(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025177090
(43)【公開日】2025-12-05
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置及び整合器
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20251128BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20251128BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20251128BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H01L21/31 C
H01L21/318 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024083612
(22)【出願日】2024-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(72)【発明者】
【氏名】小林 健
【テーマコード(参考)】
2G084
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
2G084AA05
2G084BB06
2G084BB22
2G084CC12
2G084CC33
2G084DD02
2G084DD12
2G084DD53
2G084DD57
2G084FF22
2G084HH23
2G084HH24
2G084HH32
2G084HH43
5F045AA08
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5F045AB33
5F045AC05
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5F045DP19
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5F045GB04
5F058BC08
5F058BF07
5F058BF24
5F058BF30
5F058BF37
5F058BF39
(57)【要約】 (修正有)
【課題】整合器の調整時間を短縮するプラズマ処理装置、整合器を提供する。
【解決手段】高周波電源と、一対のプラズマ電極と、整合器とを備え、整合器は、高周波給電ラインと接地ラインと一方のプラズマ電極と接続される第1負荷ラインと、他方のプラズマ電極と接続される第2負荷ラインと、高周波給電ライン第1負荷ライン第2負荷ライン及び接地ラインと接続され、第1のリアクタンス素子を有するインピーダンス整合回路と、高周波給電ラインに設けられた高周波センサと、高周波センサの検出値が入力され、第1のリアクタンス素子を制御する整合器制御部を有し、第1のリアクタンス素子は、静電容量を連続的に可変可能な第1の可変キャパシタと、第1の可変キャパシタと並列に接続され、静電容量が第1の静電容量となる第1の状態と、静電容量が第2の静電容量となる第2の状態と、を切り替えることが可能な第2の可変キャパシタと、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理ガスを供給するガス供給部と、
高周波電源と、
一対のプラズマ電極と、
一対の前記プラズマ電極と前記高周波電源との間に配置される整合器と、を備え、
前記整合器は、
前記高周波電源から高周波電力が供給される高周波給電ラインと、
接地される接地ラインと、
一方の前記プラズマ電極と接続される第1負荷ラインと、
他方の前記プラズマ電極と接続される第2負荷ラインと、
前記高周波給電ライン、前記第1負荷ライン、前記第2負荷ライン及び前記接地ラインと接続され、第1のリアクタンス素子を有するインピーダンス整合回路と、
前記高周波給電ラインに設けられ、前記高周波電力を検出する高周波センサと、
前記高周波センサの検出値が入力され、前記第1のリアクタンス素子を制御する整合器制御部と、を有し、
前記第1のリアクタンス素子は、
キャパシタンスを連続的に可変可能な第1の可変キャパシタと、
前記第1の可変キャパシタと並列に接続され、キャパシタンスが第1のキャパシタンスとなる第1の状態と、キャパシタンスが第2のキャパシタンスとなる第2の状態と、を切り替えることが可能な第2の可変キャパシタと、を備える、
プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記第1のリアクタンス素子は、
前記高周波給電ラインと前記接地ラインとの間に配置される、
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記インピーダンス整合回路は、
前記第1負荷ラインと前記第1負荷ラインとの間に配置される第2のリアクタンス素子を更に有し、
前記第2のリアクタンス素子は、
キャパシタンスを連続的に可変可能な第3の可変キャパシタと、
前記第3の可変キャパシタと並列に接続され、キャパシタンスが第3のキャパシタンスとなる第3の状態と、キャパシタンスが第4のキャパシタンスとなる第4の状態と、を切り替えることが可能な第4の可変キャパシタと、
を備え、
前記整合器制御部は、
前記高周波センサの検出値が入力され、前記第1のリアクタンス素子及び前記第2のリアクタンス素子及びを制御する、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記高周波給電ラインと前記第1負荷ラインとの間に配置される第3のリアクタンス素子と、
前記第2負荷ラインと前記接地ラインとの間に配置される第4のリアクタンス素子と、を更に有し、
前記第3のリアクタンス素子及び前記第4のリアクタンス素子は、インダクタである、
請求項3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記第1負荷ラインと前記第2負荷ラインとの電位差の波高値を検出する電圧センサをさらに有し、
前記整合器制御部は、
