(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025178090
(43)【公開日】2025-12-05
(54)【発明の名称】不活性化方法及び不活性化装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/54 20060101AFI20251128BHJP
【FI】
H01M10/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025008996
(22)【出願日】2025-01-22
(31)【優先権主張番号】P 2024083112
(32)【優先日】2024-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】駒形 将吾
(72)【発明者】
【氏名】近藤 康仁
(72)【発明者】
【氏名】中野 広幸
(72)【発明者】
【氏名】小林 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 勇一
(72)【発明者】
【氏名】近藤 広規
(72)【発明者】
【氏名】則竹 一樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 靖史
(72)【発明者】
【氏名】石本 淳一
(72)【発明者】
【氏名】村松 健一郎
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031AA02
5H031HH06
5H031RR04
(57)【要約】
【課題】ニッケル水素電池を不活性化させる新規の不活性化方法及び不活性化装置を提供する。
【解決手段】本開示の不活性化方法は、NとOとを含むアニオン、及び/又はNとHとを含むカチオンが溶解した不活性化液を、ニッケル水素電池の正極及び/又は負極と反応させ、ニッケル水素電池を不活性化する不活性化工程、を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NとOとを含むアニオン、及び/又はNとHとを含むカチオンが溶解した不活性化液を、ニッケル水素電池の正極及び/又は負極と反応させ、ニッケル水素電池を不活性化する不活性化工程、
を含む不活性化方法。
【請求項2】
前記不活性化液は、Ni-MH中のHを脱離させたうえで生成する物質が正極にHを挿入させ、そのあとに再び負極中のHを脱離させるシャトル反応が可能な溶液である、請求項1に記載の不活性化方法。
【請求項3】
前記不活性化液は、硝酸アニオン、亜硝酸アニオン、及び一級アンモニウムカチオン、二級アンモニウムカチオン、三級アンモニウムカチオン、四級アンモニウムカチオンのうちいずれか1以上を含む、請求項1又は2に記載の不活性化方法。
【請求項4】
前記不活性化液は、硝酸アニオン及び亜硝酸アニオンに対してはアルカリカチオンであり、アンモニウムカチオンに対しては硫酸アニオン及び/又はハロゲンを含む、請求項3に記載の不活性化方法。
【請求項5】
前記不活性化液は、アルカリ性である、請求項1又は2に記載の不活性化方法。
【請求項6】
前記不活性化工程では、NとOとを含むアニオン及び/又はNとHとを含むカチオンを含有した不活性化物質の物質量(mol)に正負極のプロトンの反応数を乗じた数で、不活性化する前記ニッケル水素電池の容量(mAh)を除算して得られる不活性化指数が、4Ah/mol以上75Ah/mol以下の範囲内に溶媒及び前記不活性化物質を選択し濃度と投入量を調整した前記不活性化液を用いる、請求項1又は2に記載の不活性化方法。
【請求項7】
前記不活性化液は、2mol/L以上8mol/L以下の範囲で硝酸アンモニウムを不活性化物質として含む、請求項1又は2に記載の不活性化方法。
【請求項8】
ニッケル水素電池を不活性化する不活性化装置であって、
NとOとを含むアニオン、及び/又はNとHとを含むカチオンが溶解した不活性化液を、ニッケル水素電池の正極及び/又は負極と反応させ、ニッケル水素電池を不活性化する不活性処理を実行する処理部、
を備えた不活性化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、不活性化方法及び不活性化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電デバイスとしては、水素吸蔵合金を主体とする負極と,正極とを有する密閉型金属-水素アルカリ蓄電池において、負極に蓄積された水素を酸化させる酸化剤を供給する酸化剤供給手段が設けられているものが提案されている(特許文献1参照)。この蓄電デバイスでは、負極の利用率を向上させることにより、サイクル特性が向上された密閉型金属-水素アルカリ蓄電池を提供することができるとしている。また、溶解、粉砕された水素吸蔵合金を安定化させるための水素吸蔵合金の安定化処理方法に当たり、粉砕された水素吸蔵合金粉末を、一旦、炭酸ガス雰囲気中に暴露し、その後、大気中に取り出す方法が提案されている(特許文献2参照)。この安定化方法では、表面に酸化物の皮膜を形成することなく水素吸蔵合金を安定化することができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-251108号公報
