(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017671
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】作業車両、およびブレード支持構造
(51)【国際特許分類】
E02F 3/815 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
E02F3/815 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120827
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】間瀬 貴大
(72)【発明者】
【氏名】加藤 宏明
(72)【発明者】
【氏名】宮野 数也
(72)【発明者】
【氏名】北村 司
(72)【発明者】
【氏名】若本 貴靖
(72)【発明者】
【氏名】西村 昌明
(72)【発明者】
【氏名】宝栄 周平
(72)【発明者】
【氏名】浅井 雄士
(57)【要約】
【課題】土砂の堆積を抑制することが可能な作業車両を提供すること。
【解決手段】モータグレーダ1は、リヤフレーム22と、フロントフレーム21と、ブレード24と、支持機構23と、を備える。フロントフレーム21は、リヤフレーム22に回転可能に連結される。支持機構23は、ブレード24をブレード24の幅方向に沿ってスライド可能にフロントフレーム21に支持する。支持機構23は、ブレード24の上端部91aを支持する上側支持部73、82と、上側支持部73、82よりも後下方においてブレード24を支持する下側支持部74と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リヤフレームと、
前記リヤフレームに回転可能に連結されるフロントフレームと、
ブレードと、
前記ブレードを前記ブレードの幅方向に沿ってスライド可能に前記フロントフレームに支持する支持機構と、を備え、
前記支持機構は、前記ブレードの上端部を支持する第1支持部と、前記第1支持部よりも後下方において前記ブレードを支持する第2支持部と、を有する、
作業車両。
【請求項2】
前記ブレードは、
湾曲したブレード部と、
前記幅方向に沿って前記ブレード部の後側に配置された被支持部と、を有し、
前記第1支持部には、前記ブレードの前記上端部が嵌り、
前記第2支持部には、前記ブレードの前記被支持部が嵌る、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記支持機構は、
上下揺動可能に前記フロントフレームに連結されるドローバと、
前記ドローバを上下揺動させるリフトシリンダと、
前記ドローバに回転可能に支持された旋回部と、
前記第1支持部と前記第2支持部を有し、前後方向に揺動可能に前記旋回部に支持され、前記ブレードを支持するブレード支持部と、
を有し、
前記ブレード支持部は、
前記幅方向に並んで配置され、前記ブレードを前記旋回部に支持する複数の支持部材を更に有し、
前記第1支持部は、前記複数の支持部材の各々に形成され、前記ブレードの前記上端部が嵌る第1凹部を含み、
前記第2支持部は、前記複数の支持部材の各々に形成され、前記ブレードの前記被支持部が嵌る第2凹部を含む、
請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記ブレードは、
湾曲したブレード部と、
前記ブレード部の後面に配置された後部と、を有し、
前記後部は、前記上端部に沿うように傾斜された上面を有する、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項5】
前記ブレードは、
湾曲したブレード部と、
前記ブレード部の後面に配置された後部と、
前記後部の上面から後側に向かって突出した庇部と、を有する、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項6】
前記支持機構は、
上下揺動可能に前記フロントフレームに連結されるドローバと、
前記ドローバを上下揺動させるリフトシリンダと、
前記ブレードを前記ドローバに回転可能に支持するブレード旋回支持部と、を有し、
側面視において、前記ブレードの前記上端部は、前記リフトシリンダの前記ドローバへの接続部分から下方向に延ばした線に重なる位置若しくは前後方向において前記接続部分よりも前側に配置されている、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項7】
前記支持機構は、
上下揺動可能に前記フロントフレームに連結されるドローバと、
前記ドローバを上下揺動させるリフトシリンダと、
前記ブレードを前記ドローバに回転可能に支持するブレード旋回支持部と、を有し、
