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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017721
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】照明監視システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/185 20200101AFI20250130BHJP
   H05B 45/345 20200101ALI20250130BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20250130BHJP
   H05B 45/325 20200101ALI20250130BHJP
【FI】
H05B47/185
H05B45/345
H05B45/10
H05B45/325
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120906
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津ノ井 大輔
(72)【発明者】
【氏名】菅野 孝一
(72)【発明者】
【氏名】照井 敏生
(72)【発明者】
【氏名】矢吹 幸士
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA06
3K273QA24
3K273QA30
3K273QA38
3K273QA39
3K273RA02
3K273RA12
3K273RA13
3K273RA16
3K273RA17
3K273SA17
3K273SA23
3K273SA35
3K273SA50
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA15
3K273TA22
3K273TA37
3K273TA53
3K273TA66
3K273TA70
3K273TA71
3K273TA72
3K273TA73
3K273UA17
3K273UA22
3K273UA27
(57)【要約】
【課題】灯具の監視にかかる時間およびコストの削減が可能な照明監視システムを提供する。
【解決手段】上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る照明監視システムは、制御装置と、灯具とを有する照明監視システムを具備する。上記制御装置は、灯具の状況に関する情報である監視情報を取得するための監視信号を出力する監視部を有する。上記灯具は、上記監視信号に対して、2値の応答信号を出力する応答部を有する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯具の状況に関する情報である監視情報を取得するための監視信号を出力する監視部
を有する制御装置と、
前記監視信号に対して、2値の応答信号を出力する応答部
有する灯具と
を具備する照明監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の照明監視システムであって、
前記監視情報は、前記灯具の不点に関する情報、前記灯具の点灯時間に関する情報、前記灯具の稼働時間に関する情報、又は前記灯具の現在の調光率に関する情報のいずれか1つを含む
照明監視システム。
【請求項3】
請求項1に記載の照明監視システムであって、
前記2値の応答信号は、前記制御装置へ前記応答信号を出力すること、および前記前記制御装置へ前記応答信号を出力しないことである
照明監視システム。
【請求項4】
請求項2に記載の照明監視システムであって、
前記監視信号は、前記灯具が不点であるかを問い合わせる信号であり、
前記応答部は、前記灯具が不点である場合、前記監視信号に対する前記応答信号を出力し、前記灯具が不点でない場合、前記監視信号に対する前記応答信号を出力しない
照明監視システム。
【請求項5】
請求項4に記載の照明監視システムであって、
前記監視部は、前記監視信号に対する前記応答信号が出力された場合、前記灯具の電源基板に基づく複数のチャネルの各々が不点であるかを問い合わせる監視信号を出力する
照明監視システム。
【請求項6】
請求項2に記載の照明監視システムであって、
前記監視信号は、前記灯具の点灯時間が所定の時間以上であるかを問い合わせる信号であり、
前記応答部は、前記点灯時間が前記所定の時間以上である場合、前記監視信号に対する前記応答信号を出力し、前記点灯時間が前記所定の時間以上でない場合、前記監視信号に対する前記応答信号を出力しない
照明監視システム。
【請求項7】
請求項6に記載の照明監視システムであって、
前記監視部は、前記監視信号に対する前記応答信号が出力された場合、前記点灯時間が前記所定の時間を時間単位分増加させた増加時間以上であるかを問い合わせる監視信号を出力する
照明監視システム。
【請求項8】
請求項2に記載の照明監視システムであって、
前記監視信号は、前記灯具の稼働時間が所定の時間以上であるかを問い合わせる信号であり、
前記応答部は、前記稼働時間が前記所定の時間以上である場合、前記監視信号に対する前記応答信号を出力し、前記稼働時間が前記所定の時間以上でない場合、前記監視信号に対する前記応答信号を出力しない
照明監視システム。
【請求項9】
請求項8に記載の照明監視システムであって、
前記監視部は、前記監視信号に対する前記応答信号が出力された場合、前記稼働時間が前記所定の時間を時間単位分増加させた増加時間以上であるかを問い合わせる監視信号を出力する
照明監視システム。
【請求項10】
請求項2に記載の照明監視システムであって、
前記監視信号は、前記灯具の現在の調光率を問い合わせる信号であり、
前記応答部は、前記監視信号に問い合わされる調光率が前記灯具の現在の調光率と一致する場合、前記監視信号に対する前記応答信号を出力し、前記監視信号に問い合わされる調光率が前記灯具の現在の調光率と一致しない場合、前記監視信号に対する前記応答信号を出力しない
