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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017690
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】粉粒体の検査選別装置
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/342 20060101AFI20250130BHJP
   B01J 4/00 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
B07C5/342
B01J4/00 105A
B01J4/00 105D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120860
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】591011384
【氏名又は名称】株式会社パウレック
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(72)【発明者】
【氏名】田林 功至
(72)【発明者】
【氏名】長門 琢也
【テーマコード(参考)】
3F079
4G068
【Fターム(参考)】
3F079AB00
3F079BA12
3F079CA31
3F079CA41
3F079CB25
3F079CB33
3F079CC06
3F079DA01
4G068AA01
4G068AA07
4G068AB22
4G068AC20
4G068AD01
4G068AD39
4G068AD40
4G068AF10
(57)【要約】
【課題】粉粒体が粉粒体通路に残留することを防止又は抑制する。
【解決手段】検査選別装置は、粉粒体処理装置1から排出される粉粒体Pが重力により降下する降下通路2と、降下通路2を降下した粉粒体Pが一時的に溜まる貯留部3と、粉粒体の物性Pを測定して、貯留部3内の粉粒体Pが規格内品か規格外品かを判定する検査部4と、貯留部3の一部を開閉可能な開閉部7aを有し、検査部4が貯留部3に溜まった粉粒体Pを規格内品と判定したときに、開閉部7aを開き、貯留部3に溜まった粉粒体9を貯留部3から重力により流出させて規格内品通路5に移送する第1移送部7と、検査部4が貯留部3に溜まった粉粒体Pを規格外品と判定したときに、貯留部3に溜まった粉粒体をP空気吸引又は空気圧送により規格外品通路6に移送する第2移送部8を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続式の粉粒体処理装置から排出される粉粒体を検査して、所定の規格を満たす規格内品と、所定の規格を満たさない規格外品とに選別する粉粒体の検査選別装置であって、
前記粉粒体が重力により降下する降下通路と、
前記降下通路を降下した前記粉粒体が一時的に溜まる貯留部と、
前記貯留部に溜まった前記粉粒体の物性を測定する測定部を有し、前記測定部の測定結果に基づいて、前記粉粒体が前記規格内品か前記規格外品かを判定する検査部と、
前記規格内品が移送される規格内品通路と、
前記規格外品が移送される規格外品通路と、
前記貯留部の一部を開閉可能な開閉部を有し、前記検査部が前記貯留部に溜まった前記粉粒体を前記規格内品と判定したときに、前記開閉部を開き、前記貯留部に溜まった前記粉粒体を前記貯留部から重力により流出させて、前記規格内品通路に移送する第1移送部と、
前記検査部が前記貯留部に溜まった前記粉粒体を前記規格外品と判定したときに、前記貯留部に溜まった前記粉粒体を、空気吸引又は空気圧送により、前記規格外品通路に移送する第2移送部と、
を備えたことを特徴とする粉粒体の検査選別装置。
【請求項2】
前記貯留部は、U字形状、V字形状および有底筒形状の中から選択される一の形状を有する請求項1に記載の粉粒体の検査選別装置。
【請求項3】
