(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017681
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】散水式融雪装置の施工方法及び補助型枠部材
(51)【国際特許分類】
E01H 5/10 20060101AFI20250130BHJP
E01C 11/26 20060101ALI20250130BHJP
E04G 11/06 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
E01H5/10 B
E01C11/26 B
E04G11/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120843
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】523281951
【氏名又は名称】称名土木株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520332793
【氏名又は名称】株式会社Polyuse
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】野澤 竜太郎
(72)【発明者】
【氏名】川村 健太
【テーマコード(参考)】
2D051
2E150
【Fターム(参考)】
2D051AA08
2D051GA06
2E150CA11
2E150DA39
2E150EA01
2E150EA04
2E150EB12
2E150EC11
2E150FA22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】施工面に設置したコンクリート用型枠の上端面の高さ調節を容易に行うことができる散水式融雪装置の施工方法及びこれに使用可能な補助型枠部材を提供する。
【解決手段】埋設型枠部材10(1),10(2)の上端部に各々取り付けられてコンクリート用型枠18(1),18(2)の上端部分として使用され、埋設型枠部材10(1),10(2)に対する取り付け高さを調節することによってコンクリート用型枠18(1),18(2)の上端面18a(1),18a(2)の高さを調節可能にする補助型枠部材12(1),12(2)を準備する。コンクリート用型枠等設置工程K12で、補助型枠部材12(1),12(2)の、埋設型枠部材10(1),10(2)に対する取り付け高さを調節し、上端面18a(1),18a(2)の高さをノズル40bに合わせる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送水管及び複数のノズルが地中に埋設され、前記送水管の中の水を前記ノズルから地表に放出することによって雪を溶かす散水式融雪装置の施工方法において、
左右一対に立設されるコンクリート用型枠の本体部分として使用される部材であって、長方形のモルタル板で成る一対の埋設型枠部材と、一対の前記埋設型枠部材の上端部に各々取り付けられて前記コンクリート用型枠の上端部分として使用される部材であって、前記埋設型枠部材に対する取り付け高さを調節することによって前記コンクリート用型枠の上端面の高さを調節可能にする一対の補助型枠部材と、一対の前記補助型枠部材を左右方向に対向させて相互に連結固定するための上側連結部材と、一対の前記埋設型枠部材を左右方向に対向させて相互に連結固定するための下側連結部材とを準備する型枠関連部材準備工程と、
前記型枠関連部材準備工程で準備した部材と、前記送水管及び前記ノズルを含む融雪用部材とを現場の施工面に設置する工程であって、前記埋設型枠部材及び前記補助型枠部材で前記コンクリート用型枠が形成され、前記施工面に前記コンクリート用型枠が左右一対に立設され、一対の前記コンクリート用型枠の間の空間に前記融雪用部材が設置され、一対の前記コンクリート用型枠が前記上側連結部材及び前記下側連結部材で相互に連結固定され、前記補助型枠部材の、前記埋設型枠部材に対する取り付け高さが調節されて、前記コンクリート用型枠の上端面の高さが前記ノズルの高さに設定された状態にするコンクリート用型枠等設置工程と、
一対の前記コンクリート用型枠の内側に、前記コンクリート用型枠の上端面の高さまで生コンクリートを充填して硬化させるとともに、所定のタイミングで前記上側連結部材及び前記補助型枠部材を取り外すコンクリート打設工程とを備えることを特徴とする散水式融雪装置の施工方法。
【請求項2】
前記補助型枠部材は、本体部と、本体部の下端部に下向きに延設された板状の取り付け部と、前記取り付け部の内側領域に形成された補助ネジ孔とを備えるものであり、
前記埋設型枠部材は、前記補助ネジ孔に対応する位置にネジ孔が形成されたものであり、
前記補助型枠部材の前記補助ネジ孔及び前記埋設型枠部材の前記ネジ孔は、少なくとも一方が施工状態で上下方向に長い長孔であり、
前記コンクリート用型枠設置工程では、前記補助型枠部材の前記取り付け部が前記埋設型枠部材の外面側に重ねられ、前記取り付け孔と前記ネジ孔とを連通させてネジ部材が差し込まれ、前記ネジ部材が前記長孔の内壁にガイドされて上下方向に移動可能な状態にして、前記補助型枠部材を上下方向に移動させることによって前記コンクリート用型枠の上端面の高さを調節し、前記ネジ部材を締め付けることによって、前記コンクリート用型枠の上端面の高さを固定する請求項1記載の散水式融雪装置の施工方法。
【請求項3】
前記埋設型枠部材は、3Dプリンタで製作されたものである請求項1又は2記載の散水式融雪装置の施工方法。
【請求項4】
前記埋設型枠部材は、内部に補強用のワイヤメッシュが設置されたモルタル板である請求項1又は2記載の散水式融雪装置の施工方法。
【請求項5】
