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  • 特開-小型アンカ一体型ライナー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017754
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】小型アンカ一体型ライナー
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/44 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
E02D27/44 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120965
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】598118400
【氏名又は名称】スエヒロシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】末廣 盛男
(72)【発明者】
【氏名】末廣 大幸
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046DA44
(57)【要約】
【課題】機械基礎鉄筋コンクリートを打設した後の機器の芯出し作業が容易な小型アンカ一体型ライナーを提供する。
【解決手段】本発明の小型アンカ一体型ライナー10は、コンクリートスラブ面、壁面、機械基礎鉄筋コンクリート上面に取り付けて主面の3か所以上にネジ込み孔と、前記ネジ込み孔に螺合して一方の主面からボルト先端が突出するアンカーボルト50を有する平ライナー部20と、
前記平ライナー部20の他方の主面から突出する雄ネジ部30と、
前記雄ネジ部30に螺合し上面に機器ベースを載せるライナー面を有する雌ネジを有するライナー部40を備え、
前記アンカーボルト50で前記平ライナー部20の水平レベルを調整可能とし、前記ライナー部40で前記機器ベースの据え付け高さを調整可能とすることを特徴としている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートスラブ面、壁面、機械基礎鉄筋コンクリート上面に取り付けて主面の3か所以上にネジ込み孔と、前記ネジ込み孔に螺合して一方の主面からボルト先端が突出するアンカーボルトを有する平ライナー部と、
前記平ライナー部の他方の主面から突出する雄ネジ部と、
前記雄ネジ部に螺合し上面に機器ベースを載せるライナー面を有する雌ネジを有するライナー部を備え、
前記アンカーボルトで前記平ライナー部の水平レベルを調整可能とし、前記ライナー部で前記機器ベースの据え付け高さを調整可能とすることを特徴とする小型アンカ一体型ライナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートスラブ面、壁面、機械基礎鉄筋コンクリート上面から突出する機器・架台取付用アンカーボルトの周辺(機器・架台取付用アンカーボルトの両サイド)に取り付けて機器の据付高さを調整する小型アンカ一体型ライナーに関する。
【背景技術】
【0002】
図9は平ライナー及び勾配ライナー、従来のアンカ一体型ライナーを用いた従来の機器据付芯出し方法の説明図である。機器(機械器具ともいう)1を機械基礎鉄筋コンクリート2(以下単にコンクリートということあり)上面に据え付ける場合、コンクリート2上面に平ライナー3と勾配ライナー4の組み合わせ(同図左側参照)、あるいは特許文献1,2に示す本出願人の従来のアンカ一体型ライナー5を用いて(同図右側参照)、高さ方向の微調整を行っている。
従来の機器据付方法では、平ライナー3をコンクリート上面にセメントを適量盛り上げ、平ライナー3で押し均し水準器で水平を確保しながらしっかり固定させて、勾配ライナー4で高さ調整をしているが、大型ポンプ等据付精度の高いもの以外の小型ポンプ、軽量機器、架台ベース等は、コンクリート上面に平ライナーを直置きして、ライナーを重ねて使用しているものも多くみられる。
【0003】
このような簡易機器・架台は具体的に、以下(1)~(4)のような据付芯出しが行われている。