側面視において、前記ブレードの下端と前記上端部が鉛直方向に配置された状態において、前記第1支持部と前記下端を結ぶ直線上に、前記リフトシリンダの前記ドローバへの接続部分が配置されている、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項8】
前記前後方向において、前記第2支持部は、前記接続部分よりも後側に配置されている、
請求項6に記載の作業車両。
【請求項9】
リヤフレームと前記リヤフレームに回転可能に連結されるフロントフレームとを有するモータグレーダのブレードを、前記ブレードの幅方向に沿ってスライド可能に前記フロントフレームに支持するブレード支持構造であって、
前記ブレードの上端部を支持する第1支持部と、
前記第1支持部よりも後下方において前記ブレードを支持する第2支持部と、を備えた、
ブレード支持構造。
【請求項10】
リヤフレームと、
前記リヤフレームに回転可能に連結されるフロントフレームと、
ブレードと、
前記ブレードを前記ブレードの幅方向に沿ってスライド可能に前記フロントフレームに支持する支持機構と、を備え、
前記支持機構は、
上下揺動可能に前記フロントフレームに連結されるドローバと、
前記ドローバを上下揺動させるリフトシリンダと、
前記ブレードを前記ドローバに回転可能に支持するブレード旋回支持部と、を有し、
側面視において、前記ブレードの上端部は、前記リフトシリンダの前記ドローバへの接続部分から下方向に延ばした線に重なる位置若しくは前後方向において前記接続部分よりも前側に配置されている、
作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両およびブレード支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
モータグレーダでは、前輪と後輪の間に配置されたブレードの位置をフレームに対してスライド調整可能に構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に示すモータグレーダでは、回転リングギアから下方に延びたアームに回動可能に支持構造が配置されており、ブレードは支持構造に位置調整可能に支持されている。ブレードの後面には幅方向に沿って上スライドレールと下スライドレールが設けられ、支持構造には、上スライドレールと下スライドレールを上下から挟み込むように上ベアリング配列と下ベアリング配列が設けられている。このような構造によって、ブレードは、支持構造に対して位置調整可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の構造では、ブレードを乗り越えた土砂が上スライドレールに堆積することなり、清掃する必要があった。上スライドレールは、ブレードの幅方向に沿って設けられているため、清掃範囲が広く、また、ブレードの背面に設けられているためアクセスし難く清掃に手間がかかっていた。
【0006】
本開示は、土砂の堆積を抑制することが可能な作業車両およびブレード支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様の作業車両は、リヤフレームと、フロントフレームと、ブレードと、支持機構と、を備える。フロントフレームは、リヤフレームに回転可能に連結される。支持機構は、ブレードをブレードの幅方向に沿ってスライド可能にフロントフレームに支持する。支持機構は、ブレードの上端部を支持する第1支持部と、第1支持部よりも後下方においてブレードを支持する第2支持部と、を有する。
【0008】
本開示の第2の態様のブレード支持構造は、リヤフレームとリヤフレームに回転可能に連結されるフロントフレームとを有する作業車両のブレードを、ブレードの幅方向に沿ってスライド可能にフロントフレームに支持するブレード支持構造であって、第1支持部と、第2支持部と、を備える。第1支持部は、ブレードの上端部を支持する。第2支持部は、第1支持部よりも後下方においてブレードを支持する。
【0009】
本開示の第3の態様の作業車両は、リヤフレームと、フロントフレームと、ブレードと、支持機構と、を備える。フロントフレームは、リヤフレームに回転可能に連結される。支持機構は、ブレードをブレードの幅方向に沿ってスライド可能にフロントフレームに支持する。支持機構は、ドローバと、リフトシリンダと、ブレード旋回支持部と、を有する。ドローバは、上下揺動可能にフロントフレームに連結される。リフトシリンダは、ドローバを上下揺動させる。ブレード旋回支持部は、ブレードをドローバに回転可能に支持する。側面視において、ブレードの上端部は、リフトシリンダのドローバへの接続部分から下方向に延ばした線に重なる位置若しくは前後方向において接続部分よりも前側に配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、土砂の堆積を抑制することが可能な作業車両およびブレード支持構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示にかかる実施形態におけるモータグレーダの斜視図である。