照明監視システム。
【請求項11】
請求項2に記載の照明監視システムであって、
前記監視信号は、前記灯具の現在の調光率が所定の数値以上であるかを問い合わせる信号であり、
前記応答部は、前記灯具の現在の調光率が前記所定の数値以上である場合、前記監視信号に対する前記応答信号を出力し、前記灯具の現在の調光率が前記所定の数値以上でない場合、前記監視信号に対する前記応答信号を出力しない
照明監視システム。
【請求項12】
請求項1に記載の照明監視システムであって、
前記制御装置は、さらに、前記監視情報を記憶する記憶部を有し、
前記記憶部は、前記監視情報を前記灯具ごとに記憶する
照明監視システム。
【請求項13】
請求項12に記載の照明監視システムであって、
前記監視部は、前記記憶部に特定の灯具における前記監視情報が記憶されていない場合、前記特定の灯具に対して二分法により、前記監視信号を出力する
照明監視システム。
【請求項14】
請求項12に記載の照明監視システムであって、
前記監視部は、前記記憶部に特定の灯具における前記監視情報が記憶されている場合、前記特定の灯具に対して前記記憶された監視情報と一致するかを問い合わせる監視信号を出力する
照明監視システム。
【請求項15】
請求項14に記載の照明監視システムであって、
前記監視部は、前記記憶された監視情報と一致するかを問い合わせる監視信号に対する応答信号が出力されなかった場合、前記特定の灯具に対して二分法により、前記監視信号を出力する
照明監視システム。
【請求項16】
請求項1に記載の照明監視システムであって、さらに、
前記制御装置を操作可能なユーザデバイスを有し、
前記ユーザデバイスは、前記監視情報を表示可能である
照明監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばトンネル等に配置される複数の灯具を監視する照明監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネル等に配置される膨大な数の灯具が故障しているか等を監視する際、人によるパトロールでは回数や、時間およびコストがかかる。そのため、灯具等を集中的に制御する装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、アドレスを設定した多数の照明器具をトンネルコントローラで制御する道路照明システムが記載される。この道路照明システムでは、照明装置に設けられた不点検知部により灯具の不点が検知され、不点の灯具のアドレスを含む通信履歴データがトンネルコントローラに設けられた状態検知部により検知される。これにより、保守点検作業が容易となることが図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-18466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、トンネル等に配置される照明器具の監視において、灯具の種々の状況を監視することが可能な技術が求められている。またトンネルや高速道路等に設けられる灯具は膨大な数になるため、灯具の1つ1つにかかる監視の時間をより短くすることが望ましい。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、灯具の監視にかかる時間およびコストの削減が可能な照明監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る照明監視システムは、制御装置と、灯具とを有する。
上記制御装置は、灯具の状況に関する情報である監視情報を取得するための監視信号を出力する監視部を有する。
上記灯具は、上記監視信号に対して、2値の応答信号を出力する応答部を有する。
【0008】
上記照明監視システムにおいて、灯具の状況に関する情報である監視情報を取得するための監視信号を出力する監視部を有する制御装置と、上記監視信号に対して、2値の応答信号を出力する応答部有する灯具とを有している。これにより、灯具の監視にかかる時間およびコストの削減ができる。
【0009】
上記監視情報は、上記灯具の不点に関する情報、上記灯具の点灯時間に関する情報、上記灯具の稼働時間に関する情報、又は上記灯具の現在の調光率に関する情報のいずれか1つを含んでもよい。
【0010】
上記2値の応答信号は、上記制御装置へ上記応答信号を出力すること、および上記制御装置へ上記応答信号を出力しないことであってもよい。
【0011】
上記監視信号は、上記灯具が不点であるかを問い合わせる信号であってもよい。この場合、上記応答部は、上記灯具が不点である場合、上記監視信号に対する上記応答信号を出力し、上記灯具が不点でない場合、上記監視信号に対する上記応答信号を出力しなくてもよい。
【0012】
上記監視部は、上記監視信号に対する上記応答信号が出力された場合、上記灯具の電源基板に基づく複数のチャネルの各々が不点であるかを問い合わせる監視信号を出力してもよい。
【0013】
上記監視信号は、上記灯具の点灯時間が所定の時間以上であるかを問い合わせる信号であってもよい。この場合、上記応答部は、上記点灯時間が上記所定の時間以上である場合、上記監視信号に対する上記応答信号を出力し、上記点灯時間が上記所定の時間以上でない場合、上記監視信号に対する上記応答信号を出力しなくてもよい。
【0014】
上記監視部は、上記監視信号に対する上記応答信号が出力された場合、上記点灯時間が上記所定の時間を時間単位分増加させた増加時間以上であるかを問い合わせる監視信号を出力してもよい。
【0015】
上記監視信号は、上記灯具の稼働時間が所定の時間以上であるかを問い合わせる信号であってもよい。この場合、上記応答部は、上記稼働時間が上記所定の時間以上である場合、上記監視信号に対する上記応答信号を出力し、上記稼働時間が上記所定の時間以上でない場合、上記監視信号に対する上記応答信号を出力しなくてもよい。
