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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017730
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】電磁弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
F16K31/06 305E
F16K31/06 305M
F16K31/06 305L
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120921
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木船 仁志
(72)【発明者】
【氏名】宮本 和弘
【テーマコード(参考)】
3H106
【Fターム(参考)】
3H106DA07
3H106DA12
3H106DA23
3H106DA35
3H106DB02
3H106DB12
3H106DB23
3H106DB32
3H106DB37
3H106DC02
3H106DC17
3H106DD04
3H106EE34
3H106GA13
3H106GB09
3H106GB15
3H106JJ02
(57)【要約】
【課題】電磁弁において、吸引子の大きさを小さくする技術の提供を目的とする。
【解決手段】電磁弁10は、貫通孔14及び貫通孔14に通じる一次側取付口25、二次側取付口26を有する弁本体12と、貫通孔14の上側の端に取り付けられた吸引子32と、貫通孔14の下側に取り付けられ、貫通孔14の周壁及び吸引子32と共に弁室20を形成する弁座部材60と、弁座部材60の主弁座62と接離するように弁室20に配置された主弁体50と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔及び前記貫通孔に通じる取付口を有する弁本体と、
前記貫通孔の軸線方向の一端側に取り付けられた吸引子と、
前記貫通孔の前記軸線方向の他端側に取り付けられ、前記貫通孔の周壁及び前記吸引子と共に弁室を形成する弁座部材と、
前記弁座部材の弁座と接離するように前記弁室に配置された弁体と、
を備える電磁弁。
【請求項2】
前記弁座部材の直径が前記弁体の直径以上とされている、
請求項1に記載の電磁弁。
【請求項3】
磁化された前記吸引子に吸引されるプランジャをさらに備え、
前記貫通孔は、内径が前記弁座部材の直径よりも小さい縮径部を前記軸線方向の一端側に有し、
前記吸引子は、前記プランジャを吸引する吸引部及び前記縮径部に固定される固定部を有する、
請求項1に記載の電磁弁。
【請求項4】
前記固定部の直径は、前記吸引部の直径以上かつ前記弁体の直径以下とされている、
請求項3に記載の電磁弁。
【請求項5】
前記弁体を前記弁座から離れる方向に付勢する圧縮ばねと、
前記弁座部材に支持され、前記圧縮ばねを前記弁座部材に対して離れた状態で保持するばね受け部材と、
をさらに備える請求項1に記載の電磁弁。
【請求項6】
前記弁本体は、前記貫通孔における前記貫通孔が延びる方向の他方端部に雌ねじが形成され、
前記弁座部材は、前記貫通孔の前記雌ねじと螺合する雄ねじが形成されている、
請求項1に記載の、電磁弁。
【請求項7】
前記吸引子が磁化した場合に前記貫通孔が延びる方向に移動するプランジャをさらに備え、
前記弁体は、パイロット通路及び均圧通路が形成され、前記弁座と接離する主弁体と、前記プランジャに連結され、前記パイロット通路の前記貫通孔が延びる方向の一方に形成されたパイロット弁座と接離するパイロット弁体と、
を有する、請求項1に記載の、電磁弁。
【請求項8】
前記吸引子を磁化させる電磁コイルをさらに備える、
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の、電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、弁本体に形成した主弁座に対向する方向から主弁体や吸引子を挿入して組み付けるパイロット式電磁弁が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-007572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のパイロット式電磁弁では、主弁体と吸引子とが同じ側から弁本体に組み込まれると共に、吸引子が弁室における主弁体が組み込まれる側の弁室の一部を構成するため、吸引子の直径が、主弁体よりも大きくなる。磁性材料からなる吸引子は切削加工や鋳造法で製造されることが多いため、寸法が大きいと削り出し量の増大や金型の大型化等、コストアップの原因になる。
【0005】
本開示は、電磁弁において、吸引子の大きさを小さくする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一態様の電磁弁は、貫通孔及び前記貫通孔に通じる取付口を有する弁本体と、前記貫通孔の軸線方向の一端側に取り付けられた吸引子と、前記貫通孔の前記軸線方向の他端側に取り付けられ、前記貫通孔の周壁及び前記吸引子と共に弁室を形成する弁座部材と、前記弁座部材の弁座と接離するように前記弁室に配置された弁体と、を備える。
