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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025176719
(43)【公開日】2025-12-05
(54)【発明の名称】自己位置推定方法及び自己位置推定装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 19/48 20100101AFI20251128BHJP
   G01S 19/53 20100101ALI20251128BHJP
   G01C 21/28 20060101ALI20251128BHJP
【FI】
G01S19/48
G01S19/53
G01C21/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160259
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】酒井 佳奈子
(72)【発明者】
【氏名】土谷 千加夫
【テーマコード(参考)】
2F129
5J062
【Fターム(参考)】
2F129AA01
2F129AA11
2F129AA14
2F129BB03
2F129BB22
2F129BB26
5J062AA09
5J062AA11
5J062BB01
5J062CC07
5J062DD23
5J062DD24
5J062FF01
5J062FF04
(57)【要約】
【課題】人工衛星から受信する信号から測位された観測値の信頼度を正確に検出する。
【解決手段】自己位置推定方法は、人工衛星から受信する信号から移動体の位置及び角度を検出対象の観測値として計測し(S01)、所定時刻における検出対象の観測値から所定距離遡る走行軌跡、又は所定時刻における検出対象の観測値を所定時刻から所定時間遡る移動体の走行軌跡を、移動体の相対的な移動量に基づいて算出し(S02)、算出された走行軌跡と走行軌跡に対応する区間における過去の観測値との乖離度、及び過去の観測値に関連付けて記憶されている信頼度に基づいて、所定時刻の検出対象の観測値の信頼度を検出し(S03)、所定時刻の検出対象の観測値と検出された信頼度とを関連付けて記憶し(S04)、信頼度が第1所定値以上の観測値に基づいて移動体の自己位置を推定する(S05)。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工衛星から受信する信号から移動体の位置及び角度を検出対象の観測値として計測する測位処理と、
所定時刻における前記検出対象の観測値から所定距離遡る走行軌跡、又は前記所定時刻における前記検出対象の観測値を前記所定時刻から所定時間遡る前記移動体の走行軌跡を、前記移動体の相対的な移動量に基づいて算出する走行軌跡算出処理と、
前記走行軌跡算出処理で算出された前記走行軌跡と前記走行軌跡に対応する区間における過去の観測値との乖離度、及び前記過去の観測値に関連付けて記憶されている信頼度に基づいて、前記所定時刻の検出対象の観測値の信頼度を検出する信頼度検出処理と、
前記所定時刻の検出対象の観測値と検出された信頼度とを関連付けて記憶する信頼度記憶処理と、
前記信頼度が第1所定値以上の観測値に基づいて前記移動体の自己位置を推定する自己位置推定処理と、
を有する自己位置推定方法。
【請求項2】
前記信頼度検出処理において、
第1基準値よりも高い信頼度が関連付けられた前記過去の観測値を抽出し、
抽出された前記過去の観測値と前記走行軌跡との前記乖離度が閾値以下か否かを判定し、
前記走行軌跡に対応する区間における前記過去の観測値の全体数に対して、前記乖離度が前記閾値以下と判定された前記過去の観測値の数が占める割合が大きい程、前記検出対象の観測値の信頼度を高く検出する
請求項1記載の自己位置推定方法。
【請求項3】
前記信頼度検出処理において、
前記乖離度の各々に対して、前記乖離度に対応する前記過去の観測値の信頼度に応じた重み付けをし、
重み付けして計算した前記乖離度の平均値が小さい程、前記検出対象の観測値の信頼度を高く検出する
請求項1記載の自己位置推定方法。
【請求項4】
前記信頼度検出処理において、前記走行軌跡に対応する区間における前記過去の観測値の、前記検出対象の観測値から遡る距離が長い程、又は前記検出対象の観測値を計測した時刻から遡る時間が長い程、前記閾値を大きく設定する
請求項2記載の自己位置推定方法。
【請求項5】
前記信頼度検出処理において、前記走行軌跡に対応する区間における前記過去の観測値の、前記検出対象の観測値から遡る距離が長い程、又は前記検出対象の観測値を計測した時刻から遡る時間が長い程、前記乖離度を短く算出する
請求項3記載の自己位置推定方法。
【請求項6】
前記測位処理において、前記移動体の位置及び角度を検出対象の観測位置及び検出対象の観測角度として計測し、
前記走行軌跡算出処理において、前記所定時刻の検出対象の観測角度から、前記移動体の角度の走行軌跡を前記移動体の相対的な移動量に基づいて算出し、
前記信頼度検出処理において、前記角度の走行軌跡と前記角度の走行軌跡に対応する区間における過去の観測角度との乖離度、及び前記過去の観測角度に関連付けている角度信頼度に基づいて、前記所定時刻の検出対象の観測角度の角度信頼度を検出し、
前記信頼度記憶処理において、前記所定時刻の検出対象の観測角度と検出された角度信頼度とを関連付けて記憶し、
前記自己位置推定処理において、前記角度信頼度が第3所定値以上の観測角度に基づいて前記移動体の角度を推定し、
