバー取付部155の上下方向に延設された溝部155Aに収容されている。このようにして収容されたバッテリ保持レバー154は、スプリング157による下向きの付勢力が作用した状態で溝部155Aに沿って上下方向にスライド移動可能になっている。
【0013】
また、バッテリ装着部140の奥側には、ポンプや動作制御基板等と電気的に接続された機器側電極160が配設されている。本実施形態における機器側電極160は、図2に示すように、円柱状に形成された電力用受動接点162と信号用受動接点163を有する電極ユニット164が水平方向に2つ並べられた状態で配設されている。電極ユニット164はプラス側電極ユニット164Aとマイナス側電極ユニット164Bを有している。電動噴霧器100の純正バッテリや互換バッテリに代表される形状適合バッテリ(図示はせず)であれば、バッテリ装着部140に格納するだけで、バッテリ保持体150に形状適合バッテリが確実に保持され、機器側電極160と形状適合バッテリの電極(図示はせず)とを電気的に接続することができる。
【0014】
図1図3に示す他バッテリ200は、電動噴霧器100の形状適合バッテリと異なる形状をしていることに加え、バッテリ電極210の配設位置も形状適合バッテリのそれと異なっている。このため、他バッテリ200をそのままの状態でバッテリ装着部140に収容することができたとしても、バッテリ保持体150に他バッテリ200を保持させることや機器側電極160とバッテリ電極210(図8参照)とを電気的に接続させることができない。そこで、他バッテリ200をバッテリ装着部140に収容させた際に、他バッテリ200をバッテリ装着部140に保持させると共に機器側電極160と他バッテリ200のバッテリ電極210とを電気的に接続させるためにバッテリアダプタ300が用いられる。
【0015】
図4は、本実施形態におけるバッテリアダプタ300を分解した状態を示す斜視図である。本実施形態におけるバッテリアダプタ300は、本体部310、第1電極としてのバッテリターミナル320、接続基板330、電極間配線部340およびヒューズボックス350を具備している。ヒューズボックス350にはヒューズ360が着脱可能に取り付けられている。本体部310は、第1本体部310Aと第2本体部310Bに二分割されている。第1本体部310Aと第2本体部310Bは、電極間配線部340により電気的に接続されたバッテリターミナル320と接続基板330を挟み込んだ状態でねじ370により一体に組み立てられている。また、本体部310のバッテリ装着部140への差し込み側の上側角部は傾斜面部312に形成されている。また、本体部310の側面にはバッテリ保持体150に保持させるための保持レール316が形成されている。
【0016】
バッテリアダプタ300を取り付けた他バッテリ200は、突条体152の上に保持レール316を載置させた状態でバッテリ装着部140の奥側に押し込むことでバッテリ装着部140に他バッテリ200を収容される。他バッテリ200をバッテリ装着部140に押し込むと、スプリング157の付勢力に抗してバッテリ保持レバー154がバッテリアダプタ300の傾斜面部312に沿って押し上げられた状態になる。他バッテリ200をバッテリ装着部140の奥側に押し込むと、バッテリアダプタ300の上面314がバッテリ保持レバー154に摺動しながら他バッテリ200がバッテリ装着部140の奥側に収容される。バッテリ装着部140の所定位置に他バッテリ200が収容されると、スプリング157の付勢力でバッテリアダプタ300の前面起立部390に沿ってバッテリ保持レバー154が下降する(図6図7参照)。このようにしてバッテリ保持レバー154が前面起立部390(バッテリアダプタ300が装着された他バッテリ200)のストッパとなり、バッテリ装着部140からの他バッテリ200の抜け落ちが防止されている。
【0017】
図7図8に示すように、バッテリターミナル320は、他バッテリ200のバッテリ電極210の各々と電気的に接続し、配線接続部322において電極間配線部340と電気的に接続されている。また、図3および図5に示すように、接続基板330には機器側電極160の各々に向かい合う配置で第2電極としての対面電極332が4つ配設されている。また、第1電極であるバッテリターミナル320と第2電極である対面電極332とを電気的に接続する電極間配線部340(プラスの電力用受動接点162に接続する電極間配線部340の経路上)にヒューズボックス350が配設されている。本実施形態におけるヒューズボックス350は、プラスの電力用受動接点162に接続する電極間配線部340の経路上において、対面電極332の位置よりもバッテリターミナル320の側の位置に配設されている。したがってバッテリ電極210からの電力は、バッテリターミナル320、電極間配線部340、ヒューズボックス350(ヒューズ360)および接続基板330(対面電極332)を介して機器側電極160に供給されることになる。
