(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001772
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】切除工具
(51)【国際特許分類】
B26D 3/00 20060101AFI20241226BHJP
B26D 1/11 20060101ALI20241226BHJP
B26D 5/10 20060101ALI20241226BHJP
B26D 7/26 20060101ALI20241226BHJP
B26B 27/00 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
B26D3/00 601A
B26D1/11
B26D5/10
B26D7/26
B26B27/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101432
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 敦司
【テーマコード(参考)】
3C021
3C061
【Fターム(参考)】
3C021JA08
3C021JA10
3C061AA02
3C061BA35
3C061BB01
3C061EE21
(57)【要約】
【課題】短時間で容易に切除することが可能な切除工具を提供する。
【解決手段】押出形材の押し出し方向と交差する突出方向に突出する突出部を切除するための切除工具であって、前記突出部を挟み互いに間隔を空けて対向し、各々前記押し出し方向に沿って設けられた一対の刃を有する本体部と、前記本体部に設けられ前記突出方向と交差する交差方向に延出された延出部と、を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出形材の押し出し方向と交差する突出方向に突出する突出部を切除するための切除工具であって、
前記突出部を挟み互いに間隔を空けて対向し、各々前記押し出し方向に沿って設けられた一対の刃を有する本体部と、
前記本体部に設けられ前記突出方向と交差する交差方向に延出された延出部と、
を有することを特徴とする切除工具。
【請求項2】
請求項1に記載の切除工具であって、
前記一対の刃は各々、互いに対向する方向に張り出して設けられており、
前記一対の刃のうちの少なくとも一方は、前記押し出し方向における中央から両端に向かって張り出し量が漸次小さく形成されていることを特徴とする切除工具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の切除工具であって、
前記本体部には、前記突出方向に沿う補助ハンドルが設けられていることを特徴とする切除工具。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の切除工具であって、
前記本体部は、前記一対の刃のいずれか一方をそれぞれ備え、互いに分離可能に接合される2つの刃部材を有していることを特徴とする切除工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形材を切除するための切除工具に関する。
【背景技術】
【0002】
押出形材を、押し出し方向となる長手方向に沿って切除する方法として、例えば、建具において押出形材でなる枠材の一部を長手方向に沿って切除する切除方法は知られている(例えば、特許文献1参照)。この切除方法は、押出形材の切除対象となる部分に、予め長手方向に沿ってガイド溝を設けておく。そして、このガイド溝に沿ってカッターの刃の先端を挿入し、ある程度の深さの切り込みを形成し、次に、ペンチによりガイド溝より先端側の部分を掴み、力を加えて部分的に折り曲げ押出形材の金属疲労により切離させて切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような切除方法は、押出形材の切除対象となる部位に、予めガイド溝を形成しておかなければならないので、予め切除対象となっていない部位を切除する際には適用できない。また、カッターによりガイド溝に切り込みを形成した後に、ペンチによりガイド溝より先端側の部分を掴み、力を加えて部分的に折り曲げるので、2つの工程を経る必要があり、作業が繁雑であるとともに、作業時間が長く必要である。また、ペンチにより折り曲げて分離する作業は、押出形材の金属疲労により分離するので、多大な力を掛ける必要があり、作業者の負担が大きいという課題があった。