【特許文献2】特開平10-195503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的に用いられているニッケル水素電池をリサイクルする場合、電池の不活性化を図ることが、より安全なリサイクル処理を図るために求められていた。特許文献2の安定化方法では、水素吸蔵合金を安定化する処理は検討されているが、電池としての処理はまだ十分検討されていなかった。
【0005】
本開示はこのような課題を解決するためになされたものであり、ニッケル水素電池を不活性化させる新規の不活性化方法及び不活性化装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、含窒素アニオン及び含窒素カチオンを用いると、その酸化還元サイクルによって、ニッケル水素電池をより効率的に不活性化させることができることを見出し、本開示の発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本開示の不活性化方法は、
NとOとを含むアニオン、及び/又はNとHとを含むカチオンが溶解した不活性化液を、ニッケル水素電池の正極及び/又は負極と反応させ、ニッケル水素電池を不活性化する不活性化工程、
を含むものである。
【0008】
また、本開示の不活性化装置は、
ニッケル水素電池を不活性化する不活性化装置であって、
NとOとを含むアニオン、及び/又はNとHとを含むカチオンが溶解した不活性化液を、ニッケル水素電池の正極及び/又は負極と反応させ、ニッケル水素電池を不活性化する不活性処理を実行する処理部、
を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この不活性化方法及び不活性化装置では、ニッケル水素電池を不活性化させる新規の不活性化方法及び不活性化装置を提供することができる。このような効果が得られる理由は、例えば、不活性化液に含まれる含窒素カチオン及び含窒素アニオンが酸化還元反応し、正極及び負極にて不活性化反応が進行するためであると推察される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】電池リサイクル処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【
図2】Ni-MH二次電池20の構成の概略を表す断面図。
【
図3】小型Ni-MH電池の5サイクルの放電曲線。
【
図4】KNO
2での小型Ni-MH電池の不活性化の挙動図とアンモニア検出結果。
【
図5】NaNO
2での小型Ni-MH電池の不活性化の挙動図。
【
図6】KNO
3での小型Ni-MH電池の不活性化の挙動図とアンモニア、亜硝酸の検出結果。
【
図7】(NH
4)
2SO
4での小型Ni-MH電池の不活性化の挙動図と亜硝酸検出結果。
【
図8】K
3Fe(CN)
6での小型Ni-MH電池の不活性化の挙動図。
【
図9】1,5-ジヒドロアントラキノンでの小型Ni-MH電池の不活性化の挙動図。
【
図10】1,2-ナフトキノン-4-スルホン酸ナトリウムでの小型Ni-MH電池の不活性化の挙動図。
【
図11】実験例10~13の亜硝酸イオン濃度と不活性化時間との関係図。
【
図12】実施例11、13,14の亜硝酸Na水溶液注入量と不活性化時間との関係図。
【
図13】実験例11、16~19の亜硝酸Na水溶液と硝酸アンモニウム濃度と不活化時間との関係図。
【
図14】実験例10~19の不活性化剤の不活性化指数と不活性化時間との関係図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(不活性化方法)
本開示の不活性化方法は、ニッケル水素電池をリサイクルする処理の過程で実行されるニッケル水素電池を不活性化する処理である。
図1は、ニッケル水素電池のリサイクル処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このリサイクル処理は、例えば、HEVなどの車載バッテリーのリサイクル処理の一例である。このルーチンでは、HEVから電池パックを回収し(S10)、電池パックを解体し(S20)、不活性化液を注液して不活性化し(S30)、水素吸蔵合金MHを酸化処理し(S40)、破砕し(S50)、溶解させて元素を回収し(S60)、回収した元素を用いて活物質を合成し(S70)、再セル化を図る(S80)。この不活性化処理は、このルーチンのS30で実行されるものとしてもよい。
