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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001762
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】車載インテリア照明システム
(51)【国際特許分類】
   B60Q 3/80 20170101AFI20241226BHJP
   B60Q 3/217 20170101ALI20241226BHJP
   B60K 23/00 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
B60Q3/80
B60Q3/217
B60K23/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101414
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】山口 歩
(72)【発明者】
【氏名】池田 開
(72)【発明者】
【氏名】河田 任史
【テーマコード(参考)】
3D036
3K040
【Fターム(参考)】
3D036CA10
3D036CA15
3K040AA02
3K040EA03
3K040EA04
3K040GA04
3K040GB08
(57)【要約】
【課題】運転者が早期且つ直感的に現在のシフトポジションを認識できる車載インテリア照明システムを提供する。
【解決手段】車載インテリア照明システム(1)は、車両の乗員空間を照らすインテリア照明装置(10)と、車両のシフトポジションに基づいてインテリア照明装置を制御する照明制御装置(20)と、を備える。照明制御装置は、シフトポジションがリバース又はドライブである場合に、アニメーション表示指令をインテリア照明装置に送信する。インテリア照明装置は、アニメーション表示指令を受信した場合に、シフトポジションに対応する車両の進行方向に向かってオブジェクトが動くアニメーションを表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗員空間を照らすインテリア照明装置と、
前記車両のシフトポジションに基づいて前記インテリア照明装置を制御する照明制御装置と、
を備え、
前記照明制御装置は、前記シフトポジションがリバース又はドライブである場合に、アニメーション表示指令を前記インテリア照明装置に送信し、
前記インテリア照明装置は、前記アニメーション表示指令を受信した場合に、前記シフトポジションに対応する前記車両の進行方向に向かってオブジェクトが動くアニメーションを表示する、
車載インテリア照明システム。
【請求項2】
前記シフトポジションが前記リバースである場合、前記インテリア照明装置は、前記車両の前側から後側に向かって前記オブジェクトが動く前記アニメーションを表示する、
請求項1に記載の車載インテリア照明システム。
【請求項3】
前記シフトポジションが前記ドライブである場合、前記インテリア照明装置は、前記車両の後側から前側に向かって前記オブジェクトが動く前記アニメーションを表示する、
請求項1に記載の車載インテリア照明システム。
【請求項4】
前記インテリア照明装置は、前記進行方向に向かって複数の前記オブジェクトが一定の時間間隔で動いた後に順番に消失する第1期間と、前記オブジェクトが表示されない第2期間とが交互に繰り返される前記アニメーションを表示し、
前記第2期間の長さは、前記時間間隔よりも長い、
請求項1に記載の車載インテリア照明システム。
【請求項5】
前記インテリア照明装置は、前記進行方向に向かって複数の前記オブジェクトが一定の時間間隔で動いた後に順番に一列に並ぶ第1期間と、前記オブジェクトが表示されない第2期間とが交互に繰り返される前記アニメーションを表示し、
前記第2期間の長さは、前記時間間隔よりも長い、
請求項1に記載の車載インテリア照明システム。
【請求項6】
前記インテリア照明装置は、
前記車両の前後方向に沿って延びるアンビエントライトと、
前記アンビエントライトの点灯状態を制御する制御回路と、
を備え、
前記アンビエントライトは、前記前後方向に沿って配置された複数の発光素子を備え、
前記制御回路は、前記アニメーションが表示されるように前記複数の発光素子のそれぞれの発光タイミング及び発光輝度を制御する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の車載インテリア照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載インテリア照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動変速機を搭載する車両のメーターパネルには、シフトポジションが表示される。例えば、シフトポジションがドライブレンジ(Dレンジ)である場合、メーターパネルには「D」の文字が表示され、シフトポジションがリバースレンジ(Rレンジ)である場合、メーターパネルには「R」の文字が表示される。
【0003】
特許文献1には、誤動作防止対策が施された第1の電子制御装置によってRレンジランプの表示を制御し、誤動作防止対策が施されていない第2の電子制御装置によってDレンジランプの表示を制御するシフト表示装置が開示されている。
【0004】
