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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017746
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】ベッド装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/015 20060101AFI20250130BHJP
   A61G 7/005 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
A61G7/015
A61G7/005
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120952
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000010032
【氏名又は名称】フランスベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 史朗
【テーマコード(参考)】
4C040
【Fターム(参考)】
4C040AA05
4C040BB03
4C040DD04
4C040EE05
(57)【要約】
【課題】 改善されたベッド装置を提供する。
【解決手段】 一実施形態に係るベッド装置は、第1方向に長尺なベッドフレームと、前記ベッドフレームにより支持された床板と、前記床板を駆動する駆動機構と、を備えている。前記床板は、利用者の背を受けるための中央背板と、前記第1方向と交差する第2方向における前記中央背板の両側部にそれぞれ回動可能に連結された一対のサイド背板と、を含む。前記駆動機構は、前記中央背板および前記一対のサイド背板が前記第1方向および前記第2方向と平行な第1状態と、前記第2方向における前記床板の一方の側部が他方の側部よりも上方に位置するように前記床板が傾斜するとともに、前記中央背板が起き上がり、かつ前記一対のサイド背板が前記中央背板の上面側に傾斜した第2状態と、の間で前記床板を変形可能に構成されている。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に長尺なベッドフレームと、
前記ベッドフレームにより支持された床板と、
前記床板を駆動する駆動機構と、
を備え、
前記床板は、
利用者の背を受けるための中央背板と、
前記第1方向と交差する第2方向における前記中央背板の両側部にそれぞれ回動可能に連結された一対のサイド背板と、
を含み、
前記駆動機構は、
前記中央背板および前記一対のサイド背板が前記第1方向および前記第2方向と平行な第1状態と、
前記第2方向における前記床板の一方の側部が他方の側部よりも上方に位置するように前記床板が傾斜するとともに、前記中央背板が起き上がり、かつ前記一対のサイド背板が前記中央背板の上面側に傾斜した第2状態と、
の間で前記床板を変形可能に構成されている、ベッド装置。
【請求項2】
前記床板は、
前記中央背板の前記第1方向における端部に回動可能に連結された中央腰板と、
前記第2方向における前記中央腰板の両側部にそれぞれ回動可能に連結された一対のサイド腰板と、
をさらに含み、
前記第2状態において、前記一対のサイド背板のうち傾斜の下側に位置する一方の端部が、前記一対のサイド腰板のうち前記傾斜の下側に位置する一方の上面と接触または対向する、
請求項1に記載のベッド装置。
【請求項3】
前記サイド背板の前記端部は、前記第1状態において前記サイド腰板と離間し、前記中央背板から離れるに連れて前記サイド腰板との間の隙間が大きくなるテーパ形状を有している、
請求項2に記載のベッド装置。
【請求項4】
前記ベッドフレームに設けられ、側柵を装着可能な側柵受け部と、
前記側柵受け部への前記側柵の装着を検知するセンサと、
前記センサが前記側柵の装着を検知した場合に前記第2状態への前記床板の変形を禁止する制御装置と、
をさらに備える、請求項1に記載のベッド装置。
【請求項5】
前記駆動機構は、
前記中央背板に回動可能に保持されたシャフトと、
前記シャフトの両端部にそれぞれ設けられた一対の押部材と、
前記シャフトを回動させる駆動源と、
を備え、
前記シャフトが回動することにより、前記一対の押部材がそれぞれ前記一対のサイド背板の裏面を押して前記一対のサイド背板が前記中央背板の前記上面側に傾斜する、
請求項1に記載のベッド装置。
【請求項6】
前記駆動機構は、
前記中央背板の裏面に接触するローラと、
前記ローラを支持するアームと、
をさらに備え、
前記駆動源は、前記シャフトとともに前記アームを回動させ、
前記アームが回動することにより、前記ローラが前記中央背板の前記裏面を押して前記中央背板が立ち上がる、
請求項5に記載のベッド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マットレスを支持する床板を、全体的に水平な状態から利用者の背中を支持する部分を起き上がらせた状態に変形可能なベッド装置が知られている。また、例えば特許文献1には、床板を幅方向に揺動することが可能なベッド装置が開示されている。
【0003】
これらのベッド装置を用いれば、高齢者や身体の不自由な者などの利用者がベッド装置上で容易に姿勢を変更できる。また、利用者が姿勢を変更する際の介助者の負担も軽減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6550414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
