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2025-175760情報処理プログラム、情報処理方法、および情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025175760
(43)【公開日】2025-12-03
(54)【発明の名称】情報処理プログラム、情報処理方法、および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   B63H 25/04 20060101AFI20251126BHJP
   B63H 25/02 20060101ALI20251126BHJP
【FI】
B63H25/04 G
B63H25/04 D
B63H25/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024082003
(22)【出願日】2024-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 明
(72)【発明者】
【氏名】住田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】秋山 真哉
(72)【発明者】
【氏名】檜野 武憲
(72)【発明者】
【氏名】案浦 雅徳
(72)【発明者】
【氏名】岡田 浩希
(57)【要約】
【課題】港内において着岸を行う船舶に対する指示役は、目視で岸壁までの距離や角度を確認しながら、船舶を着岸させるための方向と動作を指示する。しかしながら、岸壁には防舷材を始めとした様々な凹凸があり、測距計はこれらを区別できないため、測定すべきポイントを特定することができず、船舶と岸壁との距離や角度を正確に把握することは難しい。
【解決手段】コンピュータが、船舶から撮影された着岸領域を含む画像を取得し、セグメンテーションAIを用いて、取得した画像のうち着岸領域を特定し、測距装置を用いて、着岸領域との距離を測定し、測距装置による測定結果から、着岸領域と船舶との相対距離又は相対角度の少なくとも1つを算出する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶から撮影された着岸領域を含む画像を取得し、
セグメンテーションAI(Artificial Intelligence)を用いて、取得した前記画像のうち前記着岸領域を特定し、
測距装置を用いて、前記着岸領域との距離を測定し、
前記測距装置による測定結果から、前記着岸領域と前記船舶との相対距離又は相対角度の少なくとも1つを算出する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項2】
前記着岸領域を特定する処理は、前記着岸領域として、岸壁面または浮桟橋を特定する処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記相対距離又は前記相対角度の少なくとも1つを算出する処理は、
前記着岸領域が垂直であることを前提として、前記測定結果である前記着岸領域との前記距離から、前記相対距離又は前記相対角度の少なくとも1つを算出する
処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
前記画像および前記測定結果に対してキャリブレーションを行うことにより、前記画像および前記測定結果の各々における前記着岸領域の位置情報を取得し、
前記画像および前記測定結果の各々における前記位置情報に対してレジストレーションを行うことにより、前記画像および前記測定結果における前記着岸領域の位置を特定して合わせる
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
前記相対距離又は前記相対角度の少なくとも1つを算出する処理は、
前記船舶の回転量の情報及び喫水量の情報を取得し、
前記回転量の情報及び前記喫水量の情報を基に入射角度を補正し、
前記補正した入射角度を基に前記相対距離を算出する
処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項6】
前記着岸領域を特定する処理は、
取得した前記画像の中から防舷材を除いて前記着岸領域を特定する処理を含み、
前記相対距離を算出する処理は、
算出した前記相対距離のうち前記着岸領域上の2点に対する前記相対距離を基に、前記船舶と前記防舷材までの距離を算出する処理を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項7】
船舶から撮影された着岸領域を含む画像を取得し、
セグメンテーションAIを用いて、取得した前記画像のうち前記着岸領域を特定し、
測距装置を用いて、前記着岸領域との距離を測定し、
前記測距装置による測定結果から、前記着岸領域と前記船舶との相対距離又は相対角度の少なくとも1つを算出する
処理をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
船舶から撮影された着岸領域を含む画像を取得し、
セグメンテーションAIを用いて、取得した前記画像のうち前記着岸領域を特定し、
測距装置を用いて、前記着岸領域との距離を測定し、
前記測距装置による測定結果から、前記着岸領域と前記船舶との相対距離又は相対角度の少なくとも1つを算出する
処理を実行する制御部を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理プログラム、情報処理方法、および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日本を含む世界の主要港湾では、港内において着岸を行う船舶、特に大型船の多くは、押船によって着岸する。この際、指示役は、着岸作業時に押船に対して、押し・停止などの動作を指示する。より具体的には、例えば、指示役は、目視で岸壁までの距離や角度を確認しながら、押船に対し、大型船を着岸させるための方向と動作を指示する。
【0003】
