(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017720
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】中継機、通信システム、処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 28/22 20090101AFI20250130BHJP
H04W 16/26 20090101ALI20250130BHJP
【FI】
H04W28/22
H04W16/26
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120905
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】関 文彦
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067EE02
5K067EE06
5K067EE10
5K067EE22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】端末とアクセスポイントとが中継機を介して行う無線通信において、中継機と端末との間の無線通信レートに変化がない場合にも、端末とアクセスポイントとの間の無線通信レートの低下を抑制する中継機を提供する。
【解決手段】最小構成の中継機は、アクセスポイントとの第1無線通信における通信レートの変化により第1端末の第2無線通信における通信レートが低下した場合に、第1無線通信で使用する周波数を、第1無線通信における通信レートについて特定された複数の周波数のうち、第2無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とするか又は第2端末との第3無線通信における通信レートの変化により第2無線通信における通信レートが低下した場合に、第3無線通信で使用する周波数を、第3無線通信における通信レートについて特定された複数の周波数のうち、第2無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とする。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセスポイントと、第1端末または前記第1端末および第2端末を含む端末とに接続される中継機であって、
前記端末が前記第2端末を含まず、前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートの低下により前記第1端末の無線通信における通信レートが低下した場合に、前記アクセスポイントとの間の無線通信において使用する周波数を、前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートについて特定された複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とする第1処理を行う、または、前記端末が前記第2端末を含み、前記第2端末との間の無線通信における通信レートの変化により前記第1端末の無線通信における通信レートが低下した場合に、前記第2端末との間の無線通信において使用する周波数を、前記第2端末との間の無線通信における通信レートについて特定された複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とする第2処理を行う設定部、
を備える中継機。
【請求項2】
前記設定部が前記第1処理を行う設定部である場合、前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートを特定し、前記設定部が前記第2処理を行う設定部である場合、前記第2端末との間の無線通信における通信レートを特定する特定部、
を備え、
前記設定部は、前記第1処理を行う設定部である場合、前記アクセスポイントとの間の無線通信において使用する周波数を、前記特定部が特定した前記複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とし、前記第2処理を行う設定部である場合、前記第2端末との間の無線通信において使用する周波数を、前記特定部が特定した前記複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とする、
請求項1に記載の中継機。
【請求項3】
第1周辺環境である中継機自身の周辺環境を確認する確認部と、
前記設定部が前記第1処理を行う設定部である場合、前記第1周辺環境に基づいて、前記第1端末との間の無線通信における通信レートの低下の原因が前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートの低下であるか否かを判定し、前記設定部が前記第2処理を行う設定部である場合、前記第1周辺環境に基づいて、前記第1端末との間の無線通信における通信レートの低下の原因が前記第2端末との間の無線通信における通信レートの変化であるか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記設定部が前記第1処理を行う設定部であり、前記第1端末との間の無線通信における通信レートの低下の原因が前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートの低下であると、前記第1周辺環境に基づいて前記判定部が判定した場合に、前記特定部は、前記複数の周波数における前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートを特定し、前記設定部が前記第2処理を行う設定部であり、前記第1端末との間の無線通信における通信レートの低下の原因が前記第2端末との間の無線通信における通信レートの変化であると、前記第1周辺環境に基づいて前記判定部が判定した場合に、前記特定部は、前記複数の周波数における前記第2端末との間の無線通信における通信レートを特定する、
請求項2に記載の中継機。
【請求項4】
第1周辺環境である中継機自身の周辺環境を確認する確認部と、
前記設定部が前記第1処理を行う設定部である場合、前記第1周辺環境に基づいて、前記第1端末との間の無線通信における通信レートの低下の原因が前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートの低下であるか否かを判定し、前記設定部が前記第2処理を行う設定部である場合、前記第1周辺環境に基づいて、前記第1端末との間の無線通信における通信レートの低下の原因が前記第2端末との間の無線通信における通信レートの変化であるか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記設定部が前記第1処理を行う設定部であり、前記第1端末との間の無線通信における通信レートの低下の原因が前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートの低下であると、前記第1周辺環境に基づいて前記判定部が判定した場合に、前記設定部は、前記アクセスポイントとの間の無線通信において使用する周波数を、前記複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とし、前記設定部が前記第2処理を行う設定部であり、前記第1端末との間の無線通信における通信レートの低下の原因が前記第2端末との間の無線通信における通信レートの変化であると、前記第1周辺環境に基づいて前記判定部が判定した場合に、前記設定部は、前記第2端末との間の無線通信において使用する周波数を、前記複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とする、
請求項1に記載の中継機。
【請求項5】
前記設定部は、前記設定部が前記第1処理を行う設定部である場合、前記アクセスポイントの周辺環境に基づいて、前記アクセスポイントとの間の無線通信において使用する周波数を、前記各周波数のうち、前記端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とし、前記設定部が前記第2処理を行う設定部である場合、前記設定部は、前記アクセスポイントの周辺環境に基づいて、前記アクセスポイントとの間の無線通信において使用する周波数を、前記各周波数のうち、前記端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とする、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の中継機。