前記走行軌跡算出処理において、前記所定時刻の検出対象の観測位置及び前記自己位置推定処理において推定された前記移動体の角度から、前記移動体の位置の走行軌跡を前記移動体の相対的な移動量に基づいて算出し、
前記信頼度検出処理において、前記位置の走行軌跡と前記位置の走行軌跡に対応する区間における過去の観測位置との乖離度、及び前記過去の観測位置に関連付けている位置信頼度に基づいて、前記所定時刻の検出対象の観測位置の位置信頼度を検出し、
前記信頼度記憶処理において、前記所定時刻の検出対象の観測位置と検出された位置信頼度とを関連付けて記憶し、
前記自己位置推定処理において、前記位置信頼度が第4所定値以上の観測位置及び推定された前記移動体の角度に基づいて前記移動体の位置を推定し、推定された前記移動体の角度及び前記移動体の位置を、前記移動体の自己位置として出力する
請求項1記載の自己位置推定方法。
【請求項7】
前記測位処理での前記観測値の測定精度が低いほど、前記走行軌跡算出処理において前記所定距離又は前記所定時間を長く設定する請求項1記載の自己位置推定方法。
【請求項8】
前記走行軌跡算出処理において、前記移動体の相対的な移動量の誤差が大きい程、前記所定距離又は前記所定時間を短く設定する請求項1記載の自己位置推定方法。
【請求項9】
人工衛星から受信する信号から移動体の位置及び角度を検出対象の観測値として計測する測位部と、
所定時刻における前記検出対象の観測値から所定距離遡る走行軌跡、又は前記所定時刻における前記検出対象の観測値を前記所定時刻から所定時間遡る前記移動体の走行軌跡を、前記移動体の相対的な移動量に基づいて算出する走行軌跡算出部と、
前記走行軌跡算出部で算出された前記走行軌跡と前記走行軌跡に対応する区間における過去の観測値との乖離度、及び前記過去の観測値に関連付けて記憶されている信頼度に基づいて、前記所定時刻の検出対象の観測値の信頼度を検出する信頼度検出部と、
前記所定時刻の検出対象の観測値と検出された信頼度とを関連付けて記憶する信頼度記憶部と、
前記信頼度が第1所定値以上の観測値に基づいて前記移動体の自己位置を推定する自己位置推定部と、
を有する自己位置推定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己位置推定方法及び自己位置推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された異常値判定装置は、慣性航法装置で検出された速度情報の累積誤差とGPS受信情報に基づく擬似距離誤差との差が所定範囲内の値となるように所定時間を決定する。そして、この所定時間内の各時刻における速度情報及び擬似距離に基づいて移動体の位置を推定し、推定した位置と擬似距離との残差に基づいて、擬似距離の異常を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-207919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、異常判定の基準として、GPS受信情報と慣性航法装置で検出された情報とから推定された移動体の位置を用いている。このため、異常判定の基準自体がGPS受信情報の外れ値の影響を受けて、擬似距離の異常を誤判定してしまう場合がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、人工衛星から受信する信号から測位された観測値の信頼度を正確に検出することができる自己位置推定方法及び自己位置推定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した問題を解決するために、本発明の一態様に係る自己位置推定方法は、人工衛星から受信する信号から移動体の位置及び角度を検出対象の観測値として計測し、所定時刻における検出対象の観測値から所定距離遡る走行軌跡、又は所定時刻における検出対象の観測値を所定時刻から所定時間遡る移動体の走行軌跡を、移動体の相対的な移動量に基づいて算出し、算出された走行軌跡、走行軌跡に対応する区間における過去の観測値との乖離度、及び過去の観測値に関連付けて記憶されている信頼度に基づいて、所定時刻の検出対象の観測値の信頼度を検出し、所定時刻の検出対象の観測値と検出された信頼度とを関連付けて記憶し、信頼度が第1所定値以上の観測値に基づいて移動体の自己位置を推定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、人工衛星から受信する信号から測位された観測値の信頼度を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1~第3実施形態及びその変形例に係る自己位置推定装置1の構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1の自己位置推定装置1を用いた自己位置推定方法であって、第1~第3実施形態及びその変形例に係る自己位置推定方法を示すフローチャートである。
図3図3は、図2のフローチャートにおけるステップS03の具体的な処理例(第2実施形態)を示すフローチャートである。
図4図4は、図2のフローチャートにおけるステップS03の具体的な処理例(第3実施形態)を示すフローチャートである。
図5図5は、第4実施形態及びその変形例に係る自己位置推定装置2の構成を示すブロック図である。
図6図6は、図5の自己位置推定装置2を用いた自己位置推定方法であって、第4実施形態及びその変形例に係る自己位置推定方法を示すフローチャートである。
