(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025175778
(43)【公開日】2025-12-03
(54)【発明の名称】基板処理装置、および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20251126BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20251126BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20251126BHJP
C23C 14/50 20060101ALI20251126BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/31 B
C23C16/458
C23C14/50 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024082035
(22)【出願日】2024-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】田口 純之介
(72)【発明者】
【氏名】及川 拓也
(72)【発明者】
【氏名】竹内 靖
【テーマコード(参考)】
4K029
4K030
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
4K029JA03
4K030EA05
4K030EA06
4K030GA06
4K030JA12
4K030KA02
5F045AA06
5F045AC15
5F045AC16
5F045BB15
5F045DP15
5F045DP27
5F045DQ12
5F045EB02
5F045EB10
5F045EE19
5F045EF03
5F045EF09
5F045EK07
5F045EM10
5F131AA02
5F131BA01
5F131CA12
5F131EA05
5F131EA24
5F131EB67
5F131EB72
5F131EB78
5F131EB81
5F131EB82
(57)【要約】
【課題】パーティクルを抑制できる技術を提供する。
【解決手段】基板処理装置は、処理容器と、前記処理容器の内部に回転可能に設けられる回転テーブルと、前記回転テーブルと一体に回転可能、かつ前記回転テーブルの回転中心から離れた位置において前記回転テーブルと相対的に回転可能に設けられる載置台と、前記回転テーブルの回転および前記載置台の回転を制御する制御部と、を含む。前記制御部は、前記回転テーブルの回転に伴って生じる公転遠心力よりも前記載置台の回転に伴って生じる自転遠心力が大きくなるように、前記回転テーブルの回転および前記載置台の回転を制御する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理容器と、
前記処理容器の内部に回転可能に設けられる回転テーブルと、
前記回転テーブルと一体に回転可能、かつ前記回転テーブルの回転中心から離れた位置において前記回転テーブルと相対的に回転可能に設けられ、基板を載置する載置台と、
前記回転テーブルの回転および前記載置台の回転を制御する制御部と、を含み、
前記制御部は、
前記回転テーブルの回転に伴って生じる公転遠心力よりも前記載置台の回転に伴って生じる自転遠心力が大きくなるように、前記回転テーブルの回転および前記載置台の回転を制御する、
基板処理装置。
【請求項2】
前記載置台の回転における自転回転速度が、前記回転テーブルの回転における公転回転速度よりも速い、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記自転回転速度は、前記公転回転速度の2.5倍以上である、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記公転回転速度は、40rpm以上であり、
前記自転回転速度は、前記公転回転速度の10倍以上である、
請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記載置台の回転中心から基板の中心までの回転半径は、前記回転テーブルの回転中心から前記載置台の回転中心までの回転半径の1/10以下である、前記
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記載置台は、前記基板を載置する底壁と、前記底壁の外縁から突出し、前記基板の外縁が接触可能な側壁とを有し、当該底壁および当該側壁で囲われた凹部を備える、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記凹部は、平面視で正円状に形成され、かつ当該凹部の中心と前記載置台の回転中心とがずれている、
請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記凹部は、平面視で楕円状に形成されている、
請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項9】
処理容器と、
前記処理容器の内部に回転可能に設けられる回転テーブルと、
前記回転テーブルと一体に回転可能、かつ前記回転テーブルの回転中心から離れた位置において前記回転テーブルと相対的に回転可能に設けられ、基板を載置する載置台と、を含む基板処理装置の基板処理方法であって、
前記回転テーブルおよび前記載置台を同時に回転させる工程において、前記回転テーブルの回転に伴って生じる公転遠心力よりも前記載置台の回転に伴って生じる自転遠心力を大きくする、
基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、処理容器(真空容器)と、処理容器の内部に回転(公転)可能に設けられる回転テーブルと、を有する基板処理装置が開示されている。また、基板処理装置は、回転テーブルの回転中心から離れた位置の周方向上に、基板を載置する複数の載置台を備える。各載置台は、回転テーブルと一体に回転可能、かつ回転テーブルと相対的に回転(自転)可能に構成されている。