【請求項6】
請求項1に記載の中継機と、
前記中継機に接続される前記アクセスポイント、前記第1端末、および前記第2端末と、
を備える通信システム。
【請求項7】
アクセスポイントと、第1端末または前記第1端末および第2端末を含む端末とに接続される中継機が実行する処理方法であって、
前記端末が前記第2端末を含まず、前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートの低下により前記第1端末の無線通信における通信レートが低下した場合に、前記アクセスポイントとの間の無線通信において使用する周波数を、前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートについて特定された複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とすること、または、
前記端末が前記第2端末を含み、前記第2端末との間の無線通信における通信レートの変化により前記第1端末の無線通信における通信レートが低下した場合に、前記第2端末との間の無線通信において使用する周波数を、前記第2端末との間の無線通信における通信レートについて特定された複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とすること、
を含む処理方法。
【請求項8】
アクセスポイントと、第1端末または前記第1端末および第2端末を含む端末とに接続される中継機のコンピュータに、
前記端末が前記第2端末を含まず、前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートの低下により前記第1端末の無線通信における通信レートが低下した場合に、前記アクセスポイントとの間の無線通信において使用する周波数を、前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートについて特定された複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とすること、または、
前記端末が前記第2端末を含み、前記第2端末との間の無線通信における通信レートの変化により前記第1端末の無線通信における通信レートが低下した場合に、前記第2端末との間の無線通信において使用する周波数を、前記第2端末との間の無線通信における通信レートについて特定された複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とすること、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、中継機、通信システム、処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
さまざまな分野で無線通信が用いられている。特許文献1には、関連する技術として、中継機を介して無線通信を行う無線通信システムに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、第1端末とアクセスポイントとが中継機を介して無線通信を行う場合、中継機とアクセスポイント、または、中継機と第1端末とは異なる第2端末との間の無線通信レートが変化した場合、中継機と第1端末との間の無線通信レートに変化のない場合であっても第1端末とアクセスポイントとの間の無線通信レートが低下してしまう。そのため、端末とアクセスポイントとが中継機を介して行う無線通信において、中継機と端末との間の無線通信レートに変化がない場合にも、端末とアクセスポイントとの間の無線通信レートの低下を抑制することのできる技術が求められている。
【0005】
本開示の各態様は、上記の課題を解決することのできる中継機、通信システム、処理方法、およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一態様によれば、中継機は、アクセスポイントと、第1端末または前記第1端末および第2端末を含む端末とに接続される中継機であって、前記端末が前記第2端末を含まず、前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートの低下により前記第1端末の無線通信における通信レートが低下した場合に、前記アクセスポイントとの間の無線通信において使用する周波数を、前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートについて特定された複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とする第1処理を行う、または、前記端末が前記第2端末を含み、前記第2端末との間の無線通信における通信レートの変化により前記第1端末の無線通信における通信レートが低下した場合に、前記第2端末との間の無線通信において使用する周波数を、前記第2端末との間の無線通信における通信レートについて特定された複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とする第2処理を行う設定部、を備える。
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、通信システムは、上記の中継機と、前記中継機に接続される前記アクセスポイント、前記第1端末、および前記第2端末と、を備える。
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、処理方法は、アクセスポイントと、第1端末または前記第1端末および第2端末を含む端末とに接続される中継機が実行する処理方法であって、前記端末が前記第2端末を含まず、前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートの低下により前記第1端末の無線通信における通信レートが低下した場合に、前記アクセスポイントとの間の無線通信において使用する周波数を、前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートについて特定された複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とすること、または、前記端末が前記第2端末を含み、前記第2端末との間の無線通信における通信レートの変化により前記第1端末の無線通信における通信レートが低下した場合に、前記第2端末との間の無線通信において使用する周波数を、前記第2端末との間の無線通信における通信レートについて特定された複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とすること、を含む。
【0009】
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、プログラムは、アクセスポイントと、第1端末または前記第1端末および第2端末を含む端末とに接続される中継機のコンピュータに、前記端末が前記第2端末を含まず、前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートの低下により前記第1端末の無線通信における通信レートが低下した場合に、前記アクセスポイントとの間の無線通信において使用する周波数を、前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートについて特定された複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とすること、または、前記端末が前記第2端末を含み、前記第2端末との間の無線通信における通信レートの変化により前記第1端末の無線通信における通信レートが低下した場合に、前記第2端末との間の無線通信において使用する周波数を、前記第2端末との間の無線通信における通信レートについて特定された複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とすること、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の各態様によれば、端末とアクセスポイントとが中継機を介して行う無線通信において、中継機と端末との間の無線通信レートに変化がない場合にも、端末とアクセスポイントとの間の無線通信レートの低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の第1実施形態による通信システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】本開示の第1実施形態による中継機の構成の一例を示す図である。
