(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017783
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】ロボットシステム、コントローラ及びロボットシステムの制御方法
(51)【国際特許分類】
B25J 3/00 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
B25J3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121020
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】田名網 克周
(72)【発明者】
【氏名】林 美由希
(72)【発明者】
【氏名】間宮 祥太朗
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS12
3C707JT05
3C707JU03
3C707KS24
3C707KS33
3C707KT06
3C707KW03
3C707KX19
(57)【要約】
【課題】作業者等が対象物に実際に作用する力をデータとして把握することが可能なロボットシステムを実現する。
【解決手段】ロボットシステム(1)は、マスターロボット(10)と、スレーブロボット(50)と、力覚センサ(80)と、ディスプレイ(30)と、コントローラ(100)と、を備え、コントローラ(100)は、力覚センサ(80)により検出された反力を示す力データをディスプレイ(30)に表示する表示処理を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1リンク機構と、前記第1リンク機構に連結され、作業者により操作される第1ツールと、を有するマスターロボットと、
前記第1リンク機構と相互に動作が同期する第2リンク機構と、前記第2リンク機構に連結され、前記第2リンク機構により駆動される第2ツールと、を有するスレーブロボットと、
前記第2ツールから対象物に作用する力の反力を検出する力覚センサと、
ディスプレイと、
コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記力覚センサにより検出された反力を示す力データを前記ディスプレイに表示する表示処理を実行する、ロボットシステム。
【請求項2】
前記第2ツールにより加工される前記対象物を固定する固定部を更に備え、
前記固定部は、前記力覚センサを有する、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記第2ツールの角速度を検出する角速度センサ及び前記第2ツールの加速度を検出する加速度センサの一方又は両方を更に備え、
前記コントローラは、前記力データ、及び、前記角速度センサが検出した角速度及び前記加速度センサが検出した加速度の一方又は両方に基づく前記第2ツールの移動状態を示す移動データを前記ディスプレイに表示する、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記対象物の加工状態を撮影するカメラを更に備え、
前記コントローラは、前記力データ、及び前記カメラにより撮影された前記加工状態を表す画像をディスプレイに表示する、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記力覚センサにより検出された力が閾値よりも大きな値であることを作業者に通知する通知処理を更に実行する、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項6】
第1リンク機構と、前記第1リンク機構に連結され、作業者により操作される第1ツールと、を有するマスターロボットと、前記第1リンク機構と相互に動作が同期する第2リンク機構と、前記第2リンク機構に連結され、前記第2リンク機構により駆動される第2ツールと、を有するスレーブロボットと、前記第2ツールから対象物に作用する力の反力を検出する力覚センサと、ディスプレイと、を備えるロボットシステムを制御するコントローラであって、
前記力覚センサにより検出された反力を示す力データを前記ディスプレイに表示する表示処理を実行する、コントローラ。
【請求項7】
第1リンク機構と、前記第1リンク機構に連結され、作業者により操作される第1ツールと、を有するマスターロボットと、前記第1リンク機構と相互に動作が同期する第2リンク機構と、前記第2リンク機構に連結され、前記第2リンク機構により駆動される第2ツールと、を有するスレーブロボットと、前記第2ツールから対象物に作用する力の反力を検出する力覚センサと、ディスプレイと、を備えるロボットシステムの制御方法あって、
前記力覚センサにより検出された反力を示す力データを前記ディスプレイに表示する表示処理を含む、ロボットシステムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボットシステム、コントローラ及びロボットシステムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットが対象物に触れた際に生じる力覚及び/又は触覚を、ロボットを遠隔操作する作業者にフィードバックする技術が知られている。例えば、特許文献1には、操作装置により遠隔操作される研削作業用のロボットが記載されている。ロボットアームには、研削する対象物から受ける力及びモーメントを検出する力覚センサが配置されている。力覚センサが検出した力及びモーメントは操作装置にフィードバックされ、操作装置を操作する作業者に作業中のロボットアームに生じる反力等の力を感じさせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2021/095886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のようなロボットでは、力覚センサが検出した力及びモーメントは、作業者が把持する操作装置の把持部にフィードバックされる。このように、作業者は、ロボットアームの状態を作業者の手の感覚から把握することしかできない。そのため、作業者は、ロボットアームから対象物に作用する力を推測することはできるが、実際に対象物に作用している力を把握することはできないという問題がある。