前記コンクリート打設工程の前に行われる工程であって、前記施工面に立設された一対のコンクリート用型枠の外面側に、前記生コンクリートを投入した時に前記コンクリート用型枠が外向きに倒れないよう支持する外面支持部材を配置する型枠外面支持工程を備える請求項1又は2記載の散水式融雪装置の施工方法。
【請求項6】
前記コンクリート用型枠等設置工程の後に又は並行して行われる工程であって、前記施工面に立設された前記埋設型枠部材の外面側に平坦な路床を形成する整地工程を備える請求項1又は2記載の散水式融雪装置の施工方法。
【請求項7】
前記整地工程では、前記路床の上に路盤材とアスファルトとを順に積層して舗装する請求項6記載の散水式融雪装置の施工方法。
【請求項8】
前記埋設型枠部材は、内側領域の所定位置に取り付け孔が形成されたものであり、
前記下側連結部材は、連結バーと、前記連結バーの両端部に各々装着される型枠保持用金具とを備えたものであり、
前記コンクリート用型枠設置工程では、前記各埋設型枠部材の前記取り付け孔に前記連結バーの両端部を挿通し、前記各埋設型枠部材を、前記型枠保持用金具を用いて前記連結バーの両端部に位置決めすることによって、一対の前記埋設型枠部材を相互に連結固定し、前記施工面の上方に架設された前記連結バーの上面に、前記融雪用部材を設置する請求項1又は2記載の散水式融雪装置の施工方法。
【請求項9】
前記上側連結部材は、連結板の長さ方向の両端部に、前記連結板から起立して互いに対向する複数の起立片で成る型枠保持部を各々設けたものであり、
前記コンクリート用型枠設置工程では、前記各補助型枠部材の上端部を、複数の前記起立片の間に各々差し込んで嵌合させるによって、一対の前記補助型枠部材を相互に連結固定し、
前記コンクリート打設工程では、前記上側連結部材を上向きに引っ張り、前記型枠保持部と前記各補助型枠部材の上端部との嵌合を解除することによって、前記補助型枠部材から前記上側連結部材を取り外す請求項1又は2記載の散水式融雪装置の施工方法。
【請求項10】
コンクリート用型枠の本体部分である板状の主型枠部材の上端部に取り付けられて、前記コンクリート用型枠の上端部分として使用される部材であって、
本体部と、前記本体部の下端部に下向きに延設された板状の取り付け部と、前記取り付け部の内側領域に形成された補助ネジ孔とを備え、
相手方の前記主型枠部材は、前記補助ネジ孔に対応する位置にネジ孔が形成されたものであり、
前記補助型枠部材の前記補助ネジ孔及び前記主型枠部材の前記ネジ孔は、少なくとも一方が施工状態で上下方向に長い長孔であり、
前記取り付け部が前記主型枠部材の外面側に重ねられ、前記主型枠部材のネジ孔と前記補助ネジ孔とを連通させてネジ部材が差し込まれ、前記ネジ部材が前記長孔の内壁にガイドされて上下方向に移動可能な状態にして、前記本体部及び前記取り付け部を上下方向に移動させることによって、前記コンクリート用型枠の上端面の高さを調節することができ、前記ネジ部材を締め付けることによって、前記コンクリート用型枠の上端面の高さを固定することができることを特徴とする補助型枠部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送水管及び複数のノズルが地中に埋設され、送水管の中の水をノズルから地表に放出することによって融雪する散水式融雪装置の施工方法及びこれに使用可能な補助型枠部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路や駐車場等に埋設される散水式融雪装置は、
図16に示すような方法で施工されていた。まず、
図16(a)に示すように、現場の施工面1に、略長方形でほぼ同じ高さの木製もしくは鉄製のコンクリート用型枠2(1),2(2)を左右一対に立設し、その内側に、送水管3aやノズル3b等の部材を鉄筋枠体3cの中に一体に組み付けた融雪用部材3を設置する。そして、コンクリート用型枠2(1),2(2)の内側に、ノズル3bの高さまで生コンクリート4aを充填し、これを硬化させてコンクリート構造体4bを形成する。
【0003】
その後、
図16(b)に示すように、コンクリート用型枠2(1),2(2)を取り外した後、コンクリート構造体4bの外面側に平坦な路床5を形成し、さらに、路床5の上に路盤材6とアスファルト7とを順に積層して舗装して仕上げる。一般に、路床5を形成するまでの作業は土木工事業者が行い、その後の作業は舗装業者が行う場合が多い。
【0004】
図16では省略しているが、コンクリート用型枠2(1),2(2)は、生コンクリート4aを投入する前に、何らかの方法で相互に位置決めする必要がある。例えば、特許文献1の
図2に開示されているように、板状本体の長さ方向の両端部に、前記板状本体から起立して互いに対向する2つの規制片(外側位置規制片と内側位置規制片)が形成された間隔保持部具を用意し、これらをコンクリート用型枠2(1),2(2)の上端部と下端部に各々装着することによって、コンクリート用型枠2(1),2(2)を相互に連結固定する。
【0005】
なお、上記のようにコンクリートを現場打ちする工法とは異なる工法として、例えば、融雪用部材3を埋設したコンクリート構造体4bを工場で製作し、これを現場に輸送して組み立てるプレキャスト工法がある。ただ、プレキャスト工法は、現場にコンクリート構造体4bを搬入する際にクレーン等の重機が必要になる点、コンクリート構造体4bの寸法を現場で臨機応変に調整することができない点など、短所がいくつかあるので、コンクリートを現場打ちする工法の方が、様々な現場で使用できる汎用性の高い工法と言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図16に示す従来の施工方法の場合、コンクリート構造体4bの高さをノズル3bの高さに合わせるのに手間が掛かるという問題がある。
【0008】