【0012】
不活性化工程では、NとOとを含むアニオン、及び/又はNとHとを含むカチオンが溶解した不活性化液を、ニッケル水素電池の正極及び/又は負極と反応させ、ニッケル水素電池を不活性化する。不活性化液は、Ni-MH中のHを脱離させたうえで生成する物質が正極にHを挿入させ、そのあとに再び負極中のHを脱離させるシャトル反応が可能な溶液であるものとしてもよい。ここでは、NとOとを含むアニオン、及び/又はNとHとを含むカチオンのいずれかを含む化合物を、便宜的に「含窒素塩」と称する。この不活性化液は、溶媒を水とする水溶液とすることが好ましい。また、この不活性化液は、アルカリ性であることが好ましく、アルカリ金属の水酸化物を溶解させてアルカリ性とするものとしてもよい。アルカリ金属としては、Li、Na、Kなどが挙げられ、このうちKやNaが好ましい。不活性化液は、含窒素塩として、硝酸アニオン、亜硝酸アニオン、及び一級アンモニウムカチオン、二級アンモニウムカチオン、三級アンモニウムカチオン、四級アンモニウムカチオンのうちいずれか1以上を含むことが好ましい。各アンモニウムカチオンにおいて、水素がアルキル基又はアリール基に置換されたものとしてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシル基などが挙げられる。この不活性化液は、硝酸アニオン及び亜硝酸アニオンに対してはアルカリカチオンが対カチオンとして含まれるものとしてもよい。また、この不活性化液は、アンモニウムカチオンに対しては硫酸アニオン及び/又はハロゲンが対アニオンとして含まれるものとしてもよい。この不活性化液に含まれる含窒素塩としては、例えば、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸リチウムなどが挙げられ、このうち亜硝酸ナトリウムや亜硝酸カリウムが、溶解度の観点などからより好ましい。また、この不活性化液に含まれる含窒素塩としては、例えば、硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
【0013】
不活性化液に含まれる含窒素塩の濃度は、より高いことがより好ましく、0.1mol/L(M)以上が好ましく、0.2M以上がより好ましく、0.5M以上や1M以上としてもよい。この濃度は、セル内のアルカリ電解液中での溶解度に応じて適宜定められるが、6M以下としてもよく、アルカリ電解液の組成によってはより高い濃度としてもよい。また、この不活性化液は注液段階でアルカリ電解液に溶解させない場合はより濃度が高くてもよく、6M以上や10M以上としてもよく、30M以下としてもよい。また、この不活性化液は、pHが3以上であることが好ましく、pHが8や9以上としてもよい。この不活性化工程では、不活性化処理を常温、例えば、20℃以上25℃以下の範囲で行うものとしてもよい。なお、この処理温度は、-20℃~100℃の範囲としてもよい。この工程において、不活性化液の添加量は、その含窒素塩の濃度や処理温度、ニッケル水素電池の規模に応じて適宜選択するものとすればよい。また、不活性化処理の処理時間は、ニッケル水素電池の規模や不活性化液の添加量や濃度、塩の種別に応じて適宜好適な時間を選択すればよい。この処理時間は、例えば、1時間以上24時間以下の範囲としてもよい。不活性化処理では、不活性化液をニッケル水素電池へ注入したのち、例えば、静置して保持してもよいし、加振しながら保持してもよい。この処理では、特別な処理を必要とせず、静置するものとすればよい。
【0014】
不活性化工程では、NとOとを含むアニオン及び/又はNとHとを含むカチオンを含有した不活性化物質の物質量(mol)に正負極のプロトンの反応数を乗じた数で、不活性化するニッケル水素電池の容量(mAh)を除算して得られる不活性化指数が所定範囲にある不活性化液を用いるものとしてもよい。この工程では、不活性化指数が所定範囲に入るよう、溶媒及び不活性化物質を選択し濃度と投入量を調整した不活性化液を用いることが好ましい。ここで、反応数は、不活性化物質1分子と反応する水素量である。反応数は、下記式(1)~(3)のいずれが生じるかにより決定でき、例えば、NaNO2もしくはKNO2では「6」であり、NH4NO3では「14」である。この不活性化指数は、より小さな値であることが好ましく、例えば、4Ah/mol以上75Ah/mol以下の範囲内が好ましく、より好ましくは、50Ah/mol以下、更に好ましくは40Ah/mol以下である。
【0015】