【0016】
上記監視部は、上記監視信号に対する上記応答信号が出力された場合、上記稼働時間が上記所定の時間を時間単位分増加させた増加時間以上であるかを問い合わせる監視信号を出力してもよい。
【0017】
上記監視信号は、上記灯具の現在の調光率を問い合わせる信号であってもよい。この場合、上記応答部は、上記監視信号に問い合わされる調光率が上記灯具の現在の調光率と一致する場合、上記監視信号に対する上記応答信号を出力し、上記監視信号に問い合わされる調光率が上記灯具の現在の調光率と一致しない場合、上記監視信号に対する上記応答信号を出力しなくてもよい。
【0018】
上記監視信号は、上記灯具の現在の調光率が所定の数値以上であるかを問い合わせる信号であってもよい。この場合、上記応答部は、上記灯具の現在の調光率が上記所定の数値以上である場合、上記監視信号に対する上記応答信号を出力し、上記灯具の現在の調光率が上記所定の数値以上でない場合、上記監視信号に対する上記応答信号を出力しなくてもよい。
【0019】
上記制御装置は、さらに、上記監視情報を記憶する記憶部を有してもよい。この場合、上記記憶部は、上記監視情報を上記灯具ごとに記憶してもよい。
【0020】
上記監視部は、上記記憶部に特定の灯具における上記監視情報が記憶されていない場合、上記特定の灯具に対して二分法により、上記監視信号を出力してもよい。
【0021】
上記監視部は、上記記憶部に特定の灯具における上記監視情報が記憶されている場合、上記特定の灯具に対して上記記憶された監視情報と一致するかを問い合わせる監視信号を出力してもよい。
【0022】
上記監視部は、上記記憶された監視情報と一致するかを問い合わせる監視信号に対する応答信号が出力されなかった場合、上記特定の灯具に対して二分法により、上記監視信号を出力してもよい。
【0023】
上記照明監視システムであって、さらに、上記制御装置を操作可能なユーザデバイスを有してもよい。この場合、上記ユーザデバイスは、上記監視情報を表示可能であってもよい。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明によれば、灯具の監視にかかる時間およびコストの削減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】照明監視システムを模式的に示す図である。
図2】制御装置と灯具群との通信方式を模式的に示す図である。
図3】伝送フォーマットの構成を模式的に示す図である。
図4】伝送フォーマットの構成を模式的に示す図である。
図5】灯具の構成を模式的に示す図である。
図6】照明監視システムの構成例を示す図である。
図7】灯具の配線パターンを示す図である。
図8】灯具の受信処理における状態遷移図である。
図9】灯具の応答出力を示すフローチャートである。
図10】灯具の調光率の監視を示すシーケンス図である。
図11】2回目以降の監視シーケンスを示す図である。
図12】不点故障の監視シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係る照明監視システムを模式的に示す図である。図1Aは、照明監視システムの機能的な構成を示すブロック図である。図1Bは、制御装置と灯具群との構成例を示す図である。
【0028】
図1に示すように、照明監視システム100は、商用電源10、ユーザデバイス15、制御装置20、及び灯具群30を有する。
【0029】
商用電源10は、制御装置20へと交流電圧を出力する。例えば、商用電源10は、電圧が200V、周波数が50または60Hzの電源である。本実施形態では、商用電源10からの電圧が通信変換部23へと供給される。
【0030】
ユーザデバイス15は、PCやタブレット等のユーザにより操作される端末である。例えば、ユーザは、ユーザデバイス15を介して、遠隔でトンネルに配置された灯具群30の監視を行うことができる。監視とは、不点故障、累積点灯時間、累積稼働時間、又は現在の調光率等の灯具群30における各灯具の状況を把握(各灯具の状況に関する情報を取得)することである。またユーザデバイス15には、故障しているか否か、累積稼働時間が所定の時間を超えているか否か、現在の調光率はいくつか、等の灯具の現在の状況(後述する監視情報)が表示されてもよい。
【0031】
なお、ユーザデバイス15は限定されず、照明監視システム100に関するアプリケーションをダウンロードすることで種々の端末がユーザデバイス15として機能し、灯具の監視を行えてもよい。また例えば、灯具の監視を行うことが可能なスイッチ等を有する専用の端末でもよい。
【0032】
制御装置20は、操作部21、制御部22、通信変換部23、及び記憶部24を有する。本実施形態では、制御装置20は、後述する灯具群30の監視を行う。例えば、制御装置20は、灯具の0%から100%までの現在の調光率を監視することができる。
【0033】
操作部21は、ユーザ等の操作が入力されることで、各灯具への監視を行うことができる。本実施形態では、操作部21は、ユーザデバイス15による遠隔操作により入力された、不点の灯具がないか(不点故障)や、灯具の点灯時間の累計がいくらか(累積点灯時間)を監視する旨の信号を制御部22に出力する。
【0034】
制御部22は、灯具の状況に関する情報である監視情報を取得するための監視信号を出力する。本実施形態では、監視信号は、通信変換部23により、以下に記載の通信方式に基づき変換される。
【0035】
監視情報は、灯具の不点に関する情報、灯具の点灯時間に関する情報、灯具の稼働時間に関する情報、又は灯具の現在の調光率に関する情報のいずれか1つを含む。例えば、不点故障を起こしているか、累積点灯時間は所定の時間以上か、累積稼働時間は所定の時間以上か、現在の調光率は何%か等が監視情報として扱われる。本実施形態では、監視情報は、灯具に設定される各灯具を識別するための番号(ID)と紐づけられる。例えば、ID=5と設定された灯具と、その灯具の現在の調光率とが紐づけられる。