散水式融雪装置は、仕上がり状態で、コンクリート構造体4bの上面とノズル3bの上面とがほぼ面一であることが求められる。しかし、多くの場合、現場の施工面1が少し傾いていたり、融雪用部材3を構成する各部材の位置関係にバラツキがあったりするので、コンクリート用型枠2(1),2(2)の間に融雪用部材3を設置した時の、ノズル3bの高さ位置を正確に予測することができない。したがって、現場では、コンクリート用型枠2(1),2(2)の間に融雪用部材3を設置した後、水平器等を用いてノズル3bの高さを出し、コンクリート用型枠2(1),2(2)に、どの高さまで生コンクリート4を充填するかを示す目印を付する作業を行っている。この作業は、非常に手間が掛かり、且つ熟練を要する作業なので、改善が求められていた。
【0009】
本発明は、上記背景技術に鑑みて成されたものであり、施工面に設置したコンクリート用型枠の上端面の高さ調節を容易に行うことができる散水式融雪装置の施工方法及びこれに使用可能な補助型枠部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、送水管及び複数のノズルが地中に埋設され、前記送水管の中の水を前記ノズルから地表に放出することによって雪を溶かす散水式融雪装置の施工方法であって、
左右一対に立設されるコンクリート用型枠の本体部分として使用される部材であって、略長方形のモルタル板で成る一対の埋設型枠部材と、一対の前記埋設型枠部材の上端部に各々取り付けられて前記コンクリート用型枠の上端部分として使用される部材であって、前記埋設型枠部材に対する取り付け高さを調節することによって前記コンクリート用型枠の上端面の高さを調節可能にする一対の補助型枠部材と、一対の前記補助型枠部材を左右方向に対向させて相互に連結固定するための上側連結部材と、一対の前記埋設型枠部材を左右方向に対向させて相互に連結固定するための下側連結部材とを準備する型枠関連部材準備工程と、
前記型枠関連部材準備工程で準備した部材と、前記送水管及び前記ノズルを含む融雪用部材とを現場の施工面に設置する工程であって、前記埋設型枠部材及び前記補助型枠部材で前記コンクリート用型枠が形成され、前記施工面に前記コンクリート用型枠が左右一対に立設され、一対の前記コンクリート用型枠の間の空間に前記融雪用部材が設置され、一対の前記コンクリート用型枠が前記上側連結部材及び前記下側連結部材で相互に連結固定され、前記補助型枠部材の、前記埋設型枠部材に対する取り付け高さが調節されて、前記コンクリート用型枠の上端面の高さが前記ノズルの高さに設定された状態にするコンクリート用型枠等設置工程と、
一対の前記コンクリート用型枠の内側に、前記コンクリート用型枠の上端面の高さまで生コンクリートを充填して硬化させるとともに、所定のタイミングで前記上側連結部材及び前記補助型枠部材を取り外すコンクリート打設工程とを備えることを特徴とする散水式融雪装置の施工方法である。
【0011】
前記補助型枠部材は、本体部と、本体部の下端部に下向きに延設された板状の取り付け部と、前記取り付け部の内側領域に形成された補助ネジ孔とを備えるものであり、記埋設型枠部材は、前記補助ネジ孔に対応する位置にネジ孔が形成されたものであり、前記補助型枠部材の前記補助ネジ孔及び前記埋設型枠部材の前記ネジ孔は、少なくとも一方が施工状態で上下方向に長い長孔であり、前記コンクリート用型枠設置工程では、前記取り付け部が前記埋設型枠部材の外面側に重ねられ、前記取り付け孔と前記ネジ孔とを連通させてネジ部材が差し込まれ、前記ネジ部材が前記長孔の内壁にガイドされて上下方向に移動可能な状態にして、前記補助型枠部材を上下方向に移動させることによって前記コンクリート用型枠の上端面の高さを調節し、前記ネジ部材を締め付けることによって、前記コンクリート用型枠の上端面の高さを固定する構成にすることが好ましい。
【0012】
前記埋設型枠部材は、3Dプリンタで製作されたものであることが好ましい。また、前記埋設型枠部材は、内部に補強用のワイヤメッシュが設置されたモルタル板であることがさらに好ましい。
【0013】
前記コンクリート打設工程の前に行われる工程であって、前記施工面に立設された一対のコンクリート用型枠の外面側に、前記生コンクリートを投入した時に前記コンクリート用型枠が外向きに倒れないよう支持する外面支持部材を配置する型枠外面支持工程を備える構成にすることができる。
【0014】
前記コンクリート用型枠等設置工程の後に又は並行して行われる工程であって、前記施工面に立設された前記埋設型枠部材の外面側に平坦な路床を形成する整地工程を備える構成にすることができる。さらに、前記整地工程では、前記路床の上に路盤材とアスファルトとを順に積層して舗装する構成にすることができる。
【0015】
前記埋設型枠部材は、内側領域の所定位置に取り付け孔が形成されたものであり、前記下側連結部材は、連結バーと、前記連結バーの両端部に各々装着される型枠保持用金具とを備えたものであり、前記コンクリート用型枠設置工程では、前記各埋設型枠部材の前記取り付け孔に前記連結バーの両端部を挿通し、前記各埋設型枠部材を、前記型枠保持用金具を用いて前記連結バーの両端部に位置決めすることによって、一対の前記埋設型枠部材を相互に連結固定し、前記施工面の上方に架設された前記連結バーの上面に、前記融雪用部材を設置する構成にすることが好ましい。
【0016】
前記上側連結部材は、連結板の長さ方向の両端部に、前記連結板から起立して互いに対向する複数の起立片で成る型枠保持部を各々設けたものであり、前記コンクリート用型枠設置工程では、前記各補助型枠部材の上端部を、複数の前記起立片の間に各々差し込んで嵌合させるによって、一対の前記補助型枠部材を相互に連結固定し、前記コンクリート打設工程では、前記上側連結部材を上向きに引っ張り、前記型枠保持部と前記各補助型枠部材の上端部との嵌合を解除することによって、前記補助型枠部材から前記上側連結部材を取り外す構成にすることが好ましい。
【0017】