【
図3】本開示の第1実施形態による通信システムの処理フローの一例を示す第1図である。
【
図4】本開示の第1実施形態による通信システムの処理フローの一例を示す第2図である。
【
図5】本開示の第1実施形態によるアクセスポイントが生成した周辺環境一覧の一例を示す図である。
【
図6】本開示の第1実施形態による中継機が生成した周辺環境一覧の一例を示す図である。
【
図7】
図5および
図6から特定された周波数の一例を示す図である。
【
図8】本開示の第1実施形態による通信システムにおける無線通信レートの変化の一例を示す図である。
【
図9】本開示の第1実施形態におけるDFS検知周波数テーブルの一例を示す図である。
【
図10】本開示の第2実施形態による通信システムの構成の一例を示す図である。
【
図11】本開示の第2実施形態による通信システムの処理フローの一例を示す図である。
【
図12】本開示の第2実施形態による端末30a2が移動した場合の通信システムのイメージ図である。
【
図13】本開示の第2実施形態による中継機が生成した周辺環境一覧の第1の例を示す図である。
【
図14】本開示の第2実施形態による中継機が生成した周辺環境一覧の第2の例を示す図である。
【
図15】本開示の第2実施形態による通信システムにおける無線通信レートの変化の一例を示す図である。
【
図16】本開示の実施形態による中継機の最小構成を示す図である。
【
図17】本開示の実施形態による最小構成の中継機の処理フローの一例を示す図である。
【
図18】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
<第1実施形態>
(通信システムの構成)
本開示の第1実施形態による通信システム1について図面を参照して説明する。通信システム1は、端末とアクセスポイントとが中継機を介して行う無線通信において、中継機と端末との間の無線通信レートに変化がない場合にも、端末とアクセスポイントとの間の無線通信レートの低下を抑制することのできるシステムである。
【0013】
図1は、本開示の第1実施形態による通信システム1の構成の一例を示す図である。通信システム1は、
図1に示すように、無線LAN(Local Area Network)アクセスポイント(以下、「アクセスポイント」と記載)10、無線LAN中継機(以下、「中継機」と記載)20、および無線LAN端末(以下、「端末」と記載)30を備える。
【0014】
アクセスポイント10は、端末30を無線LANに接続する機器である。中継機20は、無線LANにおいて電波が弱い場合に設置される機器である。中継機20は、弱い電波を強くすることにより、電波の届く範囲を広げる。中継機20は、定期的に周辺環境を監視する。中継機20が定期的に周辺環境を監視する監視項目の例としては、Channel Load(該当周波数の使用率[%])、NF(Noise Figure[dB])、通信対象機器のRSSI(Received Signal Strength Indication[dBm])などが挙げられる。
【0015】
図2は、本開示の第1実施形態による中継機20の構成の一例を示す図である。中継機20は、
図2に示すように、アンテナ201a1、201a2、201a3、201a4、201b1、201b2、201b3、201b4、送受信回路202a1、202a2、202a3、202a4、202b1、202b2、202b3、202b4、ベースバンド部203、メモリ部204、およびCPU(Central Processing Unit)205を備える。
【0016】
アンテナ201a1、201a2、201a3、201a4を総称して、アンテナ201aということがある。アンテナ201b1、201b2、201b3、201b4を総称して、アンテナ201bということがある。アンテナ201a、201bを総称して、アンテナ201ということがある。送受信回路202a1、202a2、202a3、202a4を総称して送受信回路202aということがある。送受信回路202b1、202b2、202b3、202b4を総称して、送受信回路202bということがある。送受信回路202a、202bを総称して、送受信回路202ということがある。
【0017】
アンテナ201aは、例えば、2.4GHz帯の電波を送受信することにより、アクセスポイント10や端末30と無線通信を行うためのアンテナである。アンテナ201bは、例えば、5GHz帯の電波を送受信することにより、アクセスポイント10や端末30と無線通信を行うためのアンテナである。
【0018】
送受信回路202a1は、無線LAN(Local Area Network)の送受信を行うことにより、アンテナ201a1を介してアクセスポイント10や端末30と通信を行う。送受信回路202a2は、無線LANの送受信を行うことにより、アンテナ201a2を介してアクセスポイント10や端末30と通信を行う。送受信回路202a3は、無線LANの送受信を行うことにより、アンテナ201a3を介してアクセスポイント10や端末30と通信を行う。送受信回路202a4は、無線LANの送受信を行うことにより、アンテナ201a4を介してアクセスポイント10や端末30と通信を行う。
【0019】
送受信回路202b1は、無線LANの送受信を行うことにより、アンテナ201b1を介してアクセスポイント10や端末30と通信を行う。送受信回路202b2は、無線LANの送受信を行うことにより、アンテナ201b2を介してアクセスポイント10や端末30と通信を行う。送受信回路202b3は、無線LANの送受信を行うことにより、アンテナ201b3を介してアクセスポイント10や端末30と通信を行う。送受信回路202b4は、無線LANの送受信を行うことにより、アンテナ201b4を介してアクセスポイント10や端末30と通信を行う。
【0020】
ベースバンド部203は、送受信回路202が送信する送信データの変調を行う。また、ベースバンド部203は、送受信回路202が受信する受信データの復調を行う。
【0021】
メモリ部204は、中継機20の周辺環境の電波状況や各種情報を記憶する。CPU205は、メモリ部204が記憶している情報に基づいて、送受信に使用する周波数帯域を最適な周波数帯域に制御する。
【0022】
端末30は、アクセスポイント10を介して無線LANに接続することにより、無線通信を行う機器である。端末30は、例えば、スマートフォンやタブレットデバイスである。
【0023】
なお、上述したアクセスポイント10、中継機20、および端末30のそれぞれが行う処理は一例であり、それらの処理に限定されるものではない。例えば、アクセスポイント10、中継機20、および端末30のそれぞれは、以下で説明する処理を行うものであってもよい。
【0024】
次に、通信システム1が行う処理について説明する。
図3は、本開示の第1実施形態による通信システム1の処理フローの一例を示す第1図である。
図4は、本開示の第1実施形態による通信システム1の処理フローの一例を示す第2図である。ここでは、
図3および
図4を参照して、
図1に示す通信システム1が行う送受信に使用する周波数帯域を最適な周波数帯域にする処理について説明する。
【0025】
なお、アクセスポイント10と中継機20との間の通信、および、中継機20と端末30との間の通信(すなわち、送受信)では、周波数帯域として5GHz帯を使用しており、オートチャネルセレクトで選択された100チャネルにて、クワッドチャネルで動作しているものとする。また、アクセスポイント10と中継機20との間の通信、および、中継機20と端末30との間の通信(すなわち、送受信)は、それぞれ2stream HE80 MCS6の無線通信レートで確立されており、実際の無線通信レートは518.8Mbps(Mega bit per second)とする。なお、この場合、アクセスポイント10と端末30との間の無線通信レートは518.8Mbps/2=259.4Mbpsとなる。また、端末30の無線通信レートが低下しているものとする。
【0026】
中継機20は、周辺環境を監視する(ステップS1)。中継機20は、端末30との間の無線通信レートに基づいて、端末30の無線通信レートが低下しているか否かを判定する(ステップS2)。例えば、中継機20は、端末30との間の無線通信レートが設定したしきい値(例えば、通信開始時の中継機20と端末30との間の無線通信レートに対応して予め定められたしきい値)以下になったと判定した場合、端末30の無線通信レートが低下したと判定する。また、例えば、中継機20は、端末30との間の無線通信レートが設定したしきい値を超えていると判定した場合、端末30の無線通信レートが低下していないと判定する。
【0027】