前記高周波センサ、前記電圧センサの検出値が入力され、前記第1のリアクタンス素子及び前記第2のリアクタンス素子及びを制御する、
請求項3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記整合器制御部は、
前記ガス供給部から第1の処理ガスを供給して第1のプラズマを生成する際、前記第2の可変キャパシタを前記第1の状態とし、
前記ガス供給部から前記第1の処理ガスとは異なる第2の処理ガスを供給して第2のプラズマを生成する際、前記第2の可変キャパシタを前記第2の状態とする、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
一対のプラズマ電極と高周波電源との間に配置される整合器であって、
前記高周波電源から高周波電力が供給される高周波給電ラインと、
接地される接地ラインと、
一方の前記プラズマ電極と接続される第1負荷ラインと、
他方の前記プラズマ電極と接続される第2負荷ラインと、
前記高周波給電ライン、前記第1負荷ライン、前記第2負荷ライン及び前記接地ラインと接続され、第1のリアクタンス素子を有するインピーダンス整合回路と、
前記高周波給電ラインに設けられ、前記高周波電力を検出する高周波センサと、
前記高周波センサの検出値が入力され、前記第1のリアクタンス素子を制御する整合器制御部と、を有し、
前記第1のリアクタンス素子は、
キャパシタンスを連続的に可変可能な第1の可変キャパシタと、
前記第1の可変キャパシタと並列に接続され、キャパシタンスが第1のキャパシタンスとなる第1の状態と、キャパシタンスが第2のキャパシタンスとなる第2の状態と、を切り替えることが可能な第2の可変キャパシタと、を備える、
整合器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理装置及び整合器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プラズマ処理装置であって、チャンバと、前記チャンバ内に設けられた、基板を支持する基板支持台と、前記基板支持台内部に設けられた第1の電極と、前記第1の電極に接続される整合器と、前記整合器に接続される高周波電源と、制御部と、を備え、前記整合器は、コンデンサとスイッチング素子からなる下位直列回路を複数並列接続して構成される下位回路と、コンデンサとスイッチング素子からなる上位直列回路を複数並列接続して構成される上位回路と、を有し、前記制御部は、前記下位直列回路または前記上位直列回路の前記スイッチング素子をオン状態またはオフ状態に設定して、前記下位回路または前記上位回路のうち、一方の回路を設定するよう前記整合器を制御するように構成され、前記制御部は、前記下位回路または前記上位回路の前記設定によって変化する前記整合器から前記チャンバ側を見たインピーダンスの変化量が安定するまで待機するよう前記整合器を制御するように構成され、前記制御部は、前記下位直列回路または前記上位直列回路の前記スイッチング素子をオン状態またはオフ状態に設定して、前記下位回路または前記上位回路のうち、前記一方の回路と異なる他方の回路を設定するよう前記整合器を制御するように構成される、プラズマ処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一の側面では、本開示は、整合器の調整時間を短縮するプラズマ処理装置及び整合器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、処理ガスを供給するガス供給部と、高周波電源と、一対のプラズマ電極と、一対の前記プラズマ電極と前記高周波電源との間に配置される整合器と、を備え、前記整合器は、前記高周波電源から高周波電力が供給される高周波給電ラインと、接地される接地ラインと、一方の前記プラズマ電極と接続される第1負荷ラインと、他方の前記プラズマ電極と接続される第2負荷ラインと、前記高周波給電ライン、前記第1負荷ライン、前記第2負荷ライン及び前記接地ラインと接続され、第1のリアクタンス素子を有するインピーダンス整合回路と、前記高周波給電ラインに設けられ、前記高周波電力を検出する高周波センサと、前記高周波センサの検出値が入力され、前記第1のリアクタンス素子を制御する整合器制御部と、を有し、前記第1のリアクタンス素子は、キャパシタンスを連続的に可変可能な第1の可変キャパシタと、前記第1の可変キャパシタと並列に接続され、キャパシタンスが第1のキャパシタンスとなる第1の状態と、キャパシタンスが第2のキャパシタンスとなる第2の状態と、を切り替えることが可能な第2の可変キャパシタと、を備える、プラズマ処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
一の側面によれば、整合器の調整時間を短縮するプラズマ処理装置及び整合器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】基板処理装置の動作を説明するフローチャートの一例。
【
図3】プラズマ電極に高周波電力を供給する回路の一例を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
〔基板処理装置〕
本実施形態に係る基板処理装置(プラズマ処理装置)100の一例について、
図1を用いて説明する。
図1は、基板処理装置100の構成例を示す概略図である。以下の説明において、基板処理装置100は、例えばシリコン含有ガスと窒素含有ガスのプラズマとを用いてALD(Atomic Layer Deposition)プロセスで基板Wにシリコン窒化膜を形成する成膜装置である場合を例に説明する。
【0010】
基板処理装置100は、下端が開口された有天井の円筒体状の処理容器1を有する。処理容器1の全体は、例えば石英により形成されている。処理容器1内の上端近傍には、石英により形成された天井板2が設けられており、天井板2の下側の領域が封止されている。処理容器1の下端の開口には、円筒体状に成形された金属製のマニホールド3がOリング等のシール部材4を介して連結されている。
【0011】