【
図2】本開示にかかる実施形態におけるモータグレーダのブレードおよびブレード旋回支持部を示す斜視図である。
【
図3】本開示にかかる実施形態におけるモータグレーダのブレードおよびブレード旋回支持部を示す側面図である。
【
図4】
図3において旋回部を二点鎖線で示し、これらの構成によって隠れる構成を実線で示した図である。
【
図5】本開示にかかる実施形態におけるモータグレーダのブレードおよびブレード旋回支持部を後側から視た図である。
【
図6】本開示にかかる実施形態におけるブレードおよびブレード旋回支持部を前側から視た図である。
【
図7】
図6においてブレードを二点鎖線で示し、ブレードで隠れる構成を実線で示した図である。
【
図8】本開示にかかる実施形態におけるブレードおよびブレード旋回支持部の側方断面図である。
【
図9】本開示にかかる実施形態におけるブレードを後側から視た斜視図である。
【
図10】本開示にかかる実施形態におけるモータグレーダのドローバとブレードとブレード旋回支持部を示す側面図である。
【
図11】
図10に示す状態からチルトシリンダを伸長して上端部が下方に移動するようにブレードを回転させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態に係るモータグレーダ(作業車両の一例)およびブレード支持構造について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
(モータグレーダ1の全体構成)
図1は、本実施形態のモータグレーダの外観斜視図である。以下の説明において、「上」「下」「左」「右」「前」「後」は、運転席に着座してオペレータから視た方向を基準とする用語である。
【0014】
モータグレーダ1は、フレーム10と、左右の前輪11と、片側2輪ずつ設けられた左右の後輪12、13と、作業機14と、キャブ15と、エンジン室16と、備える。
【0015】
フレーム10は、フロントフレーム21と、リヤフレーム22と、を有する。フロントフレーム21は、リヤフレーム22の前方に配置される。フロントフレーム21は、リヤフレーム22に連結されている。フロントフレーム21は、リヤフレーム22に対して左右に回転可能である。フロントフレーム21は、左右の前輪11によって支持される。フロントフレーム21は、作業機14を支持する。リヤフレーム22は、左右の後輪12、13によって支持される。キャブ15は、リヤフレーム22上に配置される。キャブ15には、運転席、および操作装置などが配置される。エンジン室16は、リヤフレーム22上に配置されている。エンジン室16は、キャブ15の後側に配置されている。エンジン室16には、エンジンが収納されている。
【0016】
(作業機14)
作業機14は、フロントフレーム21に取り付けられる。作業機14は、フロントフレーム21の下方に配置される。作業機14は、前後方向において、左右の前輪11と左右の後輪12、13との間に配置される。作業機14は、支持機構23と、ブレード24と、を有する。支持機構23は、ブレード24を上下左右に揺動可能、左右にスライド可能、且つ後述する旋回部41の回転軸周りに回転可能にフロントフレーム21に支持する。ブレード24は、支持機構23に支持される。
【0017】
(支持機構23)
支持機構23は、ドローバ31と、ブレード旋回支持部32と、リフタブラケット33と、左右一対のリフトシリンダ34と、ドローバシフトシリンダ36と、を有する。ドローバ31は、ボールジョイントによって上下左右揺動可能にフロントフレーム21の前端部に連結される。ブレード旋回支持部32は、ドローバ31の後部に取り付けられる。ブレード旋回支持部32は、ブレード24をドローバ31に回転可能に支持する。リフタブラケット33は、フロントフレーム21に固定されている。リフタブラケット33には、左右の一対のリフトシリンダ34とドローバシフトシリンダ36とが連結される。
【0018】
左右のリフトシリンダ34は、油圧シリンダである。左右のリフトシリンダ34は、ドローバ31とリフタブラケット33に連結される。各々のリフトシリンダ34は、シリンダ部34aと、シリンダ部34aに対して移動可能なピストンロッド34bと、を有する。シリンダ部34aは、リフタブラケット33に連結されている。ピストンロッド34bの先端は、ドローバ31に連結されている。左右のリフトシリンダ34は、伸縮することによってドローバ31を上下揺動させる。ドローバシフトシリンダ36は、油圧シリンダである。ドローバシフトシリンダ36は、伸縮することによってドローバ31を左右揺動させる。
【0019】
図2は、ブレード24およびブレード旋回支持部32を示す斜視図である。
図3は、ブレード24およびブレード旋回支持部32の側面図である。
【0020】