【0007】
この電磁弁によれば、弁本体に形成された貫通孔における軸線方向の一端側に、吸引子が取り付けられ、貫通孔の軸線方向の、吸引子とは反対側に、弁本体とは別体とされた弁座部材が取り付けられている。このため、この電磁弁によれば、貫通孔が軸線方向における吸引子が取り付けられた方向とは反対側から、弁体を弁本体に組み込むことができるため、吸引子の形状に制限がなくなる。これにより、この電磁弁によれば、吸引子の大きさを小さくすることができる。
【0008】
第二態様の電磁弁は、第一態様に記載の電磁弁において、前記弁座部材の直径が前記弁体の直径以上とされている。
【0009】
第三態様の電磁弁は、第一態様又は第二態様に記載の電磁弁において、磁化された前記吸引子に吸引されるプランジャをさらに備え、前記貫通孔は、内径が前記弁座部材の直径よりも小さい縮径部を前記軸線方向の一端側に有し、前記吸引子は、前記プランジャを吸引する吸引部及び前記縮径部に固定される固定部を有する。
【0010】
この電磁弁によれば、弁本体は、軸線方向の一端側に内径が弁体よりも小さい縮径部を有しているため、弁体は、貫通孔における軸線方向の一方側から抜け出ない。また、この電磁弁によれば、吸引子は、縮径部に固定される固定部を有しているため、軸線方向の他端側から吸引子を挿入することで組み立てることができる。
【0011】
第四態様の電磁弁は、第三態様に記載の電磁弁において、前記固定部の直径は、前記吸引部の直径以上かつ前記弁体の直径以下とされている。
【0012】
第五態様の電磁弁は、第一態様から第四態様のいずれか一態様に記載の電磁弁において、弁体を弁座から離れる方向に付勢する圧縮ばねと、弁座部材に支持され、圧縮ばねを弁座部材に対して離れた状態で保持するばね受け部材と、をさらに備える。
【0013】
この電磁弁によれば、圧縮ばねを弁座部材に対して離れた状態で保持するため、圧縮ばねが弁室に対して占める大きさが小さくなる。これにより、この電磁弁によれば、圧縮ばねが弁座部材と触れている場合と比して、圧縮ばねによる流路抵抗を低減することができる。
【0014】
第六態様の電磁弁は、第一態様から第五態様のいずれか一態様に記載の電磁弁において、前記弁本体は、前記貫通孔における前記貫通孔が延びる方向の他方端部に雌ねじが形成され、前記弁座部材は、前記貫通孔の前記雌ねじと螺合する雄ねじが形成されている。
【0015】
この電磁弁によれば、弁座部材を弁本体に螺合させることにより、異種材料の部材間の固定が容易になる。
【0016】
第七態様の電磁弁は、第一態様から第六態様のいずれか一態様に記載の電磁弁において、前記吸引子が磁化した場合に前記貫通孔が延びる方向に移動するプランジャと、をさらに備え、前記弁体は、パイロット通路及び均圧通路が形成され、前記弁座と接離する主弁体と、前記プランジャに連結され、前記パイロット通路の前記貫通孔が延びる方向の一方に形成されたパイロット弁座と接離するパイロット弁体と、を有する。
【0017】
第八態様の電磁弁は、第一態様から第七態様のいずれか一態様に記載の電磁弁において、前記吸引子を磁化させる電磁コイルをさらに備える。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、電磁弁において、吸引子の径方向の大きさを小さくする技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第一実施形態に係る電磁弁の断面図であり、開弁状態の様子を示す図である。
図2】第一実施形態に係る電磁弁が備えるばね受け部材の平面図である。
図3】第一実施形態に係る電磁弁が備えるばね受け部材の断面図である。
図4】第一実施形態に係る電磁弁が備えるばね受け部材の側面図である。
図5】第一実施形態に係る電磁弁の断面図であり、閉弁状態の様子を示す図である。
図6】第一実施形態に係る電磁弁の断面図であり、閉弁状態においてパイロット弁が開いた状態の様子を示す図である。
図7】第一実施形態に係る電磁弁の断面図であり、開弁状態においてパイロット弁が閉じた状態の様子を示す図である。
図8】第二実施形態に係る電磁弁の断面図であり、開弁状態の様子を示す図である。
図9】第三実施形態に係る電磁弁の断面図であり、開弁状態の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において、同一又は等価な構成要素及び部品には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0021】
また、各図に示す矢印Aは、上下方向であって電磁弁の上方向を示す。また、電磁弁の上下方向は、電磁弁における長手方向と一致し、電磁弁の幅方向は、長手方向と直交する方向と一致する。なお、本実施形態における電磁弁は、上下方向を鉛直方向に沿った向きに、また、幅方向を水平方向に沿った向きに配置されることを限定されない。
【0022】