マニホールド3は、処理容器1の下端を支持しており、マニホールド3の下方から基板として多数枚(例えば25~150枚)の半導体ウエハ(以下「基板W」という。)を多段に載置したウエハボート5(基板保持具)が処理容器1内に挿入される。このように処理容器1内には、上下方向に沿って間隔を有して多数枚の基板Wが略水平に収容される。ウエハボート5は、例えば石英により形成されている。ウエハボート5は、3本のロッド6を有し(
図1では2本を図示する。)、ロッド6に形成された溝(図示せず)により多数枚の基板Wが支持される。
【0012】
ウエハボート5は、石英により形成された保温筒7を介してテーブル8上に載置されている。テーブル8は、マニホールド3の下端の開口を開閉する金属(ステンレス)製の蓋体9を貫通する回転軸10上に支持される。
【0013】
回転軸10の貫通部には、磁性流体シール11が設けられており、回転軸10を気密に封止し、且つ回転可能に支持している。蓋体9の周辺部とマニホールド3の下端との間には、処理容器1内の気密性を保持するためのシール部材12が設けられている。
【0014】
回転軸10は、例えばボートエレベータ等の昇降機構(図示せず)に支持されたアーム13の先端に取り付けられており、ウエハボート5と蓋体9とは一体として昇降し、処理容器1内に対して挿脱される。なお、テーブル8を蓋体9側へ固定して設け、ウエハボート5を回転させることなく基板Wの処理を行うようにしてもよい。
【0015】
また、基板処理装置100は、処理容器1内へ処理ガス、パージガス等の所定のガスを供給するガス供給部20(処理ガス供給部)を有する。
【0016】
ガス供給部20は、ガス供給管21,22,24を有する。ガス供給管21は、例えば石英により形成されており、マニホールド3の側壁を内側へ貫通して上方へ屈曲されて垂直に延びる。ガス供給管21の垂直部分には、ウエハボート5のウエハ支持範囲に対応する上下方向の長さに亘って、複数のガス孔21gが所定間隔で形成されている。各ガス孔21gは、水平方向にガスを吐出する。ガス供給管22は、例えば石英により形成されており、マニホールド3の側壁を内側へ貫通して上方へ屈曲されて垂直に延びる。ガス供給管22の垂直部分には、ウエハボート5のウエハ支持範囲に対応する上下方向の長さに亘って、複数のガス孔22gが所定間隔で形成されている。各ガス孔22gは、水平方向にガスを吐出する。ガス供給管24は、例えば石英により形成されており、マニホールド3の側壁を貫通して設けられた短い石英管からなる。
【0017】
ガス供給管21は、その垂直部分(ガス孔21gが形成される垂直部分)が処理容器1内に設けられている。ガス供給管21には、ガス配管を介してガス供給源21aから処理ガス(原料ガス)が供給される。ガス配管には、流量制御器21b及び開閉弁21cが設けられている。これにより、ガス供給源21aからの処理ガスは、ガス配管及びガス供給管21を介して処理容器1内に供給される。なお、ガス供給源21aから供給される処理ガス(原料ガス)は、例えば基板Wに吸着するプリカーサガスであり、例えばシリコン含有ガスである。シリコン含有ガスは、例えばDCS(ジクロロシラン、SiH2Cl2)である。
【0018】
ガス供給管22は、その垂直部分(ガス孔22gが形成される垂直部分)が後述するプラズマ生成空間に設けられている。ガス供給管22には、ガス配管を介してガス供給源22aから処理ガス(第1の処理ガス)が供給される。ガス配管には、流量制御器22b及び開閉弁22cが設けられている。これにより、ガス供給源22aからの処理ガスは、ガス配管及びガス供給管22を介してプラズマ生成空間に供給され、プラズマ生成空間においてプラズマ化されて処理容器1内に供給される。なお、ガス供給源22aから供給される処理ガス(第1の処理ガス)は、例えば基板Wに吸着したプリカーサガスと反応し膜(例えばシリコン窒化膜)を形成する反応ガスであり、例えば窒素含有ガスである。窒素含有ガスは、例えばNH3である。
【0019】
また、ガス供給管22には、ガス配管を介してガス供給源23aから処理ガス(第2の処理ガス)が供給される。ガス配管には、流量制御器23b及び開閉弁23cが設けられている。ガス供給源23aから供給される処理ガス(第2の処理ガス)は、ガス供給源22aから供給される処理ガス(第1の処理ガス)とは異なるガスである。これにより、ガス供給源23aからの処理ガスは、ガス配管及びガス供給管22を介してプラズマ生成空間に供給され、プラズマ生成空間においてプラズマ化されて処理容器1内に供給される。なお、ガス供給源23aから供給される処理ガス(第2の処理ガス)は、例えば形成された膜を改質する改質ガスである。改質ガスは、例えばH2である。
【0020】
なお、ガス供給源21aから供給される処理ガス(原料ガス)、ガス供給源22aから供給される処理ガス(第1の処理ガス、反応ガス)、ガス供給源23aから供給される処理ガス(第2の処理ガス、改質ガス)は、これに限られるものではない。
【0021】
ガス供給管24には、ガス配管を介してパージガス供給源(図示せず)からパージガスが供給される。ガス配管(図示せず)には、流量制御器(図示せず)及び開閉弁(図示せず)が設けられている。これにより、パージガス供給源からのパージガスは、ガス配管及びガス供給管24を介して処理容器1内に供給される。なお、パージガス供給源から供給されるパージガスは、例えばアルゴン(Ar)、窒素(N2)等の不活性ガスである。また、パージガスは、ガス供給管24を介して処理容器1内に供給される場合を説明したが、これに限定されず、パージガスはガス供給管21,22のいずれかを介して処理容器1内に供給されてもよい。
【0022】
処理容器1の側壁の一部には、プラズマ生成機構30が形成されている。プラズマ生成機構30は、ガス供給源22a,23aからの処理ガス(第1の処理ガス、第2の処理ガス)をプラズマ化する。
【0023】
プラズマ生成機構30は、プラズマ区画壁32と、一対のプラズマ電極33(
図1では1つを図示する。)と、給電ライン34と、整合器35と、同軸ケーブル36と、高周波電源37と、絶縁保護カバー38と、を備える。
【0024】