(ブレード旋回支持部32)
ブレード旋回支持部32は、旋回部41と、ブレード支持部42と、を有する。旋回部41は、ドローバ31の後部に取り付けられる。ブレード支持部42は、ブレード24を旋回部41に支持する。
【0021】
(旋回部41)
旋回部41は、旋回サークル51と、サークル回転機52と、サポートアーム53、54と、シリンダサポート55と、補強部材56、57(後述の
図5)と、チルトシリンダ58と、を有する。旋回サークル51は、ドローバ31の後部に回転可能に支持される。サークル回転機52は、油圧によって旋回サークル51を回転駆動させる。旋回サークル51は、車両上方から視て時計方向と反時計方向の両方に旋回駆動可能である。旋回サークル51の旋回駆動によって、モータグレーダ1の前後方向に対するブレード24の傾斜角度が調整される。
【0022】
サポートアーム53、54は、旋回サークル51に固定されている。サポートアーム53、54は、旋回サークル51と一体に旋回可能に構成されている。サポートアーム53は、左側面側において旋回サークル51の外側面から後方に延び、その後、下方に延びている。サポートアーム54は、右側面側において旋回サークル51の外側面から後方に延び、その後、下方に延びている。サポートアーム53とサポートアーム54は、左右対称に対向して形成されている。シリンダサポート55は、旋回サークル51の後側から下方に向かって突出している。
図4は、旋回部41を二点鎖線で示し、これらの構成によって隠れる構成を実線で示した図である。
図2および
図4に示すように、シリンダサポート55は、チルトシリンダ58を回転可能に支持する。
【0023】
図5は、ブレード24およびブレード旋回支持部32を後側から視た図である。補強部材56は、旋回サークル51とサポートアーム53とを接続し、サポートアーム53を補強する。補強部材56は、旋回サークル51の下側からサポートアーム53の下部まで伸びている。
【0024】
補強部材57は、旋回サークル51とサポートアーム54とを接続し、サポートアーム54を補強する。補強部材57は、旋回サークル51の下側からサポートアーム53の下部まで伸びている。
【0025】
チルトシリンダ58は、油圧によって伸縮する油圧シリンダである。
図2および
図4に示すように、シリンダサポート55には、チルトシリンダ58のシリンダ部58aが回転可能に連結されている。チルトシリンダ58のピストンロッド58bの先端は、後述する中央支持部材65に回転可能に連結されている。チルトシリンダ58の伸縮によって、ブレード24の幅方向に延びる軸を中心にブレード24が揺動する。なお、
図1に示すように、ブレード24が左右方向に沿って配置されている場合、ブレード24の幅方向は、左右方向と一致する。
【0026】
(ブレード支持部42)
ブレード支持部42は、ブレード24を幅方向(左右方向)にスライド可能に支持する。ブレード支持部42は、
図4および
図5に示すように、端支持部材61、62(支持部材の一例)と、下側連結部材63と、上側連結部材64と、中央支持部材65(支持部材の一例)と、スライドシリンダ66と、カバー部材67、68(
図4では省略)と、を有する。
【0027】
端支持部材61は、
図4に示すように、ブレード24をブレード24の幅方向にスライド可能に支持する。端支持部材61は、ブレード24の幅方向と平行な方向を軸としてサポートアーム53に回転可能に支持されている。端支持部材61は、サポートアーム53の左側に配置されている。
【0028】
端支持部材61は、
図3に示すように、本体部71と、上側突出部72と、上側支持部73と、下側支持部74と、を有する。本体部71は、側面視において略三角形状であり、前端部が、ブレード24の後側形状に沿うように湾曲して形成されている。上側突出部72は、本体部71の上部から前方に向かって配置されている。上側突出部72は、本体部71に取り付けられている。
【0029】
図6は、ブレード24およびブレード旋回支持部32を前側から視た図である。
図7は、
図6においてブレード24を二点鎖線で示し、ブレード24で隠れる構成を実線で示した図である。上側支持部73は、上側突出部72に配置されている。上側支持部73は、上側突出部72の下側に配置されている。上側支持部73は、上側突出部72よりも、ブレード24の幅方向において長く形成されている。上側支持部73には、凹部73a(第1凹部の一例)が形成されている。
図3に示すように、凹部73aは、上側支持部73の下端面が前上方に向かって凹んで形成されている。凹部73aは、ブレード24の幅方向(左右方向)に沿って形成されている。凹部73aには、ブレード24の上端部91aが嵌る。
【0030】
下側支持部74は、