【0005】
本開示の一態様は、作業者等が対象物に実際に作用する力をデータとして把握することが可能なロボットシステムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係るロボットシステムは、第1リンク機構と、前記第1リンク機構に連結され、作業者により操作される第1ツールと、を有するマスターロボットと、前記第1リンク機構と相互に動作が同期する第2リンク機構と、前記第2リンク機構に連結され、前記第2リンク機構により駆動される第2ツールと、を有するスレーブロボットと、前記第2ツールから対象物に作用する力の反力を検出する力覚センサと、ディスプレイと、コントローラと、を備え、前記コントローラは、前記力覚センサにより検出された反力を示す力データを前記ディスプレイに表示する表示処理を実行する。
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係るコントローラは、第1リンク機構と、前記第1リンク機構に連結され、作業者により操作される第1ツールと、を有するマスターロボットと、前記第1リンク機構と相互に動作が同期する第2リンク機構と、前記第2リンク機構に連結され、前記第2リンク機構により駆動される第2ツールと、を有するスレーブロボットと、前記第2ツールから対象物に作用する力の反力を検出する力覚センサと、ディスプレイと、を備えるロボットシステムを制御するコントローラであって、前記力覚センサにより検出された反力を示す力データを前記ディスプレイに表示する表示処理を実行する。
【0008】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係るロボットシステムの制御方法は、第1リンク機構と、前記第1リンク機構に連結され、作業者により操作される第1ツールと、を有するマスターロボットと、前記第1リンク機構と相互に動作が同期する第2リンク機構と、前記第2リンク機構に連結され、前記第2リンク機構により駆動される第2ツールと、を有するスレーブロボットと、前記第2ツールから対象物に作用する力の反力を検出する力覚センサと、ディスプレイと、を備えるロボットシステムの制御方法あって、前記力覚センサにより検出された反力を示す力データを前記ディスプレイに表示する表示処理を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、作業者等が対象物に実際に作用する力をデータとして把握することが可能なロボットシステムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態1に係るロボットシステムの一例を示す概略図である。
【
図2】
図1に示す固定部の構成を示す模式図である。
【
図3】
図1に示す固定部の構成を示す分解斜視図である。
【
図4】固定部が有する力覚センサが検出するパラメータについて説明する図である。
【
図5】本開示の実施形態1に係るロボットシステムに含まれる各部の内部構成を示すブロック図である。
【
図6】
図5に示すコントローラが実施する制御方法の流れを示すフロー図である。
【
図7】表示処理において表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図8】実施形態1に係るロボットシステムの固定部の変形例を示す外観斜視図である。
【
図9】
図8に示す固定部の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本開示の一実施形態について、
図1~
図6を参照して詳細に説明する。なお、説明の便宜上、
図1等に示すようにX軸、Y軸、Z軸という三方向の座標軸で規定する。座標軸は、マスターロボット10を操作する作業者を基準としている。各図におけるX軸方向を前後方向とし、Y軸方向を左右方向とし、Z軸方向を上下方向とする。
図1等において、X軸正方向を前方向、Y軸正方向を左方向と、Z軸正方向を上方向とする。
【0012】
(ロボットシステムの概要)
図1は、本開示の実施形態1に係るロボットシステム1の一例を示す概略図である。
図1に例示されるロボットシステム1は、対象物Wに対してやすり掛けの加工を行うためのロボットシステムである。ロボットシステム1は、マスターロボット10と、スレーブロボット50と、ディスプレイ30と、力覚センサ80と、コントローラ100と、を備えている。
【0013】
ロボットシステム1は、コントローラ100により統括的に制御され、マスターロボット10によりスレーブロボット50を遠隔操作するシステムである。コントローラ100は、ネットワーク40を介してマスターコントローラ20及びスレーブコントローラ60と情報通信が可能に接続されている。コントローラ100は、マスターコントローラ20及びスレーブコントローラ60に指令信号を送信して、マスターロボット10及びスレーブロボット50を制御する。
【0014】
マスターロボット10は、作業者により操作されるロボットである。マスターロボット10は、第1リンク機構11と、第1ツール15と、を有している。第1リンク機構11は、第1ツール15をX軸方向及びZ軸方向に移動可能とするリンク機構である。第1リンク機構11は、床面又は作業台上に固定されている基台12に取り付けられている。