このように、押船への指示は、目視により行われるため、指示役の勘と経験に依存するところが多く、難しい。そのため、例えば、船舶と岸壁との距離や角度をLiDAR(Light Detection And Ranging)や、LRF(Laser Range Finder)などの測距計を用いて算出し、指示役に提示することで押船への指示を支援できると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-059403号公報
【特許文献2】特開2005-180949号公報
【特許文献3】特開2021-136466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、岸壁には防舷材を始めとした様々な凹凸があり、測距計はこれらを区別できないため、測定すべき着岸領域を特定することができず、船舶と岸壁との距離や角度を正確に把握することは難しい。なお、着岸領域は、岸壁や、岸壁と連結する浮桟橋などであり得る。
【0006】
1つの側面では、船舶と岸壁との距離や角度をより正確に把握できる情報処理プログラム、情報処理方法、および情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様において、情報処理プログラムは、船舶から撮影された着岸領域を含む画像を取得し、セグメンテーションAI(Artificial Intelligence)を用いて、取得した画像のうち着岸領域を特定し、測距装置を用いて、着岸領域との距離を測定し、測距装置による測定結果から、着岸領域と船舶との相対距離又は岸壁と船体のパラレルボディとの方位角度差である相対角度の少なくとも1つを算出する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
1つの側面では、船舶と岸壁との相対距離や相対角度をより正確に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、岸壁までの相対距離および相対角度の測定方法の一例について説明するための図である。
図2図2は、船上から岸壁を撮影したカメラ画像の一例を示す図である。
図3図3は、第1の実施形態にかかる情報処理システム1の構成例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態にかかる情報処理装置10の構成例を示す図である。
図5図5は、第1の実施形態にかかるセグメンテーションによる岸壁面抽出の一例を示す図である。
図6図6は、第1の実施形態にかかる測距計を用いた距離計測の一例を示す図である。
図7図7は、第1の実施形態にかかるレジストレーション処理の一例を示す図である。
図8図8は、第1の実施形態にかかる相対距離および相対角度算出の一例を示す図である。
図9図9は、着岸領域と船舶とが接近した場合の測距範囲を示す図である。
図10図10は、相対距離の算出を説明するための図である。
図11図11は、第1の実施形態にかかる相対距離・相対角度算出処理の流れを示すフローチャートである。
図12図12は、ローリング補正を説明するための図である。
図13図13は、第3の実施例にかかる情報処理装置による相対距離の算出を説明するための図である。
図14図14は、情報処理装置10のハードウェア構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本実施形態に係る情報処理プログラム、情報処理方法、および情報処理装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本実施形態が限定されるものではない。また、各実施例は、矛盾のない範囲内で適宜組み合わせることができる。
【0011】
(第1の実施形態)
まず、大型船から岸壁までの相対距離および相対角度の測定方法について説明する。図1は、岸壁までの相対距離および相対角度の測定方法の一例について説明するための図である。図1に示すように、例えば、大型船の前後2か所から岸壁までの距離を、船上に設置されたLiDARやLRFなどの測距計を用いて測定することで、大型船から岸壁までの相対距離および相対角度を求めることができる。なお、図1では、大型船を例として示したが、本実施形態は、大型船に限定されず、その他の小型船などが含まれてよい。また、各実施例の説明では、大型船やその他の小型船などを含めて、船舶と表現する場合がある。
【0012】
図1を用いて、船舶から岸壁までの相対距離および相対角度の測定方法の一例について説明したが、実際の測定には課題がある。図2は、船上から岸壁を撮影したカメラ画像の一例を示す図である。図2に示すように、実際の岸壁周辺には防舷材など様々な物が存在する。そのため、LiDARなどの測距計による測定では、着岸領域となる岸壁の垂直面である岸壁面を狙った測定が、船舶と岸壁との相対距離や相対角度のより正確な把握に繋がる。ここで、相対角度とは、岸壁と船体のパラレルボディとの方位角度差であり、例えば図1における角θである。なお、パラレルボディの方位角は通常は船舶の船首方位と同じであることが多いが、本実施例においてパラレルボディの方位角が船舶の船首方位と異なってもよい。
【0013】
しかしながら、LiDARなどの測距計による測定では、点群データやポイントクラウドなどと呼ばれる3次元空間内の頂点の集合データによって、例えば、空間上の各点との相対距離の測定は可能であるが、空間上の各点が何であるかは判別できない。そのため、点群データにおける各点の相対距離が、例えば、岸壁面との相対距離なのか、防舷材などの岸壁面以外の物との相対距離なのか判別できない。そこで、本実施形態では、船舶と岸壁との相対距離や相対角度をより正確に把握することを目的の一つとする。
【0014】
次に、本実施形態にかかる情報処理システムについて説明する。図3は、第1の実施形態にかかる情報処理システム1の構成例を示す図である。情報処理システム1は、船舶と当該船舶の着岸領域との相対距離および相対角度を算出するシステムである。なお、船舶の着岸領域は、図1図2に示したような岸壁の他、後述する図6図8に示したような海面に浮かべられ、岸壁と連結する浮桟橋であり得る。図3に示すように、情報処理システム1は、情報処理装置10と、カメラ装置100、および測距装置200-1および200-2(以下、まとめて「測距装置200」という)とが、ネットワーク50を介して相互に通信可能に接続されるシステムである。