プラズマ区画壁32は、処理容器1の外壁に気密に溶接されている。プラズマ区画壁32は、例えば石英により形成される。プラズマ区画壁32は断面凹状をなし、処理容器1の側壁に形成された開口31を覆う。開口31は、ウエハボート5に支持されている全ての基板Wを上下方向にカバーできるように、上下方向に細長く形成される。プラズマ区画壁32により規定されると共に処理容器1内と連通する内側空間、すなわち、プラズマ生成空間には、処理ガスを吐出するためのガス供給管22が配置されている。なお、処理ガスを吐出するためのガス供給管21は、プラズマ生成空間の外の処理容器1の内側壁に沿った基板Wに近い位置に設けられている。
【0025】
一対のプラズマ電極33(
図1では1つを図示する。)は、それぞれ細長い形状を有し、プラズマ区画壁32の両側の壁の外面に、上下方向に沿って対向配置されている。各プラズマ電極33は、例えばプラズマ区画壁32の側面に設けられた保持部(図示せず)によって保持されている。各プラズマ電極33の下端には、給電ライン34が接続されている。
【0026】
給電ライン34は、各プラズマ電極33と整合器35とを電気的に接続する。図示の例では、給電ライン34は、一端が各プラズマ電極33の下端に接続されており、他端が整合器35と接続されている。
【0027】
整合器35は、インピーダンス整合回路510(後述する
図3参照)を有し、高周波電源37と基板処理装置100(一対のプラズマ電極33)とのインピーダンス整合を行う装置である。
【0028】
同軸ケーブル36は、整合器35と高周波電源37とを電気的に接続する。
【0029】
高周波電源37は、各プラズマ電極33の下端に、同軸ケーブル36、整合器35及び給電ライン34を介して接続され、一対のプラズマ電極33に例えば13.56MHzの高周波電力を供給する。これにより、プラズマ区画壁32により規定されたプラズマ生成空間内に、高周波電力が供給される。ガス供給管22から吐出された処理ガス(第1の処理ガス、第2の処理ガス)は、高周波電力が供給されたプラズマ生成空間内においてプラズマ化され、開口31を介して処理容器1の内部へと供給される。
【0030】
絶縁保護カバー38は、プラズマ区画壁32の外側に、該プラズマ区画壁32を覆うようにして取り付けられている。絶縁保護カバー38の内側部分には、冷媒通路(図示せず)が設けられており、冷媒通路に冷却された窒素(N2)ガス等の冷媒を流すことによりプラズマ電極33が冷却される。また、プラズマ電極33と絶縁保護カバー38との間に、プラズマ電極33を覆うようにシールド(図示せず)が設けられていてもよい。シールドは、例えば金属等の良導体により形成され、接地される。
【0031】
開口31に対向する処理容器1の側壁部分には、処理容器1内を真空排気するための排気口40(排気部)が設けられている。排気口40は、ウエハボート5に対応して上下に細長く形成されている。処理容器1の排気口40に対応する部分には、排気口40を覆うように断面U字状に成形された排気口カバー部材41が取り付けられている。排気口カバー部材41は、処理容器1の側壁に沿って上方に延びている。排気口カバー部材41の下部には、排気口40を介して処理容器1を排気するための排気管42が接続されている。排気管42には、処理容器1内の圧力を制御する圧力制御バルブ43及び真空ポンプ等を含む排気装置44が接続されており、排気装置44により排気管42を介して処理容器1内が排気される。
【0032】
処理容器1の周囲には、円筒体状の加熱機構50が設けられている。加熱機構50は、処理容器1及びその内部の基板Wを加熱する。加熱機構50は、処理容器1の温度が所望の温度となるように制御する。これにより、処理容器1内の基板Wは、処理容器1の壁面からの輻射熱等で加熱される。
【0033】
また、基板処理装置100は、制御部60を有する。制御部60は、例えば基板処理装置100の各部の動作の制御、例えば開閉弁21c,22cの開閉による各ガスの供給・停止、流量制御器21b,22bによるガス流量の制御、排気装置44による排気制御を行う。また、制御部60は、例えば高周波電源37による高周波電力のオン・オフ制御、加熱機構50による処理容器1及びその内部の基板Wの温度の制御を行う。また、制御部60は、整合器35の制御を行う。
【0034】
制御部60は、例えばコンピュータ等であってよい。また、基板処理装置100の各部の動作を行うコンピュータのプログラムは、記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は、例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、フラッシュメモリ、DVD等であってよい。
【0035】
なお、
図1に示す基板処理装置100では、処理容器1の側方に設けられたプラズマ生成機構30で処理ガスのプラズマを生成し、活性化した処理ガスを処理容器1内の基板Wに供給する構成を例に説明したが、これに限られるものではない。基板処理装置100は、処理容器1内で処理ガスのプラズマを生成し、活性化した処理ガスを処理容器1内の基板Wに供給する構成であってもよい。この場合、一対のプラズマ電極33は、処理容器1を挟んで対向して配置される。また、処理容器1の壁面がプラズマ生成空間を区画するプラズマ区画壁となる。
【0036】
〔基板処理装置の基板処理プロセス〕
次に、基板処理装置100の動作の一例について
図2を用いて説明する。
図2は、基板処理装置100の動作を説明するフローチャートの一例である。
【0037】
ステップS101において、基板Wを準備する。ここでは、基板Wを載置したウエハボート5を処理容器1内に挿入する。
【0038】
ステップS102において、原料ガスを供給する。ここでは、制御部60は、流量制御器21b及び開閉弁21cを制御して、ガス供給源21aから処理容器1内に原料ガスを供給する。これにより、例えば、基板Wの表面にシリコン含有ガスが吸着される。
【0039】
ステップS103において、整合器35を調整する。ここでは、後述するステップS104におけるプラズマの着火に好ましい静電容量となるように整合器35の可変キャパシタ(
図3を用いて後述する可変キャパシタ511A,511B,512A,512B)の静電容量を予め調整する。
【0040】