【0036】
なお灯具に設定されるIDは、制御部22(または照明監視システム100)の起動時に自動的にID割り当てが行われてもよいし、ユーザデバイス15から入力されるユーザ操作によって手動または自動で各灯具のID割り当てが行われてもよい。
【0037】
通信変換部23は、制御部22から出力された監視信号を電文に変換する。本実施形態では、通信変換部23は、商用電源10に同期して、電文を灯具群30へと出力する。本実施形態では、電文は、「1」と「0」で構成される。また電文は、灯具の最大接続台数100台を想定した8bitのアドレスと、電文に要求する機能の数や固有データサイズに基づく12bitのデータで構成される。具体的な電文の例は図2図4を用いて説明する。
【0038】
記憶部24は、灯具群30における各灯具の状況を記憶する。本実施形態では、記憶部24は、監視信号に対する応答により取得される監視情報を記憶する。
【0039】
なお監視情報の記憶方法は、限定されない。例えば、監視信号に対する応答が取得されるたびに、その監視情報が更新されてもよいし、特定の灯具が過去に何回不点故障を起こしたか等の過去の監視情報が蓄積されてもよい。
【0040】
灯具群30は、複数の灯具から構成され、信号変換部から出力される電文に基づいて、全てまたは一部の灯具の調光が行われる。
【0041】
例えば、灯具群30は、一般道や高速道路のトンネル等の複数の灯具が配置される箇所に設けられる。灯具群30がトンネルに設けられる場合、図1Bに示すように、トンネル入口付近に設けられる灯具を入口照明5、トンネル内部に設けられる基本照明6と分類することができる。この際、暗順応や明順応等の問題から入口照明5のみの調光制御を行う等の、入口照明5と基本照明6とで異なる調光率で調光制御が行われることが望ましい。
【0042】
照明監視システム100では、ケーブルの芯数が、信号線1が1本、電源線2が2本(Live、Neutral)、接地線(図示せず)が1本である。各灯具は、信号線1を介し、制御装置20から出力された共通の電文を取得することで灯具の調光を行う。具体的な監視の例については、図10~12で説明する。
【0043】
なお灯具群30における入口照明および基本照明の分類は限定されず、任意に調光制御が行われてもよい。典型的には、明るさ等のトンネル外部の環境により影響が与えられる箇所に配置される灯具を入口照明とする。以下、灯具群30に含まれる各灯具に対して、同様の符号を付与することがある。
【0044】
このような照明監視システムにおける、制御装置20と灯具群30との通信方式について、以下図2図4を用いて説明する。
【0045】
[通信方式]
図2は、制御装置20と灯具群30との通信方式を模式的に示す図である。
【0046】
図2に示すように、本通信方式では、商用電源10の交流電圧の周波数に同期して通信が行われる。送信側である制御装置20は、交流電圧の負の半波に同期してデータパルス25を出力する。また受信側である灯具30は、同期を行っている間のデータパルス25を有効なデータとする。
【0047】
本実施形態では、受信側が同期を行うために、灯具30に供給される電文内に開始符号(例えば「1」および「0」、以下「10」と記載)が用いられる。また、無通信状態における信号の状態は「0」とするため、受信側は、電文内の開始符号「10」が追加されることにより「0」から「1」の変化を電文の開始として検出することで、同期を開始する。
【0048】
なお本実施形態における電文の構造は、固定長であり、アドレス(正論理、8bit)、アドレス反転(負論理、8bit)、データ(正論理、12bit)、データ反転(負論理、12bit)で構成される。ここでアドレス反転とは、アドレスの各bitを反転した値である。データ反転とは、データの各bitを反転した値である。
【0049】
また本実施形態では、アドレスは、各灯具を識別するための番号を含む。例えば、灯具が100台配置される場合、100台の灯具の各々に番号が振り分けられる。またこれ以外にも、グループアドレスやブロードキャスト等がアドレスに含まれてもよい。
【0050】
また本実施形態では、データは、4bitの機能コードと、機能コードに対応する8bitの固有データで構成される。例えば、機能コードには、灯具のID割り当て、調光制御、灯具の状態の監視等が含まれる。本実施形態では、機能コードとして、チャネル1の不点故障の問い合わせ、チャネル2の不点故障の問い合わせ、累積稼働時間の問い合わせ、チャネル1の累積点灯時間の問い合わせ、チャネル2の累積点灯時間の問い合わせ、又は調光率の問い合わせのいずれかが電文に含まれる。すなわち、アドレスにより特定の灯具が指定され、データにより特定の灯具に対して監視が行われる。もちろん、要求される機能の種類や固有データのサイズに応じて任意のビット数が設定され、機能の種類及び固有データのサイズを足したデータのビット数が設定されてもよい。
【0051】
また本実施形態では、電文中の「0」から「1」の変化を開始符号と誤検知する可能性を排除するために、電文と電文との間に21bit以上の無通信期間が設けられる。
【0052】
例えば、アドレスが「11111111」、アドレス反転が「00000000」、データが「000000000000」、データ反転が「111111111111」とする。このように電文に含まれる中で、最も「0」が連続する可能性がある期間(例えばアドレス反転とデータとの間)は、20bitが限度である。すなわち、20bitを超えて「0」が連続した後の「10」を開始符号とすることで、誤検知を排除することができる。
【0053】
また受信側である灯具30は、アドレスおよびアドレス反転と、データおよびデータ反転とを比較照合して、データに誤りがないかを確認する。また灯具は、負の半波に同期してアンサーバックを出力する。
【0054】
ここで上記の通信方式における伝送データのフォーマット構成を図3および図4を用いて説明する。
【0055】