【0003】
基板処理装置の各載置台に載置された各基板は、回転テーブルの回転に伴う遠心力を受けて各載置台内を移動する。特に、基板処理装置は、載置台の回転により載置台内の基板の位置が変化することで、基板の移動機会が増加する。基板の移動によってパーティクルが発生し易くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、パーティクルを抑制できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、処理容器と、前記処理容器の内部に回転可能に設けられる回転テーブルと、前記回転テーブルと一体に回転可能、かつ前記回転テーブルの回転中心から離れた位置において前記回転テーブルと相対的に回転可能に設けられ、基板を載置する載置台と、前記回転テーブルの回転および前記載置台の回転を制御する制御部と、を含み、前記制御部は、前記回転テーブルの回転に伴って生じる公転遠心力よりも前記載置台の回転に伴って生じる自転遠心力が大きくなるように、前記回転テーブルの回転および前記載置台の回転を制御する、基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
一態様によれば、パーティクルを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る基板処理装置の構成例を示す縦断面図である。
【
図2】
図1の基板処理装置の処理容器内の構成を示す平面図である。
【
図3】
図1の基板処理装置の回転テーブルおよび載置台の構成を示す斜視図である。
【
図4】
図4(A)は、参考例に係る基板処理装置の回転テーブルおよび各載置台の回転状態を示す平面図である。
図4(B)は、参考例に係る載置台における基板の状態を示す図である。
【
図5】
図5(A)は、実施形態に係る基板処理装置の載置台を示す平面図である。
図5(B)は、
図5(A)のVB-VB線の断面図である。
【
図6】
図6(A)は、実施形態に係る基板処理装置の回転テーブルおよび各載置台の回転状態を示す平面図である。
図6(B)は、載置台における基板Wの状態を示す図である。
【
図7】
図7(A)は、載置台の直径φを302mmとした場合の回転テーブルの公転回転速度と載置台の自転回転速度との関係を示す表である。
図7(B)は、載置台の直径φを340mmとした場合の回転テーブルの公転回転速度と載置台の自転回転速度との関係を示す表である。
【
図8】実施形態に係る基板処理方法のフローチャートである。
【
図9】
図9(A)は、第1変形例に係る載置台を拡大して示す平面図である。
図9(B)は、第2変形例に係る載置台を拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
[基板処理装置の基本構成]
図1~
図3を参照して、実施形態に係る基板処理装置1について説明する。
図1は、実施形態に係る基板処理装置1の構成例を示す縦断面図である。
図2は、
図1の基板処理装置1の処理容器11内の構成を示す平面図である。なお、
図2においては、説明の便宜上、天板の図示を省略している。
図3は、
図1の基板処理装置1の回転テーブル21および載置台211の構成を示す斜視図である。
【0011】
基板処理装置1は、原子層堆積法(Atomic Layer Deposition:ALD)や分子層堆積法(Molecular Layer Deposition:MLD)により基板Wの表面に膜を成膜する成膜処理を行う装置に構成される。この基板処理装置1は、処理部10、回転駆動装置20、リフタ部30および制御部90を備える。
【0012】
処理部10は、基板Wに膜を形成する成膜処理を実行する。処理部10は、処理容器11、ガス導入部12、ガス排気部13、搬送口14、および加熱部15を有する。
【0013】
処理容器11は、内部の空間を減圧して真空雰囲気に切り替え可能な真空容器である。処理容器11は、略円形の平面形状を有する扁平な筐体に形成され、複数の基板Wを内部の空間に収容できる。基板Wは、例えば、半導体ウエハであってよい。処理容器11は、本体111、天板112、側壁体113および底板114を含む(
図1)。本体111は、円筒形状を有する。天板112は、本体111の上面に離脱可能に装着される。本体111と天板112とは、シール部115によって気密に密着する。側壁体113は、円筒形状を有し、本体111の下面に気密に連結される。底板114は、側壁体113の底面に気密に連結される。
【0014】
ガス導入部12は、原料ガスノズル121、反応ガスノズル122および分離ガスノズル123、124を含む(
図2)。原料ガスノズル121、反応ガスノズル122および分離ガスノズル123、124は、後述する回転テーブル21の上方において、処理容器11の周方向(
図2の矢印Aで示される方向)に沿って互いに間隔を開けて配置される。図示例では、搬送口14から時計回り(回転テーブル21の回転方向)に、分離ガスノズル123、原料ガスノズル121、分離ガスノズル124および反応ガスノズル122が、この順に配置される。原料ガスノズル121、反応ガスノズル122および分離ガスノズル123、124の各々は、各種のガスを導入するためのガス導入ポート121p、122p、123p、124p(
図2)を基端部に有する。ガス導入ポート121p、122p、123p、124pは、本体111の側壁に固定され、本体111の外部に突出している。原料ガスノズル121、反応ガスノズル122および分離ガスノズル123、124は、本体111の側壁から処理容器11内に挿入され、本体111の半径方向内側に延出している。原料ガスノズル121、反応ガスノズル122および分離ガスノズル123、124は、例えば石英により形成されて、回転テーブル21に対して平行に配置されている。
【0015】