利用者の姿勢の安定性や介助者のさらなる負担軽減の観点から、床板を変形可能に構成された従来のベッド装置においても未だに改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係るベッド装置は、第1方向に長尺なベッドフレームと、前記ベッドフレームにより支持された床板と、前記床板を駆動する駆動機構と、を備えている。前記床板は、利用者の背を受けるための中央背板と、前記第1方向と交差する第2方向における前記中央背板の両側部にそれぞれ回動可能に連結された一対のサイド背板と、を含む。前記駆動機構は、前記中央背板および前記一対のサイド背板が前記第1方向および前記第2方向と平行な第1状態と、前記第2方向における前記床板の一方の側部が他方の側部よりも上方に位置するように前記床板が傾斜するとともに、前記中央背板が起き上がり、かつ前記一対のサイド背板が前記中央背板の上面側に傾斜した第2状態と、の間で前記床板を変形可能に構成されている。
【0007】
前記床板は、前記中央背板の前記第1方向における端部に回動可能に連結された中央腰板と、前記第2方向における前記中央腰板の両側部にそれぞれ回動可能に連結された一対のサイド腰板と、をさらに含んでもよい。さらに、前記第2状態において、前記一対のサイド背板のうち傾斜の下側に位置する一方の端部が、前記一対のサイド腰板のうち前記傾斜の下側に位置する一方の上面と接触または対向してもよい。
【0008】
例えば、前記サイド背板の前記端部は、前記第1状態において前記サイド腰板と離間し、前記中央背板から離れるに連れて前記サイド腰板との間の隙間が大きくなるテーパ形状を有している。
【0009】
前記ベッド装置は、前記ベッドフレームに設けられ、側柵を装着可能な側柵受け部と、前記側柵受け部への前記側柵の装着を検知するセンサと、前記センサが前記側柵の装着を検知した場合に前記第2状態への前記床板の変形を禁止する制御装置と、をさらに備えてもよい。
【0010】
例えば、前記駆動機構は、前記中央背板に回動可能に保持されたシャフトと、前記シャフトの両端部にそれぞれ設けられた一対の押部材と、前記シャフトを回動させる駆動源と、を備えている。この場合において、前記シャフトが回動することにより、前記一対の押部材がそれぞれ前記一対のサイド背板の裏面を押して前記一対のサイド背板が前記中央背板の前記上面側に傾斜する。
【0011】
前記駆動機構は、前記中央背板の裏面に接触するローラと、前記ローラを支持するアームと、をさらに備えてもよい。例えば、前記駆動源は、前記シャフトとともに前記アームを回動させ、前記アームが回動することにより、前記ローラが前記中央背板の前記裏面を押して前記中央背板が立ち上がる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、床板の変形時における利用者の姿勢の安定性を向上させること、あるいは介助者の負担を軽減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施形態に係るベッド装置の概略的な斜視図である。
図2図2は、床板に適用可能な構成の一例を示す図である。
図3図3は、ベッド装置の制御に関わる要素を示す概略的なブロック図である。
図4図4は、床板が第1状態から第2状態に変形する途中のベッド装置の概略的な斜視図である。
図5図5は、床板が第2状態に変形したベッド装置の概略的な斜視図である。
図6図6は、昇降フレームの一部と揺動機構の概略的な斜視図である。
図7図7は、揺動機構の概略的な正面図である。
図8図8は、揺動機構の動作を示す図である。
図9図9は、右側に床板を傾斜させる際の揺動機構の動作を示す図である。
図10図10は、左側に床板を傾斜させる際の揺動機構の動作を示す図である。
図11図11は、床板、揺動フレームおよび背上げ機構の概略的な斜視図である。
図12図12は、背上げ機構の動作の一例を示す概略的な側面図である。
図13図13は、背上げ機構の動作の一例を示す他の概略的な側面図である。
図14図14は、サイドアップシャフト、押部材およびサイド背板の概略的な断面図である。
図15図15は、側柵受け部およびセンサに適用可能な構成の一例を示す概略的な斜視図である。
図16図16は、側柵およびリモートコントローラの一例を示す図である。
図17図17は、第1状態から第2状態に床板を変形させる処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
一実施形態につき図面を参照しながら説明する。
本実施形態においては、ベッド装置の一例として、床板(ベッドプラットフォーム)の昇降、変形および揺動が可能な電動ベッドを開示する。
【0015】
図1は、本実施形態に係るベッド装置Bの概略的な斜視図である。以下の説明においては、図示したように長手方向X(第1方向)、幅方向Y(第2方向)および鉛直方向Z(第3方向)を定義する。本実施形態においては、これら方向X,Y,Zが互いに直交する。また、ベッド装置Bに仰臥する利用者を基準とした頭側、足側、右側および左側を定義する。
【0016】
ベッド装置Bは、ベッドフレーム1と、ベッドフレーム1の上に配置された床板2と、床板2の下方に配置された駆動機構3とを備えている。ベッドフレーム1および床板2は、いずれも長手方向Xに長尺な形状を有している。床板2は、回動可能に連結された複数の部分を有している。
【0017】
ベッドフレーム1は、ベースフレーム11と、ベースフレーム11により支持された昇降フレーム12とを備えている。例えば、ベースフレーム11の4隅にはキャスタ10が取り付けられている。これにより、ベッド装置Bは床上を移動可能である。なお、キャスタ10に代えて固定的な脚部材が取り付けられてもよい。
【0018】
図1の例においては、昇降フレーム12の長手方向Xにおける頭側の端部にヘッドボードHBが取り付けられ、足側の端部にフットボードFBが取り付けられている。例えば、ヘッドボードHBおよびフットボードFBは、昇降フレーム12に対して着脱自在である。
【0019】