また、本発明は、コンクリート用型枠の本体部分である板状の主型枠部材の上端部に取り付けられて、前記コンクリート用型枠の上端部分として使用される部材であって、
本体部と、前記本体部の下端部に下向きに延設された板状の取り付け部と、前記取り付け部の内側領域に形成された補助ネジ孔とを備え、
相手方の前記主型枠部材は、前記補助ネジ孔に対応する位置にネジ孔が形成されたものであり、
前記補助型枠部材の前記補助ネジ孔及び前記主型枠部材の前記ネジ孔は、少なくとも一方が施工状態で上下方向に長い長孔であり、
前記本体部の全部又は一部が前記主型枠部材の上端面よりも高い位置に配置され、前記取り付け部が前記主型枠部材の外面側に重ねられ、前記主型枠部材のネジ孔と前記補助ネジ孔とを連通させてネジ部材が差し込まれ、前記ネジ部材が前記長孔の内壁にガイドされて上下方向に移動可能な状態にして、前記本体部及び前記取り付け部を上下方向に移動させることによって、前記コンクリート用型枠の上端面の高さを調節することができ、前記ネジ部材を締め付けることによって、前記コンクリート用型枠の上端面の高さを固定することができる補助型枠部材である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の散水式融雪装置の施工方法は、コンクリートを打設する際に、埋設型枠部材と補助型枠部材とを組み合わせた独特なコンクリート用型枠を使用し、施工面にコンクリート用型枠を設置した後、コンクリート用型枠の上端面の高さの調整を容易且つ高精度に行うことを可能にしている。したがって、コンクリート用型枠の上端面の高さをノズルの高さに合わせ、コンクリート用型枠の上端面の高さまで生コンクリートを充填し硬化させることによって、コンクリート構造体の高さとノズルの高さを容易に合わせることができる。
【0019】
また、コンクリート用型枠の本体部分が、コンクリート打設後に取り外す必要のない埋設型枠部材なので、施工工数が大幅に削減される。さらに、埋設型枠部材を土木建築用の3Dプリンタを使用して製作すれば、薄形の埋設型枠部材(モルタル板)を容易に製作できるので、埋設型枠部材を格段に軽量化することができる。したがって、埋設型枠部材の現場への輸送が容易になり、現場でコンクリート用型枠を設置する時の作業負担も大幅に軽減される。
【0020】
本発明の補助型枠部材は、本発明の散水式融雪装置の施工方法を実施するのに好適な部材であるが、散水式融雪装置の施工以外にも使用可能な汎用性が高いものであり、コンクリート用型枠の本体部分となる主型枠部材と組み合わせて使用することによって、上端面の高さ調節が容易で非常に使い勝手の良いコンクリート用型枠が得られる。補助型枠部材は、耐久性の高い鋼材等で形成することによって、何度も再利用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の散水式融雪装置の施工方法の第一の実施形態を示すフローチャートである。
【
図2】
図1の中の型枠関連部材準備工程で準備する埋設型枠部材の構造を示す正面図(a)、左側面図(b)、右側面図(c)である。
【
図3】
図1の中の型枠関連部材準備工程で準備する補助型枠部材[本発明の補助型枠部材の一実施形態]の構造を示す正面図(a)、左側面図(b)、右側面図(c)である。
【
図4】
図2の埋設型枠部材に
図3の補助型枠部材を組み付けて形成されるコンクリート用型枠の構造を示す正面図(a)、左側面図(b)、右側面図(c)である。
【
図5】
図1の中の型枠関連部材準備工程で準備する上側連結部材の構造を示す正面図(a)、底面図(b)である。
【
図6】
図1の中の型枠関連部材準備工程で準備する下側連結部材の構造を示す正面図(a)、下側連結部材を複数のバーツに分解した正面図(b)である。
【
図7】
図1の中のコンクリート用型枠等設置工程を行う時の作業手順の一例を順に示す縦断面図(a)~(c)である。
【
図8】
図1の中のコンクリート打設工程を行う時の作業手順の一例を順に示す縦断面図(a)~(c)である。
【
図9】
図1の中の整地工程を行う時の作業手順の一例を順に示す縦断面図(a)、(b)である。
【
図10】本発明の散水式融雪装置の施工方法の第二の実施形態を示すフローチャートである。
【
図11】
図10の中の配管溝掘削工程、コンクリート用型枠等設置工程及び型枠外面支持工程を行う時の作業手順の一例を順に示す縦断面図(a)~(c)である。
【
図12】
図10の中のコンクリート打設工程を行う時の作業手順の一例を順に示す縦断面図(a)~(c)である。
【
図13】
図10の中の整地工程を行う時の作業手順の一例を順に示す縦断面図(a)、(b)である。
【
図14】下側連結部材の一変形例を示す正面図(a)、この下側連結部材の2通りの使用方法を示す縦断面図(b)、(c)である。
【
図15】型枠外面支持工程で行う作業内容の2つの変形例を示す縦断面図(a)、(b)である。
【
図16】従来の散水式融雪装置の施工方法の大まかな流れを順に示す図であって、一対のコンクリート用型枠の内側にコンクリートを打設する様子を示す縦断面図(a)、コンクリート用型枠を取り外してコンクリート構造体の外面側を整地した様子を示す縦断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<<本発明の第一の実施形態>>
以下、本発明の散水式融雪装置の施工方法の第一の実施形態、及び本発明の補助型枠部材の一実施形態について、
図1~
図9に基づいて説明する。第一の実施形態の散水式融雪装置の施工方法では、
図1に示すように、型枠関連部材準備工程K11、コンクリート用型枠等設置工程K12、コンクリート打設工程K13及び整地工程K14を実施する。
【0023】
<型枠関連部材準備工程K11>
型枠関連部材準備工程K11では、一対の埋設型枠部材10(1),10(2)、一対の補助型枠部材12(1),12(2)、上側連結部材14及び下側連結部材16を準備する。