中継機20は、端末30の無線通信レートが低下していないと判定した場合(ステップS2においてNO)、ステップS1の処理に戻す。また、中継機20は、端末30の無線通信レートが低下していると判定した場合(ステップS2においてYES)、周辺環境に変化があるか否かを判定する(ステップS3)。例えば、中継機20は、Channel Load、NF、通信対象機器のRSSIなどの周辺環境を監視する監視項目のうちの少なくとも1つが、設定した範囲から外れたと判定した場合、周辺環境に変化があると判定する。また、例えば、中継機20は、周辺環境を監視する監視項目のいずれも設定した範囲内にあると判定した場合、周辺環境に変化がないと判定する。なお、設定した範囲の例としては、周辺環境を監視する監視項目それぞれの値の上限と下限との間、監視項目それぞれの値に対する単位時間当たりの変化量の許容範囲などが挙げられる。
【0028】
中継機20は、周辺環境に変化があると判定した場合(ステップS3においてYES)、その変化が中継機20と端末30との間の無線通信レートの変化によるものと判定する。そして、中継機20は、ステップS1の処理に戻す。
【0029】
また、中継機20は、周辺環境に変化がないと判定した場合(ステップS3においてNO)、アクセスポイント10と中継機20との間の無線通信レートの変化によるものと判定する。そして、中継機20は、アクセスポイント10に対して、所定の処理を実行させる通知を送信する(ステップS4)。
【0030】
アクセスポイント10は、中継機20から通知を受信する。アクセスポイント10は、受信した通知に応じて、レーダー波を検出したか否かを判定する(ステップS5)。アクセスポイント10は、レーダー波を検出したと判定した場合(ステップS5においてYES)、検出したレーダー波の周波数を確認する。そして、アクセスポイント10は、DFS検出周波数テーブルを更新する(ステップS6)。アクセスポイント10が更新する内容は、検出したレーダー波の周波数と日付である。この更新したDFS検出周波数テーブルは、周波数選択を実施する際に使用される。アクセスポイント10は、周辺環境を監視する。アクセスポイント10が監視する項目は、中継機20が監視する監視項目と同様である。そして、アクセスポイント10は、監視結果に基づいて、周辺環境一覧を作成する(ステップS7)。
【0031】
また、アクセスポイント10は、レーダー波を検出していないと判定した場合(ステップS5においてNO)、ステップS6の処理を行わずに、ステップS7の処理に進める。
【0032】
図5は、本開示の第1実施形態によるアクセスポイント10が生成した周辺環境一覧の一例を示す図である。ここで、アクセスポイント10が生成した周辺環境一覧について、
図5を参照して説明する。なお、アクセスポイント10は、周辺環境を監視して得られた情報を4段階に分類し、生成した周辺環境一覧において、その4段階の分類を表示させるものとする。例えば、アクセスポイント10は、生成した周辺環境一覧において、0%のChannel LoadをL1に分類し、1~25%のChannel LoadをL2に分類し、26~50%のChannel LoadをL3に分類し、51%以上のChannel LoadをL4に分類する。
【0033】
また、アクセスポイント10は、生成した周辺環境一覧において、
図5に示すように、NFの実測値[dB]およびRSSIを実測値[dBm]で示す。また、アクセスポイント10は、NFとRSSIからSNR(Signal to Noise Ratio)を算出する。また、アクセスポイント10は、生成した周辺環境一覧において、アクセスポイント10と中継機20との間で想定される無線通信レートを示す。
【0034】
ここで、Channel LoadがL1またはL2の場合、無線通信レートはNFおよびRSSIにより決定される。また、Channel LoadがL1またはL2以外の場合(すなわち、Channel LoadがL3またはL4の場合)、無線通信レートは算出した結果より劣る可能性が高い。そのため、例えば、使用する周波数で、L3が1つの場合は0.8、L3が2つ以上の場合は0.6、1つでもL4がある場合は0.4を補正値とし、無線通信レートに乗算する。具体的には、例えば、アクセスポイントの周辺環境が
図5に示す状況下である場合、5GHz帯ではSN比が25dB確保されているため、2stream HE80 MCS6 648.5Mbpsでの無線通信レートが想定される。しかしながら、現在使用している100chではNFの悪化によりSN比が15dBしか確保されておらず、2stream HE80 MCS3 288.2Mbpsまで無線通信レートが変化しており、Channel Loadの補正値0.6を考慮すると、無線通信レートは230.6Mbpsである。したがって、この状態ではアクセスポイント10と端末30との間の無線通信レートは、230.6/2=115.3Mbpsとなる。この場合、現在使用中の周波数の中には5GHz帯であれば、Channel Loadの補正値を用いた補正後の無線通信レートが230.6Mbps、2.4GHzであれば、115.3Mbpsを上回るものがあれば、現状の無線通信レートよりも向上する可能性がある。
【0035】
よって、アクセスポイント10は、生成した周辺環境一覧において、現状の無線通信レートを上回る周波数が存在するか否かを判定する(ステップS8)。アクセスポイント10は、生成した周辺環境一覧において、現状の無線通信レートを上回る周波数が存在しないと判定した場合(ステップS8においてNO)、現状の周波数による通信を継続する(ステップS9)。このステップS9の処理は、現状の無線通信レートを上回る周波数が存在しないということは、現状の周波数が最適であるという考えに基づくものである。そして、アクセスポイント10は、ステップS7の処理に戻ることにより、再度、周辺環境一覧を生成する。
【0036】
また、アクセスポイント10は、生成した周辺環境一覧において、現状の無線通信レートを上回る周波数が存在すると判定した場合(ステップS8においてYES)、現状の無線通信レートを上回る周波数に見直した後の周波数の候補として特定する(ステップS10)。例えば、
図5に示す周辺環境一覧の場合、無線通信レートは、5GHz帯の36~48chで518.8Mbps、52~62chで259.4Mbps、132~144chで518.8Mbpsである。また、例えば、
図5に示す周辺環境一覧の場合、無線通信レートは、2.4GHz帯の6~10chで220.2Mbps、9~13chで165.2Mbpsである。そのため、5つの周波数で現状の無線通信レートよりも向上する可能性がある。なお、本開示の各実施形態における「見直し」とは、前の状態と異なる状態にする場合には状態を「変更」することに相当し、前の状態と同一の状態にする場合には状態を「維持」することに相当する。
【0037】
なお、5GHz帯の通信は、W52、W53、W56のグループに分かれている。W53またはW56のグループに周波数を見直す場合、レーダーサーチにより1分間通信を停止する必要がある。そのため、通信中の端末30が存在する場合には、W53やW56への見直しよりもW52または2.4GHz帯への見直しが優先される。例えば、
図5に示す周辺環境一覧の場合、36~48ch(518.8Mbps)、6~10ch(220.2Mbps)、9~13ch(165.2Mbps)の3つの周波数が見直し後の周波数の対象となる。ここで、特定された周波数は、アクセスポイント10の周辺で良好な無線通信レートが得られる周波数であるが、中継機20の周辺でも同様に良好な無線通信レートが得られる周波数であるとは限らない。そのため、中継機20は、中継機20が生成した周辺環境一覧においても同様に見直し後の周波数の候補を特定する(ステップS11)。
【0038】
図6は、本開示の第1実施形態による中継機20が生成した周辺環境一覧の一例を示す図である。
図6に示す例では、無線通信レートは、5GHz帯の100~112chで389.1Mbps、116~128chで389.1Mbps、132~144chで518.8Mbpsである。また、
図6に示す例では、無線通信レートは、2.4GHz帯の6~10chで220.2Mbps、9~13chで165.2Mbpsである。この場合、5つの周波数で現状の無線通信レートよりも向上する可能性がある。ただし、アクセスポイント10と同様に、中継機20において5GHz帯のW53またはW56に見直す場合、レーダーサーチにより1分間通信を停止する必要がある。そのため、通信中の端末30が存在する場合には、W53やW56への見直しよりもW52または2.4GHz帯への見直しが優先される。例えば、
図6に示す周辺環境一覧の場合、100~112ch(389.1Mbps)、6~10ch(220.2Mbps)、9~13ch(165.2Mbps)の3つの周波数が見直し後の周波数の対象となる。そのため、中継機20は、アクセスポイント10と中継機20の両方において特定された周波数に5GHz帯が存在するか否かを判定する(ステップS12)。