【0015】
ネットワーク50には、有線や無線を問わず、例えば、イントラネットなどの各種通信網を採用できる。また、ネットワーク50は、単一のネットワークではなく、例えば、イントラネットとインターネットとがゲートウェイなどネットワーク装置やその他の装置(図示せず)を介して構成されてよい。
【0016】
情報処理装置10は、例えば、船舶などに設置されるサーバコンピュータ、またはデスクトップPC(Personal Computer)やノートPCなどの情報処理装置である。なお、図3では、情報処理装置10を1台のコンピュータとして示しているが、複数台のコンピュータで構成される分散型コンピューティングシステムであってもよい。また、情報処理装置10は、クラウドコンピューティングサービスを提供するサービス提供者によって管理されるクラウドコンピュータ装置であってもよい。
【0017】
情報処理装置10は、例えば、船舶からカメラ装置100によって撮影された着岸領域を含む画像を取得し、セグメンテーションAIを用いて、取得した画像のうち着岸領域を特定する。なお、セグメンテーションAIは、例えば、セマンティック・セグメンテーションやインスタンス・セグメンテーションなどであってよく、機械学習モデルを用いて画像から着岸領域を抽出する。当該機械学習モデルは、例えば、情報タグが付与された着岸領域を含む画像を訓練データとして機械学習により生成された機械学習モデルである。
【0018】
また、情報処理装置10は、例えば、測距装置200を用いて、着岸領域との距離を測定し、測距装置200による測定結果から、カメラ装置100によって撮影された画像から抽出された着岸領域と船舶との相対距離および相対角度を算出する。
【0019】
カメラ装置100は、例えば、船舶に設置され、船舶から岸壁など船舶の周辺を撮影するデジタルカメラである。カメラ装置100によって撮影された画像は、情報処理装置10に送信される。
【0020】
測距装置200は、例えば、船舶の前後など複数箇所に設置され、船舶の周辺の物体との距離を測定するLiDARやLRFなどの測距計である。測距装置200によって測定された測定結果である点群データは、情報処理装置10に送信される。なお、測距装置200により測定される物体との距離は、厳密には、測距装置200と物体との距離であるが、図1を用いて説明したように、本実施形態では測距装置200は船舶に設置されるため、船舶と物体との距離とみなして処理される。
【0021】
(情報処理装置10の機能構成)
次に、本実施形態の実行主体となる情報処理装置10の機能構成について説明する。図4は、第1の実施形態にかかる情報処理装置10の構成例を示す図である。図4に示すように、情報処理装置10は、通信部20、記憶部30、および制御部40を有する。
【0022】
通信部20は、カメラ装置100など、他の装置との間の通信を制御する処理部であり、例えば、ネットワークインタフェースカードなどの通信インタフェースである。
【0023】
記憶部30は、各種データや、制御部40が実行するプログラムを記憶する機能を有し、例えば、メモリやハードディスクなどの記憶装置により実現される。また、記憶部30は、例えば、画像情報31、測定情報32、およびモデル情報33などの各種情報を記憶する。
【0024】
画像情報31は、例えば、カメラ装置100によって撮影された画像を記憶する。さらに、画像情報31は、例えば、カメラ装置100によって撮影された画像からセグメンテーションAIを用いて特定された着岸領域などに関する情報を記憶してもよい。
【0025】
測定情報32は、例えば、測距装置200によって測定された測定結果である点群データを記憶する。さらに、測定情報32は、例えば、点群データから算出される着岸領域と船舶との相対距離および相対角度などの計算結果データを記憶してもよい。
【0026】
モデル情報33は、例えば、カメラ装置100によって撮影された画像から着岸領域を抽出するための機械学習モデルに関する情報や、当該機械学習モデルのモデルパラメータを記憶する。当該機械学習モデルは、例えば、カメラ装置100によって撮影された画像を説明変数、当該画像における着岸領域を目的変数とする教師データを用いて機械学習により生成される。
【0027】
なお、記憶部30に記憶される上記情報はあくまでも一例であり、記憶部30は、上記情報以外にも様々な情報を記憶できる。
【0028】
制御部40は、情報処理装置10全体を司る処理部であり、例えば、プロセッサなどである。制御部40は、取得部41、特定部42、測定部43、および算出部44などを備える。なお、各処理部は、プロセッサが有する電子回路の一例やプロセッサが実行するプロセスの一例である。
【0029】
取得部41は、例えば、船舶からカメラ装置100によって撮影された着岸領域を含む画像を画像情報31から取得する。また、取得部41は、例えば、取得した画像および測距装置200によって測定された測定結果に対してキャリブレーションを行うことにより、当該画像および測定結果の各々における着岸領域の位置情報を取得する。ここで、測定結果は、LiDARを想定した3次元情報(2次元座標+距離)である。キャリブレーション処理は、カメラ装置100によって撮影された画像と、測距装置200によって測定された測定結果とにおける異なる座標系の位置を合わせるために、当該画像および測定結果の各々における位置情報を取得する処理である。
【0030】
特定部42は、例えば、セグメンテーションAIを用いて、取得部41が取得した画像のうち着岸領域を特定する。なお、着岸領域の特定には、カメラ装置100によって撮影された画像を説明変数、当該画像における着岸領域を目的変数とする教師データを用いて機械学習により生成された機械学習モデルが用いられてよい。当該機械学習モデルに関する情報は、例えば、モデル情報33に記憶される。なお、特定部42による着岸領域の特定は、着岸領域である岸壁面などに設置されたマーカーを基準に行われてもよい。
【0031】