埋設型枠部材10(1)は、後述するコンクリート用型枠18(1)の本体部分として使用される部材で、
図2に示すように、外形が略長方形に形成されたモルタル板である。モルタルの種類は特に限定されないが、例えば、無収縮ポリマーセメントモルタルのように、高い強度が得られるモルタルを使用することが好ましい。また、強度をさらに向上させるため、内部に補強用のワイヤメッシュ20を設置したモルタル板を使用することが好ましい。
【0024】
埋設型枠部材10(1)は、上側の端部に2つのネジ孔22(1)が設けられている。ここでは、後述するコンクリート枠部材等設置工程K12の作業性を良くするため、ネジ孔22(1)を、埋設型枠部材10(1)の上端縁から下向きに延びる細長いスリット状の孔にしている。しかし、工程K12の作業性が問題にならない時は、円形の孔にしてもよい。
【0025】
また、埋設型枠部材10(1)は、下側の端部に2つの取り付け孔24(1)が設けられている。ここでは、後述するコンクリート枠部材等設置工程K12の作業性を良くするため、取り付け孔24(1)も、埋設型枠部材10(1)の下端縁から上向きに延びる細長いスリット状の孔にしている。しかし、工程K12の作業性が問題にならない時は、円形の孔にしてもよい。
【0026】
埋設型枠部材10(2)は、後述するコンクリート用型枠18(2)の本体部分として使用される、略長方形のモルタル板であり、上記の埋設型枠部材10(1)と同一の部材である。以下、埋設型枠部材10(1)と区別するため、埋設型枠部材10(2)のネジ孔は22(2)と表記し、取り付け孔は24(2)と表記する。
【0027】
なお、埋設型枠部材10(1),10(2)は、左右方向に対向させて一対に使用されるので、同一の部材で兼用できるようにするため、
図2(a)に示すように、2つのネジ孔が左右対称な位置に設けられ、2つの取り付け孔も左右対称な位置に設けられている。
【0028】
補助型枠部材12(1)は、埋設型枠部材10(1)の上端部に取り付けられてコンクリート用型枠18(1)の上端部分として使用される部材で、埋設型枠部材10(1)とほぼ同じ長さの鋼製の部材である。補助型枠部材12(1)は、
図3に示すように、断面が略長方形の角筒状に形成された本体部12a(1)と、本体部12a(1)の下端部に下向きに延設された板状の取り付け部12b(1)と、取り付け部12b(1)の内側領域に形成され施工状態で上下方向に長い補助ネジ孔26(1)とを備える。
【0029】
補助ネジ孔26(1)は、上記のネジ孔22(1)に対応する2箇所に形成されている。ここでは、後述するコンクリート枠部材等設置工程K12の作業性を良くするため、補助ネジ孔26(1)を、取り付け部12b(1)の下端縁から上向きに延びる細長いスリット状の孔にしている。しかし、作業性が問題にならない時は、下側の端部が閉じた細長い孔にしてもよい。
【0030】
本体部12a(1)を中空の角筒形状にしているのは、本体部12a(1)の強度を確保しつつ、軽量化するためである。補助型枠部材12(1)は、取り付け孔が形成された平坦な鋼板を角パイプの下端部に溶接する等の方法で、容易に製作することができる。
【0031】
補助型枠部材12(2)は、埋設型枠部材10(2)の上端部に取り付けられてコンクリート用型枠18(2)の上端部分として使用される部材で、上記の補助型枠部材12(1)と同一の部材である。以下の説明の中で補助型枠部材12(1)と区別するため、補助型枠部材12(2)の取り付け孔は26(2)と表記する。なお、補助型枠部材12(1),12(2)は、左右方向に対向させて一対に使用されるので、同一の部材で兼用できるようにするため、
図3(a)に示すように、2つの取り付け孔が左右対称な位置に設けられている。
【0032】
図4は、補助型枠部材12(1)を埋設型枠部材10(1)に仮固定してコンクリート用型枠18(1)に組み立てた状態を示している。詳しく説明すると、コンクリート用型枠18(1)は、補助型枠部材12(1)の本体部12a(1)が埋設型枠部材10(1)の上端面よりも高い適宜の位置に配置され、取り付け部12b(1)が埋設型枠部材10(1)の外面側に重ねられ、補助ネジ孔26(1)とネジ孔22(1)とを連通させてネジ部材28が差し込まれた状態で、ネジ部材28を締め付けることによって仮固定されている。そして、コンクリート用型枠18(1)の上端面18a(1)の高さは、補助型枠部材12(1)の本体部12a(1)の高さによって決定される。
【0033】
補助型枠部材12(2)を埋設型枠部材10(2)に仮固定してコンクリート用型枠18(2)に組み立てた状態も、上記のコンクリート用型枠18(1)と同様であり、コンクリート用型枠18(2)の上端面18a(2)の高さは、補助型枠部材12(2)の本体部12a(2)の高さによって決定される。なお、補助型枠部材を埋設型枠部材に仮固定したコンクリート用型枠18(1),18(2)の構造を型枠関連部材準備工程K11の説明の中で説明したが、この組み立て作業は、型枠関連部材準備工程K11の中で行っても良いし、後述するコンクリート用型枠等設置工程K12の中で行ってもよい。
【0034】
上側連結部材14は、補助型枠部材12(1),12(2)を左右方向に対向させて相互に連結固定するための部材で、
図5に示すように、連結板14aの長さ方向の両端部に、連結板14aから下向きに起立して互いに対向する複数の起立片30で成る型枠保持部14b(1),14b(2)が各々設けられている。また、連結板14aの上面には、作業者が把持できる取っ手32が付設されている。上側連結部材14の使用方法については、コンクリート用型枠等設置工程K12の説明の中で述べる。
【0035】
下側連結部材16は、埋設型枠部材10(1),10(2)を左右方向に対向させて相互に連結固定するための部材で、