不活性化工程では、ニッケル水素電池の電極が拘束された状態で不活性化液を電解液へ注液するものとしてもよい。この不活性化工程では、2mol/L以上8mol/L以下の範囲で硝酸アンモニウムを不活性化物質として含む不活性化液を用いることが好ましい。硝酸アンモニウムは、溶媒としての水への溶解度が比較的高いため濃度を高めやすく、比較的コストが低く、より取り扱いが容易であり、好ましい。不活性化液における不活性化物質の濃度は、セルへの注液後の機能を考慮すると適切な範囲が存在し、2mol/L以上がより好ましく、8mol/L以下が好ましい。
【0016】
不活性化処理では、正極、負極において、下記式(1)~(3)の反応が進行するものと推察される。例えば、アンモニアカチオンを含む不活性化液では、正極において式(1)の反応が進行し、Niが不活性化されると共に、亜硝酸アニオンが生成する。また、硝酸アニオンを含む不活性化液では、負極において式(2)の反応が進行し、水素吸蔵合金が不活性化されると共に、亜硝酸アニオンが生成する。また、負極では、亜硝酸アニオンが存在すると、式(3)の反応が進行し、水素吸蔵合金が不活性化されると共に、アンモニウム塩が生成する。したがって、不活性化液に窒素含有塩のいずれかが存在すれば、正極及び負極で式(1)~(3)の反応がサイクリックに進行し、効率よく電池の不活性化が進行するものと推察される。
【0017】
【0018】
[ニッケル水素電池]
不活性化の対象となるニッケル水素電池について説明する。ニッケル水素電池は、正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、正極と負極との間に介在しキャリアイオンを伝導するイオン伝導媒体と、を備えている。正極活物質としては、例えば、オキシ水酸化ニッケルなどのニッケル酸化化合物が用いられる。また、負極活物質としては、水素を含んだ水素吸蔵合金または水素化合物が用いられる。イオン伝導媒体としては、電解液として、濃水酸化カリウム水溶液などのアルカリ溶液が用いられる。このニッケル水素電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものとしてもよい。ニッケル水素電池の一例を
図2に示す。
図2は、コイン型のニッケル水素電池20の構成の概略を表す断面図である。
図2に示すように、ニッケル水素電池20は、カップ形状の電池ケース21と、正極活物質を有しこの電池ケース21の下部に設けられた正極22と、負極活物質を有し正極22に対してセパレータ24を介して対向する位置に設けられた負極23と、絶縁材により形成されたガスケット25と、電池ケース21の開口部に配設されガスケット25を介して電池ケース21を密封する封口板26と、を備えている。
【0019】
[不活性化装置]
不活性化装置は、上述した不活性化方法を実行する装置として構成される。この装置は、例えば、NとOとを含むアニオン、及び/又はNとHとを含むカチオンが溶解した不活性化液を、ニッケル水素電池の正極及び/又は負極と反応させ、ニッケル水素電池を不活性化する不活性処理を実行する処理部、を備える。処理部には、ニッケル水素電池へ不活性化液を収入する注入部と、ニッケル水素電池を静置する静置部と、を備えるものとしてもよい。
【0020】
以上説明した不活性化方法及び不活性化装置では、ニッケル水素電池を不活性化させる新規の不活性化方法及び不活性化装置を提供することができる。このような効果が得られる理由は、例えば、不活性化液に含まれる含窒素カチオン及び含窒素アニオンが酸化還元反応し、正極及び負極にて不活性化反応が進行するためであると推察される。
【0021】
なお、本開示は、上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0022】
本開示は、以下の[1]~[6]のいずれかに示すものとしてもよい。
[1] NとOとを含むアニオン、及び/又はNとHとを含むカチオンが溶解した不活性化液を、ニッケル水素電池の正極及び/又は負極と反応させ、ニッケル水素電池を不活性化する不活性化工程、を含む不活性化方法。
[2] 前記不活性化液は、Ni-MH中のHを脱離させたうえで生成する物質が正極にHを挿入させ、そのあとに再び負極中のHを脱離させるシャトル反応が可能な溶液である、[1]に記載の不活性化方法。
[3] 前記不活性化液は、硝酸アニオン、亜硝酸アニオン、及び一級アンモニウムカチオン、二級アンモニウムカチオン、三級アンモニウムカチオン、四級アンモニウムカチオンのうちいずれか1以上を含む、[1]又は[2]に記載の不活性化方法。
[4] 前記不活性化液は、硝酸アニオン及び亜硝酸アニオンに対してはアルカリカチオンであり、アンモニウムカチオンに対しては硫酸アニオン及び/又はハロゲンを含む、[3]に記載の不活性化方法。