図3は、伝送フォーマットの構成を模式的に示す図である。図4は、伝送フォーマットの構成を模式的に示す図である。
【0056】
図3および図4における伝送される電文のフォーマットは、開始符号、アドレス(A0~A7)、アドレス反転、データ(D0~D11)、データ反転、休止サイクル(2bit)、アンサーバック(2bit)、および休止サイクル(2bit)である。すなわち、電文の長さは、48bitであり、開始符号を除けば46bitとなる。
【0057】
図3に示すように、データ伝送の商用電源10は、AC200V、50Hzまたは60Hzの電源である。また図3に示すように、信号26は、商用電源10と同期を取る。1bitは、電源サイクルの1サイクルの負の半波に同期して送受信される。またアドレスは、16bit固定で下位から順次出力される。またデータは、24bit固定で下位から順次出力される。また休止27は、6bit固定で、3bit目および4bit目の電源の負の半波に同期させてアンサーバック35が出力される。
【0058】
本実施形態では、灯具30がアンサーバック35を制御装置20に返すことで要求に対するYESを表す。また灯具30がアンサーバック35を制御装置20に返さないことで要求に対するNOを表す。すなわち、制御装置20による要求(例えば、現在の調光率が何%か等の電文の出力)に対して応答するか応答しないかの2値の応答を行う。
【0059】
また図3に示すように、信号ビット構成28は、商用電源10の負の半波側に同期させてデータビットが送られる。正論理ビットアドレスを8bit送出後、正論理の補数をとった負論理ビットアドレスが8bit送出される。また正論理ビットデータを12bit送出後、正論理の補数をとった負論理ビットデータが12bit送出される。
【0060】
受信側は、送信側から送られたデータビットから、アドレスを正論理と負論理とに分け、データも正論理と負論理とに分ける。分けられた各信号は、それぞれ全ての正論理ビットに対し、反転負論理ビットで構成されているかが照合される(図3の信号照合36を参照)。
【0061】
信号照合が取れた場合、正論理データを正規のデータとする。図3では、アドレスA0~A7である「11010100」と、データ「111001001101」とが正規のデータ37となる。
【0062】
また図4に示すように、電文の終了から次の電文の始まりまで最低21bitの待ち時間が設けられる。電文が始まる前は電源の負の半波に同期させて、「10」の順番で受信した場合、その後が電文の始まりとなる。
【0063】
図5は、灯具30の構成を模式的に示す図である。図5Aは、灯具30の機能的な構成を示すブロック図である。図5Bは、灯具30の構造を模式的に示す図である。
【0064】
図5Aに示すように、灯具30は、通信基板31、電源32、及びLED基板33を有する。
【0065】
通信基板31は、制御装置20と灯具30との通信を行う。本実施形態では、通信基板31は、信号変換部23により出力された電文を取得する。また本実施形態では、通信基板31は、電文に対する応答(アンサーバック)を信号変換部23へと出力する。
【0066】
また通信基板31は、電文が調光制御の開始を示す開始条件を含むか否かを判定する。すなわち、通信基板31は、電文内に開始符号「10」、及び電文と電文との間に21bit以上の無通信期間が含まれているかを判定する。具体的な灯具の状態遷移については図8を用いて説明する。
【0067】
また通信基板31は、電文に基づいて、電源32のPWMのデューティ比を決定する。例えば、通信基板31は、調光率0%や調光率100%に対応するPWMのデューティ比を決定する変換テーブルを有してもよい。
【0068】
また通信基板31は、現在の灯具の状況を記憶することができる。例えば、LED基板33が不点であるか否か、累積点灯時間は所定の時間以上か、累積稼働時間は所定の時間以上か、現在の調光率は何%か等が記憶される。
【0069】
なお、不点を検知する方法、累積点灯時間、累積稼働時間、および現在の調光率を計測する方法は限定されない。例えば、灯具30がタイマを有することで稼働時間が計測されてもよい。
【0070】
電源32は、通信基板31から出力されたデューティ比に基づいて、灯具30の調光制御を行う。例えば、電源32は、LED基板33を定電流制御にて調光する。
【0071】
LED基板33は、電源32からの電流により発光する。
【0072】
また図5Bに示すように、灯具30には、ケーブル38、およびケーブル38と灯具30とを繋げるコネクタ39が接続される。なお図5Bでは、図1Bと同様に、ケーブルの芯数が、信号線1が1本、電源線2が2本である。また接地線(図示せず)も設けられる。
【0073】
なお信号線1および電源線2は、一体の配線構造、または別々の配線構造でもよい。
【0074】
また図5Bでは、電源32(電源基板)の電源入力が通信基板31を経由して配線されるが、これに限らず、灯具30に入った電源線2を通信基板31と電源32とに分岐して配線されてもよい。
【0075】
図6は、照明監視システム100の構成例を示す図である。図6Aは、照明監視システム100の構成の一例を示す図である。図6Bは、照明監視システム100の構成の一例を示す図である。図6Cは、照明監視システム100の構成の一例を示す図である。
【0076】
なお、図6では、灯具群30は、100個の灯具で構成される。
【0077】
図6Aに示すように、電圧が200V、周波数が50または60Hzの電源である商用電源10からの電力線42は、単相2線であり、照明分電盤40を介し、制御装置20、および灯具群30の各々に電力を供給する。また制御装置20から各灯具30へと通信線41が接続されており、この通信線41から各灯具30の監視が行われる。
【0078】
もちろん図6Aの例に限定されない。例えば、図6Bに示すように、照明分電盤40から各灯具30へと電力線42が結ばれず、照明分電盤40からの電源が制御装置20に入力され制御装置20から灯具30へと分配されるような構成でもよい。また、図6Cに示すように、照明分電盤40の内部に制御装置20が内蔵され、照明分電盤40の内部で電力が分配され、各灯具30へと供給されてもよい。