(1)機器・架台取付用アンカーボルト7を機械基礎鉄筋コンクリート2に取り付ける。
(2)機器・架台取付用アンカーボルト7に裏ナット6を取り付けて機器ベースの高さを決める。
(3)平ライナー3を何枚も重ねる。勾配ライナー4で微調整する。勾配ライナーは使用しない場合もある。
(4)裏ナット6で荷重を受けることは禁じられているので、裏ナット6を緩めてベースからの荷重が裏ナット6に作用しないようにする。
【0004】
このとき問題となるのは平ライナー裏面とコンクリート上面の接着力がないため、ライナー調整中に平ライナー3とコンクリート接触面が動いてしまい調整が難しいことである(課題1)
ライナーの位置が動かないように工夫したのが従来のアンカ一体型ライナー5であるが、アンカーを打ち込む作業のとき、機器を仮置きしているとアンカーが打設できないため、従来のアンカ一体型ライナー5は適用できない(課題2)。
平ライナー3と勾配ライナー4は従来のアンカ一体型ライナー5のライナー部と比べて上下の調整作業に時間を要する(課題3)。
平ライナー3そのままでは水平の確保が難しい(課題4)
【0005】
また平ライナー3、勾配ライナー4を設置するコンクリート上面と機械ベース裏面との隙間は、均一なように見えて大きな凹凸がある(課題5)。例えば機械1台で30mmの隙間と考えていたところが施行してみると30mmのところもあれば40mmのところもあるというのが常である。これに対応するために平ライナー3、勾配ライナー4を6~7枚も重ねている。一般に平ライナー3と勾配ライナー4の重ねは3枚が常識である。このような高さの変化に対応できるライナーが要望されている。
特許文献1、2に開示の従来のアンカ一体型ライナー5は、アンカーをコンクリートに打ち込むため、機器1をコンクリートに設置した後、側面の隙間から機器・架台取付用アンカーボルト7の左右にライナーとして挿入することができない(課題6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3775717号公報
【特許文献2】特許第4065957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の課題1~6に鑑み、機械基礎鉄筋コンクリートを打設した後の機器の芯出し作業が容易な小型アンカ一体型ライナーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、コンクリートスラブ面、壁面、機械基礎鉄筋コンクリート上面に取り付けて主面の3か所以上にネジ込み孔と、前記ネジ込み孔に螺合して一方の主面からボルト先端が突出するアンカーボルトを有する平ライナー部と、
前記平ライナー部の他方の主面から突出する雄ネジ部と、
前記雄ネジ部に螺合し上面に機器ベースを載せるライナー面を有する雌ネジを有するライナー部を備え、
前記アンカーボルトで前記平ライナーの水平レベルを調整可能とし、前記ライナー部で前記機器ベースの据え付け高さを調整可能とすることを特徴とする小型アンカ一体型ライナーを提供することにある。
上記第1の手段によれば、主面の3か所以上のアンカーボルトの高さを調整できるため、コンクリート上面の不陸に対して平ライナーを水平に据え付けることができる。
またアンカーボルトがストッパーとして機能して、ライナー部による機器又はプレートの位置調整の際、平ライナー部が横滑りすることがない。また、アンカーボルトをアンカー穴へ嵌めるだけで墨出しした位置の位置合わせを容易に行える。この場合、機械基礎鉄筋コンクリート上面に機器・架台取付用アンカーボルト位置を墨出しするときに、アンカ一体型ライナーの主面の3か所以上(例えば、四隅)に対向するアンカー穴も墨出ししてコンクリート上面に穿孔しておく。穿孔部に接着剤を注入して、小型アンカ一体型ライナーを接地すれば、水平方向、垂直方向のコンクリート面にも取り付けることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、3か所以上のアンカーボルトの長さが側面の僅かな隙間よりも短い場合、機器を機械基礎鉄筋コンクリート上面に設置した後に側面のわずかな隙間から挿入してライナーを取り付けることができるため、機器据付の調整作業時間を短縮でき、かつ施工費用も安価となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の小型アンカ一体型ライナーの斜視図である。