特許文献1のシフト表示装置によれば、実際のシフトポジションがRレンジであるにも関わらず、第2の電子制御装置の誤動作によって「D」の文字が誤表示された場合でも、「R」の文字が現在のシフトポジションとして同時に表示される。このように、「R」の文字と「D」の文字とが同時に表示された場合、運転者は、Rレンジが正しいシフトポジションであることを認識できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-73416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、従来の車両では、運転者の前方に配置されたメーターパネルに、シフトポジションを表す文字を表示することで、現在のシフトポジションを運転者に知らせる。そのため、運転者は、メーターパネルに表示された文字を意識的に見なければ、現在のシフトポジションを認識することができない。
【0007】
例えば、実際のシフトポジションがRレンジであるにも関わらず、現在のシフトポジションはDレンジであると運転者が思い込んでいる場合、運転者は意識的にメーターパネルに表示された文字を見ようとしないため、運転者はシフトポジションを誤って認識していることに気付くことができない。
【0008】
車両によっては、シフトポジションがRレンジであることを音で知らせる場合もあるが、現在のシフトポジションはDレンジであると運転者が思い込んでいる場合、音が鳴っていたとしても、運転者はシフトポジションを誤って認識していることに気付くことができない。車内で音楽等が流れている場合には、尚更である。
【0009】
現在のシフトポジションはDレンジであると運転者が思い込んでいる場合、運転者はアクセルを踏み込む前に前方の安全確認を行うが、安全確認時に運転者の視界にメーターパネルが入らないため、運転者は、意識的にメーターパネルに表示された文字を見ようとしない限り、シフトポジションを誤って認識していることに気付くことができない。
【0010】
以上の理由から、実際のシフトポジションがRレンジであるにも関わらず、現在のシフトポジションはDレンジであると運転者が思い込んでいる場合、運転者がアクセルを踏み込むことで車両が後退し始めた時に、初めて運転者は、実際のシフトポジションがRレンジであることに気付くことになる。
【0011】
そのため、運転者が思い込みによりシフトポジションを誤って認識している場合であっても、運転者がアクセルを踏み込む前に、メーターパネルを確認することなく、早期且つ直感的に現在のシフトポジションを認識できる技術の開発が要望されていた。
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みて提案されたものであり、運転者が早期且つ直感的に現在のシフトポジションを認識できる車載インテリア照明システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 車両の乗員空間を照らすインテリア照明装置と、
前記車両のシフトポジションに基づいて前記インテリア照明装置を制御する照明制御装置と、
を備え、
前記照明制御装置は、前記シフトポジションがリバース又はドライブである場合に、アニメーション表示指令を前記インテリア照明装置に送信し、
前記インテリア照明装置は、前記アニメーション表示指令を受信した場合に、前記シフトポジションに対応する前記車両の進行方向に向かってオブジェクトが動くアニメーションを表示する、
車載インテリア照明システム。
〔2〕 前記シフトポジションが前記リバースである場合、前記インテリア照明装置は、前記車両の前側から後側に向かって前記オブジェクトが動く前記アニメーションを表示する、
前記〔1〕に記載の車載インテリア照明システム。
〔3〕 前記シフトポジションが前記ドライブである場合、前記インテリア照明装置は、前記車両の後側から前側に向かって前記オブジェクトが動く前記アニメーションを表示する、
前記〔1〕に記載の車載インテリア照明システム。
〔4〕 前記インテリア照明装置は、前記進行方向に向かって複数の前記オブジェクトが一定の時間間隔で動いた後に順番に消失する第1期間と、前記オブジェクトが表示されない第2期間とが交互に繰り返される前記アニメーションを表示し、
前記第2期間の長さは、前記時間間隔よりも長い、
前記〔1〕に記載の車載インテリア照明システム。
〔5〕 前記インテリア照明装置は、前記進行方向に向かって複数の前記オブジェクトが一定の時間間隔で動いた後に順番に一列に並ぶ第1期間と、前記オブジェクトが表示されない第2期間とが交互に繰り返される前記アニメーションを表示し、
前記第2期間の長さは、前記時間間隔よりも長い、
前記〔1〕に記載の車載インテリア照明システム。
〔6〕 前記インテリア照明装置は、
前記車両の前後方向に沿って延びるアンビエントライトと、
前記アンビエントライトの点灯状態を制御する制御回路と、
を備え、
前記アンビエントライトは、前記前後方向に沿って配置された複数の発光素子を備え、
前記制御回路は、前記アニメーションが表示されるように前記複数の発光素子のそれぞれの発光タイミング及び発光輝度を制御する、
前記〔1〕から前記〔5〕のいずれか一項に記載の車載インテリア照明システム。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、運転者が早期且つ直感的に現在のシフトポジションを認識できる車載インテリア照明システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態における車載インテリア照明システムの構成を示すブロック図である。