図6(a)に示すように、連結バー16aと、連結バー16aの両端部に装着される型枠保持用金具16b(1),16b(2)とで構成される。具体的には、
図6(b)に示すように、連結バー16aは、棒材34の両端部にネジ溝36(1),36(2)を形成し、このネジ溝36(1),36(2)の内側近傍にフランジ部38(1),38(2)を形成した部材とし、型枠保持金具16b(1),16b(2)は、ネジ溝36(1),36(2)に螺合するナットとしている。下側連結部材16の使用方法については、コンクリート用型枠等設置工程K12の説明の中で述べる。
【0036】
<コンクリート用型枠等設置工程K12>
コンクリート用型枠等設置工程K12では、型枠関連部材準備工程K11で準備した部材、及び送水管40a及び散水用のノズル40bを含む融雪用部材40を、現場の施工面42に設置し、
図7(c)に示す状態にする。なお、施工面42は、いわゆる基礎の上面であり、基礎用の砕石を敷き均し、転圧機で十分に締め固めた面である。
【0037】
ここで、融雪用部材40について簡単に説明すると、融雪用部材40は、ノズル40bが接続された散水管40aを略直方体形に組み立てた鉄筋枠体40cの中に配置し、ノズル40bが上を向く角度で散水管40aを鉄筋枠体40cに固定した構造物である。融雪用部材40は、工場で組み立てたものを現場に搬入するのが一般的であるが、パーツを現場に搬入して現場で組み立てる場合もある。
【0038】
以下、コンクリート用型枠等設置工程K12を行う時の作業手順の一例を、
図7(a)~(c)に基づいて説明する。まず、補助型枠部材12(1),12(2)を埋設型枠部材10(1),10(2)に仮固定し、
図4に示すコンクリート用型枠18(1),18(2)を形成する。この作業は、コンクリート用型枠等設置工程K12の中で行ってもよいし、上記の型枠関連部材準備工程K11の中で行ってもよい。
【0039】
次に、埋設型枠部材10(1),10(2)の下端部同士を下側連結部材16で連結固定する。具体的には、埋設型枠部材10(1)の取り付け孔24(1)に連結バー16aのネジ溝36(1)側の端部を挿通し、ネジ溝26(1)に型枠保持用金具16b(1)を螺合させて強く締め付けることによって、埋設型枠部材10(1)をフランジ部38(1)と型枠保持用金具16b(1)との間に挟持させる。また、埋設型枠部材10(2)に対しても同様の操作を行い、埋設型枠部材10(2)をフランジ部38(2)と型枠保持用金具16b(2)との間に挟持させる。これでコンクリート用型枠18(1),18(2)の下端部分同士が相互に連結固定される。
【0040】
そして、
図7(a)に示すように、施工面42の上に、相互に連結固定されたコンクリート用型枠18(1),18(2)を左右一対に立設させ、施工面42の上方に連結バー16aが架設された状態にして、連結バー16aの上面に融雪用部材40を設置する。この時、補助型枠部材12(1),12(2)及び埋設型枠部材10(1),10(2)は仮固定された状態であり、コンクリート用型枠18(1),18(2)の上端面18a(1),18a(2)の高さとノズル40bの高さとが一致していない。
【0041】
そこで、次に、コンクリート用型枠18(1),18(2)の上端面18a(1),18a(2)の高さを調節する操作を行う。まず、コンクリート用型枠18(1)のネジ部材28を緩め、ネジ部材28が補助ネジ孔26(1)の内壁(長孔の内壁)にガイドされて上下方向に移動可能な状態にする。そして、補助型枠部材12(1)を上下方向に移動させることによって、上端面18a(1)の高さをノズル40bの高さに合わせ、ネジ部材28を締め付けて上端面18a(1)の高さを固定する。さらに、コンクリート用型枠18(2)に対しても同様の操作を行い、上端面18a(2)の高さをノズル40bの高さに合わせると、
図7(b)に示す状態になる。
【0042】
その後、左右に対向している補助型枠部材12(1),12(2)の上端部を上側連結部材14で相互に連結固定する。具体的には、補助型枠部材12(1)の上端部を、上側連結部14の型枠保持部14b(1)の起立片30の間に差し込んで嵌合させ、補助型枠部材12(2)の上端部を、上側連結部14の型枠保持部14b(2)の起立片30の間に差し込んで嵌合させる。これで、
図7(c)に示す状態となり、コンクリート用型枠等設置工程K12が終了する。
【0043】
なお、ここまで説明した作業手順[
図7(a)~(c)]はあくまでも一例であり、細かい作業の内容や順番は、現場の状況に合わせて適宜変更することができる。また、埋設型枠部材10(1),10(2)及び補助型枠部材12(1),12(2)のサイズは、現場作業者が扱い易いように、また、現場の状況(例えば、道路の起伏やカーブの大きさ等)に合わせやすいように、1個当たりの長さを0.5~2m程度とし、複数個を長さ方向に並べて設置することが好ましい。
【0044】
<コンクリート打設工程K13>
コンクリート用型枠等設置工程K12が終了すると、次は、コンクリート打設工程K13を行う。まず、
図8(a)に示すように、一対のコンクリート用型枠18(1),18(2)の内側に、上端面18a(1),18(2)の高さまで生コンクリート44aを充填する。
【0045】
その後、しばらく放置し、生コンクリート44aの表層部の硬化が進行して生コンクリート44aの外形がほぼ確立したタイミングで、上側連結部材14を取り外す(
図8(b))。このタイミングであれば、上側連結部材14を取り外しても、コンクリート用型枠18(1),18(2)が生コンクリート44aに押されて外向きに倒れることがなく、
図8(b)の状態が維持される。上側連結部材14は、連結板14aの上面に取っ手32を設けてあるので、作業者が取っ手32を把持して上向きに引っ張ることによって、型枠保持部14b(1),14b(2)と補助型枠部材12(1),12(2)の上端部との嵌合を解除することができ、上側連結部材14を容易に取り外すことができる。