【0039】
中継機20は、アクセスポイント10と中継機20の両方において特定された周波数に5GHz帯が存在しないと判定した場合(ステップS12においてNO)、中継機20とアクセスポイント10との間の通信で使用する周波数帯域を2.4GHz帯とし(ステップS13)、使用する周波数帯(この場合、2.4GHz帯)の中で最も高い無線通信レートの周波数とする(ステップS14)。そして、中継機20は、その周波数帯域をアクセスポイント10に通知する。アクセスポイント10は、中継機20からその通知を受信する。アクセスポイント10は、受信した通知に応じて、中継機20とアクセスポイント10との間の通信で使用する周波数帯域を2.4GHz帯とし、使用する周波数帯(この場合、2.4GHz帯)の周波数とする。なお、中継機20と端末30との間の通信で使用する周波数帯域および周波数は、維持される。
【0040】
また、中継機20は、アクセスポイント10と中継機20の両方において特定された周波数に5GHz帯が存在すると判定した場合(ステップS12においてYES)、中継機20とアクセスポイント10との間の通信で使用する周波数帯域を5GHz帯とし(ステップS15)、ステップS14の処理を実施、すなわち、使用する周波数帯(この場合、5GHz帯)の中で最も高い無線通信レートの周波数とする。
図7は、
図5および
図6から特定された周波数の一例を示す図である。
図7に示す例では、特定された周波数に5GHz帯が存在しない。そのため、中継機20およびアクセスポイント10は、アクセスポイント10と中継機20との間の通信で使用する周波数帯域を2.4GHzとする。そして、中継機20およびアクセスポイント10は、
図7に示すように特定された2つの周波数のうち、より無線通信レートの向上の見込める6~10ch(220.2Mbps)の周波数とする。
【0041】
図8は、本開示の第1実施形態による通信システム1における無線通信レートの変化の一例を示す図である。
図8は、初期状態、初期状態からアクセスポイント10と中継機20との間の無線通信レートが変化した後、および、その無線通信レートが変化した後にアクセスポイント10と中継機20との間の通信において使用する周波数を見直した後のそれぞれにおけるアクセスポイント10と中継機20との間、中継機20と端末30との間、および端末30の無線通信レートを示している。
【0042】
図8に示す初期状態では、アクセスポイント10と中継機20との間、および中継機20と端末30との間の無線通信レートは、518.8Mbpsである。そして、この場合の端末30の無線通信レートは、259.4Mbpsとなる。また、
図8に示す初期状態からアクセスポイント10と中継機20との間の無線通信レートが230.6Mbpsに変化した場合、端末30の無線通信レートは、115.3Mbpsに低下する。そして、
図8に示す無線通信レートが変化した後にアクセスポイント10と中継機20との間の通信において使用する周波数を見直した後の無線通信レート(すなわち、変化したアクセスポイント10と中継機20との間の無線通信レートを最も高い無線通信レートに見直した後の通信レート)は、220.2Mbpsである。そして、この場合の端末30の無線通信レートは、220.2Mbpsとなる。つまり、
図8に示す例では、変化したアクセスポイント10と中継機20との間の無線通信レートを改善させることにより、端末30の通信レートを115.3Mbpsから220.2Mbpsに改善することができる。
【0043】
周波数帯域および周波数の見直し後には、中継機20は、一定時間、アクセスポイント10と端末30との間の無線通信レートを確認する。そして、中継機20は、周波数帯域および周波数の見直し後の無線通信レートが周波数帯域および周波数の見直し前の無線通信レート(例えば、115.3Mbps)を上回っているか否かを判定する(ステップS16)。中継機20は、周波数帯域および周波数の見直し後の無線通信レートが周波数帯域および周波数の見直し前の無線通信レートを上回っていないと判定した場合(ステップS16においてNO)、ステップS7の処理に戻す。
【0044】
また、中継機20は、周波数帯域および周波数の見直し後の無線通信レートが周波数帯域および周波数の見直し前の無線通信レートを上回っていると判定した場合(ステップS16においてYES)、周波数帯域および周波数が最適であると判定し、現状の周波数による通信を継続する(ステップS17)。
【0045】
なお、日本国では、2.4GHz帯は、ISM(Industrial Scientific and Medical)バンドである。そのため、2.4GHz帯の利用率は、5GHz帯の利用率に比べて高い傾向にある。その結果、基本的には、2.4GHz帯よりも5GHz帯を使用した方がよいと考えられる。よって、中継機20は、端末30との間で一定時間内の通信があるか否かを判定する(ステップS18)。例えば、中継機20は、この判定を定期的に行う。
【0046】
中継機20は、端末30との間の通信があると判定した場合(ステップS18においてYES)、ステップS17の処理を実施、すなわち、現状の周波数による通信を継続する。
【0047】
また、中継機20は、(例えば、一定時間内に)端末30との通信がないと判定した場合(ステップS18においてNO)、端末30との通信において、5GHz帯で最も高い無線通信レートの周波数とする(ステップS19)。見直し後の周波数の決定には、
図5および
図6に示す周辺環境一覧のほかにステップS6の処理において更新されたDFS検知周波数テーブルが使用される。
図9は、本開示の第1実施形態におけるDFS検知周波数テーブルの一例を示す図である。
図9に示すように、DFS検知周波数テーブルは、周波数ごとに、DFS検知回数とその検知日とを関連付けたレーダー検知履歴を表すテーブルである。
図9に示す例では、52chおよび112chのそれぞれは、複数回のレーダー検知履歴が存在する。そのため、これら52chおよび112chが含まれる周波数は選択されない。また、レーダー検知履歴が1回である124chおよび136chが含まれる周波数は選択対象となる。しかしながら、
図5および
図6から、136chが含まれる周波数の無線通信レートの方が、124chが含まれる周波数の無線通信レートよりもよいことがわかる。また、アクセスポイント10側でChannel Loadの比較的高い132chは、キャリアセンスが発動する可能性が高くなる。そのため、プライマリーチャネルとして設定しない方がよい。その結果、本開示の第1実施形態では、140chまたは144chがプライマリーチャネルとして設定されることになる。
【0048】
以上、本開示の第1実施形態による通信システム1について説明した。通信システム1の中継機20(中継機の一例)は、アクセスポイント10(アクセスポイントの一例)と、端末30(第1端末の一例)を含む端末に接続される中継機であって、前記アクセスポイント10との間の無線通信における通信レートの低下により前記端末30の無線通信における通信レートが低下した場合に、前記アクセスポイント10との間の無線通信において使用する周波数を、前記アクセスポイント10との間の無線通信における通信レートについて特定された複数の周波数のうち、前記端末30との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とする第1処理を行うCPU205(設定部の一例)を備える。
【0049】
この中継機20(中継機の一例)により、端末30(端末の一例)とアクセスポイント10(アクセスポイントの一例)とが中継機20を介して行う無線通信において、中継機20と端末30との間の無線通信レートに変化がない場合にも、端末30とアクセスポイント10との間の無線通信レートの低下を抑制することができる。
【0050】
<第2実施形態>
(通信システムの構成)
次に、本開示の第2実施形態による通信システム1について図面を参照して説明する。
図10は、本開示の第2実施形態による通信システム1の構成の一例を示す図である。通信システム1は、
図10に示すように、アクセスポイント10、中継機20、および端末30a1、30a2を備える。通信システム1は、
図10に示すように、端末30a1、30a2の2台が中継機20を介してアクセスポイント10と通信する。本開示の第2実施形態では、端末30a1、30a2を総称して端末30aということがある。
【0051】