図1に示す第1リンク機構11は、パラレルリンク機構である。なお、第1リンク機構11は、第1ツール15をY軸方向に移動可能とするリンク機構を採用してもよい。
【0015】
第1リンク機構11は、第1リンク機構11に駆動力を付与する第1アクチュエータ14を有している。第1アクチュエータ14は、後述するマスターコントローラ20からの指令信号に基づいて駆動する。第1アクチュエータ14は、例えば電気モータである。
【0016】
第1アクチュエータ14は、第1アクチュエータ14の出力軸の回転角度を検出するための第1エンコーダ(不図示)と、第1エンコーダのスケールを読み取る第1角度センサ(不図示)と、を含んでもよい。第1エンコーダは、第1アクチュエータ14の出力軸に取り付けられていてもよい。第1アクチュエータ14は、第1角度センサにより検出された第1アクチュエータ14の出力軸の回転角度を示す出力信号を、マスターコントローラ20を介してコントローラ100に送信してもよい。コントローラ100は、第1アクチュエータ14の出力軸の回転角度に基づいて、第1ツール15の位置情報を検出してもよい。また、コントローラ100は、第1アクチュエータ14の出力軸の回転角度に基づいて、第1アクチュエータ14の動作を制御してもよい。
【0017】
第1ツール15は、第1リンク機構11に連結され、作業者によって操作されるツールである。第1ツール15は、第1把持部16と、第1加工ヘッド17と、を有している。第1把持部16は、作業者により把持される部分である。第1加工ヘッド17には、やすり掛け加工を可能にするやすりが形成されている。第1加工ヘッド17は、実際に対象物Wに対して加工を行うヘッドではなく、ダミーの加工ヘッドである。作業者は、第1把持部16を把持して第1ツール15を操作する。作業者により第1ツール15が操作されると、第1リンク機構11が動作することにより第1ツール15がX軸方向及び/又はZ軸方向に移動する。即ち、第1加工ヘッド17がX軸方向及び/又はZ軸方向に移動する。
【0018】
第1リンク機構11は、第1平行リンク機構13を備えていてもよい。第1平行リンク機構13は、第1ツール15の第1加工ヘッド17の姿勢を一定の姿勢に保つための機構である。より詳細には、第1平行リンク機構13は、第1加工ヘッド17のやすりが形成されている面が水平となるように第1加工ヘッド17の姿勢を一定にするための機構である。
【0019】
ディスプレイ30は、第1ツール15を操作している作業者がディスプレイ30に表示されたデータを確認可能な位置に配置されている。ディスプレイ30には、各種情報が表示される。また、ディスプレイ30は、複数配置されていてもよい。例えば、作業者が確認可能なディスプレイ30とは別のディスプレイ30が、第1ツール15を操作している作業者以外の第三者が確認可能な位置に配置されていてもよい。
【0020】
スレーブロボット50は、対象物Wに対して実際に加工を行うロボットである。スレーブロボット50の構成は、マスターロボット10の構成と略同様である。スレーブロボット50は、第2リンク機構51と、第2ツール55と、を有している。第2リンク機構51は、第2ツール55をX軸方向及びZ軸方向に移動可能とするリンク機構である。第2リンク機構51は、床面、又は作業台上に固定されている基台52に取り付けられている。
図1に示す第2リンク機構51は、パラレルリンク機構である。なお、第2リンク機構51は、第2ツール55をY軸方向に移動可能とするリンク機構を採用してもよい。
【0021】
第2リンク機構51は、第2リンク機構51に駆動力を付与する第2アクチュエータ54を有している。第2アクチュエータ54は、後述するスレーブコントローラ60からの指令信号に基づいて駆動する。第2アクチュエータ54は、例えば電気モータである。
【0022】
第2アクチュエータ54は、第2アクチュエータ54の出力軸の回転角度を検出するための第2エンコーダ(不図示)と、第2エンコーダのスケールを読み取る第2角度センサ(不図示)と、を含んでもよい。第2エンコーダは、第2アクチュエータ54の出力軸に取り付けられていてもよい。第2アクチュエータ54は、第2角度センサにより検出された第2アクチュエータ54の出力軸の回転角度を示す出力信号を、スレーブコントローラ60を介してコントローラ100に送信してもよい。コントローラ100は、第2アクチュエータ54の出力軸の回転角度に基づいて、第2ツール55の位置情報を検出してもよい。また、コントローラ100は、第2アクチュエータ54の出力軸の回転角度に基づいて、第2アクチュエータ54の動作を制御してもよい。
【0023】
第2ツール55は、第2リンク機構51に連結され、実際に対象物Wに対して加工を行うツールである。第2ツール55は、第2把持部56と、第2加工ヘッド57とを有している。第2把持部56は、実際に作業者に把持される把持部ではなく、ダミーの把持部である。第2加工ヘッド57には、対象物Wにやすり掛け加工を行うやすりが形成されている。第2加工ヘッド57は、実際に対象物Wに対して加工を行うヘッドである。第2ツール55は、第2リンク機構により駆動される。第2ツール55は、第2リンク機構51が第1リンク機構11の動作と同期することにより、X軸方向及びZ軸方向に移動する。即ち、第2加工ヘッド57がX軸方向及び/又はZ軸方向に移動する。
【0024】
第2リンク機構51は、第2平行リンク機構53を備えていてもよい。第2平行リンク機構53は、第2ツール55の第2加工ヘッド57の姿勢を一定の姿勢に保つための機構である。より詳細には、第2平行リンク機構53は、第2加工ヘッド57のやすりが形成されている面が水平となるように第2加工ヘッド57の姿勢を一定にするための機構である。