前記検査部は、前記測定部に加え、前記降下通路を降下する前記粉粒体の物性を測定する第2測定部を更に有し、前記検査部は、前記測定部により測定された前記粉粒体の物性が所定の規格を満たし、かつ、前記第2測定部により測定された前記粉粒体の物性が所定の規格を満たす場合に、前記貯留部に溜まった前記粉粒体を前記規格内品と判定し、それ以外の場合は、前記貯留部に溜まった前記粉粒体を前記規格外品と判定する請求項1又は2に記載の粉粒体の検査選別装置。
【請求項4】
前記測定部と前記第2測定部は、前記粉粒体の異なる物性をそれぞれ測定する請求項3に記載の粉粒体の検査選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続式の粉粒体処理装置から排出される粉粒体を検査して、所定の規格を満たす規格内品と、所定の規格を満たさない規格外品とに選別する検査選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品、食品、農薬、電池材料等の製造分野では、粉粒体製品の生産効率を上げるため、連続生産システムの開発が進んでいる。例えば、医薬品等の錠剤を連続的に生産するシステムでは、原料粉体(医薬原料等)を混合する混合装置、混合装置で混合された原料粉体を造粒する造粒装置、造粒装置で造粒された造粒物を乾燥させる乾燥装置、乾燥装置で乾燥された造粒物に潤滑剤等の添加剤粉末を添加して混合する混合装置、混合装置で混合された混合粉体を圧縮成形して錠剤形態にする粉体圧縮成形装置(打錠機)、粉体圧縮成形装置で圧縮成形された錠剤にコーティング膜を形成するコーティング装置、等の各種粉粒体処理装置で一連の生産ラインを構築し、前工程の粉粒体処理装置で連続的に処理される粉粒体を次工程の粉粒体処理装置に順次に移送して所要の処理を行う。
【0003】
上記のような粉粒体製品の連続生産システムでは、前工程の粉粒体処理装置から排出される粉粒体(処理物)を検査して、所定の規格を満たす規格内品か、所定の規格を満たさない規格外品かを判定し、規格内品と判定した場合は次工程の粉粒体処理装置に移送し、規格外品と判定した場合は生産ラインから排除するようにしていることが多い。例えば、下記の特許文献1には、造粒物を一時的に貯留する貯留部と、貯留部内の造粒物の物性を検査する検査部と、検査部の検査結果に基づいて、造粒物の進路を切替える切替え弁を備えた逸脱処理装置が開示されている。貯留部は、造粒物の搬送路上に設けられ、上下の開閉弁の間に形成される。造粒物を貯留部に貯留する際は、上開閉弁を開位置、下開閉弁を閉位置にし、貯留部内の造粒物を検査する際は、上下の開閉弁を閉位置にし、貯留部内の造粒物を下流側に流出させる際は、下開閉弁を開位置にする。切替え弁は、検査部が貯留部内の造粒物を規格内品と判定した場合は、通常位置に維持し、検査部が貯留部内の造粒物を規格外品と判定した場合は、貯留部の下流側の搬送路を排出路に連通させる逸脱位置に切替える。貯留部から流出した規格内品の造粒物は、切替え弁が通常位置に維持されることにより、下流側の搬送路を通って次工程の処理装置に移送される。一方、貯留部から流出した規格外品の造粒物は、切替え弁が逸脱位置に切替えられることにより、排出路に案内されてシステム外へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7116975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の逸脱処理装置(検査選別装置)では、貯留部を開閉する開閉弁や、貯留部から流出した規格外品の粉粒体を排出路に案内する切替え弁を、搬送路(粉粒体通路)に設けているため、粉粒体通路に粉粒体の残留が生じ易い。とくに、粉粒体通路に残留した粉粒体が開閉弁や切替え弁の可動部分に噛み込まれると、弁の動作が不能または不安定になり、検査選別動作の実行に支障が生じると共に、検査選別装置を洗浄する際の洗浄作業や、洗浄後のバリデーションに手間が掛かる。
【0006】