原料ガスノズル121は、配管および流量制御器等(不図示)を介して、原料ガスの供給源(不図示)に接続される。原料ガスとしては、例えば、シリコン含有ガス、金属含有ガスを利用できる。原料ガスノズル121には、回転テーブル21に向かって開口する複数の吐出孔(不図示)が、原料ガスノズル121の軸方向に沿って間隔を開けて配列される。原料ガスノズル121の下方領域は、原料ガスを基板Wに吸着させるための原料ガス吸着領域P1となる。
【0016】
反応ガスノズル122は、配管および流量制御器等(不図示)を介して、反応ガスの供給源(不図示)に接続される。反応ガスとしては、例えば、酸化ガス、窒化ガスを利用できる。反応ガスノズル122には、回転テーブル21に向かって開口する複数の吐出孔(不図示)が、反応ガスノズル122の軸方向に沿って間隔を開けて配列される。反応ガスノズル122の下方領域は、原料ガス吸着領域P1において基板Wに吸着された原料ガスを酸化または窒化させる反応ガス供給領域P2となる。本実施形態において、基板Wを処理する処理ガスは、以上の原料ガスおよび反応ガスが該当する。
【0017】
分離ガスノズル123、124は、いずれも配管および流量制御バルブ等(不図示)を介して、分離ガスの供給源(不図示)に接続される。分離ガスとしては、例えば、アルゴン(Ar)ガス、窒素(N2)ガス等の不活性ガスを利用できる。分離ガスノズル123、124には、回転テーブル21に向かって開口する複数の吐出孔(不図示)が、分離ガスノズル123、124の軸方向に沿って間隔を開けて配列される。
【0018】
また、
図2に示すように、処理容器11内には2つの凸状部17が設けられる。凸状部17は、分離ガスノズル123、124と共に分離領域Dを構成するため、回転テーブル21に向かって突出するように天板112の裏面に取り付けられる。各凸状部17は、頂部が円弧形状に切断された扇型の平面形状を有し、内円弧が突出部18に連結し、外円弧が処理容器11の側壁に沿うように配置される。
【0019】
ガス排気部13は、第1の排気口131および第2の排気口132を含む(
図2)。第1の排気口131は、原料ガス吸着領域P1に連通する第1の排気領域E1の底部に形成される。第2の排気口132は、反応ガス供給領域P2に連通する第2の排気領域E2の底部に形成される。第1の排気口131および第2の排気口132は、図示しない排気配管を介して排気装置(不図示)に接続される。
【0020】
搬送口14は、本体111の側壁に設けられる(
図2)。搬送口14では、処理容器11内の回転テーブル21と、処理容器11の外部の搬送装置14aとの間で基板Wの受け渡しが行われる。搬送口14は、図示しないゲートバルブにより開閉される。
【0021】
加熱部15は、固定軸151、ヒータ支持部152およびヒータ153を含む(
図1)。なお、基板処理装置1は、加熱部15に代えて(または加えて)基板Wを冷却する冷却部を備えてもよい。
【0022】
固定軸151は、処理容器11の中心を中心軸とする円柱形状を有する。固定軸151は、後述する回転駆動装置20の回転軸23の内側で、処理容器11の底板114を貫通している。
【0023】
回転駆動装置20は、回転テーブル21、収容ボックス22、回転軸23、公転用モータ24および外筒25を有する。
【0024】
回転テーブル21は、処理容器11内に設けられ、処理容器11の中心に回転中心を有する。回転テーブル21は、例えば円板形状を有し、石英により形成される。回転テーブル21の上面には、回転方向(周方向)に沿って複数(例えば5つ)の載置台211が設けられる。回転テーブル21は、接続部214を介して収容ボックス22に接続される(
図3)。
【0025】
各載置台211は、基板Wよりも僅かに大きい円板形状を有し、例えば石英により形成される。各載置台211は、自転軸212を介して自転用モータ213に接続され、回転テーブル21に対して回転可能に構成される(
図1)。
【0026】
自転軸212は、載置台211の下面と、収容ボックス22内に収容される自転用モータ213とを接続し、自転用モータ213の動力を載置台211に伝達する。自転軸212は、載置台211の中心を回転中心として回転可能に構成される。自転軸212は、収容ボックス22の天井部222および回転テーブル21を貫通して設けられる。収容ボックス22の天井部222の貫通部近傍には、シール部263が設けられ、収容ボックス22内の気密状態が維持される。シール部263は、例えば磁性流体シールを含む。
【0027】
自転用モータ213は、自転軸212を介して、載置台211を回転テーブル21に対して相対的に回転させることで、基板Wの中心回りに基板Wを自転させる。自転用モータ213は、例えばサーボモータを適用することが好ましい。
【0028】
接続部214は、回転テーブル21の下面と収容ボックス22の上面とを接続する(
図3)。接続部214は、回転テーブル21の周方向に沿って複数設けられる。
【0029】
収容ボックス22は、処理容器11内における回転テーブル21の下方に設けられる。収容ボックス22は、接続部214を介して回転テーブル21に接続され、回転テーブル21と一体に回転する。収容ボックス22は、昇降機構(不図示)により処理容器11内で昇降可能に構成されてもよい。収容ボックス22は、本体部221および天井部222を有する。
【0030】
本体部221は、縦断面視で凹形状に形成され、回転テーブル21の回転方向に沿ってリング状に形成される(
図1)。
【0031】
天井部222は、本体部221の開口を覆うように、本体部221の上面に設けられる。これにより、本体部221および天井部222は、処理容器11内から隔離された回転収容部223を形成する。
【0032】
回転収容部223は、縦断面視で矩形状に形成され、回転テーブル21の回転方向に沿ってリング状を呈している。回転収容部223は、自転用モータ213(回転源)を収容する。本体部221には、回転収容部223と基板処理装置1の外部とを連通させる連通路224が形成される。これにより、回転収容部223に基板処理装置1の外部から大気が導入され、回転収容部223内が冷却されると共に、大気圧に維持される。この回転収容部223を回転可能に配置するために、処理容器11は、側壁体113、底板114および加熱部15により囲った回転源収容空間19を有する。