【0025】
ロボットシステム1は、固定部70を備えていてもよい。第2ツール55により加工される対象物Wは、固定部70により床面又は作業台上に固定されている。
図2及び
図3を参照して、固定部70について詳細に説明する。
図2は、
図1に示す固定部70の構成を示す模式図である。
図3は、
図1に示す固定部70の構成を示す分解斜視図である。
【0026】
図2に示すように、固定部70は、万力71と、力覚センサ80とを有している。対象物Wは、万力71により挟み込まれることで床面又は作業台上に固定される。万力71は、力覚センサ80上に配置されている。
図3に示すように、万力71は、ボルトB1により力覚センサ80上に取り付けられてもよい。力覚センサ80は、アタッチメント72上に配置され、アタッチメント72により床面又は作業台上に固定されている。力覚センサ80は、ボルトB2によりアタッチメント72上に取り付けられてもよい。
【0027】
固定部70が有する力覚センサ80が検出するパラメータについて、
図4を参照して説明する。
図4は、固定部70が有する力覚センサ80が検出するパラメータについて説明する図である。
図4に示すように、力覚センサ80は、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の荷重(Fx、Fy、Fz)を検出すると共に、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向のモーメント(Mx、My、Mz)を同時に検出することができる6軸力覚センサである。力覚センサ80は、起歪体(不図示)を有する歪ゲージ式のセンサである。力覚センサ80の第1面81に万力71が取り付けられ、第1面81とは反対側の第2面にアタッチメント72が取り付けられている。なお、力覚センサ80は歪ゲージ式のセンサに限らず、圧電式、光学式等の力覚センサを用いてもよい。
【0028】
力覚センサ80は、第2ツール55から対象物Wに作用する力の反力及びモーメントを検出する。例えば、
図2に示すように、第2加工ヘッド57が対象物Wに当接した状態で第2ツール55が矢印X1方向に移動すると、第2加工ヘッド57と対象物Wとの間に摩擦力F1が作用する。力覚センサ80は、万力71を介して、対象物Wに作用する摩擦力F1の反力F2を検出する。力覚センサ80は、検出した反力及びモーメントの値を示す出力信号をスレーブコントローラ60に送信する。
【0029】
固定部70が力覚センサ80を有する構成によれば、第2ツール55から対象物Wに作用する力の反力及びモーメントが固定部70の万力71に伝達される。力覚センサ80は、万力71に伝達された反力及びモーメントを検出することができる。力覚センサ80は、固定部70側に配置されることで、第2ツール55側に配置されるよりも精度良く対象物Wに作用する力の反力及びモーメントを検出することができる。これにより、第2ツール55から対象物Wに作用する力の反力を正確に検出することができる。なお、力覚センサ80は、対象物Wに対して、X軸方向に作用する力の反力を少なくとも検出できればよい。
【0030】
ロボットシステム1は、第2ツール55の角速度を検出する角速度センサ58を備えていてもよい。角速度センサ58は、第2ツール55に配置されている。より詳細には、角速度センサ58は、第2ツール55の把持部に配置されている。角速度センサ58は、検出した角速度を示す出力信号をスレーブコントローラ60に送信する。
【0031】
ロボットシステム1は、第2ツール55の加速度を検出する加速度センサ59を備えていてもよい。加速度センサ59は、第2ツール55に配置されている。より詳細には、加速度センサ59は、第2ツール55の把持部に配置されている。加速度センサ59は、検出した加速度を示す出力信号をスレーブコントローラ60に送信する。
【0032】
ロボットシステム1は、対象物Wの加工状態を撮影するカメラ90を備えていてもよい。カメラ90は、撮影した画像データを示す出力信号をスレーブコントローラ60に送信する。なお、カメラ90により撮影される画像は、静止画であってもよいし、動画であってもよい。
【0033】
(ロボットシステムの内部構成)
図5を参照して、ロボットシステム1に含まれる各部の内部構成について説明する。
図5は、ロボットシステム1に含まれる各部の内部構成を示すブロック図である。コントローラ100は、プロセッサ101と、一次メモリ102と、二次メモリ103と、通信IF104と、バス105と、を備えている。プロセッサ101、一次メモリ102、二次メモリ103、及び通信IF104は、バス105を介して相互に接続されている。コントローラ100として利用可能なデバイスとしては、例えば、クラウドサーバを構成するワークステーションを挙げることができる。。
【0034】
二次メモリ103には、制御プログラムP1が格納されている。プロセッサ101は、二次メモリ103に格納されている制御プログラムP1を一次メモリ102上に展開する。そして、プロセッサ101は、一次メモリ102上に展開された制御プログラムP1に含まれる命令に従って、後述する制御方法S1に含まれる各処理を実行する。プロセッサ101として利用可能なデバイスとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)を挙げることができる。また、一次メモリ102として利用可能なデバイスとしては、例えば、半導体RAM(Random Access Memory)を挙げることができる。また、二次メモリ103として利用可能なデバイスとしては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)を挙げることができる。
【0035】
