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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017802
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】ドアウェザーストリップ
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/24 20160101AFI20250130BHJP
   B60J 10/86 20160101ALI20250130BHJP
【FI】
B60J10/24
B60J10/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121061
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000219705
【氏名又は名称】東海興業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000123549
【氏名又は名称】化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136113
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寿浩
(72)【発明者】
【氏名】亀井 賢司
(72)【発明者】
【氏名】宮下 竜也
【テーマコード(参考)】
3D201
【Fターム(参考)】
3D201AA26
3D201AA37
3D201CA23
3D201DA23
3D201DA31
3D201DA34
3D201EA01A
3D201EA05A
3D201FA04
3D201FA09
3D201FA15
(57)【要約】
【課題】コア抜きスリットに対して適切な位置に適量の接着剤を供給可能なドアウェザーストリップを提供する。
【解決手段】車両ドア2の周縁部に取り付けられる取付基部11と、車室内外をシールする中空シール部12とを備え、射出成形部10の取付基部11にコア抜きスリット15を有し、スリット15の一部において第1対向面15lと第2対向面15rとが接着される。第1対向面15lは凸条形状であり、第2対向面15rは凸条形状を受け入れ可能な凹条形状である。第1対向面15lと第2対向面15rとを当接させて内部に接着剤流路wを形成したうえで、これに連通する接着剤供給穴16から接着剤Gを適量供給する。
【選択図】図7

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出成形部と射出成形部とが連結されて成り、車両ドアの周縁部に取り付けられる取付基部と、前記車両ドアを閉じた際に車両ボディに押圧されて車室内外をシールする中空状の中空シール部とを備え、前記射出成形部の取付基部に、射出成形時における前記中空シール部成形用のコアを抜き取るためのスリットを有し、前記スリットの長手方向の少なくとも一部において、前記スリットを挟んで対向する第1対向面と第2対向面とが接着により接合されるドアウェザーストリップであって、
前記射出成形部の取付基部に、前記第1対向面と前記第2対向面との間の接着剤供給域に連通する接着剤供給穴が形成されている、ドアウェザーストリップ。
【請求項2】
前記接着剤供給穴が、前記第1対向面と前記第2対向面のうちいずれか一方又は双方の一部を前記スリットと反対方向へ凹ませて形成されている、請求項1に記載のドアウェザーストリップ。
【請求項3】
少なくとも前記接着剤供給域では、前記第1対向面と前記第2対向面のうちいずれか一方は凸条形状であり、他方は前記一方の凸条形状を受け入れ可能な凹条形状に形成されており、
接着剤により接合する際は、前記第1対向面と前記第2対向面との取付面側縁部及びシール部側縁部が当接し、中間部では前記第1対向面と前記第2対向面とが離間した接着剤流路が前記スリットに沿って形成されている、請求項1又は請求項2に記載のドアウェザーストリップ。
【請求項4】
前記接着剤供給穴は、前記取付面側縁部から前記接着剤流路に至って形成されており、前記シール部側縁部には至っていない、請求項3に記載のドアウェザーストリップ。