【0079】
図7は、灯具30の配線パターンを示す図である。図7Aは、灯具30の配線パターンの一例を示す図である。図7Bは、灯具30の配線パターンの一例を示す図である。図7Cは、灯具30の配線パターンの一例を示す図である。
【0080】
図7Aでは、灯具30に、AC-L、AC-N、および信号を示す配線が接続される。AC-Lの配線50、およびAC-Nの配線51は、図7Aに示す灯具30(N番目)と該灯具30に連なる図示しない灯具(N+1番目)へと繋がっており、各灯具において分岐している。
【0081】
信号を示す配線52は、制御装置からの監視信号に関する電文が送られ、灯具へと供給される。図7Aでは、信号を示す配線は、灯具(N番目)を介して、灯具(N+1番目)へと接続される。例えば、N番目の灯具にID=Nを割り当てる旨の電文が送信され、続けて(N+1)番目の灯具にID=(N+1)を割り当てる旨の電文が送信される。これにより、各灯具の識別が可能となり、電文のアドレスによって所定の灯具が指定され、その灯具の監視を行うことができる。
【0082】
なお図7Aでは、通信基板31(図示せず)は、信号に応じて、回路の開閉制御を行ってもよい。すなわち、図7Aに示す配線パターンでは、灯具から次の灯具への信号をカット、または伝達することができてもよい。
【0083】
もちろん、図7Aに示す例に限定されず、様々な配線パターンが設定されてもよい。例えば、図7Bでは、灯具30から次の灯具への配線(AC-L50、AC-N51、および信号52)を分岐させないことで、灯具30と次の灯具とを繋ぐケーブルを順々に継ぎ足した配線でもよい。すなわち、図7Bの例は、分岐したケーブルを用いる必要がなく、施工性に優れる。
【0084】
また例えば、図7Cでは、AC-L50、AC-N51、および信号52の各々が、各灯具において分岐している例である。図7Cの例では、各灯具に回路の開閉制御を行う必要がないため、図7Aの例と比べて灯具30への入線が4芯から3芯になるためケーブルコストを抑えることができる。さらに、通信基板31の回路の開閉制御を行う必要がなくなるため、開閉制御の機能を削除することで基板コストを下げることができる。なお、図7Cでは、灯具の各々を識別可能なIDを自動的に割り当てることができず、手動で行う必要がある。
【0085】
図8は、灯具30の受信処理における状態遷移図である。
【0086】
図8に示すように、ステップ101では、灯具30(通信基板31)は、データパルスの受信禁止状態である。この受信禁止状態は、電文内の「1」の受信、または「0」の受信かつ連続21bit未満の電文が灯具へと出力されている間継続される(ステップ101からステップ101)。具体的な処理としては、「1」が受信された場合、受信カウンタがクリアされ、「0」が受信された場合、受信カウンタがインクリメントされる。
【0087】
また電文内の「0」を受信、かつ、受信された「0」が上記の受信カウンタが20bitまでカウントされていた場合、すなわち、連続で21bitの「0」が受信された場合、受信可能状態へと遷移する(ステップ101からステップ102)。
【0088】
ステップ102では、「1」が受信された場合、開始符号待ち状態へと遷移する(ステップ102からステップ103)。また「0」が受信された場合、受信可能状態を継続する(ステップ102からステップ102)。
【0089】
ステップ103では、既に「1」を受信しているため「0」を受信した場合、開始符号「10」を検出したこととなり、受信中状態へと遷移する(ステップ103からステップ104)。また「1」が受信された場合、開始符号が検出されなかったため、受信禁止状態へと遷移する(ステップ103からステップ101)。
【0090】
ステップ104では、固定長40bitの電文(アドレス、アドレス反転、データ、およびデータ反転)の受信が行われる。40bit受信された場合、応答出力状態へと遷移する(ステップ104からステップ105)。40bit受信されていない場合、電文の全てを受信できていないため、受信中状態が継続される(ステップ104からステップ104)。
【0091】
ステップ105では、電文に応じた応答出力が行われる。応答出力の具体的な処理は、図9のフローを用いて説明する。
【0092】
図9は、灯具30の応答出力を示すフローチャートである。
【0093】
通信基板31により、図8のステップ104で受信された電文が、正常か異常かが判定される(ステップ201)。本実施形態では、通信基板31は、正論理のアドレスおよび負論理のアドレス反転の照合と、正論理のデータおよび負論理のデータ反転との照合を行う。アドレスおよびデータの両方の照合が正しい場合、正常と判定される(ステップ201のYES)。またアドレスおよびデータの両方の照合が正しくない場合、異常と判定され、応答出力が行われない(ステップ201のNO、ステップ206)。
【0094】
正常と判定された正規の電文(アドレスおよびデータ)のうち、アドレスの判定が行われる(ステップ202)。本実施形態では、アドレスの示す灯具のIDが、そのアドレスを受信した灯具のIDと一致する場合、受信されたアドレスがその灯具宛てに送信されたと判定される(ステップ202のYES)。またアドレスがブロードキャストの場合、受信されたアドレスがその灯具宛てに送信されたと判定される(ステップ202のYES)。またアドレスの示す灯具のIDが、そのアドレスを受信した灯具のIDと一致しない場合、受信されたアドレスがその灯具宛てではないため、応答出力が行われない(ステップ202のNO、ステップ206)。
【0095】
アドレス判定の結果、指定された灯具により、電文に応じた処理が実行される(ステップ203)。例えば、灯具に対して現在の調光率が60%かを問い合わせる旨の監視信号が出力された場合、その灯具の現在の調光率が60%の場合は応答が行われる(ステップ204のYES、ステップ205)。またその灯具の現在の調光率が60%ではない場合、応答が行われない(ステップ204のNO、ステップ206)。