[5] 前記不活性化液は、アルカリ性である、[1]~[4]のいずれか1つに記載の不活性化方法。
[6] 前記不活性化工程では、NとOとを含むアニオン及び/又はNとHとを含むカチオンを含有した不活性化物質の物質量(mol)に正負極のプロトンの反応数を乗じた数で、不活性化する前記ニッケル水素電池の容量(mAh)を除算して得られる不活性化指数が、4Ah/mol以上75Ah/mol以下の範囲内に溶媒及び前記不活性化物質を選択し濃度と投入量を調整した前記不活性化液を用いる、[1]~[5]のいずれか1つに記載の不活性化方法。
[7] 前記不活性化液は、2mol/L以上8mol/L以下の範囲で硝酸アンモニウムを不活性化物質として含む、[1]~[6]のいずれか1つに記載の不活性化方法。
[8] ニッケル水素電池を不活性化する不活性化装置であって、
NとOとを含むアニオン、及び/又はNとHとを含むカチオンが溶解した不活性化液を、ニッケル水素電池の正極及び/又は負極と反応させ、ニッケル水素電池を不活性化する不活性処理を実行する処理部、を備えた不活性化装置。
【実施例0023】
以下には、本開示の非水系二次電池の不活性化方法を具体的に検討した例を実験例として説明する。実験例1~4、10~19が本開示の実施例に相当し、実験例5~9が参考例に相当する。
【0024】
(実験例1)
(小型電池の作成)
市販の注液前の車載Ni-MH電池モジュールを解体して正極、負極、セパレータを得た。負極は片面を剥ぎ取り片面塗工品にした。正極、負極は設計容量が125mAhになるよう切り出した。正極をセパレータ袋に入れ、片面塗工負極二枚で挟み正極、負極からそれぞれNi金属でタブを出して小型セルとした。小型セルを拘束具で挟みモデルアルカリ電解液(KOH:6M、NaOH:1M、LiOH:1M)を真空含浸して、小型セルとした。
【0025】
(小型電池の活性化と不活性化前充電)
小型セルは、初充電を電流値6.25mA(1/20C)で24h、すなわちSOC120%相当の容量を充電した。10分間の休止後、電圧下限1Vまで電流値12.5mA(1/10C)で放電した。2サイクル目以降は電流値12.5mA(1/10C)で12h、すなわち、SOC120%相当の容量を充電し、10分の休止後、電圧下限1Vまで電流値12.5mA(1/10C)で放電した。このサイクルを5サイクルまで繰り返し、活性なNi-MH小型セルを得た。また、次の試験で不活性化液の評価をするために、小型セルを電流値12.5mA(1/10C)で12h、すなわち、SOC120%相当の容量を充電した。
図3は、小型Ni-MH電池の5サイクルの放電曲線(N数=2)である。
【0026】
(不活性化液の調整)
モデルアルカリ電解液(KOH:6M、NaOH:1M、LiOH:1M)にKNO2が1Mとなるように溶解し、不活性化液を得た。
【0027】
(不活性化試験、反応生成物の確認)
ポリテトラフルオロエチレン製のビーカに不活性化液を入れた後に、小型セルを拘束具から取り外し、ビーカに移した。その後20℃の恒温槽中で正負極間の電圧を監視した。
図4は、KNO
2での小型Ni-MH電池の不活性化の挙動図である(N数=2)。
図4に示すように、この不活性化液を電解液中へ注入すると、時間の経過と共に電池電圧を低下させることができることがわかった。また、不活性化後の溶液を取り出し、ネスラー法によるアンモニアの検出を試みた。その結果、KNO
2の不活性化液からアンモニウムイオンが検出された。このため、不活性化液のNO
2が還元される反応が進行していることが推察された。
【0028】
(実験例2)
実験例1の不活性化液の調整で、モデル電解液に溶かす塩をNaNO
2にしたことと溶液の分析を行わなかった以外は同じ試験を行い、NaNO
2による不活性化挙動を評価したものを実験例2とした。
図5は、NaNO
2での小型Ni-MH電池の不活性化の挙動図である。
図5に示すように、この不活性化液を電解液中へ注入すると、時間の経過と共に電池電圧を低下させることができることがわかった。
【0029】
(実験例3)
実験例1の不活性化液の調整でモデル電解液に溶かす塩をKNO
3にし、KNO
3の濃度を0.2Mにしたことと溶液の分析を以下に示す方法で行った以外は同じ試験を行い、KNO
3による不活性化挙動を評価したものを実験例3とした。
図6は、KNO
3での小型Ni-MH電池の不活性化の挙動図である(N数=2)。実験例3の溶液の分析は、不活性化後の溶液を取り出し、ナフチルエチレンジアミン比色法による亜硝酸イオンの検出とネスラー法によるアンモニウムイオンの検出を行った。
図6に示すように、この不活性化液を電解液中へ注入すると、時間の経過と共に電池電圧を低下させることができることがわかった。また、不活性化後の溶液の分析結果では、KNO