図7図7は、検出対象の観測値としての車両の位置(Pgn(t))と、走行軌跡31に対応する区間(ウィンドウサイズ)32における過去の観測値の一例としての車両の位置(Pgn(t)、Pgn(t-1)、Pgn(t-2)、・・・)と、乖離度の一例としての距離(D(t-1)、D(t-2)、・・・)を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。説明において、同一のものには同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
図1を参照して、第1実施形態を含む複数の実施形態に係る自己位置推定装置1の構成を説明する。自己位置推定装置1は、測位部11と、走行軌跡算出部14と、信頼度検出部15と、判定履歴記憶部16(信頼度記憶部の一例)と、自己位置推定部17と、を有する。実施形態では、移動体として車両を例示して説明するが、車両以外の船、飛行機、ロケットなど、車輪を有していない移動体にも適用可能である。
【0011】
測位部11は、人工衛星から受信する信号から車両(移動体の一例)の位置及び角度を検出対象の観測値として計測する。測位部11は、GNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)を用いて車両の位置及角度を求める。このため、測位部11は、GNSSを構成する人工衛星から信号を受信する、例えばGPS(Global Positioning System/全地球測位システム)受信機を備え、更に、受信機が受信した受信信号からグローバルな座標系における車両の絶対位置(例えば、緯度、経度、高度)及び絶対角度(例えば、方位角、仰角)を演算する演算部を備える。「検出対象の観測値」とは、信頼度を検出する対象の観測値を意味し、例えば、測位部11が繰り返し計測した複数の観測値の時系列の内の最新の観測値が、検出対象の観測値となる。
【0012】
走行軌跡算出部14は、所定時刻における検出対象の観測値から所定距離遡る走行軌跡、又は検出対象の観測値を所定時刻から所定時間遡る車両の走行軌跡を、車両の相対的な移動量に基づいて算出する。例えば、走行軌跡算出部14は、最新の観測値を起点として、起点から車両の進行方向とは逆方向に所定距離だけ遡る車両の走行軌跡、又は最新の観測値が計測された時刻(所定時刻)から過去に向かって経過時間遡る間の車両の走行軌跡を算出する。
【0013】
走行軌跡は、車両の相対的な移動量に基づいて算出することができる。この場合、自己位置推定装置1はIMU装置(Inertial Measurement Unit/慣性計測装置)12を更に備えていても構わない。IMU装置12は、3次元の慣性運動(直行3軸方向の並進運動および回転運動)を検出する装置であり、並進運動を検出する加速度センサと、回転運動を検出する角速度(ジャイロ)センサと、並進運動の加速度を時間で積分して並進運動の速度を演算する演算部とを備える。観測値の信頼性の検出基準となる走行軌跡は、測位部11が計測する観測値の影響を受けることが無くなり、観測値の外れ値による信頼性の誤判定を抑制することができる。
【0014】
具体的には、先ず、検出対象の観測値として位置と角度の情報が得られている。検出対象の観測値を起点として、起点から、検出対象の観測値を計測した時刻に最も近い時刻における速度と角速度を差し引くことにより、一つ前の時刻における位置と角度を推定する。次に、推定した位置と角度から、この推定値に対応する時刻に最も近い時刻における速度と角速度を差し引くことにより、二つ前の時刻における位置と角度情報を推定する。この差し引きを、起点から所定距離内又は経過時間内、繰り返すことで、位置及び角度の走行軌跡を算出する。以上説明したように、走行軌跡の算出において観測値は起点としてのみ用いられるため、観測値の信頼性の検出基準となる走行軌跡は、測位部11が計測する観測値の影響を受けることが無くなり、観測値の外れ値による信頼性の誤判定を抑制することができる。換言すれば、車両の走行軌跡を車両の速度及び角速度のような車両の相対的な移動量に基づいて算出することにより、測位部11が計測する信頼性の低い観測値の影響を受けることが無くなる。
【0015】
信頼度検出部15は、走行軌跡算出部14で算出された走行軌跡と走行軌跡に対応する区間における過去の観測値との乖離度、及び過去の観測値に関連付けて判定履歴記憶部16に記憶されている信頼度に基づいて、所定時刻の検出対象の観測値の信頼度を検出する。
【0016】
具体的には、信頼度検出部15は、走行軌跡に対応する区間内の各時刻における過去の観測値を判定履歴記憶部16から抽出し、抽出された過去の観測値と走行軌跡との乖離度を算出する。例えば、観測値が車両の位置である場合、各時刻における車両の位置の走行軌跡と車両の位置の観測値(観測位置)とのユークリッド距離を、乖離度として算出する。一方、観測値が車両の角度である場合、各時刻における車両の角度の走行軌跡と車両の角度の観測値(観測角度)との角度差を、乖離度として算出する。「過去の観測値」とは、検出対象の観測値よりも過去に計測された観測値を意味する。「過去の観測値」は、信頼度検出部15によって信頼度が検出された観測値に限っても構わない。信頼度が検出された過去の観測値は、後述するように、判定履歴記憶部16に信頼度に紐づけて記憶されている。信頼度検出部15が検出する「信頼度」は、「高い」又は「低い」のような二値分類であってもよいし、3つ以上の多値分類であっても構わない。
【0017】
判定履歴記憶部16は、所定時刻の検出対象の観測値と信頼度検出部15により検出された信頼度とを関連付けて記憶する。
【0018】