【0046】
そして、生コンクリート44a全体が硬化してコンクリート構造体44bになったタイミングで、ネジ部材28による固定を解除して補助型枠部材12(1),12(2)を取り外す。これで、
図8(c)に示す状態となり、コンクリート打設工程K13が終了する。
【0047】
<整地工程K14>
整地工程K14は、コンクリート打設工程K13の後に又は並行して行う。整地工程K14では、
図9(a)に示すように、施工面42に立設された埋設型枠部材10(1),10(2)の外面側に土を盛って平坦な路床46を形成する。さらに、
図9(b)に示すように、路床46の上に、クラッシャランや粒度調整砕石等の路盤材48とアスファルト50とを順に積層して舗装して仕上げる。
【0048】
<第一の実施形態のまとめ>
以上説明したように、第一の実施形態の散水式融雪装置の施工方法は、コンクリートを打設する際に、埋設型枠部材10(1),10(2)と補助型枠部材12(1)、12(2)とを組み合わせた独特なコンクリート用型枠18(1),18(2)を使用し、施工面42にコンクリート用型枠18(1),18(2)を設置した後、コンクリート用型枠18(1),18(2)の上端面18a(1),18a(2)の高さ調整を容易且つ高精度に行うことを可能にしている。したがって、上端面18a(1),18a(2)の高さをノズル3bの高さに合わせ、上端面18a(1),18a(2)の高さまで生コンクリート44aを充填し硬化させることによって、コンクリート構造体44bの高さとノズル3bの高さを容易に合わせることができる。また、コンクリート用型枠18(1),18(2)の本体部分が、コンクリート打設後に取り外す必要のない埋設型枠部材10(1),10(2)なので、施工工数が大幅に削減される。
【0049】
なお、現場仕様の埋設型枠部材10(1),10(2)は、一般的には、現場仕様の外形に合う専用の型枠を製作し、その型枠内にモルタルを流し込み硬化させてモルタルの素板を成形し、後加工でネジ孔22(1),22(2)や取り付け孔24(1),24(2)を付加するという手順で製造することになる。しかし、近年注目を集めている土木建築用の3Dプリンタを使用して製作する方がより好ましい。土木建築用の3Dプリンタを使用すれば、複雑な形状の埋設型枠部材(モルタル板)を容易に造形することができ、専用の型枠を製作したり、後加工を行ったりする手間が不要になる。また、使用する枚数が変更になった時や、各部の寸法や形状が急遽変更された時でも、動作プログラムを変更するだけで臨機応変に対応することができる。また、3Dプリンタを使用すれば、薄形の埋設型枠部材(モルタル板)を容易に造形できるので、埋設型枠部材10(1),10(2)を格段に軽量化することができる。したがって、埋設型枠部材10(1),10(2)の現場への輸送が容易になり、現場でコンクリート用型枠18(1),18(2)を設置する時の作業負担も大幅に軽減される。
【0050】
上記の補助型枠部材12(1),12(2)は、本発明の散水式融雪装置の施工方法を実施するのに好適な部材であるが、散水式融雪装置の施工以外にも使用可能な汎用性が高いものであり、コンクリート用型枠の本体部分となる主型枠部材(例えば、上記の埋設型枠部材10(1),10(2)のような部材)と組み合わせて使用することによって、上端面の高さ調節が容易で使い勝手の良いコンクリート用型枠が得られる。また、補助型枠部材12(1),12(2)は、耐久性の高い鋼製の部材なので、何度も再利用することができる。
【0051】
<<本発明の第二の実施形態>>
以下、本発明の散水式融雪装置の施工方法の第二の実施形態について、
図10~
図13に基づいて説明する。第二の実施形態の散水式融雪装置の施工方法では、
図10に示すように、配管溝掘削工程K21、型枠関連部材準備工程K11、コンクリート用型枠等設置工程K12、型枠外面支持工程K22、コンクリート打設工程K13及び整地工程K14を実施する。第一の実施形態の散水式融雪装置の施工方法との違いは、配管溝掘削工程K21及び型枠外面支持工程K22が新たに追加されている点である。
【0052】
<配管溝掘削工程K21>
配管溝掘削工程K21は、コンクリート用型枠等設置工程K11の前に行う工程であり、
図11(a)に示すように、現場の地面52を掘削して配管溝54を形成し、配管溝54の底面に施工面42を形成する工程である。施工面42は、いわゆる基礎の上面であり、基礎用の砕石を敷き均し、転圧機で十分に締め固めた面である。
【0053】
<型枠関連部材準備工程K11>
型枠関連部材準備工程K11は、上述した第一の実施形態の型枠関連部材準備工程K11と同様の内容である。
<コンクリート用型枠等設置工程K12、型枠外面支持工程K22>
コンクリート用型枠等設置工程K12は、上述した第一の実施形態のコンクリート用型枠等設置工程K12と同様の内容である。ここでは、
図11(b),(c)に示すように、コンクリート用型枠等設置工程K12と並行して(後のコンクリート打設工程K13を行う前に)、型枠外面支持工程K22を行う。
【0054】
型枠外面支持工程K22は、施工面42に立設された一対のコンクリート用型枠18(1),18(2)の外面側に、コンクリート用型枠18(1),18(2)が外向きに倒れないように支持する外面支持部材である埋め戻し土56を配置する工程である。埋め戻し土56は、例えば、配管溝掘削工程K21で取り除いた土を使用するとよい。
【0055】
<コンクリート打設工程K13>
コンクリート打設工程K13は、
図12(a)~(c)に示すように、上述した第一の実施形態のコンクリート打設工程をとほぼ同様の内容である。ただし、第二の実施形態の場合、事前に型枠外面支持工程K13を行っているので(外面支持部材56が配置されているので)、上側連結部材14を取り外すタイミングの許容範囲が広くなるという利点がある。