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、短時間で容易に切除することが可能な切除工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するための主たる発明は、押出形材の押し出し方向と交差する突出方向に突出する突出部を切除するための切除工具であって、前記突出部を挟み互いに間隔を空けて対向し、各々前記押し出し方向に沿って設けられた一対の刃を有する本体部と、前記本体部に設けられ前記突出方向と交差する交差方向に延出された延出部と、を有することを特徴とする切除工具である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、短時間で容易に切除することが可能な切除工具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る切除工具を示す正面図である。
【
図2】本実施形態に係る切除工具の構成を示す分解図である。
【
図4】
図4(a)は、第1刃部材の平面図であり、
図4(b)は、第1刃部材の正面図である。
【
図5】
図5(a)は、第2刃部材の平面図であり、
図5(b)は、第2刃部材の正面図であり、
図5(c)は、
図5(a)におけるB矢視図である。
【
図6】
図6(a)は、第2刃部材を取り外した切除工具を突出部に対して配置した状態を示す図であり、
図6(b)は、第2刃部材を取り付けた状態を示す図である。
【
図7】
図7(a)は、
図6(b)におけるC矢視図であり、
図7(b)は、
図6(b)におけるD-D断面図である。
【
図8】切除工具により突出部を切除している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る切除工具の一実施形態について図を参照して説明する。
本発明の切除工具1は、例えば、建具の枠体を構成し、押出形材でなる枠材において、押し出し方向と交差する方向に突出しているレールや止水材の嵌合部などを切除する際に使用する切除工具である。
【0010】
たとえば、既に建築物に設置された建具の既設枠を残した状態で、その内周に新たな建具を設置する場合がある。この場合には、既設枠の内周に新たな建具の新設枠を取り付ける。このとき、既設枠に設けられているレール等と新設枠との干渉を防ぐべく、既設枠と新設枠との間に嵩上げ用のアタッチメントを改装させると、新設枠により形成される開口が狭くなる。このため、既設枠において押し出し方向と交差する方向に突出するレール等の突出部を切除して、嵩上げせずに、または、嵩上げ量を小さくして新設枠を取り付けることが望ましい。しかしながら、突出部を切除する作業は、繁雑で多大な時間と労力が費やされる。本発明の切除工具は、突出部を短時間で容易に切除することを可能とするものである。
【0011】
以下の説明においては、
図1に示すような、押出形材でなる下枠30の突出部30aを切除する例について説明し、突出部30aを切除する際における切除工具1の装着状態において、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、下枠30の長手方向となり成形時の押し出し方向を長手方向又は押出方向として示す。切除工具1の各部位であっても、また、切除工具1を構成する各部材については単体の状態であっても、上記切除工具1の装着状態にて上下方向、左右方向、長手方向又は押出方向にて方向を特定して説明する。
【0012】
本実施形態の切除工具1は、
図1、
図2に示すように、ほぼ直方体状をなす基部材2と、基部材2に固定されて第1刃3aを有する第1刃部材3と、第1刃部材3に固定され第2刃4aを有する第2刃部材4と、基部材2に固定された操作ハンドル5及び補助ハンドル6と、を有している。ここで、基部材2、第1刃部材3及び第2刃部材4が、一対の刃を有する本体部20に相当する。
【0013】
基部材2は、鋼製の中実部材である。基部材2には、6つの外周面のうちの1つの面(以下、第1面という)2aに第1刃部材3が固定され、第1面2aと直交し上面となる第2面2bに操作ハンドル5が固定され、基部材2の第1面2aとは反対側の面をなす第3面2cに補助ハンドル6が固定されている。操作ハンドル5は、第2面2bとほぼ垂直に延出されており、補助ハンドル6は、第3面2cとほぼ垂直に延出されている。
【0014】
第1面2a及び第3面2cは、
図3に示すように、ほぼ長方形状をなしており、第3面2cにおける中央より下側に補助ハンドル6が螺合される第1螺合孔2dが設けられている。また、第1螺合孔2dの中心から押出方向に振り分けた位置にそれぞれ、第1刃部材3を固定するためのボルト7が挿通される第1挿通孔2eが設けられている。さらに、第2面2bには、中央に操作ハンドル5を固定するためのジョイントピン10が螺合される第2螺合孔2fが設けられている。
【0015】
第1刃部材3は、