アクセスポイント10は、端末30aを無線LANに接続する機器である。端末30aのそれぞれは、例えば、本開示の第1実施形態による端末30と同様である。第1実施形態と第2実施形態は、以下で説明するように、中継機20が行う処理と、端末30a2が移動することにより端末30a1とアクセスポイント10との間の無線通信レートが低下することが異なる。
【0052】
次に、通信システム1が行う処理について説明する。
図11は、本開示の第2実施形態による通信システム1の処理フローの一例を示す図である。ここでは、
図10に示す通信システム1が行う送受信に使用する周波数帯域を最適な周波数帯域にする処理について説明する。
【0053】
なお、アクセスポイント10と中継機20との間の通信、および、中継機20と端末30aとの間の通信(すなわち、送受信)では、周波数帯域として5GHz帯を使用しており、オートチャネルセレクトで選択された100チャネルにて、クワッドチャネルで動作しているものとする。また、アクセスポイント10と中継機20との間の通信、および、中継機20と端末30との間の通信(すなわち、送受信)は、それぞれ2stream HE80 MCS6の無線通信レートで確立されており、実際の無線通信レートは518.8Mbpsとする。また、初期状態として、2台の端末30aは、無線通信レートが同程度であり、MU-MIMO(Multi User-Multiple Input Multiple Output)の機能でグルーピングされており、中継機20と端末30aの間の通信は、MU-MIMOとして動作するものとする。この場合、端末30aそれぞれは、MU-MIMOの機能の効果により、同時通信が可能となる。そのため、端末30aそれぞれの無線通信レートは、518.8/2=259.4Mbpsとなる。
【0054】
図12は、本開示の第2実施形態による端末30a2が移動した場合の通信システム1のイメージ図である。ここで、初期状態に対して、
図12に示すように、端末30a2が初期状態に比べて中継機20から離れた場所に移動したとする。また、その結果、端末30a2が、MU-MIMOのグルーピングから外れたとする。そして、端末30a1の無線通信レートと端末30a2の無線通信レートとの間に大きな差が発生したとする。この場合、MU-MIMOのグルーピング機能が無効となり、端末30a1と端末30a2の両方で無線通信レートが低下する。
【0055】
ここで示す例では、アクセスポイント10および中継機20それぞれの周辺環境に変化はなく、アクセスポイント10と中継機20との間の無線通信レートは、一定であるものと仮定する。そして、端末30a1と中継機20との間の無線通信レートが、518.8/3=172.9Mbpsとなったとする。また、中継機20から離れた場所へ移動した影響により、2stream HE80 MCS2 173Mbps(Channel Load補正後)となっており、端末30a2と中継機20との間の無線通信レートが、173/3=57.7Mbpsとなっているものとする。なお、ここで、無線通信レートを3分の1にしている理由は、中継機20と端末30aそれぞれとの間の通信がMU-MIMOのグルーピング機能を用いた通信ではなくなり、中継機20と端末30a1との間の通信、および、中継機20と端末30a2との間の通信が時分割となったためである。この場合、端末30a1は、中継機20との間の通信に変化がないにも関わらず、端末30a2の移動により、無線通信レートが低下する(例えば、259.4Mbpsから172.9Mbpsに変化し、80Mbpsも低下する)。
【0056】
アクセスポイント10と中継機20との間の通信、および、中継機20と端末30aそれぞれとの間の通信では、同じ周波数帯域(ここで示す例では5GHz帯)を使用している。そして、端末30a2が中継機20から離れた場所に移動し、MU-MIMOのグルーピングから外れた場合、端末30a2の通信に用いる周波数帯域を現状の無線通信レートよりも低下しない周波数帯域とすることができれば、端末30a1の無線通信レートの低下の度合いを緩和させることが可能となる。
【0057】
そこで、中継機20は、アクセスポイント10と端末30aとの間の通信が確立すると、周辺環境を監視する(ステップS31)。中継機20は、周辺環境の監視結果に基づいて、周辺環境一覧を生成する(ステップS32)。そして、中継機20は、現状の無線通信レートを上回る周波数が存在するか否かを判定する(ステップS33)。
【0058】
中継機20は、現状の無線通信レートを上回る周波数が存在しないと判定した場合(ステップS33においてNO)、現状の周波数による通信を継続する(ステップS34)。このステップS34の処理は、現状の無線通信レートを上回る周波数が存在しないということは、現状の周波数を変更しても端末30aそれぞれにメリットがないという考えに基づくものである。そして、中継機20は、ステップS32の処理に戻ることにより、再度、周辺環境一覧を生成する。
【0059】
図13は、本開示の第2実施形態による中継機20が生成した周辺環境一覧の第1の例を示す図である。例えば、
図13に示す周辺環境一覧の場合、2.4GHz帯の無線通信レートは、どの周波数であっても41.3Mbpsである。また、中継機20は、端末30a2との間の通信における周波数帯域を5GHzから2.4GHzとすることによって、端末30a1の無線通信レートを172.9Mbpsから259.4Mbpsに改善することができる。しかしながら、中継機20が端末30a2との通信における周波数帯域を5GHzから2.4GHzとした場合、端末30a2の無線通信レートは41.3Mbpsとなる。つまり、中継機20と端末30a2との間の通信における周波数帯域を5GHzから2.4GHzとした場合の端末30a2の無線通信レートは、2.4GHzとする前の無線通信レート57.7Mbpsから改善されない。
【0060】
図14は、本開示の第2実施形態による中継機20が生成した周辺環境一覧の第2の例を示す図である。なお、
図14に示す周辺環境一覧は、中継機20が
図13に示す周辺環境一覧を生成した後に生成した周辺環境一覧の一例である。
【0061】
時間が経過し、ステップS33の処理においてNOと判定され、ステップS34の処理、およびステップS32の処理が行われることにより、中継機20の周辺環境が
図14に示す周辺環境一覧のように変化したとする。この場合、現状の無線通信レートを上回る周波数が存在する。そのため、中継機20は、ステップS33の処理において、現状の無線通信レートを上回る周波数が存在すると判定する(ステップS33においてYES)。そして、中継機20は、端末30a2との間の通信における周波数帯域を見直しし(すなわち、5GHzから2.4GHzとし)(ステップS35)、最も無線通信レートが高い周波数(すなわち、82.6Mbpsとなる6ch)とする(ステップS36)。
【0062】
図15は、本開示の第2実施形態による通信システム1における無線通信レートの変化の一例を示す図である。
図15は、初期状態、端末30a2が初期状態から移動することにより、中継機20と端末30aそれぞれとの間の無線通信レートが低下した後、および、中継機20と端末30a2との間の通信において使用する周波数を見直した後のそれぞれにおけるアクセスポイント10と中継機20との間、中継機20と端末30aそれぞれとの間、および端末30aそれぞれの無線通信レートを示している。
【0063】
図15に示す初期状態では、アクセスポイント10と中継機20との間、および中継機20と端末30との間の無線通信レートは、518.8Mbpsである。そして、この場合の端末30aそれぞれの無線通信レートは、259.4Mbpsとなる。また、
図15に示す端末30a2が初期状態から移動することにより、中継機20と端末30aそれぞれとの間の無線通信レートが低下した場合、端末30a1の無線通信レートは、172.9Mbpsに低下する。また、
図15に示す端末30a2が初期状態から移動することにより、中継機20と端末30aそれぞれとの間の無線通信レートが低下した場合、端末30a2の無線通信レートは、57.7Mbpsに低下する。そして、
図15に示す中継機20と端末30a2との間の通信において使用する周波数を見直し、端末30a2の無線通信レートを82.6Mbpsとした場合、端末30a1の無線通信レートは、259.4Mbpsとなる。つまり、
図15に示す例では、低下した中継機20と端末30a2との間の無線通信レートを57.7Mbpsから82.6Mbpsに改善させることにより、端末30a1の通信レートを172.9Mbpsから259.4Mbpsに改善することができる。
【0064】