図3に示すように、本体部71の下端の前側に配置されている。下側支持部74には、には、凹部74a(第2凹部の一例)が形成されている。凹部74aは、下側支持部74の上面が下方に向かって凹んで形成されている。凹部74aは、ブレード24の幅方向(左右方向)に沿って形成されている。凹部74aには、ブレード24のレール部93が嵌る。下側支持部74は、
図7に示すように、本体部71よりもブレード幅方向において長く形成されている。
【0031】
図3および
図7に示すように、本体部71の下部およびサポートアーム53の下部の各々には、ブレード24の幅方向に沿って形成された貫通孔が形成されている。貫通孔には、棒状の下側連結部材63が挿入されている。端支持部材61は、下側連結部材63を中心としてサポートアーム53に対して回転することができる。本体部71の上部には、
図3に示すように、下側連結部材63を中心として円周方向に沿って貫通孔71aが形成されている。貫通孔71aの前側の縁が前縁71bとして示され、後側の縁が後縁71cとして示されている。貫通孔71aには、ボルト75が挿入されている。ボルト75は、サポートアーム53に固定されている。チルトシリンダ58の伸縮に応じてサポートアーム53に対して端支持部材61が回転する際、ボルト75は、貫通孔71aに沿うように端支持部材61に対して相対移動する。上側支持部73が下方に向かって移動するように端支持部材61がサポートアーム53に対して回転する場合が、
図3において矢印Aで示されている。上側支持部73が上方に移動するように端支持部材61がサポートアーム53に対して回転する場合が、
図3において矢印Bで示されている。
【0032】
端支持部材62は、ブレード24をブレード24の幅方向にスライド可能に支持する。
図7に示すように、端支持部材62は、ブレード24の幅方向と平行な方向を軸としてサポートアーム54に回転可能に支持されている。端支持部材62は、サポートアーム54の右側に配置されている。端支持部材62は、右側面側に配置されており、端支持部材61は、左側面側に配置されている。端支持部材62は、端支持部材61と対向して配置されている。端支持部材62は、端支持部材61と左右対称に配置されている。端支持部材62の構成は、端支持部材61と同様であり、
図7に示すように、本体部71と、上側突出部72と、上側支持部73と、下側支持部74と、を有する。端支持部材62は、端支持部材61と異なり、スライドシリンダ66のボトム側を保持する構成を含む。その他の端支持部材62の構成は端支持部材61の構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0033】
図7に示すように、下側連結部材63は、端支持部材61と端支持部材62を連結する。下側連結部材63がサポートアーム54および端支持部材62に挿入されており、端支持部材62は、端支持部材61と同様に、下側連結部材63を軸としてサポートアーム54に対して回転可能に構成されている。また、端支持部材61と同様に、本体部71の貫通孔71aにボルト75が挿入されている。チルトシリンダ58の伸縮に応じてサポートアーム54に対して端支持部材62が回転する際、ボルト75(
図4参照)は、貫通孔71aに沿うように端支持部材62に対して相対移動する。
【0034】
図4に示すように、上側連結部材64は、端支持部材61と端支持部材62を連結する。上側連結部材64は、棒状の部材である。上側連結部材64の左側の端は、
図3に示すように、端支持部材61の上側突出部72に挿入されている。上側連結部材64の右側の端は、端支持部材62の上側突出部72に挿入されている。
【0035】
中央支持部材65は、
図7に示すように、端支持部材61と端支持部材62の間に配置されている。
図8は、ブレード24およびブレード旋回支持部32の側方断面図である。
図8の断面図は、ブレード24の幅方向における断面を示す。中央支持部材65は、本体部81と、上側支持部82と、を有する。本体部81は、ブレード24の後側に沿うように曲がって形成されている。本体部81の下部81aには、左右方向に貫通孔が形成されており、下部の貫通孔を下側連結部材63が通っている。本体部81の上部81bには、左右方向に貫通孔が形成されており、この貫通孔を上側連結部材64が通っている。上側支持部82は、本体部81の上部81bの前側に配置されている。上側支持部82には、凹部82a(第1凹部の一例)が形成されている。
図8に示すように、凹部82aは、上側支持部82の下端面が前上方に向かって凹んで形成されている。凹部82aは、ブレード24の幅方向(左右方向)に沿って形成されている。凹部82aには、ブレード24の上端部91aが嵌る。本体部81の上側連結部材64が通っている部分の上側には、チルトシリンダ58のピストンロッド58bの先端が回転可能に支持されている。
【0036】