幅方向Yにおける昇降フレーム12の右側の側部には、後述する側柵を装着可能な複数の側柵受け部4Rが設けられている。これら側柵受け部4Rは、長手方向Xに一定間隔で並んでいる。図1に示されていない左側の昇降フレーム12の側部にも同様に、複数の側柵受け部(図3および図6に示す側柵受け部4L)が設けられている。
【0020】
図2は、床板2に適用可能な構成の一例を示す図である。ここでは床板2の裏面側を示している。また、床板2の各部には図1に示したように複数の開口や凹凸が形成されているが、図2においてはこれらの図示を省略している。
【0021】
床板2は、中央背板20Cと、中央腰板21Cと、第1中央脚板22Cと、第2中央脚板23Cとを備えている。これら中央背板20C、中央腰板21C、第1中央脚板22Cおよび第2中央脚板23Cは、頭側から足側に向けて、長手方向Xに沿って順に並んでいる。
【0022】
中央背板20Cは、利用者の背を受けるための部分である。中央腰板21Cは、利用者の腰部を受けるための部分である。第1中央脚板22Cは、利用者の脚部のうち主に膝より上方の部位を受けるための部分である。第2中央脚板23Cは、利用者の脚部のうち主に膝より下方の部位を受けるための部分である。
【0023】
例えば、中央背板20C、中央腰板21C、第1中央脚板22Cおよび第2中央脚板23Cの中で、長手方向Xにおける長さは中央背板20Cが最も大きい。図2の例においては、中央腰板21Cが長手方向Xに並ぶ2つの部分に分割されている。ただし、中央腰板21Cは、このように分割されていなくてもよい。
【0024】
中央背板20Cと中央腰板21Cは、一対の連結部材25aによって、幅方向Yと平行な軸を中心に回動可能に連結されている。中央腰板21Cと第1中央脚板22Cは、一対の連結部材25bによって、幅方向Yと平行な軸を中心に回動可能に連結されている。第1中央脚板22Cと第2中央脚板23Cは、一対の連結部材25cによって、幅方向Yと平行な軸を中心に回動可能に連結されている。
【0025】
床板2は、サイド背板20R,20Lと、サイド腰板21R,21Lと、第1サイド脚板22R,22Lと、第2サイド脚板23R,23Lとをさらに備えている。
【0026】
サイド背板20R,20Lは、ヒンジ24aによって中央背板20Cの幅方向Yにおける両側部にそれぞれ連結されている。サイド背板20R,20Lは、図1および図2に示すように中央背板20Cと平行な状態から中央背板20Cの上面側に回動可能である。
【0027】
サイド腰板21R,21Lは、ヒンジ24bによって中央腰板21Cの幅方向Yにおける両側部にそれぞれ連結されている。サイド腰板21R,21Lは、図1および図2に示すように中央腰板21Cと平行な状態から中央腰板21Cの上面側に回動可能である。
【0028】
第1サイド脚板22R,22Lは、ヒンジ24cによって第1中央脚板22Cの幅方向Yにおける両側部にそれぞれ連結されている。第1サイド脚板22R,22Lは、図1および図2に示すように第1中央脚板22Cと平行な状態から第1中央脚板22Cの上面側に回動可能である。
【0029】
第2サイド脚板23R,23Lは、ヒンジ24dによって第2中央脚板23Cの幅方向Yにおける両側部にそれぞれ連結されている。第2サイド脚板23R,23Lは、図1および図2に示すように第2中央脚板23Cと平行な状態から第2中央脚板23Cの上面側に回動可能である。
【0030】
例えば、中央背板20C、中央腰板21C、第1中央脚板22Cおよび第2中央脚板23Cは、幅方向Yにおいて同じ幅を有している。また、サイド背板20R,20L、サイド腰板21R,21L、第1サイド脚板22R,22Lおよび第2サイド脚板23R,23Lは、幅方向Yにおいて同じ幅を有している。サイド背板20R、サイド腰板21R、第1サイド脚板22Rおよび第2サイド脚板23Rの平面形状と、サイド背板20L、サイド腰板21L、第1サイド脚板22Lおよび第2サイド脚板23Lの平面形状とは、例えば長手方向Xと平行な軸に関して線対称である。
【0031】
上述のベッドフレーム1は、床板2を支持する揺動フレーム13をさらに備えている。例えば、揺動フレーム13は、長手方向Xに延びる一対のフレーム部材130R,130Lを含む。これらフレーム部材130R,130Lは、いずれも中央背板20C、中央腰板21C、第1中央脚板22Cおよび第2中央脚板23Cの裏面と対向している。
【0032】
サイド背板20Rは、長手方向Xにおいてサイド腰板21Rと対向する端部E0を有している。同様に、サイド腰板21Rは、長手方向Xにおいてサイド背板20Rと対向する端部E1を有している。これら端部E0,E1は、隙間Gを介して離間している。
【0033】
図2の例においては、端部E1の大部分が幅方向Yと平行である。一方、端部E0の大部分が幅方向Yおよび長手方向Xに対して傾斜している。具体的には、端部E0は、中央背板20Cから幅方向Yに離れるに連れてサイド腰板21Rとの間の隙間Gが大きくなるテーパ形状を有している。言い換えると、端部E0は、床板2の頭側(図中の左方)に向けて傾斜している。隙間Gの大部分の長手方向Xにおける幅は、サイド腰板21Rと第1サイド脚板22Rの間の隙間の幅や、第1サイド脚板22Rと第2サイド脚板23Rの間の隙間の幅よりも大きい。
【0034】
端部E0は、幅方向Yに対して鋭角である角度θを成す。一例では、角度θは30度以上であり、図2においては約45度である。図2の例においては、端部E0が直線状(平面)である。他の例として、端部E0は、曲線状(曲面)であってもよい。
【0035】
サイド背板20Lは、サイド背板20Rと同様の形状を有している。すなわち、サイド背板20Lの端部E0は、中央背板20Cから幅方向Yに離れるに連れてサイド腰板21Lとの間の隙間が大きくなるテーパ形状を有している。
【0036】