ステップS104において、第1のプラズマを生成する。ここでは、制御部60は、流量制御器22b及び開閉弁22cを制御して、ガス供給源22aからプラズマ生成空間内に第1の処理ガスを供給する。また、制御部60は、高周波電源37を制御して、プラズマ電極33に高周波電力を供給する。これにより、ガス供給管22から吐出された第1の処理ガスは、高周波電力が供給されたプラズマ生成空間内においてプラズマ化され、開口31を介して処理容器1の内部へと供給される。また、整合器35の整合器制御部540(後述する
図3参照)は、高周波センサ520(後述する
図3参照)で検出する反射波の電力がゼロに近づくように整合器35の可変キャパシタ(
図3を用いて後述する可変キャパシタ511A,512A)を微調整する。これにより、例えば、基板Wの表面に吸着されたシリコン含有ガスを窒化し、基板Wの表面にシリコン窒化膜を形成する。
【0041】
ステップS105において、整合器35を調整する。ここでは、後述するステップS106におけるプラズマの着火に好ましい静電容量となるように整合器35の可変キャパシタ(
図3を用いて後述する可変キャパシタ511A,511B,512A,512B)の静電容量を予め調整する。
【0042】
ステップS106において、第2のプラズマを生成する。ここでは、制御部60は、流量制御器23b及び開閉弁23cを制御して、ガス供給源23aからプラズマ生成空間内に第2の処理ガスを供給する。また、制御部60は、高周波電源37を制御して、プラズマ電極33に高周波電力を供給する。これにより、ガス供給管22から吐出された第2の処理ガスは、高周波電力が供給されたプラズマ生成空間内においてプラズマ化され、開口31を介して処理容器1の内部へと供給される。また、整合器35の整合器制御部540(後述する
図3参照)は、高周波センサ520(後述する
図3参照)で検出する反射波の電力がゼロに近づくように整合器35の可変キャパシタ(
図3を用いて後述する可変キャパシタ511A,512A)を微調整する。これにより、例えば、基板Wの表面に形成されたシリコン窒化膜を第2の処理ガスのプラズマで改質する。
【0043】
ステップS107において、繰り返し処理を終了するか否かを判定する。繰り返し処理を終了しない場合(S107・NO)、制御部60の処理はステップS102に戻り、ステップS102からステップS106の処理を繰り返す。繰り返し処理を終了する場合(S107・YES)、制御部60の処理を終了する。
【0044】
このように、
図2に示す基板処理では、原料ガスを供給する工程(S102)、第1の処理ガスのプラズマ(第1のプラズマ)を生成して基板Wに処理を施す工程(S103,S104)、及び、第2の処理ガスのプラズマ(第2のプラズマ)を生成して基板Wに処理を施す工程(S105,S106)を1サイクルとし、このサイクルを所定回数繰り返すことで、基板Wに所望の膜厚のシリコン窒化膜を形成する。
【0045】
なお、基板処理は、
図2に示基板処理に限られるものではない。基板処理は、少なくとも、第1の処理ガスのプラズマ(第1のプラズマ)を生成して基板Wに処理を施す工程と、第1の処理ガスとは異なる第2の処理ガスのプラズマ(第2のプラズマ)を生成して基板Wに処理を施す工程と、を含む。また、これらの工程を1サイクルとして、このサイクルを繰り返してもよい。
【0046】
ここで、第1の処理ガスのプラズマ(第1のプラズマ)を生成する際に反射波の電力をゼロに近づけるための整合器35の可変キャパシタの静電容量と、第2の処理ガスのプラズマ(第2のプラズマ)を生成する際に反射波の電力をゼロに近づけるための整合器35の可変キャパシタの静電容量とは、大きく異なる。このため、生成するプラズマを切り替える前に、整合器35を調整するための時間(S103.S105の時間)を要する。また、可変キャパシタの可動域、可動回数が増えることで、可変キャパシタに設けられたベローズ(後述する
図4,5に示すベローズ630)の寿命に影響を与え、整合器35の定期交換サイクルを縮める要因となるおそれがある。
【0047】
〔整合器〕
次に、整合器35について、
図3を用いて更に説明する。
図3は、プラズマ電極33に高周波電力を供給する回路の一例を示す回路図である。なお、
図3において、信号の流れを破線矢印で図示している。
【0048】
プラズマ電極33は、一方のプラズマ電極331及び他方のプラズマ電極332を有する。一対のプラズマ電極331,332は、プラズマ区画壁32の外側に対向配置されている。プラズマ区画壁32の内側には、プラズマ39を生成するプラズマ生成空間が形成されている。
【0049】
高周波電源37は、電源410と、高周波センサ420と、電源制御部430と、を備える。また、高周波電源37は、高周波ライン451を含む。
【0050】
高周波ライン451は、電源410から高周波電力が出力される。
【0051】
電源410は、例えば、高周波発振器と、アンプと、を含む。高周波発振器は、所定の周波数(例えば、13.56MHz)の正弦波または基本波を発生する発振器である。アンプは、高周波発振器より出力される正弦波または基本波のパワーを可変制御可能な利得または増幅率で増幅するアンプである。電源410は、電源制御部430によって制御される。
【0052】
高周波(RF(radio frequency))センサ420は、高周波ライン451上に設けられ、高周波電源37から出力される高周波電力を検出する。また、高周波センサ420は、高周波ライン451上に方向性結合器を備える。高周波センサ420は、高周波ライン451上を順方向に、即ち、高周波電源37から整合器35に伝搬する進行波の電力PF1を検出する。また、高周波センサ420は、高周波ライン451上を逆方向に、即ち、整合器35から高周波電源37に伝搬する反射波の電力RF1を検出する。そして、高周波センサ420は、検出結果を電源制御部430に出力する。
【0053】
電源制御部430は、制御部60からの制御信号にしたがって電源410を制御する。また、電源制御部430は、高周波センサ420で検出した検出結果にしたがって、電源410を制御する。また、電源制御部430は、高周波センサ420で検出した検出結果を制御部60に出力する。
【0054】
同軸ケーブル36は、高周波電源37と整合器35とを接続する。具体的には、同軸ケーブル36の内部導体(芯線)は、高周波電源37の高周波ライン451と整合器35の高周波給電ライン551と、を接続する。また、同軸ケーブル36の外部導体(シールド)は、接地されている。