上側連結部材64と下側連結部材63によって、端支持部材61と端支持部材62と中央支持部材65は連結されている。チルトシリンダ58の伸縮によって、中央支持部材65が下側連結部材63を中心に回転すると、中央支持部材65と連結された端支持部材61と端支持部材62も回転する。このように、チルトシリンダ58の伸縮によってブレード支持部42が回転し、ブレード24も回転する。ブレード支持部42およびブレード24の回転は、チルトシリンダ58のストロークエンドによって規制される。チルトシリンダ58の最も縮んだ状態と最も伸びた状態の間で、ブレード支持部42およびブレード24は下側連結部材63を中心に回転可能である。なお、後述する
図11には、端支持部材61、62と中央支持部材65が
図3に示す矢印A方向に回転された状態が示されている。
【0037】
図4に示すスライドシリンダ66は、伸縮によって、ブレード24を、端支持部材61、62および中央支持部材65に対して幅方向にスライドする。スライドシリンダ66は、左右方向に沿って配置されている。
図7に示すように、スライドシリンダ66は、シリンダ部66aと、ピストンロッド66bと、を有する。スライドシリンダ66のシリンダ部66aは、端支持部材62に取り付けられている。ピストンロッド66bの先端は、ブレード24の後面側に取り付けられている。ピストンロッド66bがシリンダ部66aに対して移動することによって、ブレード24が端支持部材61、62に対してブレード24の幅方向に移動する。
【0038】
カバー部材67は、
図7に示すように、サポートアーム53と中央支持部材65との間を覆うように配置されている。カバー部材67は、上側連結部材64と下側連結部材63に支持されている。カバー部材68は、中央支持部材65とサポートアーム54との間を覆うように配置されている。カバー部材68は、上側連結部材64と下側連結部材63に支持されている。
【0039】
(ブレード24)
図9は、ブレード24を後側から視た斜視図である。ブレード24は、ブレード部91と、後部92と、レール部93(被支持部の一例)と、庇部94と、エンドビット95と、を有する。ブレード部91は、後側に突出するように湾曲している。ブレード部91は、上端部91aと、本体部91bとを有する。上端部91aは、本体部91bの上側に配置されている。本体部91bの下端が刃先91c(ブレードの下端の一例)として示されている。
【0040】
上端部91aは、端支持部材61の上側突出部72に配置された上側支持部73の凹部73aと、中央支持部材65の上側支持部82の凹部82aと、端支持部材62の上側突出部72に配置された上側支持部73の凹部73aと、に嵌る。上端部91aは、本体部91bに固定されている。なお、上端部91aは、本体部19bに対して取り外し可能に取り付けられていてもよい。また、上端部91aは、本体部91bよりも耐摩耗性の高い部材で形成される方がより好ましいが、同じ部材で形成されていてもよい。
【0041】
後部92は、ブレード部91の後面91dに配置されている。
図9に示すように、後部92は、後面91dに、幅方向(左右方向)に沿って配置されている。後部92は、箱形状である。後部92は、上面92aと下面92bと後面92cと一対の側面92dとを有する。
図3に示すような、上端部91aと刃先91cが鉛直方向に並んで配置されている状態において、上面92aは、後面91dから後側に向かって配置されている。上面92aは、後方に向かうに従って下方に向かうように傾斜している。これにより、ブレード24の上端部91a超えて後側に移動した土砂は上面92aを滑り落ちて地面に落下するため、上面92aに土砂が溜まることを抑制できる。
【0042】
なお、上端部91aと刃先91cが鉛直方向に並んで配置されている状態とは、上端部91aと刃先91cが、前後方向において同じ位置であるともいえる。また、本明細書において、「鉛直方向」とは厳密な意味ではなく、誤差なども含み、社会通念上「鉛直」と認識できる範囲をいい、「同じ」とは厳密な意味ではなく、誤差なども含み、社会通念上「同じ」と認識できる範囲をいう。
【0043】
上面92aは、
図3に示すように、上端部91aの後側から上端部91aに沿うように傾斜している。なお、本明細書において「沿う」とは、厳密に上端部91aの傾斜角度と上面92aの傾斜角度は一致していなくてもよく、社会通念上、上端部91aの後側から上端部91aに沿っていると認識できる範囲を含む。下面92bは、
図3に示すブレード24の状態において、後面91dから後側に向かって配置されている。下面92bは、後方に向かうに従って上方に向かうように傾斜している。後面92cは、上面92aの後側の端と、下面92bの後側の端とを繋ぐ。一対の側面92dは、上面92aの両端と、下面92bの両端と、後面92cの両端を繋ぐ。
【0044】
レール部93は、
図9に示すように、後面92cに配置されている。レール部93は、板状の部材である。レール部93は、幅方向に沿って配置されている。レール部93は、後面92cの下端から下方に向かって突出している。レール部93は、
図3に示すように、端支持部材61の下側支持部74の凹部74aと、