3の不活性化液からアンモニウムイオン及び亜硝酸イオンが検出された。このため、不活性化液のNO
3が還元される反応が進行していることが推察された。
【0030】
(実験例4)
実験例1の不活性化液の調整と溶液の分析を以下に変更した不活性化液を用いた。不活性化液の調整は、モデル電解液と0.5Mに調整した(NH
4)
2SO
4溶液を体積比2:1で混合し、不活性化液を得た。溶液の分析は、不活性化後の溶液を取り出し、ナフチルエチレンジアミン比色法による亜硝酸イオンの検出を行った。
図7は、(NH
4)
2SO
4での小型Ni-MH電池の不活性化の挙動図である(N数=2)。
図7に示すように、この不活性化液を電解液中へ注入すると、時間の経過と共に電池電圧を2段階で低下させることができることがわかった。また、不活性化後の溶液の分析結果では、(NH
4)
2SO
4の不活性化液から亜硝酸イオンが検出された。このため、不活性化液のアンモニウムイオンが酸化される反応が進行していることが推察された。
【0031】
(実験例5、6)
実験例1の不活性化液の調整を以下に変更した不活性化液を用いた。6M-KOHにK
3Fe(CN)
6が10mMになるように調整した以外は実験例1と同じ試験を行い、K
3Fe(CN)
6による不活性化挙動を評価したものを実験例5とした。また、実験例5の評価セルに、更に以下の不活性化液を加え不活性化挙動の評価をしたものを実験例6とした。1M-KOHにK
3Fe(CN)
6が100mMになるように調整した不活性化溶液を調整した。上記不活性化液を加えた後、150h以上静置したセルをAr雰囲気のグローブボックス中で解体して溶液とセルの状態を目視観察した。
図8は、実験例5、6のK
3Fe(CN)
6での小型Ni-MH電池の不活性化の挙動図である。
図8に示すように、0.01MのK
3Fe(CN)
6では、電池電圧の低下を十分に得ることができなかった。また、0.1MのK
3Fe(CN)
6においても、十分な不活性化の効果を得られたとはいえなかった。また、不活性化後の負極には、黄色の結晶が晶析していた。
【0032】
(実験例7)
実験例1の不活性化液の調整でモデル電解液に溶かす分子を1,5-ジヒドロアントラキノンにし、1,5-ジヒドロアントラキノンの濃度を0.01Mにしたことと溶液の分析を行わなかった以外は同じ試験を行い、1,5-ジヒドロアントラキノンによる不活性化挙動を評価したものを実験例7とした。
図9は、1,5-ジヒドロアントラキノンでの小型Ni-MH電池の不活性化の挙動図である(N数=2)。
図9に示すように、1,5-ジヒドロアントラキノンでは、電池の不活性化の効果を十分に得ることができなかった。
【0033】
(実験例8)
実験例1の不活性化液の調整でモデル電解液に溶かす分子を1,2-ナフトキノン-4-スルホン酸ナトリウムにし、1,2-ナフトキノン-4-スルホン酸ナトリウムの濃度を0.1Mにしたことと溶液の分析を行わなかった以外は同じ試験を行い、1,2-ナフトキノン-4-スルホン酸ナトリウムによる不活性化挙動を評価したものを実験例8とした。
図10は、1,2-ナフトキノン-4-スルホン酸ナトリウムでの小型Ni-MH電池の不活性化の挙動図である(N数=2)。
図10に示すように、1,2-ナフトキノン-4-スルホン酸ナトリウムでは、電池の不活性化の効果を十分に得ることができなかった。
【0034】
(実験例9)
モデルアルカリ電解液(KOH:6M、NaOH:1M、LiOH:1M)中での硝酸、亜硝酸塩の溶解度を以下のフローで定量した。硝酸,亜硝酸Li,Ca塩では、Li塩は2mmol秤量し、Ca塩は0.04mmol秤量し、1000μLの電解液を滴下して攪拌し、溶け残りがあるときには、更に同量の電解液を滴下し、溶け残りがないときには、体積を計測し、溶解度を算出した。また、硝酸,亜硝酸Na,K塩では、20mmol秤量し、500μLの電解液を滴下して攪拌し、溶け残りがあるときには、更に同量の電解液を滴下し、溶け残りがないときには、体積を計測し、溶解度を算出した。なお、Ca(NO2)2は上記試験では溶け切らなかったため、溶解度の上限の評価を行った。定量した溶解度を表1にまとめた。塩溶解度(mol/L)は、亜硝酸Na,Kが高い溶解度を示した。
【0035】
【0036】
(結果と考察)