図4に示すように、基部材2の第1面2aに当接される固定面3bと直交する方向に延びる固定部3cと、固定部3cにおいて基部材2とは反対側に繋がり、下側に張り出して湾曲した形状をなす湾曲部3dと、を有している。第1刃部材3は、第1面2aの長手方向の幅とほぼ同一の幅を有している。
【0016】
湾曲部3dの先端、すなわち右側の端には、固定面3bと平行な平面でなる第1先端面3eを有しており、湾曲部3dの右端部に上方に向かって第1刃3aが設けられている。第1刃3aの先端は、固定部3cにおいて第2刃部材4と対向する面(上面)よりも下側に位置し、押出方向の全長にわたって直線状に設けられている。
【0017】
固定部3cの固定面3bには、基部材2に固定するための2本のボルト7が各々螺合される第3螺合孔3fが設けられている。また、固定部3cには、第2刃部材4を固定するためのボルト9が螺合される第4螺合孔3gが上下方向に貫通させて3箇所に設けられている。
【0018】
第1刃部材3は、固定面3bが基部材2の第1面2aに当接された状態で、基部材2の第1挿通孔2eに挿通された2本のボルト7が、固定部3cに設けられた第3螺合孔3fに各々螺合されて固定されている。
【0019】
第2刃部材4は、押出方向の幅及び左右方向の長さが第1刃部材3とほぼ同一である。
第2刃部材4は、
図5に示すように、ほぼ直方体の板状をなしている。第2刃部材4は、第1刃部材3と上下方向に重なるように、第1刃部材3の上側に配置される。
【0020】
第2刃部材4は、第1刃部材3の上側に重ねられた状態で、基部材2の第1面2aとほぼ平行をなして対面する対向面4bを有しており、第2刃部材4の右側の端は、対向面4bと平行な平面でなる第2先端面4cを有している。また、第2刃部材4の右側の端部には、下側、すなわち第1刃部材3側に張り出させて第2刃4aが設けられている。
【0021】
第2刃4aは、押出方向における両端部に、各々の端に向かって突出量が漸次小さくなるようなテーパ4dを有している。第2刃部材4には、第1刃部材3に固定するためのボルト9が挿通される第2挿通孔4eが上下方向に貫通させて3箇所に設けられている。尚、第2刃4aに設けられているテーパ4dは、直線状であっても、曲線状(弧状)であっても構わない。
【0022】
第2刃部材4は、下側に位置する第1刃部材3の固定部3cと対面し、第2刃部材4の上下にそれぞれ平座がね8を配した状態で、第2刃部材4の上方から、第2刃部材4の第2挿通孔4e及び平座がね8に挿通された3本のボルト9が、固定部3cの第4螺合孔3gに螺合されて固定されている。
【0023】
第2刃部材4が第1刃部材3に取り付けられた状態では、
図1に示すように、第1刃3aと第2刃4aとが上下方向に互いに間隔を空けた状態で対向し、第2刃部材4の第2先端面4cが第1刃部材3の第1先端面3eとほぼ同一平面をなすように構成されている。また、第1刃部材3の湾曲部3dと第2刃部材4との間には、切除対象となる突出部30aを収容するための空隙Sが形成されている。
【0024】
操作ハンドル5は、円筒状のパイプ材で形成され、基部材2に設けられて左右方向(突出方向)と交差する上方向に沿って配置される。ここで、操作ハンドル5が、基部に設けられて突出方向と交差する交差方向に延出された延出部に相当する。
【0025】
操作ハンドル5の一方の端部には、基部材2の第2面2bの中央に設けられた第2螺合孔2fに、ジョイントピン10のねじ部10aが螺着されて突出する軸部10bが挿通され、操作ハンドル5の直径方向における外側から進入するねじ11が軸部10bに設けられた第5螺合孔10cに螺合されて固定されている。また、軸部10bには、ねじ11の螺合位置よりも基部材2側にDカット部10dが設けられており、操作ハンドル5の周方向において、ねじ11の進入方向と直交する方向から進入して操作ハンドル5に螺合するセットスクリュー(不図示)の先端がDカット部10dに当接されて回り止めをなしている。
【0026】
補助ハンドル6は、操作ハンドル5よりも太い棒状の部材であり、先端側に突出させてねじ部6aが設けられている。補助ハンドル6は、作業者が握るグリップ部6bを有しており、基部材2の第3面2cに設けられた第1螺合孔2dにねじ部6aが螺合されて固定されている。グリップ部6bは、作業者が握ることが可能な長さを有しており、本実施形態の例では、補助ハンドル6は、操作ハンドル5よりも短く形成されている。
【0027】
次に、切除工具1の使用手順について説明する。ここでは、建物の躯体に既に取り付けられている既設の引き違い窓用の建具の下枠30が有し、外障子の下端部に室内側から当接される止水材を取り付けるために室外側に向かって突出している突出部30aを削除する例について説明する。
切除工具1を使用する際には、ボルト9を外し、第2刃部材4を第1刃部材3から予め取り外しておく。
【0028】
まず、切除対象である突出部30aの長手方向における一方の端部30b(