【0056】
上記の第一の実施形態の場合、型枠外面支持工程K22を行わないので(外面支持部材を配置しないので)、上側連結部材14を取り外す作業は、生コンクリート44aの硬化が進行して生コンクリート44aの外形がほぼ確立したタイミングに行わないと、コンクリート用型枠18(1),18(2)が外向きに倒れてしまう可能性がある。しかし、第二の実施形態の場合、事前に型枠外面支持工程K22を行っているので(外面支持部材が配置されているので)、上側連結部材14を取り外す作業は、生コンクリート44aの硬化が進行するのを待つことなく、適宜のタイミングで行うことができる。なお、コンクリート打設工程K13では補助型枠部材12(1),12(2)を取り外す作業を行うので、外面支持部材56は、この作業の妨げにならないように配置する点に留意する。
【0057】
<整地工程K14>
型枠関連部材準備工程K11は、
図13(a)~(c)に示すように、上述した第一の実施形態の型枠関連部材準備工程K11とほぼ同様の内容である。
【0058】
<第二の実施形態のまとめ>
以上説明したように、第二の実施形態の散水式融雪装置の施工方法は、第一の実施形態とほぼ同様の効果が得られる。さらに、独特な型枠外面支持工程K22を行うので、上側連結部材14を取り外すタイミングの許容範囲が広くなり、作業者が生コンクリート44aの硬化の進行具合を注意深く監視する必要がなくなるという利点がある。
【0059】
<<その他の実施形態や変形例など>>
なお、本発明の散水式融雪装置の施工方法及びこれに使用可能な補助型枠部材は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、埋設型枠部材10(1),10(2)及び補助型枠部材12(1),12(2)の、ねじ部材28を差し込むネジ孔22(1),22(2)及び補助ネジ孔26(1),26(2)は、ネジ孔と補助ネジ孔の少なくとも一方が長孔であれば、上下方向の位置関係の調節が可能になる。また、この高さ調節のための構造は、操作性が良い構造であれば、ねじ部材を使用しない別の構造に変更してもよい。
【0060】
補助型枠部材12(1),12(2)の本体部12a(1),12a(2)は、断面が略長方形の角筒状に形成されているが、本体部に求められる強度が確保できる等の条件を満たせば、別の構造に変更することができる。また、上側連結部材は、上記の上側連結部材14の構成に限定されず、一対の補助型枠部材を着脱可能に連結固定できるものであれば、他の構成に変更することができる。
【0061】
下側連結部材は、上記の下側連結部材16の構成に限定されず、一対の埋設型枠部材を適切に連結固定できるものであれば、他の構成に変更することができる。例えば、
図14(a)に示す下側連結部材58のように、連結板58aの長さ方向の両端部に、連結板58aから上向きに起立して互いに対向する複数の起立片60で成る型枠保持部58b(1),58(2)を各々設けた構成(上記の上側連結部材14から取っ手32を削除したような構成)に変更することができる。
【0062】
ただし、下側連結部材58を使用する場合は、
図14(b)に示すように、融雪用部材40を施工面42から浮かせるため、融雪用部材40を下方から支持できるスペーサ部材62を用意することが好ましい。また、
図14(c)に示すように、下側連結部材58と上記の下側連結部材16とを併用してもよく、これによって一対の埋設型枠部材をより強固に連結固定することができ、コンクリート用型枠等設置工程のその他の作業(例えば、下側連結部材16の連結バー16aの上面に融雪用部材40を設置する作業等)をより安定に行うことができる。
【0063】
型枠外面支持工程を行う場合、外面支持部材は、上記の埋め戻し土56以外の部材を使用することができる。外面支持部材は、施工面に立設された一対のコンクリート用型枠の外面側を、生コンクリートを投入した時に外向きに倒れないように支持できるものであればよく、現場の状況に合わせ、自由に変更することができる。例えば、
図15(a)に示すように、パイプサポート64を使用して、コンクリート用型枠の外面側を斜めに支持する構造にしてもよい。また、
図15(b)に示すように、コンクリート用型枠の外面側に他の構造物がある場合、梁部材66を使用して、コンクリート用型枠の外面側を横方向に支持する構造にしてもよい。
【0064】
その他、現場の施工前の状態は特に限定されず、必要に応じて上記の埋設管掘削工程K21のような前準備の工程を行う。また、コンクリート打設工程の後の整地工程も必要に応じて実施すればよく、例えば、仕上げを別の業者(舗装業者等)が行う場合、その業者が求める程度に整地すればよい。
【符号の説明】
【0065】
10(1),10(2) 埋設型枠部材
12(1),12(2) 補助型枠部材
12a(1),12a(2) 本体部
12b(1),12b(2) 取り付け部
14 上側連結部材
14a 連結板
14b(1),14b(2) 型枠保持部
16,58 下側連結部材
16a 連結バー
16b(1),16b(2) 型枠保持用金具
18(1),18(2) コンクリート用型枠
18a(1),18a(2) 上端面
20 ワイヤメッシュ
22(1),22(2) ネジ孔
24(1),24(2) 取り付け孔
26(1),26(2) 補助ネジ孔
28 ネジ孔
30 起立片
40 融雪用部材
40a 送水管
40b ノズル
42 施工面
44a 生コンクリート
44b コンクリート構造体(生コンクリートが硬化したもの)
46 路床
48 路盤材
50 アスファルト
52 地面
54 配管溝
56 埋め戻し土(外面支持部材)
64 パイプサポート(外側支持部材)
66 梁部材(外側支持部材)
K11 型枠関連部材準備工程
K12 コンクリート用型枠等設置工程
K13 コンクリート打設工程
K14 整地工程
K21 配管溝掘削工程
K22 型枠外面支持工程