自己位置推定部17は、信頼度が第1所定値以上の観測値に基づいて車両の自己位置を推定する。自己位置推定部17は、既知の技術を用いて自己位置を推定することができる。例えば、観測値(車両の絶対位置と絶対角度)と車両の相対的な移動量(車速と角速度)に基づいて、カルマンフィルタなどの推定手法を用いて、尤もらしい車両の位置及び角度を車両の自己位置として推定する。ここで、観測値のうち低い信頼度が検出された観測値は、事前に排除するか、又は自己位置の推定処理への寄与度が小さくなるように設定することができる。
【0019】
自己位置推定装置1は、IMU装置12により検出された車両の速度及び角速度を示すデータと、測位部11により計測された観測値を示すデータとを記憶する記憶部13を更に有していてもよい。これらのデータは、走行軌跡算出部14及び信頼度検出部15によって利用される。
【0020】
図1に示す自己位置推定装置1のうち、記憶部13と、走行軌跡算出部14と、信頼度検出部15と、判定履歴記憶部16と、自己位置推定部17とは、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備える汎用のコンピュータで実現可能である。マイクロコンピュータには、自己位置推定装置1として機能させるためのコンピュータプログラムがインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、コンピュータは自己位置推定装置1が備える複数の情報処理回路(14、15、17)として機能する。記憶部13及び判定履歴記憶部16は、メモリ又はマイクロコンピュータに接続されたハードディスクドライブなどの外部記憶装置により実現可能である。なおここでは、ソフトウェアによって自己位置推定装置1が備える複数の情報処理回路を実現する例を示すが、専用のハードウェアを用意して情報処理回路を構成することも可能である。また複数の情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。
【0021】
図2及び図7を参照して、図1の自己位置推定装置1を用いた第1実施形態に係る自己位置推定方法を説明する。図2に示す動作フローは、予め定められた周期で、繰り返し実施される。図7は、検出対象の観測値としての車両の位置(Pgn(t))と、走行軌跡31に対応する区間(ウィンドウサイズ)32における過去の観測値の一例としての車両の位置(Pgn(t)、Pgn(t-1)、Pgn(t-2)、・・・)と、乖離度の一例としての距離(D(t-1)、D(t-2)、・・・)を示す概念図である。ステップS01(測位処理)において、測位部11は、人工衛星から受信する信号から車両の位置Pgn(t)及び角度を検出対象の観測値として計測する。ステップS02(走行軌跡算出処理)に進み、走行軌跡算出部14は、検出対象の観測値としての車両の位置Pgn(t)から所定距離遡る走行軌跡31、又は検出対象の観測値を所定時刻から所定時間遡る車両の走行軌跡31を、車両の相対的な移動量に基づいて算出する。ステップS03(信頼度検出処理)に進み、信頼度検出部15は、走行軌跡算出処理で算出された走行軌跡31と走行軌跡31に対応する区間(ウィンドウサイズ)32内における過去の観測値との乖離度、及び過去の観測値に関連付けて記憶されている信頼度に基づいて、検出対象の観測値の信頼度を検出する。「乖離度」とは、例えば、走行軌跡31と測位部11により計測された車両の各位置(Pgn(t-1)、Pgn(t-2)、・・・)との距離である。距離とは、例えば、車両の各位置(Pgn(t-1)、Pgn(t-2)、・・・)と車両の各位置(Pgn(t-1)、Pgn(t-2)、・・・)に最も近い走行軌跡31上の各地点(Pod(t-1)、Pod(t-2)、・・・)との距離(D(t-1)、D(t-2)、・・・)である。ステップS04(信頼度記憶処理)に進み、判定履歴記憶部16は、検出対象の観測値と検出された信頼度とを関連付けて記憶する。ステップS05(自己位置推定処理)に進み、自己位置推定部17は、信頼度が第1所定値以上の観測値に基づいて車両の自己位置を推定する。上記した動作フローを繰り返し実行する事により、信頼度が関連付けられた複数の観測値の時系列が求められ、判定履歴記憶部16に過去の観測値として記憶される。この過去の観測値に関連付けた信頼度を用いて、例えば最新の観測値の信頼度を検出することができる。
【0022】
以上説明したように、図1の自己位置推定装置1及び図2の自己位置推定方法は、信頼度の判定基準として、GNSSによる観測値に依存しない車両の走行軌跡を用いている。このため、GNSS観測値の外れ値による判定基準の精度悪化に起因する信頼度の誤判定を抑制できる。また、最新の観測値の信頼度を判定する際に、過去の観測値の信頼度を考慮している。このため、GNSS観測値に一定誤差が生じている場合であっても、正確な信頼度判定が可能となる。
【0023】
(第2実施形態)
第2実施形態では、図3を参照して、図1の信頼度検出部15の具体的な動作例、及び図2のステップ03(信頼度検出処理)の具体的な処理例を説明する。第2実施形態に係る自己位置推定装置1及び自己位置推定方法の全体は、図1及び図2と同じであり説明を省略する。以下に述べる全てのステップS301~S310の動作主体は、図1の信頼度検出部15である。
【0024】