【請求項5】
前記スリットは非直線部を有する、請求項1又は請求項2に記載のドアウェザーストリップ。
【請求項6】
押出成形部と射出成形部とが連結されて成り、車両ドアの周縁部に取り付けられる取付基部と、前記車両ドアを閉じた際に車両ボディに押圧されて車室内外をシールする中空状の中空シール部とを備え、前記射出成形部の取付基部に、射出成形時における前記中空シール部成形用のコアを抜き取るためのスリットを有し、前記スリットの長手方向の少なくとも一部において、前記スリットを挟んで対向する第1対向面と第2対向面とが接着により接合されるドアウェザーストリップの製造方法であって、
前記射出成形部の取付基部に、前記第1対向面と前記第2対向面との間の接着剤供給域に連通する接着剤供給穴を形成する穴形成工程と、
前記接着剤供給穴を介して前記接着剤供給域に接着剤を供給する供給工程とを有する、ドアウェザーストリップの製造方法。
【請求項7】
少なくとも前記接着剤供給域において、前記第1対向面と前記第2対向面のうちいずれか一方は凸条形状であり、他方は前記一方の凸条形状を受け入れ可能な凹条形状に形成されており、
前記第1対向面と前記第2対向面とを突き合わせ当接させると、取付面側縁部及びシール部側縁部が当接し、中間部は離間して接着剤流路が前記スリットに沿って形成される、請求項6に記載のドアウェザーストリップの製造方法。
【請求項8】
前記穴形成工程と前記供給工程の間に、前記第1対向面と前記第2対向面とを突き合わせ当接させる当接工程を有する、請求項7に記載のドアウェザーストリップの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出成形部と射出成形部とが連結されて成り、車両ドアの周縁部に取り付けられる取付基部と、車両ドアを閉じた際に車両ボディに押圧されて車室内外をシールする中空状の中空シール部とを備え、射出成形部の取付基部に、射出成形時における中空シール部成形用のコアを抜き取るためのスリットを有し、スリットの長手方向の少なくとも一部において、スリットを挟んで対向する第1対向面と第2対向面とが接着により接合されるドアウェザーストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のドアウェザーストリップとして、例えば下記特許文献1に記載のドアウェザーストリップがある。特許文献1では、射出成形部(型成形部14)の取付基部(基台部16)に、クリップ挿通孔21を迂回する迂回部28を有するスリット(コア抜きスリット27)が形成されている。迂回部28の開口幅と直線部29の幅狭部32の開口幅とは等しくなっており、迂回部28全体が接着される。迂回部28を挟む対向面は垂直壁であり、接着する際は、例えば対向面に接着剤を塗布し、両対向面同士を突き合わせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-114036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、接着剤を対向面に沿って塗布するため、接着剤供給域へ位置ずれせずに供給することは困難である。すなわち、対向面から外れた周辺部位にまで接着剤がはみ出して見栄えが悪くなったり、対向面に十分に接着剤を供給できず、部分的に接着不良が生じたりするおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、コアを抜き取るためのスリットに対して適切な位置に適量の接着剤を供給可能なドアウェザーストリップと、その製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのための手段として、本発明は次の手段を採る。
(1)押出成形部と射出成形部とが連結されて成り、車両ドアの周縁部に取り付けられる取付基部と、前記車両ドアを閉じた際に車両ボディに押圧されて車室内外をシールする中空状の中空シール部とを備え、前記射出成形部の取付基部に、射出成形時における前記中空シール部成形用のコアを抜き取るためのスリットを有し、前記スリットの長手方向の少なくとも一部において、前記スリットを挟んで対向する第1対向面と第2対向面とが接着により接合されるドアウェザーストリップであって、