【0055】
整合器35は、インピーダンス整合回路510と、高周波センサ520と、電圧センサ530と、整合器制御部540と、を備える。また、整合器35は、高周波給電ライン551と、接地ライン552と、第1負荷ライン553と、第2負荷ライン554と、を含む。
【0056】
高周波給電ライン551は、同軸ケーブル36を介して、高周波電源37の高周波ライン451と接続される。即ち、高周波給電ライン551は、高周波電源37から高周波電力が供給されるラインである。
【0057】
接地ライン552は、接地されるラインである。
【0058】
第1負荷ライン553は、給電ライン341を介して、一方のプラズマ電極331と接続される。第2負荷ライン554は、給電ライン342を介して、他方のプラズマ電極332と接続される。
【0059】
インピーダンス整合回路510は、複数のリアクタンス素子511~514を有する。また、インピーダンス整合回路510は、高周波給電ライン551、接地ライン552、第1負荷ライン553及び第2負荷ライン554と接続される。
【0060】
第1のリアクタンス素子511は、高周波給電ライン551と接地ライン552との間に配置される。第1のリアクタンス素子511は、キャパシタンス(静電容量)が調整可能な可変キャパシタ(可変コンデンサ)である。第1のリアクタンス素子511は、第1の可変キャパシタ511Aと、第2の可変キャパシタ511Bと、を有する。第1の可変キャパシタ511Aと第2の可変キャパシタ511Bとは、並列に接続されている。即ち、第1のリアクタンス素子511のキャパシタンス(静電容量)は、第1の可変キャパシタ511AのキャパシタンスVC1と、第2の可変キャパシタ511BのキャパシタンスFVC1と、の和(VC1+FVC1)となる。第1の可変キャパシタ511A及び第2の可変キャパシタ511Bは、整合器制御部540によって制御される。
【0061】
第1の可変キャパシタ511Aは、キャパシタンス(静電容量)を連続的に(無段階で)可変可能なキャパシタである。なお、第1の可変キャパシタ511Aについては、
図4及び
図5を用いて後述する。
【0062】
第2の可変キャパシタ511Bは、キャパシタンス(静電容量)が第1のキャパシタンスとなる第1の状態と、キャパシタンス(静電容量)が第2のキャパシタンスとなる第2の状態と、を切り替えることが可能なキャパシタである。なお、第2の可変キャパシタ511Bについては、
図6及び
図7を用いて後述する。
【0063】
第2のリアクタンス素子512は、第1負荷ライン553と第2負荷ライン554との間に配置される。第2のリアクタンス素子512は、キャパシタンス(静電容量)が調整可能な可変キャパシタ(可変コンデンサ)である。第2のリアクタンス素子512は、第3の可変キャパシタ512Aと、第4の可変キャパシタ512Bと、を有する。第3の可変キャパシタ512Aと第4の可変キャパシタ512Bとは、並列に接続されている。即ち、第2のリアクタンス素子512のキャパシタンス(静電容量)は、第3の可変キャパシタ512AのキャパシタンスVC2と、第4の可変キャパシタ512BのキャパシタンスFVC2と、の和(VC2+FVC2)となる。第3の可変キャパシタ512A及び第4の可変キャパシタ512Bは、整合器制御部540によって制御される。
【0064】
第3の可変キャパシタ512Aは、キャパシタンス(静電容量)を連続的に(無段階で)可変可能なキャパシタである。なお、第3の可変キャパシタ512Aについては、
図4及び
図5を用いて後述する。
【0065】
第4の可変キャパシタ512Bは、キャパシタンス(静電容量)が第3のキャパシタンスとなる第3の状態と、キャパシタンス(静電容量)が第4のキャパシタンスとなる第4の状態と、を切り替えることが可能なキャパシタである。なお、第4の可変キャパシタ512Bについては、
図6及び
図7を用いて後述する。
【0066】
第3のリアクタンス素子513は、高周波給電ライン551と第1負荷ライン553との間に配置される。第3のリアクタンス素子513は、インダクタンスL1を有するインダクタ(コイル)である。
【0067】
第4のリアクタンス素子514は、接地ライン552と第2負荷ライン554との間に配置される。第4のリアクタンス素子514は、インダクタンスL2を有するインダクタ(コイル)である。
【0068】
なお、リアクタンス素子511~514は、固定キャパシタ(例えば、寄生容量)、固定インダクタ(例えば、寄生インダクタンス)、固定抵抗(例えば、寄生抵抗)の少なくともいずれかが含まれていてもよい。
【0069】
高周波(RF(radio frequency))センサ520は、高周波給電ライン551上に設けられ、高周波電源37から供給される高周波電力を検出する。また、高周波センサ520は、高周波給電ライン551上に方向性結合器を備える。高周波センサ520は、高周波給電ライン551上を順方向に、即ち、高周波電源37から整合器35に伝搬する進行波の電力PF2を検出する。また、高周波センサ520は、高周波給電ライン551上を逆方向に、即ち、整合器35から高周波電源37に伝搬する反射波の電力RF2を検出する。そして、高周波センサ520は、検出結果を整合器制御部540に出力する。
【0070】
電圧センサ530は、第1負荷ライン553と第2負荷ライン554との電位差を検出し、この電位差の波高値を検出する。そして、電圧センサ530は、検出結果を整合器制御部540に出力する。
【0071】
整合器制御部540は、制御部60からの制御信号にしたがって、インピーダンス整合回路510の第1のリアクタンス素子511及び第2のリアクタンス素子512を制御する。また、整合器制御部540は、高周波センサ520、電圧センサ530で検出した検出結果にしたがって、インピーダンス整合回路510の第1のリアクタンス素子511及び第2のリアクタンス素子512を制御する。また、整合器制御部540は、高周波センサ520、電圧センサ530で検出した検出結果を制御部60に出力する。
【0072】
給電ライン34は、給電ライン341及び給電ライン342を含む。給電ライン341は、整合器35の第1負荷ライン553と一方のプラズマ電極331とを接続する。給電ライン342は、整合器35の第2負荷ライン554と他方のプラズマ電極332とを接続する。