また、各図に示す矢印Xは、ばね受け部材の横幅方向を示し、矢印Yは、ばね受け部材の横幅方向と直交する方向であって、ばね受け部材の縦幅方向を示し、矢印Zは、ばね受け部材の横幅方向、及び縦幅方向と直交する方向であって、ばね受け部材の高さ方向を示す。
【0023】
[第一実施形態]
(構成)
本実施形態に係る電磁弁10は、弁本体12と、一端が閉じたパイプ80と、吸引子32と、電磁コイル84と、ハウジング82と、プランジャ28と、弁座部材60と、を備える。また、本実施形態に係る電磁弁10は、さらに弁体を弁座部材60の主弁座62から離れる方向に付勢する圧縮ばねの一例である主弁ばね58と、ばね受け部材70と、を備える。また、本実施形態に係る弁体は、主弁体50と、パイロット弁体30を有する。なお、主弁体50及びパイロット弁体30の具体的な構成については、後述する。本実施形態に係る電磁弁10は、例えば自動車用空調機の冷凍サイクル等に用いられるパイロット式の電磁弁である。また、本実施形態に係る電磁弁10は、電磁コイル84が通電されていない場合に開弁状態となる、いわゆるノーマルオープン型の電磁弁である。
【0024】
弁本体12は、図1に示すように、弁本体12を上下方向に貫通する貫通孔14と、貫通孔14に通じる一次側取付口24及び二次側取付口26を有する部材である。貫通孔14は、下側から上側に向かって順に縮径する、複数の段を有する。なお、貫通孔14の上側の端には、内径が最も小さくなる縮径部16とされている。すなわち、本実施形態における上下方向は、貫通孔14の軸線方向と一致する。また、貫通孔14における上側は、貫通孔14の一端側の一例であり、貫通孔14における下側は、貫通孔14の他端側の一例である。
【0025】
本実施形態では、貫通孔14の下側の端には、雌ねじ18が形成されている。貫通孔14の下側から、後述する弁座部材60が挿入されることによって、貫通孔14の一部は、弁室20として機能する。
【0026】
また、弁本体12における一次側取付口24は、図1に示すように、弁本体12の左側の側壁から貫通孔14まで孔が貫通することによって形成された部分である。なお、一次側取付口24は、弁本体12を壁面から貫通孔14までドリルによって切削することによって入口流路25と共に形成される。すなわち、本実施形態における電磁弁10では、一次側取付口24は、貫通孔14に側方から通じる。一次側取付口24には、図示しない他の管体が取り付けられ、貫通孔14に向かう流体が流れ込む流入口である。すなわち、一次側取付口24は、本実施形態に係る取付口の一例である。
【0027】
なお、本実施形態において、二次側取付口26は、弁本体12における貫通孔14の下側の開口とされている。すなわち、本実施形態における電磁弁10では、二次側取付口26は、貫通孔14に下方から通じる。二次側取付口26には、図示しない他の管体等が取り付けられる。すなわち、二次側取付口26は、本実施形態に係る取付口の他の一例である。
【0028】
吸引子32は、固定部の一例である大径部36と、大径部36よりも直径が小さく、吸引部の一例である小径部37と、を有する筒状の部材である。また、吸引子32は、貫通孔14に挿入されると共に、貫通孔14の上側において、弁本体12の内側から上側に向かって小径部37が突き出して配置された部材である。すなわち、本実施形態における小径部37の直径は、縮径部16の内径よりも小さく、大径部36の直径は、縮径部16の内径よりも大きい。なお、吸引子32は、図1に示されるように、弁本体12の縮径部16と大径部36とが係止した状態で配置されている。また、吸引子32は、大径部36の下側の縁が後述するパイロット弁室22の上側の縁にかしめられて固定されている。
【0029】
また、図1に示されるように、大径部36には、径方向外側に溝が形成されており、溝に縮径部16と大径部36の間に生じる隙間を塞ぐOリング91を有している。また、吸引子32は、上下方向に貫通した孔を有する部材であり、後述するパイロット弁体30が孔を通された状態で配置されている。
【0030】
なお、本実施形態に係る吸引子32は、一例としては、磁性ステンレス等の軟磁性体であり、上下方向が長手方向となるように切削加工により形成されている。
【0031】
パイプ80は、有底筒状の部材であり、吸引子32の上側の端を覆う部材である。このパイプ80は、図1に示されるように、電磁弁10として組み立てられた状態で、後述するプランジャ28を収容すると共に、下側の端(開口側)を気密的に吸引子32に接合する。なお、パイプ80と、吸引子32との接合方法は、一例として溶接である。
【0032】
ハウジング82は、図1に示されるように、上下方向にパイプ80が通る孔を有する上板82Uと、上下方向にパイプ80が通る孔を有する下板82Lを有し、上板82Uと下板82Lとが紙面奥側で連結された、略コ字状または略U字状の部材である。また、図1に示されるように、ハウジング82の下板82Lは、吸引子32と接触して取り付けられており、後述するように電磁コイル84に通電して磁界を発生させるとハウジング82の下板82Lと吸引子32とを通じて磁路を形成する。なお、ハウジング82は、下板82Lが取付ねじ94によって、弁本体12に取り付けられている。
【0033】