前記射出成形部の取付基部に、前記第1対向面と前記第2対向面との間の接着剤供給域に連通する接着剤供給穴が形成されている、ドアウェザーストリップ。
(2)前記接着剤供給穴が、前記第1対向面と前記第2対向面のうちいずれか一方又は双方の一部を前記スリットと反対方向へ凹ませて形成されている、(1)に記載のドアウェザーストリップ。
(3)少なくとも前記接着剤供給域では、前記第1対向面と前記第2対向面のうちいずれか一方は凸条形状であり、他方は前記一方の凸条形状を受け入れ可能な凹条形状に形成されており、
接着剤により接合する際は、前記第1対向面と前記第2対向面との取付面側縁部及びシール部側縁部が当接し、中間部では前記第1対向面と前記第2対向面とが離間した接着剤流路が前記スリットに沿って形成されている、(1)又は(2)に記載のドアウェザーストリップ。
(4)前記接着剤供給穴は、前記取付面側縁部から前記接着剤流路に至って形成されており、前記シール部側縁部には至っていない、(3)に記載のドアウェザーストリップ。
(5)前記スリットは非直線部を有する、(1)又は(2)に記載のドアウェザーストリップ。
(6)押出成形部と射出成形部とが連結されて成り、車両ドアの周縁部に取り付けられる取付基部と、前記車両ドアを閉じた際に車両ボディに押圧されて車室内外をシールする中空状の中空シール部とを備え、前記射出成形部の取付基部に、射出成形時における前記中空シール部成形用のコアを抜き取るためのスリットを有し、前記スリットの長手方向の少なくとも一部において、前記スリットを挟んで対向する第1対向面と第2対向面とが接着により接合されるドアウェザーストリップの製造方法であって、
前記射出成形部の取付基部に、前記第1対向面と前記第2対向面との間の接着剤供給域に連通する接着剤供給穴を形成する穴形成工程と、
前記接着剤供給穴を介して前記接着剤供給域に接着剤を供給する供給工程とを有する、ドアウェザーストリップの製造方法。
(7)少なくとも前記接着剤供給域において、前記第1対向面と前記第2対向面のうちいずれか一方は凸条形状であり、他方は前記一方の凸条形状を受け入れ可能な凹条形状に形成されており、
前記第1対向面と前記第2対向面とを突き合わせ当接させると、取付面側縁部及びシール部側縁部が当接し、中間部は離間して接着剤流路が前記スリットに沿って形成される、(6)に記載のドアウェザーストリップの製造方法。
(8)前記穴形成工程と前記供給工程の間に、前記第1対向面と前記第2対向面とを突き合わせ当接させる当接工程を有する、(7)に記載のドアウェザーストリップの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
(1)・(6)の手段によれば、接着剤注入空間に連通する接着剤注入穴が形成されており、当該接着剤注入穴から適量の接着剤を供給するだけで適切な位置に接着剤を供給でき、スリットから外れた周辺部位へ接着剤を誤って供給してしまったり、接着剤不足による接着不良が生じたりすることを避けることができる。
【0008】
(2)の手段によれば、スリットの一部の開口幅を大きくして接着剤注入口がスリットに隣接して形成されているので、接着剤を接着剤注入空間へ効率よく流入させることができる。
【0009】
(3)・(7)の手段によれば、前記第1対向面と前記第2対向面との取付面側縁部及びシール部側縁部が当接し、中間部に接着剤流路が形成されている。すなわち、接着剤注入空間にはほぼ密閉された微細流路が形成されている。これにより、接着剤注入口から注入された接着剤は主に毛細管現象により接着剤流路内へ流入していくことになるので、大きな注入圧力を要することなく接着領域全体へ接着剤を効率よく行き渡らせることができる。逆に、凹凸条による接着剤流路が形成されていない領域には毛細管現象が生じないため、わざわざ堰き止め壁等を形成しなくても、接着領域外へ接着剤が不用意に流入することを避けることもできる。さらに、前記第1対向面と前記第2対向面との取付面側縁部及びシール部側縁部が当接しているので、接着剤流路から接着剤が取付面側又はシール部側から外部に漏れ出すことも避けることができる。
【0010】
(4)の手段によれば、前記接着剤注入穴が前記シール部側縁部に至っていないので接着剤注入穴から注入された接着剤が、シール部側へ漏れ出すことを避けることができる。
【0011】