図2】インテリア照明装置の構成を示す回路ブロック図である。
図3】照明制御装置が実行する各処理を示すフローチャートである。
図4】車両の状態とアンビエントライトの状態との対応関係を示す図である。
図5】アンビエントライトに表示される第1の錯覚防止アニメーションの一例である。
図6】アンビエントライトに表示される第2の錯覚防止アニメーションの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態における車載インテリア照明システム1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、車載インテリア照明システム1は、2つのインテリア照明装置10と、照明制御装置20と、を備える。車載インテリア照明システム1は、車両に搭載され、車両の乗員空間を照らすシステムである。
【0017】
2つのインテリア照明装置10は、それぞれ、車両の乗員空間を照らす照明装置である。2つのインテリア照明装置10のうち、一方のインテリア照明装置10は、車両の右前ドアに設置され、右前ドアの内張りパネルから乗員空間に向かって照明光を出射する。2つのインテリア照明装置10のうち、他方のインテリア照明装置10は、車両の左前ドアに設置され、左前ドアの内張りパネルから乗員空間に向かって照明光を出射する。
【0018】
詳細は後述するが、各インテリア照明装置10は、車両の前後方向に沿って延びるアンビエントライト17を備える。アンビエントライト17は、右前ドア及び左前ドアのそれぞれの内張りパネルから露出しており、アンビエントライト17から照明光が出射される。
【0019】
各インテリア照明装置10は、LIN(Local Interconnect Network)通信バスB1を介して照明制御装置20と電気的に接続される。各インテリア照明装置10は、LIN通信バスB1を介して照明制御装置20と通信する。すなわち、各インテリア照明装置10は、LIN通信規格に従って、照明制御装置20と通信する。
【0020】
照明制御装置20は、LIN通信バスB1を介して各インテリア照明装置10と通信し、車両のシフトポジションに基づいて各インテリア照明装置10を制御する。照明制御装置20は、車両のシフトレバー2からシフトポジションを示す電気信号を受信することにより、現在のシフトポジションを認識する。以下の説明では、シフトポジションを示す電気信号を、シフトポジション信号と呼称する。
【0021】
詳細は後述するが、照明制御装置20は、シフトポジションがリバースである場合に、アニメーション表示指令を各インテリア照明装置10に送信する。各インテリア照明装置10は、アニメーション表示指令を受信した場合に、シフトポジションに対応する車両の進行方向に向かってオブジェクトが動くアニメーションを表示する。すなわち、シフトポジションがリバースである場合、インテリア照明装置10は、車両の前側から後側に向かってオブジェクトが動くアニメーションを表示する。このようなアニメーションは、アンビエントライト17によって表示される。
【0022】
各インテリア照明装置10及び照明制御装置20は、車載バッテリ(図示省略)の正極端子と電気的に接続されると共に、車両のグランドと電気的に接続される。車載バッテリから出力されるバッテリ電圧VBATは、電源電圧として各インテリア照明装置10及び照明制御装置20に供給される。例えば、バッテリ電圧VBATは、12Vの直流電圧である。
【0023】
図2は、インテリア照明装置10の構成を示す回路ブロック図である。図2に示すように、インテリア照明装置10は、逆流防止ダイオード11と、レギュレータ12と、DC-DCコンバータ13と、LIN通信ドライバ14と、CPU(Central Processing Unit)15と、CAN(Controller Area Network)通信ドライバ16と、アンビエントライト17と、LEDドライバ18と、を備える。
【0024】
また、インテリア照明装置10は、外部接続端子として、電源端子P1と、グランド端子P2と、通信端子P3と、を備える。電源端子P1は、車載バッテリの正極端子と電気的に接続される。車載バッテリから出力されるバッテリ電圧VBATは、電源端子P1を介してインテリア照明装置10に入力される。グランド端子P2は、車両のグランドと電気的に接続される。通信端子P3は、LIN通信バスB1と電気的に接続される。
【0025】
逆流防止ダイオード11は、インテリア照明装置10から車載バッテリに電流が逆流することを防止するダイオードである。逆流防止ダイオード11のアノード端子は、電源端子P1を介して車載バッテリの正極端子と電気的に接続される。逆流防止ダイオード11のカソード端子は、レギュレータ12の入力端子と、DC-DCコンバータ13の入力端子と、LIN通信ドライバ14の電源端子(VB端子)とのそれぞれと電気的に接続される。
【0026】
レギュレータ12の入力端子は、逆流防止ダイオード11のカソード端子と電気的に接続される。レギュレータ12の出力端子は、CPU15の電源端子(VD端子)と、CAN通信ドライバ16の電源端子(VD端子)とのそれぞれと電気的に接続される。レギュレータ12には、バッテリ電圧VBATが入力される。レギュレータ12は、バッテリ電圧VBATを降圧することにより、例えば5Vの直流電圧を生成する。レギュレータ12は、5Vの直流電圧をCPU15及びCAN通信ドライバ16のそれぞれのVD端子に出力する。