電磁コイル84は、図1に示されるように、パイプ80の外周に取り付けられており、ハウジング82の上板82Uと下板82Lとの間に挟み込まれるように配置されている。また、電磁コイル84は、電磁コイル84が有する巻線に電流が流れた場合に吸引子32を磁化させる。
【0034】
プランジャ28は、図1に示されるように、パイプ80の内側に収容されると共に、吸引子32よりも上側に配置された軟磁性体の部材である。このプランジャ28は、コイルバネを介して吸引子32と上下方向に並んで配置されており、電磁コイル84の電流のオン・オフの切り替えによって上下方向に駆動する。なお、プランジャ28は、図1に示されるように、電磁コイル84がオフのときには、圧縮ばねであるパイロットばね38によって吸引子32と上下方向に離されている。
【0035】
また、プランジャ28は、下端側に後述する弁体の一部であるパイロット弁体30が連結されている。パイロット弁体30については、後述する。
【0036】
なお、図1に示されるように、電磁弁10が開弁状態である場合には、プランジャ28は、吸引子32と、パイロットばね38によってプランジャ28から離されている。このパイロットばね38は、吸引子32の上側と、プランジャ28の下側との間に配置されている。
【0037】
本実施形態における弁体は、図1に示されるように、主弁体50と、パイロット弁体30と、を有する。
【0038】
主弁体50は、弁室20の内径とよりわずかに小さく、大径部36よりも大きな外径を有し、上下方向に貫通するパイロット通路54が、径方向の中央に空けられている部材である。また、主弁体50には、パイロット通路54とは径方向に離れた位置(パイロット通路54よりも径方向の外側)において、上下方向に貫通する均圧通路56が空けられている。パイロット通路54の上側の端は、パイロット弁座52であり、後述するように、パイロット弁体30が接離する。なお、本説明において「接離」とは、構成同士が接触すること及び離れることの両方が行われ、構成同士の接触状態が切り替わることを指す。また、パイロット通路54の下側の端には、主弁パッキン35が取り付けられている。
【0039】
また、主弁体50の側壁には、主弁体50と貫通孔14の側壁との間に生じる隙間の面積を調整するピストンリング92が取り付けられている。このピストンリング92により、パイロット通路54の断面積は、主弁体50と貫通孔14の側壁との間に生じる隙間の断面積と均圧通路56の断面積との和よりも大きくなるように調整されている。
【0040】
パイロット弁体30は、図1に示されるように、吸引子32を上下方向に貫通する孔に通されるとともに、吸引子32と主弁体50との間に配置された部材である。また、パイロット弁体30は、上端側では吸引子32よりも上側でプランジャ28と連結されている。また、パイロット弁体30の下側には、パイロット弁パッキン34が設けられており、パイロット弁体30は、パイロット弁パッキン34を介してパイロット弁座52と接離する。パイロット弁座52とパイロット弁パッキン34とが密着した場合、パイロット通路54の上側がパイロット弁パッキン34により閉じられる。
【0041】
なお、図1、及び後述する図5に示されるように、パイロット弁体30の下端部は、弁室20における主弁体50より上側の空間であるパイロット弁室22に配置されている。また、パイロット弁室22は、後述する図5に示されるように、パイロット弁体30と主弁体50とが接触し、パイロット通路54の上側の端が閉じられた状態においても、パイロット弁座52の径方向の外側に生じる隙間を有している。また、図1及び図5に示されるように、均圧通路56の上側の端は、パイロット弁室22と繋がっており、パイロット弁体30により主弁体50のパイロット弁座52が閉じられた状態においても、均圧通路56の上側の端は、パイロット弁室22に開かれたままとされている。
【0042】
本実施形態における弁座部材60は、図1に示されるように、上下方向に貫通する出口流路64を有する部材であり、貫通孔14の下側の端から弁本体12に挿入されている。また、出口流路64は、貫通孔14から流体が流れ出る流出口である。なお、弁座部材60の直径は、主弁体50の直径よりも大きい。また、本実施形態における弁座部材60の下側の端(下面部)の位置は、図1に示されるように貫通孔14の下側の端と略同等とされている。
【0043】
弁座部材60の上側には、本実施形態における弁座の一例であり、上述の主弁パッキン35と接離する主弁座62が形成されており、主弁パッキン35が主弁座62と当接した状態で、主弁座62が閉じられる。また、弁座部材60は、貫通孔14に挿入された状態では、貫通孔14を封止するため、貫通孔14を弁室20として機能させる。言い換えれば、弁座部材60が弁本体12の貫通孔14に取り付けられることにより、貫通孔14の上側に係止された吸引子32と、弁座部材60と、貫通孔14の周壁と、により弁室20が形成される。なお、以後の説明では、弁室20のうち、パイロット弁室22を除く部分を、主弁室21と称する。すなわち、主弁体50は、主弁室21に配置されている。
【0044】