(5)の手段によれば、スリットの非直線部において前記第1対向面と前記第2対向面とを容易に位置決めできるので、スリット周辺がズレることなく接合することができる。
【0012】
(8)の手段によれば、第1対向面と第2対向面とを位置決めした状態で接着剤供給域に接着剤を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ドアウェザーストリップの正面図である。
図2】接合する前のドアウェザーストリップの要部拡大斜視図である。
図3図2のIII-III線断面図である。
図4図2のIV-IV線断面図である。
図5】接合状態のドアウェザーストリップの要部拡大斜視図である。
図6図5のVI-VI線断面図である。
図7図5のVII-VII線断面図である。
図8】接着剤供給域の第2対向面付近の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の代表的な実施形態を例に挙げて具体的に説明する。本実施形態のドアウェザーストリップ(以下、単にウェザーストリップと称す)1は、図1に示すように、自動車等の車両ドア2(以下、単にドアと称す)の周縁部へ配される長尺部材であって、複数の射出成形部10と押出成形部20とがそれぞれ連結されて、全体として環状になっている。射出成形部10は射出成形品であって、ドア2の周縁コーナー部に配される。押出成形部20は押出成形品であって、基本的にはドア2の周縁直線部に配される。但し、本実施形態では、ドア2の下半分から車両後方側縦縁部全体にかけて1本の押出成形部20が配されている。符号3はドアパネル、符号4はサイドウィンドである。
【0015】
図1には、右側フロントドアを車内側から見た状態(仮想線)で示しているが、ウェザーストリップ1は、左側フロントドア、左右のリアドア、及びバックドア等に配すこともできる。また、ドア2の下側コーナー部を射出成形部10としてもよいし、比較的曲率の大きい部位であれば、図1に示した射出成形部10の部位を押出成形部20とすることもできる。
【0016】
ウェザーストリップ1を成形する材料としては、射出成形や押出成形可能な材料、具体的には熱可塑性エラストマー、塩化ビニル等の軟質合成樹脂、EPDMなどのゴムからなる弾性材料、又はこれらの発泡体を用いることができる。射出成形部10と押出成形部20とは同じ材料(例えば、EPDM同士)であることが好ましいが、異なる材料であってもよい。
【0017】
ウェザーストリップ1を製造する際は、射出成形型のキャビティに、予め成形しておいた押出成形部20の端末が臨むようにセットした状態で、当該キャビティに溶融材料を射出することで、射出成形部10が射出成形されると共に、射出成形部10の端部と押出成形部20の端部とが接合連結される。このとき、射出成形型のキャビティ内には、射出成形部10の中空シール部12を形成するためのコアが配されている。
【0018】
ウェザーストリップ1は、その長手方向全体に亘ってほぼ一様な形状であり、取付基部と中空シール部とを一体的に有する。すなわち、図2に示すように、射出成形部10は取付基部11と中空シール部12とを一体的に有し、押出成形部20も取付基部21と中空シール部22とを一体的に有する。図3図6に示すように、取付基部11・21は平板状であって、ドア2のドアパネル3に取り付け固定される部位である。そのため、取付基部11・21の取付面側の車外側縁部と車内側縁部には、それぞれドアパネル3と当接する凸条の脚部13・23が、長手方向全体に亘って突出形成されている。中空シール部12・22は、ドア2を閉じた際に車両ボディ5に押圧されて車室内外をシールする部位である。また、中空シール部12・22の車外側には、リップ部14・24が一体形成されている。ドア2を閉じた際は、リップ部14・24の先端部も車両ボディ5と弾接する。
【0019】
そのうえで、射出成形部10と押出成形部20との形状的相違として、射出成形部10の取付基部11に、コアを抜き取るためのスリット15が形成されている。スリット15は、射出成形後にコアを抜き取ることが可能な長手方向寸法を有し、コア抜き取り後は、長手方向の少なくとも一部において、スリット15を挟んで対向する第1対向面15lと第2対向面15rとが接着により接合される。一方、押出成形部20の取付基部21には、図外の部位において複数個の貫通孔が設けられており、この貫通孔にクリップ(図示せず)を挿通してウェザーストリップ1がドアパネル3へ固定される。