通信IF104は、ネットワーク40を介してマスターコントローラ20及びスレーブコントローラ60と通信を行うためのインタフェースである。通信IF104として利用可能なインタフェースとしては、例えば、イーサネット(登録商標)インタフェースが挙げられる。また、利用可能なネットワーク40としては、PAN(Personal Area Network)、LAN(Local Area Network)、CAN(Campus Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)、WAN(Wide Area Network)、GAN(Global Area Network)、又は、これらのネットワークを含むインターネットワークが挙げられる。インターネットワークは、イントラネットであってもよいし、エクストラネットであってもよいし、インターネットであってもよい。
【0036】
なお、制御プログラムP1は、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録され得る。この記録媒体は、各二次メモリ103であってもよいし、その他の記録媒体であってもよい。例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブル論理回路などが、その他の記録媒体として利用可能である。
【0037】
また、本実施形態においては、単一のプロセッサ(プロセッサ101)を用いて制御方法S1を実行する構成を採用しているが、本発明は、これに限定されない。すなわち、複数のプロセッサを用いて制御方法S1を実行する構成を採用してもよい。この場合、制御方法S1を実行する複数のプロセッサは、単一のコンピュータに設けられ、バスを介して相互に通信可能に構成されていてもよいし、複数のコンピュータに分散して設けられ、ネットワーク40を介して相互に通信可能に構成されていてもよい。例えば、クラウドサーバを構成する複数のコンピュータの各々が備えるプロセッサが連携して制御方法S1を実行する態様なども、考えられる。
【0038】
マスターコントローラ20は、主にマスターロボット10を制御している。マスターコントローラ20は、プロセッサ、メモリ、通信IF、及び入出力IFを備えているデバイスである。マスターコントローラ20として利用可能なデバイスとしては、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、PLC(programmable logic controller)を挙げることができる。マスターコントローラ20のプロセッサは、メモリに格納された制御プログラムに含まれる命令に従って、マスターロボット10の動作の制御に関する各処理を主に実行する。
【0039】
マスターコントローラ20には、第1リンク機構11の第1アクチュエータ14が接続されている。マスターコントローラ20は、コントローラ100から取得した指令信号に従って、第1アクチュエータ14に制御信号を送信する。また、マスターコントローラ20は、第1アクチュエータ14から送信された情報を取得し、第1アクチュエータ14から取得した情報をコントローラ100に送信する。
【0040】
また、マスターコントローラ20は、ディスプレイ30と情報通信可能に接続している。マスターコントローラ20は、コントローラ100から取得した指令信号に従って、コントローラ100から取得した情報をディスプレイ30に表示させる。
【0041】
スレーブコントローラ60は、主にスレーブロボット50を制御している。スレーブコントローラ60は、プロセッサ、メモリ、通信IF、及び入出力IFを備えているデバイスである。スレーブコントローラ60として利用可能なデバイスとしては、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、PLC(programmable logic controller)を挙げることができる。スレーブコントローラ60のプロセッサは、メモリに格納されている制御プログラムに含まれる命令に従って、スレーブロボット50の動作の制御に関する各処理を主に実行する。
【0042】
スレーブコントローラ60には、第2リンク機構51の第2アクチュエータ54が接続されている。スレーブコントローラ60は、コントローラ100から取得した指令信号に従って、第2アクチュエータ54に制御信号を送信する。また、スレーブコントローラ60は、第2アクチュエータ54から送信された情報を取得し、第2アクチュエータ54から取得した情報をコントローラ100に送信する。
【0043】
スレーブコントローラ60は、力覚センサ80と情報通信可能に接続されている。スレーブコントローラ60は、力覚センサ80から取得したパラメータをコントローラ100に送信する。また、スレーブコントローラ60は、角速度センサ58、加速度センサ59及びカメラ90と情報通信可能に接続されてもよい。スレーブコントローラ60は、角速度センサ58、加速度センサ59及びカメラ90から取得した信号をコントローラ100に送信してもよい。
【0044】
(制御方法の流れ)
コントローラ100が実施するロボットシステム1の制御方法S1の流れについて、
図6を参照して説明する。
図6は、
図5に示すコントローラ100が実施する制御方法S1の流れを示すフロー図である。
【0045】
図6に示すように、制御方法S1は、同期処理S11と、検出処理S12と、表示処理S15とを含んでいる。また、制御方法S1は、判定処理S13及び通知処理S14を含んでいてもよい。各処理S11~S14は、作業者により加工が行われている間、繰り返して実行されている。表示処理S15は、各処理S11~S14と並行して実行される。
【0046】