なお、床板2や床板2を構成する各部の名称に付した「板」との用語は、必ずしも各部材が平板状であることを意図するものではない。「板」を含む名称の各部材は、その上に置かれるマットレスを受けることができればよく、棒状の部材を連結させた構造など、平板状以外の構成であってもよい。
【0037】
図3は、ベッド装置Bの制御に関わる要素を示す概略的なブロック図である。上述の駆動機構3は、昇降機構31と、背上げ機構32と、膝上げ機構33と、揺動機構34とを備えている。
【0038】
昇降機構31は、ベースフレーム11に対して昇降フレーム12および揺動フレーム13を鉛直方向Zに昇降させる。背上げ機構32は、中央背板20Cの頭側の端部が足側の端部よりも上方に位置するように中央背板20Cを傾斜させる。膝上げ機構33は、第1中央脚板22Cの足側の端部が頭側の端部よりも上方に位置するように第1中央脚板22Cを傾斜させる。
【0039】
揺動機構34は、幅方向Yにおける床板2の一方の側部が他方の側部よりも上方に位置するように床板2を傾斜させる。具体的には、揺動機構34は、サイド背板20L、サイド腰板21L、第1サイド脚板22Lおよび第2サイド脚板23Lが、それぞれサイド背板20R、サイド腰板21R、第1サイド脚板22Rおよび第2サイド脚板23Rよりも鉛直方向Zにおける上方に位置するように床板2を傾斜させることが可能である。反対に、揺動機構34は、サイド背板20R、サイド腰板21R、第1サイド脚板22Rおよび第2サイド脚板23Rが、それぞれサイド背板20L、サイド腰板21L、第1サイド脚板22Lおよび第2サイド脚板23Lよりも鉛直方向Zにおける上方に位置するように床板2を傾斜させることも可能である。
【0040】
駆動機構3は、昇降機構31、背上げ機構32、膝上げ機構33および揺動機構34を動作させるための駆動源M1,M2,M3,M4を備えている。例えば、これら駆動源M1,M2,M3,M4はモータを含む。
【0041】
ベッド装置Bは、制御装置30と、リモートコントローラRC(入力装置)と、少なくとも1つのセンサSとをさらに備えている。例えば、リモートコントローラRCは、床板2の変形に関するコマンドを入力可能な複数のボタンを備えている。制御装置30とリモートコントローラRCは、有線または無線にて通信接続されている。
【0042】
センサSは、図1に示した複数の側柵受け部4Rの少なくとも1つに設けられている。また、センサSは、図1に示されていない左側の昇降フレーム12の側部に設けられた複数の側柵受け部4Lの少なくとも1つにも設けられている。これらセンサSは、側柵受け部4R,4Lへの側柵の装着を検知可能である。側柵の装着を検知すると、センサSは、制御装置30に検知信号を出力する。
【0043】
制御装置30は、リモートコントローラRCから入力されるコマンドに応じて駆動源M1,M2,M3,M4を制御する。リモートコントローラRCにより入力可能なコマンドとしては、例えば、駆動源M1,M2,M3,M4を個別に動作させるためのコマンドや、駆動源M1,M2,M3,M4の少なくとも2つを複合的に動作させるためのコマンドが挙げられる。
【0044】
本実施形態においては、図1に示したように各部が長手方向Xおよび幅方向Yと平行な形状(第1状態)の床板2を、利用者の起き上がりを支援する形状(第2状態)に変形させることが可能である。第1状態から第2状態への遷移につき以下に説明する。
【0045】
図4は、床板2が第1状態から第2状態に変形する途中のベッド装置Bの概略的な斜視図である。図5は、床板2が第2状態に変形したベッド装置Bの概略的な斜視図である。これらの図においては、床板2の上に仰臥する利用者が右側に起き上る場合を想定する。
【0046】
床板2を第1状態から第2状態に変形させるにあたっては、先ず揺動機構34によって図4に示すように床板2が変形する。具体的には、図4においては、床板2の左側の側部が右側の側部よりも上方に位置するように床板2が傾斜している。他の観点からいうと、サイド背板20L、サイド腰板21L、第1サイド脚板22Lおよび第2サイド脚板23Lが、それぞれサイド背板20R、サイド腰板21R、第1サイド脚板22Rおよび第2サイド脚板23Rよりも鉛直方向Zの上方に位置している。
【0047】
第1状態と同じく、サイド背板20L、サイド腰板21L、第1サイド脚板22Lおよび第2サイド脚板23Lは、中央背板20C、中央腰板21C、第1中央脚板22Cおよび第2中央脚板23Cと平行を保つ。
【0048】
一方、図4においては、サイド背板20R、サイド腰板21R、第1サイド脚板22Rおよび第2サイド脚板23Rが、それぞれ中央背板20C、中央腰板21C、第1中央脚板22Cおよび第2中央脚板23CとV字型の谷を形成するように傾斜している。このように床板2が変形することで、床板2の上に仰臥する利用者は、自ずと右側を向く姿勢となる。
【0049】
図4に示す状態から背上げ機構32を駆動し、中央背板20Cを起き上がらせると、図5に示す第2状態に至る。第2状態においては、サイド背板20R,20Lの各々が、中央背板20Cに対し、中央背板20Cの上面側に傾斜している。
【0050】
第2状態において、サイド背板20Rの端部E0の少なくとも一部は、サイド腰板21Rの上面と隙間を介して対向している。サイド背板20Rの端部E0の少なくとも一部は、サイド腰板21Rの上面と接触してもよい。
【0051】
第2状態においては、中央背板20Cが起き上がっているため、利用者が自力で、あるいは介助者の支援のもとで、床板2の右側の側部に座るように姿勢を変更しやすい。さらに、サイド背板20R,20Lが中央背板20Cの上面側に傾斜しているために、床板2の側部に座るまでの間、利用者の上半身が右側にずれ落ちにくい。これにより、利用者の姿勢の安定性が向上する。
【0052】