【0020】
図2に示すように、スリット15は、取付基部11の幅方向中央部において直線状に形成されているが、長手方向中央部には非直線部を有する。本実施形態では、非直線部として幅方向(車両内外方向)に屈曲させたくの字状をしている。そのうえで、本実施形態では、当該屈曲した部分を接合領域、すなわち接着剤供給域Sとしている。
【0021】
図3に示すように、接着剤供給域Sでは、第1対向面15lが凸条形状となっており、第2対向面15rは、第1対向面15lの凸条形状を受け入れ可能な凹条形状となっている。なお、「凸条」ないし「凹条」とは、凸形状ないし凹形状が(スリット15に沿って)長手方向に連続して形成されていることを意味する。第1対向面15lの突出量は第2対向面15rの凹み量より小さい。これに対し、接着剤供給域S以外の領域では、図4に示すように、第1対向面15l及び第2対向面15r共に平面となっている。接着剤供給域Sにおけるスリット15の開口幅tは、接着剤供給域S以外の領域におけるスリット15の開口幅tよりも小さくなっている(t<t
【0022】
接着剤により接合する際は、図5に示すように、接着剤供給域Sにおいて第1対向面15lと第2対向面15rとを突き合わせる。すると、図6に示すように、凸条の第1対向面15lが凹条の第2対向面15r内に入り込んで、第1対向面15lと第2対向面15rを縦方向に位置決めでき、取付面側縁部15ld・15rd及びシール部側縁部15lu・15ruが当接する。一方、取付基部11の縦方向中間部では、第1対向面15lと第2対向面15rとが離間している。この離間した空間が、接着剤流路wとしてスリット15に沿って形成されることになる。
【0023】
そのうえで、図2及び図5に示すように、射出成形部10の取付基部11には、接着剤供給域Sの接着剤流路wに連通する接着剤供給穴16が形成されている。本実施形態では、図7図8に示すように、第2対向面15rの一部を、幅方向においてスリット15と反対方向(車内側)へ凹ませることで接着剤供給穴16を形成している。また、図7に示すように、接着剤供給穴16は、取付面側縁部15rdから接着剤流路wに至って形成されており、シール部側縁部15ruには至っていない。
【0024】
次に、ウェザーストリップ1の製造からスリット15を接合するまでの手順(製造方法)について説明する。先ず、上述のように、押出成形部20を予め成形しておき、この押出成形部20の端末を射出成形部10成形用の射出成形型のキャビティに臨むようにセットすると共に、キャビティ内に中空シール部12形成用のコアを配しておく。この状態でキャビティに溶融材料を射出することで、図2に示すように、中空シール部12を含む射出成形部10が射出成形されると共に、射出成形部10の端部と押出成形部20の端部とが接合連結される。また、コアにはスリット15及び接着剤供給穴16形成用の形成面が設けられており、射出成形と同時にスリット15及び接着剤供給穴16も形成される(穴形成工程)。そして、射出成形部10が十分に硬化したら、取付基部11に形成されているスリット15からコアを抜き出す。
【0025】
次いで、図5図6に示すように、スリット15を接合するための接着剤供給域Sにおいて、第1対向面15lと第2対向面15rとを互いに突き合わせ当接させて、接着剤流路wを形成する(当接工程)。第1対向面15lと第2対向面15rとの突き合わせは作業者の手で行ってもよいし、挟持治具等を用いてもよい。このとき、接着剤供給域Sにおけるスリット15の開口幅tは、接着剤供給域S以外の領域におけるスリット15の開口幅tよりも小さくなっている(t<t)ので、他の領域よりも突き合わせ作業を容易に行える。また、接着剤供給域Sではスリット15が非直線状のくの字状で、且つ第1対向面15lが凸条形状に、第2対向面15rが凹条形状に、それぞれ形成されているので、この凹凸を嵌め合わせることで第1対向面15lと第2対向面15rとを容易に長手方向及び縦方向に位置決めできる。
【0026】
なお、本発明においてスリット15の一部を非直線状としているのは、クリップ挿通孔を形成するためではなく、あくまで第1対向面15lと第2対向面15rとを位置決め当接可能とするためである。