図7)にて、
図6(a)に示すように、第2刃部材4を取り外した切除工具1の第1刃部材3を、突出部30aの下側に配置する。このとき、第1刃部材3の第1刃3aが、上方、すなわち突出部30a側に向くように配置する。
【0029】
次に、第2刃部材4を、第1刃部材3と突出部30aとの上に亘るように配置し、第2挿通孔4e及び平座がね8を挿通した2本のボルト9を第1刃部材3の第4螺合孔3gに螺合して、
図6(b)に示すように固定する。このとき、
図7(a)、
図7(b)に示すように、突出部30aを挟んで第1刃3aと第2刃4aとが対向するように切除工具1を配置する。このとき、第1刃3aと第2刃4aとの間隔は、突出部30aの厚みよりも広く空いている。
【0030】
次に、
図8に示すように、作業者は片手で補助ハンドル6を把持するとともに、突出部30aの突出方向とは反対側に押圧しつつ、他方の手で操作ハンドル5を把持し、突出部30aの突出方向に沿う軸回りに操作ハンドル5を倒し、切除工具1を回転させる。本実施形態の場合には、
図7に示すように室外側から見て反時計方向に操作ハンドル5を倒して切除工具1を回転させる。このとき、第1刃3aと第2刃4aが突出部30aの基端部に噛み込みながら切除工具1が回転することにより、突出部30aにおいて第1刃3aと第2刃4aが接触した部位が切り離される。
【0031】
次に、作業者は、切除工具1を下枠30の長手方向にスライドさせ、第1刃3aと第2刃4aを、突出部30aにおいて切り離された部位の横に移動させる。その後、突出部30aの突出方向に沿う軸回りに操作ハンドル5を倒して切除工具1を回転させる。これにより、突出部30aの長手方向における一方の端部30bから、第1刃3a及び第2刃4aの刃幅のほぼ2倍の長さが切り離される。
【0032】
その後、切除工具1を下枠30の長手方向にスライドさせた後に、切除工具1を回転させる作業を繰り返すことにより、突出部30aを長手方向に沿って切り進め、突出部30aの長手方向における反対側の端部まで切り離し、突出部30aを切除する。
【0033】
上記実施形態の切除工具1によれば、切除の対象となる突出部30aを挟んで対向する第1刃3aと第2刃4aを有する基部材2に、突出方向と交差する交差方向に延出された操作ハンドル5を有しているので、第1刃3aと第2刃4aとが突出部30aを挟んだ状態で、第1刃部材3及び第2刃部材4が固定された基部材2すなわち本体部20を、突出方向に沿う軸周りに容易に回転させることが可能となる。
【0034】
このとき、第1刃3aと第2刃4aは、押し出し方向に沿って設けられているので、本体部20が回転する際に、本体部20の回転に伴って第1刃3aと第2刃4aが突出部30aに噛み込むため、操作ハンドル5を操作するだけで突出部30aを押し出し方向に沿って切除することが可能となる。
【0035】
また、このとき、第1刃3aと第2刃4aは、本体部20の回転に伴って押し出し方向における第1刃3aまたは第2刃4aの一方側の端を中心に回転するので、てこの作用により小さな力で容易に突出部30aを切除することが可能となる。このため、突出部30aを短時間で容易に切除することが可能となる。
【0036】
また、第1刃3a側に向かって張り出している第2刃4aは、押し出し方向における中央から両端に向かって張り出し量が漸次小さくなるテーパ4dを有しているので、操作ハンドル5を操作した際に、突出方向に沿う軸周りにより容易に本体部20を回転させることが可能となる。
【0037】
また、基部材2に設けられている補助ハンドル6は、本体部20が回転される軸と同じ突出方向に沿って設けられているので、操作ハンドル5を操作する際に、補助ハンドル6を軸となるように支えることにより、操作ハンドル5をより容易に回転させることが可能となる。
【0038】
また、突出部30aを挟んで配置される第1刃3a及び第2刃4aのうちの、第1刃3aを有する第1刃部材3は基部材2に固定され、第2刃4aを有する第2刃部材4は第1刃部材3に対して取り外し可能なので、第1刃3a及び第2刃4aが一体に設けられている場合よりも、第1刃部材3を狭い空間に配置しやすい。このため、2つの刃部材が一体となった工具よりも、より込み入った位置に設けられた突出部を切除することが可能となる。
【0039】
上記実施形態においては、本体部20が、基部材2と、第1刃部材3と、第2刃部材とにより構成されている例について説明したが、これに限るものではない。例えば、第1刃部材3が基部と一体に設けられていても構わない。また、基部材2と、第1刃部材3と、第2刃部材とが一体に形成されていても構わない。
【0040】