上記の事情に鑑み、本発明は、粉粒体通路に粉粒体が残留することを防止又は抑制することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、連続式の粉粒体処理装置から排出される粉粒体を検査して、所定の規格を満たす規格内品と、所定の規格を満たさない規格外品とに選別する粉粒体の検査選別装置であって、前記粉粒体が重力により降下する降下通路と、前記降下通路を降下した前記粉粒体が一時的に溜まる貯留部と、前記貯留部に溜まった前記粉粒体の物性を測定する測定部を有し、前記測定部の測定結果に基づいて、前記粉粒体が前記規格内品か前記規格外品かを判定する検査部と、前記規格内品が移送される規格内品通路と、前記規格外品が移送される規格外品通路と、前記貯留部の一部を開閉可能な開閉部を有し、前記検査部が前記貯留部に溜まった前記粉粒体を前記規格内品と判定したときに、前記開閉部を開き、前記貯留部に溜まった前記粉粒体を前記貯留部から重力により流出させて、前記規格内品通路に移送する第1移送部と、前記検査部が前記貯留部に溜まった前記粉粒体を前記規格外品と判定したときに、前記貯留部に溜まった前記粉粒体を、空気吸引又は空気圧送により、前記規格外品通路に移送する第2移送部と、を備えたことを特徴とする粉粒体の検査選別装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、粉粒体が粉粒体通路に残留することを防止又は抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係る粉粒体の検査選別装置を概念的に示す図である。
図2】貯留部を模式的に示す図である。
図3】貯留部の第1の変形例を模式的に示す図である。
図4】貯留部の第2の変形例を模式的に示す図である。
図5】貯留部の第3の変形例を模式的に示す図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る粉粒体の検査選別装置を概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、第1の実施形態に係る粉粒体の検査選別装置を概念的に示している。この実施形態の検査選別装置は、連続式の粉粒体処理装置1から排出される粉粒体を検査して、所定の規格を満たす規格内品と、所定の規格を満たさない規格外品とに選別する装置である。粉粒体処理装置1は、例えば、粉粒体を混合する混合装置、粉粒体を造粒する造粒装置、粉粒体を乾燥させる乾燥装置、粉粒体を圧縮成形する粉体圧縮成形装置(打錠機)、粉粒体にコーティン処理を施すコーティング装置の中から選択される一の装置である。また、検査選別装置で検査選別する粉粒体は、粉体の混合物、造粒物、粉体と造粒物の混合物、造粒物の混合物、粉体及び/又は造粒物の圧縮成形物(錠剤等)、コーティング処理物の中から選択される一の物質である。例えば、検査選別装置は、粉粒体製品の連続生産システムにおいて、前工程の粉粒体処理装置と次工程の粉粒体処理装置との間に配置され、規格内品のみを次工程の粉粒体処理装置に送り、規格外品は生産ラインから排除する役割を行う。
【0012】
この実施形態において、粉粒体処理装置1は、複数種類の原料粉体(医薬原料等)を連続的に混合する連続混合装置であり、検査選別装置は、連続混合装置から連続的に排出される粉体混合物を検査して、規格内品と規格外品とに選別する。
【0013】
検査選別装置は、粉粒体処理装置1(連続混合装置)から排出される粉粒体(粉体混合物)Pが重力により降下する降下通路2と、降下通路2を降下した粉粒体Pが一時的に溜まる貯留部3と、粉粒体Pの物性を測定して、貯留部3内の粉粒体Pが規格内品P1か規格外品P2かを判定する検査部4(4a、4b、4c)と、規格内品P1が移送される規格内品通路5と、規格外品P2が移送される規格外品通路6と、検査部4の判定結果に基づいて、貯留部3内の粉粒体P(P1)を規格内品通路5に移送する第1移送部7と、貯留部3内の粉粒体P(P2)を規格外品通路6に移送する第2移送部8を主要な要素として構成される。
【0014】