【0027】
次いで、接着剤供給穴16から接着剤を供給する(供給工程)。接着剤の供給は、ディスペンサー等を用いてもよいし、手作業で行ってもよい。このとき、図7に示すように、接着剤供給穴16は、第1対向面15lと第2対向面15rとの当接部のうち、シール部側縁部15ruには至っていないので、接着剤供給穴16から供給した接着剤がシール部側へ漏れ出すことは無い。すると、図8に示すように、接着剤Gは主に毛細管現象により接着剤流路wに沿って奥方及び長手方向へ浸透していく。なお、接着剤供給域S以外の領域では、図4に示すように、第1対向面15lと第2対向面15rとを当接させておらず、且つスリット15の開口幅tが大きく毛細管現象が生じないため、特に堰き止め壁等を設けていなくても、接着剤Gが接着剤供給域S以外の領域へ流出することは殆どない。また、接着剤Gは、重力や第1対向面15lと第2対向面15rとの圧着等によっても流路w内に広がるが、接着剤Gが適量であれば、接着剤供給域S以外の領域へ流出しにくい。
【0028】
接着剤Gによる実際の接合範囲は、接着剤供給域Sの全体でも構わないし、接着剤供給域Sの一部でもよい。接着剤Gによる接合範囲は、接着剤Gの供給量に依存する。すなわち、十分量の接着剤Gを供給して、接着剤Gを接着剤供給域Sの全体に行き亘らせてもよいし、供給量を比較的少量にして、接着剤Gを最低限接合が必要な範囲である接着剤供給穴16の近傍に行き亘らせてもよい。接着剤としては、毛細管現象により十分奥方まで浸透できるよう、比較的動粘度の低いものが好ましい。また、瞬間接着剤が好ましいが、他の接着剤でも良い。
【0029】
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、これに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変形が可能である。例えば、接着剤供給穴16は、第1対向面15lの一部を凹ませて形成してもよいし、第1対向面15lと第2対向面15rの双方の一部を凹ませて形成することもできる。または、第1対向面15lや第2対向面15rの一部を凹ませて接着剤供給穴16をスリット15に隣接させるのみならず、スリット15から若干離れた位置に接着剤供給穴16を設けることもできる。この場合、接着剤供給穴16と接着剤流路wとを連通させる連通路を、取付基部11の内部に設けておく。
【0030】
接着剤供給穴16は、基本的には1ヵ所に設ければよいが、複数個所に設けてもよい。また、接着剤供給穴16は、接着剤供給域Sの長手方向端部に設けてもよいし、中央部に設けてもよい。
【0031】
上記実施形態とは逆に、第1対向面15lを凹条とし、第2対向面15rを凸条としてもよい。接着剤供給域S以外の領域においても、第1対向面15lと第2対向面15rを凸凹条形状にすることもできる。第1対向面15lと第2対向面15rとは、一方が他方の凸条を受け入れ可能な凹条であれば、その形状は特に限定されない。例えば、上記実施形態のように半円とする他、三角形や四角形とすることもできる。また、第1対向面15lと第2対向面15rとは必ずしも相似形状でなくてもよい。例えば、第1対向面15lを三角形の凸条とし、第2対向面15rを四角形の凹条としたりでき、形状の組み合せは種々のパターンを採用可能である。
【0032】
接着剤供給域Sとするスリット15の非直線部は、くの字状に屈曲させるのみならず、半円形、三角形、四角形、階段状など、種々のパターンを採用できる。また、非直線部は必ずしも設ける必要は無い。
【0033】
穴形成工程では、射出成形と同時に接着剤供給穴16を形成することが好ましいが、射出成形した後に穿設してもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 ドアウェザーストリップ
2 車両ドア
3 ドアパネル
4 サイドウィンドウ
10 射出成形部
11・21 取付基部
12・22 中空シール部
13・23 脚部
14・24 リップ部
15 スリット
15l 第1対向面
15r 第2対向面
16 接着剤供給穴
G 接着剤
S 接着剤供給域
w 接着剤流路






図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8