次に、揺動機構34に適用し得る構成の一例について説明する。なお、ここで例示する揺動機構34の構成は、特許第6550414号公報に開示された揺動のための構成と同様である。特許第6550414号公報に開示された構成は、参照により本実施形態に組み込まれる。この例に限られず、揺動機構34には種々の構成を適用し得る。
【0053】
図6は、昇降フレーム12の一部と揺動機構34の概略的な斜視図である。図7は、揺動機構34の概略的な正面図である。図6に示すように、揺動機構34は、枠体5を備えている。枠体5は、幅方向Yに延びる一対の横部材50と、長手方向Xに延びる一対の縦部材51とを互いに連結した矩形状である。枠体5は、昇降フレーム12に設けられた4つのブラケット120に連結される。
【0054】
一対の横部材50の長手方向Xにおける中央部には、それぞれ軸受52が設けられている。これら軸受52は、取付け軸53の長手方向Xにおける両端部を回転可能に支持している。取付け軸53の中途部には、L字アーム54の一端が取付けられている。
【0055】
図7に示すように、揺動機構34は、ねじ軸56を有している。ねじ軸56は、樹脂によって伸縮可能に成形された蛇腹部材57によって覆われている。ねじ軸56の一端は、蛇腹部材57から露出し、枠体5の一方の縦部材51に設けられたブラケット58によって回動可能に支持されている。ねじ軸56の中途部には、駆動源M4が設けられている。駆動源M4には、L字アーム54の端部が連結されている。
【0056】
ねじ軸56には、駆動源M4によって回転駆動される雌ねじ体が螺合している。この雌ねじ体が回転すると、ねじ軸56が雌ねじ体に対して軸方向に駆動される。ねじ軸56が駆動されると、このねじ軸56および駆動源M4などの要素は、ブラケット58に軸支された一端を支点として、ねじ軸56の回転方向に応じて揺動する。それによって、L字アーム54が連結された取付け軸53が回動する。
【0057】
取付け軸53には、L字アーム54とともに、下端にガイド軸59が設けられた帯状の駆動リンク60の上端が取り付けられている。駆動リンク60の中途部は、L字アーム54とともに駆動源M4に取り付けられている。ガイド軸59は、第1揺動リンク61および第2揺動リンク62にそれぞれ設けられた長孔61a,62aにスライド可能に挿通されている。
【0058】
第1揺動リンク61と第2揺動リンク62の一端は、それぞれ連結リンク63の一端に対し、連結軸64によって回動可能に連結されている。さらに、各連結軸64には、第1揺動リンク61および第2揺動リンク62とともに、円弧状に湾曲した規制リンク65の一端と他端が回動可能に連結されている。
【0059】
図6に示すように、一対の連結リンク63の一端は、それぞれ取付け軸66の一端に連結されている。これら取付け軸66の他端には、受けローラ67が回動可能に取り付けられている。さらに、一対の取付け軸66は、それぞれ角柱状の取付け部材55の一端と他端を貫通している。
【0060】
図7に示すように、枠体5の一方の横部材50の下面には、連結軸64と係合可能な一対の係合部材68が設けられている。また、この横部材50の上面には、受けローラ67を受けるための一対の受け部材69が設けられている。
【0061】
図6に示すように、取付け部材55の両端部には、それぞれ連結具70が設けられている。これら連結具70には、揺動フレーム13のフレーム部材130R,130Lの長さ方向Xにおける一端部が連結される。フレーム部材130R,130Lの長さ方向Xにおける他端部も揺動可能に支持されている。
【0062】
図8図9および図10は、揺動機構34の動作を示す図である。図8においては、取付け部材55が幅方向Yと平行である。このとき、揺動フレーム13も幅方向Yと平行となる。
【0063】
図8の状態から駆動源M4が第1回転方向に作動すると、駆動源M4がねじ軸56に沿って左側に移動する。これにより、例えば図9に示すように、ガイド軸59が第1揺動リンク61の長孔61aを矢印R1aで示す方向へ移動する。これに伴い、駆動リンク60は矢印R1bで示す方向に回転する。
【0064】
駆動リンク60の回転に伴い、第2揺動リンク62がガイド軸59によって矢印R1cで示す方向に回動する。また、第2揺動リンク62に連結された左側の連結リンク63が図8に示す下降位置から図9に示す上昇位置へ移動する。このとき、左側の受けローラ67が受け部材69から離間する。一方で、右側の受けローラ67は受け部材69に当接している。
【0065】
左側の連結リンク63が上昇すると、この連結リンク63に取付け軸66および取付け部材55を介して連結された揺動フレーム13の左側のフレーム部材130Lが上昇する。このように揺動フレーム13が傾斜したとき、床板2が図4に示した状態に傾斜する。
【0066】
床板2を図4とは反対方向に傾斜させる際には、図8の状態から駆動源M4を上述の第1回転方向と逆の第2回転方向に回転させる。これにより、図10に示すように右側の連結リンク63が上昇する。これに伴い、当該連結リンク63に取付け軸66および取付け部材55を介して連結された揺動フレーム13の右側のフレーム部材130Rが上昇する。
【0067】
続いて、背上げ機構32に適用し得る構成について説明する。以下に示す構成は一例にすぎず、背上げ機構32は、中央背板20Cの立ち上げとサイド背板20R,20Lの傾斜とを実現可能な他の構成を備えてもよい。
【0068】
図11は、床板2、揺動フレーム13および背上げ機構32の概略的な斜視図である。なお、図11においては揺動フレーム13が水平であり、中央背板20Cが立ち上がった状態を示している。
【0069】
背上げ機構32は、揺動フレーム13が水平な状態において幅方向Yと平行に延びる背上げシャフト80を備えている。背上げシャフト80の両端部は、フレーム部材130R,130Lにそれぞれ設けられた支持部81によって回動可能に支持されている。
【0070】