【0027】
LIN通信ドライバ14は、通信端子P3を介してLIN通信バスB1と電気的に接続され、2本の通信線L1及びL2を介してCPU15と電気的に接続される。LIN通信ドライバ14のVB端子は、逆流防止ダイオード11のカソード端子と電気的に接続される。LIN通信ドライバ14のグランド端子(GND端子)は、インテリア照明装置10のグランド端子P2を介して車両のグランドと電気的に接続される。
【0028】
バッテリ電圧VBATは、LIN通信ドライバ14の電源電圧として、LIN通信ドライバ14のVB端子に入力される。LIN通信ドライバ14は、LIN通信規格に従って、LIN通信バスB1を介して照明制御装置20と通信する。また、LIN通信ドライバ14は、例えばUART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)等のシリアル通信規格に従って、2本の通信線L1及びL2を介してCPU15と通信する。LIN通信ドライバ14は、CPU15と照明制御装置20との間で行われる通信を中継する通信インターフェース回路として機能する。
【0029】
CAN通信ドライバ16は、2本の通信線L3及びL4を介してCPU15と電気的に接続され、CAN通信バスB2を介してLEDドライバ18と電気的に接続される。CAN通信ドライバ16のVD端子は、レギュレータ12の出力端子と電気的に接続される。CAN通信ドライバ16のグランド端子(GND端子)は、インテリア照明装置10のグランド端子P2を介して車両のグランドと電気的に接続される。
【0030】
レギュレータ12の出力電圧は、CAN通信ドライバ16の電源電圧として、CAN通信ドライバ16のVD端子に入力される。CAN通信ドライバ16は、例えばUART等のシリアル通信規格に従って、2本の通信線L3及びL4を介してCPU15と通信する。また、CAN通信ドライバ16は、CAN通信規格に従って、CAN通信バスB2を介してLEDドライバ18と通信する。CAN通信ドライバ16は、CPU15とLEDドライバ18との間で行われる通信を中継する通信インターフェース回路として機能する。
【0031】
CPU15は、2本の通信線L1及びL2を介してLIN通信ドライバ14と電気的に接続され、2本の通信線L3及びL4を介してCAN通信ドライバ16と電気的に接続される。CPU15のVD端子は、レギュレータ12の出力端子と電気的に接続される。CPU15のグランド端子(GND端子)は、インテリア照明装置10のグランド端子P2を介して車両のグランドと電気的に接続される。
【0032】
レギュレータ12の出力電圧は、CPU15の電源電圧として、CPU15のVD端子に入力される。CPU15は、例えばUART等のシリアル通信規格に従って、LIN通信ドライバ14及びCAN通信ドライバ16と通信する。CPU15は、LIN通信ドライバ14を介して照明制御装置20と通信し、CAN通信ドライバ16を介してLEDドライバ18と通信する。
【0033】
CPU15は、イネーブル信号ENをDC-DCコンバータ13に出力する。後述するように、CPU15は、照明制御装置20からアンビエントライト点灯指令を受信した場合に、アクティブレベルのイネーブル信号ENをDC-DCコンバータ13に出力する。例えば、アクティブレベルのイネーブル信号ENとは、ハイレベルの信号である。また、CPU15は、照明制御装置20からアンビエントライト消灯指令を受信した場合に、非アクティブレベルのイネーブル信号ENをDC-DCコンバータ13に出力する。例えば、非アクティブレベルのイネーブル信号ENとは、ローレベルの信号である。
【0034】
DC-DCコンバータ13の入力端子は、逆流防止ダイオード11のカソード端子と電気的に接続される。DC-DCコンバータ13の出力端子は、アンビエントライト17と、LEDドライバ18の電源端子(VS端子)とのそれぞれと電気的に接続される。DC-DCコンバータ13には、バッテリ電圧VBATが入力される。DC-DCコンバータ13は、アクティブレベルのイネーブル信号ENが入力された場合に、バッテリ電圧VBATとは異なる電圧値を有する直流電圧を出力する。DC-DCコンバータ13は、非アクティブレベルのイネーブル信号ENが入力された場合には、直流電圧を出力しない。
【0035】
アンビエントライト17は、車両の前後方向に沿って延びる長尺形状を有する。上述したように、アンビエントライト17が右前ドア及び左前ドアのそれぞれの内張りパネルから露出するように、インテリア照明装置10は右前ドア及び左前ドアのそれぞれに設置される。
【0036】
アンビエントライト17は、車両の前後方向に沿って配置された複数の発光素子17aを備える。例えば、発光素子17aは、LED(Light Emitting Diode)である。各発光素子17aのアノード端子は、DC-DCコンバータ13の出力端子と電気的に接続される。DC-DCコンバータ13の出力電圧は、各発光素子17aのアノード端子に入力される。各発光素子17aのカソード端子は、LEDドライバ18と電気的に接続される。
【0037】