先ず、ステップS301において、信頼度検出部15が備えるカウンタをゼロにリセットする。ステップS302に進み、ウィンドウサイズ内の過去の観測値を1つ選択する。「ウィンドウサイズ」とは、走行軌跡算出処理(ステップ02)で算出された走行軌跡に対応する区間を意味する。ステップS303に進み、選択した過去の観測値の信頼度が第1基準値よりも高いか否かを判断する。信頼度が第1基準値よりも高い場合(ステップS303でYES)、ステップS304へ進み、信頼度が第1基準値以下である場合(ステップS303でNO)、ステップS306へ進む。ステップS304において、過去の観測値と走行軌跡との乖離度を算出し、乖離度が閾値以下か否かを判定する。乖離度が閾値以下である場合(ステップS304でYES)、ステップS305に進み、乖離度が閾値よりも大きい場合(ステップS304でNO)、ステップS306に進む。ステップS305において、カウンタを1足し合わせる。ステップS306に進み、ウィンドウサイズ内の過去の観測値を全て選択したか否かを判断する。全ての観測値を選択していない場合(ステップS306でNO)、ステップS302に戻り、未だ選択されていないウィンドウサイズ内の過去の観測値を1つ選択し、ステップS303~305の処理を行う。
【0025】
全ての観測値を選択した場合(ステップS306でYES)、ステップS307に進み、走行軌跡に対応する区間(ウィンドウサイズ)における過去の観測値の全体数に対して、ステップS304で乖離度が閾値以下と判定された過去の観測値の数が占める割合を算出する。ステップS308に進み、この割合が所定割合以上であるか否かを判断する。前記した割合が所定割合以上である場合(ステップS308でYES)、ステップS309に進み、ステップS01で計測された検出対象の観測値の信頼性は高いと判断する。前記した割合が所定割合未満である場合(ステップS308でNO)、ステップS310に進み、ステップS01で計測された検出対象の観測値の信頼性は低いと判断する。ステップS308~S310に依れば、ウィンドウサイズ内の過去の観測値の全体数に対して乖離度が閾値以下と判定された過去の観測値の数が占める割合に基づいて、検出対象の観測値の信頼度を検出することができる。ここでは、信頼度を二値分類する例を示すが、多値分類してもよい。すなわち、前記した割合が大きい程、検出対象の観測値の信頼度を高く検出することができる。
【0026】
信頼度検出部15は、走行軌跡と過去の観測値のうち走行軌跡に対応した区間における観測値との乖離度を算出し、乖離度と閾値とを比較し、閾値以下の観測値の割合が多い場合に少ない場合よりも高い信頼度を算出する。信頼度検出部15は、ウィンドウサイズ内の観測値全体の平均値に対する閾値判断ではなく、観測値の各々に対して閾値判断を行う。このため、ウィンドウサイズ内に大きな誤差を含む観測値があった場合でも、その観測値の影響を受けることなく、正確な信頼度の判定が可能となる。
【0027】
(第3実施形態)
第3実施形態では、図4を参照して、図1の信頼度検出部15の他の具体的な動作例、及び図2のステップ03(信頼度検出処理)の他の具体的な処理例を説明する。第3実施形態に係る自己位置推定装置1及び自己位置推定方法の全体は、図1及び図2と同じであり説明を省略する。以下に述べる全てのステップS321~S326の動作主体は、図1の信頼度検出部15である。
【0028】
ステップS321において、ウィンドウサイズ内の過去の観測値と走行軌跡との乖離度を算出する。ウィンドウサイズ内に複数の過去の観測値がある場合には、全ての過去の観測値について、走行軌跡との乖離度を算出する。ステップS322に進み、乖離度の各々に対して、乖離度に対応する過去の観測値の信頼度に応じた重み付けをする。具体的には、信頼度が高い程、乖離度を大きくする(重くする)。ステップS323に進み、重み付けして計算した乖離度の平均値(以後、「加重平均値」という)を算出する。ステップS324に進み、加重平均値が閾値以下か否かを判断する。加重平均値が閾値以下である場合(ステップS324でYES)、ステップS325に進み、ステップS01で計測された検出対象の観測値の信頼性は高いと判断する。加重平均値が閾値よりも大きい場合(ステップS324でNO)、ステップS326に進み、ステップS01で計測された検出対象の観測値の信頼性は低いと判断する。ステップS324~S326に依れば、ウィンドウサイズ内の過去の観測値と走行軌跡との乖離度の加重平均値に基づいて、検出対象の観測値の信頼度を検出することができる。ここでは、信頼度を二値分類する例を示すが、多値分類してもよい。すなわち、加重平均値が小さい程、検出対象の観測値の信頼度を高く検出することができる。
【0029】
信頼度検出部15は、走行軌跡と過去の観測値のうち走行軌跡に対応した区間における過去の観測値との乖離度に対して、過去の観測値に対応して記憶されている信頼度に応じた重み付けをする。そして、加重平均値が小さい程、検出対象の観測値の信頼度を高く検出する。過去の観測値の信頼度を考慮した加重平均値を用いて検出対象の観測値の信頼度を検出する。これにより、ある特定の過去の観測値と走行軌跡との乖離度が大きくても、その過去の観測値の信頼度が低い場合には乖離度に付される重みが軽くなるので、加重平均値は大きくならない。すなわち、ウィンドウサイズ内に大きな誤差を含む観測値があっても、その観測値の影響を受けることなく、正確な信頼度の判定が可能となる。
【0030】
(第4実施形態)
第1乃至第3実施形態では、検出対象の観測値としての車両の位置(以後、「観測位置」という)及び角度(以後、「観測角度」という)の双方の信頼度(以後、「位置信頼度」及び「角度信頼度」という)を同時に検出し、車両の位置及び角度を同時に推定する例を示した。しかし、位置の走行軌跡を算出する際に起点として用いる観測角度に誤差があると、位置の走行軌跡が誤って算出され、ひいては位置信頼度の誤判定につながる可能性がある。そこで、第4実施形態では、位置信頼性と角度信頼性を個別に検出する例を説明する。具体的には、先ず、角度信頼度を検出して角度を推定し、その後に、推定した角度を、位置の走行軌跡を算出する際に起点として用いる例を説明する。