図8に示すように、端支持部材62の下側支持部74の凹部74aに嵌る。上側支持部82および一対の上側支持部73に上端部91aが嵌り、レール部93が一対の下側支持部74に嵌っているため、ブレード24は、上側支持部82および一対の上側支持部73と、一対の下側支持部74とによって、幅方向にスライド可能に旋回部41に支持されている。
図3および
図8に示すように、一対の下側支持部74は、上側支持部73、82よりも後下方においてブレード24を支持する。上側支持部82と、その両側に配置された一対の上側支持部73は、第1支持部の一例に対応する。一対の下側支持部74は、第2支持部の一例に対応する。
【0045】
庇部94は、上面92aに配置されている。庇部94は、板状の部材である。庇部94は、幅方向に沿って配置されている。庇部94は、上面92aの後端から後方に突出している。庇部94は、後方に向かうに従って下方に向かうように傾斜している。
図3に示す状態において、庇部94は、下側支持部74の上方を覆っている。このため、上面92aから滑り落ちる土砂の、下側支持部74の凹部74aへの侵入を防ぐことができる。エンドビット95は、
図6および
図9に示すように、ブレード部91の幅方向の両端に配置されている。エンドビット95は、ブレード部91の前側の面に配置されている。
【0046】
図4に示すように、上述したスライドシリンダ66のピストンロッド66bの先端は、後部92の後面92cに取り付けられている。
【0047】
スライドシリンダ66の伸縮によって、上端部91aが凹部82aおよび一対の凹部73aを摺動し、レール部93が一対の凹部74aを摺動し、ブレード24は一対の端支持部材61と中央支持部材65に対して幅方向(左右方向)にスライドすることができる。
【0048】
本実施形態では、ブレード24の上端部91aを上側支持部82および一対の上側支持部73によって支持しているため、従来のように、ブレード24の後面の上部にスライドレールを設ける必要なく、土砂が溜まることが抑制できる。
【0049】
(リフトシリンダ34と上側支持部73と下側支持部74の位置関係)
次に、リフトシリンダ34と上側支持部73と下側支持部74の位置関係について説明する。
図10は、ドローバ31とブレード24とブレード旋回支持部32を示す側面図である。
図10では、ブレード24は、ブレード24の上端部91aと刃先91cが鉛直方向に並んで配置された状態である。この状態では、ブレード24は、上端部91aが上方に位置するように回転しており、ボルト75が貫通孔71aの前縁71b近傍に位置する。
【0050】
図10に示すように、リフトシリンダ34のピストンロッド34bの先端は、ドローバ31の接続部分35に接続されている。接続部分35と、上側支持部73、82の位置と、ブレード24の刃先91cの位置は、側面視において、ほぼ同一鉛直線上に配置されている(直線L1参照)。このため、リフトシリンダ34の伸長によって、効率よくブレード24の刃先91cを地面に押し付けることができる。また、接続部分35と、上側支持部73、82の位置と、ブレード24の刃先91cの位置が直線上に配置されることによって、ブレード24がブレ難いためガタが発生し難く、摩耗が少なく済む。また、本明細書において、「直線上」とは厳密な意味ではなく、誤差なども含み、社会通念上「直線上」と認識できる範囲をいう。
【0051】
図11は、
図10に示す状態からチルトシリンダ58を伸長して上端部91aが下方に移動するようにブレード24を回転させた状態を示す(矢印A参照)。
図11では、ボルト75が貫通孔71aの後縁71cに当接している。
図10および
図11に示すように、本実施形態では、上側支持部73、82の位置は、前後方向において接続部分35と同じ位置または接続部分35よりも前側に配置されている。また、
図10および
図11に示すように、下側支持部74は、前後方向において接続部分35より後側に配置されている。ブレード24の上端部91aが下方に移動するように回転した場合、上側支持部73の位置と、下側支持部74の位置は、接続部分35から鉛直方向に延ばした直線L1を挟んで配置される。
【0052】
また、チルトシリンダ58が最も縮んだ状態では、
図10に示すように、側面視において上側支持部73,82およびブレード24の上端部91aは、接続部分35から下方向に延ばした線(直線L1)と重なる位置に配置されている。
図10の状態からチルトシリンダ58を伸ばすと、上側支持部73,82およびブレード24の上端部91aは、
図11に示すように、直線L1に垂直な前後方向において、接続部分35よりも前側に配置される。
図11は、チルトシリンダ58が最も伸長した状態を示す。
【0053】
(特徴等)
本実施形態のモータグレーダ1では、支持機構23は、ブレード24の上端部91aを支持する上側支持部73、82と、上側支持部73、82よりも後下方においてブレード24を支持する下側支持部74とを有する。これにより、従来のように、ブレード24の後面の上部にスライドレールを設ける必要なく、土砂が溜まることが抑制できる。