NO2イオン、NO3イオン、NH4イオンが存在する溶液では、電池電圧が1Vより低くなり溶液の作用により電池が放電していることが確認された。上記溶液での反応の確認のために行った実験例1,4の溶液の分析で、実験例1ではアンモニアが、実験例4では亜硝酸が検出された。すなわち、これらのイオンによるシャトル反応がNi-MHの正負極間で起こり、電池が放電されたと推測される。また、実験例3の溶液の分析でアンモニアと亜硝酸が検出されたため、硝酸イオンが亜硝酸イオンに還元されたのちにさらにMHで還元されてアンモニアが生成し、アンモニアが正極を還元しうると推察された。以上の結果から、不活性化液のよる放電は、上述した式(1)~(3)の反応式に由来する化学反応によるものと推察された。実験例1と実験例2からNO2は組み合わせるカチオン種に依らず不活性化が進行することが示された。一方でカチオン種は、電解液中での溶解度に影響を与えることが考えられた。そこで種々の亜硝酸塩、硝酸塩で溶解度の定量を行った。一価のカチオンと硝酸塩、亜硝酸塩の溶解度は0.1Mより高く不活性化溶液として早く放電しうるため好ましいことが示された。アニオンの違いで比較した場合、亜硝酸塩の方が硝酸塩に比べて溶解度が高く、なかでもNa, K塩が最も溶解度が高く、最も好ましいことが示された。一方で、亜硝酸塩と二価のカチオンの塩の溶解度は著しく低く、好ましくないことが示された。
【0037】
実験例5、6では、上記のシャトル反応以外に遷移金属の価数変化を用いることが可能な化学物質や、安定なラジカルを用いることが可能な化学物質、総称してレドックスメディエーター(RM)で正負極間でのシャトル反応を起こして電池を放電する方法が考えられた。そこで水系のRMとして一般的なヘキサシアノ鉄酸カリウム(実験例5,6)を用いて放電が可能か調査した。まず、実験例5では、電解液と同じ高濃度アルカリ溶液にヘキサシアノ鉄酸カリウムを溶解し、不活性化の評価を行ったが、アルカリ中でのヘキサシアノ鉄酸カリウムの溶解度が低く0.01Mしか溶けなかった。そのため、反応種の濃度が薄すぎて放電反応が進行せず、電池電圧は250h以上たってもほとんど降下しなかった。反応種の濃度を上げるためにアルカリの濃度を下げたところ、ヘキサシアノ鉄酸カリウムの溶解度が上がった。そこで、1MのKOH溶液に0.1Mのヘキサシアノ鉄酸カリウム溶液を溶解して調整した不活性化溶液をセルに滴下したが、150h掛けても二つの試料のうち片方のみしか1Vに到達しなかった。セルを目視観察したところ黄色のヘキサシアノ鉄酸カリウムの結晶が晶析しており、電極表面やビーカ内で結晶が確認された。すなわち、アルカリ電解液中で溶解度が低いRMを低濃度のアルカリ溶液に溶かして投入しても、セル内に存在する高濃度アルカリと触れた際に塩が晶析し、結晶が液の流路を阻害し、かつ、溶液中のRM濃度が薄くなり、シャトル反応が阻害されて著しく長い時間が掛かることが示唆された。この現象はアルカリ電解液中での塩の溶解度が低いため起こったものと推測された。
【0038】
RMとしてアルカリ溶液中で機能する分子の中でモデル電解液中の溶解度は低いが、可逆的に反応をするRMを実験例7で示し、モデル電解液中の溶解度は高いが、不可逆反応を含むRMを実験例8で示した。溶解度が低いRMは実験例5と同様に放電反応が進行せず、電圧の低下は見られなかった。一方、不可逆反応を含む実験例8は、電圧の低下が途中から遅くなり、1Vまで放電しきらなかった。以上の結果から、不活性化を行うには、Ni-MHの正負極間でシャトル反応が起こることに加えて、電解液中での溶解度が高いことと、シャトル反応以外の反応が無いことが望ましいと推察された。
【0039】
【0040】
次に、試験用の小型電池を作製し、この小型電池へ不活性化剤を注液する処理について検討した。上述した試験結果は、電解液中に塩を溶解した水溶液を不活性化液としセルの拘束状態を解除したものである一方、以下の試験では、イオン交換水に塩を溶解した不活性化液を拘束状態のセルの電解液に注液して行った。小型電池は、上述した実験例1~8と同様とした。
【0041】
(小型電池の活性化と不活性化前充電)
小型セルは初充電は電流値6.25mA(1/20C)で24h、すなわち、SOC120%相当の容量を充電した。10分間の休止後、電圧下限1Vまで電流値125mA(1C)で放電した。2サイクル目以降は電流値125mA(1C)で1.2h、すなわち、SOC120%相当の容量を充電し、10分の休止後、電圧下限1Vまで電流値125mA(1C)で放電した。このサイクルを5サイクルまで繰り返し活性なNi-MH小型セルを得た。また、次の試験で不活性化液の評価をするために、小型セルを電流値125mA(1C)で12h、すなわち、SOC120%相当の容量を充電した。
【0042】
(不活性化液の調整)
イオン交換水にNaNO2が5Mとなるように溶解し、不活性化液を得た。
【0043】
(不活性化試験)
(実験例10~19)