【0073】
このような構成により、整合器35は、整合器制御部540によって第1のリアクタンス素子511及び第2のリアクタンス素子512のキャパシタンス(静電容量)を制御可能に構成されている。
【0074】
このため、整合器制御部540は、高周波センサ520の検出結果に基づいて、反射波の電力RF2が低減する(ゼロに近づく)ように、第1のリアクタンス素子511及び第2のリアクタンス素子512のキャパシタンス(静電容量)を制御する。換言すれば、整合器制御部540は、インピーダンス整合回路510を含む負荷側のインピーダンスが所定のインピーダンスとなるように、第1のリアクタンス素子511及び第2のリアクタンス素子512のキャパシタンス(静電容量)を制御する。
【0075】
加えて、整合器制御部540は、電圧センサ530の検出結果に基づいて、プラズマ電極331,332間の電圧の波高値が所定の設定値となるように、第1のリアクタンス素子511及び第2のリアクタンス素子512のキャパシタンス(静電容量)を制御する。
【0076】
このように、
図3に示す整合器35は、インピーダンス整合を図るとともに、プラズマ電極331,332間の電圧の波高値を調整することができる。
【0077】
〔第1の可変キャパシタ511A、第3の可変キャパシタ512A〕
次に、第1のリアクタンス素子511を構成する第1の可変キャパシタ511Aについて、
図4から
図5を用いて説明する。
図4及び
図5は、第1の可変キャパシタ511Aの断面図の一例である。
【0078】
第2のリアクタンス素子512を構成する第3の可変キャパシタ512Aは、第1の可変キャパシタ511Aと同様の構造を有しており、重複する説明を省略する。なお、第1の可変キャパシタ511Aと第3の可変キャパシタ512Aとで、可変可能なキャパシタンス(静電容量)の範囲が異なっていてもよい。
【0079】
第1の可変キャパシタ511Aは、電極601と、電極602と、支持体611と、回転軸612と、ナット613と、スリーブ614と、ベアリング615と、筐体620と、ベローズ630と、を有する。
【0080】
筐体620は、第1筐体621と、第2筐体622と、絶縁体623と、を有する。絶縁体623は、第1筐体621と第2筐体622との間に設けられ、第1筐体621と第2筐体622とを絶縁する。
【0081】
電極601は、キャパシタを構成する一方の電極である。電極601は、複数の円筒形状の導体で構成され、筐体620の第1筐体621に支持される。
【0082】
電極602は、キャパシタを構成する他方の電極である。電極602は、複数の円筒形状の導体で構成され、支持体611に支持される。電極601と電極602とは円筒の径が異なっており、隣接する電極601の間に電極602が挿入可能な径を有している。
【0083】
隣接する電極601の間に電極602を挿入することで、電極601と電極602とが対向する面積が変化する。
図3の例では、電極601と電極602とが対向する面積が面積S
1となっている。
図4の例では、電極601と電極602とが対向する面積が面積S
2となっている。
【0084】
回転軸612は、ベアリング615を介して筐体620の第2筐体622に回転可能に支持される。スリーブ614は、第2筐体622に固定される。スリーブ614は、ナット613が回転軸612の回転軸回りに回転することを防止するとともに、ナット613が回転軸612の回転軸の軸方向に移動することをガイドする。支持体611は、ナット613に固定される。
【0085】
回転軸612及びナット613は、回転軸612の回転運動をナット613の直線運動に変換する回転直動機構を構成する。なお、回転軸612には、回転軸612を回転させる駆動モータ(図示せず)と、回転軸612の回転を検出する回転センサ(図示せず、例えばポテンショメータ、エンコーダ等)と、が接続されている。整合器制御部540は、回転センサの検出値に基づいて、駆動モータを制御することにより、キャパシタンス(静電容量)を制御する。
【0086】
回転軸612を一の方向に回転させることで、ナット613が回転軸612の回転軸に沿って、伸びる方向(
図4,5においては、紙面の左方向)に移動する。即ち、支持体611が電極601に近づく方向に移動する。換言すれば、隣接する電極601の間に電極602を挿入する方向に支持体611が移動する。これにより、電極601と電極602とが対向する面積が増加し、キャパシタンス(静電容量)が大きくなる。
【0087】
回転軸612を一の方向とは逆向きの他の方向に回転させることで、ナット613が回転軸612の回転軸に沿って、縮む方向(
図4,5においては、紙面の右方向)に移動する。即ち、支持体611が電極601から離れる方向に移動する。換言すれば、隣接する電極601の間から電極602を引き抜く方向に支持体611が移動する。これにより、電極601と電極602とが対向する面積が減少し、キャパシタンス(静電容量)が小さくなる。
【0088】
〔第2の可変キャパシタ511B、第4の可変キャパシタ512B〕
次に、第1のリアクタンス素子511を構成する第2の可変キャパシタ511Bについて、
図6から
図7を用いて説明する。
図6及び
図7は、第2の可変キャパシタ511Bの断面図の一例である。
【0089】
第2のリアクタンス素子512を構成する第4の可変キャパシタ512Bは、第2の可変キャパシタ511Bと同様の構造を有しており、重複する説明を省略する。なお、第2の可変キャパシタ511Bと第4の可変キャパシタ512Bとで、可変可能なキャパシタンス(静電容量)の範囲が異なっていてもよい。
【0090】
第2の可変キャパシタ511Bは、電極701と、電極702と、支持体711と、駆動軸712と、スリーブ713と、磁性体714と、電磁石715と、弾性体716と、筐体720と、ベローズ730と、を有する。
【0091】
筐体720は、第1筐体721と、第2筐体722と、絶縁体723と、を有する。絶縁体723は、第1筐体721と第2筐体722との間に設けられ、第1筐体721と第2筐体722とを絶縁する。
【0092】
電極701は、キャパシタを構成する一方の電極である。電極701は、複数の円筒形状の導体で構成され、筐体720の第1筐体721に支持される。