同期処理S11は、マスターロボット10の動作、及びスレーブロボット50の動作を相互に同期させる処理である。より詳細には、コントローラ100のプロセッサ101は、同期処理S11において、第1リンク機構11の動作と第2リンク機構51の動作とが相互に同期するように、第1アクチュエータ14及び第2アクチュエータ54を制御する。
【0047】
同期処理S11において、プロセッサ101は、マスターコントローラ20から第1アクチュエータ14の出力軸の回転角度を示す情報を取得する。プロセッサ101は、第2アクチュエータ54の出力軸の回転角度が取得した第1アクチュエータ14の出力軸の回転角度と同一の角度となるように、通信IF104を介して、スレーブコントローラ60に指令信号を送信する。
【0048】
同期処理S11において、プロセッサ101は、通信IF104を介して、スレーブコントローラ60からフィードバックされた第2アクチュエータ54の出力軸の回転角度を示す情報を取得する。同期処理S11において、プロセッサ101は、フィードバックされた第2アクチュエータ54の出力軸の回転角度と第1アクチュエータ14の出力軸の回転角度とが同一の角度となるように、通信IF104を介してマスターコントローラ20に指令信号を送信する。これにより、作業者は、第2ツール55から対象物Wに作用する力の反力及び/モーメントを、第1ツール15を介して感覚として把握することができる。
【0049】
検出処理S12は、対象物Wに対して第2ツール55により加工が行われている際に、対象物Wに作用する力の反力及び/又はモーメントを力覚センサ80により検出する処理である。検出処理S12において、プロセッサ101は、通信IF104を介して、力覚センサ80が検出した対象物Wに作用する力の反力及び/又はモーメントの値を示す情報をスレーブコントローラ60から取得する。また、検出処理S12において、第2ツール55の角速度を角速度センサ58により検出してもよい。プロセッサ101は、検出処理S12において、角速度センサ58により検出された第2ツール55の角速度の値を示す情報を角速度センサ58より取得してもよい。
【0050】
判定処理S13は、力覚センサ80が検出したパラメータが閾値を超えているかを判定する処理である。プロセッサ101は、検出処理S12において取得した力覚センサ80の反力及び/又はモーメントの値が閾値よりも大きいか否かを判定する。
【0051】
通知処理S14は、力覚センサ80により検出されたパラメータが閾値よりも大きな値であることを作業者に通知する処理である。通知処理S14において、プロセッサ101は、判定処理S13にて力覚センサ80が検出した反力及び/又はモーメントの値が閾値よりも大きいと判定された場合、作業者に力覚センサ80が検出した反力及び/又はモーメントの値が閾値を超えたことを通知する。閾値は、実験又はシミュレーションによって求められた値であってもよいし、作業者により設定された任意の値であってもよい。通知処理S14において、プロセッサ101は、聴覚及び/又は視覚を通じて作業者に対して通知を行う。例えば、プロセッサ101は、警報を鳴らして作業者に通知してもよいし、ディスプレイ30に警告を表示してもよい。
【0052】
通知処理S14を実行する構成によれば、通知処理S14により、閾値を超えた力が対象物Wに掛かっていることを作業者に認知させることができる。これにより、対象物Wの加工の品質を保つことができる。
【0053】
表示処理S15は、力覚センサ80により検出された反力及び/又はモーメントを示す力データをディスプレイ30に表示する処理である。表示処理S15において、プロセッサ101は、検出処理S12にて取得した力覚センサ80の反力及び/又はモーメントの値をディスプレイ30に表示するための表示画面を生成する。表示処理S15において、プロセッサ101は、生成した表示画面をマスターコントローラ20に出力し、出力した表示画面をディスプレイ30に表示するようにマスターコントローラ20に指令信号を送信する。
【0054】
表示処理S15において、プロセッサ101は、角速度センサ58が検出した角速度及び加速度センサ59が検出した加速度の一方又は両方に基づく第2ツール55の移動状態を示す移動データをディスプレイ30に表示するための表示画面を生成してもよい。また、表示処理S15において、プロセッサ101は、カメラ90により撮影された対象物Wの加工状態を表す画像をディスプレイ30に表示するための表示画面を生成してもよい。
【0055】
図7を参照して、ディスプレイ30に表示される表示画面200の一例について説明する。
図7は、表示処理S15において表示される表示画面の一例を示す図である。
図7に示す例の表示画面200には、力覚センサ80により検出された反力及び/又はモーメントの値を示す力データ201、角速度センサ58が検出した角速度及び加速度センサ59が検出した加速度に基づく第2ツール55の移動状態を示す移動データ202、及びカメラ90により撮影された対象物Wの加工状態を表すカメラ画像203が表示されている。なお、力データ201、移動データ202、及びカメラ画像203は、それぞれ異なる表示画面に表示されてもよい。
【0056】
表示画面200において、左側に力データ201が表示される。力データ201には、力覚センサ80が検出したX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の荷重(Fx、Fy、Fz)の値がそれぞれの対応する欄に表示されると共に、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向のモーメント(Mx、My、Mz)の値がそれぞれの対応する欄に表示される。なお、力データ201には、各軸方向の荷重(Fx、Fy、Fz)の値のみが表示されてもよいし、X軸方向の荷重の値(Fx)のみが表示されてもよい。また、力データ201には、力覚センサ80が検出した力及び/又はモーメントの経時変化を示すグラフを表示してもよい。