図2】本発明の小型アンカ一体型ライナーを設置する説明図である。
図3】変形例1の小型アンカ一体型ライナーの側面図である。
図4】変形例2の小型アンカ一体型ライナーの側面図である。
図5】本発明の機器の据付方法の説明図1である。
図6】本発明の機器の据付方法の説明図2である。
図7】本発明の機器の据付方法の説明図3である。
図8】本発明の機器の据付方法の説明図4である。
図9】平ライナー及び勾配ライナーを用いた従来の機器据付の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の小型アンカ一体型ライナーの実施形態について、図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0012】
[小型アンカ一体型ライナー10]
図1は、本発明の小型アンカ一体型ライナーの斜視図である。図2は、本発明の小型アンカ一体型ライナーを設置する説明図である。
本発明の小型アンカ一体型ライナー10は、コンクリートスラブ面、壁面、機械基礎鉄筋コンクリート2上面に取り付けて主面の3か所以上にネジ込み孔と、前記ネジ込み孔に螺合して一方の主面からボルト先端が突出するアンカーボルト50を有する平ライナー部20と、前記平ライナー部20の他方の主面から突出する雄ネジ部30と、前記雄ネジ部30に螺合し上面に機器ベースを載せるライナー面を有する雌ネジを有するライナー部40を備えている。
平ライナー部20は、平面視で多角形(図1は四角形を示す)、円形、楕円形などの金属製の平板である。平ライナー部は表面の中心に雄ネジ部30を設けている。
雄ネジ部30は、直径が12mm~80mmで外周をねじ切りしたネジ部材である。雄ネジ部30は、平ライナー部20の一方の主面の中心に溶接、又は中心穴を設けて螺合する形態と中心穴を設けて溶接する形態を採用している。なお螺合する場合、螺合する径は同一径とは限らない。
【0013】
また平ライナー部20はアンカーボルト50を設けている。アンカーボルト50は、機械基礎鉄筋コンクリート2と機器又はプレートの間の隙間、換言すると基礎グラウトよりも短く設定し、一例として数十mm以内に設定している。図1に示すアンカーボルト50は、平ライナー部20の四隅に4個形成しているが、これに限らず少なくとも主面に3個以上設けると良い。機械基礎鉄筋コンクリート上面には、アンカーボルト50が嵌るアンカー穴52を穿孔している。アンカーボルト50はヘッドとネジ切りしたシャフトからなるボルトである。平ライナー部20はアンカーボルト50が螺合するネジ込み孔を設けている。そしてヘッド側を平ライナー部20の表面に配置し、シャフト先端が平ライナー部20の裏面から突出させている。このアンカーボルト50は平ライナー部20に螺合しているがアンカーボルト50の出代で不陸を調整するため、アンカーボルト50のねじ長さと平ライナーの位置関係はばらばらとなる場合がある。
【0014】
ライナー部40は、雄ネジ部30に螺合して上面に機器又はプレートの取付面を形成している。ライナー部40の取付面は機器の荷重を受けて耐えられる形状であれば良く、例えば円形、多角形の形状を採用している。またライナー部40は内部に袋穴を形成し内周面をねじ切り加工している。このようなライナー部40は雄ネジ部30に螺合して上下移動することにより機器又はプレートの据付高さを調整できる。またライナー部40は、上面が機械のベース裏面と同じ高さに配置される。
円形のライナー部40は周面に4つの回転用穴を設置している。回転用穴42のうち対向する2つの孔は樹脂の充填孔44を兼用するものであり、袋穴に貫通させている。このようなライナー部40は回転用穴42又は充填孔44に回し棒43を差し込んで回転させて機器又はプレートの据付位置の調整を行うことができる。
【0015】
[変形例1]六角ナット+ネジ付き蓋
図3は、変形例1の小型アンカ一体型ライナーの側面図である。
変形例1の小型アンカ一体型ライナー10Aはライナー部40Aが六角ナットである。ライナー部40Aはナットの上面を覆うネジ付き蓋46を備えている。その他の構成は図1-2に示す構成と同様である。ネジ付き蓋46はプレート46aの一方の主面から突出するネジ部材46bを備えている。プレート46aの厚みは、機械基礎鉄筋コンクリートと機器の隙間に応じて任意に設定変更できる。ネジ部材46bは六角ナットに螺合するネジである。