LEDドライバ18は、CAN通信バスB2を介してCAN通信ドライバ16と電気的に接続される。LEDドライバ18のVS端子は、DC-DCコンバータ13の出力端子と電気的に接続される。LEDドライバ18のグランド端子(GND端子)は、インテリア照明装置10のグランド端子P2を介して車両のグランドと電気的に接続される。
【0038】
DC-DCコンバータ13の出力電圧は、LEDドライバ18の電源電圧として、LEDドライバ18のVS端子に入力される。LEDドライバ18は、CAN通信規格に従って、CAN通信バスB2を介してCAN通信ドライバ16と通信する。LEDドライバ18は、CAN通信ドライバ16を介してCPU15と通信する。
【0039】
LEDドライバ18は、CPU15からの指示に基づいて、各発光素子17aに流れる電流を制御することにより、各発光素子17aの発光タイミング及び発光輝度を制御する。このように、各発光素子17aの発光タイミング及び発光輝度が制御されることにより、アンビエントライト17の点灯状態が制御される。
【0040】
インテリア照明装置10が備える構成要素のうち、LIN通信ドライバ14、CPU15、CAN通信ドライバ16、及びLEDドライバ18は、アンビエントライト17の点灯状態を制御する制御回路19を構成する。この制御回路19は、シフトポジションに対応する車両の進行方向に向かってオブジェクトが動くアニメーションが表示されるように、複数の発光素子17aのそれぞれの発光タイミング及び発光輝度を制御する。
【0041】
次に、上記のように構成された車載インテリア照明システム1の動作について説明する。
図3は、照明制御装置20が実行する各処理を示すフローチャートである。図3に示すように、照明制御装置20は、車両ONを検知すると(ステップS1)、LIN通信バスB1を介して、アンビエントライト17の点灯を指示するアンビエントライト点灯指令を各インテリア照明装置10に送信する(ステップS2)。車両ONとは、車両のイグニションスイッチ又はスタートスイッチがON状態に切り替えられることである。
【0042】
各インテリア照明装置10のCPU15は、LIN通信ドライバ14を介してアンビエントライト点灯指令を受信すると、DC-DCコンバータ13に出力されるイネーブル信号ENのレベルを非アクティブレベルからアクティブレベルに切り替える。これにより、DC-DCコンバータ13からアンビエントライト17及びLEDドライバ18に直流電圧が出力される。
【0043】
また、各インテリア照明装置10のCPU15は、アンビエントライト点灯指令を受信すると、CAN通信ドライバ16を介して、アンビエントライト点灯指令をLEDドライバ18に送信する。LEDドライバ18は、CPU15からアンビエントライト点灯指令を受信すると、全ての発光素子17aが同じ輝度で発光するように、各発光素子17aに流れる電流を制御する。これにより、右前ドア及び左前ドアのそれぞれに配置されたアンビエントライト17は、全点灯する。
【0044】
照明制御装置20は、アンビエントライト点灯指令を各インテリア照明装置10に送信した後、シフトレバー2から出力されるシフトポジション信号に基づいて、現在のシフトポジションがリバース(R)か否かを判定する(ステップS3)。
【0045】
照明制御装置20は、現在のシフトポジションがリバースであると判定した場合(ステップS3:YES)、ステップS4、S5及びS6の処理を実行した後に、ステップS7の処理に移行する。一方、照明制御装置20は、現在のシフトポジションがリバースではないと判定した場合(ステップS3:NO)、ステップS4、S5及びS6の処理をスキップして、ステップS7の処理に移行する。
【0046】
照明制御装置20は、現在のシフトポジションがリバースであると判定した場合、LIN通信バスB1を介して、アニメーションモードのONを指示するアニメーション表示指令を各インテリア照明装置10に送信する(ステップS4)。
【0047】
各インテリア照明装置10のCPU15は、LIN通信ドライバ14を介してアニメーション表示指令を受信すると、CAN通信ドライバ16を介して、アニメーション表示指令をLEDドライバ18に送信する。LEDドライバ18は、CPU15からアニメーション表示指令を受信すると、アニメーションモードで動作する。
【0048】
具体的には、LEDドライバ18は、アニメーションモードで動作する間、アンビエントライト17において車両の前側から後側に向かってオブジェクトが動くアニメーションが表示されるように、複数の発光素子17aのそれぞれの発光タイミング及び発光輝度を制御する。これにより、右前ドア及び左前ドアのそれぞれに配置されたアンビエントライト17において、車両の前側から後側に向かってオブジェクトが動くアニメーションが表示される。
【0049】
照明制御装置20は、アニメーション表示指令を各インテリア照明装置10に送信した後、シフトレバー2から出力されるシフトポジション信号に基づいて、現在のシフトポジションがリバースか否かを判定する(ステップS5)。
【0050】
照明制御装置20は、現在のシフトポジションがリバースであると判定した場合(ステップS5:YES)、ステップS5の処理を繰り返すことにより、シフトポジションを監視する。一方、照明制御装置20は、現在のシフトポジションがリバースではないと判定した場合(ステップS5:NO)、LIN通信バスB1を介して、アニメーションモードのOFFを指示するアニメーション終了指令を各インテリア照明装置10に送信する(ステップS6)。