背上げ機構32は、背上げシャフト80に連結された一対のアーム82と、これらアーム82の先端部により支持された一対のローラ83とをさらに備えている。図11の状態においては、一対のアーム82が幅方向Yに間隔を空けて並んでいる。一対のローラ83は、幅方向Yと平行な軸を中心に回動可能である。
【0071】
中央背板20Cの裏面には、一対の突出部材26が設けられている。これら突出部材26の少なくとも一部は、中央背板20Cと中央腰板21Cの連結部分に近づくに連れて厚さが漸次増加する形状を有している。これにより、各突出部材26には、中央背板20Cの裏面に対して傾斜したスロープ26aが形成されている。一対のローラ83は、これら突出部材26と接触している。
【0072】
背上げシャフト80の一部は、上述の駆動源M2により保持されている。駆動源M2は、揺動フレーム13に取り付けられており、背上げシャフト80を回動させる。背上げシャフト80が回動することにより、一対のアーム82も背上げシャフト80を中心に回動する。
【0073】
背上げ機構32は、サイド背板20R,20Lを駆動するための要素として、サイドアップシャフト84を備えている。サイドアップシャフト84は、図11に示すように揺動フレーム13が水平な状態においては幅方向Yと平行に延びている。サイドアップシャフト84は、一対の保持部材85によって中央背板20Cの裏面に対し回動可能に取り付けられている。
【0074】
図11の例においては、中央背板20Cの裏面に幅方向Yと平行な溝27Cが設けられている。また、サイド背板20R,20Lの裏面には、溝27Cに隣接する溝27R,27Lがそれぞれ設けられている。
【0075】
サイドアップシャフト84の大部分は、溝27Cに収容されている。また、サイドアップシャフト84の右側の端部の少なくとも一部は溝27Rに収容され、左側の端部の少なくとも一部は溝27Lに収容されている。
【0076】
サイドアップシャフト84の右側の端部には、押部材86Rが設けられている。サイドアップシャフト84の左側の端部には、押部材86Lが設けられている。これら押部材86R,86Lは、サイドアップシャフト84の半径方向に突出している。
【0077】
サイドアップシャフト84は、リンク機構を介して背上げシャフト80に連結されている。図11の例において、このリンク機構は、背上げシャフト80に連結された第1リンク部材87と、第1リンク部材87に連結された第2リンク部材88と、第2リンク部材88およびサイドアップシャフト84に連結された第3リンク部材89とを含む。リンク部材87,88,89は、例えばいずれも棒状の部材である。
【0078】
図12および図13は、背上げ機構32の動作の一例を示す概略的な側面図である。これらの図に示すように、第1リンク部材87と第2リンク部材88は第1回動軸AX1によって回動可能に連結され、第2リンク部材88と第3リンク部材89は第2回動軸AX2によって回動可能に連結されている。
【0079】
図12において矢印で示すように背上げシャフト80が回転すると、アーム82も回転する。このとき、ローラ83に押されて中央背板20Cが立ち上がり始める。アーム82がさらに回転すると、図13に示すようにローラ83がスロープ26aを転動する。スロープ26aは中央背板20Cの裏面との距離が徐々に大きくなるように構成されているため、アーム82の回転に伴い回転する中央背板20Cの回転角を大きくすることができる。
【0080】
背上げシャフト80が回転することにより、第1リンク部材87も回転する。サイドアップシャフト84と第1回動軸AX1との間の距離は、中央背板20Cが立ち上がるに連れて増大する。したがって、サイドアップシャフト84と第1回動軸AX1を繋ぐ第2リンク部材88および第3リンク部材89が成す角度も、中央背板20Cが立ち上がるに連れて増大する。第3リンク部材89とサイドアップシャフト84は、固定的に連結されている。そのため、サイドアップシャフト84は、中央背板20Cが立ち上がっていくときに図11に示した溝27C内で回転することとなる。
【0081】
図14は、サイドアップシャフト84、押部材86Rおよびサイド背板20Rの概略的な断面図である。図14(a)は、中央背板20C(図14には不図示)が立ち上がっておらず、長手方向Xと平行な状態に相当する。このとき、サイドアップシャフト84は、溝27Rの内部に収容されている。また、押部材86Rは、溝27Rの内壁や縁部と離間している。
【0082】
中央背板20Cが立ち上がる間、図14(b)に矢印Rsで示すように、サイドアップシャフト84がサイド背板20Rに対して相対的に回転する。これにより、押部材86Rが溝27Rの縁部を押す。この押す力Fにより、サイド背板20Rが中央背板20Cの上面側に傾斜する。この傾斜が進行するに連れて、サイドアップシャフト84は溝27Rの外に出ていく。
【0083】
図14の例においては、溝27Rの縁部に保護部材28が取り付けられている。これにより、押部材86Rとの接触によるサイド背板20Rの損傷が抑制される。保護部材28は、図示したように溝27Rの縁部のうち押部材86Rと接触し得る領域に対して部分的に設けられてもよいし、当該縁部の全体に設けられてもよい。なお、一例では、サイドアップシャフト84、押部材86Rおよび保護部材28が金属製であり、サイド背板20Rが樹脂製である。
【0084】
押部材86Lおよびサイド背板20Lの動作は、図14に示した押部材86Rおよびサイド背板20Rの動作と同様である。また、立ち上がった中央背板20Cを水平な状態に戻す際には、駆動源M2が背上げシャフト80を図12の例とは逆方向に回転させる。これにより、アーム82および中央背板20Cが徐々に水平に近づく。また、サイド背板20R,20Lの中央背板20Cに対する傾斜も徐々に低減される。
【0085】
次に、図3に示したセンサSと、このセンサSの検知結果を用いたベッド装置Bの制御方法の一例について説明する。
【0086】