【0033】
回転軸23は、収容ボックス22の下部に固定される。回転軸23は、処理容器11の底板114を貫通して設けられる。回転軸23は、公転用モータ24の動力を回転テーブル21および収容ボックス22に伝達し、回転テーブル21および収容ボックス22を一体に回転させる。固定軸151の外壁と回転駆動装置20の回転軸23の内壁との間には、シール部154が設けられる。これにより、回転軸23は、処理容器11内の気密状態を維持しながら、固定軸151に対して回転する。シール部154は、例えば、磁性流体シールを適用することができる。
【0034】
処理容器11の底板114の中心側下面部には、回転駆動装置20の外筒25が連結されている。外筒25は、処理容器11の固定軸151と共に、処理容器11を支持する。回転軸23と外筒25との間には、シール部116が設けられ、処理容器11内の気密状態が維持される。シール部116は、例えば、磁性流体シールを適用することができる。
【0035】
回転軸23の内部には、通路231が形成される。通路231は、収容ボックス22の連通路224に接続され、収容ボックス22内に大気を導入するための流体流路として機能する。また、通路231は、収容ボックス22内に自転用モータ213を駆動させるための電力線および信号線を導入するための配線ダクトとしても機能する。通路231は、例えば、自転用モータ213と同じ数だけ設けられる。
【0036】
また
図1に示すように、リフタ部30は、搬送装置14a(
図2)が載置台211に基板Wを搬入および搬出する際に、複数(本実施形態では3つ)のリフトピン31を昇降させ、搬送装置14aとの間で基板Wの受け取りおよび受け渡しを行う。基板処理装置1は、搬送口14に隣接する載置台対向位置の鉛直方向下側にリフタ部30を設置している。リフタ部30は、複数のリフトピン31をそれぞれ有する複数(3つ)の上側構造部40と、複数のリフトピン31を同時に昇降させる1つの下側動作部50と、を処理容器11に備える。
【0037】
各上側構造部40は、ヒータ支持部152およびヒータ153を貫通するように設置されると共に、リフトピン31を変位可能に収容する。下側動作部50は、処理容器11の底板114の下面に取り付けられている。下側動作部50は、鉛直方向に沿って変位して各リフトピン31の下端32をそれぞれ押圧する複数(3つ)のプランジャ51を有している。すなわち、リフタ部30は、稼動する部材として、基板Wに接触する複数のリフトピン31と、リフトピン31を介して基板Wを間接的に昇降させる複数のプランジャ51と、を鉛直方向に分離して備えた2段構造を呈している。
【0038】
下側動作部50は、各プランジャ51の他に、ケース52と、プランジャ駆動部53と、を備える。各プランジャ51は、細長い中実の棒状に形成され、プランジャ駆動部53により回転源収容空間19内を移動する。リフタ部30は、各プランジャ51の上昇に伴い各上側構造部40のリフトピン31に接触することで、当該リフトピン31を押し上げる。
【0039】
各上側構造部40は、自転軸212から半径方向に間隔をあけた位置で、かつ載置台211の周方向に沿って設けられる。各上側構造部40は、リフトピン31を鉛直方向下側に脱落不能に支持する。また、載置台211は、各上側構造部40の配置位置に対応して、各リフトピン31が通過可能な貫通孔211aを複数(3つ)備えている(
図2も参照)。リフトピン31は、直線状に延在する円柱形状の部材であり、上昇してきたプランジャ51により下端が押し上げられることで上昇する。これにより、リフトピン31の上端は、載置台211の貫通孔211aを通して当該載置台211の上面に突出する。
【0040】
図1に戻り、制御部90は、基板処理装置1の各部を制御するように構成される。制御部90は、制御本体91と、ユーザインタフェース95と、を有する。制御本体91は、プロセッサ92、メモリ93、図示しない入出力インタフェースおよび通信インタフェースを有するコンピュータである。プロセッサ92は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、複数のディスクリート半導体からなる回路等のうち1つまたは複数を組み合わせたものである。メモリ93は、半導体メモリ等からなる主記憶装置、およびディスクや半導体メモリ(フラッシュメモリ)等からなる補助記憶装置を含む。言い換えれば、本開示において、制御部90とは、CPU、GPU、ASIC、FPGA等を有する電子回路であり、メモリ93に格納された命令コードを実行することにより、または特殊用途向けに回路設計されることにより、本願明細書に記載の各種制御動作を実行する。
【0041】
また、ユーザインタフェース95は、制御本体91の入出力インタフェースに接続される。このユーザインタフェース95は、特に限定されるものでないが、例えば、タッチパネル、モニタ、キーボード、マウス等があげられる。
【0042】
以上のように構成される基板処理装置1は、回転テーブル21の複数の載置台211の各々に基板Wを載置した状態で、回転テーブル21を回転(公転)させると共に、各載置台211を回転(自転)させる。そして、基板処理装置1は、各基板Wの公転および自転の最中に、ガス導入部12から処理容器11内に処理ガスを供給することで、各基板Wに基板処理を施す。
【0043】
[基板処理時のパーティクルの発生について]
基板処理時に各基板Wを公転および自転させる構成では、各基板Wは、回転時の遠心力を受けて載置台内において移動する。以下、本開示の理解の容易化のために、まず参考例に係る基板処理装置1'について、
図4(A)および
図4(B)を参照しながら説明する。
図4(A)は、参考例に係る基板処理装置1'の回転テーブル21および各載置台211の回転状態を示す平面図である。
図4(B)は、参考例に係る載置台211における基板Wの状態を示す図である。