【0051】
各インテリア照明装置10のCPU15は、LIN通信ドライバ14を介してアニメーション終了指令を受信すると、CAN通信ドライバ16を介して、アニメーション終了指令をLEDドライバ18に送信する。LEDドライバ18は、CPU15からアニメーション終了指令を受信すると、アニメーションモードを終了し、全ての発光素子17aが同じ輝度で発光するように、各発光素子17aに流れる電流を制御する。これにより、右前ドア及び左前ドアのそれぞれに配置されたアンビエントライト17は、全点灯する。
【0052】
照明制御装置20は、ステップS3において現在のシフトポジションがリバースではないと判定した場合、またはステップS6の処理が終了した後に、車両OFFを検知したか否かを判定する(ステップS7)。車両OFFとは、車両のイグニションスイッチ又はスタートスイッチがOFF状態に切り替えられることである。
【0053】
照明制御装置20は、車両OFFを検知しない場合(ステップS7:NO)、ステップS3の処理に戻って、シフトポジションの監視を続ける。一方、照明制御装置20は、車両OFFを検知した場合(ステップS7:YES)、LIN通信バスB1を介して、アンビエントライト17の消灯を指示するアンビエントライト消灯指令を各インテリア照明装置10に送信する(ステップS8)。
【0054】
各インテリア照明装置10のCPU15は、LIN通信ドライバ14を介してアンビエントライト消灯指令を受信すると、DC-DCコンバータ13に出力されるイネーブル信号ENのレベルをアクティブレベルから非アクティブレベルに切り替える。これにより、DC-DCコンバータ13からアンビエントライト17及びLEDドライバ18への電圧出力が停止する。これにより、右前ドア及び左前ドアのそれぞれに配置されたアンビエントライト17は、消灯する。
【0055】
図4は、例えばコンビニエンスストア等の施設200の駐車場に、車両100をバックで駐車するシチュエーションにおいて、車両100の状態とアンビエントライト17の状態との対応関係を示す図である。図4に示すように、車両100の右前ドア及び左前ドアのそれぞれに、車両100の前後方向に延びるアンビエントライト17が配置される。
【0056】
図4のNo.1は、シフトポジションがドライブ(D)又はパーキング(P)のまま、車両100が停止している状態を示す。この場合、上記の動作説明から理解されるように、車両100の右前ドア及び左前ドアのそれぞれに配置されたアンビエントライト17は、全点灯する。
【0057】
図4のNo.2は、車両100が停止したまま、シフトポジションがリバース(R)に切り替えられた直後の状態を示す。この場合、上記の動作説明から理解されるように、右前ドア及び左前ドアのそれぞれに配置されたアンビエントライト17において、車両100の前側から後側に向かってオブジェクトLBが動くアニメーションが表示され始める。図4のNo.2は、オブジェクトLBが、アンビエントライト17の前端部に現れた状態を示す。
【0058】
例えば、オブジェクトLBは、オブジェクトLB以外のアンビエントライト17の領域よりも高い輝度を有する光点である。1つの発光素子17aを発光させることで、1つのオブジェクトLBを表示してもよいし、互いに隣り合う2つ以上の発光素子17aを同時に発光させることで、1つのオブジェクトLBを表示してもよい。
【0059】
図4のNo.3は、シフトポジションがリバースのまま、車両100が後退している状態を示す。この場合、上記の動作説明から理解されるように、右前ドア及び左前ドアのそれぞれに配置されたアンビエントライト17において、車両100の前側から後側に向かってオブジェクトLBが動くアニメーションが表示され続ける。図4のNo.3は、オブジェクトLBが、アンビエントライト17の前端部から中央部まで動いた状態を示す。オブジェクトLBは、アンビエントライト17の後端部に到達すると消失し、再び、アンビエントライト17の前端部に現れる。
【0060】
つまり、シフトポジションがリバースである場合、アンビエントライト17において、下記の(1)から(3)までの一連の動作が繰り返されるアニメーションが表示される。
(1)オブジェクトLBが、アンビエントライト17の前端部に現れる。
(2)オブジェクトLBが、アンビエントライト17の前端部から後端部に向かって動く。
(3)オブジェクトLBが、アンビエントライト17の後端部で消失する。
なお、アンビエントライト17において、1つのオブジェクトLBだけが表示されてもよいし、複数のオブジェクトLBが同時に表示されてもよい。
【0061】
以上のように、本実施形態の車載インテリア照明システム1によれば、車両のシフトポジションがリバースである場合に、シフトポジションに対応する車両の進行方向、すなわち車両の前側から後側に向かってオブジェクトLBが動くアニメーションが、車両の右前ドア及び左前ドアのそれぞれに配置されたアンビエントライト17に表示される。これにより、実際のシフトポジションがリバースであるにも関わらず、現在のシフトポジションはドライブであると運転者が思い込んでいる場合であっても、運転者は、アクセルを踏み込む前に、メーターパネルを確認することなく、早期且つ直感的に現在のシフトポジションがリバースであることを認識できる。
【0062】