【0096】
ステップ205では、灯具から制御装置へと処理を実行したことを示す応答の出力処理が行われる。本実施形態では、休止サイクルである6bitの時間のうち、3bit目および4bit目に「1」をアンサーバックとして制御装置に送信する。
【0097】
ステップ205またはステップ206により応答出力が終了した場合、灯具は受信禁止状態へと遷移する(図8のステップ105からステップ101)。
【0098】
ここで図10~12を用いて、監視の具体例を説明する。
【0099】
図10は、灯具の調光率の監視を示すシーケンス図である。図10では、説明のため1台の灯具のみ図示しており、灯具30の現在の調光率は70%とする。また図10は、制御装置20の起動直後(初回)や、何かしらの要因により既に把握された調光率と灯具30の調光率とが異なる場合に行われる場合の例である。
【0100】
図10に示すように、制御装置20は、灯具30に対して調光率が50%以上か否かを問い合わせる旨の電文を送信する(ステップ301)。具体的には、アドレスにより所定の灯具30が指定され、データにより現在の調光率の問い合わせが指示される。
【0101】
灯具30は、現在の調光率が70%であるため、電文に対する応答を行う(ステップ302)。
【0102】
また制御装置20は、灯具30に対して調光率が76%以上か否かを問い合わせる旨の電文を送信する(ステップ303)。灯具30は、現在の調光率が70%であるため、電文に対する応答を行わない(ステップ304)。
【0103】
このように、本実施形態では、二分法やバイナリサーチ等の手法が実行され、調光率0~100%の範囲内を半分に絞りながら、確定するまで監視信号が出力される。また本実施形態では、調光率を2%単位で取得していく。
【0104】
すなわち、灯具30の現在の調光率70%を確定するまでに、調光率が62%以上か否かの監視信号およびその応答(ステップ305、306)、調光率が68%以上か否かの監視信号およびその応答(ステップ307、308)、調光率が72%以上か否かの監視信号および応答なし(ステップ309、310)、調光率が70%以上か否かの監視信号およびその応答(ステップ311、312)の処理が行われる。
【0105】
これにより、灯具30の現在の調光率が70%であることが分かる。なお、取得される調光率の単位は限定されず、1%単位で取得されてもよいし、4%単位で取得されてもよい。例えば、1%単位で行われる場合、上記の現在の調光率の問い合わせが7回行われることとなる。
【0106】
なお、図10の監視シーケンスは、累積点灯時間や累積稼働時間でも同様に行われる。例えば、累積点灯時間の場合、0~255の探索範囲を1000時間単位で行われる。なお、0~255の探索範囲は、機能コードに対応する固有データサイズが8bitであるためである。またLED光源の寿命を概ね数万時間であるため、余裕をとり20万時間まで表現可能な(0~255)×1000時間と設定される。もちろんこれに限定されず、固有データサイズが拡張されることでより細かく監視可能となってもよいが、累積点灯時間の監視は、ユーザに適切な交換時期を提案するためであるため、1時間単位で行わなくてもよい。
【0107】
図11は、2回目以降の監視シーケンスを示す図である。図11Aは、調光率の監視シーケンスを示す図である。図11Bは、累積時間の監視シーケンスを示す図である。
【0108】
なお図11Bは、累積稼働時間の問い合わせ、チャネル1の累積点灯時間の問い合わせ、またはチャネル2の累積点灯時間の問い合わせのいずれでも用いることが可能なシーケンスである。
【0109】
図11Aでは、記憶部24に灯具30の現在の調光率が70%であることが記憶されている。そのため、制御装置20は、灯具30に対して現在の調光率が70%であるか否かを問い合わせる旨の電文を送信する(ステップ401)。
【0110】
通常であれば、記憶部24により記憶される灯具30の調光率と、灯具30の現在の調光率とが一致するため、灯具30により応答が行われる(ステップ402)。
【0111】
しかし、灯具30が再起動して調光率が初期値(例えば、100%)になる等の何らかの要因により、記憶された灯具30の調光率と、灯具30の現在の調光率とが一致しない場合、灯具30による応答が行われない(ステップ403、ステップ404)。
【0112】
この場合、図10に示す監視シーケンスを行うことで、灯具30の新たな調光率が監視される。または、記憶部24により記憶されていた灯具30の調光率となるように、その灯具30に対して調光制御を行う旨の電文が出力されてもよい。
【0113】
図11Bでは、既に図10の監視シーケンスにより、灯具30の累積時間(累積稼働時間、チャネル1の累積点灯時間、またはチャネル2の累積点灯時間)が1000時間以上であることが記憶部24に記憶されているものとする。
【0114】
また図11Bでは、ステップ501~504は、累積時間に変化がない場合の監視シーケンスである。ステップ505~510は、累積時間に変化がある場合の監視シーケンスである。
【0115】
ステップ501では、制御装置20により、灯具30の累積時間が1000時間以上であるか否かを問い合わせる旨の電文が送信される。またステップ502では、灯具30により、灯具30の累積時間が1000時間を超えていることを示す応答が行われる。
【0116】
ステップ503では、制御装置20により、灯具30の累積時間が2000時間以上であるか否かを問い合わせる旨の電文が送信される。またステップ504では、灯具30により、灯具30の累積時間が2000時間を超えていないため、応答が行われない。
【0117】
これにより、この灯具30の累積時間が1000時間以上2000時間未満であることが記憶部24に記憶される。
【0118】