図15は、側柵受け部4RおよびセンサSに適用可能な構成の一例を示す概略的な斜視図である。側柵受け部4Rは、本体40と、ホルダ44とを備えている。本体40は、上下に並ぶ一対の取付け部41を有している、各取付け部41には、取付け孔41aが設けられている。
【0087】
本体40は、これら取付け孔41aを用いて図1に示したように昇降フレーム12の所定位置に取り付けることが可能である。例えば、本体40は、取付け孔41aに挿入される軸を中心に回動可能である。これにより、側柵を使用しないときには、側柵受け部4Rを昇降フレーム12の側面に沿うように畳むことができる。
【0088】
本体40は、側柵の脚を挿し込むことが可能な挿込孔42と、挿込孔42に繋がった収容室43とをさらに有している。収容室43は、本体40の上面に開口している。収容室43の上端の縁には、段差部43aが形成されている。また、本体40の側面には、収容室43への貫通孔43bが形成されている。
【0089】
ホルダ44は、収容室43に挿入可能な形状を有している。また、ホルダ44は、センサSを配置可能なスリット45を有している。ホルダ44の側面には、スリット45への貫通孔45aと、雌ねじ45bとが設けられている。また、ホルダ44の上縁部には、鍔部46が形成されている。
【0090】
センサSは、例えば接触子Cを備えた接触式のリミットスイッチである。他の例として、センサSは、発光素子と受光素子を含む光学式のセンサであってもよい。図15の例において、センサSは、取付け孔Hおよび一対の端子Tを有している。
【0091】
側柵受け部4Rを組み立てる際には、ホルダ44のスリット45にセンサSが配置される。さらに、ピンPを取付け孔Hおよび貫通孔45aに挿入することで、センサSがホルダ44に固定される。
【0092】
次に、ホルダ44が収容室43に挿し込まれる。このとき、鍔部46が段差部43aに接触する。さらに、貫通孔43bに雄ねじを挿し込み、この雄ねじの先端を雌ねじ45bにねじ込むことで、ホルダ44が本体40に固定される。
【0093】
センサSの接触子Cの一部は、挿込孔42に突出する。側柵の脚が挿込孔42に挿し込まれると、当該脚が接触子Cに接触する。これにより、センサSは、側柵の装着を検知することができる。
【0094】
図16は、側柵およびリモートコントローラRCの一例を示す図である。この図に示す側柵100は、金属製の部材によって格子状に構成されている。さらに、側柵100は、下方に突出する2本の脚101を有している。
【0095】
複数の側柵受け部4Rは、2本の脚101の間の距離と同じ間隔で配置されている。側柵100の取り付け時には、各脚101が複数の側柵受け部4Rのうち隣り合う2つに挿入される。
【0096】
センサSは、必ずしも全ての側柵受け部4Rに設けられる必要はない。一例では、センサSは、図1に示した5つの側柵受け部4Rのうち、頭側から2つ目の側柵受け部4Rに設けられる。他の例として、頭側から2つ目および4つ目の側柵受け部4RにセンサSが設けられてもよい。側柵受け部4Lに対しても、側柵受け部4Rと同様のセンサSの配置態様を適用できる。
【0097】
センサSが設けられた側柵受け部4Rに脚101が挿入されると、図15に示した端子Tに接続される配線を通じて制御装置30に検知信号が出力される。
【0098】
図3にも示したリモートコントローラRCは、例えば、床板2を第1状態から図5に示したように右側に傾斜した第2状態に移行させるためのボタンBTRと、床板2を第1状態から左側に傾斜した第2状態に移行させるためのボタンBTLと、ディスプレイDSPとを備えている。
【0099】
図5に示した第2状態においては、サイド背板20Rの一部が側柵受け部4Rよりも右側に突出し得る。そのため、側柵100が側柵受け部4Rに装着されている場合、サイド背板20Rが側柵100に干渉する可能性がある。また、左側の側柵受け部4Lに側柵100が装着されている場合には、床板2を全体的に左側に傾斜した第2状態に変形する場合に、サイド背板20Lが側柵100に干渉する可能性がある。
【0100】
そこで、本実施形態においては、床板2を傾斜させる方向に側柵100が装着されている場合、第2状態への床板2の変形を禁止するように制御装置30が構成されている。このような制御装置30の動作は、例えば制御装置30が備えるプロセッサがコンピュータプログラムを実施することにより実現される。
【0101】
図17は、第1状態から第2状態に床板2を変形させる処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、例えばリモートコントローラRCのボタンBTR,BTLのいずれかの操作により制御装置30にコマンドが入力されたことに応じて開始される。
【0102】
先ず、制御装置30は、床板2を傾斜させる方向を判定する(ステップST1)。制御装置30は、ボタンBTRが操作されているときには右側への傾斜と判定し(ステップST1の「右側」)、右側に側柵100が装着されているかを判定する(ステップST2)。
【0103】
側柵受け部4RのセンサSから検知信号が出力されていない場合、制御装置30は、右側に側柵100が装着されていないと判定する(ステップST2の「NO」)。このとき、制御装置30は、右側への起き上がり支援動作を実施する(ステップST3)。具体的には、制御装置30は、揺動機構34の駆動源M4を駆動して、図4に示したように床板2を右側に傾斜させる。次いで、制御装置30は、背上げ機構32の駆動源M2を駆動して中央背板20Cを起き上がらせる。これにより、図5に示したように右側に傾斜した第2状態に床板2を変形させる。このとき、上述のとおりサイド背板20R,20Lが中央背板20Cの上面側に傾斜する。
【0104】