また、着岸領域を特定する処理は、着岸領域として、岸壁面または浮桟橋を特定する処理を含んでよい。図5は、第1の実施形態にかかるセグメンテーションによる岸壁面抽出の一例を示す図である。図5は、着岸領域として、岸壁面を特定して抽出する例である。また、図5の左側に示す画像は、例えば、図2に示したような船上から岸壁を撮影した画像、すなわちカメラ装置100によって岸壁とその周辺が撮影された画像である。図5の右側に示すように、セグメンテーションAIを用いることによって、当該画像から、少なくとも岸壁面が抽出される。なお、例えば、図5に示すように、岸壁面上には防舷材や穴、その他の設置物などが存在し、岸壁周辺にはトラックや港湾設備などが存在する場合があるが、これらの物体は岸壁面と区別され、岸壁面のみが画像から抽出される。
【0032】
また、特定部42は、カメラ装置100によって撮影された画像および測距装置200によって測定された測定結果の各々における位置情報に対してレジストレーションを行うことにより、当該画像および測定結果における着岸領域の位置を特定して合わせる。レジストレーション処理については後述するが、特定部42は、カメラ装置100によって撮影された画像と、測距装置200によって測定された測定結果とにおける異なる座標系の位置をレジストレーション処理によって合わせる。
【0033】
測定部43は、例えば、測距装置200を用いて、着岸領域との距離を測定する。なお、上述したように、測距装置200による測定は空間上の各点との距離の測定は可能であるが、空間上の各点が何であるかは判別できないため、厳密には、測定部43は、着岸領域を含む、船舶周辺の物体との距離を測定する。そして、測定部43は、特定部42によって合わせられた画像および測定結果における着岸領域の位置を用いて、測定結果における着岸領域の距離を抽出する。
【0034】
算出部44は、例えば、測距装置200による測定結果から、着岸領域と船舶との相対距離および相対角度を算出する。算出された相対距離および相対角度は、例えば、押船への操船指示に活用されてよい。
【0035】
算出部44による相対距離および相対角度の算出について、より具体的に説明する。図6は、第1の実施形態にかかる測距計を用いた距離計測の一例を示す図である。図6に示すように、船舶に設置される測距装置200は、通常、岸壁より高い位置にあるため、測距装置200からの射線(図6では「LiDAR照射」と表記)は斜め照射となる。そのため、図6では「計測距離」と表記される水平方向の相対距離を算出する必要がある。そこで、算出部44は、例えば、着岸領域が垂直であることを前提として、測定結果である着岸領域との距離から、相対距離および相対角度を算出する。相対距離および相対角度の算出処理については後述する。
【0036】
(機能詳細)
次に、レジストレーション処理について、より詳細に説明する。図7は、第1の実施形態にかかるレジストレーション処理の一例を示す図である。図7は、着岸領域である地点Pを、カメラ装置100によって撮影、および測距装置200によって測定した例を示す。図7において、地点Pに対応する、カメラ装置100によって撮影された画像上の位置はP、測距装置200によって測定された点群データ上の位置はP、でそれぞれ示される。
【0037】
船舶から着岸領域である地点Pまでの距離は、点群データ上のPの距離であるが、点群データのみでは空間上の各点が何であるかは判別できないため、Pが特定できず、地点Pまでの距離がわからない。そのため、情報処理装置10は、カメラ装置100によって撮影された画像と点群データとの異なる座標系の各位置、図7の例では、PとPとを合わせることで、PからPを特定する。より具体的には、例えば、地点Pが岸壁の角部などのエッジや係船柱のよう地図上での1点としてあらわされる対象物であれば、着岸領域である地点Pの世界座標(X,Y,Z)は地図データなどから予め特定できる。また、カメラ装置100によって撮影された画像上の着岸領域の位置Pの座標(X,Y)も、セグメンテーションAIを用いて着岸領域が特定されることにより特定できる。そのため、地点Pの世界座標(X,Y,Z)と、画像上の着岸領域の位置Pの座標(X,Y)とは異なる座標系であるが、位置合わせができる。
【0038】
そして、地点Pの世界座標と、測距装置200によって測定された点群データ上の位置Pの座標とは、例えば、次の式(1)を用いて変換できるため、地点Pの世界座標(X,Y,Z)から、Pの座標(X,Y)が算出可能である。
【0039】
【数1】
【0040】
式(1)において、r11~r33は、カメラ装置100による座標系の原点からの測距装置200による座標系の原点の回転量であり、t~tは、カメラ装置100による座標系の原点からの測距装置200による座標系の原点の移動量である。r11~r33およびt~tは、例えば、両装置の設置位置などに基づいて予め特定されており、記憶部30などに予め記憶されているものとする。式(1)を用いたレジストレーション処理により、測距装置200によって測定された点群データ上の位置Pと、世界座標であり絶対座標である地点Pと、延いては、カメラ装置100によって撮影された画像上の位置Pとが相互に位置合わせされることになる。
【0041】
次に、船舶と着岸領域との相対距離および相対角度の算出について、より詳細に説明する。図8は、第1の実施形態にかかる相対距離および相対角度算出の一例を示す図である。図8は、着岸領域が岸壁の垂直面である場合の例であるが、着岸領域は、浮桟橋の垂直面や、岸壁の垂直面に設置される防舷材などであってよい。
【0042】
まず、図8に示すように、カメラ装置100によって撮影された実画像から、セグメンテーションAIを用いて、着岸領域である岸壁の垂直面が検知される。また、カメラ装置100による着岸領域の撮影の前後または並行して、測距装置200によって着岸領域を含む、着岸領域周辺の物体と、船舶との距離が測定される。なお、測距装置200による距離の測定は、図8に示すように、船体であるパラレルボディの少なくとも前後2箇所に設定された測距装置200によって測定されてよい。
【0043】
ここで、着岸領域と船舶とが接近しており、着岸領域からカメラ装置100までの水平距離が小さい若しくはマイナスになる場合が考えられる。図9は、着岸領域と船舶とが接近した場合の測距範囲を示す図である。図9では、測距装置200が撮影する画角101を示す。図9では、測距装置200が、紙面の奥行き方向(船舶の前後方向)に向って重なって並んでいる。画角101内には、岸壁111の一部及び海上112の一部が写り込む。