【0044】
図4(A)に示すように、回転テーブル21の各載置台211に載置された各基板Wは、回転テーブル21の回転に伴って遠心力を受ける。以下では、回転テーブル21の回転に伴って生じる遠心力を公転遠心力ともいう。また、各載置台211の各基板Wは、当該載置台211の回転に伴って生じる遠心力も受ける。以下では、各載置台211の回転に伴って生じる遠心力を自転遠心力ともいう。ただし、参考例に係る基板処理装置1'は、基板処理において、回転テーブル21の公転回転速度よりも各載置台211の自転回転速度を大幅に遅くしている。例えば、参考例に係る基板処理では、回転テーブル21の回転速度を60rpmとする一方で、各載置台211の回転速度を5.5rpmとしている。
【0045】
したがって、参考例に係る基板処理装置1'は、基板処理時の各基板Wに対して、公転遠心力>自転遠心力の関係となった力を加える。この場合、
図4(B)の左図に示すように、各基板Wは、回転テーブル21から径方向外側に向かう公転遠心力を受けることで、各載置台211内で摩擦力に抗して回転テーブル21の径方向外側に移動するようになる。例えば、基板Wは、載置台211内を移動して、載置台211を囲う内周面に接触する。また、
図4(B)の中図に示すように、内周面に移動した基板Wは、載置台211の回転に連れて載置台211内を周回する。そして例えば、
図4(B)の右図に示すように、基板Wは、回転テーブル21の回転中心寄りに移動した位置で公転遠心力を受けることで、載置台211内の径方向外側に移動して、径方向外側の内周面に再び接触する。参考例に係る基板処理装置1'は、このような載置台211内での基板Wの移動を繰り返すことで、移動時の基板Wの擦れや衝突の機会が増加して、パーティクルが発生するようになる。
【0046】
[パーティクルを抑制するための構成について]
図5(A)は、実施形態に係る基板処理装置1の載置台211を示す平面図である。
図5(B)は、
図5(A)のVB-VB線の断面図である。
図6(A)は、実施形態に係る基板処理装置1の回転テーブル21および各載置台211の回転状態を示す平面図である。
図6(B)は、載置台211における基板Wの状態を示す図である。そこで、実施形態に係る基板処理装置1は、
図5(A)および
図5(B)に示すように各載置台211を凹状に形成すると共に、
図6(A)および
図6(B)に示すように公転遠心力よりも自転遠心力を大きくする構成としている。
【0047】
具体的には、載置台211は、基板Wを載置する底壁211bと、この底壁211bの外縁から突出する側壁211sとを有する。底壁211bおよび側壁211sは、その内側に凹部211cを形成している。側壁211sは、平面視で、正円の円環形状に形成されている。側壁211sの高さは、特に限定されないが、基板Wの厚み以上に設定されることが好ましい。また、載置台211は、中心211oに連結された自転軸212によって、中心211o回りに回転する構成となっている。実施形態では、載置台211の外形(側壁211sの外周面)の中心211oと凹部211cの中心とが一致している。
【0048】
載置台211の凹部211cに載置された基板Wは、遠心力を受けて底壁211bの面方向を移動すると、側壁211sに接触する。
図5(A)および
図5(B)は、この基板Wが側壁211sに接触した形態を示している。側壁211sに接触した基板Wは、遠心力を受けてもそれ以上の移動が側壁211sにより規制され、また側壁211sにより載置台211からの離脱が阻止される。これにより、基板Wの中心Woは、載置台211の中心211oに対してずれた状態で回転する。公転遠心力よりも自転遠心力が大きい場合には、側壁211sに基板Wが接触しながら、載置台211の回転を継続することになる。つまり、
図4(B)に示すような各載置台211内で各基板Wの移動の繰り返しが無くなる。
【0049】
具体的には、
図6(A)に示すように、基板処理装置1は、制御部90により、回転テーブル21の回転および各載置台211の回転を制御して、公転遠心力<自転遠心力の関係を成立させる。上記したように自転遠心力が公転遠心力よりも大きい場合、基板Wは、各載置台211の側壁211sに一旦接触した後に、各載置台211と一体に回転するようになる。
【0050】
つまり、
図6(B)の左図に示すように、各基板Wは、載置台211の凹部211c内において回転テーブル21の径方向外側に移動して側壁211sに接触する。そして、側壁211sに移動した基板Wは、載置台211の回転によって公転遠心力よりも大きな自転遠心力を受ける。これにより、基板Wは、
図6(B)の中図に示す回転テーブル21の回転方向の接線方向に移動した場合、または
図6(B)の右図に示す回転テーブル21の中心寄りに移動した場合でも、その位置をキープするようになる。言い換えれば、基板処理装置1は、公転遠心力<自転遠心力の関係によって、載置台211内で基板Wを略固定して移動を繰り返さないようにする。このように載置台211内において基板Wの移動の機会を低減することで、基板処理装置1はパーティクルの発生を抑制できる。
【0051】
次に、公転遠心力<自転遠心力の関係を成立させるための各種パラメータの設定について、
図7(A)および
図7(B)を参照しながら説明する。
図7(A)は、載置台211の直径φを302mmとした場合の回転テーブル21の公転回転速度と載置台211の自転回転速度との関係を示す表である。
図7(B)は、載置台211の直径φを340mmとした場合の回転テーブル21の公転回転速度と載置台211の自転回転速度との関係を示す表である。なお、載置台211の直径φとは、載置台211の中心211oを通る側壁211sの内周面間の距離、言い換えれば、中心211oから側壁211sまでの凹部211cの半径の2倍である。
【0052】
回転により生じる回転物の遠心力は、一般に、以下の式(1)により表される。
【0053】
F=mω2r …(1)
なお、mは回転物の質量であり、ωは回転時の回転速度であり、rは回転半径である。