なお、本実施形態において、弁座部材60は、図1に示されるように、主弁座62が入口流路25の下側の端よりも上側に向かって突き出す形状とされている。また、弁座部材60は、径方向外側から内側に向かって主弁座62の側が先細りとなるように斜面66が形成されている。言い換えれば、本実施形態における電磁弁10では、開弁状態において、主弁体50の下面部である主弁パッキン35は、入口流路25の下側の端25Lよりも上側に位置する。
【0045】
なお、本実施形態において、弁座部材60の下側外周面には、雄ねじ68が形成されている。これにより弁座部材60は、弁本体12の貫通孔14の下側内周面に形成された雌ねじ18と螺合することによって弁本体12に取り付け可能とされている。
【0046】
なお、弁座部材60は、外周面にOリング93を有している。このOリング93は、弁本体12と弁座部材60との間に生じる隙間を塞ぎ、弁座部材60の外周側から流体が漏れ出ることを防ぐ。
【0047】
本実施形態における主弁ばね58は、図1に示されるように、弁室20の内部に組み込まれると共に、主弁体50を主弁座62に対して離れる方向に付勢する部材である。より具体的には、主弁ばね58は、主弁体50を上方向に向かって付勢するコイルバネである。本実施形態において主弁ばね58は、ばね受け部材70と、主弁体50との間に配置されている。
【0048】
本実施形態におけるばね受け部材70は、図1及び図2から図4に示されるように、一例として円環状に形成された台部72と、台部72から下方向に向かってそれぞれ延びる三個の脚部74とを有する部材である。本実施形態においてばね受け部材70は、図1に示されるように、脚部74を下側にして組み込まれており、脚部74の下側が弁座部材60に支持されると共に、台部72の上側が主弁ばね58に当接することによって、主弁ばね58の下側を支えている。
【0049】
また、本実施形態において、図2から図4に示されるように、それぞれの脚部74には、径方向外側に向かって切り起された切起し部76が形成されている。切起し部76は、図1に示されるように、弁室20の内部に組み込まれた状態において、貫通孔14の側壁と当接する形状とされている。切起し部76により脚部74の振動に起因した異音の発生を防ぐことができる。
【0050】
なお、本実施形態において、脚部74は、図1に示されるように、先端(すなわち、下側)である脚先78が径方向の外側に向かって折り曲げられていることが好ましい。本実施形態において、ばね受け部材70は、脚先78を径方向の外側に向かって折り曲げることにより、脚先78を貫通孔14における段差14Sに引掛け、また弁座部材60に載る形状とされている。
【0051】
なお、本実施形態において、ばね受け部材70の脚部74は、図2から図4に示されるように、それぞれ台部72における周方向に対して等間隔に形成されている。言い換えれば、本実施形態において脚部74は、互いに120°ずつ離れて形成されている。また、本実施形態においてばね受け部材70は、それぞれの脚部74が一次側取付口24から弁室20に向かって流れる流体の経路から外れる位置に配置されている。言い換えれば、ばね受け部材70は、流体が一次側取付口24から弁室20に流入する際に2つの脚部74の間を通るように配置されている。
【0052】
なお、本実施形態において、ばね受け部材70は、どのような材料及び方法で形成されてもよいが、一例として、ステンレス材料をプレス加工することにより形成される。
【0053】
なお、本実施形態の電磁弁10の構成において、直径とは、上下方向と直交する方向のうち、最も大きい箇所の大きさを指している。直径については、どのような器具を用いて測定されてもよいが、一例としてノギスを用いて外径及び内径が測定される。なお、本実施形態における弁体の直径とは、図1に示されるようにパイロット弁体30よりも外径が大きい、主弁体50の外径を指す。
【0054】
続いて、本実施形態における電磁弁10の動作について、図1、及び図5から図7を参照しながら説明する。なお、本実施形態における電磁弁10の動作の説明において、入口流路25側の圧力は、出口流路64側の圧力よりも高い。
【0055】
(電磁弁10の駆動)
本実施形態に係る電磁弁10では、電磁コイル84の巻線に電流が流された場合に、電磁コイル84が生み出す磁界により、吸引子32の上方に配置されているプランジャ28が下方に吸引され、プランジャ28が下方に移動することで、図5に示されるようにプランジャ28と連結されているパイロット弁体30が下方に移動する。そして、パイロット弁体30によりパイロット弁座52が閉じられることで、主弁体50が下方に移動し、主弁体50により主弁座62が閉じられ、電磁弁10は、閉弁状態となる。
【0056】
このため、図5に示される、閉弁状態では、主弁室21の内圧は、出口流路64の内圧よりも高くなる。なお、閉弁状態において、パイロット弁室22は、均圧通路56(より正確には、主弁体50の外周面と主弁室21の内周面との隙間からも冷媒が通過する。以下の説明でも同じ)を介して弁室20と繋がっているため、パイロット弁室22の内圧は、主弁室21と同等とされている。また、パイロット弁室22に加わる内圧により、主弁体50が下方向に押し付けられ、主弁座62と主弁体50とが強く接触し、電磁弁10は、閉弁状態を保つ。
【0057】