【0044】
測距装置200は、画角101のうちの一部の範囲102を切り取って測距に使用する。図9に示すように、着岸領域からカメラ装置100までの水平距離が小さい若しくはマイナスになる場合、測距に使用する範囲102の中に岸壁111の垂直面の画像がほとんど若しくはまったく含まれないことが考えられる。その場合、情報処理装置10は、垂直面の検知が困難となる。そこで、情報処理装置10は、セグメンテーションAIを用いて、岸壁111の水平面を検知して岸壁線を検出する。そして、検出された岸壁線の位置を垂直面の位置として、測距装置200による距離計測が行われてもよい。
【0045】
次に、図7を用いて説明したように、キャリブレーション処理およびレジストレーション処理によって、カメラ装置100によって撮影された画像と、測距装置200によって測定された測定結果との位置合わせが行われる。これにより、点群データから着岸領域のデータが抽出でき、船舶と着岸領域との距離が取得できる。
【0046】
次に、図8に示すように、情報処理装置10は、岸壁の垂直面と、船体であるパラレルボディとの傾き、すなわち、船舶と着岸領域との相対角度を幾何学演算処理により算出する。情報処理装置10は、幾何学演算処理として例えば逆三角関数を用いることができる。そして、情報処理装置10は、例えば、幾何学演算処理を行って算出した相対角度と、点群データから取得された測距装置200と着岸領域との距離とから、船舶と着岸領域との相対距離を算出する。図10は、相対距離の算出を説明するための図である。情報処理装置10は、測距装置200から岸壁を見下ろした角度、すなわち水平面に対する測距装置200から測距対象への入射角度がΦであり、測距装置200と着岸領域の測距対象点との距離がL#1の場合、相対距離をL#2とすると、L#2=L#1×cos(Φ)として、相対距離を求める。
【0047】
(処理の流れ)
次に、情報処理装置10によって実行される船舶と着岸領域との相対距離および相対角度の算出処理の流れを説明する。図11は、第1の実施形態にかかる相対距離・相対角度算出処理の流れを示すフローチャートである。図11に示す相対距離・相対角度算出処理は、例えば、船舶が着岸領域から所定の範囲内に進入したことが情報処理装置10によって検知された場合に実行されてよい。
【0048】
まず、図11に示すように、情報処理装置10は、例えば、カメラ装置100によって着岸領域が撮影され、画像情報31に記憶された画像を取得する(ステップS101)。カメラ装置100による撮影は、情報処理装置10からカメラ装置100に指示が送信されて実行されてもよいし、カメラ装置100によって随時実行されてもよい。カメラ装置100によって撮影された画像は情報処理装置10に送信され、画像情報31に記憶される。
【0049】
次に、情報処理装置10は、例えば、セグメンテーションAIを用いて、ステップS101で取得された画像から着岸領域を特定する(ステップS102)。なお、特定される着岸領域は、例えば、着岸領域の岸壁や浮桟橋の垂直面、当該岸壁の垂直面に設置される防舷材などであってよく、着岸領域ごとに予め決定される。そして、情報タグが付与された当該着岸領域を含む画像を訓練データとして機械学習により、セグメンテーションAIが用いる機械学習モデルが予め生成される。
【0050】
次に、情報処理装置10は、例えば、船舶の前後など複数箇所に設置された測距装置200を用いて、着岸領域との距離を測定する(ステップS103)。なお、上述したように、測距装置200による測定では、空間上の各点が何であるかは判別できないため、厳密には、情報処理装置10は、着岸領域を含む、船舶周辺の物体との距離を測定する。測距装置200によって測定された測定結果である点群データは情報処理装置10に送信され、測定情報32に記憶される。なお、ステップS103の測定は、ステップS101やS102より前に、またはステップS101やS102と並行して実行されてもよい。
【0051】
次に、情報処理装置10は、例えば、図7を用いて説明したように、キャリブレーション処理およびレジストレーション処理によって、ステップS101で取得された画像と、ステップS103で測定された測定結果との位置合わせを行う(ステップS104)。これにより、情報処理装置10は、ステップS103で測定された測定結果から着岸領域のデータが抽出でき、船舶と着岸領域との距離が取得できる。
【0052】
次に、情報処理装置10は、例えば、幾何学演算処理を行って船舶と着岸領域との相対距離を算出し、かつ、図8を用いて説明したように相対角度を算出する(ステップS105)。ステップS105の実行後、図11に示す相対距離・相対角度算出処理は終了する。
【0053】
(効果)
上述したように、情報処理装置10は、舶から撮影された着岸領域を含む画像を取得し、セグメンテーションAIを用いて、取得した画像のうち着岸領域を特定し、測距装置を用いて、着岸領域との距離を測定し、測距装置による測定結果から、着岸領域と船舶との相対距離および相対角度を算出する。
【0054】
このように、情報処理装置10は、セグメンテーションAIを用いることで、撮影画像から岸壁面を特定し、測距計を用いて測定された岸壁面との距離から、岸壁面との相対距離および相対角度を算出し、船舶と岸壁との距離や角度をより正確に把握できる。
【0055】
また、情報処理装置10によって実行される、着岸領域を特定する処理は、着岸領域として、岸壁面または浮桟橋を特定する処理を含む。
【0056】
これにより、情報処理装置10は、着岸領域として岸壁のみならず、船舶と浮桟橋との距離や角度をより正確に把握できる。
【0057】
また、情報処理装置10によって実行される、相対距離および相対角度を算出する処理は、着岸領域が垂直であることを前提として、測定結果である着岸領域との距離から、相対距離および相対角度を算出する処理を含む。
【0058】
これにより、情報処理装置10は、船舶と岸壁との距離や角度をより正確に把握できる。
【0059】
また、情報処理装置10は、画像および測定結果に対してキャリブレーションを行うことにより、画像および測定結果の各々における着岸領域の位置情報を取得し、画像および測定結果の各々における位置情報に対してレジストレーションを行うことにより、画像および測定結果における着岸領域の位置を特定して合わせる。