【0054】
したがって、回転テーブル21から各載置台211に載置された基板Wが受ける公転遠心力F1は、公転回転速度をω1、回転テーブル21の回転中心から各基板Wの中心Woまでの回転半径r1とした場合、以下の式(2)により表すことができる。
【0055】
F1=mω1
2r1 …(2)
なお、mは基板Wの質量である。また、回転半径r1は回転テーブル21の回転中心から載置台211の中心211oまでの距離に近似できる。
【0056】
一方、載置台211から側壁211sに移動した基板Wが受ける自転遠心力F2は、自転回転速度をω2、載置台211の中心211oから基板Wの中心Woまでの回転半径r2とした場合、以下の式(3)により表すことができる。
【0057】
F2=mω2
2r2 …(3)
なお、mは基板Wの質量である。
【0058】
したがって、上記した公転遠心力F1<自転遠心力F2の関係が成立するためには、ω1
2r1<ω2
2r2となるように、各パラメータを設定すればよいことになる。ただし、公転遠心力の各パラメータのうち回転半径r1は、回転テーブル21に対する各載置台211の設置数および回転テーブル21のサイズ等に依存する。つまり、回転半径r1は可及的に小さいほうがよいが、回転半径r1が小さい場合は、回転テーブル21のサイズを小さくして、各載置台211の設置数を少なくすることになる。この場合、1回の基板処理において処理する基板Wの数が少なくなる。一方、自転遠心力の各パラメータのうち回転半径r2は、載置台211の直径φに依存して決まり、さらには回転テーブル21に対する各載置台211の設置数にも影響が及ぶ。つまり、回転半径r2は可及的に大きいほうがよいが、回転半径r2が大きい場合は周方向に隣接する載置台211同士が重なる可能性が生じて、やはり各載置台211の設置数が少なくなる。よってこの場合も、1回の基板処理において処理する基板Wの数が少なくなる。
【0059】
上記のことから、回転半径r
1、r
2については、回転テーブル21のサイズ、回転テーブル21に搭載する載置台211の数を先に設定し、その後に回転半径r
1、r
2を設定するとよい。
図7(A)における載置台211の直径φは302mmであり、基板Wの直径が300mmである場合に回転半径r
2は1mmとなる。
図7(B)における載置台211の直径φは340mmであり、基板Wの直径が300mmである場合に回転半径r
2は20mmとなる。
図7(A)および
図7(B)に示すように、載置台211の直径φが大きいほうが、パーティクルの抑制効果が大きくなる公転回転速度および自転回転速度の範囲(Aの欄)が広がっている。つまり、同じ公転回転速度および自転回転速度であっても、載置台211の直径φ(言い換えれば、回転半径r
2)が大きいほうが、公転遠心力<自転遠心力の関係を築き易いと言える。
【0060】
ただし上記したように、載置台211の直径φ(回転半径r2)を大きくし過ぎると、周方向に隣接する各載置台211同士が重なる可能性が生じる。例えば、回転テーブル21に各載置台211を5つ設置する設定とした場合、各載置台211の直径φの範囲としては、302mm~350mm程度の範囲とすることが好ましい。また、回転テーブル21に各載置台211を5つ設置する場合、回転テーブル21の回転半径r1と載置台211の回転半径r2との関係は、r1/10≧r2程度となるように設定することが好ましい。このように回転テーブル21のサイズ、および各載置台211の数に基づいて回転半径r1、r2を設定することで、各載置台211同士が重なることなく、各載置台211の直径φ(回転半径r2)を適切に設計することが可能となる。なお、各載置台211の設置数は、特に限定されず、4つ以下でもよく、6つ以上でもよい。
【0061】
また、公転遠心力<自転遠心力の関係となる公転回転速度ω1および自転回転速度ω2の関係は、単純にはω1<ω2である。ただし、基板Wをより確実に固定したい場合には、公転遠心力に対して自転遠心力をある程度大きく設定することが望ましい。したがって、パーティクルの抑制効果を充分に得られる公転回転速度ω1と自転回転速度ω2の関係としては、自転回転速度ω2が公転回転速度ω1の2.5倍以上(つまり、2.5×ω1≦ω2)であることが好ましい。これにより、基板処理装置1は、自転遠心力を充分に高めることができる。
【0062】
また、基板処理(成膜処理)では、公転回転速度およびまたは自転回転速度が大きくなる程、基板処理の効率性は向上するが、各基板Wに成膜される膜の膜質が低下する傾向がある。このため、公転回転速度および自転回転速度は、基板処理の効率性、各基板Wの膜質、および
図7(A)および
図7(B)に示すようなパーティクルの抑制効果等を勘案して適切な速度を選択することが好ましい。
【0063】
一例として、基板処理の効率性を重視する場合には、公転回転速度を40rpm以上に設定することが好ましい。また、自転回転速度については、公転回転速度の10倍以上に設定するとよい。これにより、基板処理を短い時間で行いながら、各載置台211に対して基板Wを固定することができ、パーティクルの抑制効果を高めることができる。特に、載置台211の直径φを340mmにして回転半径r2を大きくする一方で、公転回転速度を120rpm以上、自転回転速度を600rpm以上に設定すれば、基板処理をより短時間に行うことも可能となる。
【0064】
一方、基板処理の質(膜質)を重視する場合には、公転回転速度を20rpm以下に設定することが好ましい。
図7(A)および
図7(B)に示すように、公転回転速度20rpm以下であれば、自転回転速度が50rpm以上のどのような値であってもパーティクルの抑制効果を高めることができる。
【0065】
[基板処理方法]
実施形態に係る基板処理装置1は、基本的には以上のように構成され、以下その動作(基板処理方法)について、
図8を参照しながら説明する。
図8は、実施形態に係る基板処理方法のフローチャートである。
【0066】
基板処理装置1の制御部90は、基板処理方法において、