【0057】
表示画面200において、右側下方に移動データ202が表示される。移動データ202には、角速度センサ58が検出した角速度及び加速度センサ59が検出した加速度に基づいて、X軸方向及びZ軸方向における第2ツール55の移動状態が示される。なお、表示画面200の移動データ202において、角速度センサ58が検出した角速度又は加速度センサ59が検出した加速度に基づいた第2ツール55の移動状態が示されてもよい。
【0058】
移動データ202には、X軸方向及びZ軸方向を示す座標軸及び第2ツール55の位置を示すポインタ202Aが表示されている。表示画面200において、ポインタ202Aが、X軸方向の座標のゼロ地点、且つZ軸方向の座標のゼロ地点に位置するとき、第2ツール55は初期位置に位置していることを示す。第2ツール55が初期位置からX軸方向に移動するとポインタ202AがX軸方向を示す座標軸に沿って移動し、第2ツール55が初期位置からZ軸方向に移動するとポインタ202AがZ軸方向を示す座標軸に沿って移動する。
【0059】
表示画面200において、右側上方にカメラ画像203が表示される。カメラ画像203には、カメラ90により撮影された静止画が表示されてもよいし、動画が表示されてもよい。
【0060】
プロセッサ101が表示処理S5を実行する構成によれば、力覚センサ80が検出した対象物Wに作用する力の反力を示す力データが、ディスプレイ30に表示される。これにより、作業者等が対象物Wに実際に作用する力をデータとして把握することが可能なロボットシステム1を実現することができる。作業者は、第1ツール15の操作感覚に加え、ディスプレイ30に表示された力データ201に基づいて第1ツール15の操作を行うことが可能となる。また、ディスプレイ30に力データ201が表示されるため、第1ツール15を作業する作業者以外の第三者が、加工作業の状況を認識することができる。これにより、作業者は、ディスプレイ30に力データ201に基づいて、第三者に対して加工作業の指導及び教示を行うことも可能となる。
【0061】
表示処理S5において、角速度センサ58が検出した角速度及び加速度センサ59が検出した加速度の一方又は両方に基づいて移動データ202が表示される。このような構成によれば、角速度センサ58及び加速度センサ59の一方又は両方により検出された第2ツール55の動作をリアルタイムにディスプレイ30に表示させることができる。これにより、作業者は、マスターロボット10の動作とスレーブロボット50の動作とが、正常に同期できているか確認することができる。
【0062】
また、表示処理S15において、カメラ画像203をディスプレイ30に表示する構成によれば、カメラ90により撮影された画像により、作業者が対象物Wの加工状態を確認することができる。これにより、対象物Wの加工状態を客観的に確認することが可能となる。
【0063】
〔変形例〕
図8及び
図9を参照して、実施形態1の固定部70の変形例について説明する。
図8は、実施形態1に係るロボットシステム1の固定部70の変形例を示す外観斜視図である。
図9は、
図8に示す固定部70Aの構成を示す模式図である。上述の実施形態においては、対象物Wが万力71により固定されている形態について説明したが、本開示の固定部はこれに限定されない。固定部70Aは、対象物Wを固定する固定部材76を有していてもよい。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0064】
図8に示すように、対象物Wは、固定台75上に設けられた固定部材76により、固定台75上に固定されている。固定部材76は、固定台75から上方に向かって突出する部材であり、固定台75上に複数設けられている。複数の固定部材76により対象物Wの外面を水平方向にて挟み込むことで、対象物Wは固定台75上に固定されている。
図9に示すように、固定台75は、力覚センサ80上に配置されている。固定台75は、ボルトなどにより力覚センサ80上に取り付けられてもよい。力覚センサ80は、第2ツール55から対象物Wに作用する力の反力及びモーメントを固定台75を介して検出する。
【0065】
〔その他の実施形態〕
上述した実施形態では、対象物Wに対してやすり掛け加工を行うロボットシステム1について説明したが、本開示のロボットシステム1はこのような構成に限られない。本開示のロボットシステム1により行うことが可能な加工を例示すると、グラインダを用いた研削加工、のこぎりを用いた切断加工、鉋を用いた表面を滑らかにする加工、又は錐を用いた穴あけ加工等を挙げることができる。
【0066】
また、上述した実施形態において、第1リンク機構11及び第2リンク機構51はパラレルリンク機構であったが、このような構成に限定されない。第1リンク機構11及び第2リンク機構51は、シリアルリンク機構であってもよい。また、第1リンク機構11及び第2リンク機構51は、X軸方向に直動する直動リンク機構であってもよい。
【0067】
また、上述した実施形態において、固定部70,70Aは1つの力覚センサ80を有していたが、固定部70,70Aは複数の力覚センサ80を有する構成であってもよい。例えば、固定部70,70Aは、複数の力覚センサ80を備えるフォースプレートを有していてもよい。フォースプレート上に万力71等が配置されていてもよい。このような構成によれば、対象物Wに対して加工を行う際に、対象物Wに掛かる力の分布を表示画面に表示することができる。これにより、対象物Wに実際に作用するより詳細な力分布を把握することができる。
【0068】