なお、車両の前側から後側に向かって動くオブジェクトLBが一定の時間間隔で連続的に表示されると、車両の前進によって景色の一部が後方に流れているような錯覚を運転者に与える可能性がある。このように、実際のシフトポジションがリバースであるにも関わらず、車両が前進しているという錯覚を運転者に与えることを防止するために、車両の前側から後側に向かって動くオブジェクトLBの全ての時間間隔が同一とならないようにアニメーションを表示することが好ましい。
【0063】
具体的には、インテリア照明装置10は、シフトポジションに対応する車両の進行方向、すなわち車両の前側から後側に向かって複数のオブジェクトLBが一定の時間間隔で動いた後に順番に消失する第1期間と、オブジェクトLBが表示されない第2期間とが交互に繰り返されるアニメーションを表示する。ここで、第2期間の長さは、第1期間において複数のオブジェクトLBが順番に動く時間間隔よりも長い。以下の説明では、このようなアニメーションを、第1の錯覚防止アニメーションと呼称する。
【0064】
図5は、アンビエントライト17に表示される第1の錯覚防止アニメーションの一例である。図5において、アンビエントライト17の右側が車両の前側に対応し、アンビエントライト17の左側が車両の後側に対応する。
【0065】
図5に示すように、第1の錯覚防止アニメーションの表示が開始されると、まず、時刻t1において、第1のオブジェクトLB1が、アンビエントライト17の前端部に現れ、車両の後側に向かって動き始める。時刻t1から所定時間後の時刻t2において、第1のオブジェクトLB1は、アンビエントライト17の中央部に到達し、第2のオブジェクトLB2が、アンビエントライト17の前端部に現れ、車両の後側に向かって動き始める。
【0066】
時刻t2から所定時間後の時刻t3において、第1のオブジェクトLB1は、アンビエントライト17の後端部に到達し、第2のオブジェクトLB2は、アンビエントライト17の中央部に到達し、第3のオブジェクトLB3が、アンビエントライト17の前端部に現れ、車両の後側に向かって動き始める。第1のオブジェクトLB1は、アンビエントライト17の後端部に到達すると、消失する。
【0067】
時刻t3から所定時間後の時刻t4において、第2のオブジェクトLB2は、アンビエントライト17の後端部に到達し、第3のオブジェクトLB3は、アンビエントライト17の中央部に到達する。第2のオブジェクトLB2は、アンビエントライト17の後端部に到達すると、消失する。
【0068】
時刻t4から所定時間後の時刻t5において、第3のオブジェクトLB3は、アンビエントライト17の後端部に到達する。第3のオブジェクトLB3は、アンビエントライト17の後端部に到達すると、消失する。
【0069】
時刻t5から所定時間後の時刻t6において、オブジェクトLBはアンビエントライト17に表示されず、時刻t6から所定時間後の時刻t7において、第1のオブジェクトLB1が、アンビエントライト17の前端部に再び現れ、車両の後側に向かって動き始める。つまり、時刻t5から時刻t7までの期間において、オブジェクトLBはアンビエントライト17に表示されない。
【0070】
時刻t1から時刻t5までの期間が、車両の前側から後側に向かって複数のオブジェクトLBが一定の時間間隔で動いた後に順番に消失する第1期間に相当する。時刻t5から時刻t7までの期間が、オブジェクトLBが表示されない第2期間に相当する。例えば、アンビエントライト17の長さが1000mmである場合、第1期間において、第1のオブジェクトLB1から第3のオブジェクトLB3が一定の時間間隔(0.1秒以上0.5秒未満)で順番に表示され、第2期間において、0.5秒以上の間、オブジェクトLBが表示されないことが好ましい。
【0071】
上記のように、第1期間において第1のオブジェクトLB1から第3のオブジェクトLB3が順番に表示される時間間隔よりも、オブジェクトLBが表示されない第2期間の長さを長くすることにより、実際のシフトポジションがリバースであるにも関わらず、車両が前進しているという錯覚を運転者に与えることを防止することができる。
【0072】
また、インテリア照明装置10は、シフトポジションに対応する車両の進行方向、すなわち車両の前側から後側に向かって複数のオブジェクトLBが一定の時間間隔で動いた後に順番に一列に並ぶ第1期間と、オブジェクトLBが表示されない第2期間とが交互に繰り返されるアニメーションを表示してもよい。ここで、第2期間の長さは、第1期間において複数のオブジェクトLBが順番に動く時間間隔よりも長い。以下の説明では、このようなアニメーションを、第2の錯覚防止アニメーションと呼称する。
【0073】
図6は、アンビエントライト17に表示される第2の錯覚防止アニメーションの一例である。図6において、アンビエントライト17の右側が車両の前側に対応し、アンビエントライト17の左側が車両の後側に対応する。
【0074】
図6に示すように、第2の錯覚防止アニメーションの表示が開始されると、まず、時刻t11において、第1のオブジェクトLB1が、アンビエントライト17の前端部に現れ、車両の後側に向かって動き始める。時刻t11から所定時間後の時刻t12において、第1のオブジェクトLB1は、アンビエントライト17の後端部に到達し、第2のオブジェクトLB2が、アンビエントライト17の前端部に現れ、車両の後側に向かって動き始める。第1のオブジェクトLB1は、アンビエントライト17の後端部に到達しても消失しない。
【0075】