図8に示すステップS101~S108を制御して、例えば、基板Wに所望の膜を成膜する基板処理(成膜処理)を実行する。
【0067】
制御部90は、基板処理装置1および搬送装置14aを制御して、まず回転テーブル21の5つの載置台211に対して基板Wを順に載置していく(ステップS101)。この際、基板Wの中心Woが載置台211の中心211oに一致するように、基板処理装置1は回転テーブル21を回転させる一方で、搬送装置14aは載置台211の直上に基板Wを搬送する。そして、リフタ部30は、各リフトピン31を上昇させることで搬送装置14aから基板Wを受け取り、搬送装置14aの後退後に各リフトピン31を下降させることで載置台211の凹部211cに基板Wを載置する。
【0068】
各載置台211に基板Wが載置された後、制御部90は、各自転用モータ213の回転を開始して、基板Wがそれぞれ載置された各載置台211を回転させる(ステップS102)。なお、制御部90は、基板処理の実行前に、パーティクルの抑制効果が大きい自転回転速度である各載置台211の目標回転速度を、自動的にまたはユーザ入力に基づいて設定しておく。
【0069】
そして、制御部90は、各載置台211の実際の自転回転速度が目標回転速度に到達したか否かを判定する(ステップS103)。自転回転速度が目標回転速度に到達した場合(ステップS103:YES)にステップS104に進み、自転回転速度が目標回転速度に到達していない場合(ステップS103:NO)にステップS103の監視を繰り返す。
【0070】
次に、制御部90は、公転用モータ24の回転を開始して、回転テーブル21を回転させる(ステップS104)。なお、制御部90は、回転テーブル21の目標回転速度についても自動的またはユーザ入力に基づいて、基板処理の実行前に設定しておく。この回転テーブル21の目標回転速度も、上記したように、パーティクルの抑制効果が大きい公転回転速度に対応して設定される。
【0071】
回転テーブル21の公転回転速度が上昇すると、各載置台211内において各基板Wが回転テーブル21の径方向外側に移動して側壁211sに接触する。ただし、公転遠心力<自転遠心力の関係が成立していることで、各基板Wは、側壁211sに一旦接触した後、その位置を維持して各載置台211の回転に連れ回りする。これにより、各載置台211内において各基板Wが移動を繰り返すことがなくなり、パーティクルの発生が抑制される。
【0072】
そして、制御部90は、回転テーブル21の実際の公転回転速度が目標回転速度に到達したか否かを判定する(ステップS105)。公転回転速度が目標回転速度に到達した場合(ステップS105:YES)にステップS106に進み、公転回転速度が目標回転速度に到達していない場合(ステップS105:NO)にステップS103の監視を繰り返す。
【0073】
上記のステップS105まで行うによって、基板処理装置1は、回転テーブル21および載置台211を同時に回転させる工程となる。この工程において、制御部90は、ガス導入部12により処理容器11内に処理ガスを供給して、基板処理(成膜処理)を各基板Wに行う(ステップS106)。そして、基板処理時も、回転テーブル21は目標回転速度である公転回転速度を維持すると共に、各載置台211は目標回転速度である自転回転速度を維持する。つまり、公転遠心力よりも自転遠心力が大きい関係が維持され、各載置台211の各基板Wの移動を規制することができ、パーティクルの発生を抑制できる。
【0074】
以上の基板処理の実行中に、制御部90は、基板処理を終了するか否かを判定する(ステップS107)。例えば、制御部90は、レシピ等により設定された基板処理の目標期間を経過したか否かを監視し、目標期間を経過した場合に基板処理の終了を判定する。制御部90は、基板処理を終了する場合(ステップS107:YES)にステップS108に進み、基板処理を終了しない場合(ステップS107:NO)に基板処理を継続すると共にこの監視を繰り返す。
【0075】
最後に、制御部90は、処理ガスの供給停止や回転テーブル21および各載置台211の回転停止等を行うと共に、回転テーブル21から各基板Wを取り出す等の終了処理を実行することで、今回の基板処理を終了する(ステップS108)。
【0076】
以上のように、基板処理方法は、基板Wにかかる公転遠心力よりも自転遠心力が大きいことで、各載置台211内での基板Wの移動を少なくすることができる。この結果、基板処理方法は、各載置台211内の基板Wに発生するパーティクルを抑制できる。
【0077】
[変形例]
なお、本開示に係る基板処理装置1および基板処理方法は、上記の実施形態に限定されず種々の変形例をとり得る。例えば、
図8の基板処理方法では、各基板Wに自転遠心力を先に付与するために各載置台211を回転テーブル21よりも先に回転させる構成とした。しかしながら、基板処理方法は、各載置台211よりも先に回転テーブル21を回転させてもよい。あるいは、基板処理方法は、回転テーブル21および各載置台211の回転を同時に開始してもよい。
【0078】
図9(A)は、第1変形例に係る載置台211Aを拡大して示す平面図である。
図9(B)は、第2変形例に係る載置台211Bを拡大して示す平面図である。
図9(A)に示すように、第1変形例に係る載置台211Aは、当該載置台211A全体の外形に対して、基板Wを収容する凹部211c1の位置をずらした点で、実施形態に係る載置台211とは異なる。具体的には、載置台211Aは、平面視で正円状の凹部211c1を有する。そして、この凹部211c1を囲う側壁211sについて、一方側(
図9(A)の下側)を幅狭にする一方で、他方側(
図9(A)の上側)を幅広にしている。
【0079】
このように構成された載置台211Aは、当該載置台211Aの中心211o(回転中心)と、凹部211c1の中心(不図示)とが予めずれた位置に配置され、また凹部211cの直径を小さくできる。凹部211c1に載置された基板Wは、凹部211c1の中心が予めずれていることで、回転する載置台211Aの自転遠心力を容易に受けるようになり、この凹部211c1内の一方側に向かって短く移動する。公転遠心力を受けた場合も同様である。そして、載置台211Aを有する基板処理装置1は、公転遠心力<自転遠心力の関係が成立していることで、基板Wの位置を一方側に簡単に固定して回転を継続できる。したがって、パーティクルの抑制効果の向上を期待することができる。