【0031】
図5を参照して、第4実施形態に係る自己位置推定装置2の構成を説明する。自己位置推定装置2は、測位部11と、IMU装置12と、角度部2aと、位置部2bとを有する。自己位置推定装置2のうち、データ記憶及び演算処理に関する機能ブロックが、角度部1aと位置部1bとに分割された点が、図1と相違している。一方、図5の測位部11及びIMU装置12は、図1のそれらと同じであり、ここでは説明を割愛する。
【0032】
角度部1aには、角度記憶部13aと、角度走行軌跡算出部14aと、角度信頼度検出部15aと、角度判定履歴記憶部16aと、角度推定部17aと、が含まれる。
【0033】
角度記憶部13aは、IMU装置12により検出された車両の角速度を示すデータと、測位部11により計測された観測角度を示すデータとを記憶する。これらのデータは、角度走行軌跡算出部14a、角度信頼度検出部15a及び角度判定履歴記憶部16aによって利用される。
【0034】
角度走行軌跡算出部14aは、検出対象の観測角度から所定距離遡る角度の走行軌跡、又は検出対象の観測角度を計測した時刻から所定時間遡る車両の角度の走行軌跡を、算出する。角度走行軌跡算出部14aは、IMU装置12から得られる車両の相対的な移動量に基づいて角度の走行軌跡を算出する。観測角度の信頼性の検出基準となる角度の走行軌跡は、測位部11が計測する観測角度の影響を受けることが無くなり、観測角度の外れ値による信頼性の誤判定を抑制することができる。
【0035】
具体的には、先ず、検出対象の観測角度を起点として、起点から、検出対象の観測角度を計測した時刻に最も近い時刻における角速度を差し引くことにより、一つ前の時刻における車両の角度を推定する。次に、推定した角度から、この推定角度に対応する時刻の直前の時刻における角速度を差し引くことにより、二つ前の時刻における角度を推定できる。この差し引きを、起点から所定距離内、もしくは検出された時刻からの経過時間が所定時間内である限り繰り返すことで、角度の走行軌跡を算出する。角度の走行軌跡の算出において観測角度は起点としてのみ用いられるため、観測角度の信頼性の検出基準となる角度の走行軌跡は、測位部11が計測する観測角度の影響を受けることが無くなり、観測角度の外れ値による角度信頼性の誤判定を抑制することができる。すなわち、車両の角度の走行軌跡を車両の相対的な移動量に基づいて算出することにより、測位部11が計測する信頼性の低い観測角度の影響を受けることが無くなる。
【0036】
角度信頼度検出部15aは、角度走行軌跡算出部14aで算出された角度の走行軌跡と角度の走行軌跡に対応する区間における過去の観測角度との乖離度と、過去の観測角度に関連付けて角度判定履歴記憶部16aに記憶されている角度信頼度とに基づいて、検出対象の観測角度の角度信頼度を検出する。具体的には、角度信頼度検出部15aは、角度の走行軌跡に対応する区間内の各時刻における過去の観測角度を角度判定履歴記憶部16aから抽出し、抽出された過去の観測角度と角度の走行軌跡との角度差を、角度の乖離度として算出する。
【0037】
角度信頼度検出部15aは、第2実施形態(図3)又は第3実施形態(図4)で説明した図2のステップS03(信頼度検出処理)の詳細な具体例を車両の観測角度に適用することにより、検出対象の観測角度の角度信頼度を検出することができる。
【0038】
角度判定履歴記憶部16aは、検出対象の観測角度と検出された角度信頼度とを関連付けて記憶する。
【0039】
角度推定部17aは、信頼度が第3所定値以上の観測角度に基づいて車両の角度を推定する。角度推定部17aは、既知の技術を用いて角度を推定することができる。例えば、観測角度(車両の絶対角度)と車両の相対的な移動量(車速と角速度)に基づいて、カルマンフィルタなどの推定手法を用いて、尤もらしい車両の角度を推定する。ここで、観測角度のうち低い信頼度が検出された観測角度は、事前に排除するか、又は角度の推定処理への寄与度が小さくなるように設定することができる。
【0040】
位置部1bには、位置記憶部13bと、位置走行軌跡算出部14bと、位置信頼度検出部15bと、位置判定履歴記憶部16bと、位置推定部17bと、が含まれる。
【0041】
位置記憶部13bは、IMU装置12により検出された車両の速度及び角速度を示すデータと、測位部11により計測された観測位置を示すデータとを記憶する。これらのデータは、位置走行軌跡算出部14b、位置信頼度検出部15b及び位置判定履歴記憶部16bによって利用される。
【0042】
位置走行軌跡算出部14bは、測位部11により計測された検出対象の観測位置及び角度推定部17aにより推定された角度から、車両の位置の走行軌跡を算出する。位置走行軌跡算出部14bは、IMU装置12から得られる車両の相対的な移動量に基づいて位置の走行軌跡を算出する。観測位置の信頼性の検出基準となる位置の走行軌跡は、測位部11が計測する観測位置の影響を受けることが無くなり、観測位置の外れ値による信頼性の誤判定を抑制することができる。
【0043】