次に、電磁コイル84への通電が止められた場合、図6に示されるように、プランジャ28は、バネによって上方に担ぎ上げられる。また、プランジャ28と共にパイロット弁体30も上方に移動するため、パイロット弁パッキン34とパイロット弁座52とが離れ、パイロット弁が開弁状態となる。
【0058】
そして、図6に示されるように入口流路25から流入した流体は、主弁室21及び均圧通路56を通ってパイロット弁室22に流入し、パイロット通路54を通って出口流路64へと流れ込む。パイロット弁室22に流入する冷媒よりもパイロット通路54を通って出口流路64に流出する冷媒の量が多いため、パイロット弁室22の内圧が主弁室21の内圧よりも低くなる。この差圧により、主弁体50がパイロット弁室22に移動する。
【0059】
なお、入口流路25側と出口流路64側の差圧が小さいと、パイロット弁室22と主弁室21の差圧が低くなるが、その場合、主弁体50は、主弁ばね58によって上方向に担ぎ上げられる。これにより図1に示されるように、主弁体50と主弁座62とが離れ、電磁弁10が開弁状態となる。
【0060】
なお、図1に示された状態から、再び電磁コイル84に電流が流れた場合、まず吸引子32がプランジャ28を下方向に吸引して、図7に示されるように、パイロット弁体30とパイロット弁座52を接触させ、パイロット弁が閉弁状態となる。パイロット弁室22から冷媒が流出しなくなるため、パイロット弁室22の内圧が主弁室21の内圧よりも高くなり、この差圧により、主弁体50が下方向に移動し、主弁体50が主弁座62に押し付けられる。これにより電磁弁10は、再び図5に示されるように閉弁状態となる。
【0061】
このように、主弁体50及びパイロット弁体30は、貫通孔14の弁室20の内側、上下方向に移動する。言い換えれば、主弁体50は、主弁座62に対して当接又は主弁座62から離れる方向に移動し、パイロット弁体30パイロット弁座52に対して当接又は主弁座62から離れる方向に移動する。
【0062】
続いて、本実施形態における作用及び効果について説明する。
【0063】
(作用効果)
本実施形態の電磁弁10によれば、弁本体12に形成された貫通孔14における軸線方向の一端側に、吸引子32が取り付けられ、貫通孔14の軸線方向の、吸引子32とは反対側に、弁本体12とは別体とされた弁座部材60が取り付けられている。また、本実施形態の電磁弁10は、弁座部材60の直径が主弁体50の直径以上とされている。また、本実施形態の電磁弁10は、大径部36の直径は、小径部37の直径よりも大きく、大径部36の直径は、主弁体50の直径以下とされている。
【0064】
本実施形態の電磁弁10によれば、貫通孔14が軸線方向における吸引子32が取り付けられた方向とは反対側から、主弁体50を弁本体12に組み込むことができるため、吸引子32の形状に制限がなくなる。言い換えれば、本実施形態による電磁弁10によれば、吸引子32の直径に制限がなくなる。これにより、この電磁弁10によれば、吸引子32の直径、すなわち吸引子32の大きさを小さくすることができる。
【0065】
また、磁性材料からなる吸引子32は切削加工や鋳造法で製造されることが多いため、寸法が大きいと削り出し量の増大や金型の大型化等、コストアップの原因になる。
【0066】
ここで、本実施形態に係る電磁弁10では、吸引子32の大きさを小さくすることができる。したがって、本実施形態に係る電磁弁10によれば、電磁弁10の製造コストを削減することができる。
【0067】
また、本実施形態の電磁弁10によれば、弁本体12は、軸線方向の一端側に内径が主弁体50よりも小さい縮径部16を有しているため、主弁体50は、貫通孔14における軸線方向の一方側から抜け出ない。また、この電磁弁10によれば、吸引子32は、縮径部16に固定される固定部を有しているため、軸線方向の他端側から吸引子32を挿入することで組み立てることができる。
【0068】
また、本実施形態の電磁弁10によれば、弁座部材60を弁本体12に螺合させることにより、異種材料の部材間の固定が容易になる。なお、本実施形態の弁本体12はアルミニウム合金製であり、弁座部材60は例えばステンレスである。なお、シール性はOリング93で確保している。
【0069】
また、本実施形態における電磁弁10では、開弁状態において、主弁体50の下側の端である主弁パッキン35は、入口流路25の下側の端よりも上側に位置する。これにより、本実施形態における電磁弁10によれば、弁座部材60の主弁室21の側が入口流路25の下側の端と同程度の位置とされている場合と比べて、入口流路25から主弁室21に流入する液体に対する流路抵抗を低減することができる。また本実施形態における電磁弁10でば、弁座部材60の上部に、上側に向かって先細りとなる斜面66が形成されている。このため、本実施形態における電磁弁10によれば、弁座部材60の主弁室21の側が先細りとされていない場合と比べて、入口流路25から主弁室21に流入する液体に対する流路抵抗を低減することができる。
【0070】
また、本実施形態の電磁弁10は、主弁体50を主弁座62から離れる方向に付勢する主弁ばね58と、主弁ばね58を弁座部材60に対して離れた状態で保持するばね受け部材70と、をさらに備える。