【0060】
これにより、情報処理装置10は、船舶と岸壁との距離や角度をより正確に把握できる。
【0061】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る情報処理装置10も図4のブロック図で表される。以下の説明では、第1の実施形態と同様の各部の動作については説明を省略する。
【0062】
カメラ装置100及び測距装置200を搭載した船舶は、海上ではローリング(rolling)、ピッチング(pitching)、ヨーイング(yawing)及びヒービング(heaving)が発生する。ローリングは、船舶の前後方向の軸周りの回転である。ピッチングは、船舶の左右方向の軸周りの回転である。ヨーイングは、上下方向の軸周りの回転である。ヒービングは、船舶の上下方向の変位である。船体に固定されたカメラ装置100の画角は、ローリング、ピッチング、ヨーイング及びヒービングの影響を受ける。そこで、本実施形態に係る情報処理装置10は、ローリング、ピッチング、ヨーイング及びヒービングの影響を考慮して画角に補正を加えて距離計測を行う。
【0063】
本実施例に係る船舶は、ローリング、ピッチング及びヨーイングを計測する傾斜計等の回転量計測器を有する。また、船舶は、ヒービングを計測する喫水計等の喫水量計測器を有する。さらに海面高さである潮位情報で補正することによりヒービングの精度向上を図ることができる。
【0064】
算出部44は、例えば、着岸領域が垂直であることを前提として、着岸領域との相対角度を算出する。次に、算出部44は、回転量計測器からローリング、ピッチング及びヨーイングの値を取得する。また、算出部44は、喫水量計測器からヒービングの値を取得する。
【0065】
算出部44は、ローリング、ピッチング、ヨーイング及びヒービングの情報を用いて測距装置200からの入射角度を補正する。そして、算出部44は、測定結果である着岸領域との距離及び補正した相対角度及び相対高さを用いて、相対距離を算出する。
【0066】
図12は、ローリング補正を説明するための図である。ここでは、測距装置200に一致させて船舶のローリング状態を表した。また、ここでは、岸壁線を測距対称点とする。ここで、Ldは、測距装置200が検知する距離である。また、θdは、カメラ装置100の画角から算出された測距装置200からの岸壁線の傾斜角である。また、L10は、測距装置200と岸壁線との水平な相対距離である。
【0067】
状態301は、船舶がローリングしていない状態を示す。この場合、カメラ装置100の画角から算出された測距装置200からの岸壁線の傾斜角と測距装置200の水平方向と測距装置200と岸壁線とを結ぶ角度であるθとが一致している。そこで、算出部44は、相対距離L10=Ld×cos(θ)と算出する。
【0068】
これに対して、状態302は、船舶が角度θsローリングしている。この場合、測距装置200の角度θdとローリングの角度θsとを加算した結果が測距装置200の水平方向と測距装置200と岸壁線とを結ぶ角度であるθに一致する。すなわち、θ=θd+θsである。そこで、算出部44は、相対距離L10=Ld×cos(θ)=Ld×cos(θd+θs)と算出する。
【0069】
ここでは一例として、理解しやすいローリング補正について説明したが、算出部44は、他の要素についても同様に幾何学的な補正で算出する事ができる。また、算出部44は、測距装置200が搭載された位置と岸壁との相対距離の対象となる船舶の側舷の位置も幾何学的に算出することが可能である。
【0070】
(効果)
このように、ローリング、ピッチング、ヨーイング及びヒービングに基づいて、測距装置200からの入射角度及び測距装置200の取付高さに補正を加えて相対距離を算出することで、算出する相対距離の精度を向上させることが可能となる。
【0071】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。本実施形態に係る情報処理装置10も図4のブロック図で表される。以下の説明では、第1の実施形態と同様の各部の動作については説明を省略する。
【0072】
第1の実施形態では、特定部42は、セグメンテーションAIを用いて取得部41が取得した画像の中から着岸領域を特定する際に、岸壁面上の防舷材や、穴や、その他の設置物等を岸壁面と区別して、岸壁面を画像から抽出した。この場合、相対距離の船舶側の基準となる測距原点から最も近い岸壁の位置に防舷材が存在すると、その位置は測量対象から除かれる。そのため、船舶から最も近い位置までの長さが相対距離として用いられず、精度が低下するおそれがある。
【0073】
そこで、本実施形態にかかる情報処理装置10は、防舷材が設けられた岸壁の位置が最も近い場合に、他の岸壁の位置までの相対距離を用いて防舷材の位置までの相対距離を算出して船舶と岸壁面との相対距離とする。以下に、情報処理装置10による防舷材の位置までの相対距離の算出処理を説明する。図13は、第3の実施例にかかる情報処理装置による相対距離の算出を説明するための図である。
【0074】
算出部44は、測距装置200による測定結果である着岸領域との距離を取得する。この場合、算出部44は、着岸面における複数の点の距離を取得する。そして、算出部44は、カメラ装置100により得られた着岸面の画像や測距装置200による測定結果である着岸領域との距離を用いて、最も近い岸壁面の位置までの距離が含まれるか否かを判定する。以下では、最も近い岸壁面の位置を「最近傍点」と呼ぶ。最近傍点までの距離が含まれている場合は、算出部44は、その距離を用いて相対距離を算出する。
【0075】
これに対して、最も近い位置に防舷材211が存在するために取得した距離に最近傍点までの距離が含まれていない場合、算出部44は、適当な位置201までの距離を用いて、位置201まで相対距離L11を算出する。また、算出部44は、他の適当な位置202までの距離を用いて、位置202までの相対距離L12を算出する。
【0076】
次に、算出部44は、相対距離L11及びL12を用いて船舶に対する岸壁に対向する角度θ11及びθ12を検出する。次に、算出部44は、相対距離L11及びL12、並びに、船舶に対する岸壁に対向する角度θ11及びθ12を基に、幾何学演算処理を行って測距原点210から最近傍点203までの相対距離L1を算出する。