また累積時間に変化があった場合、例えば、ステップ501~504の監視シーケンスが終了した時間から所定の時間が経過した場合等に、ステップ505が実行される。
【0119】
すなわち、灯具30の累積時間が1000時間以上であるか否かを問い合わせる旨の電文が送信され、その電文に対する応答が行われる(ステップ505、ステップ506)。また灯具30の累積時間が2000時間以上であるか否かを問い合わせる旨の電文が送信され、その電文に対する応答が行われる(ステップ507、ステップ508)。同様に、灯具30の累積時間が3000時間以上であるか否かを問い合わせる旨の電文が送信され(ステップ509)、灯具30の累積時間が3000時間を超えていないため応答が行われない(ステップ510)。
【0120】
このように、図11Bでは、累積時間T(×時間単位)以上かどうかを問い合わせる監視信号が出力される。その監視信号に対して応答があった場合、累積時間(T+1)以上かどうかを問い合わせる監視信号が出力される。
【0121】
累積時間(T+1)の監視信号に対して応答があった場合、記憶部24に記憶される現在の累積時間は(T+1)となる。また累積時間(T+1)の監視信号に対して応答がなかった場合、累積時間に変化なしとして、記憶部24に記憶される現在の累積時間はTとなる。
【0122】
すなわち、累積時間は増える方向にのみ変化し、累積時間の問い合わせの時間単位を1増加させることで、通常時(変化なし)の場合は2回の問い合わせ、変化ありの場合は3回の問い合わせが行われる。
【0123】
なお、累積時間Tの監視信号に対して応答がなかった場合、図10の監視シーケンスにより再度、二分法による累積時間の絞り込みが行われる。
【0124】
このように、初回(図10)を二分法で行うことで、総当たりで監視情報を取得するよりも安定して速く監視情報を取得することができる。また2回目以降(図11)では、変化の有無に応じて監視方法を変更するため、二分法のような時間のかかる手順を省略することができる。
【0125】
図12は、不点故障の監視シーケンスを示す図である。図12Aは、不点故障を起こしていない場合の監視シーケンスを示す図である。図12Bは、不点故障を起こしている場合の監視シーケンスを示す図である。
【0126】
図12Aに示すように、制御装置20は、灯具30に対して、不点故障であるかを問い合わせる旨の電文を送信する(ステップ601)。灯具30は、不点故障を起こしていないため、この電文に対して応答を行わない(ステップ602)。
【0127】
この監視シーケンスにより、この灯具30が故障していないことが記憶部24に記憶され、監視シーケンスが終了される。
【0128】
図12Bに示すように、制御装置20は、灯具30に対して、不点故障であるかを問い合わせる旨の電文を送信する(ステップ701)。本実施形態では、灯具30に搭載される2枚の電源基板(チャネル1およびチャネル2)のうちチャネル2が故障している。よって、灯具30は、不点故障を起こしていることを示す応答を行う(ステップ702)。
【0129】
制御装置20は、ステップ701に対する応答が行われたことにより、各チャネルが不点故障を起こしているかを確認するために監視信号を出力する。すなわち、灯具30に対して、チャネル1が不点故障であるかを問い合わせる旨の電文が送信される(ステップ703)。チャネル1は故障していないため、応答が行われない(ステップ704)。
【0130】
続けて、制御装置20は、灯具30に対して、チャネル2が不点故障であるかを問い合わせる旨の電文を送信する(ステップ705)。灯具30は、チャネル2が故障しているため、応答を行う(ステップ706)。
【0131】
以上のように、制御装置が上記通信方式に従い灯具を監視するため、灯具の監視にかかる時間およびコストの削減ができる。
【0132】
また各灯具の監視が遠隔で行うことができるため、灯具が設けられるトンネルを人が直接パトロールする回数を削減できる。また遠隔監視により灯具の異常を把握してから、目視確認を行うことができるため無駄が少ない。このため、監視にかかる人員のコストの削減および時間の削減ができる。
【0133】
また常に制御装置から送信し、それに対して灯具からの応答が2値で行われるため、灯具の構成を簡略化することができる。
【0134】
また本実施形態では、灯具30の監視がユーザデバイス15によって行われたが、これに限らず、ユーザの操作がなくても、すなわち、ユーザデバイス15を介さずとも自動的に監視が行われてもよい。例えば、操作部21により、所定の時間ごとに監視が行われ、その結果(監視情報)がユーザデバイス15に送信されてもよい。また灯具の故障があった場合にユーザデバイス15を操作するユーザの所有する携帯端末等に通知が送られてもよい。
【0135】
また本実施形態では、累積点灯時間や累積稼働時間の監視が1000時間単位で行われたが、これに限らない。例えば、灯具の耐久年数や灯具が設置(稼働)されてからの時間等に基づいて、任意に設定されてもよい。
【0136】
また本実施形態では、照明監視システム100は、一般道や高速道路のトンネルに配置される灯具について用いられたが、これに限らない。例えば、イルミネーション等の灯具が連なり、その各々の灯具の状態が監視される場合に本照明監視システム100が用いられてもよい。
【0137】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論であり、各実施形態及び変形例の構成を組み合わせてもよい。例えば、本実施形態では、トンネル等の複数の灯具を一括に制御する照明監視システムについて説明したが、例えば、複数の照明が設けられた会場等の複数の灯具の各々の監視が行われる場所で本照明監視システムが用いられてもよい。
【符号の説明】
【0138】
10…商用電源
20…制御装置
22…制御部
23…通信変換部
24…記憶部
30…灯具群
31…通信基板
100…照明監視システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
図12