【0071】
この電磁弁10によれば、主弁ばね58を弁座部材60に対して離れた状態で保持するため、主弁ばね58が弁室20に対して占める大きさが小さくなる。これにより、この電磁弁10によれば、主弁ばね58が弁座部材60と触れている場合と比して、主弁ばね58による流路抵抗を低減することができる。
【0072】
また、本実施形態においてばね受け部材70のそれぞれの脚部74は、一次側取付口24から弁室20に向かって流れる流体の経路から外れる位置に配置されている。これにより、本実施形態におけるばね受け部材70によれば、脚部74が一次側取付口24の側を向くように配置される場合と比べて、流路抵抗を抑えることができる。
【0073】
また、本実施形態においてばね受け部材70は、弁室20の内部に組み込まれた状態において、切起し部76が貫通孔14の側壁と密着する形状とされている。これによりばね受け部材70は、主弁室21に流れこむ流体及び主弁体50の駆動による振動によって、主弁室21の径方向に対して変位することを防ぐことができる。
【0074】
続いて、本開示の第二実施形態に係る電磁弁110について説明する。なお、第二実施形態に係る電磁弁110の構成のうち、第一実施形態と同様の構成については、第一実施形態と同様の符号を付し、その具体的な説明を省略する。
【0075】
[第二実施形態]
図8に示すように、本開示の第二実施形態に係る電磁弁110は、第一実施形態に係る電磁弁10と次の箇所が異なる。
【0076】
(構成)
本実施形態に係る電磁弁110は、第一実施形態に係る電磁弁10のパイプ80に代えて、上下方向の両端が開いたパイプ180を備えている。このパイプ180は、パイプ80と同様に、下端側が吸引子32の小径部37と接合されている。また、パイプ180の上端側には、ガイド部材182が接合されている。ガイド部材182は、パイプ180の上端を塞ぐとともに上側に雌ねじ184が形成されている。なお、ガイド部材182とパイプ180との接合方法は、一例として溶接である。
【0077】
なお、本実施形態において、ハウジング82は、上板82Uが、取付ねじ94がガイド部材182の雌ねじ184と螺合することによって、取り付けられている。
【0078】
プランジャ128は、第一実施形態に係る電磁弁110と同様に、パイプ180の内側に収容されると共に、吸引子32よりも上側に配置された軟磁性体の部材であり、下端側にパイロット弁体30が連結されている。
【0079】
また、本実施形態に係る弁本体112は、ハウジング82を取付ける雌ねじを有していないことを除き、第一実施形態に係る電磁弁10と同様である。また、その他の構成は、第一実施形態に係る電磁弁10と同様である。
【0080】
(作用及び効果)
本実施形態に係る電磁弁110においても、第一実施形態に係る電磁弁10と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0081】
続いて、本開示の第三実施形態に係る電磁弁210について説明する。なお、第三実施形態に係る電磁弁210の構成のうち、第一実施形態又は第二実施形態と同様の構成については、第一実施形態又は第二実施形態と同様の符号を付し、その具体的な説明を省略する。
【0082】
[第三実施形態]
図9に示すように、本開示の第三実施形態に係る電磁弁210は、第二実施形態に係る電磁弁110と次の箇所が異なる。
【0083】
(構成)
本実施形態に係る電磁弁210の弁本体212には、第二実施形態に係る電磁弁210の弁本体112に代えて、貫通孔14の下側の端には雌ねじ18を有さずにかしめ部268が形成されている。
【0084】
また、本実施形態に係る弁座部材260は、第二実施形態に係る電磁弁110の弁座部材60に代えて、下端の側に雄ねじ68を有さずに被かしめ部218が形成されている。
【0085】
本実施形態に係る弁座部材260は、貫通孔14に下側から挿入された状態で、図示しないかしめ装置により、かしめ部268にかしめられる。これにより、本実施形態に係る弁座部材260は、貫通孔14に固定される。
【0086】
なお、その他の構成は、第二実施形態に係る電磁弁110と同様である。
【0087】
(作用及び効果)
本実施形態に係る電磁弁210においても、第一実施形態、及び第二実施形態に係る電磁弁10、110と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0088】
[その他の実施形態]
なお、上述の説明では、電磁弁10、110、210は、主弁ばね58がばね受け部材70によって弁座部材60から離された状態で配置されていたが、本実施形態に係る電磁弁10、110、210は、これに限られない。すなわち、ばね受け部材70を有さず、主弁ばね58は、弁座部材60と当接した状態で、主弁体50を上方向に押圧してもよい。
【0089】
また、上述の説明では、吸引子32の小径部37の直径は、大径部36の直径よりも小さいとされていたが、吸引子32は、これに限られず、上下方向に直径が変化しない部材とされていてもよい。すなわち、吸引子32は、貫通孔14の上側の端に取り付けることが可能とされていれば、係止されて固定されていなくてもよい。この場合、貫通孔14の上側の端に雌ねじ18が形成され、吸引子32に雄ねじ68が形成されることにより、螺合により固定する方法を採用してもよい。