【0077】
ここで、防舷材211の厚さは、仕様により予め決まっている。そこで、算出部44は、防舷材211の厚さを示す長さL3を予め保持する。算出部44は、算出した相対距離L1から防舷材の211の厚さである長さL3を減算して、船舶から防舷材211の先端までの相対距離L2を算出する。
【0078】
逆に、他の方法により測距原点210から防舷材211の先端までの相対距離L2を得ることができるのであれば、算出部44は、以下の方法により防舷材211の劣化を判定することもできる。例えば、算出部44は、取得した相対距離L2と防舷材211の仕様上の厚みである長さL3とを加算した結果と、相対距離L11及びL12、並びに、船舶に対する岸壁の角度を基に算出される最近傍点203までの相対距離L1とを比較する。そして、算出部44は、相対距離L2と長さL3とを合わせた長さが相対距離L1よりも短い場合には、防舷材211がその分劣化していると判定することができる。
【0079】
(システム)
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報は、特記する場合を除いて任意に変更されてもよい。また、実施例で説明した具体例、分布、数値などは、あくまで一例であり、任意に変更されてもよい。
【0080】
また、各装置の構成要素の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その構成要素の全部または一部は、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合されてもよい。さらに、各装置の各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0081】
(ハードウェア)
図14は、情報処理装置10のハードウェア構成例を説明する図である。図14に示すように、情報処理装置10は、通信インタフェース10a、HDD(Hard Disk Drive)10b、メモリ10c、プロセッサ10dを有する。また、図14に示した各部は、バスなどで相互に接続される。
【0082】
通信インタフェース10aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他の情報処理装置との通信を行う。HDD10bは、図4に示した機能を動作させるプログラムやデータを記憶する。
【0083】
プロセッサ10dは、図4に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD10bなどから読み出してメモリ10cに展開することで、図4などで説明した各機能を実行するプロセスを動作させるハードウェア回路である。すなわち、このプロセスは、情報処理装置10が有する各処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ10dは、取得部41や特定部42などと同様の機能を有するプログラムをHDD10bなどから読み出す。そして、プロセッサ10dは、取得部41や特定部42などと同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0084】
このように、情報処理装置10は、図4に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムを読み出して実行することで動作制御処理を実行する情報処理装置として動作する。また、情報処理装置10は、媒体読取装置によって記録媒体からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することで上述した実施例と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施例でいうプログラムは、情報処理装置10によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータがプログラムを実行する場合や、情報処理装置10と他のコンピュータとが協働してプログラムを実行するような場合にも、本実施形態が同様に適用されてよい。
【0085】
また、図4に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布できる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行できる。
【0086】
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0087】
(付記1)船舶から撮影された着岸領域を含む画像を取得し、
セグメンテーションAI(Artificial Intelligence)を用いて、取得した前記画像のうち前記着岸領域を特定し、
測距装置を用いて、前記着岸領域との距離を測定し、
前記測距装置による測定結果から、前記着岸領域と前記船舶との相対距離又は相対角度の少なくとも1つを算出する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【0088】
(付記2)前記着岸領域を特定する処理は、前記着岸領域として、岸壁面または浮桟橋を特定する処理を含むことを特徴とする付記1に記載の情報処理プログラム。
【0089】
(付記3)前記相対距離又は前記相対角度の少なくとも1つを算出する処理は、
前記着岸領域が垂直であることを前提として、前記測定結果である前記着岸領域との前記距離から、前記相対距離又は前記相対角度の少なくとも1つを算出する
処理を含むことを特徴とする付記1に記載の情報処理プログラム。
【0090】
(付記4)前記画像および前記測定結果に対してキャリブレーションを行うことにより、前記画像および前記測定結果の各々における前記着岸領域の位置情報を取得し、
前記画像および前記測定結果の各々における前記位置情報に対してレジストレーションを行うことにより、前記画像および前記測定結果における前記着岸領域の位置を特定して合わせる
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする付記1に記載の情報処理プログラム。