以上、本開示の第2実施形態による通信システム1について説明した。通信システム1の中継機20(中継機の一例)は、アクセスポイント10(アクセスポイントの一例)と、端末30a1(第1端末の一例)および端末30a2(第2端末の一例)を含む端末に接続される中継機であって、前記端末30a2との間の無線通信における通信レートの低下により前記端末30a1の無線通信における通信レートが低下した場合に、前記端末30a2との間の無線通信において使用する周波数を、前記端末30a2との間の無線通信における通信レートについて特定された複数の周波数のうち、前記端末30a1との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とする第2処理を行うCPU205(設定部の一例)を備える。
【0065】
この中継機20(中継機の一例)により、端末30a1(端末の一例)とアクセスポイント10(アクセスポイントの一例)とが中継機20を介して行う無線通信において、中継機20と端末30a1との間の無線通信レートに変化がない場合にも、端末30a1とアクセスポイント10との間の無線通信レートの低下を抑制することができる。
【0066】
なお、本開示の第2実施形態では、端末30a2が初期状態に比べて中継機20から離れた場所に移動したことによりMU-MIMOのグルーピングから外れ、中継機20の通信レートが変化するものとして説明した。そして、本開示の第2実施形態では、その変化が原因で、端末30a1とアクセスポイント10との間の無線通信レートが低下するものとして説明した。しかしながら、本開示の別の実施形態には、端末30a2が初期状態に比べて中継機20に近づくことによりMU-MIMOのグルーピングから外れ、中継機20の通信レートが変化するものが含まれる。そして、本開示の別の実施形態には、その変化が原因で、端末30a1とアクセスポイント10との間の無線通信レートが低下するものも含まれる。
【0067】
図16は、本開示の実施形態による中継機20の最小構成を示す図である。中継機20は、アクセスポイントと、第1端末または前記第1端末および第2端末を含む端末とに接続される中継機である。中継機20は、
図16に示すように、設定部300を備える。設定部300は、前記端末が前記第2端末を含まず、前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートの低下により前記第1端末の無線通信における通信レートが低下した場合に、前記アクセスポイントとの間の無線通信において使用する周波数を、前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートについて特定された複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とする第1処理を行う、または、前記端末が前記第2端末を含み、前記第2端末との間の無線通信における通信レートの変化により前記第1端末の無線通信における通信レートが低下した場合に、前記第2端末との間の無線通信において使用する周波数を、前記第2端末との間の無線通信における通信レートについて特定された複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とする第2処理を行う。設定部300は、例えば、
図2に例示されているCPU205が有する機能を用いて実現することができる。
【0068】
図17は、本開示の実施形態による最小構成の中継機20の処理フローの一例を示す図である。次に、本開示の実施形態による最小構成の中継機20の処理について
図17を参照して説明する。
【0069】
設定部300は、アクセスポイントと、第1端末または前記第1端末および第2端末を含む端末とに接続される中継機において、前記端末が前記第2端末を含まず、前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートの低下により前記第1端末の無線通信における通信レートが低下した場合に、前記アクセスポイントとの間の無線通信において使用する周波数を、前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートについて特定された複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とする第1処理を行う、または、前記端末が前記第2端末を含み、前記第2端末との間の無線通信における通信レートの変化により前記第1端末の無線通信における通信レートが低下した場合に、前記第2端末との間の無線通信において使用する周波数を、前記第2端末との間の無線通信における通信レートについて特定された複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とする第2処理を行う(ステップS101)。
【0070】
以上、本開示の実施形態による最小構成の中継機20について説明した。この中継機20により、端末とアクセスポイントとが中継機を介して行う無線通信において、中継機と端末との間の無線通信レートに変化がない場合にも、端末とアクセスポイントとの間の無線通信レートの低下を抑制することができる。
【0071】
なお、本開示の実施形態における処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0072】
本開示の実施形態について説明したが、上述の通信システム1、アクセスポイント10、中継機20、端末30、30a1、30a2、その他の制御装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータの具体例を以下に示す。
【0073】
図18は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。コンピュータ5は、
図18に示すように、CPU(Central Processing Unit)6、メインメモリ7、ストレージ8、インターフェース9を備える。
【0074】
例えば、上述の通信システム1、アクセスポイント10、中継機20、端末30、30a1、30a2、その他の制御装置のそれぞれは、コンピュータ5に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ8に記憶されている。CPU6は、プログラムをストレージ8から読み出してメインメモリ7に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU6は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ7に確保する。
【0075】
ストレージ8の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ8は、コンピュータ5のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース9または通信回線を介してコンピュータ5に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ5に配信される場合、配信を受けたコンピュータ5が当該プログラムをメインメモリ7に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ8は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0076】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0077】
本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、開示の範囲を限定しない。これらの実施形態は、開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、省略、置き換え、変更を行ってよい。
【0078】
なお、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0079】
(付記1)
アクセスポイントと、第1端末または前記第1端末および第2端末を含む端末とに接続される中継機であって、
前記端末が前記第2端末を含まず、前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートの低下により前記第1端末の無線通信における通信レートが低下した場合に、前記アクセスポイントとの間の無線通信において使用する周波数を、前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートについて特定された複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とする第1処理を行う、または、前記端末が前記第2端末を含み、前記第2端末との間の無線通信における通信レートの変化により前記第1端末の無線通信における通信レートが低下した場合に、前記第2端末との間の無線通信において使用する周波数を、前記第2端末との間の無線通信における通信レートについて特定された複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とする第2処理を行う設定部、