【0054】
本実施形態のモータグレーダ1では、支持機構23の上側支持部73、82にブレード24の上端部91aが嵌り、下側支持部74にブレード24のレール部93が嵌る。これによって、上側支持部73、82に上端部91aが摺動し、下側支持部74にレール部93が摺動することで、ブレード24を支持機構23に対してスライド移動することができる。
【0055】
本実施形態のモータグレーダ1では、上側支持部73、82が凹部73a、82aを含み、凹部73a、82aにブレード24の上端部91aが嵌る。下側支持部74が凹部74aを含み、凹部74aにブレード24のレール部93が嵌る。これによって、上端部91aが凹部73a、82a内を摺動し、レール部93が凹部74a内を摺動することで、ブレード24を支持機構23に対してスライド移動することができる。
【0056】
本実施形態のモータグレーダ1では、ブレード24は、ブレード部91と、ブレード部91の後面91dに配置された後部92と、を有する。後部92は、上端部91aに沿うように傾斜された上面92aを有する。これによって、土砂がブレード24の上端部91aを乗り越えてブレード部91の後面91d側に移動した場合であっても、後部92上に溜まらずに上面92aを滑り落ちて地面に落下させることができる。
【0057】
本実施形態のモータグレーダ1では、ブレード24の後部92の上面92aから後側に向かって突出した庇部94を有する。これによって、ブレード24の後面側に移動した土砂が下側支持部74の凹部74aなどに落下することを防止できる。
【0058】
本実施形態のモータグレーダ1では、ブレード24の刃先91cと上端部91aが鉛直方向に配置された状態において、上端部91aと刃先を結ぶ直線L1上に、リフトシリンダ34のドローバ31への接続部分35が配置されている。これにより、リフトシリンダ34の伸長によって、効率よく、ブレード24の刃先91cを地面に押し付けることができる。また、接続部分35と、上側支持部73、82の位置と、ブレード24の刃先91cの位置は、直線上に配置されることによって、ブレード24がブレ難いためガタが発生し難く、摩耗が少なく済む。
【0059】
本実施形態のモータグレーダ1では、ブレード24の上端部91aは、前後方向において接続部分35と同じ位置または前側に配置されている。下側支持部74は、前後方向において接続部分35よりも後側に配置されている。このため、ブレード24の上端部91aが下方に移動するように回転した場合、上側支持部73、82の位置と、下側支持部74の位置は、接続部分35から鉛直方向に延ばした直線L1を挟んで配置されことになる。
【0060】
本実施形態のブレード支持構造は、ブレード24の上端部91aを支持する上側支持部73、82と、上側支持部73、82よりも後下方においてブレード24を支持する下側支持部74と、を備える。これにより、従来のように、ブレード24の後面の上部にスライドレールを設ける必要なく、土砂が溜まることが抑制できる。
【0061】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0062】
(A)
上記実施形態のモータグレーダでは、
図3に示すように、庇部94は、下側支持部74の上方を覆っているが、更に伸ばして、スライドシリンダ66の上方まで覆ってもよい。
【0063】
(B)
上記実施形態では、端支持部材61、62と中央支持部材65の3つ部材によってブレード24の上端部91aを支持しているが、これに限らなくてもよく、2つ以下または4つ以上の部材でブレード24の上端部91aを支持してもよい。
【0064】
(C)
上記実施形態では、端支持部材61、62の2つの部材によってブレード24のレール部93を支持しているが、これに限らなくてもよく、1つまたは3つ以上の部材によってブレード24のレール部93を支持してもよい。
【0065】
(D)
上記実施形態では、上側支持部73が上側突出部72に取り付けられていると述べたが、上側支持部73が上側突出部72に着脱可能であってもよい。この場合、上側支持部73が摩耗した際に、上側支持部73だけ交換することができる。また、上側突出部72が本体部71に着脱可能であってもよい。この場合、上側支持部73が摩耗した際に、上側支持部73ごと上側突出部72を交換することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本開示の作業車両およびブレード支持構造によれば、土砂の堆積を抑制することが可能な効果を発揮できる。
【符号の説明】
【0067】
1 :モータグレーダ
21 :フロントフレーム
22 :リヤフレーム
23 :支持機構
24 :ブレード
73 :上側支持部
74 :下側支持部
82 :上側支持部
91a :上端部