セルの注液口を開け5M-NaNO2水溶液をセパレータに62.4μL注入した。その後20℃の恒温槽中で正負極間の電圧を監視し、1Vまでの放電時間を計測したものを実験例1とした。また、実験例10の不活性化液の調整の濃度を7Mにした以外は同じ手順で電池を不活性化し、7Mの不活性化液による放電時間を計測したものを実験例11とした。また、実験例10の不活性化液の調整の亜硝酸塩をKNO2に、濃度を10Mにした以外は同じ手順で電池を不活性化し、10Mの不活性化液による放電時間を計測したものを実験例12とした。また、実験例12の不活性化液の調整の濃度を13Mにした以外は同じ手順で電池を不活性化し、13Mの不活性化液による放電時間をN数=2で計測したものを実験例13とした。また、実験例11の不活性化液の注入量を124.8μLにした以外は実験例11と同じ手順で電池を不活性化し、不活性化溶液を二倍にした際の放電時間をN数=3で計測したものを実験例14とした。また、実験例11の不活性化液の注入量を187.4μLにした以外は実験例11と同じ手順で電池を不活性化し、不活性化溶液を三倍にした際の放電時間をN数=3で計測したものを実験例15とした。また、実験例15の不活性化液をイオン交換水にNH4NO3が4Mになるように溶解した以外は同じ手順で電池を不活性化した場合の1Vまでの放電時間を計測したものを実験例16とした。実験例16の不活性化液の濃度を5Mにした以外は同じ手順で電池を不活性化した場合の1Vまでの放電時間を計測したものを実験例17とした。また、実験例16の不活性化液の濃度を6Mにした以外は同じ手順で電池を不活性化した場合の1Vまでの放電時間を計測したものを実験例18とした。また、実験例18の不活性化液の濃度を8Mにした以外は同じ手順で電池を不活性化した場合の1Vまでの放電時間を計測したものを実験例19とした。
【0044】
(結果と考察)
表3に実験例10~19の不活性化物質の種別、不活性化液の濃度(mol/L)、注液量(μL)、試験方法、セル電1V以下に到達した時間(Hr)、不活性化指数(Ah/mol)をまとめた。不活性化指数は、不活性化物質の物質量(mol)に正負極のプロトンの反応数を乗じた数で、不活性化するニッケル水素電池の容量(mAh)を除算して得られる値である。
図11は、実験例10~13の亜硝酸イオン濃度と不活性化時間との関係図である。
図12は、実施例11、13,14の亜硝酸Na水溶液注入量と不活性化時間との関係図である。
図13は、実験例11、16~19の亜硝酸Na水溶液と硝酸アンモニウム濃度と不活化時間との関係図である。
図14は、実験例10~19の不活性化剤の不活性化指数と不活性化時間との関係図である。
【0045】
図11に示すように、NaNO
2もしくはKNO
2水溶液でニッケル水素電池の不活性化を確認した。また、
図12に示すように、不活性化液の注液量を増加することによって、より安価であり利用しやすいNaNO
2での不活性化時間短縮をより短縮することができることがわかった。また、
図13に示すように、不活性化物質としてNH
4NO
3を用いることにより、NaNO
2に比して不活性化に要する時間をより短縮することができることがわかった。これは、以下のように推察される。不活性化液に用いている亜硝酸塩、硝酸塩、アンモニウム塩の不活性化反応式は、例えば、上述した式(1)~(3)で進行する。ここで、実験例10~15では、投入した不活性化物質がNO
2
-アニオンのみであり、式(3)から反応が開始する。一方、実験例16~19はカチオンであるアンモニウムイオンは式(1)を、アニオンである硝酸イオンは式(2)から反応が開始し、さらにアニオンは式(3)の反応を起こすため、より効率よく不活性化が進行するためであると推察された。なお、NH
4NO
3において、5M以上で不活性化時間が短縮しなかった理由は、おそらく、晶析によって溶液中のNH
4NO
3の濃度が5Mより上がらなかったためであると推察された。
【0046】
上述した反応式(1)~(3)により、異なる不活性化物質の不活性化機能を横並びで比較するために、(電池容量)/(不活性化物質量)×(反応数)を不活性化指数として導入した。反応数は、不活性化物質1分子と反応する水素量である。
図14に示すように、不活性化指数と不活性化時間との間に比較的良好な線形関係が得られた。電池容量を分母に導入したのは電池種に応じて投入量の範囲が変わることが推測されるためである。本開示では、不活性化指数を軸として、アンモニウムイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオンの不活性化に望ましい範囲として、4Ah/mol以上75Ah/mol以下の範囲が好ましいと推察され、より好ましくは、50Ah/mol以下、更に好ましくは40Ah/mol以下であった。上述した結果から、硝酸系のアニオン、アンモニウム系のカチオンなど、含窒素イオンを不活性化液として用いるとニッケル水素電池を不活性化することができることが明らかとなった。
【0047】
【0048】
なお、本開示は、上述した実施例に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。