【0091】
(付記5)前記相対距離又は前記相対角度の少なくとも1つを算出する処理は、
前記船舶の回転量の情報及び喫水量の情報を取得し、
前記回転量の情報及び前記喫水量の情報を基に入射角度を補正し、
前記補正した入射角度を基に前記相対距離を算出する
処理を含むことを特徴とする付記1に記載の情報処理プログラム。
【0092】
(付記6)前記着岸領域を特定する処理は、
取得した前記画像の中から防舷材を除いて前記着岸領域を特定する処理を含み、
前記相対距離を算出する処理は、
算出した前記相対距離のうち前記着岸領域上の2点に対する前記相対距離を基に、前記船舶と前記防舷材までの距離を算出する処理を含む
ことを特徴とする付記1に記載の情報処理プログラム。
【0093】
(付記7)船舶から撮影された着岸領域を含む画像を取得し、
セグメンテーションAIを用いて、取得した前記画像のうち前記着岸領域を特定し、
測距装置を用いて、前記着岸領域との距離を測定し、
前記測距装置による測定結果から、前記着岸領域と前記船舶との相対距離又は相対角度の少なくとも1つを算出する
処理をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
【0094】
(付記8)前記着岸領域を特定する処理は、前記着岸領域として、岸壁面または浮桟橋を特定する処理を含むことを特徴とする付記7に記載の情報処理方法。
【0095】
(付記9)前記相対距離又は前記相対角度の少なくとも1つを算出する処理は、
前記着岸領域が垂直であることを前提として、前記測定結果である前記着岸領域との前記距離から、前記相対距離又は前記相対角度の少なくとも1つを算出する
処理を含むことを特徴とする付記7に記載の情報処理方法。
【0096】
(付記10)前記画像および前記測定結果に対してキャリブレーションを行うことにより、前記画像および前記測定結果の各々における前記着岸領域の位置情報を取得し、
前記画像および前記測定結果の各々における前記位置情報に対してレジストレーションを行うことにより、前記画像および前記測定結果における前記着岸領域の位置を特定して合わせる
処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする付記7に記載の情報処理方法。
【0097】
(付記11)前記相対距離又は前記相対角度の少なくとも1つ算出する処理は、
前記船舶の回転量の情報及び喫水量の情報を取得し、
前記回転量の情報及び前記喫水量の情報を基に入射角度を補正し、
前記補正した入射角度を基に前記相対距離を算出する
処理を含むことを特徴とする付記7に記載の情報処理方法。
【0098】
(付記12)前記着岸領域を特定する処理は、
取得した前記画像の中から防舷材を除いて前記着岸領域を特定する処理を含み、
前記相対距離を算出する処理は、
算出した前記相対距離のうち前記着岸領域上の2点に対する前記相対距離を基に、前記船舶と前記防舷材までの距離を算出する処理を含む
ことを特徴とする付記7に記載の情報処理方法。
【0099】
(付記13)船舶から撮影された着岸領域を含む画像を取得し、
セグメンテーションAIを用いて、取得した前記画像のうち前記着岸領域を特定し、
測距装置を用いて、前記着岸領域との距離を測定し、
前記測距装置による測定結果から、前記着岸領域と前記船舶との相対距離又は相対角度の少なくとも1つを算出する
処理を実行する制御部を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【0100】
(付記14)前記着岸領域を特定する処理は、前記着岸領域として、岸壁面または浮桟橋を特定する処理を含むことを特徴とする付記13に記載の情報処理装置。
【0101】
(付記15)前記相対距離又は前記相対角度の少なくとも1つを算出する処理は、
前記着岸領域が垂直であることを前提として、前記測定結果である前記着岸領域との前記距離から、前記相対距離又は前記相対角度の少なくとも1つを算出する
処理を含むことを特徴とする付記13に記載の情報処理装置。
【0102】
(付記16)前記画像および前記測定結果に対してキャリブレーションを行うことにより、前記画像および前記測定結果の各々における前記着岸領域の位置情報を取得し、
前記画像および前記測定結果の各々における前記位置情報に対してレジストレーションを行うことにより、前記画像および前記測定結果における前記着岸領域の位置を特定して合わせる
処理を前記制御部が実行することを特徴とする付記13に記載の情報処理装置。
【0103】
(付記17)前記相対角度を算出する処理は、
前記船舶の回転量の情報及び喫水量の情報を取得し、
前記回転量の情報及び前記喫水量の情報を基に入射角度を補正し、
前記補正した入射角度を基に前記相対距離を算出する
処理を含むことを特徴とする付記13に記載の情報処理装置。
【0104】
(付記18)前記着岸領域を特定する処理は、
取得した前記画像の中から防舷材を除いて前記着岸領域を特定する処理を含み、
前記相対距離を算出する処理は、
算出した前記相対距離のうち前記着岸領域上の2点に対する前記相対距離を基に、前記船舶と前記防舷材までの距離を算出する処理を含む
ことを特徴とする付記13に記載の情報処理装置。
【0105】
(付記19)プロセッサと、
プロセッサに動作可能に接続されたメモリと
を備えた情報処理装置であって、プロセッサは、
船舶から撮影された着岸領域を含む画像を取得し、
セグメンテーションAIを用いて、取得した前記画像のうち前記着岸領域を特定し、
測距装置を用いて、前記着岸領域との距離を測定し、
前記測距装置による測定結果から、前記着岸領域と前記船舶との相対距離又は相対角度の少なくとも1つを算出する
処理を実行することを特徴とする情報処理装置。
【符号の説明】
【0106】
1 情報処理システム
10 情報処理装置
10a 通信インタフェース
10b HDD
10c メモリ
10d プロセッサ
20 通信部
30 記憶部
31 画像情報
32 測定情報
33 モデル情報
40 制御部
41 取得部
42 特定部
43 測定部
44 算出部
50 ネットワーク
100 カメラ装置
200 測距装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14