を備える中継機。
【0080】
(付記2)
前記設定部が前記第1処理を行う設定部である場合、前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートを特定し、前記設定部が前記第2処理を行う設定部である場合、前記第2端末との間の無線通信における通信レートを特定する特定部、
を備え、
前記設定部は、前記第1処理を行う設定部である場合、前記アクセスポイントとの間の無線通信において使用する周波数を、前記特定部が特定した前記複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とし、前記第2処理を行う設定部である場合、前記第2端末との間の無線通信において使用する周波数を、前記特定部が特定した前記複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とする、
付記1に記載の中継機。
【0081】
(付記3)
第1周辺環境である中継機自身の周辺環境を確認する確認部と、
前記設定部が前記第1処理を行う設定部である場合、前記第1周辺環境に基づいて、前記第1端末との間の無線通信における通信レートの低下の原因が前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートの低下であるか否かを判定し、前記設定部が前記第2処理を行う設定部である場合、前記第1周辺環境に基づいて、前記第1端末との間の無線通信における通信レートの低下の原因が前記第2端末との間の無線通信における通信レートの変化であるか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記設定部が前記第1処理を行う設定部であり、前記第1端末との間の無線通信における通信レートの低下の原因が前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートの低下であると、前記第1周辺環境に基づいて前記判定部が判定した場合に、前記特定部は、前記複数の周波数における前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートを特定し、前記設定部が前記第2処理を行う設定部であり、前記第1端末との間の無線通信における通信レートの低下の原因が前記第2端末との間の無線通信における通信レートの変化であると、前記第1周辺環境に基づいて前記判定部が判定した場合に、前記特定部は、前記複数の周波数における前記第2端末との間の無線通信における通信レートを特定する、
付記2に記載の中継機。
【0082】
(付記4)
第1周辺環境である中継機自身の周辺環境を確認する確認部と、
前記設定部が前記第1処理を行う設定部である場合、前記第1周辺環境に基づいて、前記第1端末との間の無線通信における通信レートの低下の原因が前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートの低下であるか否かを判定し、前記設定部が前記第2処理を行う設定部である場合、前記第1周辺環境に基づいて、前記第1端末との間の無線通信における通信レートの低下の原因が前記第2端末との間の無線通信における通信レートの低下であるか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記設定部が前記第1処理を行う設定部であり、前記第1端末との間の無線通信における通信レートの低下の原因が前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートの低下であると、前記第1周辺環境に基づいて前記判定部が判定した場合に、前記設定部は、前記アクセスポイントとの間の無線通信において使用する周波数を、前記複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とし、前記設定部が前記第2処理を行う設定部であり、前記第1端末との間の無線通信における通信レートの低下の原因が前記第2端末との間の無線通信における通信レートの変化であると、前記第1周辺環境に基づいて前記判定部が判定した場合に、前記設定部は、前記第2端末との間の無線通信において使用する周波数を、前記複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とする、
付記1から付記3の何れか1つに記載の中継機。
【0083】
(付記5)
前記設定部は、前記設定部が前記第1処理を行う設定部である場合、前記アクセスポイントの周辺環境に基づいて、前記アクセスポイントとの間の無線通信において使用する周波数を、前記各周波数のうち、前記端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とし、前記設定部が前記第2処理を行う設定部である場合、前記設定部は、前記アクセスポイントの周辺環境に基づいて、前記アクセスポイントとの間の無線通信において使用する周波数を、前記各周波数のうち、前記端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とする、
付記1から付記4の何れか1つに記載の中継機。
【0084】
(付記6)
付記1に記載の中継機と、
前記中継機に接続される前記アクセスポイント、前記第1端末、および前記第2端末と、
を備える通信システム。
【0085】
(付記7)
アクセスポイントと、第1端末または前記第1端末および第2端末を含む端末とに接続される中継機が実行する処理方法であって、
前記端末が前記第2端末を含まず、前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートの低下により前記第1端末の無線通信における通信レートが低下した場合に、前記アクセスポイントとの間の無線通信において使用する周波数を、前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートについて特定された複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とすること、または、
前記端末が前記第2端末を含み、前記第2端末との間の無線通信における通信レートの変化により前記第1端末の無線通信における通信レートが低下した場合に、前記第2端末との間の無線通信において使用する周波数を、前記第2端末との間の無線通信における通信レートについて特定された複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とすること、
を含む処理方法。
【0086】
(付記8)
アクセスポイントと、第1端末または前記第1端末および第2端末を含む端末とに接続される中継機のコンピュータに、
前記端末が前記第2端末を含まず、前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートの低下により前記第1端末の無線通信における通信レートが低下した場合に、前記アクセスポイントとの間の無線通信において使用する周波数を、前記アクセスポイントとの間の無線通信における通信レートについて特定された複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とすること、または、
前記端末が前記第2端末を含み、前記第2端末との間の無線通信における通信レートの変化により前記第1端末の無線通信における通信レートが低下した場合に、前記第2端末との間の無線通信において使用する周波数を、前記第2端末との間の無線通信における通信レートについて特定された複数の周波数のうち、前記第1端末との間の無線通信における通信レートが現状よりも低下しない周波数とすること、
を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0087】
1・・・通信システム
5・・・コンピュータ
6、205・・・CPU
7・・・メインメモリ
8・・・ストレージ
9・・・インターフェース
10・・・無線LANアクセスポイント
20・・・無線LAN中継機
30、30a1、30a2・・・無線LAN端末
201a1、201a2、201a3、201a4、201b1、201b2、201b3、201b4・・・アンテナ
202a1、202a2、202a3、202a4、202b1、202b2、202b3、202b4・・・送受信回路
203・・・ベースバンド部
204・・・メモリ部