この実施形態において、降下通路2は鉛直方向に沿うように形成され、降下通路2の上流側は粉粒体処理装置1の排出路1aに連通し、降下通路2の下流側は貯留部3に連通する。また、貯留部3の下流側は接続通路9を介して規格外品通路6に連通する。排出路1a、降下通路2、貯留部3、接続通路9、規格内品通路5および規格外品通路6は、円形断面又は非円形断面(四角形断面等)の管路の形態を有する。
【0015】
排出路1aと降下通路2との間に排出弁2aが介装されている。排出弁2aは、適宜の手段で開閉駆動され、粉粒体処理装置1から排出される粉粒体Pを所定量に区分けして逐次に降下通路2に流通させる切出し弁として機能する。すなわち、排出弁2aは常時は閉位置に維持され、粉粒体処理装置1から排出される粉粒体Pは排出弁2aによってせき止められて、排出路1aに滞留する。そして、排出路1aに所定量の粉粒体Pが滞留した時点で、排出弁2aが開位置に切替わり、排出路1aに滞留した所定量の粉粒体Pが降下通路2に流通する。排出路1aに滞留した所定量の粉粒体Pが降下通路2に流通すると、排出弁2aは閉位置に復帰する。排出弁2aはこのような開閉動作を自動的に繰り返して、所定量の粉粒体Pを逐次に降下通路2に流通させる。排出弁2aが閉位置から開位置に切替わる動作は、所定時間ごとに実行されるようにしてもよいし、あるいは、排出路1a内の粉粒体Pの滞留量を適宜のセンサで検知した結果に基づいて実行されるようにしてもよい。
【0016】
また、降下通路2の最上流部に空気取入れ口2bが接続されている。空気取入れ口2bはフィルター2b1を備えており、降下通路2に空気吸引力が作用すると、外気がフィルター2b1を通過して降下通路2に流入する。
【0017】
排出路1aに所定量の粉粒体Pが滞留し、排出弁2aが開位置に切替わると、排出路1a内の所定量の粉粒体Pが降下通路2を重力により降下(この実施形態では落下)して、貯留部3に溜まる。
【0018】
この実施形態において、検査部4は、貯留部3に溜まった静止状態の粉粒体Pの物性を測定する第1測定部4aと、降下通路2を落下する粉粒体Pの物性を測定する第2測定部4bを備えている。第1測定部4aと第2測定部4bは、同種のものであってもよいし、異なる種類のものであってもよい。また、第1測定部4aと第2測定部4bは、粉粒体Pの同じ物性を測定するものであってもよいし、粉粒体Pの異なる物性を測定するものであってもよい。
【0019】
第1測定部4aは、光学センサ、例えば、近赤外分光センサ(NIR)、中赤外分光センサ、ラマン分光センサ等の分光センサ、プローブ型粒度分布計、レーザー回析式粒度分布計、空間速度フィルター式粒度分布計等の粒度分布測定装置、画像解析装置、歪センサ又はトルクセンサ等であり、粉粒体Pの成分含量、結晶形、かさ密度、粒度分布、粒子径、粒子形状、歪、流動特性等の物性を測定する。
【0020】
図2に模式的に示すように、この実施形態では、第1測定部4aとして分光センサ、特に近赤外分光センサ(NIR)を用いて、貯留部3に溜まった粉粒体Pの成分含量を測定する。第1測定部4aは、貯留部3内の粉粒体Pに検査光L(近赤外光)を照射し、その反射光(又は透過光)を受光する投受光部4a1と、投受光部4a1で受光した光のスペクトル(NIRスペクトル)に基づいて粉粒体Pの成分含量を求め、その成分含量が所定の規格を満たすか否かを判定する本体部4a2を備えている。本体部4a2での判定結果は総合判定部4cに送られる(図1を参照)。
【0021】
図2に模式的に示すように、この実施形態において、貯留部3はU字形状(下方に凸の湾曲部を有する形状)に形成され、その側部に透明なガラスや樹脂等で形成された透光部3aが設けられ、その最低位部位に、後述する第1移送部7を構成する開閉部7aが設けられる。規格内品通路5は、開閉部7aを含む貯留部3の下部に接続される。第1測定部4aの投受光部4a1は、透光部3aに臨む外部位置に配置され、透光部3aを介して貯留部3内の粉粒体Pに検査光Lを照射し、また、貯留部3内の粉粒体Pで反射した反射光を透光部3aを介して受光する。
【0022】