また、上述した実施形態において、固定部70,70Aに力覚センサ80が配置される構成としたが、このような構成に限られない。力覚センサ80は、第2ツール55に配置されてもよい。この場合、力覚センサ80は、第2ツール55を介して、第2ツール55から対象物Wに作用する力の反力及びモーメントを検出する。
【0069】
また、上述した実施形態において、同一の表示画面200に力データ201、移動データ202、及びカメラ画像203が表示されているが、このような構成に限られない。力データ201、移動データ202、及びカメラ画像203は、それぞれ別の表示画面により表示してもよい。また、ロボットシステム1は、角速度センサ58又は加速度センサ59のいずれかを備える構成とし、移動データ202には、角速度センサ58が検出した角速度又は加速度センサ59が検出した加速度のいずれかに基づいた第2ツール55の移動状態が示されてもよい。
【0070】
〔まとめ〕
本開示の態様1に係るロボットシステムは、第1リンク機構と、前記第1リンク機構に連結され、作業者により操作される第1ツールと、を有するマスターロボットと、前記第1リンク機構と相互に動作が同期する第2リンク機構と、前記第2リンク機構に連結され、前記第2リンク機構により駆動される第2ツールと、を有するスレーブロボットと、前記第2ツールから対象物に作用する力の反力を検出する力覚センサと、ディスプレイと、コントローラと、を備え、前記コントローラは、前記力覚センサにより検出された反力を示す力データを前記ディスプレイに表示する表示処理を実行する。
【0071】
態様1の構成によれば、力覚センサが検出した対象物に作用する力の反力を示す力データが、ディスプレイに表示される。これにより、作業者等が対象物に実際に作用する力をデータとして把握することが可能なロボットシステムを実現することができる。
【0072】
本開示の態様2に係るロボットシステムは、上記態様1において、前記第2ツールにより加工される前記対象物を固定する固定部を更に備え、前記固定部は、前記力覚センサを有する。
【0073】
態様2の構成によれば、第2ツールから対象物に作用する力の反力が固定部に伝達される。力覚センサは、固定部に伝達された反力を検出することができる。力覚センサは、固定部側に配置されることで、第2ツール側に配置されるよりも精度良く対象物に作用する力の反力を検出することができる。これにより、第2ツールから対象物に作用する力の反力を正確に検出することができる。
【0074】
本開示の態様3に係るロボットシステムは、上記態様1又は2において、前記第2ツールの角速度を検出する角速度センサ及び前記第2ツールの加速度を検出する加速度センサの一方又は両方を更に備え、前記コントローラは、前記力データ、及び、前記角速度センサが検出した角速度及び前記加速度センサが検出した加速度の一方又は両方に基づく前記第2ツールの移動状態を示す移動データを前記ディスプレイに表示する。
【0075】
態様3の構成によれば、角速度センサ及び加速度センサの一方又は両方により検出された第2ツールの動作をリアルタイムにディスプレイに表示させることができる。これにより、作業者は、マスターロボットの動作とスレーブロボットの動作とが、正常に同期できているか確認することができる。
【0076】
本開示の態様5に係るロボットシステムは、上記態様1から4のいずれかにおいて、前記対象物の加工状態を撮影するカメラを更に備え、前記コントローラは、前記力データ、及び前記カメラにより撮影された前記加工状態を表す画像をディスプレイに表示する。
【0077】
態様5の構成によれば、カメラにより撮影された画像により、作業者が対象物の加工状態を確認することができる。これにより、対象物の加工状態を客観的に確認することが可能となる。
【0078】
本開示の態様6に係るロボットシステムでは、上記態様1から4のいずれかにおいて、前記コントローラは、前記力覚センサにより検出された力が閾値よりも大きな値であることを作業者に通知する通知処理を更に実行する。
【0079】
態様6の構成によれば、通知処理により、閾値を超えた力が対象物に掛かっていることを作業者に認知させることができる。これにより、対象物の加工の品質を保つことができる。
【0080】
本開示の態様7に係るコントローラは、第1リンク機構と、前記第1リンク機構に連結され、作業者により操作される第1ツールと、を有するマスターロボットと、前記第1リンク機構と相互に動作が同期する第2リンク機構と、前記第2リンク機構に連結され、前記第2リンク機構により駆動される第2ツールと、を有するスレーブロボットと、前記第2ツールから対象物に作用する力の反力を検出する力覚センサと、ディスプレイと、を備えるロボットシステムを制御するコントローラであって、前記力覚センサにより検出された反力を示す力データを前記ディスプレイに表示する表示処理を実行する。
【0081】
本開示の態様8に係るロボットシステムの制御方法は、第1リンク機構と、前記第1リンク機構に連結され、作業者により操作される第1ツールと、を有するマスターロボットと、前記第1リンク機構と相互に動作が同期する第2リンク機構と、前記第2リンク機構に連結され、前記第2リンク機構により駆動される第2ツールと、を有するスレーブロボットと、前記第2ツールから対象物に作用する力の反力を検出する力覚センサと、ディスプレイと、を備えるロボットシステムの制御方法あって、前記力覚センサにより検出された反力を示す力データを前記ディスプレイに表示する表示処理を含む。
【0082】
〔付記事項〕
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0083】
1 ロボットシステム
10 マスターロボット
11 第1リンク機構
15 第1ツール
30 ディスプレイ
50 スレーブロボット
51 第2リンク機構
55 第2ツール
80 力覚センサ
100 コントローラ