【0090】
また、上述の説明では、弁座部材60の直径は、弁体の直径よりも大きいとされていたが、本実施形態に係る弁座部材60は、これに限られない。すなわち、弁座部材60は、出口流路64を流れる流体の流量について、所望の流量を得られるのであれば、上下方向に直径が変化しない部材とされていてもよい。
【0091】
また、上述の説明では、弁座部材60の出口流路64は、下方向を向いていたが、本実施形態に係る電磁弁10、110、210は、これに限られない。すなわち、弁座部材60が挿入される位置に弁本体12における側壁から、貫通孔14に向かって穴が空けられることによって、出口流路64が下側以外の方向を向くように形成されていてもよい。この場合、弁座部材60には、貫通孔14から径方向の外側に向かって開口する出口流路64が形成され、二次側取付口26は、弁本体12の側壁に形成される。
【0092】
また、上述の説明では、電磁弁10、110、210は、弁体は、主弁体50と、プランジャ28に連結されたパイロット弁体30とを有するパイロット式の電磁弁10、110、210とされていたが、本開示に係る技術が適用できる電磁弁は、これに限られない。すなわち、弁体が、パイロット弁体30と、主弁体50とを有するパイロット式の電磁弁10、110、210ではなく、プランジャ28が直接的に主弁体50を駆動させる直動式の電磁弁も適用してもよい。
【0093】
また、上述の説明では、電磁弁10、110、210は、電磁コイル84が通電されていない場合に閉弁状態となる、いわゆるノーマルオープン型の電磁弁でとされていたが、本実施形態に係る技術が適用できる電磁弁は、これに限られない。すなわち、上述に説明した技術は、電磁コイル84が通電されていない場合に閉弁状態となる、いわゆるノーマルクローズ型の電磁弁にも適用されてもよい。
【0094】
なお、上述の説明では、電磁弁10、110、210における貫通孔14には、側方の側にある一次側取付口24を流体が流れ込む流入口とされ、下端の側を二次側取付口26とされていたが、本実施形態に係る技術が適用できる電磁弁は、これに限られない。例えば、直動式電磁弁においては、流体の流れる方向は、上述の説明に限られず、二次側取付口26を、流体が流れ込む流入口とされ、一次側取付口24を流体が流れ出る流出口と設定されてもよい。
【0095】
また、上述の説明では、弁本体12の一次側取付口24及び二次側取付口26には管体が取り付けられるとされていたが、本実施形態に係る技術が適用できる電磁弁は、これに限られない。すなわち、一次側取付口24、及び二次側取付口26には、電磁弁10、110、210と共に流路を形成する部材であれば、取り付けられる対象は、管体に限られない。例えば、電磁弁10、110、210は、弁座部材60を介して他の管体が取り付けられてもよい。
【0096】
また、上述の説明では、弁座部材60の下側の端が、弁座部材60の貫通孔の下側の端と略同等とされていたが、本実施形態に係る技術ができる電磁弁は、これに限られない。すなわち、弁座部材60は、弁本体12、112、212の下面よりも貫通孔14の内部に向かって引き込まれていてもよく、また、弁本体12、112、212の下面から突き出していてもよい。弁座部材60が、弁本体12、112、212の下面よりも貫通孔14の内部に向かって引き込まれている場合、弁本体12、112、212の二次側取付口26が、流体が流れ出る流出口として機能する。
【0097】
これらの変形例においても、第一実施形態から第三実施形態に係る電磁弁10、110、210と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0098】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0099】
10 電磁弁
12 弁本体
14 貫通孔
14S 段差
16 縮径部
20 弁室
21 主弁室
22 パイロット弁室
24 一次側取付口(取付口の一例)
25 入口流路
26 二次側取付口(取付口の一例)
28 プランジャ
30 パイロット弁体(弁体の一例の一部)
32 吸引子
34 パイロット弁パッキン
35 主弁パッキン
36 大径部(固定部の一例)
37 小径部(吸引部の一例)
50 主弁体(弁体の一例の一部)
52 パイロット弁座
54 パイロット通路
56 均圧通路
58 主弁ばね(圧縮ばねの一例)
60 弁座部材
62 主弁座(弁座の一例)
64 出口流路
66 斜面
70 部材
72 台部
74 脚部
76 切起し部
78 脚先
82 ハウジング
84 電磁コイル
91 Oリング
92 ピストンリング
93 Oリング
110 電磁弁
112 弁本体
128 プランジャ
80,180 パイプ
182 ガイド部材
210 電磁弁
212 弁本体
218 被かしめ部
260 弁座部材
268 かしめ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9