上記実施形態においては、第1刃部材3が湾曲部3dを有している例について説明したが、湾曲部は、第2刃部材が有していても、また、第1刃部材及び第2刃部材の各々が有していても構わない。また、第1刃部材と第2刃部材との間に突出部を収容可能な空隙が形成可能であれば、湾曲部は有していなくとも構わない。また、予め多様な形状の刃部材を備えておき、形材の形状及び切除対象となる突出部の形状に合わせて刃部材を選択して用いることにより汎用性が向上する。
【0041】
上記実施形態においては、押出形材の一例として建具の下枠を例に挙げて説明したが、上枠、左右の縦枠や、框を構成する各框材等、また建具に限らず、押出成形された部材であれば構わない。また、切除する突出部にあっても、レールなど押出方向と交差する方向に突出している部位であれば構わない。
【0042】
上記実施形態においては、第2刃4aにテーパ4dが設けられている例について説明したが、これに限らず、第1刃3aにテーパが設けられていても、また、第1刃3a及び第2刃4aにそれぞれもうけられていても構わない。また、テーパは、第1刃3a及び第2刃4aのいずれにも設けられていなくともかなわない。
【0043】
上記実施形態においては、突出部30aを突出している部位全体を切除すべく、突出部30aの突出方向とは反対側に押圧しつつ操作ハンドル5を操作して突出部30aを基端部から切除する例について説明したが、これに限るものではない。たとえば、第1刃3a及び第2刃4aの位置を、突出部の突出方向に移動して配置することにより、突出部の基端側を残して先端側のみを切除することも可能である。
【0044】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
本実施形態には、少なくとも以下の発明が含まれる。
【0045】
態様1:押出形材の押し出し方向と交差する突出方向に突出する突出部を切除するための切除工具であって、前記突出部を挟み互いに間隔を空けて対向し、各々前記押し出し方向に沿って設けられた一対の刃を有する本体部と、前記本体部に設けられ前記突出方向と交差する交差方向に延出された延出部と、を有することを特徴とする切除工具である。
【0046】
態様1の切除工具によれば、切除の対象となる突出部を挟んで対向する一対の刃を有する本体部に、突出方向と交差する交差方向に延出された延出部を有しているので、一対の刃が突出部を挟んだ状態の本体部を、突出方向に沿う軸周りに容易に回転させることが可能となる。
【0047】
このとき、一対の刃は、押し出し方向に沿って設けられているので、本体部が回転する際に、本体部の回転に伴って刃が突出部に噛み込むため、延出部を操作するだけで突出部を押し出し方向に沿って切除することが可能となる。また、このとき、刃は、本体部の回転に伴って押し出し方向における刃の一方側の端を中心に回転するので、てこの作用により小さな力で容易に突出部を切除することが可能となる。このため、突出部を短時間で容易に切除することが可能となる。
【0048】
態様2:態様1に記載の切除工具であって、前記一対の刃は各々、互いに対向する方向に張り出して設けられており、前記一対の刃のうちの少なくとも一方は、前記押し出し方向における中央から両端に向かって張り出し量が漸次小さく形成されていることを特徴とする。
【0049】
態様2の切除工具によれば、一対の刃のうちの少なくとも一方は、押し出し方向における中央から両端に向かって張り出し量が漸次小さく形成されているので、延出部を操作した際に、突出方向に沿う軸周りにより容易に回転させることが可能となる。
【0050】
態様3:態様1または態様2に記載の切除工具であって、前記本体部には、前記突出方向に沿う補助ハンドルが設けられていることを特徴とする。
【0051】
態様3の切除工具によれば、本体部に設けられている補助ハンドルは、本体部が回転される軸と同じ突出方向に沿って設けられているので、延出部を操作する際に、補助ハンドルを軸となるように支えることにより、延出部を軸周りに容易に回転させることが可能となる。
【0052】
態様4:態様1乃至態様3のいずれかに記載の切除工具であって、前記本体部は、前記一対の刃のいずれか一方をそれぞれ備え、互いに分離可能に接合される2つの刃部材を有していることを特徴とする。
【0053】
態様4の切除工具によれば、突出部を挟んで配置される一対の刃のいずれか一方をそれぞれ備えた2つの刃部材は、互いに分離可能に接合されるので、2つの刃部材を分離した状態で、切除対象に配置することが可能となる。このため、刃部材が一体に設けられている場合よりも、刃部材を狭い空間に配置しやすい。このため、2つの刃部材が一体となった工具よりも、より込み入った位置に設けられた突出部を容易に切除することが可能となる。
【符号の説明】
【0054】
1 切除工具、2 基部材、3 第1刃部材、3a 第1刃、
4 第2刃部材、4a 第2刃、4d テーパ、
5 操作ハンドル(延出部)、6 補助ハンドル、
20 本体部、30 下枠、30a 突出部、