一方、側柵受け部4RのセンサSから検知信号が出力されている場合、制御装置30は、右側に側柵100が装着されていると判定する(ステップST2の「YES」)。このとき、制御装置30は、リモートコントローラRCの操作者への警告を発する(ステップST6)。当該警告の後、制御装置30は、床板2を第2状態に変形させることなく当該フローチャートに示す動作を終了する。
【0105】
ステップST1において、制御装置30は、ボタンBTLが操作されているときには左側への傾斜であると判定する(ステップST1の「左側」)。このとき、制御装置30は、左側に側柵100が装着されているかを判定する(ステップST4)。
【0106】
側柵受け部4LのセンサSから検知信号が出力されていない場合、制御装置30は、左側に側柵100が装着されていないと判定する(ステップST4の「NO」)。このとき、制御装置30は、左側への起き上がり支援動作を実施する(ステップST5)。具体的には、制御装置30は、揺動機構34の駆動源M4を駆動して床板2を左側に傾斜させる。次いで、制御装置30は、背上げ機構32の駆動源M2を駆動して中央背板20Cを起き上がらせ、これにより左側に傾斜した第2状態に床板2を変形させる。このとき、上述のとおりサイド背板20R,20Lが中央背板20Cの上面側に傾斜する。
【0107】
一方、側柵受け部4LのセンサSから検知信号が出力されている場合、制御装置30は、左側に側柵100が装着されていると判定する(ステップST4の「YES」)。このとき、制御装置30は、リモートコントローラRCの操作者への警告を発する(ステップST6)。当該警告の後、制御装置30は、床板2を第2状態に変形させることなく当該フローチャートに示す動作を終了する。
【0108】
ステップST6における警告は、例えばディスプレイDSPへの警告メッセージの表示により実施される。他の例として、リモートコントローラRCに設けられたスピーカからの警告音の出力や、リモートコントローラRCに設けられたランプの点灯により当該警告が実施されてもよい。
【0109】
第2状態に床板2を変形させる際の動作は、以上の例に限られない。例えば、第1状態から第2状態に変形させるにあたり、揺動機構34による床板2の右側または左側への傾斜と、背上げ機構32による中央背板20Cの傾斜とが別々のボタンの操作に応じて実施されてもよい。この場合には、例えば、床板2が右側または左側に傾斜した状態において背上げ機構32を動作させるボタンが操作された際に、ステップST2,ST4相当の判定が実施されてもよい。
【0110】
以上説明した本実施形態においては、床板2が図1に示した第1状態から図2に示した第2状態に変形可能である。これにより、床板2に置かれたマットレスの上に仰臥する利用者が自力で、あるいは介助者の支援のもとで容易に起き上ることができる。
【0111】
さらに、第1状態から第2状態への変形時には、サイド背板20R,20Lが中央背板20Cの上面側に徐々に傾斜する。仮にサイド背板20R,20Lが中央背板20Cと平行なままであると、右側または左側に傾斜した床板2の上で利用者の身体が当該傾斜の方向にずれ落ちやすい。これに対し、サイド背板20R,20Lが中央背板20Cの上面側に傾斜していれば、第2状態への変形時や変形後における利用者の姿勢の安定性が格段に向上する。
【0112】
図5に示したように右側に傾斜する第2状態において、サイド背板20Rがサイド腰板21Rの上面と接触または対向する程度まで中央背板20Cに対し傾斜していれば、上記姿勢の安定性の十分な効果が得られる。左側に傾斜する第2状態においても同様に、サイド背板20Lがサイド腰板21Lの上面と接触または対向する程度まで中央背板20Cに対し傾斜していれば、上記姿勢の安定性の十分な効果が得られる。
【0113】
ただし、このような構成を実現するためには、サイド背板20R,20Lとサイド腰板21R,21Lとの干渉を抑制する必要がある。この点に関し、本実施形態においては、図2に示したようにサイド背板20R,20Lの端部E0がテーパ形状を有している。これにより、サイド背板20R,20Lとサイド腰板21R,21Lとの干渉が抑制され、サイド背板20R,20Lを中央背板20Cに対し大きい角度で傾斜させることが可能となる。
【0114】
また、図11乃至図14に示した背上げ機構32の構成においては、中央背板20Cを起き上がらせる動作と、サイド背板20R,20Lを中央背板20Cの上面側に傾斜させる動作とを1つの駆動源M2によって実現可能である。これにより、両動作を別々の駆動源により実現する場合に比べてベッド装置Bを構成する部品点数を減らし、製造コストを低減することができる。
【0115】
さらに、図15乃至図17を用いて説明したように、側柵100の装着をセンサSにより検知し、その結果に応じて第2状態への変形を制限する場合には、床板2と側柵100の干渉を抑制することができる。
【0116】
以上の他にも、本実施形態にて開示した構成は、種々の好適な効果を奏する。また、本実施形態にて開示した構成は、ベッド装置に係る発明を具体化するための一例にすぎず、種々の態様に変形することが可能である。
【符号の説明】
【0117】
B…ベッド装置、1…ベッドフレーム、2…床板、3…駆動機構、4R,4L…側柵受け部、11…ベースフレーム、12…昇降フレーム、13…揺動フレーム、20C…中央背板、20L,20R…サイド背板、21C…中央腰板、21L,21R…サイド腰板、22C…第1中央脚板、22L,22R…第1サイド脚板、23C…第2中央脚板、23L,23R…第2サイド脚板、27C,27L,27R…溝、28…保護部材、30…制御装置、31…昇降機構、32…背上げ機構、33…膝上げ機構、34…揺動機構、
80…背上げシャフト、82…アーム、83…ローラ、84…サイドアップシャフト、86L,86R…押部材、87,88,89…第1乃至第3リンク部材、100…側柵、RC…リモートコントローラ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17