時刻t12から所定時間後の時刻t13において、第2のオブジェクトLB2は、第1のオブジェクトLB1の右隣りに到達し、第3のオブジェクトLB3が、アンビエントライト17の前端部に現れ、車両の後側に向かって動き始める。第2のオブジェクトLB2は、第1のオブジェクトLB1の右隣りに到達しても消失しない。
【0076】
時刻t13から所定時間後の時刻t14において、第3のオブジェクトLB3は、第2のオブジェクトLB2の右隣りに到達する。第3のオブジェクトLB3が、第2のオブジェクトLB2の右隣りに到達した後、一列に並ぶ第1のオブジェクトLB1から第3のオブジェクトLB3は、消失する。
【0077】
時刻t14から所定時間後の時刻t15において、オブジェクトLBはアンビエントライト17に表示されず、時刻t15から所定時間後の時刻t16において、第1のオブジェクトLB1が、アンビエントライト17の前端部に再び現れ、車両の後側に向かって動き始める。つまり、時刻t14から時刻t16までの期間において、オブジェクトLBはアンビエントライト17に表示されない。
【0078】
時刻t11から時刻t14までの期間が、車両の前側から後側に向かって複数のオブジェクトLBが一定の時間間隔で動いた後に順番に一列に並ぶ第1期間に相当する。時刻t14から時刻t16までの期間が、オブジェクトLBが表示されない第2期間に相当する。
【0079】
上記のような第2の錯覚防止アニメーションを採用する場合でも、第1期間において第1のオブジェクトLB1から第3のオブジェクトLB3が順番に表示される時間間隔よりも、オブジェクトLBが表示されない第2期間の長さを長くすることにより、実際のシフトポジションがリバースであるにも関わらず、車両が前進しているという錯覚を運転者に与えることを防止することができる。また、第1期間において複数のオブジェクトLBが一定の時間間隔で動いた後に順番に一列に並ぶことにより、オブジェクトLBが車両のスピードに応じて移動している印象を運転者に与えることが抑制されるため、車両が前進しているという錯覚を運転者に与えることをより強く抑制できる。
【0080】
〔変形例〕
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0081】
(1)上記実施形態では、車両のシフトポジションがリバースである場合に、シフトポジションに対応する車両の進行方向、すなわち車両の前側から後側に向かってオブジェクトLBが動くアニメーションを表示する形態を例示した。本発明はこれに限定されず、車両のシフトポジションがドライブである場合に、シフトポジションに対応する車両の進行方向、すなわち車両の後側から前側に向かってオブジェクトLBが動くアニメーションを表示してもよい。
【0082】
この場合、照明制御装置20は、シフトポジションがドライブである場合に、アニメーション表示指令をインテリア照明装置10に送信する。そして、インテリア照明装置10は、アニメーション表示指令を受信した場合に、車両の後側から前側に向かってオブジェクトLBが動くアニメーションを表示する。より具体的には、インテリア照明装置10の制御回路19は、車両の後側から前側に向かってオブジェクトLBが動くアニメーションがアンビエントライト17に表示されるように、複数の発光素子17aのそれぞれの発光タイミング及び発光輝度を制御する。
【0083】
これにより、実際のシフトポジションがドライブであるにも関わらず、現在のシフトポジションはリバースであると運転者が思い込んでいる場合であっても、運転者は、アクセルを踏み込む前に、メーターパネルを確認することなく、早期且つ直感的に現在のシフトポジションがドライブであることを認識できる。なお、この場合でも、上記実施形態で説明した第1の錯覚防止アニメーション及び第2の錯覚防止アニメーションのように、車両の後側から前側に向かってオブジェクトLBが動くアニメーションを表示してもよい。
【0084】
(2)上記実施形態では、オブジェクトLBが、オブジェクトLB以外のアンビエントライト17の領域よりも高い輝度を有する光点である形態を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、オブジェクトLBは、オブジェクトLB以外の領域よりも低い輝度を有する暗い点でもよい。或いは、オブジェクトLBは、オブジェクトLB以外の領域とは異なる色又は模様を有する光点でもよい。
【0085】
(3)上記実施形態では、インテリア照明装置10がアンビエントライト17を備え、アンビエントライト17から照明光が出射される形態を例示した。本発明はこれに限定されず、間接照明タイプのインテリア照明装置を使用してもよい。間接照明タイプのインテリア照明装置は、車内に設置された投射面に照明光を投射することにより、乗員空間を照らす。このような間接照明タイプのインテリア照明装置によって、シフトポジションに対応する車両の進行方向に向かってオブジェクトが動くアニメーションを投射面に表示してもよい。
【符号の説明】
【0086】
1…車載インテリア照明システム、2…シフトレバー、10…インテリア照明装置、20…照明制御装置、11…逆流防止ダイオード、12…レギュレータ、13…DC-DCコンバータ、14…LIN通信ドライバ、15…CPU、16…CAN通信ドライバ、17…アンビエントライト、17a…発光素子、18…LEDドライバ、19…制御回路、LB…オブジェクト
図1
図2
図3
図4
図5
図6