第2測定部4bは、光学センサ、例えば、近赤外分光センサ(NIR)、中赤外分光センサ、ラマン分光センサ等の分光センサ、プローブ型粒度分布計、レーザー回析式粒度分布計、空間速度フィルター式粒度分布計等の粒度分布測定装置、画像解析装置、歪センサ又はトルクセンサ等であり、粉粒体Pの成分含量、結晶形、かさ密度、粒度分布、粒子径、粒子形状、歪、流動特性等の物性を測定する。
【0023】
図1に示すように、この実施形態では、第2測定部4bとしてプローブ型粒度分布計を用いて、降下通路2を落下する粉粒体Pの粒度分布や粒子径等を測定する。第2測定部4bは、その先端部が降下通路2に挿入され、降下通路2を落下する粉粒体Pに関する光学情報を取得するプローブ4b1と、プローブ4b1で取得した光学情報に基づいて粉粒体Pの粒度分布を求め、その粒度分布が所定の規格を満たすか否かを判定する本体部4b2を備えている。本体部4b2での判定結果は総合判定部4cに送られる。
【0024】
第1移送部7は、上述した開閉部7aを有する。開閉部7aは、電磁力、空気圧、油圧等の作動力で切替わる自動開閉弁で構成され、貯留部3の一部(最低位部位)を閉じる閉位置と、貯留部3の一部(最低位部位)を開口する開位置とに切替え可能である。開閉部7aは常時は閉位置に維持される。第1移送部7は、検査部4が貯留部3に溜まった粉粒体Pを規格内品P1と判定したときに、開閉部7aを開き、貯留部3に溜まった規格内品P1を貯留部3から重力により流出させて規格内品通路5に移送する。規格内品通路5を鉛直方向に形成した場合、貯留部3から流出した規格内品P1は規格内品通路5を落下し、規格内品通路5を傾斜方向に形成した場合、貯留部3から流出した規格内品P1は規格内品通路5に沿って降下する。この実施形態では、規格内品通路5を鉛直方向に形成し、貯留部3から流出した規格内品P1を規格内品通路5に落下させる構成にしている。
【0025】
第2移送部8は、この実施形態では、貯留部3内の粉粒体Pを空気吸引により移送する空気吸引式に構成され、固気分離部8aと、空気吸引源8bと、切替え部8cを備えている。切替え部8cは、電磁力、空気圧、油圧等の作動力で切替わる自動切替え弁で構成され、空気吸引源8bとして、吸引ブロアー、真空ポンプ、エジェクターポンプ等が用いられる。
【0026】
固気分離部8aは、容器の形態を有し、吸引室8a1と、固気分離室8a2と、回収室8a3を備えている。吸引室8a1と固気分離室8a2とは、フィルター8a4が取り付けられた仕切壁8a5で仕切られ、フィルター8a4を介して相互に連通する。固気分離室8a2と回収室8a3との間は、常時はフラップ弁8a6によって閉鎖される。吸引室8a1は、吸引管8a7を介して、切替え部8cに接続され、固気分離室8a2は規格外品通路6に接続される。フラップ弁8a6は、適宜の手段で開閉駆動される。
【0027】
切替え部8cは、空気吸引源8bに接続され、吸引管8a7を空気吸引源8bから遮断する第1位置と、吸引管8a7を空気吸引源8bに連通させる第2位置とに切替え可能である。切替え部8cは常時は第1位置に維持される。
【0028】
つぎに、この実施形態の検査選別装置の動作について説明する。
【0029】
連続式の粉粒体処理装置1から排出される粉粒体Pが排出路1aに所定量滞留すると、排出弁2aが開位置に切替わり、排出路1a内の所定量の粉粒体Pが降下通路2を重力により落下する。第2測定部4bは、降下通路2を落下する粉粒体Pの粒度分布を測定し、その粒度分布が所定の規格を満たすか否かを判定する。この判定結果は、本体部4b2から総合判定部4cに送られる。
【0030】
降下通路2を重力により落下した所定量の粉粒体Pは、U字形状の貯留部3で止まり、貯留部3の湾曲部に溜まる。第1測定部4aは、貯留部3に溜まった静止状態の粉粒体Pの成分含量を測定し、その成分含量が所定の規格を満たすか否かを判定する。この判定結果は、本体部4a2から総合判定部4cに送られる。
【0031】