具体的には、先ず、検出対象の観測位置及び角度推定部17aにより推定された車両の角度を起点として、起点から、検出対象の観測位置を計測した時刻に最も近い時刻における速度と角速度を差し引くことにより、一つ前の時刻における車両の位置と角度を推定する。次に、推定した位置と角度から、この推定位置及び推定角度に対応する時刻の直前の時刻における速度と角速度を差し引くことにより、二つ前の時刻における位置と角度を推定できる。この差し引きを、起点から所定距離内、もしくは検出された時刻からの経過時間が所定時間内である限り繰り返すことで、位置の走行軌跡を算出する。位置の走行軌跡の算出において観測位置は起点としてのみ用いられるため、観測位置の信頼性の検出基準となる位置の走行軌跡は、測位部11が計測する観測位置の影響を受けることが無くなり、観測位置の外れ値による位置信頼性の誤判定を抑制することができる。すなわち、車両の位置の走行軌跡を車両の相対的な移動量に基づいて算出することにより、測位部11が計測する信頼性の低い観測位置の影響を受けることが無くなる。
【0044】
位置信頼度検出部15bは、位置走行軌跡算出部14bで算出された位置の走行軌跡と位置の走行軌跡に対応する区間における過去の観測位置との乖離度と、過去の観測位置に関連付けて位置判定履歴記憶部16bに記憶されている位置信頼度とに基づいて、検出対象の観測位置の位置信頼度を検出する。具体的には、位置信頼度検出部15bは、位置の走行軌跡に対応する区間内の各時刻における過去の観測位置を位置判定履歴記憶部16bから抽出し、抽出された過去の観測位置と位置の走行軌跡とのユークリッド距離を、位置の乖離度として算出する。
【0045】
位置信頼度検出部15bは、第2実施形態(図3)又は第3実施形態(図4)で説明した図2のステップS03(信頼度検出処理)の詳細な具体例を車両の観測位置に適用することにより、検出対象の観測位置の位置信頼度を検出することができる。
【0046】
位置判定履歴記憶部16bは、検出対象の観測位置と検出された位置信頼度とを関連付けて記憶する。
【0047】
位置推定部17bは、信頼度が第4所定値以上の観測位置及び角度推定部17aにより推定された車両の角度に基づいて車両の位置を推定する。位置推定部17bは、既知の技術を用いて位置を推定することができる。例えば、観測位置(車両の絶対位置)、角度推定部17aにより推定された車両の角度、及び車両の相対的な移動量(車速と角速度)に基づいて、カルマンフィルタなどの推定手法を用いて、尤もらしい車両の位置を推定する。ここで、観測位置のうち低い信頼度が検出された観測位置は、事前に排除するか、又は位置の推定処理への寄与度が小さくなるように設定することができる。
【0048】
最後に、自己位置推定装置2は、角度推定部17aにより推定された車両の角度及び位置推定部17bにより推定された車両の位置を、車両の自己位置として出力する。
【0049】
図6を参照して、図5の自己位置推定装置2を用いた第4実施形態に係る自己位置推定方法を説明する。図6に示す動作フローは、予め定められた周期で、繰り返し実施される。ステップS01(測位処理)において、測位部11は、人工衛星から受信する信号から前記車両の位置及び角度を検出対象の観測値として計測する。ステップS02-1(走行軌跡算出処理)に進み、角度走行軌跡算出部14aは、検出対象の観測角度から、車両の角度の走行軌跡を算出する。ステップS03-1(信頼度検出処理)に進み、角度信頼度検出部15aは、角度の走行軌跡、角度の走行軌跡に対応する区間における過去の観測角度との乖離度、及び過去の観測角度に関連付けている角度信頼度に基づいて、検出対象の観測角度の角度信頼度を検出する。ステップS04-1(信頼度記憶処理)に進み、角度判定履歴記憶部16aは、検出対象の観測角度と検出された角度信頼度とを関連付けて記憶する。ステップS05-1(自己位置推定処理)に進み、角度推定部17aは、角度信頼度が第3所定値以上の観測角度に基づいて車両の角度を推定する。
【0050】
ステップS02-2(走行軌跡算出処理)に進み、位置走行軌跡算出部14bは、検出対象の観測位置及び自己位置推定処理(ステップS05-1)において推定された車両の角度から、車両の位置の走行軌跡を算出する。ステップS03-2(信頼度検出処理)に進み、位置信頼度検出部15bは、位置の走行軌跡、位置の走行軌跡に対応する区間における過去の観測位置との乖離度、及び過去の観測位置に関連付けている位置信頼度に基づいて、検出対象の観測位置の位置信頼度を検出する。ステップS04-2(信頼度記憶処理)に進み、位置判定履歴記憶部16bは、検出対象の観測位置と検出された位置信頼度とを関連付けて記憶する。ステップS05-2(自己位置推定処理)に進み、位置推定部17bは、位置信頼度が第4所定値以上の観測位置及びステップS05-1で推定された移動体の角度に基づいて車両の位置を推定する。ステップS06に進み、自己位置推定装置2は、推定された車両の角度及び車両の位置を、車両の自己位置として出力する。
【0051】
上記した動作フローを繰り返し実行する事により、信頼度が関連付けられた複数の観測位置の時系列及び複数の観測角度の時系列がそれぞれ求められ、位置判定履歴記憶部16b及び角度判定履歴記憶部16aに過去の観測位置及び過去の観測角度としてそれぞれ記憶される。この過去の観測位置及び過去の観測角度に関連付けた位置信頼度及び角度信頼度を用いて、例えば最新の観測位置及び最新の観測角度の信頼度をそれぞれ検出することができる。
【0052】
位置信頼度の検出基準となる位置の走行軌跡を算出する際に用いる起点として車両の位置と角度の情報が必要となる。起点となる角度の情報が正確で無いと、誤った位置の走行軌跡が算出され、ひいては位置信頼度の誤判定につながる。そこで、先ず、測位部11が計測する観測角度の角度信頼度を算出し、車両の角度を推定する。その後、推定された角度を用いて、位置の走行軌跡を算出し、位置信頼度を検出し、車両の位置を推定する。よって、誤った位置走行軌跡に起因する位置信頼度の誤判定を抑制できる。