このような構成の変形例1の小型アンカ一体型ライナー10Aは、ライナー部40Aに市販の六角ナットを適用することにより材料コストを抑えることができる。またコンクリートと機器の隙間に応じたネジ付き蓋46を用いることにより、適用範囲の自由度を広げることができる。
【0016】
[変形例2]六角ナット 長いネジ部
図4は、変形例2の小型アンカ一体型ライナーの側面図である。
変形例2の小型アンカ一体型ライナー10Bはライナー部40Aが変形例1と同様の六角ナットである。雄ネジ部30Aの長さは、図1-2に示す雄ネジ部30よりも長く機械基礎鉄筋コンクリートと機器の隙間に応じて任意に設定変更できる。
このような構成の変形例2の小型アンカ一体型ライナー10Bは、ライナー部40Aに市販の六角ナットを適用することにより材料コストを抑えることができる。またコンクリートと機器の隙間に応じた雄ネジ部30Aを用いることにより、適用範囲の自由度を広げることができる。
【0017】
[機器の据付方法]
図5は、本発明の機器の据付方法の説明図1である。図6は、本発明の機器の据付方法の説明図2である。図7は、本発明の機器の据付方法の説明図3である。図8は、本発明の機器の据付方法の説明図4である。
機械基礎鉄筋コンクリート2上面に小型アンカ一体型ライナー10の取付位置を墨出しする。アンカーボルト50のアンカー穴52の取付位置も墨出しして、アンカー穴52を穿孔する。
機械基礎鉄筋コンクリート2上面に機器を載置する。このとき機械基礎鉄筋コンクリート2上面に設置されている機器・据付取り付け用アンカーボルト7に裏ナット6を設置してから機器を仮置きする。機器・架台取付用アンカーボルト7は事前に機械基礎鉄筋コンクリート2と共にセットされているか、箱抜き穴にコンクリートを充填してから収められたいずれかの状態である。
【0018】
機器と機械基礎鉄筋コンクリートの隙間に小型アンカ一体型ライナー10を挿入して墨出しした位置に合わせする。
平ライナー部20の下面と機械基礎鉄筋コンクリート2上面の間にモルタル、無収縮モルタル、接着剤を注入して固定する。このとき水平器60をライナー部40に当ててアンカーボルト50を回転させて水平を合わせておく(図8参照)。
平ライナー部20を固定スパナ70で挟み込み固定した状態でライナー部40の回転用穴42又は充填孔44に回し棒43を差し込んで回転させてライナー部40を上昇させて、裏ナット6を緩めてから機器の据付位置の調整、芯出し作業を行う(図7参照)。
機器の芯出し完了後、ライナー部40の充填孔44にエポキシ樹脂を注入して対向する充填孔44から樹脂が出ているかを確認する。
固定スパナ70を取り外して作業が完了する。
このような本発明の小型アンカ一体型ライナー10によれば、ライナー部40による機器又はプレートの位置調整の際、平ライナー部20が横滑りすることなくアンカーボルト50がストッパーとして機能させることができる。また、アンカーボルト50をアンカー穴52へ嵌めるだけで墨出しした位置の位置合わせを容易に行える。
【0019】
本発明の小型アンカ一体型ライナー10,10A,10Bは、機械基礎鉄筋コンクリート上面から突出する機器・架台取付用アンカーボルトの周辺に取り付ける本ライナーとして適用するほかにも、箱抜き穴を設ける機械基礎鉄筋コンクリート上面にプレートを乗せる際には仮ライナーとして適用することができる。
【0020】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 機器
2 機械基礎鉄筋コンクリート
3 平ライナー
4 勾配ライナー
5 従来のアンカ一体型ライナー
6 裏ナット
7 機器・架台取付用アンカーボルト
10、10A、10B 小型アンカ一体型ライナー
20,20A 平ライナー部
30,30A 雄ネジ部
40,40A ライナー部
42 回転用穴
43 回し棒
44 充填孔
46 ネジ付き蓋
46a プレート
46b ネジ部材
50 アンカーボルト
52 アンカー穴
60 水平器
70 固定スパナ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9