【0093】
電極702は、キャパシタを構成する他方の電極である。電極702は、複数の円筒形状の導体で構成され、支持体711に支持される。電極701と電極702とは円筒の径が異なっており、隣接する電極701の間に電極702が挿入可能な径を有している。
【0094】
隣接する電極701の間に電極702を挿入することで、電極701と電極702とが対向する面積が変化する。
図6の例では、電極701と電極702とが対向する面積が面積S
3となっている。
図7の例では、電極701と電極702とが対向する面積が面積S
4となっている。
【0095】
スリーブ713は、第2筐体722に固定される。スリーブ713は、駆動軸712が駆動軸712の軸回りに回転することを防止するとともに、駆動軸712が駆動軸712の軸方向に移動することをガイドする。支持体711は、駆動軸712に固定される。また、磁性体714は、駆動軸712に固定される。弾性体716は、磁性体714が電磁石715から離れる方向に付勢する。整合器制御部540は、電磁石715への給電のON/OFFを制御する。
【0096】
電磁石715に電力を供給しない状態(第1の状態)において、
図6に示すように、弾性体716によって磁性体714が電磁石715から離れる方向に付勢される。これにより、電極701と電極702とが対向する面積が面積S
3となり、キャパシタンス(静電容量)が大きくなる。
【0097】
電磁石715に電力を供給した状態(第2の状態)において、
図7に示すように、弾性体716の付勢に逆らって磁性体714が電磁石715に吸着される。これにより、電極701と電極702とが対向する面積が面積S
4となり、キャパシタンス(静電容量)が小さくなる。
【0098】
このような構成により、第1のプラズマを形成する際にステップS103において、第2の可変キャパシタ511Bを第1の状態(
図6または
図7のいずれか一方の状態)とし、第4の可変キャパシタ512Bを第3の状態(
図6または
図7のいずれか一方の状態)とする。そして、ステップS104において、整合器制御部540は、高周波センサ520で検出する反射波の電力がゼロに近づくように第1の可変キャパシタ511A、第3の可変キャパシタ512Aを微調整する。
【0099】
また、第2のプラズマを形成する際にステップS105において、第2の可変キャパシタ511Bを第2の状態(
図6または
図7のうち第1の状態とは異なる他方の状態)とし、第4の可変キャパシタ512Bを第4の状態(
図6または
図7のうち第3の状態とは異なる他方の状態)とする。そして、ステップS106において、整合器制御部540は、高周波センサ520で検出する反射波の電力がゼロに近づくように第1の可変キャパシタ511A、第3の可変キャパシタ512Aを微調整する。
【0100】
ここで、第1のリアクタンス素子511を第1の可変キャパシタ511Aのみで構成した場合、プラズマを切り替える際にキャパシタンス(静電容量)を大きく変更することとなり、切り替え時間を要する。また、ベローズ630の可動域が長くなり、ベローズ630の破断寿命に影響を与え、整合器35の定期交換サイクルを縮める要因となるおそれがある。
【0101】
これに対し、第1のリアクタンス素子511として、第1の可変キャパシタ511Aと第2の可変キャパシタ511Bとで構成することで、プラズマを切り替える際に第2の可変キャパシタ511Bの電磁石715の給電状態を切り替えることで高速にキャパシタンス(静電容量)を大きく変更することができ、切り替え時間を短縮することができる。
【0102】
また、ベローズ630の可動域を短くすることができるので、ベローズ630の破断寿命を延ばし、整合器35の定期交換サイクルを延長することができる。
【0103】
なお、ベローズ730は、破断寿命を考慮して設計することができるので、整合器35の寿命を長くすることができる。
【0104】
また、高周波給電ライン551には、プラズマを生成する大電力が供給されるため、スイッチングで接続するコンデンサを切り替える構成では、接点の摩耗やON/OFF時のノイズが発生するおそれがある。これに対し、第2の可変キャパシタ511B、第4の可変キャパシタ512Bでは、スイッチングによる接点の摩耗がなく、ON/OFF時のノイズもない。
【0105】
また、第1のリアクタンス素子511は、1つの第1のリアクタンス素子511に加え、1つの第2のリアクタンス素子512を並列に備えるものとして説明したが、これに限られるものではない。第1のリアクタンス素子511は、1つの第1のリアクタンス素子511に加え、複数の第2のリアクタンス素子512を並列に備える構成であってもよい。これにより、プラズマの状態を複数備える基板処理においても、各第2の可変キャパシタ511Bの状態を切り替えることで各プラズマに対応して第1のリアクタンス素子511のキャパシタンスを調整することができる。
【0106】
図3に示すインピーダンス整合回路510を有する整合器35は、バッチ式の基板処理装置100に適用する場合を例に説明したが、これに限られるものではない。枚葉式の基板処理装置の整合器に適用してもよい。
【0107】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせ等、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0108】
1 処理容器
20 ガス供給部
21,22,23 ガス供給管
30 プラズマ生成機構
31 開口
32 プラズマ区画壁
33,331,332 プラズマ電極
34,341,342 給電ライン
35 整合器
36 同軸ケーブル
37 高周波電源
38 絶縁保護カバー
39 プラズマ
40 排気口
50 加熱機構
60 制御部
100 基板処理装置(プラズマ処理装置)
410 電源
420 高周波センサ
430 電源制御部
451 高周波ライン
510 インピーダンス整合回路
511~514 リアクタンス素子
511A,511B,512A,512B 可変キャパシタ
520 高周波センサ
530 電圧センサ
540 整合器制御部
551 高周波給電ライン
552 接地ライン
553 第1負荷ライン
554 第2負荷ライン