総合判定部4cは、第1測定部4aから受領した判定結果が合格(所定の規格を満たす)で、かつ、第2測定部4bから受領した判定結果が合格(所定の規格を満たす)である場合に、貯留部3に溜まった所定量の粉粒体Pを規格内品P1と判定し、切替え信号S1を第1移送部7の開閉部7a(または開閉部7a等の作動を制御する制御装置)に出力する。この切替え信号S1により、開閉部7aが上記の閉位置から開位置に切替わり、貯留部3の一部(最低位部位)が開口される。貯留部3に溜まった粉粒体P(規格内品P1)は、貯留部3(開閉部7a)から重力により流出して規格内品通路5に移送される。規格内品通路5に移送された規格内品P1は、適宜の手段で次工程に移送される。
【0032】
一方、総合判定部4cは、第1測定部4aから受領した判定結果と第2測定部4bから受領した判定結果の少なくとも一方が不合格(所定の規格を満たさない)である場合は、貯留部3に溜まった粉粒体Pを規格外品P2と判定し、切替え信号S2を第2移送部8の切替え部8c(または切替え部8c等の作動を制御する制御装置)に出力する。この切替え信号S2により、切替え部8cが上記の第1位置から第2位置に切替わり、第2移送部8の吸引管8a7が空気吸引源8bに連通する。これにより、固気分離部8aの吸引室8a1が吸引管8a7を介して空気吸引源8bに連通し、空気吸引源8bで発生する空気吸引力が、吸引室8a1→フィルター8a4→固気分離室8a2という経路で規格外品通路6に作用し、さらに、規格外品通路6→接続通路9→貯留部3という経路で降下通路2に作用する。そして、降下通路2に作用する空気吸引力によって、外気が空気取入れ口2bから降下通路2に吸引され、降下通路2から上記の一連の経路を下流側に向かって流れる吸引空気流が発生する。貯留部3に溜まった粉粒体P(規格外品P2)は、上記の吸引空気流によって吸引され、接続通路9および規格外品通路6を流通して第2移送部8の固気分離室8a2に入り、吸引空気流から分離されて固気分離室8a2の底部に溜まる。そして、以上の空気吸引動作が完了すると、切替え部8cが第1位置に復帰し、固気分離部8aが空気吸引源8bから遮断される。その後、フラップ弁8a6が開かれて、固気分離室8a2に溜まった規格外品P2が回収室8a3に移送される。回収室8a3に移送された規格外品P2は、適宜の手段で生産ラインから排除される。
【0033】
この実施形態の検査選別装置は、粉粒体処理装置1から排出される所定量の粉粒体Pを、降下通路2で重力により落下させて貯留部3に一時的に溜めると共に、検査部4が貯留部3に溜まった粉粒体Pを規格内品P1と判定したときは、第1移送部7により、貯留部3に溜まった規格内品P1を重力により流出させて規格内品通路5に移送し、検査部4が貯留部3に溜まった粉粒体Pを規格外品P2と判定したときは、第2移送部8により、貯留部3に溜まった規格外品P2を空気吸引して規格外品通路6に移送する。そのため、従来装置に比べ、粉粒体通路(降下通路2、貯留部3、接続通路9、規格内品通路5、規格外品通路6)に配置する弁体(開閉弁や切替え弁等)を少なくすることができる。これにより、粉粒体通路に粉粒体の滞留が生じにくくなる。しかも、第2移送部8の作動により、規格外品P2を規格外品通路6に移送する際、粉粒体通路(降下通路2、貯留部3、連通路9、規格外品通路6)が上記の吸引空気流によって清掃されるので、粉粒体通路に粉粒体が残留することが効果的に防止又は抑制される。また、規格内品P1については、重力により貯留部3から流出させて規格内品通路5に移送するので、粉粒体P(規格内品P1)が複数種類の原料粉体を混合した混合粉体等であっても、成分の偏析を生じさせずに規格内品通路5に移送することができる。
【0034】
この実施形態において、検査部4は第1測定部4aと第2測定部4bを備えているが、第2測定部4bは省略してもよい。この場合、総合判定部4cをなくして、第1測定部4aの本体部4a2から切替え信号S1(S2)を開閉部7a(切替え部8c)に出力するようにしてもよい。また、第1測定部4aは、貯留部3に溜まった粉粒体Pにプローブの先端部を接触させて、粉粒体Pの物性を測定する方式のものであってもよい。
【0035】