【0053】
(第1変形例)
以下、上記した各実施形態の第1乃至第5変形例を説明する。第1乃至第5変形例の2以上の変形例を任意に組み合わせて各実施形態に適用することもできる。
【0054】
第1変形例では、過去の観測値の信頼度に関する情報量が十分でない場合の対応について説明する。例えば、測位部11が測位を開始した直後は、測位部11は観測対象の観測値を測定できるが、過去の観測値の信頼度が未だ十分に記憶されていないため、過去の観測値の信頼度に関する情報量が十分でない。
【0055】
そこで、信頼度検出部15は、走行軌跡に対応する区間(ウィンドウサイズ内)における過去の観測値のうち、信頼性が関連付けられていない過去の観測値の数が第2所定値以上ある場合、信頼性が関連付けられていない過去の観測値に対して、ステップS303に示す第1基準値よりも高い信頼度が検出されていると見做して、信頼度検出処理(ステップS03)を行う。これにより、測位処理(S01)の開始直後のような過去の観測値の信頼度に関する情報が十分でない場合であっても、検出対象の観測値の信頼度を検出することができる。第1変形例は、第1乃至第4実施形態に適用することができる。
【0056】
(第2変形例)
第2変形例では、起点から遡る距離又は時間に応じて閾値を制御する変形例を説明する。検出対象の観測値から遡る距離が長い程、又は検出対象の観測値を計測した時刻から遡る時間が長い程、ステップS02で算出される走行軌跡に含まれる車両の位置又は角度の誤差は大きくなる。そこで、信頼度検出部15は、信頼度検出処理(ステップS03)において、走行軌跡に対応する区間(ウィンドウサイズ内)における過去の観測値の、検出対象の観測値から遡る距離が長い程、又は検出対象の観測値を計測した時刻から遡る時間が長い程、図3のステップS304で用いる閾値を大きく設定する。これにより、走行軌跡に含まれる位置又は角度の誤差に起因する信頼度の誤判定を抑制できる。第1変形例は、第2実施形態及び第4実施形態に適用することができる。
【0057】
(第3変形例)
第3変形例では、起点から遡る距離又は時間に応じて乖離度を制御する変形例を説明する。検出対象の観測値から遡る距離が長い程、又は検出対象の観測値を計測した時刻から遡る時間が長い程、ステップS02で算出される走行軌跡に含まれる車両の位置又は角度の誤差は大きくなる。そこで、信頼度検出部15は、信頼度検出処理(ステップS03)において、走行軌跡に対応する区間(ウィンドウサイズ内)における過去の観測値の、検出対象の観測値から遡る距離が長い程、又は検出対象の観測値を計測した時刻から遡る時間が長い程、乖離度を短く算出する。これにより、走行軌跡に含まれる位置又は角度の誤差に起因する信頼度の誤判定を抑制できる。第3変形例は、第1乃至第4実施形態に適用することができる。
【0058】
(第4変形例)
第4変形例では、測位処理(ステップS01)での観測値の測定精度が悪い場合の対応について説明する。一般的に,高層ビルが立ち並ぶ都市部では,衛星の電波がビル等に反射してしまうことで測位精度が大きく悪化することが知られている。都市部の高層ビルの他にも、山間、トンネルなどでは電波障害が発生し、測位精度が低下、又は測位が不可能となる。
【0059】
そこで、測位処理(ステップS01)での観測値の測定精度が第2基準値よりも低い車両の走行距離が長い程、走行軌跡算出部14は、走行軌跡算出処理(ステップS02)において前記した所定距離又は前記した所定時間を長く設定する。これにより、走行軌跡算出部14が算出する走行軌跡に対応する区間が長くなる。よって、当該区間における過去の観測値の信頼度が全て低いという状況を抑制して、信頼度の検出精度を高く維持することができる。第4変形例は、第1乃至第4実施形態に適用することができる。
【0060】
(第5変形例)
第5変形例では、IMU装置12の測定精度が悪い場合の対応について説明する。例えば、温度及び湿度などの環境の変化、又は角速度センサ及び加速度センサの経時劣化によってIMU装置12の測定精度が悪くなる。車両の速度及び加速度の誤差は、車両の相対的な移動量の精度、及び相対的な移動量に基づき算出される走行軌跡の算出精度を悪化させる。また、非舗装路等の上下方向(Z方向)の加速度または峠道などの左右方向(Z軸周り)の角速度等が大きいシーンでも、走行軌跡の算出精度が悪化する場合がある。
【0061】
そこで、走行軌跡算出部14は、車両の相対的な移動量の誤差が大きい程、走行軌跡算出処理(ステップS02)において、起点から遡る所定距離又は所定時間を短く設定する。これにより、走行軌跡形状の誤差に起因する信頼度の誤判定を抑制できる。第5変形例は、第1乃至第4実施形態に適用することができる。
【0062】
以上、実施形態に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0063】
本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0064】
1、2 自己位置推定装置
11 測位部
14 走行軌跡算出部
15 信頼度検出部
16 判定履歴記憶部(信頼度記憶部)
17 自己位置推定部
S01 測位処理
S02、S02-1、S02-2 走行軌跡算出処理
S03、S03-1、S03-2 信頼度検出処理
S04、S04-1、S04-2 信頼度記憶処理
S05、S05-1、S05-2 自己位置推定処理
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7