【0018】
このようにバッテリアダプタ300を介して他バッテリ200と電動噴霧器100との電気的接続を行うことで、他バッテリ200と電動噴霧器100の動作制御部190との間における電源出力と信号伝達を形状適合バッテリと同様に行うことができる。よって、本実施形態におけるバッテリアダプタ300を用いることで、電動噴霧器100の動作制御部190による他バッテリ200の状態に応じた電動噴霧器100の動作制御を形状適合バッテリと同様に行うことができる。
【0019】
本実施形態におけるヒューズ360の許容通電量(第1許容通電量)は、電動噴霧器100に内蔵されている制御基板の動作制御部190により実現される回路保護機能が作動する際のトリガー通電量(第2許容通電量)以下であることが好ましい。また、電極間配線部340の下流側端部位置(対面電極332)よりも上流側位置(バッテリターミナル320の側の位置)にヒューズ360が配設されているので、他バッテリ200から電動噴霧器100に意図しない過大電流が流れないようにすることができる。そして、対面電極332においてショートが発生した場合であっても、ヒューズ360が飛ぶことにより、他バッテリ200の破損も防止することができる。さらには、ヒューズ360の交換が必要になっても、ヒューズ360がバッテリアダプタ300の本体部310の外表面に着脱可能であるため、交換が容易にできメンテナンス性が良好である。
【0020】
以上に説明したように本実施形態におけるバッテリアダプタ300が取り付けられた他バッテリ200は、電動噴霧器100のバッテリ装着部140に抜け止め(固定)された状態で装着することができる。したがって電動噴霧器100のユーザは、すでに所有している他バッテリ200の出力性能が電動噴霧器100に適合し、バッテリ装着部140への収容が可能であれば、電動噴霧器100に使用することができるため経済的である。
【0021】
以上の実施形態においては、電動機器として電動噴霧器100を例示しているが、電動機器は電動噴霧器100に限定されるものではなく、電動ドライバ等他の公知の電動機器に対しても本発明を適用することができる。
【0022】
また、以上の実施形態においては、機器側電極160は電力用受動接点162と信号用受動接点163を有する形態を例示しているが、バッテリ電極210に電力用受動接点162と信号用受動接点163に対応する電極がない場合には、電力用受動接点162と信号用受動接点163の構成は省略することもできる。
【0023】
以上の実施形態においては、バッテリ保持体150として突条体152とバッテリ保持レバー154を有する形態を例示し、バッテリ保持体150への装着部として保持レール316が形成された形態を例示しているが、本発明は以上の実施形態に限定されない。バッテリ保持体150の具体的形態やバッテリ保持体150への装着部の具体的形態は特に限定されるものではない。
【0024】
そして以上に説明した変形例の他、実施形態において説明した変形例等を適宜組み合わせた形態を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0025】
100:電動噴霧器
110:薬液タンク
120:ケース部
130:開閉扉
140:バッテリ装着部
150:バッテリ保持体,152:突条体,154:バッテリ保持レバー,
155:保持レバー取付部,155A:溝部,156:スプリング保持部材,
157:スプリング
160:機器側電極
162:電力用受動接点,163:信号用受動接点,164:電極ユニット,
164A:プラス側電極ユニット,164B:マイナス側電極ユニット
190:動作制御部
200:他バッテリ
210:バッテリ電極
300:バッテリアダプタ
310:本体部,310A:第1本体部,310B:第2本体部,312:傾斜面部,
314:上面,316:保持レール
320:バッテリターミナル(第1電極)
322:配線接続部
330:接続基板
332:対面電極(第2電極)
340:電極間配線部
350:ヒューズボックス
360:ヒューズ
370:ねじ
390:前面起立部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8