また、この実施形態では、降下通路2を鉛直方向に形成し、粉粒体が重力により降下通路2内を落下するように構成にしているが、降下通路2を傾斜方向に形成し、粉粒体が重力により降下通路2に沿って降下するように構成にしてもよい。
【0036】
また、第2移送部8の固気分離部は、サイクロン方式等の固気分離室を有するものであってもよく、また、フラップ弁と回収室をなくし、固気分離室で固気分離した粉粒体P(規格外品P2)を、固気分離室から生産ライン外に移送するように構成してもよい。
【0037】
さらに、貯留部3の形態は、U字形状に限らず、種々の変形が可能である。
【0038】
図3は、貯留部3の第1の変形例を模式的に示している。この変形例の貯留部3は、V字形状(下方に凸の屈曲部を有する形状)に形成され、その側部に透光部3aが設けられ、その最低位部位(屈曲部)に第1移送部7の開閉部7a(両開き方式)が設けられている。降下通路2を降下した所定量の粉粒体Pは、V字形状の貯留部3で止まり、貯留部3の屈曲部に溜まる。
【0039】
図4は、貯留部3の第2の変形例を模式的に示している。この変形例の貯留部3は、有底筒形状に形成され、その側部に透光部3aが設けられ、その最低位部位(底部)に第1移送部7の開閉部7aが設けられている。接続通路9は、貯留部3の上部に分岐接続される。降下通路2を降下した所定量の粉粒体Pは、有底筒形状の貯留部3で止まり、貯留部3の底部に溜まる。
【0040】
図5は、貯留部3の第3の変形例を模式的に示している。この変形例の貯留部3も、有底筒形状に形成され、その側部に透光部3aが設けられ、その最低位部位(底部)に第1移送部7の開閉部7aが設けられている。接続通路9は、貯留部3の下部に分岐接続される。降下通路2を降下した所定量の粉粒体Pは、有底筒形状の貯留部3で止まり、貯留部3の底部に溜まる。
【0041】
図6は、第2の実施形態に係る粉粒体の検査選別装置を概念的に示している。第1の実施形態と実質的に同一の構成要素には同一の符号を示し、重複する説明を省略する。
【0042】
第2の実施形態では、第1の実施形態における空気吸引式の第2移送部8に代えて、空気圧送式の第2移送部18を用いている。第2移送部18は、固気分離部18aと、空気圧送源18bと、切替え部18cを備えている。空気圧送源18bは、送風ブロアーやエアーコンプレッサー等で構成され、切替え部18cを介して、降下通路2の最上流部に接続される。切替え部18cは、電磁力、空気圧、油圧等の作動力で切替わる自動切替え弁で構成され、空気圧送源18bと降下通路2との間を遮断する第1位置と、空気圧送源18bを降下通路2に連通させる第2位置とに切替え可能である。切替え部18cは常時は第1位置に維持される。
【0043】
固気分離部18aは、容器の形態を有し、排気室18a1と、固気分離室18a2と、回収室18a3を備えている。排気室18a1と固気分離室18a2とは、フィルター18a4が取り付けられた仕切壁18a5で仕切られ、フィルター18a4を介して相互に連通する。固気分離室18a2と回収室18a3との間は、常時はフラップ弁18a6によって閉鎖される。排気室8a1は排気管18a7に接続され、固気分離室18a2は規格外品通路6に接続される。フラップ弁18a6は、適宜の手段で開閉駆動される。
【0044】
つぎに、第2の実施形態の検査選別装置の動作について説明する。
【0045】
連続式の粉粒体処理装置1から排出される粉粒体Pが排出路1aに所定量滞留すると、排出弁2aが開位置に切替わり、排出路1a内の所定量の粉粒体Pが降下通路2を重力により落下する。第2測定部4bは、降下通路2を落下する粉粒体Pの粒度分布を測定し、その粒度分布が所定の規格を満たすか否かを判定する。この判定結果は、本体部4b2から総合判定部4cに送られる。
【0046】
降下通路2を重力により落下した所定量の粉粒体Pは、U字形状の貯留部3で止まり、貯留部3の湾曲部に溜まる。第1測定部4aは、貯留部3に溜まった静止状態の粉粒体Pの成分含量を測定し、その成分含量が所定の規格を満たすか否かを判定する。この判定結果は、本体部4a2から総合判定部4cに送られる。
【0047】