【0080】
図9(B)に示すように、第2変形例に係る載置台211Bは、当該載置台211B全体を平面視で正円状に形成する一方で、基板Wを収容する凹部211c2を平面視で楕円状に形成した点で、上記の載置台211、211Aとは異なる。載置台211Bは、この凹部211c2を有することで、凹部211c2に載置された基板Wを楕円形状の長軸方向に移動し易くする。このため、基板Wは、公転遠心力を受けた場合に、凹部211c1の長軸の一端側にスムーズに移動できる。そして、載置台211Bを有する基板処理装置1も、公転遠心力<自転遠心力の関係が成立していることで、基板Wの位置を長軸の一端側に簡単に固定して回転を継続できる。よってこの場合も、パーティクルの抑制効果の向上を期待することができる。
【0081】
以上の実施形態で説明した本開示の技術的思想および効果について以下に記載する。
【0082】
本開示の第1の態様に係る基板処理装置1は、処理容器11と、処理容器11の内部に回転可能に設けられる回転テーブル21と、回転テーブル21と一体に回転可能、かつ回転テーブル21の回転中心から離れた位置において回転テーブル21と相対的に回転可能に設けられ、基板Wを載置する載置台211、211A、211Bと、回転テーブル21の回転および載置台211、211A、211Bの回転を制御する制御部90と、を含み、制御部90は、回転テーブル21の回転に伴って生じる公転遠心力よりも載置台211、211A、211Bの回転に伴って生じる自転遠心力が大きくなるように、回転テーブル21の回転および載置台211、211A、211Bの回転を制御する。
【0083】
上記によれば、基板処理装置1は、公転遠心力よりも自転遠心力が大きくなるように回転テーブル21の回転および載置台211、211A、211Bの回転を制御することで、パーティクルを抑制することができる。すなわち、載置台211、211A、211Bに載置された基板Wは、この載置台211、211A、211Bの回転に伴う自転遠心力によって載置台211、211A、211B内での移動が抑制される。その結果、基板Wの移動による擦れや衝突に伴うパーティクルの発生を抑制することが可能となる。
【0084】
また、載置台211、211A、211Bの回転における自転回転速度が、回転テーブル21の回転における公転回転速度よりも速い。これにより、基板処理装置1は、公転遠心力よりも自転遠心力が大きい関係を容易に構築することが可能となり、パーティクルの発生を抑制しながら、この抑制に要するコスト増を回避できる。
【0085】
また、自転回転速度は、公転回転速度の2.5倍以上である。これにより、基板処理装置1は、公転遠心力よりも自転遠心力を一層大きくすることができ、パーティクルを大幅に抑制できる。
【0086】
また、公転回転速度は、40rpm以上であり、自転回転速度は、公転回転速度の10倍以上である。これにより、基板処理装置1は、基板Wに対する基板処理の効率性を確保しながら、基板処理時にパーティクルを充分に抑制することが可能となる。
【0087】
また、載置台211、211A、211Bの回転中心から基板Wの中心までの回転半径r2は、回転テーブル21の回転中心から載置台211の回転中心までの回転半径r1の1/10以下である。これにより、基板処理装置1は、載置台211、211A、211Bの自転遠心力を得ながら、回転テーブル21における載置台211、211A、211Bの数を増やすことができる。
【0088】
また、載置台211、211A、211Bは、基板Wを載置する底壁211bと、底壁211bの外縁から突出し、基板Wの外縁が接触可能な側壁211sとで囲われた凹部211cを有する。これにより、基板処理装置1は、載置台211、211A、211Bにおいて基板Wが側壁211sに接触した後、自転遠心力により当該基板Wを側壁211sに押し付けた状態とし、その移動を抑制することができる。
【0089】
また、凹部211cは、平面視で正円状に形成され、かつ当該凹部211cの中心と載置台211Aの回転中心とがずれている。これにより、基板処理装置1は、載置台211の回転中心から基板Wの中心Woを予めずらした位置に配置でき、回転半径を確保しながら基板Wの移動量を減らして、パーティクルをより低減することが可能となる。
【0090】
また、凹部211cは、平面視で楕円状に形成されている。これにより、基板処理装置1は、載置台211Bの凹部211c内で基板Wを長軸方向に容易に移動させることができ、載置台211B内での基板Wの固定を促すことができる。
【0091】
また、本開示の第2の態様は、処理容器11と、処理容器11内に回転可能に設けられる回転テーブル21と、回転テーブル21と一体に回転可能、かつ回転テーブル21の回転中心から離れた位置において回転テーブル21と相対的に回転可能に設けられる載置台211、211A、211Bと、を含む基板処理装置の基板処理方法であって、回転テーブル21および載置台211を同時に回転させる工程において、回転テーブル21の回転に伴って生じる公転遠心力よりも載置台211、211A、211Bの回転に伴って生じる自転遠心力を大きくする。この場合でも、基板処理方法は、パーティクルを抑制することができる。
【0092】
今回開示された実施形態に係る基板処理装置1および基板処理方法は、すべての点において例示であって制限的なものではない。実施形態は、添付の請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形および改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0093】
1 基板処理装置
11 処理容器
21 回転テーブル
90 制御部
211、211A、211B 載置台
W 基板