総合判定部4cは、第1測定部4aから受領した判定結果が合格(所定の規格を満たす)で、かつ、第2測定部4bから受領した判定結果が合格(所定の規格を満たす)である場合に、貯留部3に溜まった所定量の粉粒体Pを規格内品P1と判定し、切替え信号S1を第1移送部7の開閉部7a(または開閉部7a等の作動を制御する制御装置)に出力する。この切替え信号S1により、開閉部7aが上記の閉位置から開位置に切替わり、貯留部3の一部(最低位部位)が開口される。貯留部3に溜まった粉粒体P(規格内品P1)は、貯留部3(開閉部7a)から重力により流出して規格内品通路5に移送される。規格内品通路5に移送された規格内品P1は、適宜の手段で次工程に移送される。
【0048】
一方、総合判定部4cは、第1測定部4aから受領した判定結果と第2測定部4bから受領した判定結果の少なくとも一方が不合格(所定の規格を満たさない)である場合は、貯留部3に溜まった粉粒体Pを規格外品P2と判定し、切替え信号S3を第2移送部18の切替え部18c(または切替え部18c等の作動を制御する制御装置)に出力する。切替え信号S3により、切替え部18cが上記の第1位置から第2位置に切替わり、空気圧送源18bが降下通路2に連通する。これにより、空気圧送源18bで発生する圧送空気が降下通路2に流入し、この圧送空気は、降下通路2→貯留部3→接続通路9→規格外品通路6→固気分離部18aという経路で流れる。貯留部3に溜まった粉粒体P(規格外品P2)は、この圧送空気流によって圧送され、接続通路9および規格外品通路6を流通して固気分離室18a2に入り、圧送空気流から分離されて固気分離室18a2の底部に溜まる。そして、以上の空気圧送動作が完了すると、切替え部18cが第1位置に復帰し、空気圧送源18bが降下通路2から遮断される。その後、フラップ弁18a6が開かれて、固気分離室18a2に溜まった規格外品P2が回収室18a3に移送される。回収室18a3に移送された規格外品P2は、適宜の手段で生産ラインから排除される。
【0049】
この実施形態の検査選別装置は、粉粒体処理装置1から排出される所定量の粉粒体Pを、降下通路2で重力により落下させて貯留部3に一時的に溜めると共に、検査部4が貯留部3に溜まった粉粒体Pを規格内品P1と判定したときは、第1移送部7により、貯留部3に溜まった規格内品P1を重力により流出させて規格内品通路5に移送し、検査部4が貯留部3に溜まった粉粒体Pを規格外品P2と判定したときは、第2移送部18により、貯留部3に溜まった規格外品P2を空気圧送して規格外品通路6に移送する。そのため、従来装置に比べ、粉粒体通路(降下通路2、貯留部3、接続通路9、規格内品通路5、規格外品通路6)に配置する弁体(開閉弁や切替え弁等)を少なくすることができる。これにより、粉粒体通路に粉粒体の滞留が生じにくくなる。しかも、第2移送部18の作動により、規格外品P2を規格外品通路6に移送する際、粉粒体通路(降下通路2、貯留部3、連通路9、規格外品通路6)が上記の圧送空気流によって清掃されるので、粉粒体通路に粉粒体が残留することが効果的に防止又は抑制される。また、規格内品P1については、重力により貯留部3から流出させて規格内品通路5に移送するので、粉粒体P(規格内品P1)が複数種類の原料粉体を混合した混合粉体等であっても、成分の偏析を生じさせずに規格内品通路5に移送することができる。
【0050】
第2移送部18の固気分離部は、サイクロン方式等の固気分離室を有するものであってもよく、また、フラップ弁と回収室をなくし、固気分離室で固気分離した粉粒体P(規格外品P2)を、固気分離室から生産ライン外に移送するように構成してもよい。
【0051】
第2の実施形態に関して以上に説明した事項以外の事項は、改変例等を含めて全て第1の実施形態に準じるので、重複する説明を省略する。
【符号の説明】
【0052】
1 粉粒体処理装置
2 降下通路
3 貯留部
3a 透光部
4 検査部
4a 第1測定部
4b 第2測定部
5 規格内品通路
6 規格外品通路
7 第1移送部
7a 開閉部
8 第2移送部
18 第2移送部
図1
図2
図3
図4
図5
図6